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特開2022-156634観察装置用照明装置、観察装置及び観察システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156634
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】観察装置用照明装置、観察装置及び観察システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/06 20060101AFI20221006BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G02B21/06
G02B5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060432
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大木 智之
(72)【発明者】
【氏名】岩根 哲晃
(72)【発明者】
【氏名】長江 聡史
【テーマコード(参考)】
2H052
2H148
【Fターム(参考)】
2H052AC30
2H052AC33
2H148AA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高い演色性及び高い輝度を維持ししつ、観察エリアの平面での均一性と、角度空間での均一性とを担保することが可能な観察装置用照明装置を提供する。
【解決手段】筐体と、筐体の底面にマウントされた複数の発光素子と、複数の発光素子の上方に設けられた蛍光体層と、を有する光源と、光源からの光を集光する光学系とを備え、各発光素子のFWHMの角度をθとし、発光素子の1辺の長さをdとし、互いに隣り合う発光素子の間隔の最大値をPとし、発光素子と蛍光体層との間の距離をLとし、筐体内の媒体の屈折率をnとし、蛍光体層の膜厚をTとし、蛍光体層の屈折率をnとしたとき、複数の発光素子は、下記の数式(1)を満こと。

【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、当該筐体の底面にマウントされた複数の発光素子と、当該複数の発光素子の上方に設けられた蛍光体層と、を有する光源と、
前記光源からの光を集光する光学系と、
を備え、
前記各発光素子のFWHMの角度をθとし、前記発光素子の1辺の長さをdとし、互いに隣り合う前記発光素子の間隔の最大値をPとし、前記発光素子と前記蛍光体層との間の距離をLとし、前記筐体内の媒体の屈折率をnとし、前記蛍光体層の膜厚をTとし、前記蛍光体層の屈折率をnとしたとき、前記複数の発光素子は、下記の数式(1)を満たすように設けられる、
観察装置用照明装置。
【数1】
【請求項2】
前記複数の発光素子は、下記の数式(2)を満たすように設けられる、
請求項1に記載の観察装置用照明装置。
【数2】
【請求項3】
前記複数の発光素子は、下記の数式(3)を満たすように設けられる、
請求項2に記載の観察装置用照明装置。
【数3】
【請求項4】
前記複数の発光素子は、発光ダイオード又はレーザダイオードからなる、請求項1に記載の観察装置用照明装置。
【請求項5】
白色光又は単一光を出射する、請求項1に記載の観察装置用照明装置。
【請求項6】
前記光学系は、
前記照明装置と試料との間に設けられた視野絞りと、
前記視野絞りと前記試料との間に設けられた開口絞りと、
前記照明装置と前記視野絞りとの間、前記視野絞りと前記開口絞りとの間、及び、前記開口絞りと前記試料との間に設けられた複数のレンズと、
を有する、請求項1に記載の観察装置用照明装置。
【請求項7】
前記光学系は、
前記照明装置と試料との間に設けられた開口絞りと、
前記照明装置と前記開口絞りとの間、及び、前記開口絞りと前記試料との間に設けられた複数のレンズと、
を有する、請求項1に記載の観察装置用照明装置。
【請求項8】
前記光学系は、
前記照明装置と前記開口絞りとの間に設けられた光均一化部材をさらに有する、
請求項6に記載の観察装置用照明装置。
【請求項9】
前記光均一化部材は、拡散板又はロッドインテグレータからなる、請求項8に記載の観察装置用照明装置。
【請求項10】
前記蛍光体層は、少なくとも1種以上の蛍光体を含む、請求項1に記載の観察装置用照明装置。
【請求項11】
前記蛍光体層は、互いに異なる波長帯域の光を放射する複数種の前記蛍光体を含む、請求項10に記載の観察装置用照明装置。
【請求項12】
前記光源は、生体試料に光を照射する、請求項1に記載の観察装置用照明装置。
【請求項13】
筐体と、当該筐体の底面にマウントされた複数の発光素子と、当該複数の発光素子の上方に設けられた蛍光体層と、を有する光源を備え、
前記各発光素子のFWHMの角度をθとし、前記発光素子の1辺の長さをdとし、互いに隣り合う前記発光素子の間隔の最大値をPとし、前記発光素子と前記蛍光体層との間の距離をLとし、前記筐体内の媒体の屈折率をnとし、前記蛍光体層の膜厚をTとし、前記蛍光体層の屈折率をnとしたとき、前記複数の発光素子は、下記の数式(1)を満たすように設けられる、
観察装置用照明装置。
【数4】
【請求項14】
筐体と、当該筐体の底面にマウントされた複数の発光素子と、当該複数の発光素子の上方に設けられた蛍光体層と、を有する光源と、
前記光源からの光を集光する光学系と、
を備え
前記筐体は、前記底面と対向するように設けられ、前記複数の発光素子からの光が外部へ出射する開口面を有し、
前記開口面の輝度分布において1つのピークが存在し、且つ、変曲点が存在しないように、前記複数の発光素子は前記底面に設けられている、
観察装置用照明装置。
【請求項15】
筐体と、当該筐体の底面にマウントされた複数の発光素子と、当該複数の発光素子の上方に設けられた蛍光体層と、を有する光源と、
前記光源からの光を集光する光学系と、
を備え
前記筐体は、前記底面と対向するように設けられ、前記複数の発光素子からの光が外部へ出射する開口面を有し、
前記開口面において前記各発光素子の配光範囲の一部が互いに重なり合うように、前記複数の発光素子は前記底面に設けられている、
観察装置用照明装置。
【請求項16】
光を照射する照明装置と
試料を拡大する対物レンズと、
を備え、
前記照明装置は、
