(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156568
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】グリッドシステム、電力授受方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/32 20060101AFI20221006BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20221006BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20221006BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221006BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/14 160
H02J3/38 110
H02J3/38 130
H02J7/00 P
H02J7/35 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060322
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 典行
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066AE09
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA07
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA04
5G503CA08
5G503DA07
5G503DA08
5G503EA05
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】第1蓄電池と第2蓄電池との間で授受される電力量を調整できるグリッドシステム及びグリッドシステムで実行される方法を提供すること。
【解決手段】グリッドシステムは、第1蓄電池と第2蓄電池とが接続可能で、且つ第1蓄電池と第2蓄電池との間で電力を授受できるグリッドシステムであって、第1蓄電池と第2蓄電池とのいずれか一方又は両方に関する電力状態とに応じて所定の電力量あたりの電力価値を設定する電力価値設定部と、電力価値に基づいて、第1蓄電池と第2蓄電池との間で授受される電力量の調整を行う電力授受制御部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1蓄電池と第2蓄電池とが接続可能で、且つ前記第1蓄電池と前記第2蓄電池との間で電力を授受できるグリッドシステムであって、
前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とのいずれか一方又は両方に関する電力状態に応じて所定の電力量あたりの電力価値を設定する電力価値設定部と、
前記電力価値に基づいて、前記第1蓄電池と前記第2蓄電池との間で授受される電力量の調整を行う電力授受制御部と
を備える、グリッドシステム。
【請求項2】
前記第1蓄電池は住宅に設置される住宅用蓄電池であり、前記住宅用蓄電池は前記住宅に設置された太陽光発電装置によって発電された電力を蓄電し、
前記第2蓄電池は車両に設置される車両用蓄電池であり、前記車両用蓄電池は前記車両に設置された太陽光発電装置によって発電された電力を蓄電する、請求項1に記載のグリッドシステム。
【請求項3】
前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とのいずれか一方又は両方を有する第1需要家は、第3蓄電池を有する第2需要家との間で電力を授受することが可能であり、
前記電力価値設定部は、前記第1需要家と前記第2需要家との間で電力を授受する場合に、前記第3蓄電池の電力状態に基づいて所定の電力量あたりの電力価値を設定する、請求項1又は請求項2に記載のグリッドシステム。
【請求項4】
前記グリッドシステムは、所定の地理的範囲を電気的に接続する地域内電力線を有し、
前記電力価値設定部は、前記地域内電力線の電力状態に基づいて所定の電力量あたりの電力価値を設定する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のグリッドシステム。
【請求項5】
前記第2蓄電池は車両に設置される車両用蓄電池であり、前記車両用蓄電池は前記車両に設置された太陽光発電装置によって発電された電力を蓄電し、
前記電力授受制御部は、前記太陽光発電装置を有する車両を、前記太陽光発電装置を有さない他の車両よりも優先する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のグリッドシステム。
【請求項6】
前記電力状態は、使用電力と、車両から住宅へ供給される電力である供給電力とを含み、
前記電力価値設定部は、前記供給電力の電力価値を、前記使用電力の電力価値よりも高く設定する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のグリッドシステム。
【請求項7】
前記第1蓄電池は住宅に設置される住宅用蓄電池であり、前記第2蓄電池は車両に設置される車両用蓄電池であり、
前記電力価値設定部は、前記住宅に在宅しているユーザが存在しない場合に前記住宅用蓄電池の電力価値を下げ、前記車両に乗車しているユーザが存在しない場合に前記車両用蓄電池の電力価値を下げる、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のグリッドシステム。
【請求項8】
前記電力状態は、蓄電池のSOCを含み、
前記電力価値設定部は、前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とのうち第1基準値よりもSOCが低い方の電力価値を、前記第1基準値よりもSOCが高い方の電力価値より高く設定する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のグリッドシステム。
【請求項9】
前記電力状態は、蓄電池のSOCを含み、
前記電力価値設定部は、前記SOCの増減に基づいて、前記電力価値を増減させる、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のグリッドシステム。
【請求項10】
前記グリッドシステムは、所定の地理的範囲を電気的に接続する第1地域内電力線を有し、
前記電力状態は、前記第1地域内電力線から供給される電力である接続電力と、前記第1地域内電力線の外部から供給される電力である移動電力とを含み、
電力価値設定部は、前記接続電力の電力価値を、前記移動電力の電力価値よりも高く設定する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のグリッドシステム。
【請求項11】
前記電力状態は、所定の地理的範囲を電気的に接続する第1地域内電力線で送電される第1グリッド内電力と、前記第1地域内電力線とは異なる第2地域内電力線から前記第1地域内電力線に供給される第2グリッド内電力とを含み、
電力価値設定部は、前記第1グリッド内電力の電力価値を、前記第2グリッド内電力の電力価値よりも高く設定する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のグリッドシステム。
【請求項12】
前記電力状態は、所定の地理的範囲を電気的に接続する第1地域内電力線で送電される第1グリッド内部電力と、前記第1地域内電力線とは異なる第2地域内電力線から前記第1地域内電力線に供給される第2グリッド内部電力とを含み、
電力価値設定部は、前記第1グリッド内部電力のSOCの合計が第2基準値よりも低い場合に、前記第2グリッド内部電力の電力価値を、前記第1グリッド内部電力の電力価値よりも高く設定する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のグリッドシステム。
【請求項13】
前記グリッドシステムは、所定の地理的範囲を電気的に接続する地域内電力線を有し、
前記電力授受制御部は、前記地域内電力線から、使用蓄電池又は所定の基準値よりもSOCが高い前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とのいずれか一方又は両方に電力を供給する制御を行う、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のグリッドシステム。
【請求項14】
前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とのいずれか一方又は両方を有する第1需要家は、第3蓄電池を有する第2需要家との間で電力を授受することが可能であり、
前記電力授受制御部は、前記第3蓄電池から、使用蓄電池又は所定の基準値よりもSOCが高い前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とのいずれか一方又は両方に電力を供給する制御を行う、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のグリッドシステム。
