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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156553
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】中空構造体
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/26 20060101AFI20221006BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20221006BHJP
   B22D 17/00 20060101ALN20221006BHJP
   B22D 25/02 20060101ALN20221006BHJP
【FI】
B29C45/26
B29C45/00
B22D17/00 B
B22D25/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060303
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】内藤 真哉
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AB05
4F202AB06
4F202AB07
4F202AB09
4F202AB11
4F202AB12
4F202AB25
4F202AG07
4F202AH11
4F202CA11
4F202CB01
4F206AB05
4F206AB06
4F206AB07
4F206AB09
4F206AB11
4F206AB12
4F206AB25
4F206AG07
4F206AH11
4F206JA07
4F206JQ81
(57)【要約】
【課題】軽量性に優れた中空フレームとしての中空構造体を少ない製造工程で実現する技術を提供する。
【解決手段】中空構造体1は、中空構造体本体1aと、前記中空構造体本体1aの少なくとも一方の端に一体に設けられ他の部材に連結される連結部1bとを有し、前記連結部1bは、前記中空構造体本体1aと中空構造を連続させるように一体に設けられた連結部本体1cと、前記中空構造の端部の開口を塞ぐように設けられ他の部材と締結される締結部3と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空構造体本体と、
前記中空構造体本体の少なくとも一方の端に一体に設けられ他の部材に連結される連結部と、
を有し、
前記連結部は、
前記中空構造体本体と中空構造を連続させるように一体に設けられた連結部本体と、
前記中空構造の端部の開口を塞ぐように設けられ他の部材と締結される締結部と、
を有する、
中空構造体。
【請求項2】
前記締結部は、略円環状を呈しており、
前記略円環状の外郭から前記連結部本体が延出して設けられている、
請求項1に記載の中空構造体。
【請求項3】
前記連結部本体は開口部を有する、請求項1または2に記載の中空構造体。
【請求項4】
前記開口部に取り外し自在に嵌め込まれる蓋部を有する請求項3に記載の中空構造体。
【請求項5】
前記締結部は、周方向に所定間隔で設けられ前記他の部材との連結に用いるための複数の貫通孔を有する、請求項1または2に記載の中空構造体。
【請求項6】
前記中空構造体本体の延出方向に垂直な断面の形状は円形、楕円、オーバル形、半円形または矩形である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の中空構造体。
【請求項7】
前記中空構造体本体と前記連結部は、熱可塑性樹脂からなる請求項1から6までのいずれか1項に記載の中空構造体。
【請求項8】
前記中空構造体本体と前記連結部は、軽金属または軽金属合金からなる請求項1から6までのいずれか1項に記載の中空構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスファーニチャー分野、ステーショナリー分野、建築資材分野、産業機器分野においては、中空構造体からなる中空フレームを構成部材とした製品が知られている。中空構造体として、一般的に、鉄系材料などの金属材料の成形加工品が用いられてきた。一方、中空フレーム等の中空構造体の動作高速化や小型化を目的として、樹脂材料の成形加工品とすることで軽量化を図っている。また、利用領域が拡大するに伴い、同時に他の構造体との接合強度の強化も図られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、繊維強化プラスチックから構成されるリンク構造体を用いて軽量化を行った技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-195998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているような繊維強化プラスチック製リンク構造体の関節構造は、繊維強化プラスチックと金属製の取付座とが、ウレタン系接着剤やエポキシ系接着剤等の接着剤あるいは上記接着剤と機械締結とを併用した接合法により接合された複合体であるため、製造工程が煩雑であって、少ない製造工程で中空構造体を製造することができる技術が求められていた。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、軽量性に優れた中空フレームとしての中空構造体を少ない製造工程で実現する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、中空構造体本体と、