筐体と、当該筐体の底面にマウントされた複数の発光素子と、当該複数の発光素子の上方に設けられた蛍光体層と、を有する光源と、
前記光源からの光を集光する光学系と、
を有し、
前記各発光素子のFWHMの角度をθとし、前記発光素子の1辺の長さをdとし、互いに隣り合う前記発光素子の間隔の最大値をPとし、前記発光素子と前記蛍光体層との間の距離をLとし、前記筐体内の媒体の屈折率をnとし、前記蛍光体層の膜厚をTとし、前記蛍光体層の屈折率をnとしたとき、前記複数の発光素子は、下記の数式(1)を満たすように設けられる、
観察装置。
【数5】
【請求項17】
接眼レンズをさらに備える、請求項16に記載の観察装置。
【請求項18】
撮像素子からなる撮像部をさらに備える、請求項16に記載の観察装置。
【請求項19】
生体試料を観察する観察装置と、当該観察装置を制御し、当該観察装置から得られた信号を処理するコンピュータとを含み、
前記観察装置は、光を照射する照明装置と、前記生体試料を撮像する撮像素子からなる撮像部と、を有し、
前記照明装置は、
筐体と、当該筐体の底面にマウントされた複数の発光素子と、当該複数の発光素子の上方に設けられた蛍光体層と、を有する光源と、
前記光源からの光を集光する光学系と、
を備え、
前記各発光素子のFWHMの角度をθとし、前記発光素子の1辺の長さをdとし、互いに隣り合う前記発光素子の間隔の最大値をPとし、前記発光素子と前記蛍光体層との間の距離をLとし、前記筐体内の媒体の屈折率をnとし、前記蛍光体層の膜厚をTとし、前記蛍光体層の屈折率をnとしたとき、前記複数の発光素子は、下記の数式(1)を満たすように設けられる、
観察システム。
【数6】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、観察装置用照明装置、観察装置及び観察システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、疾患の確定診断を担う病理診断方法として、病理標本(生体試料)を顕微鏡(観察装置)により確認しながら病理診断を行う従来の手法に加えて、病理標本をスキャナにより撮像し、画像をデジタル化して表示し、当該画像を参照して病理診断を行う手法が提案されている。そして、適切に病理診断を行うために診断に必要な情報が見落とされることがないよう、病理標本の観察エリアの全体を演色性の高い光スペクトルを持つ明るい光を均一に照射することが可能な顕微鏡用照明装置が求められている。
【0003】
病理標本等を観察する顕微鏡の照明装置としては、演色性の良さと輝度の高さとからランプ光源(ハロゲンランプやキセノンランプ)が広く使用されていた。しかしながら、このようなランプ光源は、寿命が短いことからランニングコストがかかるため、近年、白色LED(Light Emitting Diode)光源が用いられるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-41156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記光源として例えば白色LED光源を用いた場合、寿命が長くなるものの、観察エリアの全体を演色性の高い光スペクトルを持つ明るい光を均一に照射することが難しい。
【0006】
そこで、本開示では、高い演色性及び高い輝度を維持ししつ、観察エリアの平面での均一性と、角度空間での均一性とを担保することが可能な、観察装置用照明装置、観察装置及び観察システムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、筐体と、当該筐体の底面にマウントされた複数の発光素子と、当該複数の発光素子の上方に設けられた蛍光体層と、を有する光源と、前記光源からの光を集光する光学系と、を備え、前記各発光素子のFWHMの角度をθとし、前記発光素子の1辺の長さをdとし、互いに隣り合う前記発光素子の間隔の最大値をPとし、前記発光素子と前記蛍光体層との間の距離をLとし、前記筐体内の媒体の屈折率をnとし、前記蛍光体層の膜厚をTとし、前記蛍光体層の屈折率をnとしたとき、前記複数の発光素子は、下記の数式(1)を満たすように設けられる、観察装置用照明装置が提供される。
【数1】
【0008】
また、本開示によれば、光を照射する照明装置と試料を拡大する対物レンズとを備え、前記照明装置は、筐体と、当該筐体の底面にマウントされた複数の発光素子と、当該複数の発光素子の上方に設けられた蛍光体層とを有する光源と、前記光源からの光を集光する光学系と、を有し、前記各発光素子のFWHMの角度をθとし、前記発光素子の1辺の長さをdとし、互いに隣り合う前記発光素子の間隔の最大値をPとし、前記発光素子と前記蛍光体層との間の距離をLとし、前記筐体内の媒体の屈折率をnとし、前記蛍光体層の膜厚をTとし、前記蛍光体層の屈折率をnとしたとき、前記複数の発光素子は、下記の数式(1)を満たすように設けられる、観察装置が提供される。
【数2】
【0009】
さらに、本開示によれば、生体試料を観察する観察装置と、当該観察装置を制御し、当該観察装置から得られた信号を処理するコンピュータとを含み、前記観察装置は、光を照射する照明装置と、前記生体試料を撮像する撮像素子からなる撮像部とを有し、前記照明装置は、筐体と、当該筐体の底面にマウントされた複数の発光素子と、当該複数の発光素子の上方に設けられた蛍光体層と、を有する光源と、前記光源からの光を集光する光学系とを備え、前記各発光素子のFWHMの角度をθとし、前記発光素子の1辺の長さをdとし、互いに隣り合う前記発光素子の間隔の最大値をPとし、前記発光素子と前記蛍光体層との間の距離をLとし、前記筐体内の媒体の屈折率をnとし、前記蛍光体層の膜厚をTとし、前記蛍光体層の屈折率をnとしたとき、前記複数の発光素子は、下記の数式(1)を満たすように設けられる、観察システムが提供される。
【数3】
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態に係る観察システム10の構成例を示すブロック図である。
図2】比較例に係る照明部102aの構成例を示す図である。
図3】比較例に係る光源500aの構成例を示す図である。
図4】比較例に係る光源500aの輝度分布のシミュレーション結果を示す図である。
図5】本開示の実施形態に係る発光素子522から放射される光の放射強度分布を示す図である。
図6】本開示の実施形態に係る光源500の構成例を示す図(その1)である。
