(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156620
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】金属部品
(51)【国際特許分類】
B22F 10/38 20210101AFI20221006BHJP
F16H 55/06 20060101ALI20221006BHJP
F16H 55/17 20060101ALI20221006BHJP
B22F 3/16 20060101ALI20221006BHJP
B22F 10/14 20210101ALI20221006BHJP
B22F 10/22 20210101ALI20221006BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20221006BHJP
B22F 10/64 20210101ALI20221006BHJP
B22F 10/66 20210101ALI20221006BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20221006BHJP
【FI】
B22F10/38
F16H55/06
F16H55/17 Z
B22F3/16
B22F10/14
B22F10/22
B22F10/28
B22F10/64
B22F10/66
B33Y80/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060410
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大林 巧治
(72)【発明者】
【氏名】宮野 博邦
(72)【発明者】
【氏名】山本 英司
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 和久
【テーマコード(参考)】
3J030
4K018
【Fターム(参考)】
3J030AC03
3J030BA05
3J030BC02
4K018AA03
4K018AA06
4K018AA09
4K018AA14
4K018AA25
4K018AA33
4K018BA02
4K018BA03
4K018BA04
4K018BA08
4K018BA14
4K018BA17
4K018BB04
4K018FA06
4K018FA08
4K018KA01
(57)【要約】
【課題】別個に製造された部品の組み立てや位置決めなどの工程を省略する技術の提供。
【解決手段】第1の部分と第2の部分とを有する一体成形された金属部品であって、前記第1の部分は、前記第2の部分よりも、硬い材料で形成されている、金属部品を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部分と第2の部分とを有する一体成形された金属部品であって、
前記第1の部分は、前記第2の部分よりも、硬い材料で形成されている、
金属部品。
【請求項2】
前記金属部品は、軸を中心にして回転する部品であり、
前記第1の部分は、回転中に他の部品と接し得る外表面を構成し、
前記第2の部分は、前記他の部品と接しない部分を構成する、
請求項1に記載の金属部品。
【請求項3】
前記第2の部分は、前記第1の部分よりも、
軽量な材料、防振性が高い材料の少なくとも一方である、
請求項1または請求項2に記載の金属部品。
【請求項4】
前記第2の部分は、ラティス構造の部分とラティス構造ではない部分とを含む、
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の金属部品。
【請求項5】
前記第1の部分と前記第2の部分との一方に形成された凸部が他方に形成された凹部に係合する、
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の金属部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一つの金属部品を構成する部分毎に、要求される硬さが異なる金属部品が知られている。例えば、特許文献1においては、小歯車部材、大歯車部材、フランジ部材を溶接することによって、異なる材料からなる一つの金属部品を形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、小歯車部材、大歯車部材、フランジ部材といった異なる部品を溶接することによって一つの金属部品を形成している。従って、金属部品を製造する際に、各部品を別個に製造し、位置決めして溶接するなど、多くの工程が必要となる。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、別個に製造された部品の組み立てや位置決めなどの工程を省略することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、金属部品は、第1の部分と第2の部分とを有する一体成形された金属部品であって、第1の部分は、第2の部分よりも、硬い材料で形成されている。
