(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156617
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】音響装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/00 20060101AFI20221006BHJP
H04R 5/027 20060101ALI20221006BHJP
H04R 1/10 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H04R1/00 328Z
H04R1/00 318Z
H04R5/027 A
H04R1/10 104A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060404
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】520090756
【氏名又は名称】クレプシードラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100198845
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 善喬
(72)【発明者】
【氏名】今 誉
(72)【発明者】
【氏名】前野 悠
【テーマコード(参考)】
5D005
5D011
5D017
【Fターム(参考)】
5D005BE01
5D011AB15
5D017AC16
5D017BB16
(57)【要約】
【課題】耳に適切に装着可能な音響装置を提供する。
【解決手段】ユーザに装着可能な音響装置であって、前記音響装置がユーザに装着された状態において、前記耳介の前面から前記耳介の背面にかけて前記耳輪又は前記耳垂の少なくともいずれかの外側を通過するように湾曲する湾曲部分を有し、前記耳介の前面側と背面側とから前記耳介を挟持するフレームと、前記フレームのうち耳甲介腔の前面側の位置に設けられるマイクと、を備える音響装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに装着可能な音響装置であって、
前記音響装置がユーザに装着された状態において、耳介の前面から前記耳介の背面にかけて耳輪又は耳垂の少なくともいずれかの外側を通過するように湾曲する湾曲部分を有し、前記耳介の前面側と背面側とから前記耳介を挟持するフレームと、
前記フレームのうち耳甲介腔の前面側の位置に設けられるマイクと、
を備える音響装置。
【請求項2】
前記マイクは、前記耳甲介腔への方向の反対方向向きに配置される、
請求項1に記載の音響装置。
【請求項3】
前記マイクは、着脱可能に設けられる、
請求項1又は2に記載の音響装置。
【請求項4】
前記音響装置は、スピーカをさらに備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項5】
前記スピーカは、前記音響装置がユーザの前記耳介に装着された状態において、前記フレームのうち前記耳介の前面側の位置に設けられる、
請求項4に記載の音響装置。
【請求項6】
前記スピーカは、着脱可能に設けられる、
請求項4又は5に記載の音響装置。
【請求項7】
前記フレームは、弾性体により形成され、前記湾曲部分の前記湾曲が広がる方向に変形された場合に生じる復元力により前記耳介を挟持する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項8】
前記フレームは、前記湾曲部分の内側のうち、前記耳介の前面側の端部付近の領域と、前記耳介の背面側の端部付近の領域とにより、前記耳甲介腔を挟持する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の音響装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バイノーラル録音が注目されている。バイノーラル録音とは、人の両耳の鼓膜に伝わる音を録音する技術である。バイノーラル録音には、鼓膜付近に配置されたマイクが使用される。バイノーラル録音された音を、イヤホン又はヘッドホン等により再生することで、あたかもその場に居合わせたかのような臨場感のある音を再現することができる。
