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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156621
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】パーソナルモビリティ
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20221006BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G05D1/02 H
G01C21/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060411
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】工藤 健二
【テーマコード(参考)】
2F129
5H301
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC16
2F129DD34
2F129EE02
2F129EE52
2F129GG17
2F129GG18
2F129HH02
2F129HH12
5H301AA01
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG08
5H301GG09
5H301QQ06
(57)【要約】
【課題】目的地での行動を支援する「パーソナルモビリティ」を提供する。
【解決手段】左右のうちユーザが不自由なくに扱える方を優先サイドに設定する。パーソナルモビリティ1が走行により到達できる領域を到達可能領域として、ユーザから受け付けた目的位置が到達可能領域内の位置でなければ、現在位置を始点とし目的位置に最寄の到達可能領域内の位置を終点とし、終点到着時に、目的位置がパーソナルモビリティ1の優先サイド側に位置することとなる、前進走行によって進行する経路を探索し、経路に従った自動運転を行う。経路の探索に失敗した場合には、目的位置がパーソナルモビリティ1の優先サイド側に位置することとなる、最終走行区間を後進走行により進行する経路を探索する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転を行うパーソナルモビリティであって、
ユーザから目的位置の指定を受け付け、目的位置までの経路を誘導経路に設定する誘導経路設定手段と、
左サイドと右サイドのうちの一方を優先サイドに設定する優先サイド設定手段と、
前記誘導経路設定手段によって設定された誘導経路上を当該誘導経路の終点まで当該パーソナルモビリティを走行させ、当該終点で当該パーソナルモビリティを停止させる自動走行手段とを有し、
前記誘導経路設定手段は、当該パーソナルモビリティが走行して到達できる前記目的位置最寄りの地点までの経路であって、経路終点において前記目的位置が当該パーソナルモビリティの前記優先サイドの側となる経路を前記誘導経路に設定することを特徴とするパーソナルモビリティ。
【請求項2】
請求項1記載のパーソナルモビリティであって、
前記誘導経路設定手段は、前記誘導経路に設定される経路は、出発時の方向転換を除き全区間を前進走行により進行する経路と、出発時の方向転換を除き最終区間までの各区間は前進走行により進行し、最終区間を後進走行により進行する経路のいずれかであり、
前記自動走行手段は、前記誘導経路設定手段によって、前記誘導経路として、出発時の方向転換を除き全区間を前進走行により進行する経路が設定されているときには、当該パーソナルモビリティを、出発時の方向転換を除き全区間を前進走行させ、前記誘導経路として、出発時の方向転換を除き最終区間までの各区間は前進走行により進行し、最終区間を後進走行により進行する経路が設定されているときには、当該パーソナルモビリティを、出発時の方向転換を除き最終区間までの各区間は前進走行させると共に、最終区間を後進走行させることを特徴とするパーソナルモビリティ。
【請求項3】
請求項1または2記載のパーソナルモビリティであって、
当該パーソナルモビリティのユーザが着座するシートと、
当該シートの座面の左右の位置について、各位置に加わる圧力を検出する圧力センサとを有し、
前記優先サイド設定手段は、前記圧力センサが検出した各位置に加わる圧力が示す前記座面の圧力分布に応じて、左サイドと右サイドのうちの一方を優先サイドとして選定し設定することを特徴とするパーソナルモビリティ。
【請求項4】
請求項1または2記載のパーソナルモビリティであって、
跳ね上げ式の左のアームレストと、
跳ね上げ式の右のアームレストと、
左のアームレストと右のアームレストの跳ね上げを検出するセンサとを有し、