【請求項15】
前記電力授受制御部は、太陽光発電装置から、使用蓄電池又は所定の基準値よりもSOCが高い前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とのいずれか一方又は両方に電力を供給する制御を行う、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のグリッドシステム。
【請求項16】
第1蓄電池と第2蓄電池とが接続可能で、且つ前記第1蓄電池と前記第2蓄電池との間で電力を授受できるグリッドシステムで実行される方法であって、
前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とのいずれか一方又は両方に関する電力状態とに応じて所定の電力量あたりの電力価値を設定するステップと、
前記電力価値に基づいて、前記第1蓄電池と前記第2蓄電池との間で授受される電力量の調整を行うステップと
を有する、グリッドシステムで実行される電力授受方法。
【請求項17】
コンピュータに、
第1蓄電池と第2蓄電池とのいずれか一方又は両方に関する電力状態とに応じて所定の電力量あたりの電力価値を設定するステップと、
前記電力価値に基づいて、前記第1蓄電池と前記第2蓄電池との間で授受される電力量の調整を行うステップと
を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリッドシステム、電力授受方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、ホームエネルギーマネジメントシステム(Home Energy Management System: HEMS)において、車載蓄電池を備え、家庭用電源(系統電源)と接続する機能を持つ給電機能付きEV(Electric Vehicle)などの電動車両はあまり想定されていなかった。
【0003】
電動車両に関して、電気自動車の駆動用に必要な電力量をユーザの用途に応じて蓄えておきながら、太陽光発電で発生する余剰電力を柔軟に活用する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。この技術は、太陽光発電システムが導入された住宅において電動車両に搭載された蓄電池の充電および放電を行う充放電装置である。充放電装置は、蓄電池の充電および放電を行う電力変換部と、蓄電池の目標充電量を示す目標充電量情報を管理する充電量管理部と、蓄電池を充電または放電させて蓄電池の充電量を目標充電量に近づける動作を行う時間帯を示す充電量調整時間情報を管理する時間管理部と、目標充電量情報および充電量調整時間情報に基づいて電力変換部を制御する動作制御部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
EV車のSOC(State Of Charge)が低い場合でも放電要求したり、SOCが高くても充電要求したりするなど、車両充放電制御との協調が取れていない場合、種々の不都合が生じる場合がある。
【0006】
一人世帯や核家族世帯でHEMSを使用する場合、使用者が家屋中に居り車両内に不在の場合や、使用者が車両内に居り家屋内に不在の場合など、HEMSの制御が、使用者が不在にも関わらずエネルギー使用の制約となることが想定され、不経済非効率な状況が生じることも考えられる。
これらの問題は、家屋などの住宅と車両とが一対一で接続される状況で起こり得るが、さらに車両同士、住宅同士を接続してエネルギー連携可能に構成したグリッドシステムにおいても顕著になると考えられる。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、授受される電力量を調整できるグリッドシステム、電力授受方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るグリッドシステムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係るグリッドシステムは、第1蓄電池と第2蓄電池とが接続可能で、且つ前記第1蓄電池と前記第2蓄電池との間で電力を授受できるグリッドシステムであって、前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とのいずれか一方又は両方に関する電力状態に応じて所定の電力量あたりの電力価値を設定する電力価値設定部と、前記電力価値に基づいて、前記第1蓄電池と前記第2蓄電池との間で授受される電力量の調整を行う電力授受制御部とを備える、グリッドシステムである。
【0009】
(2):上記(1)の態様において、前記第1蓄電池は住宅に設置される住宅用蓄電池であり、前記住宅用蓄電池は前記住宅に設置された太陽光発電装置によって発電された電力を蓄電し、前記第2蓄電池は車両に設置される車両用蓄電池であり、前記車両用蓄電池は前記車両に設置された太陽光発電装置によって発電された電力を蓄電する。
【0010】
(3):上記(1)又は上記(2)の態様において、前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とのいずれか一方又は両方を有する第1需要家は、第3蓄電池を有する第2需要家との間で電力を授受することが可能であり、前記電力価値設定部は、前記第1需要家と前記第2需要家との間で電力を授受する場合に、前記第3蓄電池の電力状態に基づいて所定の電力量あたりの電力価値を設定する。
【0011】
(4):上記(1)から(3)のいずれか一項の態様において、前記グリッドシステムは、所定の地理的範囲を電気的に接続する地域内電力線を有し、前記電力価値設定部は、前記地域内電力線の電力状態に基づいて所定の電力量あたりの電力価値を設定する。
【0012】
(5):上記(1)から(4)のいずれか一項の態様において、前記第2蓄電池は車両に設置される車両用蓄電池であり、前記車両用蓄電池は前記車両に設置された太陽光発電装置によって発電された電力を蓄電し、前記電力授受制御部は、前記太陽光発電装置を有する車両を、前記太陽光発電装置を有さない他の車両よりも優先する。
【0013】
(6):上記(1)から(5)のいずれか一項の態様において、前記電力状態は、使用電力と、車両から住宅へ供給される電力である供給電力とを含み、前記電力価値設定部は、前記供給電力の電力価値を、前記使用電力の電力価値よりも高く設定する。
【0014】
(7):上記(1)から(5)のいずれか一項の態様において、前記第1蓄電池は住宅に設置される住宅用蓄電池であり、前記第2蓄電池は車両に設置される車両用蓄電池であり、前記電力価値設定部は、前記住宅に在宅しているユーザが存在しない場合に前記住宅用蓄電池の電力価値を下げ、前記車両に乗車しているユーザが存在しない場合に前記車両用蓄電池の電力価値を下げる。
【0015】
(8):上記(1)から(5)のいずれか一項の態様において、前記電力状態は、蓄電池のSOCを含み、前記電力価値設定部は、前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とのうち第1基準値よりもSOCが低い方の電力価値を、前記第1基準値よりもSOCが高い方の電力価値より高く設定する。
【0016】
(9):上記(1)から(5)のいずれか一項の態様において、前記電力状態は、蓄電池のSOCを含み、前記電力価値設定部は、前記SOCの増減に基づいて、前記電力価値を増減させる。
【0017】
(10):上記(1)から(5)のいずれか一項の態様において、前記グリッドシステムは、所定の地理的範囲を電気的に接続する第1地域内電力線を有し、前記電力状態は、前記第1地域内電力線から供給される電力である接続電力と、前記第1地域内電力線の外部から供給される電力である移動電力とを含み、電力価値設定部は、前記接続電力の電力価値を、前記移動電力の電力価値よりも高く設定する。
【0018】
(11):上記(1)から(5)のいずれか一項の態様において、前記電力状態は、所定の地理的範囲を電気的に接続する第1地域内電力線で送電される第1グリッド内電力と、前記第1地域内電力線とは異なる第2地域内電力線から前記第1地域内電力線に供給される第2グリッド内電力とを含み、電力価値設定部は、前記第1グリッド内電力の電力価値を、前記第2グリッド内電力の電力価値よりも高く設定する。
【0019】
(12):上記(1)から(5)のいずれか一項の態様において、前記電力状態は、所定の地理的範囲を電気的に接続する第1地域内電力線で送電される第1グリッド内部電力と、前記第1地域内電力線とは異なる第2地域内電力線から前記第1地域内電力線に供給される第2グリッド内部電力とを含み、電力価値設定部は、前記第1グリッド内部電力のSOCの合計が第2基準値よりも低い場合に、前記第2グリッド内部電力の電力価値を、前記第1グリッド内電力の電力価値よりも高く設定する。
【0020】
(13):上記(1)から(5)のいずれか一項の態様において、前記グリッドシステムは、所定の地理的範囲を電気的に接続する地域内電力線を有し、前記電力授受制御部は、前記地域内電力線から、使用蓄電池又は所定の基準値よりもSOCが高い前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とのいずれか一方又は両方に電力を供給する制御を行う。