【0003】
例えば、下記特許文献1においては、イヤーピースを外耳道に挿入することで耳に保持されるイヤホンの外側に設けられた、ノイズキャンセル用のマイクを使用したバイノーラル録音装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1等に開示された装置では、種々の不都合があった。例えば、外耳道が塞がれてしまうため、ユーザは周囲の音を鮮明に聞くことが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、耳に適切に装着可能な音響装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ユーザに装着可能な音響装置であって、前記音響装置がユーザに装着された状態において、耳介の前面から前記耳介の背面にかけて耳輪又は耳垂の少なくともいずれかの外側を通過するように湾曲する湾曲部分を有し、前記耳介の前面側と背面側とから前記耳介を挟持するフレームと、前記フレームのうち耳甲介腔の前面側の位置に設けられるマイクと、を備える音響装置が提供される。
【0008】
前記マイクは、前記耳甲介腔への方向の反対方向向きに配置されてもよい。
【0009】
前記マイクは、着脱可能に設けられてもよい。
【0010】
前記音響装置は、スピーカをさらに備えてもよい。
【0011】
前記スピーカは、前記音響装置がユーザの前記耳介に装着された状態において、前記フレームのうち前記耳介の前面側の位置に設けられてもよい。
【0012】
前記スピーカは、着脱可能に設けられてもよい。
【0013】
前記フレームは、弾性体により形成され、前記湾曲部分の前記湾曲が広がる方向に変形された場合に生じる復元力により前記耳介を挟持してもよい。
【0014】
前記フレームは、前記湾曲部分の内側のうち、前記耳介の前面側の端部付近の領域と、前記耳介の背面側の端部付近の領域とにより、前記耳甲介腔を挟持してもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、耳に適切に装着可能な音響装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係る音響装置がユーザの左耳に装着された様子を前方から見た図である。
【
図2】本実施形態に係る音響装置がユーザの左耳に装着された様子を側方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
<1.技術的課題>
バイノーラル録音されたコンテンツを再生することは、バイノーラル再生とも称される。コンテンツの臨場感を向上させるためには、鼓膜との相対的な位置が固定されたマイク及びスピーカを使用して、事前の計測及びバイノーラル再生を行うことが望ましい。事前の計測では、スピーカから出力した音をマイクにより録音することで、デバイス特性とユーザの耳介特性とが計測される。バイノーラル再生では、バイノーラル録音されたコンテンツが、事前に計測されたデバイス特性の逆特性と耳介特性の逆特性とに基づくデジタルフィルタを適用した上で再生される。
【0019】
上記特許文献1には、イヤーピースを外耳道に挿入することで耳に保持される、外耳道挿入型の装置であって、スピーカ及びマイクを有する装置が開示されている。しかしながら、このような従来開発されてきたバイノーラル録音用の装置には、種々の不都合があった。
【0020】
第1に、外耳道挿入型の装置を装着すると、外耳道が塞がれてしまうためユーザは周囲の音を鮮明に聞くことが困難であった。
【0021】
第2に、外耳道の径には個人差があるため、ユーザによっては外耳道挿入型の装置を適切に装着することが困難な場合があった。
【0022】
第3に、外耳道挿入型の装置は、イヤーピースの保持力が弱く、外れやすかった。とりわけ、外耳道挿入型の装置はユーザの動きに弱い。具体的には、ユーザがあくびをしたり顎又は頭に力を入れたりすると、側頭筋又は咬筋が動いて外耳道の径が広がってしまい、イヤーピースの保持力が弱くなってしまう。他にも、ユーザが周囲の音を聴取可能にするためにイヤーピースを中空構造にすることも考えられるが、その場合はイヤーピースの保持力がさらに弱くなってしまう。
【0023】