【0006】
すなわち、金属部品は、第2の部分と第2の部分より硬い第1の部分とを有し、一体成形される。従って、異なる硬さの部分の一体成形によって金属部品が提供され、異なる硬さの部品を別個に製造する必要はないし、別個の部品を位置決めして連結する必要もない。このため、別個に製造された部品の組み立てや位置決めなどの工程を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1Aははすば歯車の断面図、
図1Bははすば歯車を軸方向から見た図である。
【
図2】
図2Aは3Dプリンターを示す図、
図2Bはノズルからの出力を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)金属部品の構成:
(2)製造方法:
(3)他の実施形態:
【0009】
(1)金属部品の構成:
図1A,
図1Bは、金属部品の例である、はすば歯車10を示す図である。本実施形態にかかるはすば歯車10は、円筒形の部材の外周にはすばが形成され、内周に歯形が形成された部品である。すなわち、本実施形態にかかるはすば歯車10は、軸Axを中心にして回転する部品である。
図1Bは、はすば歯車10の軸Axに沿った方向からはすば歯車10を見た状態を示している。
図1Aは、
図1BにおけるA-A線断面図である。
【0010】
本実施形態において、はすば歯車10は、後述する3Dプリンター60により、三次元積層造形法で造形された部品である。はすば歯車10は、マルエージング鋼によって形成された第1の部分と、マルエージング鋼よりも軟らかい材料で形成された第2の部分とを有している。
図1A,
図1Bにおいては、第2の部分をグレーに着色して示している。
【0011】
本実施形態において、第1の部分は、他の部品と接し得る外表面を構成する部分であり、はすば部20と内歯車部50とである。すなわち、はすば歯車10の外周を構成するはすば部20と、内周を構成する内歯車部50と、は、他の部品と噛み合う歯を含むため、硬いマルエージング鋼によって構成されている。
【0012】
はすば部20は、はすば歯車10の外周に設けられた歯であり、歯先を結ぶことによって形成される線(歯の方向)は軸Axとねじれの関係にある。内歯車部50は、はすば歯車10の内周に設けられた歯であり、歯先を結ぶことによって形成される線(歯の方向)は軸Axと平行である。はすば部20は他の部品に形成されたはすばと噛み合い、内歯車部50は他の部品に形成された歯と噛み合い、噛み合いながらはすば歯車10が軸Axを中心に回転する。以上のように、本実施形態にかかるはすば歯車10において、他の部品と噛み合うはすば部20および内歯車部50は、硬い材料で構成されている。従って、はすば部20および内歯車部50が、軟らかい材料で構成される場合と比較して、噛み合いによって歯が破損する可能性を低減することができる。
【0013】
第2の部分は、他の部品と接しない部分を構成し、第1の部分より軟らかい部分である。本実施形態において、第2の部分はさらに2種類の部分を含み、ラティス構造の部分であるラティス部30とラティス構造ではない中実の部分である低硬度部40とを含んでいる。ラティス部30は、内周に形成された内歯車部50と外周に形成されたはすば部20との間に存在し、両者に連結された部分である。本実施形態において、ラティス部30は、軸Axを中心とした径方向に沿って内歯車部50からはすば部20まで延びる部分であり、本実施形態においては、合計6カ所にラティス部30が形成されている。なお、本実施形態にかかるラティス部30は、はすば部20に接する部分と、内歯車部50に接する部分とのそれぞれにおいて、他の部分より周方向の幅が大きくなっている。
【0014】
本実施形態にかかるラティス構造は、既定形状の格子が複数個連結されることによって形成される中空の構造体である。ラティス構造は種々の構造で実現可能であるが、例えば、格子を構成する立体(直方体、立方体、四面体等)の稜が金属の支柱であり、稜と他の立体の頂点または稜とが連結され、繰り返される構造等が挙げられる。むろん、ラティス構造の格子の形状は限定されない。
【0015】
支柱の内部は、中空であるため、中実の構造体と比較して、はすば歯車10を軽量化することができ、また、必要な材料の量を低減することができる。さらに、ラティス構造においては、複数の格子が繰り返され、複数の格子がラティス部30に詰まっているため、中実の構造体と比較して、剛性を過度に低下させることなくはすば歯車10を提供することができる。
【0016】
さらに、ラティス部30は、はすば部20および内歯車部50と異なる材料であるため、固有振動数が異なる。また、格子の数や大きさを調整することにより、ラティス部30の固有振動数を調整することも可能である。はすば部20および内歯車部50は、他の部品と接する部分であるため、はすば部20と内歯車部50との少なくとも一方からはすば歯車10に振動が伝達され得る。しかし、本実施形態において、ラティス部30は、軸Axを中心とした径方向に沿って、内周側の内歯車部50から外周側のはすば部20に向けて延びるように形成されている。従って、はすば歯車10においては、ラティス部30により、はすば部20および内歯車部50の間での振動伝搬を効果的に抑制することができる。