【0021】
(14):上記(1)から(5)のいずれか一項の態様において、前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とのいずれか一方又は両方を有する第1需要家は、第3蓄電池を有する第2需要家との間で電力を授受することが可能であり、前記電力授受制御部は、前記第3蓄電池から、使用蓄電池又は所定の基準値よりもSOCが高い前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とのいずれか一方又は両方に電力を供給する制御を行う。
【0022】
(15):上記(1)から(5)のいずれか一項の態様において、前記電力授受制御部は、太陽光発電装置から、使用蓄電池又は所定の基準値よりもSOCが高い前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とのいずれか一方又は両方に電力を供給する制御を行う。
【0023】
この発明に係るグリッドシステムで実行される方法は、以下の構成を採用した。
(16):この発明の一態様に係るグリッドシステムで実行される電力授受方法は、第1蓄電池と第2蓄電池とが接続可能で、且つ前記第1蓄電池と前記第2蓄電池との間で電力を授受できるグリッドシステムで実行される電力授受方法であって、前記第1蓄電池と前記第2蓄電池とのいずれか一方又は両方に関する電力状態とに応じて所定の電力量あたりの電力価値を設定するステップと、前記電力価値に基づいて、前記第1蓄電池と前記第2蓄電池との間で授受される電力量の調整を行うステップとを有する、グリッドシステムで実行される電力授受方法である。
【0024】
この発明に係るコンピュータプログラムは、以下の構成を採用した。
(17):この発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、第1蓄電池と第2蓄電池とのいずれか一方又は両方に関する電力状態とに応じて所定の電力量あたりの電力価値を設定するステップと、前記電力価値に基づいて、前記第1蓄電池と前記第2蓄電池との間で授受される電力量の調整を行うステップとを実行させる、コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0025】
(1)から(17)によれば、授受される電力量を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本実施形態に係るグリッドシステムの概略構成の例1を示す図である。
【
図2】本実施形態に係るグリッドシステムに含まれる住宅と車両との一例を説明するための図である。
【
図3】本実施形態に係るグリッドシステムの動作の一例を示す図である。
【
図4A】本実施形態に係るグリッドシステムの電力価値の設定例の例1を説明するための図である。
【
図4B】本実施形態に係るグリッドシステムの電力価値の設定例の例2を説明するための図である。
【
図5】本実施形態に係るグリッドシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態に係るグリッドシステムの概略構成の例2を示す図である。
【
図7】本実施形態に係るグリッドシステムの概略構成の例3を示す図である。
【
図8】本実施形態に係るグリッドシステムの概略構成の例4を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本実施形態のグリッドシステム及びグリッドシステムで実行される方法を、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0028】
また、本願でいう「XXに基づいて」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づいて」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0029】
[実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るグリッドシステムの概略構成の例1を示す図である。
本実施形態に係るグリッドシステム1は、地域内電力線50を備える。地域内電力線50は、所定の地理的範囲を電気的に接続する。地域内電力線50は、地域内で使用可能な電力を各住宅で相互に融通するための送電線を含む。地域内電力線50には、住宅100-1から住宅100-5の各々が電力線を介して接続される。住宅100-1から住宅100-5の各々は、地域内電力線50から電力の供給を受ける。住宅100-1から住宅100-5の各々は、地域内電力線50と電力線とを介して電力線搬送通信を行う。
【0030】
系統電力は地域変圧器(図示なし)へ電力を供給する。地域変圧器は系統電力が供給した電力を、地域内電力線50での送電に適した電圧及び電流に変換する。地域内電力線50での電圧及び電流の一例は、三相3線式200V、単相2線式200V又は単相2線式100V等である。地域変圧器は、地域内電力線50での送電に適した電圧及び電流に変換した電力を、地域内電力線50へ供給する。地域内電力線50の一例は、環状方式、樹枝状方式、低圧バンキング方式又はレギュラーネットワーク方式である。本実施形態では、一例として、地域内電力線50が環状方式である場合について説明を続ける。
【0031】
住宅100-1から住宅100-5の各々は、太陽光発電装置と住宅用蓄電池とを備える。住宅用蓄電池は、太陽光発電装置が発電した電力を蓄電する。
地域内電力線50には、電気自動車(EV: Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド自動車(PHV: Plug-in Hybrid Vehicle)などの電動車両が電力線を介して接続可能に構成されている。
図1に示される例では、住宅100-1の近傍の地域内電力線50には車両200-1が電力線を介して接続され、住宅100-2の近傍の地域内電力線50には車両200-2が電力線を介して接続され、住宅100-3の近傍の地域内電力線50には車両200-3が電力線を介して接続され、住宅100-4の近傍の地域内電力線50には車両200-4が電力線を介して接続されている。
車両200-1から車両200-4の各々は、車両用蓄電池を備える。車両200-1から車両200-4のうち、車両200-1と車両200-2と車両200-4とは、太陽光発電装置を備える。車両200-1と車両200-2と車両200-4とは、太陽光発電装置が発電した電力を車両用蓄電池に蓄電する。
【0032】
車両200-1から車両200-4の各々は地域内電力線50と接続することで、住宅100-1から住宅100-5の各々との間で地域内電力線50を経由して電力を授受することと電力線搬送通信を行うこととができる。車両200-1から車両200-4の各々は、住宅100-1から住宅100-5の各々との間で電力を授受する場合に、電力の対価として電力価値を設定し、設定した電力価値を授受する。
車両200-1から車両200-4の各々同士は地域内電力線50と接続することで、地域内電力線50を経由して電力を授受することと電力線搬送通信を行うこととができる。車両200-1から車両200-4の各々同士は電力を授受する場合に、電力の対価として電力価値を設定し、設定した電力価値を授受する。
住宅100-1から住宅100-5の各々同士は、地域内電力線50を経由して電力を授受することと電力線搬送通信を行うこととができる。住宅100-1から住宅100-5の各々同士は電力を授受する場合に、電力の対価として電力価値を設定し、設定した電力価値を授受する。
【0033】
以下、住宅100-1から住宅100-5のうち任意の住宅を住宅100と記載する。車両200-1から車両200-4のうち任意の車両を車両200と記載する。住宅100と車両200とについて順次説明する。
図2は、本実施形態に係るグリッドシステムに含まれる住宅と車両との一例を説明するための図である。
【0034】
(住宅100)
住宅100は、分電盤104と、HEMS106と、住宅用蓄電池108と、電力価値設定部110と、太陽光発電装置111と、電力授受制御部112と、記憶部114と、連結部116とを備える。
分電盤104には、電力会社から供給される系統電力が、地域変圧器と地域内電力線50と電力線とを介して供給される。分電盤104は、系統電力から供給される電力を電力供給先に供給する。例えば、分電盤104には、電力供給先として、住宅100に設けられた家電機器(図示なし)、住設機器(図示なし)などが接続されている。分電盤104は、系統電力からの電力を、家電機器、住設機器などに供給する。
【0035】
分電盤104には、太陽光発電装置111と住宅用蓄電池108とが接続されている。分電盤104は、太陽光発電装置111が発電した電力を、住宅用蓄電池108に供給する。住宅用蓄電池108は、分電盤104が供給した電力を蓄電する。