第4に、デバイス特性と耳介特性とを適切に計測することが困難であった。例えば、外耳道挿入型の装置では、外耳道が塞がれる上に、耳から大きく外側に飛び出た位置にマイクが配置される場合が多いため、耳介特性を適切に計測することが困難である。そもそも、イヤーピースにより外耳道が密閉されるので、スピーカ(即ち、イヤホンドライバ)からの出力音をマイクにより録音することが困難であるから、耳介特性を計測することが困難であった。他に、外耳道挿入型の装置にマイクのみを設け、外耳道挿入型の装置を覆うようにヘッドホンを装着することで、ヘッドホンからの出力音をマイクにより録音し、耳介特性を計測する手法が考えらえる。しかし、かかる手法では、外耳道挿入型のマイクの装着具合とヘッドホンの装着具合によって、ヘッドホン、マイク、及びユーザの鼓膜の相対的な位置が変わってしまう。そのため、計測した耳介特性を利用してバイノーラル再生しても臨場感を十分に向上させることが困難であった。
【0024】
第5に、マイクは特性が劣化しやすく、粉塵及び水分に弱いにも関わらず、マイクの交換が困難であった。そのため、マイクが劣化した場合には装置全体の交換が求められる場合があった。例えば、スピーカはマイクよりも劣化しにくいにも関わらず、マイクが劣化すれば、スピーカも含めて装置全体の交換が求められていた。
【0025】
第6に、バイノーラル再生を、必要最小限の装置構成で行うことが困難であった。
【0026】
第7に、バイノーラル録音を、必要最小限の装置構成で行うことが困難であった。
【0027】
そこで、本実施形態では、上記説明した第1~第7の技術的課題を解決することが可能な音響装置を提供する。
【0028】
<2.構成例>
図1は、本実施形態に係る音響装置1がユーザの左耳に装着された様子を前方から見た図である。
図2は、本実施形態に係る音響装置1がユーザの左耳に装着された様子を側方から見た図である。
図1及び
図2に示すように、音響装置1は、ユーザに装着可能である。なお、
図1及び
図2では、音響装置1がユーザの左耳に装着された様子が示されているが、右耳用の音響装置1は、これと左右対称に構成される。
図1及び
図2に示すように、音響装置1は、フレーム10、マイク20、及びスピーカ30を有する。
図3は、本実施形態に係るフレーム10の斜視図である。
図4は、本実施形態に係るフレーム10の上面図である。
【0029】
フレーム10は、音響装置1をユーザの耳介40に保持する部材である。フレーム10は、マイク20及びスピーカ30を格納可能であり、マイク20、スピーカ30、及びユーザの鼓膜の相対的な位置を固定することができる。
【0030】
図1~
図4に示すように、フレーム10は、音響装置1がユーザに装着された状態において、耳介40の前面から耳介40の背面にかけて耳輪41又は耳垂42の少なくともいずれかの外側を通過するように湾曲する湾曲部分11を有している。そして、フレーム10は、耳介40の前面と耳介40の背面とから耳介40を挟持する。フレーム10は、音響装置1を耳介40に保持するために、耳介40の任意の場所を挟持すればよい。例えば、湾曲部分11の内側11aのうち、耳介40の前面側の端部11b付近の領域11abと、耳介40の背面側の端部11c付近の領域11acとは、耳甲介腔43を表裏で挟み込むように耳介40に当接していてもよい。その場合、フレーム10は、領域11abと領域11acとにより、耳甲介腔43を挟持する。この場合、フレーム10の領域11abが耳甲介腔43に引っ掛かった状態で音響装置1が耳介40に保持されて、音響装置1の重みが耳甲介腔43により支持されることとなる。かかる構成によれば、音響装置1を耳介40に強固に保持することが可能となる。
【0031】
また、かかる構成によれば、上記第1~第3の技術的課題が解決される。詳しくは、音響装置1は、ユーザに装着された状態で、外耳道44を塞がないようにすることができる。よって、ユーザは、音響装置1を装着しまま、周囲の音を鮮明に聞くことが可能となる。また、音響装置1は、外耳道44に挿入されないので、外耳道44の径に個人差があったとしても、好適にユーザに装着可能である。また、耳介40の形状はユーザの動きに応じて変化しにくいので、ユーザが動いても外れにくい。
【0032】
湾曲部分11は、音響装置1がユーザに装着された状態において、耳輪41の外側を通過することが望ましい。湾曲部分11が耳輪41の外側を通過する場合、湾曲部分11の内側11aは、耳介40のうち比較的硬く凸凹する部分に接触することとなる。そのため、かかる接触部分において、音響装置1を耳介40により強固に保持することが可能となる。