【0017】
低硬度部40は、他の部品と接しない部分であり、本実施形態においては、はすば部20と内歯車部50との間に存在する。すなわち、はすば部20の内周側においては、軸Axに近づくにつれて軸Ax方向の厚さが小さくなる。一方、内歯車部50の外周側においては、軸Axから遠ざかるにつれて軸Ax方向の厚さが小さくなる。低硬度部40は、これらの厚さが小さくなった部分の間に形成された、軸Axを中心とした円盤状の部分である。
【0018】
低硬度部40は、中実の部分であり、はすば部20および内歯車部50よりも軟らかい材料である。このような材料としては、種々の材料が挙げられるが、例えば、SUS,Al,Ti,Cu,W等の金属やこれらの合金等で構成される例が挙げられる。また、一般に、マルエージング鋼であるはすば部20および内歯車部50よりも軟らかい低硬度部40の方が材料の選択の自由度が高い。従って、各種の機能を有する材料によって、第2の部分を構成することが可能である。例えば、低硬度部40を、はすば部20および内歯車部50よりも軽量な材料とすることができる。このような材料としては、例えば、Al,Mg系の合金が挙げられる。このような構成によれば、低硬度部40をマルエージング鋼で構成する場合と比較して、軽量化することが可能である。
【0019】
また、例えば、低硬度部40を、はすば部20および内歯車部50よりも防振性が高い材料とすることが可能である。このような材料としては、例えば、Fe-C-Si系の鋳鉄や、Ni、Ni-Ti系合金、Feと(Ni,Cr,Al,Mn,Si,Mo,Ni)から選択された材料との合金、Mgと(Zr,Ni,Cu,Mn)から選択された材料との合金、Cuと(Mn,Al,Sn,Ni,Zn)から選択された材料との合金等が挙げられる。このような構成によれば、はすば歯車10を単一の材料で構成する場合と比較して、はすば歯車10の使用中の振動を抑制することができる。なお、ラティス部30と低硬度部40とは、少なくとも、3次元構造が異なっていれば良く、材料は同一であっても良いし異なっていてもよい。
【0020】
(2)製造方法:
次に、本実施形態にかかるはすば歯車10の製造方法の例を説明する。本実施形態において、はすば歯車10は、三次元積層造形法によって製造される。
図2Aは、3次元積層造形法によってはすば歯車10の形状を造形する3Dプリンター60の構成例を説明する図である。3Dプリンター60は、ステージ61と、エレベーター62と、移動部63と、材料蓄積部64と、制御部65とを備えている。
【0021】
エレベーター62は、ステージ61に取り付けられており、図示しない駆動機構によってエレベーター62を上下に移動させることができる。エレベーター62の上部は、水平方向に広がっており、上端において金属粉末を造形することができる。本実施形態においては、当該上端の部分を造形部と呼ぶ。
図2Aにおいては、造形部に存在する材料を材料Mtとして示している。
【0022】
移動部63は、図示しない支持部に支持されており、図示しない駆動機構によって水平方向に移動する。移動部63は、下方の造形部に向けて金属粉末を吐出するノズル63aを備えている。ノズル63aは図示しない機構により、レーザー、金属粉末、シールドガスを出力することが可能である。
図2Bは、ノズル63aから出力されるレーザーLb、金属粉末Mp、シールドガスSgを模式的に示す図である。シールドガスSgは、例えば、アルゴン等である。
図2Bにおいては、ノズル63aから噴出されるシールドガスSgの軌道の一例を一点鎖線で示している。金属粉末Mpは、当該シールドガスSgとともに材料Mtに吹き付けられる。本実施形態においては、破線の軌道に沿って金属粉末Mpが吐出される。レーザーLbは、ノズル63aの軸に沿ってノズル63aから材料Mtに向けて出力される。
【0023】
材料蓄積部64は、金属粉末が蓄積されるタンクであり、材料蓄積部64に蓄積された金属粉末は配管を通じて移動部63のノズル63aに供給される。本実施形態においては、図示しない材料供給機構により、材料蓄積部64から、異なる種類の材料(異なる種類の金属粉末)のそれぞれをノズル63aに供給し、ノズル63aから吐出させることができる。なお、材料蓄積部64に蓄積される金属粉末は、ノズル63aから吐出可能な状態で蓄積されていれば良く、例えば、金属粉末が、後述するレーザーによって蒸発する溶剤によってペースト状とされた材料等を利用可能である。
【0024】
制御部65は、3Dプリンター60の各部を制御する。すなわち、制御部65は、ステージ61に制御信号を出力して図示しない機構を駆動し、エレベーター62の上下動を制御することができる。また、制御部65は、移動部63に制御信号を出力し、水平方向の任意の位置に移動させることができる。さらに、制御部65は、移動部63に制御信号を出力し、シールドガスとともに任意のタイミングで任意の種類の金属粉末をノズル63aから吐出させることができる。この際、制御部65は、移動部63に制御信号を出力し、任意のタイミングでレーザーを出力させることができる。