前記優先サイド設定手段は、前記センサが検出した左のアームレストと右のアームレストの跳ね上げの頻度に応じて、左サイドと右サイドのうちの一方を優先サイドとして選定し設定することを特徴とするパーソナルモビリティ。
【請求項5】
請求項1または2記載のパーソナルモビリティであって、
当該パーソナルモビリティに着座したユーザの操作を受け付ける、当該ユーザの左側となる位置に配置された左操作部と、
当該パーソナルモビリティに着座したユーザの操作を受け付ける、当該ユーザの右側となる位置に配置された右操作部とを有し、
前記優先サイド設定手段は、左操作部が操作を受け付けた頻度と右操作部が操作を受け付けた頻度に応じて、左サイドと右サイドのうちの一方を優先サイドとして選定し設定することを特徴とするパーソナルモビリティ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルモビリティの自動運転の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動カートや電動式車椅子などのパーソナルモビリティの自動運転の技術としては、パーソナルモビリティのユーザから目的地の指定を受け付け、指定された目的地までの経路を探索して誘導経路に設定し、誘導経路に沿ってパーソナルモビリティを目的地まで自動運転する技術が知られている(たとえば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-211442号公報
【特許文献2】特開2004-313587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したパーソナルモビリティの自動運転の技術によれば、ユーザが目的地で所望の行動をするのに不便が生じることがある。
たとえば、左手に不自由があるユーザの目的地における所望の行動が右手で目的地にある対象物を操作することであった場合、対象物がユーザの左側に位置する向きでパーソナルモビリティが目的地に到着し停止すると、ユーザは、対象物に対する操作を行うために目的地到着後に自身でパーソナルモビリティの向きを転換する作業等を行わなければなくなる。
【0005】
そこで、本発明は、設定した経路に沿った自動運転を行うパーソナルモビリティにおいて、目的地での行動を支援することを課題とする
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、自動運転を行うパーソナルモビリティに、ユーザから目的位置の指定を受け付け、目的位置までの経路を誘導経路に設定する誘導経路設定手段と、左サイドと右サイドのうちの一方を優先サイドに設定する優先サイド設定手段と、前記誘導経路設定手段によって設定された誘導経路上を当該誘導経路の終点まで当該パーソナルモビリティを走行させ、当該終点で当該パーソナルモビリティを停止させる自動走行手段とを設けたものである。ここで、前記誘導経路設定手段は、当該パーソナルモビリティが走行して到達できる前記目的位置最寄りの地点までの経路であって、経路終点において前記目的位置が当該パーソナルモビリティの前記優先サイドの側となる経路を前記誘導経路に設定する。
【0007】
ここで、このパーソナルモビリティは、前記誘導経路設定手段において、前記誘導経路に設定される経路は、出発時の方向転換を除き全区間を前進走行により進行する経路と、出発時の方向転換を除き最終区間までの各区間は前進走行により進行し、最終区間を後進走行により進行する経路とのいずれかであり、前記自動走行手段において、前記誘導経路設定手段によって、前記誘導経路として、出発時の方向転換を除き全区間を前進走行により進行する経路が設定されているときには、当該パーソナルモビリティを、出発時の方向転換を除き全区間を前進走行させ、前記誘導経路として、出発時の方向転換を除き最終区間までの各区間は前進走行により進行し、最終区間を後進走行により進行する経路が設定されているときには、当該パーソナルモビリティを、出発時の方向転換を除き最終区間までの各区間は前進走行させると共に、最終区間を後進走行させるように構成してもよい。
【0008】
または、以上のパーソナルモビリティに、当該パーソナルモビリティのユーザが着座するシートと、当該シートの座面の左右の位置について、各位置に加わる圧力を検出する圧力センサとを設け、前記優先サイド設定手段において、前記圧力センサが検出した各位置に加わる圧力が示す前記座面の圧力分布に応じて、左サイドと右サイドのうちの一方を優先サイドとして選定し設定するようにしてよい。
【0009】
または、以上のパーソナルモビリティに、跳ね上げ式の左のアームレストと、
跳ね上げ式の右のアームレストと、左のアームレストと右のアームレストの跳ね上げを検出するセンサとを設け、前記優先サイド設定手段において、前記センサが検出した左のアームレストと右のアームレストの跳ね上げの頻度に応じて、左サイドと右サイドのうちの一方を優先サイドとして選定し設定するようにしてもよい。