【0033】
フレーム10は、シリコン樹脂等の弾性体により形成される。そして、フレーム10は、湾曲部分11の湾曲が広がる方向に変形された場合に生じる復元力により耳介40を挟持する。フレーム10は、形状が可変であり形状を記憶するワイヤ等の弾性がより高い部材の表面をシリコン樹脂などでコーティングして構成されてもよい。その場合、変形に対する復元力をさらに向上させることが可能となる。また、ユーザに接触する湾曲部分11の内側11aを軟らかく構成することができるので、装着時にユーザに与える不快感を軽減することが可能となる。
【0034】
フレーム10は、領域11ac及び領域11ab以外の、湾曲部分11の内側11aにより囲まれる空間19が、対象とするユーザの耳介40の大きさ以下になるよう形成されてもよい。その場合、音響装置1がユーザの耳介40に装着された状態において、領域11ac及び領域11ab以外にも、湾曲部分11の内側11aが耳介40に接触することとなる。かかる構成によれば、フレーム10と耳介40との接触面積を広く確保することができる。そのため、フレーム10が耳介40を挟持する力が小さくとも、音響装置1を耳介40に強固に保持することが可能となる。挟持する力が小さければ、装着時にユーザが痛みを感じなくてすみ、長時間の使用にも耐えられる。
【0035】
フレーム10は、全体的に、とりわけ湾曲部分11の内側11aにおいて、丸みを帯びて形成されることが望ましい。かかる構成によれば、耳介40への装着性を向上させ、装着時にユーザに与える不快感を軽減することが可能となる。
【0036】
図4に示すように、フレーム10は、耳介40の背面側ほど薄く形成され、耳介40の前面側ほど厚く形成されてもよい。この場合、マイク20及びスピーカ30を格納するための十分な強度をフレーム10に持たせることが可能となる。
【0037】
なお、フレーム10の具体的な寸法は、対象とするユーザの属性に応じて任意に設定されればよい。
【0038】
マイク20は、周囲の音を取得する装置である。詳しくは、マイク20は、周囲の空間に鳴る音をアナログ信号に変換し、変換後のアナログ信号を出力する。マイク20には、ADC(Analog Digital Converter)、アンプ、及び記録装置等に接続されるケーブル21が接続される。
【0039】
マイク20は、フレーム10のうち耳甲介腔43の前面側の位置に設けられる。詳しくは、フレーム10は、湾曲部分11の耳介40の前面側の端部11bから突出する突出部12を有する。突出部12は、円筒状に構成された部材であり、円筒部分の底面が湾曲部分11の内側11aを滑らかに延長するようにして形成される。音響装置1がユーザに装着された状態において、突出部12は、耳介40に接触しない又は一部が接触しつつも、耳甲介腔43の前方の空間に位置することとなる。そして、マイク20は、円筒の中空部分13に挿入されるようにして配置される。マイク20は、耳甲介腔43への方向の反対方向向きに配置される。即ち、マイク20は、外向きに配置され、外から外耳道44に到来する音を取得する。かかる構成によれば、ユーザの鼓膜付近である耳甲介腔43に配置されたマイク20により、バイノーラル録音を好適に実施することが可能となる。
【0040】
本実施形態によれば、マイク20を耳甲介腔43付近に配置することができる上に、音響装置1が耳甲介腔43を占有することがない。従って、耳介特性を適切に計測することが可能となる。この点で、上記説明した第4の技術的課題が解決される。
【0041】
本実施形態によれば、マイク20は外耳道44の外に配置されるので、外耳道44の内にマイクを配置する比較例と比較して、マイク20の径を大きくすることができる。これにより、バイノーラル録音をさらに好適に実施することが可能となる。
【0042】
マイク20は、着脱可能に設けられる。例えば、マイク20は、円柱状に形成され、突出部12の中空部分13に着脱可能に挿入される。従って、マイク20が劣化した場合には、マイク20のみを交換することが可能となる。この点で、上記説明した第5の技術的課題が解決される。また、音響装置1は、マイク20を外した状態で、バイノーラル再生することが可能となる。この点で、上記説明した第6の技術的課題が解決される。
【0043】