【0025】
制御部65は図示しない記憶媒体を備えており、はすば歯車10の三次元形状情報が記憶媒体に記録されている。制御部65は、当該三次元形状情報に基づいて、はすば歯車10の特定方向(例えば、軸Ax方向)に垂直な断面の形状を金属粉末の種類毎に特定し、各金属粉末によって当該形状の造形を行う。
【0026】
すなわち、制御部65は、移動部63を制御して移動部63を移動させ、金属粉末毎の断面形状の外周およびその内部に各金属粉末が吐出されるように、ノズル63aから、各金属粉末を吐出させる。この際、制御部65は、ノズル63aからレーザーを出力させる。レーザーは、造形されていない、少なくとも1層分の金属粉末を溶融させるエネルギーを有している。従って、レーザーの照射が行われると、材料Mt上に吐出された金属粉末Mpが溶融、固化し、レーザーが照射された部分が一層分、造形される。なお、なお、レーザーのビーム径は各種の値とされて良いし、レーザーのパワー(W)や走査速度、ピッチ等は限定されない。
【0027】
1層分の造形が行われると、制御部65は、エレベーター62を一層分下降させ、移動部63を制御して次の層を造形する。エレベーター62の下降ピッチは限定されず、例えば、1層が0.02mm~0.05mm程度となるように設定される。3Dプリンター60においては、以上のような金属粉末の種類毎の造形および層毎の造形を複数回繰り返すことによりはすば歯車10の形状を造形する。
【0028】
図3は、はすば歯車10の製造方法を例示したフローチャートである。
図3に示す製造方法においては、まず、複数の金属粉末が、材料蓄積部64にセットされる(ステップS100)。すなわち、本実施形態においては、はすば部20および内歯車部50となるマルエージング鋼の金属粉末と、ラティス部30および低硬度部40となるSUS等の金属粉末とが、材料蓄積部64にセットされる。なお、はすば部20および内歯車部50が異なる組成等であってもよく、この場合、はすば部20、内歯車部50のそれぞれとなる金属粉末が材料蓄積部64にセットされる。ラティス部30と低硬度部40とが異なる材料で造形される場合、各部となる金属粉末が材料蓄積部64にセットされる。
【0029】
金属粉末は、種々の組成であって良く、例えば、マルエージング鋼の金属粉末であれば、グレード200,250,300,350などの各種グレードのマルエージング鋼の金属粉末を利用可能である。組成は種々の組成であって良く、例えば、C、Si,Mn,P,S,Ni,Mo,Co,Al,Ti,Feの質量%が、それぞれ0.03以下,0.1以下,0.1以下,0.01以下,0.01以下,17.0~19.0,4.5~5.5,7.0~8.5,0.05~0.15,0.30~0.50,残部となるようなマルエージング鋼を利用可能である。また、マルエージング鋼は、CoフリーやTiフリーのマルエージング鋼等であっても良い。第2の部分となる金属粉末も同様に、種々の組成であってよい。
【0030】
金属粉末の平均粒径は限定されないが、例えば、15.4μm(X10)~44.34μm(X90)で分布した、平均値が27.11μm(X50)の金属粉末を利用可能である。マルエージング鋼は、種々の態様で取得されて良く、各種のメーカーから購入しても良いし、ガスアトマイズ法等で製造されても良い。本実施形態においてマルエージング鋼の金属粉末は、マルテンサイト組織となっている。
【0031】
次に、3Dプリンター60の制御部65は、ステップS110~S125において、3Dプリンター60の各部を制御し、層毎の造形を行う。このために、制御部65は、記憶媒体に記録された三次元形状情報に基づいて、層の数を決定し、層毎の断面形状を決定する。また、層を示す変数nを1に初期化する(ステップS105)。各層の断面形状は、同種の材料毎に決定される。例えば、マルエージング鋼とSUSではすば歯車10が構成される場合、各層においてマルエージング鋼で構成される部分の断面形状と、SUSで構成される部分の断面形状とが、それぞれ決定される。なお、変数nの最小値は1、最大値は層の数である。
【0032】
次に、制御部65は、移動部63を制御し、第n層の各金属粉末による造形を行う(ステップS110)。すなわち、各層は、材料の種類毎の断面形状によって構成されるため、制御部65は、移動部63を制御し、ある材料の断面形状外周及び内側に当該材料を吐出する位置に移動部63を移動させながら、当該材料の金属粉末をノズル63aから吐出させ、また、レーザーを出力させる。制御部65は、当該金属粉末の吐出を各種類の金属粉末について実施する。以上の結果、第n層における各種類の金属粉末の断面形状が造形される。
【0033】
なお、移動部63の移動と金属粉末の吐出とは、種々のタイミングであって良く、同一の材料の金属粉末の吐出が終了してから他の材料の金属粉末についての吐出が行われても良いし、異なる材料の金属粉末の吐出が並行して実施されてもよい。
【0034】
なお、完成後の金属部品において、外表面となる部分においては、断面形状よりも広い範囲に金属粉末が吐出され、造形された後に余分な金属粉末が除去される構成であっても良い。また、特定の種類の金属粉末が第n層に存在しない場合、当該特定の種類の金属粉末の吐出は省略されても良い。