分電盤104には、ケーブルを介して連結部116が接続されている。連結部116は、地域内電力線50と電力線を介して接続することが可能である。連結部116は、電力線によって地域内電力線50と接続されることにより、分電盤104と地域内電力線50とを電気的に接続するコネクタである。コネクタは、分電盤104からの電力を地域内電力線50に供給する電力線の端子を備える。コネクタは、地域内電力線50から供給される電力を分電盤104に供給するための電力線の端子を備える。また、コネクタを介して、HEMS106と、地域内電力線50に接続されている他の住宅に設置されているHEMS106及び車両200とが電力線搬送通信を行うことが可能である。
【0036】
車両200が地域内電力線50に電力線を介して接続された場合に、住宅100の住宅用蓄電池108に蓄電された電力を、分電盤104と連結部116と地域内電力線50とを経由して、車両200に供給することが可能である。
車両200が地域内電力線50に電力線を介して接続された場合に、車両200に蓄電された電力を、地域内電力線50と連結部116と分電盤104とを経由して、住宅100の住宅用蓄電池108に供給することが可能である。ここで、車両200から取り出される電力は直流であるが、車両200が備えるインバータ(図示せず)によって、単相2線式100Vで50Hz又は60Hzの交流に変換されて、地域内電力線50へ供給される。
【0037】
HEMS106の制御によって、住宅用蓄電池108は放電し、住宅用蓄電池108が放電することによって得られる電力は、分電盤104、連結部116、地域内電力線50を経由して車両200へ供給される。車両200において、車両用蓄電地は、地域内電力線50からの電力を蓄電する。
また、HEMS106の制御に従って、車両200の車両用蓄電池は放電し、車両用蓄電池が放電することによって得られる電力は、地域内電力線50、連結部116、分電盤104を経由して、住宅100へ供給される。住宅100において、住宅用蓄電池108は、分電盤104からの電力を蓄電する。
【0038】
HEMS106は、住宅用蓄電池108に蓄電されている電力を特定する情報と、車両用蓄電池の識別情報(以下「車両用蓄電池ID」という)と車両用蓄電池208に蓄電されている電力を特定する情報とを取得する。車両用蓄電池IDの一例は、MACアドレス(Media Access Control address)である。以下、車両用蓄電池IDとして、MACアドレスを適用した場合について説明を続ける。
HEMS106は、取得した住宅用蓄電池108に蓄電されている電力を特定する情報と車両用蓄電池208に蓄電されている電力を特定する情報とのいずれか一方又は両方に基づいて、住宅用蓄電池108へ充電を要求し、車両用蓄電池IDに該当する車両用蓄電池208へ放電を要求する。
又は、HEMS106は、取得した住宅用蓄電池108に蓄電されている電力を特定する情報と車両用蓄電池208に蓄電されている電力を特定する情報とのいずれか一方又は両方に基づいて、住宅用蓄電池108へ放電を要求し、車両用蓄電池IDに該当する車両用蓄電池208へ充電を要求する。
【0039】
図3は、本実施形態に係るグリッドシステムの動作の一例を示す図である。
図3において、AとBとは住宅100の住宅用蓄電池108に蓄電されている電力を示し、CとDとは車両200の車両用蓄電池のSOCを示す。住宅用蓄電池108に蓄電される電力は、下限電力と基準電力と上限電力とに基づいて管理される。ここで、下限電力、基準電力、上限電力の順に蓄電量が少ない方から多くなる。基準電力は、一定であることが好ましい。
【0040】
Aは、蓄電量が基準電力よりも多く上限電力よりも少ない場合である。この場合、HEMS106は、住宅用蓄電池108に蓄電された電力を供給するために、住宅用蓄電池108に放電を要求するとともに車両200の車両用蓄電池に充電を要求する。これによって、住宅用蓄電池108は放電し、住宅用蓄電池108が放電することによって得られる電力は、車両200へ供給される。車両200において、車両用蓄電池208は、住宅用蓄電池108から供給された電力を蓄電する。
Bは、蓄電量が基準電力よりも少なく下限電力よりも多い場合である。この場合、HEMS106は、住宅用蓄電池108に電力を蓄電するために、住宅用蓄電池108に充電を要求するとともに車両200の車両用蓄電池に放電を要求する。これによって、車両用蓄電池は放電し、車両用蓄電池が放電することによって得られる電力は、住宅100へ供給される。住宅100において、住宅用蓄電池108は、車両用蓄電池から供給された電力を蓄電する。
このように構成することによって、住宅用蓄電池108に蓄積された電力を車両200の車両用蓄電池に供給し、車両200の車両用蓄電池に供給された電力を、他の住宅用蓄電池108に供給ができるため、車両200を電力のバッファとして使用することができる。
図2に戻り説明を続ける。
【0041】
HEMS106は、連結部116と連結部116に接続されている地域内電力線50との間の電流をモニターして、連結部116と地域内電力線50とを介して車両200の車両用蓄電池が充電されているか、又は車両200の車両用蓄電池の放電により、車両200の車両用蓄電池に蓄電された電力が地域内電力線50と連結部116とを経由して分電盤104に供給され、供給された電力が住宅用蓄電池108に蓄電されているかを把握している。
HEMS106は、コンピュータを含んで構成されており、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び入出力ポートを備え、CPUとROMとRAMと入出力ポートとがアドレスバス、データバス、及び制御バス等のバスを介して互いに接続されている。
【0042】
電力価値設定部110は、所定の電力量あたりの電力価値を設定する。具体的には、電力価値設定部110は、車両200の電力価値設定部210との間で、住宅用蓄電池108と車両用蓄電池208とのいずれか一方又は両方に関する電力状態に応じて、所定の電力量あたりの電力価値を設定する。
電力価値の一例は、トークンコインである。トークンコインとは、企業または個人により、既存のブロックチェーン技術を用いて発行された独自の暗号資産(仮想通貨)である。以下、電力価値として、トークンコインを適用した場合について説明を続ける。
例えば、住宅100-1から住宅100-4では、太陽光発電装置111が発電した電力に基づいてその電力の電力価値としてトークンコインを取得できる。車両200-1と車両200-2と車両200-4とでは、太陽光発電装置211が発電した電力に基づいて、その電力の電力価値としてトークンコインを取得できる。車両200-3では、貨幣で購入するなど対価を支払うことでトークンコインを取得できる。
電力状態の一例は、車両200から住宅100に供給される電力(以下「供給電力」という)と使用される電力(以下「使用電力」という)とのいずれか一方又は両方である。使用電力は、マイクログリッドで使用される電力であってもよいし、住宅100で使用される電力であってもよい。具体的には、供給電力は車両用蓄電池208から住宅用蓄電池108に供給される電力であり、使用電力はHEMS106が使用する電力であってもよい。
【0043】
図4Aは、本実施形態に係るグリッドシステムの電力価値の設定例の例1を説明するための図である。
図4Aにおいて、横軸は外部グリッド電力と太陽光電力とを示し、縦軸は電力を示す。ここで、外部グリッド電力とは、地域内電力線50によって接続される所定の地理的範囲とは異なる地理的範囲を電気的に接続する他の地域内電力線から地域内電力線50に供給される電力である。
図4Aによれば、同じトークン(トークンコイン)に該当する電力は、外部グリッド電力の方が、太陽光電力よりも高い。換言すれば、太陽光電力の電力価値の方を、外部グリッド電力の電力価値よりも相対的に高く設定する。このように構成することによって、太陽光電力の使用を促すことができるため、外部グリッド電力と太陽光電力との共用を促すことができる。
【0044】
図4Bは、本実施形態に係るグリッドシステムの電力価値の設定例の例2を説明するための図である。
図4Bにおいて、横軸は使用電力と供給電力とを示し、縦軸は電力を示す。
図4Bによれば、同じトークン(トークンコイン)に該当する電力は、使用電力の方が、供給電力よりも高い。換言すれば、供給電力の電力価値の方を、使用電力の電力価値よりも相対的に高く設定する。このように構成することによって、住宅用蓄電池108への電力の供給を促すことができる。このため、マイクログリッドへの接続と電力供給とを促すことができる。
図4Aと
図4Bとによれば、外部グリッド電力に加えて太陽光電力を導入することによって電源の分散化とリニューアブルエネルギー化とエネルギーの地産地消とを促すことができる。
図2に戻り説明を続ける。
【0045】
電力価値設定部110は、供給電力の電力価値を、使用電力の電力価値よりも高く設定する。使用電力の需要が高まると、車両200から住宅用蓄電池108に供給電力が供給される。しかし、車両200から住宅用蓄電池108に供給される供給電力が多くなった場合に、車両用蓄電池208のSOCが低くなり、車両200を使用する場合に支障が生じることが想定される。
供給電力の電力価値を、使用電力の電力価値よりも高く設定することによって、供給電力を低減できると想定される。このため、車両用蓄電池208のSOCが低くなり、車両200を使用する場合に支障が生じることを低減できる。