前記中空構造体本体の少なくとも一方の端に一体に設けられ他の部材に連結される連結部と、
を有し、
前記連結部は、
前記中空構造体本体と中空構造を連続させるように一体に設けられた連結部本体と、
前記中空構造の端部の開口を塞ぐように設けられ他の部材と締結される締結部と、
を有する、中空構造体が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、軽量性に優れた中空フレームとしての中空構造体を少ない製造工程で実現する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る中空成形部品の構造の一例を模式的に示した斜視図である。
図2】本実施形態に係る中空成形部品の構造の一例を模式的に示した斜視図であり、開口部が樹脂製キャップで嵌合閉鎖された中空成形部品の構造の一例を示す図である。
図3図1に示した中空成形部品を、図中P点を通る長手方向に垂直切断した際の断面をy軸方向から眺めたときの構造を示す斜視図である。
図4図3に示した中空成形部品の断面構造に樹脂製キャップを嵌合閉鎖した構造を示した斜視図である。
図5図1に示した中空成形部品を、S方向(x軸)から眺めたときの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。文中の数字の間にある記号「~」は特に断りがなければ、以上から以下を表す。
【0011】
<中空構造体1の概要>
図1は、中空構造体1の構造の一例を模式的に示した斜視図である。
中空構造体1(「中空成形部品」または「中空フレーム」ともいう)は、中空構造体本体1aと、中空構造体本体1aの少なくとも一方の端に設けられた連結部1bと、を備える。中空構造体本体1aおよび連結部1bが熱可塑性樹脂または軽金属合金(軽金属を含む)で成形されている。すなわち、中空構造体本体1aと連結部1bとがシームレスに(継ぎ目がない状態で)成形されている。
中空構造体本体1aの形状は、例えば、パイプ状である。
連結部1bは、中空構造体本体1aの一方の端部に設けられてもよいし、図示のように両端に設けられてもよい。
【0012】
中空構造体本体1aと連結部1bが熱可塑性樹脂から構成されている場合、中空構造体本体1aと連結部1bは、例えば、射出成形法によって成形することができる。
中空構造体本体1aと連結部1bが軽金属合金から構成されている場合、中空構造体本体1aと連結部1bはダイキャスト法によって成形することができる。
【0013】
中空構造体1は、中空構造体本体1aおよび連結部1bが軽量な熱可塑性樹脂または軽金属合金から構成されているため、軽量性に優れている。
さらに、中空構造体1は、中空構造体本体1aと連結部1bとがシームレスに成形されている。言い換えると、中空構造体本体1aとその両端に連結部1bとを有する中空構造体1を少ない製造工程、より具体的には1回の成形で製造することができる。また、接着剤等を用いた従来の中空成形部品に比べて、中空構造体本体1aと連結部1bとの破壊リスクを低減することができる。
以上から、本実施形態によれば、中空構造体本体1aと連結部1bとの破壊リスクが低減され、かつ、軽量性に優れた中空構造体1を提供することができる。
【0014】
<中空構造体本体1a>
中空構造体本体1aの形状は中空フレーム構造を形成できる構造であれば特に限定されるものではないが、例えば、軸線は直線であり、中空構造体本体1aの短手方向の断面形状は、同一形状であっても、異なっていてもよく、例えば、円形、楕円形、オバール形、半円形、または矩形のいずれかである。中空構造体本体1aの断面の大きさは中空構造体本体1aの長手方向の任意の点において同一であっても異なっていてもよいが、異なる場合は中空構造体本体1aの長手方向の中間点において最も小さく、中空構造体本体1aの両端において最も大きい構造となっていることが望ましい。換言すれば、中空構造体本体1aの短手方向の断面形状が、中空構造体本体1aの両端部において最大であることが好ましい。このような形状にすることで外見もスマートな構造となり中空構造体1全体の軽量化に貢献できる。なお、本実施形態において、「A点の断面の大きさがB点の断面の大きさに比べて大きい」とは、長手方向から軸線沿いに直視した際に、B点の断面形成枠がA点の断面形成枠内に完全に収まることとして定義され、単にA点とB点の断面積の比較で決められるものではないことに留意すべきである。中空構造体1の機械強度や製造の容易さ、短手方向に加わる応力への耐性の点から、中空構造体本体1aの断面形状は、円形、オバール形または矩形が好ましく用いられる。図1図5では中空構造体本体1aの断面が矩形である中空成形部品を例示している。
【0015】