図7】本開示の実施形態に係る光源500の構成例を示す図(その2)である。
図8】本開示の実施形態に係る照明部102の構成例を示す図である。
図9】本開示の実施形態に係る光源500の輝度分布のシミュレーション結果を示す図(その1)である。
図10】本開示の実施形態に係る光源500の輝度分布のシミュレーション結果を示す図(その2)である。
図11】顕微鏡システムの全体構成を概略的に示す図である。
図12】撮像方式の例を示す図である。
図13】撮像方式の例を示す図である。
図14】診断支援システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、本明細書及び図面において、実質的に同一又は類似の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合がある。ただし、実質的に同一又は類似の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
【0012】
なお、以下の説明においては、生体(例えば、人体、植物等)から取得された、組織(例えば、臓器や上皮組織)の一部である組織切片や細胞のことを生体試料と呼ぶ。なお、以下に説明する生体試料は、必要に応じて各種の染色が施されていてもよい。言い換えると、以下に説明する各実施形態においては、特に断りがない限りは、生体試料に各種の染色が施されていなくてもよい。さらに、例えば、染色には、HE(ヘマトキシリン・エオシン)染色、ギムザ染色又はパパニコロウ染色等に代表される一般染色のみならず、特定の組織に着目する場合に用いる過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色等や、FISH(Fluorescence In-Situ Hybridization)や酵素抗体法等の蛍光染色が含まれる。
【0013】
また、説明は以下の順序で行うものとする。
1. 本開示の実施形態を創作するに至る背景
1.1 観察システム
1.2 スキャナ
1.3 背景
2. 実施形態
2.1 光源
2.2 光学系
3. まとめ
4. 応用例
4.1 顕微鏡システム
4.2 病理診断システム
5. 補足
【0014】
<<1. 本開示の実施形態を創作するに至る背景>>
<1.1 観察システム>
まずは、本開示の実施形態を説明する前に、図1を参照して、本開示の第1の実施形態に係る観察システム10の構成例を説明する。図1は、本開示の実施形態に係る観察システム10の構成例を示すブロック図である。本実施形態に係る観察システム10は、生体試料(例えば、細胞組織等)を搭載するスライド300に対して、デジタル撮影を行うスキャナシステムである。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る観察システム10は、スキャナ(観察装置)100と、画像処理装置200とを含むことができる。なお、スキャナ100と画像処理装置200との間は、互いに有線又は無線の各種の通信ネットワークを介して通信可能に接続してもよい。また、本実施形態に係る観察システム10に含まれるスキャナ100及び画像処理装置200は、図1に図示された数に限定されるものではなく、さらに多く含んでいてもよい。さらに、本実施形態に係る観察システム10は、図示しない他のサーバや装置等を含んでいてもよい。以下に、本実施形態に係る観察システム10に含まれる各装置の概要について説明する。
【0016】
(スキャナ100)
スキャナ100は、スキャナ100のステージ108上に載置された、生体試料のスライド300に対して所定の照明光を照射して、当該スライド300を透過した光、又は、当該スライド300からの発光等を撮影(撮像)することができる。例えば、スキャナ100は、生体試料を拡大して撮影することができる、拡大鏡(図示省略)及びデジタルカメラ(図示省略)等からなる顕微鏡であることができる。なお、スキャナ100は、例えば、スマートフォン、タブレット、ゲーム機、又は、ウェアラブル装置等、撮影機能を有するあらゆる装置によって実現されてもよい。さらに、スキャナ100は、後述する画像処理装置200によって駆動制御されており、スキャナ100が撮影した画像は、例えば、上記画像処理装置200に保存される。なお、スキャナ100の詳細構成については、後述する。
【0017】
(画像処理装置200)
画像処理装置200は、スキャナ100を制御し、且つ、スキャナ100が撮影した画像(信号)を処理する機能を有する装置である。詳細には、画像処理装置200は、スキャナ100を制御して、生体試料のデジタル画像を撮影するとともに、得られたデジタル画像に対して、所定の画像処理を実施する。画像処理装置200は、PC(Personal Computer)、タブレット、スマートフォン等、制御機能及び画像処理機能を有するあらゆる装置により実現される。例えば、画像処理装置200は、複数の画像に対してステッチング処理を施し広域画像を生成したり、取得した画像を教師データとして使用して機械学習を行い、学習モデルを生成したりしてもよい。また、画像処理装置200はこのように生成された学習モデルを用いて、推定や診断等を行ってもよい。
【0018】
なお、本実施形態においては、スキャナ100及び画像処理装置200は、一体の装置であってもよく、すなわち、それぞれ単一の装置によって実現されていなくてもよい。また、本実施形態においては、上述のスキャナ100及び画像処理装置200のそれぞれは、有線又は無線の各種の通信ネットワークを介して接続され、互いに協働する複数の装置によって実現されてもよい。さらに、上述した画像処理装置200は、例えば後述するコンピュータのハードウェア構成によって実現することができる。
【0019】
<1.2 スキャナ>
さらに、図1を参照して、本実施形態に係るスキャナ100の詳細構成を説明する。図1に示すように、スキャナ100は、照明部102と、センサ部(撮像部)104と、制御部106と、ステージ108とを主に有することができる。以下に、スキャナ100の各機能ブロックについて順次説明する。
【0020】
(照明部102)