【0035】
次に、制御部65は、造形が終了したか否かを判定する(ステップS120)。すなわち、層を示す変数nの最大値まで造形が終了した場合、制御部65は、造形が終了したと判定する。ステップS120において、造形が終了したと判定されない場合、制御部65は、変数nを1増加させて(ステップS125)、ステップS110以降の処理を繰り返す。
【0036】
ステップS120において、造形が終了したと判定された場合、造形部にはすば歯車10の形状が形成された状態になる。本実施形態においては、はすば歯車10の三次元形状を複数の断面に分割し、各断面に対応する複数の層毎に造形を行う。各層の形状が造形される際に、レーザーが照射された部分は溶融し、同一層の周囲の金属粉末と結合するとともに、直下の層の組織とも結合する。従って、三次元積層造形法によってはすば歯車10が形成される。また、ステップS120において造形が終了したと判定されると、異なる材料の構造を含むはすば歯車10が構成される。従って、異なる材料によって構成された第1の部分および第2の部分を含むはすば歯車10が一体成形される。
【0037】
以上のようにして造形が終了すると、はすば歯車10はエレベーター62の上端から切り離され、はすば歯車10の周囲に存在する金属粉末が除去される。そして、当該はすば歯車10が溶体化される(ステップS130)。すなわち、ステップS115におけるレーザーによる造形が行われた後の状態では、はすば歯車10の内部組織が均質ではない可能性がある。例えば、固溶化された状態の組織に近い部分や、時効処理後のマルエージング鋼の組織に近い部分が偏在するなど、組織の分布が均質ではない場合がある。
【0038】
そこで、本実施形態においては、溶体化を行うことではすば歯車10の内部の組織を均一にする。
図3に示す製造方法においては、溶体化後のはすば歯車10に対して、さらに、加工が行われるため、はすば歯車10の組織が比較的軟らかい状態になるように溶体化が行われる。溶体化は、種々の処理であって良く、例えば、既定の昇温速度で昇温し、既定の温度(820℃等)を既定時間(15分~数時間)維持し、その後、既定の降温速度で降温する処理が挙げられる。
【0039】
溶体化が行われた後には、機械加工(ステップS135)または冷間成形(ステップS140)が行われる。すなわち、本実施形態においては、ステップS110~S125における三次元積層造形で得られた形状と、はすば歯車10の完成時の形状とは一部が異なっている。そこで、本実施形態においては、機械加工や冷間成形で形状を最終形態の形状とする。機械加工としては、種々の加工が行われて良く、例えば、マシニング加工等が行われる。冷間成形としては、種々の加工が行われて良く、例えば、冷間鍛造やプレス加工等が行われる。
【0040】
なお、冷間成形が行われた場合、転移等によって材料の位置が変動し、結晶粒界に析出物が生じる場合があり、当該析出物の局在による影響を低減したい場合には、再度溶体化が行われてもよい(ステップS145)。当該溶体化は、ステップS130と同一の条件であっても良いし、異なっていてもよい。
【0041】
機械加工、冷間成形、または、溶体化が行われると、はすば部20および内歯車部50を構成するマルエージング鋼に対する時効が行われる(ステップS150)。時効は、種々の処理であって良く、例えば、既定の昇温速度で昇温し、既定の温度(480℃~500℃等)を既定時間(数時間)維持し、その後、既定の降温速度で降温する処理が挙げられる。時効処理の温度や時間等は種々の値であって良く、例えば、マルエージング鋼のグレード等によって変化してもよい。いずれにしても、はすば部20および内歯車部50の組織内に、金属間化合物が析出することによって、はすば部20および内歯車部50において要求される硬さになるように、温度等の条件を選択すればよい。
【0042】
はすば部20および内歯車部50の硬さが、時効後の硬さよりも、さらに硬くなっている必要がある場合、窒化が行われる(ステップS155)。窒化は、種々の処理であって良く、例えば、窒素やアンモニアの雰囲気において、既定の昇温速度で昇温し、既定の温度(480℃~550℃等)を既定時間(数時間~数十時間等)維持し、その後、既定の降温速度で降温する処理が挙げられる。なお、時効処理の温度と窒化処理の温度は近いため、窒化を行うことで時効も行うことができるのであれば、時効と窒化は同一工程で行われてもよい。
【0043】
時効、窒化が行われると、仕上げ加工が行われる(ステップS160)。仕上げ加工は、例えば、はすば歯車10の各部の寸法を設計通りの寸法に調整するための表面処理等である。仕上げ加工が行われなくても、要求される精度に達しているならば、仕上げ加工は省略されても良い。また、低硬度部40やラティス部30など、他の部品と接触しない部分は、仕上げ加工が省略されて良い。以上の製造方法によれば、はすば部20、内歯車部50、ラティス部30および低硬度部40が3Dプリンター60によって一体成形されたはすば歯車10を製造することができる。