<連結部1b>
連結部1bは、中空構造体本体1aと中空構造を連続させるように一体に設けられた連結部本体1cと、中空構造の端部の開口を塞ぐように設けられ他の部材と締結される締結部3とを有する。締結部3は、略円環状を呈している。連結部本体1cは締結部3の略円環状の外郭から円筒状に延出し、円筒側面で中空構造体本体1aに連続して繋がる。本実施形態では、締結部3の外径は中空構造体本体1aの短手方向の幅よりも狭くなっているが、同じであってもよい。
【0016】
なお、中空構造体1が連結部1b(より具体的には締結部3)を中心として回動するような場合、連結部1bに回転中心軸3bを有する締結部3が形成される。連結用の締結部3が中空構造体本体1aの両端にある場合、二つの回転中心軸3bは軸線に対して互いに平行であることが製造の視点からより好ましい。
【0017】
<締結部3>
締結部3の形状は円盤状であり、より具体的には、中空構造体1内部に電力線や信号線などのケーブル類を通すための開口が設けられた円環状である。
締結部3には、他の構造体(被取付部材)を固定するためのネジ穴3a(貫通孔)が複数個形成されていることが好ましい。ネジ穴3aの個数については特に制限されないが、通常5~20個、好ましくは8~15個である。また、複数個のネジ穴3aは、円盤状の締結部3の周方向に所定間隔で設けられていることが好ましい。この場合、複数個のネジ穴3aは等間隔に設けられていることが好ましい。
【0018】
締結部3の底面(外面)には、必要に応じて金属プレートが貼り合わされていてもよい。金属プレートを配することによって、取付ネジの座面として機能するので取付ネジの緩みを防止できる場合がある。金属プレートとしては、アルミニウム合金、チタン合金、銅合金、マグネシウム合金、ステンレス等を例示することができる。なお、金属プレートを締結部3の底面に貼り合わせる方法としては、例えば、中空構造体1の成形時に、金属プレートに熱可塑性樹脂をインサート成形する方法が好んで採用される。中空構造体1の材質が、後述するように熱可塑性樹脂である場合は、金属プレートの表面処理によって、金属プレートの表面に微細凹凸構造を形成し、微細凹凸構造が形成された面が貼り付け面側になるように、熱可塑性樹脂が金属プレートに射出成形されることが好ましい。
【0019】
締結部3が、連結部1bの内部に設けられている。すなわち、フランジ状に連結部本体1cより外側に突出することがない。この構成により、中空構造体1が他の構造体に取り付けられたときに、締結部3が外部から視認されることは無く、すなわちネジ穴3aや締結に用いたネジを隠すことができる。これは中空構造体1の意匠性を向上させることができる。また、ネジ穴3aや締結に用いたネジの形状による引っ掛かり等を排除でき、それらを覆うカバーを用意する等の手間を回避できる。
【0020】
<開口部2>
図2は、中空構造体1の構造の一例を模式的に示した斜視図であり、開口部2がキャップ4で嵌合閉鎖された中空成形部品の構造の一例を示す図である。図4は、図3に示した中空構造体1の断面構造にキャップ4を嵌合閉鎖した構造を示した斜視図である。
【0021】
連結部1bは、中空構造体1の内外を連通する開口として開口部2を有する。開口部2は締結部3内にケーブルアセンブリを沿わせて固定化する作業や、締結部3内に設けられたネジ穴にオスネジを通過させてメスネジで締結固定化する作業などの各種作業を行うために利用される。
【0022】
開口部2の大きさは特に限定されないが、好ましくは中空構造体1を長手方向から眺めた場合(例えば、図1におけるS方向)に、中空構造体本体1aの最内郭が形成する枠線X1内の面積(A1)が、開口部2が形成する枠線X2内の面積(A0)の、通常50~100面積%、好ましくは60~95面積%、より好ましくは65~90面積%であるように設計される(図5参照)。図5においては、A1/A0値は73面積%程度である。
【0023】
このような要件を満たす大きさの開口形状とすることにより、開口部2を介して行う各種作業の効率性を向上できるとともに、中空構造体1を、例えば射出成形によって成形する際の金型からの取り出しも効率よく行うことができる。
【0024】
開口部2は、作業を行わない場合、塵芥等の異物の混入防止、被水時の浸水防止、作業員の衣服巻き込まれ事故などの防止のために、例えば着脱自在のキャップ4によって嵌合閉鎖されてもよい。嵌合閉鎖の方法としては特に制限されないが、施錠・開錠が自在に行える着脱自在な嵌合方法であれば制限なく使用できる。例えば、ネジ止めの機械締結法やネジを用いない締結法であるスナップフィットも好んで用いられる。スナップフィットは、製品を構成する一方の部材に爪部を形成し、他方の部材である相手側部材の相対する位置に、この爪部が嵌合する固定部、すなわち爪係止部を設けたものであり、各々の部材の爪部と爪係止部を結合し固定させることにより、複数の部材からなる筐体等の構造体を一つに組み立てるものである。スナップフィットは部材に穴を開けることなく、構造を組み立てる際の作業を容易にする利点がある。
【0025】
<中空構造体1の材料>
中空構造体1を構成する中空構造体本体1aおよび連結部1bは、それぞれ熱可塑性樹脂および軽金属合金から選択される少なくとも一種の材料から構成されており、中空構造体1の軽量性をより一層向上させる観点から熱可塑性樹脂が好ましい。