照明部102は、ステージ108の、スライド300が配置され得るスライド配置面とは逆の面側に設けられ、後述する制御部106の制御に従って、生体試料のスライド300に対して照明光を照射することができる照明装置である。また、照明部102は、照明部102から照射された照明光を集光して、ステージ108上のスライド300に導く、例えばレンズ(光学系)(図示省略)等を有していてもよい。なお、照明部102の詳細構成については、後述する。
【0021】
(センサ部104)
センサ部104は、ステージ108のスライド配置面側に設けられ、例えば、色の3原色である、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光を検知するカラーセンサである。より具体的には、センサ部104は、例えば、対物レンズ(図示省略)と、撮像素子(図示省略)とを有することができる。そして、センサ部104は、後述する制御部106の制御に従って、生体試料をデジタル撮影(撮像)し、撮影によるデジタル画像を画像処理装置200へ出力することができる。
【0022】
詳細には、上記対物レンズ(図示省略)は、ステージ108のスライド配置面側に設けられ、生体試料を拡大して撮影することを可能にする。すなわち、ステージ108上に配設されたスライド300を透過した透過光は、当該対物レンズによって集光されて、対物レンズの後方(言い換えると、照明光の進行方向)に設けられた撮像素子(図示省略)に結像することとなる。
【0023】
そして、上記撮像素子(図示省略)には、当該撮像素子の画素サイズ及び対物レンズ(図示省略)の倍率に応じて、ステージ108のスライド配置面上における所定の横幅及び縦幅からなる撮影範囲の像が結像される。なお、対物レンズにより生体試料の一部が拡大される場合には、上述の撮影範囲は、撮像素子の撮影範囲に比べて十分に狭い範囲となる。より具体的には、上記撮像素子は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子により実現することができる。
【0024】
なお、本実施形態においては、センサ部104は、生体試料を、対物レンズ等を介さずに直接撮影してもよいし、対物レンズ等を介して撮影してもよく、特に限定されるものではない。
【0025】
(制御部106)
制御部106は、スキャナ100の動作を統括的に制御することができ、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等により実現される処理回路を含む。例えば、制御部106は、上述した照明部102及びセンサ部104を制御することができる。さらに、制御部106は、ステージ108を様々な方向に移動させるステージ駆動機構(図示省略)を制御してもよい。
【0026】
例えば、制御部106は、画像処理装置200から出力されたコマンドに従って、センサ部104の撮影回数Nや撮影時間を制御してもよい。より具体的には、制御部106は、所定の間隔を空けて断続的に撮影回数Nの撮影を行うようセンサ部104を制御してもよい。また、制御部106は、照明部102から照射される照明光の波長、照射強度又は照射時間を制御してもよい。さらに、制御部106は、予め設定された関心領域(ROI:Region of Interest)が撮像されるよう、関心領域に従って、ステージ108を様々な方向に移動させるステージ駆動機構(図示省略)を制御してもよい。なお、ここでいう関心領域とは、生体試料のうち、ユーザが解析等のために注目する領域(対象となる領域)のことを意味する。
【0027】
(ステージ108)
ステージ108は、スライド300が載置される載置台である。さらに、ステージ108には、ステージ108を様々な方向に移動させるためのステージ駆動機構(図示省略)が設けられていてもよい。例えば、当該ステージ駆動機構を制御することにより、ステージ108を、スライド配置面に対して平行となる方向(X軸-Y軸方向)と、直交する方向(Z軸方向)とに自由に移動させることができる。また、本実施形態においては、ステージ108には、スライド300をステージ108に搬送するサンプル搬送装置(図示省略)が設けられていてもよい。かかる搬送装置を設けることで、ステージ108に、撮影予定のスライド300が自動的に載置されるようになり、スライド300の入れ替えを自動化することが可能となる。
【0028】
<1.3 背景>
次に、図2から図4を参照して、本発明者らが本開示の実施形態を創作するに至る背景について説明する。図2は、比較例に係る照明部102aの構成例を示す図であり、図3は、比較例に係る光源500aの構成例を示す図であり、図4は、比較例に係る光源500aの輝度分布のシミュレーション結果を示す図である。なお、ここで、比較例とは、本発明者らが本開示の実施形態をなす前に、検討を重ねていた照明部や光源のことを意味するものとする。
【0029】
先に説明したように、近年、疾患の確定診断を担う病理診断方法として、病理標本をスキャナ100により撮像し、画像をデジタル化して表示し、当該画像を参照して病理診断を行う手法が提案されている。そして、このような状況において、適切に病理診断を行うために診断に必要な情報が見落とされることがないよう、病理標本の観察エリアの全体を演色性の高い光スペクトル(例えば、Color Rendering Index(CRI)が90以上)を持つ明るい光を均一に照射することが可能な照明部(照明装置)が求められている。
【0030】
詳細には、上記照明部に対しては、観察エリアの平面での均一性(観察エリアにスクリーンを置いたときに映る光の像の面内分布が均一であること)と、角度空間での均一性(観察エリアに照射されている光の放射角分布のピーク形状がランバート分布に近いこと)とが担保されていることが求められる。なお、ここでランバート分布とは、光を放射する発光体の発光面の輝度が、見る角度によらず一定である場合の光の強度分布であり、放射光の強度が、発光面の法線と当該放射光とがなす角度の余弦に比例する。
【0031】
また、これまで、病理標本等を観察する顕微鏡の光源としては、演色性の良さと輝度の高さとからランプ光源(ハロゲンランプやキセノンランプ)が広く使用されていた。しかし、先に説明したように、このようなランプ光源は、寿命が短いことからランニングコストがかかるため、近年、白色LED光源が用いられるようになってきている。しかしながら、白色LED光源は、ランプ光源と比較して、長い寿命を持つが、一方で、演色性がよいものは輝度が低い。そこで、従来技術においては、LED光源で使用されるLED素子(発光素子)の数を増やし輝度を高くしたり、蛍光体の種類を増加させたりして演色性を向上させるようにしている。