【0046】
電力授受制御部112は、電力価値設定部110が設定した電力価値を特定する情報を取得する。電力授受制御部112は、取得した電力価値を特定する情報に基づいて車両200の電力授受制御部212との間で電力の授受を行う。例えば、電力授受制御部112は、授受される電力価値に該当する電力を授受する制御を行う。
具体的には、電力授受制御部112は、住宅用蓄電池108に蓄電された電力を車両200に供給する場合には、供給した電力に応じた電力価値を車両200から取得する。電力授受制御部112は、車両200の車両用蓄電池に蓄電された電力が住宅100に供給される場合には、供給された電力に応じた電力価値を車両200へ出力する。
記憶部114は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などにより実現される。
【0047】
電力価値設定部110、及び電力授受制御部112は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサが記憶部114に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。コンピュータプログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0048】
(車両200)
車両200は、管理部206と、車両用蓄電池208と、電力価値設定部210と、太陽光発電装置211と、電力授受制御部212と、記憶部214とを備える。
管理部206は、車両用蓄電池208に蓄電されている電力を特定する情報と、住宅用蓄電池108の識別情報(以下「住宅用蓄電池ID」という)と住宅用蓄電池108に蓄電されている電力を特定する情報とを取得する。住宅用蓄電池IDの一例は、MACアドレスである。以下、住宅用蓄電池IDとして、MACアドレスを適用した場合について説明を続ける。
管理部206は、取得した車両用蓄電池208に蓄電されている電力を特定する情報と住宅用蓄電池108に蓄電されている電力を特定する情報とのいずれか一方又は両方に基づいて、車両用蓄電池208へ放電を要求し、住宅用蓄電池108へ充電を要求する。
又は、管理部206は、取得した車両用蓄電池208に蓄電されている電力を特定する情報と住宅用蓄電池108に蓄電されている電力を特定する情報とのいずれか一方又は両方に基づいて、車両用蓄電池208へ充電を要求し、住宅用蓄電池108へ放電を要求する。
【0049】
管理部206は、車両用蓄電池208と地域内電力線50との間の電流をモニターして、車両用蓄電池208が充電されているか、又は車両用蓄電池208が放電されているかを把握している。
太陽光発電装置211が発電した電力は、車両用蓄電池208に供給される。車両用蓄電池208は、太陽光発電装置211が供給した電力を蓄電する。
【0050】
電力価値設定部210は、住宅100の電力価値設定部110との間で、車両用蓄電池208と住宅用蓄電池108とのいずれか一方又は両方に関する電力状態とに基づいて、所定の電力量あたりの電力価値を設定する。
電力状態の一例は、供給電力と使用電力とのいずれか一方又は両方である。電力価値設定部210は、供給電力の電力価値を、使用電力の電力価値よりも高く設定する。使用電力の需要が高まると、車両200から住宅用蓄電池108に電力(供給電力)が供給される。
しかし、車両200から住宅用蓄電池108に供給される供給電力が多くなった場合に、車両用蓄電池208のSOCが低くなり、車両200を使用する場合に支障が生じることが想定される。
【0051】
電力授受制御部212は、電力価値設定部210が設定した電力価値を特定する情報を取得する。電力授受制御部212は、取得した電力価値を特定する情報に基づいて住宅100の電力授受制御部112との間で電力の授受を行う。
具体的には、電力授受制御部212は、車両用蓄電池208に蓄電された電力を住宅100に供給する場合には、供給した電力に応じた電力価値を住宅100から取得する。電力授受制御部212は、住宅100の住宅用蓄電池108に蓄電された電力が車両200の車両用蓄電池208に供給される場合には、供給された電力に応じた電力価値を住宅100へ出力する。
記憶部214は、HDDやフラッシュメモリ、RAM、ROMなどにより実現される。
【0052】
管理部206、電力価値設定部210、及び電力授受制御部212は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサが記憶部214に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。コンピュータプログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0053】
(グリッドシステム1の動作)
図5は、本実施形態に係るグリッドシステムの動作の一例を示すフローチャートである。一例として、住宅100の住宅用蓄電池108に蓄電された電力を、車両200の車両用蓄電池208に供給する処理について説明する。
車両200において、管理部206は、車両用蓄電池208に蓄電されている電力を特定する情報と、住宅用蓄電池IDと住宅用蓄電池108に蓄電されている電力を特定する情報とを取得し、取得した車両用蓄電池208に蓄電されている電力を特定する情報と住宅用蓄電池108に蓄電されている電力を特定する情報とのいずれか一方又は両方に基づいて、車両用蓄電池208へ充電を要求し、住宅用蓄電池108へ放電を要求する場合について説明する。
(ステップS1-1)
車両200において、管理部206は、車両用蓄電池IDと放電を要求する情報とを含む、車両200のHEMS106を宛先とする電力要求を作成する。
(ステップS2-1)
車両200において、管理部206は、作成した電力要求を電力線に出力する。電力線に出力された電力要求は、地域内電力線50と連結部116と分電盤104とを経由して、HEMS106へ送信される。
【0054】
(ステップS3-1)
住宅100において、HEMS106は、車両200が送信した電力要求を取得する。HEMS106は、取得した電力要求に含まれる放電を要求する情報を取得する。HEMS106は、放電を要求する情報に基づいて、住宅用蓄電池108に蓄電されている電力を特定する情報を取得する。
HEMS106は、取得した住宅用蓄電池108に蓄電されている電力を特定する情報に基づいて、住宅用蓄電池108に基準電力以上の電力が蓄電されているか否かを判定する。HEMS106は、住宅用蓄電池108に蓄電されている電力が基準電力以上である場合には放電することによって電力を供給できると判定し、基準値未満である場合には放電できないため電力を供給できないと判定する。
(ステップS4-1)
住宅100において、HEMS106は、電力を供給できるか否かを特定する情報を含む電力応答を作成する。
(ステップS5-1)
住宅100において、HEMS106は、作成した電力応答を電力線に出力する。電力線に出力された電力応答は、分電盤104と連結部116と地域内電力線50とを経由して、車両200へ送信される。
【0055】
(ステップS6-1)
車両200において、管理部206は、住宅100が送信した電力応答を取得する。HEMS106は、電力応答に含まれる電力を供給できるか否かを特定する情報を取得する。ここでは、電力応答に電力を供給できることを特定する情報が含まれる場合について説明を続ける。ここで、電力応答に電力を供給できないことを特定する情報が含まれる場合にはステップS1-1に戻り、他の住宅を宛先とする電力要求を作成してもよい。
HEMS106は、取得した電力を供給できることを特定する情報に基づいて、住宅100から電力の供給を受ける処理を開始する。電力価値設定部210は、住宅100に電力価値を要求するための電力価値要求を作成する。
【0056】
(ステップS7-1)
車両200において、電力価値設定部210は、作成した電力価値要求を電力線へ出力する。電力線へ出力された電力価値要求は、地域内電力線50と連結部116と分電盤104とを経由して、住宅100へ送信される。
(ステップS8-1)
住宅100において、電力価値設定部110は、車両200が送信した電力価値要求を取得する。電力価値設定部110は、取得した電力価値要求に基づいて、電力価値を特定する情報を含む電力価値応答を作成する。
【0057】
(ステップS9-1)
住宅100において、電力価値設定部110は、作成した電力価値応答を電力線に出力する。電力線に出力された電力価値応答は、分電盤104と連結部116と地域内電力線50とを経由して、車両200へ送信される。
(ステップS10-1)
車両200において、電力価値設定部210は、住宅100が送信した電力価値応答を取得する。電力価値設定部210は、取得した電力価値応答に基づいて、電力の供給を受けるか否かを判定する。例えば、電力価値応答に含まれる電力価値が所定の値よりも高い場合には、電力価値設定部210は、電力の供給を受けないと判定する。ここでは、電力価値設定部210が電力の供給を受けると判定した場合について説明を続ける。ここで、電力の供給を受けないと判定した場合には、ステップS1-1に戻り、他の住宅を宛先とする電力要求を作成してもよい。電力価値設定部210は、電力の供給を受けると判定した場合に、電力価値を設定する。