中空構造体1がシームレスに成形される点が本実施形態のポイントの一つであり、中空構造体1は、例えば、軽金属合金のダイキャスト法または熱可塑性樹脂の射出成形法で形成される。これらの成形法の中では、中空構造体1全体の軽量性を向上させる点から熱可塑性樹脂を用いた射出成形法が好ましい。
【0026】
軽金属合金のアルミニウム合金としては、狭い湯口を高い流動性で通過させる観点から、例えばダイキャスト用アルミニウム合金であるADC1、ADC3、ADC5、ADC6、ADC10、ADC10Z、ADC12、ADC12Z等が挙げられる。マグネシウム合金としては、AZ91やAM60等が挙げられる。
中空構造体1が軽金属合金から構成される場合、中空構造体1は、例えば、キャビティが形成された金型と、内部空間を有するように略円筒状に形成され、その一方の端側で上記キャビティに連通する射出スリーブと、該射出スリーブ内に移動可能に配設されたプランジャーチップと、を備えた公知のダイキャストマシンを用いて、公知の条件で製造することができる。
【0027】
一方で、射出成形法としては、公知の方法を制限なく使用できる。すなわち、中空構造体1が熱可塑性樹脂から構成される場合、中空構造体1は、例えば、移動型金型と固定型金型との間に形成されたキャビティに、必要に応じて上記金属プレート装着し、次いで、溶融状態にある熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物を射出充填し、次いで、型開きし、必要に応じて用いたスライド、入れ駒類を除くことによって製造することができる。
【0028】
中空構造体1を射出成形法によって形成する場合、原料成分の熱可塑性樹脂は、樹脂成分としての熱可塑性樹脂を含み、必要に応じて添加剤をさらに含む熱可塑性樹脂組成物である。
熱可塑性樹脂としては、中空構造体1の機械的強度を向上できるという理由から、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアリーレンエーテル系樹脂、ポリアリーレンスルフィド系樹脂、ABS樹脂、ポリアミド含有アロイから選択される一種または二種以上の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
これらの中でも、ポリアミド系樹脂およびポリエステル系樹脂がより好ましく、ポリアミド系樹脂が特に好ましい。ポリアミド含有アロイとしてはポリアミド系樹脂とポリアリーレンエーテル系樹脂のアロイを好適例として挙げることができる。
【0029】
ポリアミド系樹脂の具体例としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12のような脂肪族ポリアミドやポリヘキサメチレンテレフタラミド、ポリヘキサメチレンイソフタラミドのような半芳香族ポリアミド樹脂、メタキシリレンジアミンから得られるポリアミド樹脂等が挙げられる。これらのポリアミド系樹脂の中でも、メタキシリレンジアミンとアジピン酸から得られるポリアミド樹脂が特に好ましい。このようなポリアミド樹脂はナイロンMXD6と呼ばれ、例えば三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社からレニーTMの商品名で市販されている。
【0030】
熱可塑性樹脂組成物は、例えば、無機充填剤、難燃剤、難燃助剤、熱安定剤、酸化防止剤、顔料、耐候剤、可塑剤、分散剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、耐衝撃性改良剤および着色剤からなる群から選ばれる一種又は二種以上の添加剤を含有してもよい。
【0031】
無機充填剤としては、例えば、繊維状充填剤(ガラス繊維、カーボン繊維等)、粉粒状充填剤(カオリン、タルク等)、板状充填剤(マイカ等)等が挙げられる。これらの充填剤のうち、高い強度・剛性を有する点で、繊維状充填剤、特にガラス繊維(チョップドストランド等)が好ましい。これらの充填剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0032】
これらの充填剤は、収束剤または表面処理剤と組み合わせて使用してもよい。このような収束剤または表面処理剤としては、例えば、官能性化合物が挙げられる。上記官能性化合物としては、例えば、エポキシ系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等が挙げられる。
無機充填剤の量は、熱可塑性樹脂組成物中、例えば0~60重量%であり、好ましくは5~60重量%である。
【0033】
難燃剤としては、臭素化エポキシポリマー、デカブロモジフェニルエーテル等の公知のハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤を制限なく使用可能であるが、ベース樹脂としてポリアミド系樹脂を用い、且つ成形体に黒色以外の色調が求められる場合はハロゲン化ビスイミドを好適な難燃剤として例示できる。難燃剤を使用する場合は、その含有量は熱可塑性樹脂組成物100質量部当たり、例えば0.1~30質量部、好ましくは0.5~20質量部である。