【0044】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、
図2Aに示される3Dプリンター60の構成は、一例であり、他にも種々の構成が採用されてよい。例えば、移動部63の数やエレベーター62の数、材料蓄積部64の数やこれらの態様は
図2Aに示された構成に限定されず、種々の態様であって良い。また、三次元積層造形の順序も種々の順序であって良い。
【0045】
さらに、三次元積層造形の手法は、3Dプリンター60のような指向性エネルギー堆積法に限定されない。例えば、上述のようなインクジェット方式(ノズルから材料を吐出する方式)において、電子ビームによって金属粉末が溶融されても良い。他にも、金属粉末の蓄積部からコーター等によって金属粉末を造形部に異動させて三次元造形を行うパウダーベッド方式や、溶融物堆積法、シート積層法、バインダージェット法など、各種の手法を利用可能である。
【0046】
さらに、三次元積層造形法によって部品を製造する際の材料は、マルエージング鋼に限定されない。例えば、鉄、ステンレスなどの鉄鋼系の金属粉末、アルミニウム、チタン、インコネル、銅などの各種の金属がベースとなった合金粉末が利用されて良い。むろん、単一の金属の粉末が利用されても良い。製造方法のフローチャートも、
図4に示すフローに限定されず、各種の変更、例えば、工程の追加、省略等が行われてもよい。例えば、3Dプリンター60によってはすば歯車10の完成品の形状を造形可能であれば、ステップS135の機械加工、ステップS140の冷間成形、ステップS145の溶体化が省略されても良い。
【0047】
さらに、上述の実施形態においては、第2の部分がラティス部30および低硬度部40によって構成されているが、第2の部分は、第1の部分より軟らかい部分であれば良い。従って、第2の部分がラティス部のみ、低硬度部のみで構成されても良いし、第2の部分が、ラティス部および低硬度部に加え、さらに他の部分によって構成されても良い。
【0048】
金属部品は、少なくとも第1の部分と第2の部分とを有していれば良く、他の部分を有していても良い。また、第1の部分と第2の部分とは硬さが異なっていれば良く、第1の部分と第2の部分との少なくとも一方が、さらに、より多数の部分で構成されていても良い。
【0049】
一体成形は、第1の部分と第2の部分とが別個の工程で成形されるのではなく、これらの部分が同一またはほぼ同一の工程で成形され、一体の金属部品を成形する方法で製造されれば良い。従って、一体成形された金属部品は、第1の部分を構成する材料と第2の部分を構成する材料とが別々に造形され、造形後に結合された部品ではない。このような一体成形は、典型的には、上述の三次元積層造形法で実現されるが、他にも、種々の態様で実現されて良い。
【0050】
第1の部分は、第2の部分よりも、硬い材料で形成されていればよい。すなわち、第2の部分および第1の部分は、異なる種類の材料で形成されており、材料が異なる事に起因して完成後の金属部品の各部分の硬さが異なる。
【0051】
異なる種類の材料は、両材料であることが明確に区別可能な材料である。例えば、第2の部分と第1の部分との境界で、材料を構成する元素の少なくとも一つが不連続または段階的に変化する場合、両部分を構成する材料は異なる種類の材料である。一方、濃度が連続的に変化する部分は異なる種類の材料によって構成された部分ではない。例えば、表面において炭素濃度が連続的または徐々に変化する鉄鋼や、時効によって析出した合金の濃度が連続的または徐々に変化するマルエージング鋼の内部は、異なる種類の材料によって構成されていない。
【0052】
第1の部分が、回転中に他の部品と接し得る外表面を構成する場合において、当該外表面は、歯車の歯である構成に限定されない。例えば、2以上の部品が摺動する構成において摺動部が第1の部分、摺動しない部分が第2の部分である構成が採用されてもよい。また、金属部品は回転体に限定されない。例えば、ラックピニオンにおいてラックの歯が第1の部分、歯ではない部分が第2の部分である構成であっても良い。
【0053】
第1の部分は、第2の部分よりも、硬い材料で形成されていれば良い。このような、材料の組合せは、種々の組合せによって実現され得る。例えば、第1の部分が、焼入された鉄鋼,金属の炭化物(超硬合金)等で構成される場合に、第2の部分が、SUS,Al,Ti,Cu,W等の金属やこれらの合金等で構成される例が挙げられる。
【0054】
ラティス構造は、立方格子や、四面体等の格子が繰り返されることによって形成される、中空の構造体であれば良い。むろん、格子の形状は限定されず、複数の種類の格子が含まれていても良い。また、格子の大きさは変化しても良い。
【0055】
第1の部分と第2の部分は異なる種類の材料で構成されるため、第1の部分と第2の部分には、両者の相対的な位置の変動を防止するための形状が設けられていても良い。例えば、第1の部分と第2の部分との一方に形成された凸部が他方に形成された凹部に係合する構成が採用されてもよい。
【0056】