【0058】
(ステップS11-1)
車両200において、電力授受制御部212は、電力価値設定部210が設定した電力価値を特定する情報を取得する。電力授受制御部212は、電力の供給を受けるか否かを特定する情報を含む、電力供給要求を作成する。
(ステップS12-1)
車両200において、電力授受制御部212は、作成した電力供給要求を電力線へ出力する。電力線へ出力された電力供給要求は、地域内電力線50と連結部116と分電盤104とを経由して、住宅100へ送信される。
【0059】
(ステップS13-1)
住宅100において、電力授受制御部112は、車両200が送信した電力供給要求を取得する。電力授受制御部112は、取得した電力供給要求に基づいて住宅用蓄電池108を放電させる。住宅用蓄電池108が放電することによって、住宅用蓄電池108に蓄電された電力は、分電盤104、連結部116、地域内電力線50を経由して、車両200の車両用蓄電池208に供給される。車両用蓄電池208は、供給された電力を蓄電する。
(ステップS14-1)
車両200において、電力授受制御部112は、電力の供給が終了した場合に、供給された電力に該当する電力価値を特定する情報を電力線に出力する。電力線へ出力された供給された電力に該当する電力価値を特定する情報は、地域内電力線50と連結部116と分電盤104とを経由して、住宅100へ送信される。
住宅100において、電力授受制御部112は、車両200が送信した供給された電力に該当する電力価値を特定する情報を取得する。
【0060】
図5に示すフローチャートにおいて、住宅100に電力要求を送信した車両が複数の場合には、電力授受制御部112は、複数の車両の各々が太陽光発電装置を備えているか否かに基づいて、住宅用蓄電池108が放電することによって得られる電力を供給する車両を決定してもよい。この場合、車両200は、電力要求に、太陽光発電装置を備えているか否かを特定する情報を含める。
具体的には、電力授受制御部112は、太陽光発電装置を備えていない車両より、太陽光発電装置を備えている車両を優先してもよい。太陽光発電装置を備えている車両は、太陽光発電装置を備えていない車両よりSOCを低くなりにくくしてもよい。ここで、SOCが一定未満になることを防止するために電力の持ち出しを禁止するための持ち出し禁止閾値を設定し、持ち出し禁止閾値未満にならないように制御してもよい。SOCが同じである場合に、太陽光発電装置を備えている車両は、太陽光発電装置を備えていない車両より優先して充電されるようにしてもよい。このように構成することによって、住宅100に電力要求を送信した車両が複数の場合に太陽光発電装置を備えている車両に優先的に電力を使用する権利を与えることができるため、車両200に太陽光発電装置を備えることを促すことができる。
図5では、一例として、車両用蓄電池208へ充電を要求し、住宅用蓄電池108へ放電を要求する場合について説明したが、車両用蓄電池208へ放電を要求し、住宅用蓄電池108へ充電を要求する場合についても適用できる。
【0061】
前述した実施形態では、住宅100と車両200との間が電力線で接続され、電力線で電力線搬送通信を行う場合について説明したが、この例に限られない。例えば、住宅100と車両200との間で情報線を用いて通信が行われてもよいし、無線通信が行われてもよい。
前述した実施形態では、電力状態の一例として、供給電力と使用電力とを使用した場合について説明したが、この例に限られない。
例えば、第1需要家が、住宅100-1の住宅用蓄電池108と車両200-1の車両用蓄電池208とのいずれか一方又は両方を有し、第2需要家が、住宅100-2の住宅用蓄電池108と車両200-2の車両用蓄電池208とのいずれか一方又は両方を有する場合に、第1需要家と第2需要家との間で電力を授受するようにしてもよい。
第1需要家と第2需要家との間で電力を授受する場合に、電力価値設定部110と電力価値設定部210とのいずれか一方又は両方は、住宅100-2の住宅用蓄電池108と車両200-2の車両用蓄電池208とのいずれか一方又は両方に関する電力状態に基づいて所定の電力量あたりの電力価値を設定するようにしてもよい。このように構成することによって、住宅100-2の住宅用蓄電池108と車両200-2の車両用蓄電池208とのいずれか一方又は両方に関する電力状態に基づいて所定の電力量あたりの電力価値を設定できる。
【0062】
例えば、電力状態の一例として、地域内電力線50の電力状態を適用してもよい。この場合、電力価値設定部110と電力価値設定部210とは、地域内電力線50の電力状態に基づいて、電力価値を設定してもよい。
具体的には、電力価値設定部110と電力価値設定部210とは、地域内電力線50の使用状態に基づいて、使用率が高いときには、使用率が低い場合よりも、電力価値を高くするようにしてもよい。このように構成することによって、地域内電力線50の使用率が高い場合に、住宅100と車両200との間での電力の授受を低減できるため、地域内電力線50の使用率がさらに高くなることを低減できる。
【0063】
また、例えば、電力特性の一例として、住宅用蓄電池108と車両用蓄電池208とのいずれか一方又は両方のSOCを適用してもよい。電力価値設定部110と電力価値設定部210とは、住宅用蓄電池108と車両用蓄電池208とのうち第1基準値よりもSOCが低い方の電力価値を、第1基準値よりもSOCが高い方の電力価値よりも高く設定する。このように構成することによって、住宅用蓄電池108と車両用蓄電池208とのうちSOCが低い方が放電されることを低減できるため、SOCが低い方がさらに放電されることによって、使用に支障がでることを低減できる。
【0064】
また、住宅用蓄電池108と車両用蓄電池208とのうち第1基準値よりもSOCが低い方の電力価値を、第1基準値よりもSOCが高い方の電力価値又は供給電力の電力価値よりも高く設定した場合に、電力授受制御部112と電力授受制御部112とは、グリッドシステム1において、地域内電力線50からマイクログリッドで使用される蓄電池である使用蓄電池又は所定の基準値よりもSOCが高い住宅用蓄電池108と車両用蓄電池208とのいずれか一方又は両方に電力を供給する制御を行うようにしてもよい。
このように構成することによって、住宅用蓄電池108と車両用蓄電池208とのうち第1基準値よりもSOCが低い方の電力価値を、第1基準値よりもSOCが高い方の電力価値よりも高く設定することによって生じるおそれがある電力不足を補うことができる。
【0065】
また、住宅用蓄電池108と車両用蓄電池208とのうち第1基準値よりもSOCが低い方の電力価値を、第1基準値よりもSOCが高い方の電力価値又は供給電力の電力価値よりも高く設定した場合に、住宅100-1の住宅用蓄電池108又は車両200-1の車両用蓄電池208を有する第1需要家と、住宅100-2の住宅用蓄電池108又は車両200-2の車両用蓄電池208を有する第2需要家との間で電力を授受するようにしてもよい。
この場合、電力授受制御部112と電力授受制御部212とは、住宅100-2の住宅用蓄電池108と車両200-2の車両用蓄電池208とのいずれか一方又は両方から住宅用蓄電池108又は所定の基準値よりもSOCが高い住宅用蓄電池108と車両用蓄電池208とのいずれか一方又は両方に電力を供給する制御を行うようにしてもよい。このように構成することによって、住宅用蓄電池108と車両用蓄電池208とのうち第1基準値よりもSOCが低い方の電力価値を、第1基準値よりもSOCが高い方の電力価値よりも高く設定することによって生じるおそれがある電力不足を補うことができる。
【0066】
また、住宅用蓄電池108と車両用蓄電池208とのうち第1基準値よりもSOCが低い方の電力価値を、第1基準値よりもSOCが高い方の電力価値よりも高く設定した場合に、電力授受制御部112と電力授受制御部212とは、太陽光発電装置111と太陽光発電装置211とのいずれか一方又は両方から住宅用蓄電池108又は所定の基準値よりもSOCが高い住宅用蓄電池108と車両用蓄電池208とのいずれか一方又は両方に電力を供給する制御を行うようにしてもよい。
このように構成することによって、住宅用蓄電池108と車両用蓄電池208とのうち第1基準値よりもSOCが低い方の電力価値を、第1基準値よりもSOCが高い方の電力価値よりも高く設定することによって生じるおそれがある電力不足を補うことができる。
また、電力価値設定部110は、住宅用蓄電池108のSOCの増減に基づいて、住宅用蓄電池108の電力価値を増減させてもよい。具体的には、電力価値設定部110は、住宅用蓄電池108のSOCが増加した場合に住宅用蓄電池108の電力価値を減少させ、住宅用蓄電池108のSOCが減少した場合には住宅用蓄電池108の電力価値を増加させてもよい。
【0067】
また、電力価値設定部210は、車両用蓄電池208のSOCの増減に基づいて、車両用蓄電池208の電力価値を増減させてもよい。具体的には、電力価値設定部210は、車両用蓄電池208のSOCが増加した場合に車両用蓄電池208の電力価値を減少させ、車両用蓄電池208のSOCが減少した場合には車両用蓄電池208の電力価値を増加させてもよい。