【0034】
本実施形態において、一般的な着色剤を樹脂に配合することができる。使用される黒色系着色剤(黒色系顔料)として、例えば、カーボンブラック、グラファイト、チタンブラック、黒色酸化鉄等が挙げられる。これらのうち、分散性、発色性、コストの面からカーボンブラックが特に望ましい。黒色顔料は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0035】
また、非黒色系着色剤としては、上記黒色顔料以外のものであり、後述の無機顔料や有機顔料が挙げられる。これらの非黒色系着色剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。非黒色顔料としては、例えば、白色顔料(例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛等)、黄色顔料(例えば、カドミイエロー、黄鉛、チタンイエロー、ジンククロメート、黄土、黄色酸化鉄等)、赤色顔料(例えば、赤口顔料、アンバー、赤色酸化鉄、カドミウムレッド等)、青色顔料(例えば、紺青、群青、コバルトブルー等)、緑色顔料(例えば、クロムグリーン等)等が挙げられる。
【0036】
また、有機顔料として、例えば、アゾ系、アゾメチン系、メチン系、インダスロン系、アントラキノン系、ピランスロン系、フラバンスロン系、ベンゼンスロン系、フタロシアニン系、キノフタロン系、ペリレン系、ペリノン系、ジオキサジン系、チオインジゴ系、
イソインドリノン系、イソインドリン系、ピルールピロール系、キナクリドン系等が挙げられる。
【0037】
非黒色系着色剤の配合量は、熱可塑性樹脂組成物100質量部あたり、好ましくは0.1~20質量部であり、より好ましくは0.3~18質量部であり、さらに好ましくは0.5~15質量部である。
【0038】
熱可塑性樹脂組成物は、上記無機充填剤、難燃剤および着色剤の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の添加剤を配合することができる。各種添加剤としては、例えば、銅系熱安定剤、リン系熱安定剤等の熱安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤、離型剤、耐侯性改良剤、造核剤、発泡剤、耐衝撃改良剤、滑剤、可塑剤、流動性改良剤等が挙げられる。その他の添加剤を併用する場合は、その配合量は樹脂組成物100質量部当たり例えば0.01~10質量部、好ましくは0.05~5質量部である。
【0039】
<キャップ4の材料>
キャップ4を構成する材料として、例えば、樹脂、軽金属合金、木製などの各種材料を用いることができる。樹脂や軽金属合金の材料の場合、中空構造体本体1aと同じ材料から構成されてもよいし、異なる材料で構成されてもよい。
キャップ4が樹脂製の場合、樹脂としては中空構造体1を製造するための熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物を制限なく使用できる。すなわち、キャップ4を構成する樹脂としては、ポリアミド系樹脂およびポリエステル系樹脂がより好ましく、ポリアミド系樹脂が特に好ましい。キャップ4は、例えば射出成形、押出成形法、真空成形、ブロー成形、圧空成形、圧縮成形等の公知の成形方法を用いて成形することができ、生産性の点で射出成形および押出成形を用いて成形することが好ましい。
【0040】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0041】
本実施形態の特徴を纏めると次の通りである。
[1]中空構造体1は、
中空構造体本体1aと、
前記中空構造体本体1aの少なくとも一方の端に一体に設けられ他の部材に連結される連結部1bと、
を有し、
前記連結部1bは、
前記中空構造体本体1aと中空構造を連続させるように一体に設けられた連結部本体1cと、
前記中空構造の端部の開口を塞ぐように設けられ他の部材と締結される締結部3と、
を有する。
[2]前記締結部3は、略円環状を呈しており、
前記略円環状の外郭から前記連結部本体1cが延出して設けられている。
[3]前記連結部本体1cは開口部2を有する。
[4]前記開口部2に取り外し自在に嵌め込まれるキャップ4(蓋部)を有する。
[5]前記締結部3は、周方向に所定間隔で設けられ前記他の部材との連結に用いるための複数のネジ穴3a(貫通孔)を有する。
[6]前記中空構造体本体1aの延出方向に垂直な断面の形状は円形、楕円、オーバル形、半円形または矩形である。
[7]前記中空構造体本体1aと前記連結部3は、熱可塑性樹脂からなってもよい。
[8]前記中空構造体本体1aと前記連結部3は、軽金属または軽金属合金からなってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 中空構造体
1a フレーム本体
1b 連結部
1c 連結部本体
2 開口部
3 締結部
3a ネジ穴
3b 回転中心軸
4 キャップ
X1 中空構造体本体の最内郭が形成する枠線
X2 開口部が形成する枠線
図1
図2
図3
図4
図5