第1の部分と第2の部分に形成された凸部および凹部は、一方が他方に係合することによって、第1の部分と第2の部分との相対的な位置の変動が生じないように構成されていれば良い。従って、大きさ、数、形等の態様は種々の態様であって良い。第1の部分と第2の部分との一方に凸部が存在し、他方に凹部が存在しても良いし、双方に凸部と凹部が存在しても良い。
【0057】
図4A,
図4B,
図5A,
図5B,
図5Cは、第1の部分と第2の部分との相対的な位置の変動を防止するための構成を有するはすば歯車100を示す図である。
図4Aは、はすば歯車100を軸Axに垂直な方向から見た状態を示す図であり、
図4Bは、はすば歯車100を軸Axに沿った方向から見た状態を示す図である。
図5Aは、
図4Aに示すB-B線の断面図であり、
図5Bは、
図4Aに示すC-C線の断面図であり、
図5Cは、
図4Aに示すA-A線の断面図である。
【0058】
これらの図においては、第1の部分より軟らかい第2の部分をハッチングによって示している。本実施形態においても、第2の部分はラティス部と低硬度部とを含み、図においてはラティス部300をクロスハッチング、低硬度部400を平行な斜線のハッチングによって示している。ラティス部300は、上述のラティス部30と同様の構造の繰り返し等によって形成されるラティス構造である。低硬度部400は、中実の部分である。なお、
図5A,
図5B,
図5Cに示す断面において、第1の部分(後述する、はすば部200および歯車部500)にはハッチングが付されておらず、白抜きで示されている。
【0059】
これらの図に示すはすば歯車100も、上述の実施形態と同様に三次元積層造形法によって造形することができる。本実施形態においても、第1の部分は、他の部品と接触し得る部分である。すなわち、はすば歯車100は、外周にはすば部200、内周に歯車部500が形成されており、はすば部200は、他のはすば歯車と噛み合い、歯車部500は、他の歯車と噛み合う。このため、本実施形態において、はすば部200および歯車部500は、硬い材料、例えば、マルエージング鋼によって構成される。一方、第2の部分は、第1の部分よりも軟らかい材料、例えばSUS等によって構成される。
【0060】
本実施形態において、ラティス部30および低硬度部40は、はすば歯車100の内部に形成されている。具体的には、
図5A~
図5Cに示されるように、はすば部200および歯車部500がはすば歯車100の外表面を構成しており、その内部に低硬度部400が存在し、さらに、その内部にラティス部300が存在する。本実施形態において、ラティス部300は、軸Axを中心とした円筒状の形状であり、低硬度部400に内包されている。
【0061】
さらに、本実施形態においては、はすば部200および歯車部500と、低硬度部400と、の相対的な位置の変動を防止する構成が設けられている。具体的には、
図4Bに示されるように、低硬度部400は、はすば歯車100の表面に一部が露出している。しかし、はすば歯車100の内部において低硬度部400は、露出しているよりも大きい。
図5Aにおいては、低硬度部400の表面と内部の長さの差異が例示されている。すなわち、低硬度部400がはすば歯車100の表面において露出する部分の径方向における長さはL1である。一方、低硬度部400は、はすば歯車100の内部で径方向において存在する長さは例えばL2である。このような、表面と内部との大きさの差異は、C-C線の断面である
図5B、A-A線の断面である
図5Cからもわかる。
【0062】
このように、本実施形態において、低硬度部400は、表面に露出している部分より、内部に存在する部分の方が大きいため、低硬度部400は、軸Ax方向に移動して、はすば歯車100から脱落することはない。また、軸Axを中心とした径方向においては、低硬度部400よりも内周側に歯車部500、低硬度部400よりも外周側にはすば部200が存在する。従って、低硬度部400が、はすば歯車100に対して相対的に、径方向に移動することはない。
【0063】
さらに、径方向において低硬度部400は、はすば部200および歯車部500の歯面の凹凸に沿った形状の凹凸を有している。具体的には、
図5Bおよび
図5Cに示すように、低硬度部400の外周側の端部は、はすば歯車100の外周に形成されたはすば部200の歯面の形状に沿った凹部400aと凸部400bとを有している。低硬度部400の凹部400aの部分は、はすば部200の歯面の歯元に対応した部分であり、低硬度部400側から見ると、はすば部200が低硬度部400側に突出し、はすば部200は凸部を形成している。低硬度部400の凸部400bの部分は、はすば部200の歯面の歯先に対応した部分であり、低硬度部400側から見ると、低硬度部400がはすば部200に突出し、はすば部200は凹部を形成している。このように、径方向の外周側において、低硬度部400とはすば部200の一方が凹部、他方が凸部となって係合している。
【0064】