【0032】
特に、演色性(色合い)は、従来のランプ光源で培われてきた病理診断での見え方と直結しているため、病理診断においては非常に重要な要素である。演色性は、照明装置等が対象物に光を照射した際に、当該対象物の色の見え方に及ぼす照明装置等の性質を示し、一般的には、太陽光下での対象物の見え方に近いことが好ましいとされている。詳細には、演色性は、CRIと呼ばれる指標で示され、太陽光ではCRIが100となっており、太陽光下での対象物の見え方に近いほど、CRIが100に近づくこととなる。
【0033】
例えば、比較例に係る照明部102aは、図2に示すように、病理標本等の生体試料が搭載されたスライド300に対して、均一、且つ、高い演色性を持つ光を照射するために、複数のレンズ402等を含む光学系400aと、光源500aとを含む。以下、比較例に係る照明部102aの各ブロックの詳細を説明する。
【0034】
(光学系400a)
光学系400aは、図2に示すように、レンズ402a、402b、402cと、視野絞り412と、開口絞り414とで構成されるケーラー照明であり、さらに、より均一な光を照射するために拡散板420を含む。
【0035】
詳細には、上記ケーラー照明においては、コンデンサレンズ(図2では、レンズ402c)の焦点が、集光レンズ(図2では、レンズ402a)及びリレーレンズ(図2では、レンズ402b)を通して、光源(図2では、光源500)の像が結像される点に一致するように、コンデンサレンズと集光レンズとリレーレンズとは配置され、さらに、一致する点には、開口絞り414が配置される。また、リレーレンズの焦点が、コンデンサレンズを通して被写体の像が結像される点に一致するよう、コンデンサレンズとリレーレンズとは配置され、集光レンズとリレーレンズの間に、視野絞り412が配置される。このようなケーラー照明では、均一な光を照射するだけなく、光源からの光を直接照射することがないため、被写体と光源との距離を離すことができるため、被写体への光源からの熱の影響を抑制することができる。また、ケーラー照明では、レンズ等を調整することで、倍率を調整することができることから、光源を小さなものにすることができる。
【0036】
より具体的には、図2の光源500a側から順に光学系400aを説明すると、レンズ402aは、光源500a側に設けられ、光源500aからの光束を略平行光とすることができる。拡散板420は、レンズ402aの上方に設けられ、光を拡散することにより均一化することができる。視野絞り412は、拡散板420の上方に設けられ、照明範囲を調整することができる。さらに、視野絞り412は、不必要な光をカットするため、フレアやゴースト等の発生を抑制し、鮮明な視野を得ることができる。また、レンズ402bは、視野絞り412の上方に設けられ、上記略平行光を収束させることができる。開口絞り414は、レンズ402bの上方に設けられ、明るさを調整することができる。さらに、レンズ402cは、開口絞り414の上方に設けられ、集光を再び略平行光とすることができる。
【0037】
なお、比較例では、均一な光を得るために拡散板420を設けている。また、比較例の光学系400aは、上述のようなケーラー照明であることに限定されるものではなく、コンデンサレンズ402cを含まないクリティカル照明であってもよい。
【0038】
(光源500a)
次に、図3を参照して、比較例に係る光源500aを説明する。光源500aは、白色光や単一光を出射する照明装置である。詳細には、図3に示すように、光源500aは、筐体510と、複数の発光素子(例えば、LEDチップ)522と、蛍光体層524とを有する。
【0039】
詳細には、当該筐体510は、上面が開口(以下の説明では、開口面510bと呼ぶ)しており、当該開口面510bと対向する底面(基板)510aの内側上に複数の発光素子522がマウントされている。発光素子522は、電圧を印加することにより発光するダイオードであり、半導体基板(図示省略)上に設けられた電極(図示省略)や発光層(図示省略)等からなる。さらに、光源500aは、輝度を高めるために複数の発光素子522を有することが好ましい。
【0040】
また、蛍光体層524は、複数の発光素子522の上方に設けられ、発光素子522からの光を吸収し、異なる波長域の光を放射することができる。そして、蛍光体層524は、1種類以上の蛍光体を含むが、演色性を向上させるために複数種の蛍光体を含むことが好ましい。なお、複数種の蛍光体は、互いに異なる波長域の光を放射する。
【0041】
そして、当該光源500aにおいては、複数の発光素子522から放射された光や、発光素子522からの光を吸収することで蛍光体層524から放射された光は、底面510aと対向するように設けられた開口面510bを介して、筐体510の外部へ出射する。すなわち、開口面510bは、光源500aの発光面であるといえる。
【0042】
先に説明したように、光源500aの演色性を向上させるために、蛍光体層524は多種の蛍光体を含む。そして、多種の蛍光体を含むことから、光源500aの輝度が低下してしまうこととなる。そこで、比較例においては、輝度の低下を抑えるために、発光素子522の数を多くしたり、発光素子522のチップサイズを大きくしたりすることで対処している。
【0043】
しかしながら、発光素子522の数を増加させると、光源500aの発光面(開口面510b)での輝度分布が不均一となるため、比較例に係る照明部102aにより、観察エリアの平面での均一性と、角度空間での均一性とを担保することが難しくなる。詳細には、比較例においては、光源500aを小型化するために、蛍光体層524の膜厚を薄くし、且つ、蛍光体層524と発光素子522との間の距離を短くしている。このような小型化も起因して、図4に示す、光源500aの発光面(開口面510b)での輝度分布のシミュレーション結果からわかるように、発光素子522の像が認識できるような輝度分布を示す。
【0044】
すなわち、比較例においては、発光素子522の数だけ輝度のピークが生じることから、光源500aの発光面での輝度分布が不均一となる。その結果、このような光源500aを用いた場合、照明部102aにより、観察エリアの平面での均一性と、角度空間での均一性とを担保することが難しくなる。また、比較例においては、このような光源500aの輝度分布の不均一を改善するために、光学系400aにおいて拡散板420を用いているが、拡散板420による改善効果にも限界がある。