【0010】
または、以上のパーソナルモビリティに、当該パーソナルモビリティに着座したユーザの操作を受け付ける、当該ユーザの左側となる位置に配置された左操作部と、当該パーソナルモビリティに着座したユーザの操作を受け付ける、当該ユーザの右側となる位置に配置された右操作部とを設け、前記優先サイド設定手段において、左操作部が操作を受け付けた頻度と右操作部が操作を受け付けた頻度に応じて、左サイドと右サイドのうちの一方を優先サイドとして選定し設定するようにしてもよい。
【0011】
以上のようなパーソナルモビリティによれば、走行して到達できる目的位置に最寄りの地点まで、当該地点到着時のパーソナルモビリティの向きが、目的位置がパーソナルモビリティの優先サイド側となる経路で、パーソナルモビリティを自動運転することができる。よって、優先サイドとしてユーザがより自由または容易に扱えるサイドを設定することにより、到着後、目的位置に対する行動を不自由なく行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、設定した経路に沿った自動運転を行うパーソナルモビリティにおいて、目的地での行動を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るパーソナルモビリティを示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るパーソナルモビリティの機能構成を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るパーソナルモビリティの優先サイドの判定基準の例を説明する図である。
図4】本発明の実施形態に係る経路探索処理の手順を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係る経路探索処理の処理例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る経路探索処理の処理例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1a、b、cに、本実施形態に係るパーソナルモビリティ1を示す。
図1aはパーソナルモビリティ1の右側面を、図1bはパーソナルモビリティ1の正面を、図1cはパーソナルモビリティ1の上面を表している。
図示するように、本実施形態に係るパーソナルモビリティ1は、ユーザが着座する椅子を備えた四輪の装置であり、人力によらずに自力走行する。
次に、図2に、パーソナルモビリティ1の機能構成を示す。
図示するように、パーソナルモビリティ1は、操作部101、ディスプレイ102、タッチパネル103、優先サイド設定部104、施設内マップデータベース105、測位装置106、ナビゲーションシステム107、無線通信装置108、カメラ109、LIDER110、その他のセンサ111、走行システム112、走行制御部113を備えている。
【0015】
操作部101は、パーソナルモビリティ1に搭乗したユーザの操作を受け付けるものであり、操作部101としては、たとえば、図1に示すように、右のアームレスト前端に配置したジョイステックを用いる。
【0016】
また、ディスプレイ102とタッチパネル103は、一体化されており、たとえば、図1に示すように、左のアームレストの上方に配置され、パーソナルモビリティ1のユーザに対する画像の表示とユーザからの入力の受け付けを行う。
【0017】
施設内マップデータベース105には、パーソナルモビリティ1が利用される施設の地図データが格納される。また、測位装置106は、GNSS受信機やビーコン受信機などのパーソナルモビリティ1の位置を測位する装置である。
【0018】
ナビゲーションシステム107は、測位装置106の測位位置と施設内マップデータベース105の地図データとのマップマッチングによるパーソナルモビリティ1の現在位置の算出や、地図データを用いた目的地までの経路の探索を行う。この経路の探索の詳細については後述する。
【0019】
無線通信装置108は、移動通信やWi-Fiなどの無線通信を行う装置であり、パーソナルモビリティ1が位置する施設のサーバに無線通信を介してアクセスする機能等を提供する。なお、施設内マップデータベース105の地図データは、無線通信装置108を用いて施設のサーバからダウンロードしたものであってもよい。
【0020】
次に、カメラ109は、パーソナルモビリティ1の前方を含む周辺のようすを撮影するものであり、たとえば、図1に示すように、バックレストの後ろ斜め上方の位置に配置される。なお、カメラ109としてはステレオカメラ(3Dカメラ)を用いてもよい。
【0021】