低硬度部400の内周側の端部は、はすば歯車100の内周に形成された歯車部500の歯面の形状に沿った凹部400cと凸部400dとを有している。低硬度部400の凹部400cの部分は、歯車部500の歯面の歯元に対応した部分であり、低硬度部400側から見ると、歯車部500が低硬度部400側に突出し、歯車部500は凸部を形成している。低硬度部400の凸部400dの部分は、歯車部500の歯面の歯先に対応した部分であり、低硬度部400側から見ると、低硬度部400が歯車部500に突出し、歯車部500は凹部を形成している。このように、径方向の内周側において、低硬度部400と歯車部500の一方が凹部、他方が凸部となって係合している。
【0065】
以上の構成において、歯車部500の歯が延びる方向は軸Axに平行であるため、当該歯車部500の歯に沿った凹凸によって歯車部500と低硬度部400とが係合していることにより、歯車部500と低硬度部400とは、軸Axを中心とした回転方向に対して相対的に移動しない。さらに、はすば部200の歯が延びる方向は軸Axに対してねじれの方向であるため、はすば部200と低硬度部400とが係合していることにより、はすば部200と低硬度部400とは、軸Axを中心とした回転方向に対して相対的に移動しないし、軸Axに平行な方向にも相対的に移動しない。
【0066】
以上のように、本実施形態においては、凹凸が係合することにより、はすば歯車100を構成する2つの部分が相対的に移動しないように構成されている。このため、本実施形態のような構造であれば、三次元積層造形において、異なる材料のそれぞれについての造形を行う際に、異なる材料の界面をレーザーによって溶融させる必要はない。界面をレーザーによって溶融させ、異なる材料を接合させる場合、両材料の形状や熱膨張率の差異を考慮せずに接合させると、はすば歯車100の運用過程で、接合が破壊されたり、過度に応力が作用したりすることがあり得る。しかし、本実施形態においては、異なる材料を接合させなくても、異なる材料で形成された一部が脱落することはない。従って、簡易な工程で金属部品を製造することが可能になる。
【0067】
金属部品は、上述のようなはすば歯車に限定されず、種々の部品であって良い。例えば、通常の歯車であっても良いし、やまば歯車であっても良いし、一つの歯の両側の圧力角が異なる歯車であっても良い。
【0068】
さらに、金属部品は、歯車ではなく、他の部品であっても良い。歯車以外の部品としても、種々の部品を想定可能であり、限定されない。
図6A,
図6Bは、金属部品がCVT(Continuously Variable Transmission)に利用されるシーブ101である場合の構成例を示す図である。
【0069】
シーブ101は、軸Axを中心とした円筒状の部分に円盤状の部分が連結された外形を有する部品である。
図6Aはシーブ101の断面斜視図であり、
図6Bはシーブ101を軸Axに沿って切断した場合の断面図である。
図6A,
図6Bにおいて、硬い第1の部分を白抜きで示し、第1の部分より軟らかい第2の部分はハッチングで示している。また、本実施形態においても第2の部分はラティス部および低硬度部で構成されており、ラティス部をクロスハッチング、低硬度部を平行な斜線のハッチングによって示している。
【0070】
図6A,
図6Bに示す例において、シーブ101の円板部201等の外表面は他の部品と接触する部分であるため、シーブ101の外表面は、例えばマルエージング鋼等の硬い材料で構成される。シーブ101の内部には、外周側から順に低硬度部401およびラティス部301が形成されている。
【0071】
本実施形態においては、低硬度部401およびラティス部301の双方ともに、円板状の部分を有しており、円板部201の内部に低硬度部401およびラティス部301が存在する。従って、円板部201の内部において、円板部201は凹部を形成し、低硬度部401は凸部を形成し、当該凹部と凸部とが係合している。また、低硬度部401の円盤状の部分の内部において、低硬度部401は凹部を形成し、ラティス部301は凸部を形成し、当該凹部と凸部とが係合している。従って、円板部201,低硬度部401,ラティス部301は軸Axに平行な方向および軸Axを中心とした径方向に対して互いに相対的に移動しない。
【0072】
むろん、
図6A,
図6Bに示す構成において、円板部201の内周側と低硬度部401の外周側とにおいて係合する凹部と凸部を周方向に並べて設け、両者を係合させることによって、円板部201,低硬度部401,ラティス部301が軸Axを中心にした回転方向に相対的に回転しないように構成されていても良い。なお、以上のような構造も、上述の実施形態と同様に三次元積層造形法によって一体成形することができる。従って、別個に製造された部品の組み立てや位置決めなどの工程を行うことなく、一体の金属部品を提供することができる。また、低硬度部401の材料として、軽量な材料や防振性の高い座量等を使用することで、軽量なシーブ101や防振性の高いシーブ101を提供することができる。さらに、ラティス部301により、剛性を過度に低下させることなく、軽量なシーブ101を提供することができる。
【符号の説明】
【0073】
10…歯車、20…境界部、30…ラティス部、40…低硬度部、60…3Dプリンター、61…ステージ、62…エレベーター、63…移動部、63a…ノズル、64…材料蓄積部、65…制御部