また、電力価値設定部110と電力価値設定部210は、住宅100にユーザが在宅であるか否かに基づいて、住宅用蓄電池108のSOCを増加させる必要があるか否かを判定し、判定結果に基づいて電力価値を設定してもよい。具体的には、電力価値設定部110と電力価値設定部210とは、住宅100に在宅しているユーザが存在しない場合には、住宅用蓄電池108のSOCを増加させる必要がないと判定し、住宅用蓄電池108の電力価値を下げてもよい。電力価値設定部110と電力価値設定部210とは、住宅100に在宅しているユーザが存在する場合には、住宅用蓄電池108のSOCを増加させる必要があると判定し、住宅用蓄電池108の電力価値を上げてもよい。
また、電力価値設定部110と電力価値設定部210は、車両200にユーザが乗車しているか否かに基づいて、車両用蓄電池208のSOCを増加させる必要があるか否かを判定し、判定結果に基づいて電力価値を設定してもよい。具体的には、電力価値設定部110と電力価値設定部210とは、車両200に乗車しているユーザが存在しない場合には、車両用蓄電池208のSOCを増加させる必要がないと判定し、車両用蓄電池208の電力価値を下げてもよい。電力価値設定部110と電力価値設定部210とは、車両200に乗車しているユーザが存在する場合には、車両用蓄電池208のSOCを増加させる必要があると判定し、車両用蓄電池208の電力価値を上げてもよい。
【0068】
前述した実施形態では、車両200の車両用蓄電池208がケーブルを介して電力の供給を受ける場合について説明したが、この例に限られない。例えば、地域内電力線50と車両200とを非接触で電気的に接続して住宅100から電力供給し、車両用蓄電池208に充電を行うようにしてもよい。
【0069】
具体的には、駐車スペース等にコイルを備えた送電受電回路を備え、送電受電回路は地域内電力線50を介して分電盤104と接続されている。車両200はコイルを備えた送電受電回路を備え、送電受電回路は車両用蓄電池208と接続されている。
車両用蓄電池208を充電する際には、駐車スペース側の送電受電回路へ分電盤104から電力を供給してコイルに通電することにより、電磁誘導作用により車両側のコイルへ電力を供給して送電受電回路を介して車両用蓄電池208を充電する。
また、車両用蓄電池208から電力を供給する際には、車両用蓄電池208の電力を用いて車両側のコイルに通電することにより、電磁誘導作用により駐車スペース側のコイルへ電力を供給して送電受電回路を介して分電盤104へ電力を供給する。
【0070】
前述した実施形態では、地域内電力線50に接続された住宅100-1から住宅100-4との各々と車両200-1から車両200-4との各々との間で電力の授受が行われる場合について説明したが、この例に限られない。
例えば、車両200は、地域内電力線50の内部で使うために外部グリッド電力を取得し、取得した外部グリッド電力を地域内電力線50に供給してもよい。この場合、外部グリッド電力の電力価値を、地域内電力線50の内部の電力の電力価値よりも低く設定するようにしてもよい。このように構成することによって、電力価値が低い外部グリッド電力の使用が促進されることが想定されるため、外部グリッド電力の流通を促すことができる。
【0071】
図6は、本実施形態に係るグリッドシステムの概略構成の例2を示す図である。住宅100-1から住宅100-4の各々は、第1地域内電力線50-1と接続され、第1地域内電力線50-1から電力の供給を受ける。住宅100-1の近傍の第1地域内電力線50-1には車両200-1が接続され、住宅100-2の近傍の第1地域内電力線50-1には車両200-2が接続され、住宅100-3の近傍の第1地域内電力線50-1には車両200-3が接続され、住宅100-4の近傍の第1地域内電力線50-1には車両200-4が接続されている。
【0072】
車両200-1から車両200-4のうち車両200-3は、第1地域内電力線50-1に加え第2地域内電力線50-2と接続されている。車両200-3は、第2地域内電力線50-2から供給される外部グリッド電力を車両用蓄電池208に蓄電する。車両200-3は、車両用蓄電池208に蓄電した電力を第1地域内電力線50-1に供給できる。車両200-3によって第1地域内電力線50-1に供給された電力は、第1地域内電力線50-1に接続されている住宅100-1から住宅100-4と車両200-1と車両200-2と車両200-4とのいずれかに供給できる。
換言すれば、車両200-3は、第1地域内電力線50-1と第2地域内電力線50-2との間で、電力を中継する。車両200-3は、車両用蓄電池208に蓄電されている外部グリッド電力を第1地域内電力線50-1に供給する場合に、外部グリッド電力の電力価値を、第1地域内電力線50-1の電力価値よりも低く設定する。
【0073】
具体的には、車両200-3において、電力価値設定部110は、電力状態に応じて所定の電力量あたりの電力価値を設定する場合に、電力状態の一例として、第1地域内電力線50-1で送電される電力(以下「グリッド内部電力」という)と第1地域内電力線50-1とは異なる第2地域内電力線50-2から第1地域内電力線50-1に供給される電力(以下「グリッド外部電力」)とのいずれか一方又は両方を使用する。ここでは、電力状態の一例として、グリッド内部電力とグリッド外部電力とを使用する場合について説明を続ける。グリッド外部電力は、車両200-3などの中継装置を介して第2地域内電力線50-2から第1地域内電力線50-1に供給される。
電力価値設定部110と電力価値設定部210とは、グリッド外部電力の電力価値を、グリッド内部電力の電力価値よりも低く設定する。換言すれば、電力価値設定部110と電力価値設定部210とは、グリッド内部電力の電力価値を、グリッド外部電力の電力価値よりも高く設定する。このように構成することによって、グリッド内部電力の需要が高まった場合に、グリッド外部電力の流通を促進できる。
【0074】
また、例えば、車両200-3において、電力価値設定部110は、第1地域内電力線50-1に接続されている住宅100-1から住宅100-4と車両200-1から車両200-4との各々が蓄電している電力のSOCの合計を導出する。電力価値設定部110と電力価値設定部210とは、導出したSOCの合計が所定の基準値(第2基準値)よりも低い場合には、グリッド外部電力の電力価値を、グリッド内部電力の電力価値よりも高く設定する。
このように構成することによって、グリッド外部電力の電力価値がグリッド内部電力の電力価値よりも低く設定された場合と比較して、第1地域内電力線50-1の内部のSOCが低く、且つ需要が高い場合であっても、グリッド外部電力が単にSOCが少ないところにパスされてしまうことを低減できる。このため、外部グリッドの電力を単にSOCが少ないところにパスすることによって生じるおそれがある電力の不足を低減できる。
【0075】
前述した実施形態において、車両200を使用して電力を移送するようにしてもよい。
図7は、本実施形態に係るグリッドシステムの概略構成の例3を示す図である。
図7には、第1地域内電力線50-1と、第2地域内電力線50-2と、第3地域内電力線50-3とが示されている。
車両200aは、前述した車両200を適用できる。第1地域内電力線50-1と接続されている車両200aは第1地域内電力線50-1を介して電力を供給され、供給された電力は車両用蓄電池208に蓄電される。その後、車両200aは移動して、第3地域内電力線50-3と接続し、第3地域内電力線50-3に電力を供給する。このように構成することによって、車両200aを使用して、第1地域内電力線50-1によって接続される所定の地理的範囲から第3地域内電力線50-3によって接続される所定の地理的範囲へ、電力を移送できる。
【0076】
さらに、車両200bは、前述した車両200を適用できる。第2地域内電力線50-2と接続されている車両200bは第2地域内電力線50-2を介して電力を供給され、供給された電力は車両用蓄電池208に蓄電される。その後、車両200bは移動して、第3地域内電力線50-3と接続し、第3地域内電力線50-3に電力を供給する。このように構成することによって、車両200bを使用して、第2地域内電力線50-2によって接続される所定の地理的範囲から第3地域内電力線50-3によって接続される所定の地理的範囲へ、電力を移送できる。
第3地域内電力線50-3によって接続される所定の地理的範囲では、車両200aを使用して移送された電力と車両200bを使用して移送された電力との供給を受けることができる。
【0077】
前述した実施形態において、車両200を使用して地域内電力線50に移送された電力(以下「移動電力」という)と、地域内電力線50に接続されている車両200(図示なし)に蓄電されている電力(以下「接続電力」という)とがある場合に、電力特性の一例として、移動電力と接続電力とのいずれか一項又は両方を適用してもよい。
図8は、本実施形態に係るグリッドシステムの概略構成の例4を示す図である。
図8には、第1地域内電力線50-1と、第2地域内電力線50-2とが示されている。第1地域内電力線50-1には、住宅100-1から住宅100-4が電力線を介して接続されている。第2地域内電力線50-2には、車両200-1が電力線を介して接続されている。