【0045】
そこで、本発明者らは、このような状況において光源500を鋭意検討し、発光素子522と蛍光体層524とを関係性に着目することで、光源500の発光面(開口面510b)での輝度分布を均一することができる、以下に説明する本開示の実施形態を創作するに至った。以下、本発明者らは創作した本開示の実施形態の詳細を順次説明する。
【0046】
<<2. 実施形態>>
<2.1 光源>
まずは、図5から図7を参照して、本開示の実施形態に係る光源500の詳細構成を説明する。図5は、本実施形態に係る発光素子522から放射される光の放射強度分布(放射角)を示す図であり、図6及び図7は、本実施形態に係る光源500の構成例を示す図である。詳細には、図6の上段においては、光源500の平面視を示し、図6の下段においては、上段に示されるA-A´線で切断した光源500の断面を示す。さらに、図7は、光源500の断面の一部と、各要素の位置関係や長さ等の情報とを示し、図中の太線は、光の進む方向を示す。
【0047】
なお、本実施形態においては、使用する発光素子522から放射される光の配光特性は、図5に示されるような分布をしているものとし、その放射光の強度が最大強度の50%となる際(Full Width at Half Maximum(FWHM))の角度をθとする。
【0048】
詳細には、図6に示すように、比較例と同様に、本実施形態に係る光源500は、白色光又は単一光を出射する照明装置であって、筐体510と、複数の発光素子(LEDチップ)522と、蛍光体層524とを有する。当該筐体510は、上面が開口(開口面510bと呼ぶ)しており、当該開口面510bと対向する底面(基板)510aの内側上に複数の発光素子522がマウントされている。
【0049】
発光素子522は、電圧を印加することにより発光する発光ダイオード又はレーザダイオードであって、先に説明したように、図5に示すような放射光の強度分布(放射角)を有するものとする。また、発光素子522は、半導体基板(図示省略)上に設けられた電極(図示省略)や発光層(図示省略)等からなり、ここではその1辺の長さをdとする(図7 参照)。詳細には、本実施形態においては、図6の上段に示すように、5つの発光素子522が底面510a上に配置されている。より具体的には、底面510aの中心に位置する1つの発光素子522に対して点対称になるように4つの発光素子522が底面510aの同一円周上に配置されている。なお、本実施形態においては、発光素子522の数は5つに限定されるものではなく、複数個であればよい。また、本実施形態においては、複数の発光素子522は、底面510aの中心に対して点対象になるように配置されることが好ましく、さらに、後述するような条件を満たすように配置されることとなる。なお、本実施形態においては、互いに隣り合う発光素子522の間隔の最大値をPとし、筐体510内の発光素子522と蛍光体層524との間に充填された媒体512(例えば、空気)の屈折率をnとする(図7 参照)。
【0050】
蛍光体層524は、比較例と同様に、図6の下段に示すように、複数の発光素子522の上方に設けられ、発光素子522からの光を吸収し、異なる波長域の光を放射することができる。さらに、蛍光体層524は、少なくとも1種類以上の蛍光体を含み、さらに、演色性の向上させるために複数種の蛍光体を含むことが好ましい。複数種の蛍光体は、互いに異なる波長帯域の光を放射する。なお、本実施形態においては、発光素子522と蛍光体層524との間の距離をLとし、蛍光体層524の膜厚をTとし、屈折率をnとする(図7 参照)。
【0051】
そして、本実施形態においても、比較例と同様に、複数の発光素子522から放射された光や、発光素子522からの光を吸収することで蛍光体層524から放射された光を筐体510の外部へ出射するために、底面510aと対向するように開口する開口面510bが設けられている。すなわち、開口面510bは、比較例と同様に、光源500の発光面であるといえる。
【0052】
さらに、本実施形態においては、光源500の発光面(開口面510b)での輝度分布を均一するために、開口面510bにおいて、各発光素子522からの光が拡散する範囲である配光範囲(FWHMの4分の1)の一部が互いに重なり合うように、複数の発光素子522が底面510aにマウントされている。すなわち、本実施形態においては、以下の条件を満たすことで、発光面(開口面510b)において各発光素子522の配光範囲の一部が互いに重なり合うようにすることができる。
【0053】
詳細には、本実施形態においては、図7に示すように、各発光素子522の放射強度のFWHMをθとし、各発光素子522の1辺の長さをdとし、互いに隣り合う発光素子522の間隔の最大値をPとし、発光素子522と蛍光体層524との間の距離をLとし、筐体510内の媒体512の屈折率をnとし、蛍光体層524の膜厚をTとし、蛍光体層524の屈折率をnとする。このような場合、本実施形態においては、2つの媒質中の光の伝播速度と入射角及び屈折角の関係を表した法則であるスネルの法則に基づき(具体的には、nsinβ=nsinβ、光源500は、下記の数式(1)で示す条件を満たすような構成であることが求められる。なお、βは媒体512の屈折角、βは蛍光体層524の屈折角である。
【数4】
【0054】
言い換えると、本実施形態においては、光源500を上記の数式(1)を満たすような構成にすることにより、発光面(開口面510b)において各発光素子522の配光範囲の一部が互いに重なり合うようにすることができる(配光)ことから、結果として、光源500の発光面での輝度分布を均一することができる。
【0055】
なお、βは、各発光素子522の間隔に対する制限から(1/10)×θよりも大きいことが好ましく、また、蛍光体層524の膜厚Tにより、(1/2)×θよりも小さいことが好ましい。
【0056】
さらに、本実施形態においては、光源500からの熱、輝度、サイズ等のバランスを鑑みると、βは、(1/5)×θよりも大きく、(1/3)×θよりも小さいことがより好ましい。なお、シミュレーション及び実験では、βが(1/4)×θの際に、良い結果を得ることができた。
【0057】