また、LIDER110は、たとえば、図1に示すように、カメラ109と共にバックレストの後ろ斜め上方の位置に配置され、パーソナルモビリティ1の周辺の物体と、その距離を検出する。
【0022】
次に、優先サイド設定部104は、左サイドと右サイドのうち、パーソナルモビリティ1のユーザがより自由または容易に扱えるサイドを優先サイドに設定する。
すなわち、パーソナルモビリティ1のユーザが、左利きのユーザや、障害などにより右サイドに対する動作に不自由があるユーザである場合には、左サイドを優先サイドに設定し、右利きのユーザや、障害などにより左サイドに対する動作に不自由があるユーザである場合には、右サイドを優先サイドに設定する。
【0023】
パーソナルモビリティ1のユーザが固定的に定まっている場合には、ユーザに応じて優先サイドは予め固定的に設定してもよいが、ユーザがより自由または容易に扱えるサイドを判別し、判別したサイドを優先サイドとして設定してもよい。
【0024】
すなわち、左サイドと右サイドのうち操作部101が配置されているサイドはユーザが操作できるサイドであるので、操作部101が配置されているサイドをユーザがより自由に扱えるサイドと見なして、優先サイドに設定してもよい。
【0025】
または、たとえば、図3aに示すように、操作部101やディスプレイ102やタッチパネル103のセットを、左のアームレストと右のアームレストの上に各々設けることにより、左サイドと右サイドの双方に、どちらのサイドのセットでも使用できるように配置し、左サイドと右サイドのうち、より操作部101やタッチパネル103の操作の頻度が大きい方のサイドを優先サイドに設定するようにしてもよい。
【0026】
または、たとえば、図3bに示すように、パーソナルモビリティ1の座面の左右前後に圧力センサ115を配置し、着座したユーザから座面に加わる圧力分布の偏りより、ユーザにとって不自由があるサイドを判別し、左サイドと右サイドのうち不自由があるサイドとして判別しなかった方のサイドを優先サイドとして設定するようにしてもよい。たとえば、片麻痺がある場合、非麻痺側に圧力がより大きくなる傾向が大きいので、この場合、左サイドと右サイドのうち、圧力がより大きいサイドを不自由があるサイドとして判別し、他方のサイドを優先サイドに設定することができる。
【0027】
または、たとえば、図3cに示すように、パーソナルモビリティ1の左右のアームレストをはね上げ式のアームレストとすると共にアームレストのはね上げの有無を検出するセンサ111を設け、左サイドと右サイドのうちのアームレストがはね上げられた頻度が大きい方のサイドを優先サイドに設定するようにしてもよい。
【0028】
さて、図2に戻り、走行システム112は、パワートレインとステアリングシステムを備える。パワートレインは、走行用のモータと動力伝達機構等から構成され、前輪もしくは後輪を回転して、パーソナルモビリティ1を前進させたり後進させたりする。そして、ステアリングシステムは、転舵機構と転舵機構駆動用のモータとを備え、前輪もしくは後輪の舵角を変更する。
【0029】
そして、走行制御部113は、走行システム112を制御してパーソナルモビリティ1の走行、進路変更、停止を制御する。
パーソナルモビリティ1は、手動運転モードと自動運転モードを備えており、手動運転モードのとき、走行制御部113は、ユーザの操作部101の操作に応じて走行システム112を動作させ、パーソナルモビリティ1の走行を制御する。また、走行制御部113は、カメラ109やLIDER110で検出した周囲状況に応じて、パーソナルモビリティ1に障害物を迂回させたりパーソナルモビリティ1を停車させる安全制御も行う。
【0030】
一方、自動運転モードが設定されたならば、走行制御部113は、施設内マップデータベース105の地図データに基づいて作成した、パーソナルモビリティ1が現在位置している施設のマップを生成してディスプレイ102に表示し、タッチパネル103を用いて、表示したマップ上へのタッチによる目的位置の指定を受け付ける。ここで、ディスプレイ102に表示する施設のマップは、施設内の各設備のレイアウトを含むものとする。
【0031】
ここで、走行制御部113は、パーソナルモビリティ1が走行により到達できる領域を到達可能領域として、到達可能領域内の位置を目的位置として受け付けることも、到達可能領域外の位置を目的位置として受け付けることもできる。したがって、たとえば、パーソナルモビリティ1が位置する施設が病院であり、ユーザが入院中の患者であるときに、ユーザは、病室の自身のベッド上の特定の位置を目的位置として指定したり、図書室の本棚の特定の位置を目的位置として指定したりすることができる。
【0032】
そして、走行制御部113は、目的位置を受け付けたならば、ナビゲーションシステム107に誘導経路の設定を要求する。