【0078】
仮に、車両200-1が、第1地域内電力線50-1を介して電力を供給され、供給された電力は車両用蓄電池208に蓄電され、その後、移動して、第2地域内電力線50-2によって接続される所定の地理的範囲へ移動した。この場合、車両200-1は、第2地域内電力線50-2と接続することによって、第2地域内電力線50-2へ電力を供給できる。ここで、電力特性の一例として、移動電力と接続電力とのいずれか一方又は両方を適用してもよい。例えば、電力価値設定部110は、接続電力の電力価値を、移動電力の電力価値よりも高く設定してもよい。このように構成することによって、第2地域内電力線50-2で電力の需要が高まった場合に、移動電力の流通を促進できる。
【0079】
本実施形態に係るグリッドシステム1によれば、グリッドシステム1は、住宅用蓄電池108としての第1蓄電池と車両用蓄電池208としての第2蓄電池とが接続可能で、且つ第1蓄電池と第2蓄電池との間で電力を授受できる。グリッドシステム1は、第1蓄電池と2蓄電池とのいずれか一方又は両方に関する電力状態に応じて所定の電力量あたりの電力価値を設定する電力価値設定部(110、210)と、電力価値に基づいて、第1蓄電池と第2蓄電池との間で授受される電力量の調整を行う電力授受制御部(112、212)とを備える。
このように構成することによって、電力の価値を調整できるため、第1蓄電池と第2蓄電池との間で授受される電力量を調整できる。第1蓄電池と第2蓄電池との間で授受される電力量を調整できるため、車両用蓄電池208を備える車両200において、電力の流動性を上げ、ローカルで低価格な電力供給網を成立させることができる。
【0080】
また、第1蓄電池は住宅に設置される住宅用蓄電池であり、住宅用蓄電池は住宅に設置された太陽光発電装置によって発電された電力を蓄電し、第2蓄電池は車両に設置される車両用蓄電池であり、車両用蓄電池は前記車両に設置された太陽光発電装置によって発電された電力を蓄電する。このように構成することによって、住宅用蓄電池と車両用蓄電池との間で授受される電力量を調整できるため、車両用蓄電池208を備える車両200において、電力の流動性を上げ、ローカルで低価格な電力供給網を成立させることができる。
【0081】
また、第1蓄電池と前記第2蓄電池とのいずれか一方又は両方を有する第1需要家は、第3蓄電池を有する第2需要家との間で電力を授受することが可能であり、前記電力価値設定部は、前記第1需要家と前記第2需要家との間で電力を授受する場合に、前記第3蓄電池の電力状態に基づいて所定の電力量あたりの電力価値を設定する。このように構成することによって、第3蓄電池の電力状態に基づいて所定の電力量あたりの電力価値を設定できる。
【0082】
また、グリッドシステム1は、所定の地理的範囲を電気的に接続する地域内電力線50を有する。電力価値設定部は、地域内電力線50の電力状態に基づいて所定の電力量あたりの電力価値を設定する。このように構成することによって、地域内電力線50の使用率が高い場合に、住宅100と車両200との間での電力の授受を低減できるため、地域内電力線50の使用率がさらに高くなることを低減できる。
【0083】
また、第2蓄電池は車両に設置される車両用蓄電池であり、車両用蓄電池は車両に設置された太陽光発電装置によって発電された電力を蓄電する。電力授受制御部は、太陽光発電装置を有する車両を、太陽光発電装置を有さない他の車両よりも優先する。このように構成することによって、太陽光発電装置を備えている車両に優先的に電力を使用する権利を与えることができるため、車両に太陽光発電装置を搭載することを促すことができる。
【0084】
また、電力状態は、使用電力と、車両200から住宅100へ供給される電力である供給電力とを含む。電力価値設定部は、供給電力の電力価値を、使用電力の電力価値よりも高く設定する。このように構成することによって、車両200から住宅100への電力の供給を促すことができる。このため、マイクログリッドへの接続と電力供給とを促すことができる。
【0085】
また、第1蓄電池は住宅100に設置される住宅用蓄電池108であり、第2蓄電池は車両200に設置される車両用蓄電池208であり、電力価値設定部は、住宅100に在宅しているユーザが存在しない場合に住宅用蓄電池108の電力価値を下げ、車両200に乗車しているユーザが存在しない場合に車両用蓄電池208の電力価値を下げる。このように構成することによって、ユーザが存在するか否かに基づいて電力価値を設定できる。
【0086】
また、電力状態は、蓄電池のSOCを含む。電力価値設定部は、第1蓄電池と第2蓄電池とのうち第1基準値よりもSOCが低い方の電力価値を、第1基準値よりもSOCが高い方の電力価値より高く設定する。このように構成することによって、SOCが低い蓄電池が放電されることを低減できるため、SOCが低い蓄電池がさらに放電されることによって、使用に支障がでることを低減できる。
【0087】
また、前記電力状態は、蓄電池のSOCを含み、電力価値設定部は、SOCの増減に基づいて、電力価値を増減させる。このように構成することによって、蓄電池のSOCに基づいて電力価値を設定できる。
【0088】
また、グリッドシステム1は、所定の地理的範囲を電気的に接続する第1地域内電力線50-1を有する。電力状態は、第1地域内電力線50-1から供給される電力である接続電力と、第1地域内電力線50-1の外部から供給される電力である移動電力とを含む。電力価値設定部は、接続電力の電力価値を、移動電力の電力価値よりも高く設定する。このように構成することによって、第1地域内電力線50-1で電力の需要が高まった場合に、移動電力の流通を促進できる。
【0089】
また、電力状態は、所定の地理的範囲を電気的に接続する第1地域内電力線50-1で送電される第1グリッド内電力と、第1地域内電力線50-1とは異なる第2地域内電力線50-2から第1地域内電力線50-1に供給される第2グリッド内電力とを含む。電力価値設定部は、第1グリッド内電力の電力価値を、第2グリッド内電力の電力価値よりも高く設定する。このように構成することによって、グリッド内部電力の需要が高まった場合に、グリッド外部電力の流通を促進できる。
【0090】
また、電力状態は、所定の地理的範囲を電気的に接続する第1地域内電力線で送電される第1グリッド内部電力と、第1地域内電力線とは異なる第2地域内電力線から第1地域内電力線に供給される第2グリッド内部電力とを含む。電力価値設定部は、第1グリッド内部電力のSOCの合計が第2基準値よりも低い場合に、第2グリッド内部電力の電力価値を、第1グリッド内電力の電力価値よりも高く設定する。
このように構成することによって、第1グリッド内部電力の需要が高まった場合に、第2グリッド内電力の流通を促進できる。
【0091】
また、グリッドシステム1は、所定の地理的範囲を電気的に接続する地域内電力線50を有する。電力授受制御部は、地域内電力線50から、使用蓄電池又は所定の基準値よりもSOCが高い住宅用蓄電池108と車両用蓄電池208とのいずれか一方又は両方に電力を供給する制御を行う。このように構成することによって、住宅用蓄電池108と車両用蓄電池208とのうち所定の基準値よりもSOCが低い方の電力価値を、所定の基準値よりもSOCが高い方の電力価値よりも高く設定することによって生じるおそれがある電力不足を補うことができる。
【0092】
また、第1蓄電池と第2蓄電池とのいずれか一方又は両方を有する第1需要家は、第3蓄電池を有する第2需要家との間で電力を授受することを可能とする。電力授受制御部は、第3蓄電池から、使用蓄電池又は所定の基準値よりもSOCが高い第1蓄電池と第2蓄電池とのいずれか一項又は両方に電力を供給する制御を行う。このように構成することによって、住宅用蓄電池108と車両用蓄電池208とのうち所定の基準値よりもSOCが低い方の電力価値を、所定の基準値よりもSOCが高い方の電力価値よりも高く設定することによって生じるおそれがある電力不足を補うことができる。
【0093】
また、電力授受制御部は、太陽光発電装置から、使用蓄電池又は所定の基準値よりもSOCが高い第1蓄電池と第2蓄電池とのいずれか一方又は両方に電力を供給する制御を行う。
このように構成することによって、住宅用蓄電池108と車両用蓄電池208とのうち所定の基準値よりもSOCが低い方の電力価値を、所定の基準値よりもSOCが高い方の電力価値よりも高く設定することによって生じるおそれがある電力不足を補うことができる。
【0094】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0095】
1…グリッドシステム
50…地域内電力線
50-1…第1地域内電力線
50-2…第2地域内電力線
50-3…第3地域内電力線
100-1、100-2、100-3、100-4、100…住宅
104…分電盤
106…HEMS
108…住宅用蓄電池
110…電力価値設定部
111…太陽光発電装置
112…電力授受制御部
114…記憶部
116…連結部
200-1、200-2、200-3、200-4、200…車両
206…管理部
208…車両用蓄電池
210…電力価値設定部
211…太陽光発電装置
212…電力授受制御部
214…記憶部