また、発光素子522の熱による影響を抑制するために、各発光素子522の1辺の長さdと発光素子522の間隔の最大値Pとの関係は、発光素子522を離すために、P>dであることが好ましく、P>2dであることがより好ましく、P>4dであることがさらに好ましい。
【0058】
さらに、光源500を小型化したい場合や蛍光体層524を薄くしたい場合は、各発光素子522の1辺の長さdと、発光素子522の間隔の最大値Pとの関係は、P<5dが好ましい。
【0059】
本実施形態においては、上記数式(1)で示されるαは、1以上であって、配光範囲の重なりが十分になるように、例えば1.4以上であることが好ましい。例えば、θを120度とし、βを(1/4)×θとし、dを0.35mmとし、Pを√2mmをとし、Lを0.1mmとし、nを1とし、Tを0.7mmとし、nを1.8とすることで、αを1.4とすることができる。
【0060】
<2.2 光学系>
次に、図8を参照して、本開示の実施形態に係る光学系400の詳細構成を説明する。図8は、本実施形態に係る照明部102の構成例を示す図である。詳細には、本実施形態においては、図8に示すように、比較例と同様に、光学系400は、レンズ402a、402b、402cと、視野絞り412と、開口絞り414とで構成されるケーラー照明であることができる。しかしながら、本実施形態においては、本実施形態に係る光源500からの光が均一であることから、比較例と異なり、拡散板420を設けることは必要とされない。なお、光学系400の各要素については、比較例と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0061】
なお、本実施形態においては、光学系400は、上述のようなケーラー照明であることに限定されるものではなく、視野絞り412を含まないクリティカル照明であってもよい。詳細には、光学系400は、光源500とスライド300との間に設けられた開口絞り414と、光源500と開口絞り414との間、及び、開口絞り414とスライド300との間に設けられた複数のレンズ402とを有するクリティカル照明であってもよい。
【0062】
すなわち、本実施形態においては、光学系400は、光源500からの光が開口絞り414の開口内に投影されるような構成を持つ。なお、本実施形態においては、照明部102からの光の均一性をより向上させたい場合には、光源500と開口絞り414との間に、ホモジナイザー(光均一化部材)(図示省略)を設けてもよい。例えば、ホモジナイザーは、拡散板420又はロッドインテグレータ(図示省略)等であることができる。
【0063】
以上のような構成を持つ本実施形態に係る光源500によれば、発光面(開口面510b)での輝度分布を均一することができる。詳細には、本開示の実施形態に係る光源500の発光面での輝度分布のシミュレーション結果を示す図である図9に示すように、発光素子522の像が認識できない、言い換えると、発光素子522の数だけ輝度のピークが生じることもなく、輝度分布が均一となる。すなわち、本実施形態によれば、発光面(開口面510b)の輝度分布において、1つのピークが存在し、且つ、変曲点が存在しない。従って、光源500の発光面での輝度分布は、従来使用されていたランプ光源と同等となる。なお、図9に示す結果は、θを120度とし、βを(1/4)×θとし、dを0.35mmとし、Pを√2mmをとし、Lを0.1mmとし、nを1とし、Tを0.7mmとし、nを1.8とした場合の結果であり、上記数式(1)のαは1.4となっている。
【0064】
一方、上記数式(1)のαを0.5とした場合を説明する。αが0.5の場合の、本開示の実施形態に係る光源500の発光面での輝度分布のシミュレーション結果を示す図である図10では、発光素子522の像が認識できる。すなわち、αが0.5では、発光素子522の数だけ輝度のピークが生じ、輝度分布が均一ではない。なお、図10に示す結果は、θを120度とし、βを(1/4)×θとし、dを0.35mmとし、Pを√2mmをとし、Lを0.1mmとし、nを1とし、Tを0.7mmとし、nを1.8とした場合の結果であり、上記数式(1)のαは0.5となっている。
【0065】
すなわち、本実施形態によれば、光源500の発光面での輝度分布を均一することができる。従って、本実施形態に係る光源500を用いることにより、照明部102によって観察エリアの平面での均一性と、角度空間での均一性とを担保することが可能となる。
【0066】
<<3. まとめ>>
以上のように、本開示の実施形態においては、蛍光体の種類の増加により減少した輝度を向上させるために発光素子522の数を増やしても、光源500の発光面での輝度分布を均一することができる。従って、本実施形態に係る光源500を用いることにより、高い演色性及び高い輝度を維持ししつ、観察エリアの平面での均一性と、角度空間での均一性とを担保することが可能となる。加えて、本実施形態においては、高い光量の光を観察エリアに照射することができることから、センサ部104の撮像素子(図示省略)のゲインを上げる必要がなくなるため、センサ部104で捉えた画像にノイズが発生することを抑制することができる。また、本実施形態によれば、光源500からの光が均一であることから、拡散板420を設けることは必要とせず、その結果、光学系400の製造コストの増加を抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態の光源500を、観察システム10のスキャナ100の照明装置として用いた場合には、得られた画像の品質が高いため、例えば、複数の画像に対してステッチング処理を施した際、画像の境界に違和感を与えることのない広域画像を生成することができる。また、取得した画像を教師データとして使用して機械学習を行った際も、教師データとして使用される画像の品質が高いため、精度の高い学習モデルを得ることができる。さらには、このような学習モデルを使用して、高精度に推定や診断等を行うことができる。
【0068】
なお、本実施形態に係る照明部(照明装置)102は、上述のようなスキャナ100に適用されることに限定されるものではなく、例えば、対物レンズ(図示省略)や接眼レンズ(図示省略)と組み合わされて光学顕微鏡(図示省略)の照明装置として用いられてもよい。また、上記スキャナ100は、上述したような観察システム10に用いられることに限定されるものではなく、単独で使用されてもよい。
【0069】