誘導経路の設定を要求されたナビゲーションシステム107は、誘導経路設定処理を行ってパーソナルモビリティ1の現在位置から目的位置に最寄の到達可能領域内の位置までの経路を探索して誘導経路として設定する。なお、目的位置が到達可能領域内の位置である場合、目的位置自身が目的位置に最寄の到達可能領域内の位置となる。
【0033】
図4に、ナビゲーションシステム107が行う誘導経路設定処理の手順を示す。
図示するように、誘導経路設定処理では、まず、走行制御部113がユーザから受け付けた目的位置が到達可能領域内の位置であるかどうかを調べる(ステップ402)。
そして、目的位置が到達可能領域内の位置であれば、現在位置を始点とし目的位置最寄の到達可能領域内の位置、すなわち、この場合は目的位置を終点とする、前進走行による経路を探索する(ステップ412)。ここで、前進走行による経路とは、現在位置からの出発時の方向転換以降は、パーソナルモビリティ1が前進走行で進む経路を指す。
【0034】
そして、探索した経路を誘導経路として表し、探索経路の各区間の前進走行/後進走行の識別を走行方向として表す誘導経路情報を設定し(ステップ414)、誘導経路設定処理を終了する。
【0035】
一方、ユーザから受け付けた目的位置が到達可能領域内の位置でなければ(ステップ402)、現在位置を始点とし目的位置最寄の到達可能領域内の位置を終点とし、終点到着時に、目的位置がパーソナルモビリティ1の優先サイド側に位置することとなる、前進走行による経路を探索する(ステップ404)。
【0036】
そして、探索が成功した場合には(ステップ406)、探索した経路を誘導経路として表し、探索経路の各区間の前進走行/後進走行の識別を走行方向として表す誘導経路情報を設定し(ステップ414)、誘導経路設定処理を終了する。
【0037】
一方、探索が失敗した場合には(ステップ406)、現在位置を始点とし目的位置最寄の到達可能領域内の位置を終点とし、終点到着時に、目的位置がパーソナルモビリティ1の優先サイド側に位置することとなる、最終走行区間以外が前進走行となり、最終走行区間が後進走行となる経路を探索する(ステップ408)。
【0038】
そして、探索が成功した場合には(ステップ410)、探索した経路を誘導経路として表し、探索経路の各区間の前進走行/後進走行の識別を走行方向として表す誘導経路情報を設定し(ステップ414)、誘導経路設定処理を終了する。
【0039】
一方、探索が失敗した場合には(ステップ410)、現在位置を始点とし目的位置最寄の到達可能領域内の位置を終点とする、前進走行による経路を探索し(ステップ412)、探索した経路を誘導経路として表し、探索経路の各区間の前進走行/後進走行の識別を走行方向として表す誘導経路情報を設定し(ステップ414)、誘導経路設定処理を終了する。
【0040】
なお、ステップ404、408、412の経路の探索においては、経路の候補が複数存在するときには、所要走行距離や所要走行時間などコストが最小となる経路を探索結果の経路として選定する。
【0041】
以上、ナビゲーションシステム107が行う誘導経路設定処理について説明した。
ここで、このような誘導経路設定処理による誘導経路の設定例を示す。
図5aに示すように、優先サイドとして右サイドが設定されているパーソナルモビリティ1の現在位置Sが、ビッフェ形式のレストラン内のテーブル近くであるときに、ユーザが料理D1の位置を目的位置として指定した場合、図示するように、料理D1の最寄りの到達可能領域内の位置までの前進走行による最短の経路Rは、到着時に料理D1が優先サイドである右サイド側となる前進走行による経路となるので、この経路Rが誘導経路に設定される。
【0042】
一方、図5bに示すように、パーソナルモビリティ1の現在位置Sが、ビッフェ形式のレストラン内のテーブル近くであるときに、ユーザが料理D2の位置を目的位置として指定した場合、図示するように、料理D2の最寄りの到達可能領域内の位置までの前進走行による最短の経路R1では、到着時に料理D2が優先サイドである右サイド側とならない。一方、より遠回りとなる前進走行による経路R2であれば、到着時に料理D2が優先サイドである右サイド側となるので、この経路R2が誘導経路に設定される。
【0043】
したがって、図5a、bのいずれの場合も、目的位置として指定した所望の料理の最寄りの到達可能領域内の位置への到着時に、ユーザに対して当該料理は、より自由または容易に扱えるサイドである優先サイド側となるので、ユーザは、そのまま向きの転換等を行うことなく、当該料理をより不自由なくピックアップすることができる。
【0044】
次に、図6aに示すように、室外にいるユーザが、室内のベッドB1の位置を目的位置として指定した場合、優先サイドとして左サイドが設定されている場合には、図示するように、ベッドB1の最寄りの到達可能領域内の位置までの、到着時にベッドB1が優先サイドである左サイド側となる前進走行による経路R3を設定可能であるので、この経路R3が誘導経路に設定される。