スピーカ30は、音を出力する装置である。詳しくは、スピーカ30は、入力されたアナログ信号を音に変換し、周囲の空間に放出する。スピーカ30には、DAC(Digital Analog Converter)、アンプ、及び再生装置等に接続されるケーブル31が接続される。
【0044】
スピーカ30は、音響装置1がユーザの耳介40に装着された状態において、フレーム10のうち耳介40の前面側の位置に設けられる。詳しくは、湾曲部分11の耳介40の前面側の端部11bであって、突出部12に隣接する位置に、円柱状の内部空間を有する凹部14が設けられる。そして、スピーカ30は、かかる凹部14に挿入されるようにして配置される。スピーカ30は、外耳道44の方向向き(即ち、突出部12の方向向き)に配置され、外耳道44に向けて音を出力する。かかる構成によれば、スピーカ30とマイク20との間の空間が開放されているので、スピーカ30からの出力音をマイク20により取得して、デバイス特性と耳介特性とを適切に計測することが可能となる。また、かかる構成によれば、音響装置1にマイク20とスピーカ30とが固定された状態でユーザに装着されるので、マイク20、スピーカ30、及びユーザの鼓膜の相対的な位置を固定することができる。よって、マイク20を用いてバイノーラル録音されたコンテンツを、スピーカ30からバイノーラル再生した際に、臨場感を十分に向上させることが可能となる。このような点で、上記説明した第4の課題が解決される。
【0045】
スピーカ30は、着脱可能に設けられる。例えば、スピーカ30は、円柱状に形成され、凹部14に着脱可能に挿入される。そのため、音響装置1は、スピーカ30を外した状態で、バイノーラル録音することが可能となる。この点で、上記説明した第7の技術的課題が解決される。
【0046】
<3.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0047】
例えば、上記実施形態では、スピーカ30が耳介40の前面側に配置される例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、スピーカ30は、音響装置1がユーザの耳介40に装着された状態において、フレーム10のうち耳介40の背面側の位置に設けられてもよい。この場合、フレーム10には、スピーカ30から出力された音を耳介40の背面から耳介40の前面に配置された出力孔まで伝搬させるパイプ構造の音導部が設けられることが望ましい。かかる例によれば、スピーカ30から出力された音が音導部を経由して、耳介40の前面に配置された出力孔から放出されるので、ユーザは、スピーカ30から出力された音を鮮明に聴取することが可能となる。
【0048】
例えば、上記実施形態では、マイク20がスピーカ30よりも鼓膜の近くに配置される例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、スピーカ30の方がマイク20よりも、鼓膜の近くに配置されてもよい。詳しくは、突出部12の中空部分13にスピーカ30が挿入され、湾曲部分11の耳介40の前面側の端部11bに形成された凹部14にマイク20が挿入されてもよい。
【0049】
例えば、上記実施形態では、マイク20がケーブル21により有線接続される例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。マイク20は、Wi-Fi(登録商標)又はBluetooth(登録商標)等により無線接続されてもよい。その場合、音響装置1は、ケーブル21に代えて、無線通信インタフェースを有することとなる。スピーカ30についても同様である。即ち、スピーカ30はケーブル31により有線接続されてもよいし、無線接続されてもよい。後者の場合、音響装置1は、ケーブル31に代えて、無線通信インタフェースを有することとなる。
【符号の説明】
【0050】
1 音響装置
10 フレーム
11 湾曲部分
11a 湾曲部分11の内側
11b 湾曲部分11の前面側の端部
11c 湾曲部分11の背面側の端部
11ab 湾曲部分11の内側11aのうち前面側の端部11b付近の領域
11ac 湾曲部分11の内側11aのうち背面側の端部11c付近の領域
12 突出部分
13 中空部分
14 凹部
20 マイク
21 ケーブル
30 スピーカ
31 ケーブル
40 耳介
41 耳輪
42 耳垂
43 耳甲介腔
44 外耳道