【0045】
一方、優先サイドとして右サイドが設定されている場合には、到着時にベッドB1が優先サイドである右サイド側となる前進走行による、ベッドB1の最寄りの到達可能領域内の位置までの経路は設定することができない。一方、図6bに示すように、ベッドB1の手前の位置まで前進走行し、ベッドB1の手前の位置で後進走行に切り替えて、ベッドB1の最寄りの到達可能領域内の位置まで後進走行する経路R4であれば、到着時にベッドB1が優先サイドである右サイド側となる経路となるので、この経路R4が誘導経路に設定される。
【0046】
したがって、図6a、bのいずれの場合も、目的位置として指定したベッド上の位置の最寄りの到達可能領域内の位置に到着時に、ユーザに対して当該ベッドは、より自由または容易に扱えるサイドである優先サイド側となるので、ユーザは、そのまま向きの転換等を行うことなく、パーソナルモビリティ1からベッドへの移動等をより不自由なく行うことができる。
【0047】
さて、図2に戻り、ナビゲーションシステム107によって、誘導経路情報が設定されたならば、走行制御部113は、誘導経路情報が表す誘導経路と、ナビゲーションシステム107が算出している現在位置に従って、施設内マップデータベース105の地図データを参照しながら、誘導経路に沿ってパーソナルモビリティ1が進行し、誘導経路終点で停車するように走行システム112を動作させることにより、パーソナルモビリティ1の誘導経路終点までの走行を制御する自動運転を行う。また、この自動運転の際には、前進走行によって経路を進行するか後進走行によって経路を進行するかを、誘導経路情報が表す各区間の走行方向に従って切り替える。
【0048】
すなわち、誘導経路として、前進走行により進行する経路が設定されているときには、当該パーソナルモビリティ1を、出発時の方向転換を除き全区間を前進走行させる。また、誘導経路として、出発時の方向転換を除き最終区間までの各区間は前進走行により進行し、最終区間を後進走行により進行する経路が設定されているときには、当該パーソナルモビリティ1を、出発時の方向転換を除き最終区間までの各区間は前進走行させると共に、最終区間を後進走行させる。
【0049】
また、自動運転モードにおいても、走行制御部113は、カメラ109やLIDER110で検出した周囲状況に応じて、パーソナルモビリティ1に障害物を迂回させたりパーソナルモビリティ1を停車させる安全制御を行う。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明した。
ここで、以上では、図4に示した誘導経路設定処理では、目的位置がパーソナルモビリティ1の優先サイド側に位置することとなる前進走行による経路の探索(ステップ404)に失敗したときに(ステップ406)、目的位置がパーソナルモビリティ1の優先サイド側に位置することとなる、最終走行区間以外が前進走行となり、最終走行区間が後進走行となる経路の探索(ステップ408)を行うようにしたが、これは、前進走行による経路の探索と最終走行区間が後進走行となる経路の双方を行って、探索されたいずれかの経路を誘導経路として設定するようにしてもよい。
【0051】
すなわち、たとえば、図4に示した誘導経路設定処理のステップ404-410を、前進走行による経路の探索と最終走行区間が後進走行となる経路の双方を行い、いずれの経路の探索にも失敗したときには、ステップ412に進み、一方の経路の探索のみ成功した場合には、当該探索に成功した経路を探索した経路としてステップ414に進み、双方の経路の探索が成功した場合には、よりコストの小さい経路を探索した経路としてステップ414に進む処理に置き換えてもよい。また、この場合において、双方の経路の探索が成功したときに、最終走行区間が後進走行となる経路のコストを所定の基準に従って本来のコストよりも大きくして、双方の経路のコストの比較を行うことにより、前進走行による経路がより誘導経路に設定されやすくなるようにしてもよい。
【0052】
ここで、以上の実施形態のパーソナルモビリティ1のナビゲーションシステム107の機能は、施設のサーバ側に備えてもよい。この場合、パーソナルモビリティ1は、ナビゲーションシステム107に代えて、無線通信装置108を介して施設のサーバのナビゲーションシステムの機能を利用する。
【符号の説明】
【0053】
1…パーソナルモビリティ、101…操作部、102…ディスプレイ、103…タッチパネル、104…優先サイド設定部、105…施設内マップデータベース、106…測位装置、107…ナビゲーションシステム、108…無線通信装置、109…カメラ、110…LIDER、111…センサ、112…走行システム、113…走行制御部、115…圧力センサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6