なお、上述した本開示の実施形態においては、観察対象は、生体試料に限定されるものではない。また、上述した本開示の実施形態は、医療又は研究等の用途へ適用することに限定されるものではなく、画像を用いて高精度の解析等を行うことが求められるような工業用顕微鏡等の用途であれば、特に限定されるものではない。
【0070】
<<4. 応用例>>
<4.1 顕微鏡システム>
また、本開示に係る技術は、例えば、顕微鏡システム等に適用されることができる。以下、図11を参照して、適用され得る顕微鏡システムの構成例について説明する。図11は、顕微鏡システムの構成例を示す。
【0071】
図11に示される顕微鏡システム5000は、顕微鏡装置5100、制御部5110、及び情報処理部5120を含む。顕微鏡装置5100は、光照射部5101、光学部5102、及び、信号取得部5103を有している。顕微鏡装置5100は、さらに、生体由来試料Sが配置される試料載置部5104を有していてもよい。なお、顕微鏡装置の構成は、図11に示されるものに限定されず、例えば、光照射部5101は、顕微鏡装置5100の外部に存在してもよく、例えば、顕微鏡装置5100に含まれない光源が光照射部5101として利用されてもよい。また、光照射部5101は、光照射部5101と光学部5102とによって試料載置部5104が挟まれるように配置されていてよく、例えば、光学部5102が存在する側に配置されてもよい。顕微鏡装置5100は、明視野観察、位相差観察、微分干渉観察、偏光観察、蛍光観察、及び暗視野観察のうちの1又は2以上を実行することができるように構成されてよい。
【0072】
顕微鏡システム5000は、いわゆるWSI(Whole Slide Imaging)システム又はデジタルパソロジーイメージングシステムとして構成されてよく、病理診断のために用いられうる。また、顕微鏡システム5000は、蛍光イメージングシステム、特には多重蛍光イメージングシステムとして構成されてもよい。
【0073】
例えば、顕微鏡システム5000は、術中病理診断又は遠隔病理診断を行うために用いられてよい。当該術中病理診断においては、手術が行われている間に、顕微鏡装置5100が、当該手術の対象者から取得された生体由来試料Sのデータを取得し、そして、当該データを情報処理部5120へと送信し得る。当該遠隔病理診断においては、顕微鏡装置5100は、取得した生体由来試料Sのデータを、顕微鏡装置5100とは離れた場所(別の部屋又は建物など)に存在する情報処理部5120へと送信し得る。そして、これらの診断において、情報処理部5120は、当該データを受信し、出力する。さらに、出力されたデータに基づき、情報処理部5120のユーザが、病理診断を行い得る。
【0074】
(生体由来試料S)
生体由来試料Sは、生体成分を含む試料であってもよい。当該生体成分は、生体の組織、細胞、生体の液状成分(血液や尿等)、培養物、又は生細胞(心筋細胞、神経細胞、及び受精卵など)であってもよい。また、生体由来試料は、固形物であってもよく、パラフィンなどの固定試薬によって固定された標本又は凍結により形成された固形物であってもよい。当該生体由来試料は、当該固形物の切片であり得る。当該生体由来試料の具体的な例として、生検試料の切片を挙げることができる。
【0075】
上記生体由来試料は、染色又は標識などの処理が施されたものであってもよい。当該処理は、生体成分の形態を示すための又は生体成分が有する物質(表面抗原など)を示すための染色であってもよく、HE(Hematoxylin-Eosin)染色、免疫組織化学(Immunohistochemistry)染色等を挙げることができる。また、生体由来試料は、1又は2以上の試薬により前記処理が施されたものであってよく、当該試薬は、蛍光色素、発色試薬、蛍光タンパク質、又は蛍光標識抗体であり得る。
【0076】
また、標本は、組織サンプルから病理診断または臨床検査などを目的に作製されたものであってもよい。また、当該標本は、人体に限らず、動物、植物、又は他の材料に由来するものであってもよい。標本は、使用される組織(例えば臓器または細胞等)の種類、対象となる疾病の種類、対象者の属性(例えば、年齢、性別、血液型、または人種等)、または対象者の生活習慣(例えば、食生活、運動習慣、または喫煙習慣等)等により性質が異なる。そこで、当該標本は、各標本それぞれ識別可能な識別情報(バーコード又はQRコード(登録商標)等の1次元又は2次元コード)を付されて管理されてよい。
【0077】
(光照射部5101)
光照射部5101は、生体由来試料Sを照明するための光源、および光源から照射された光を標本に導く光学系である。光源は、可視光、紫外光、若しくは赤外光、又はこれらの組合せを生体由来試料に照射し得る。光源は、ハロゲン光源、レーザ光源、LED光源、水銀光源、及びキセノン光源のうちの1又は2以上であってもよい。蛍光観察における光源の種類、及び/又は、波長は、複数でもよく、当業者により適宜選択されてもよい。光照射部5101は、透過型、反射型又は落射型(同軸落射型若しくは側射型)の構成を有し得る。
【0078】
(光学部5102)
光学部5102は、生体由来試料Sからの光を信号取得部5103へと導くように構成される。光学部5102は、顕微鏡装置5100が生体由来試料Sを観察又は撮像することを可能とするように構成され得る。光学部5102は、対物レンズを含み得る。対物レンズの種類は、観察方式に応じて当業者により適宜選択されてもよい。また、光学部5102は、対物レンズによって拡大された像を信号取得部に中継するためのリレーレンズを含んでもよい。光学部5102は、対物レンズ及びリレーレンズ以外の光学部品、接眼レンズ、位相板、及びコンデンサレンズなど、をさらに含み得る。また、光学部5102は、生体由来試料Sからの光のうちから所定の波長を有する光を分離するように構成された波長分離部をさらに含んでもよい。波長分離部は、所定の波長又は波長範囲の光を選択的に信号取得部に到達させるように構成され得る。波長分離部は、例えば、光を選択的に透過させるフィルタ、偏光板、プリズム(ウォラストンプリズム)、及び回折格子のうちの1又は2以上を含んでもよい。波長分離部に含まれる光学部品は、例えば対物レンズから信号取得部までの光路上に配置されてもよい。波長分離部は、蛍光観察が行われる場合、特に励起光照射部を含む場合に、顕微鏡装置内に設けられる。波長分離部は、蛍光同士を互いに分離し又は白色光と蛍光とを分離するように構成され得る。
【0079】
(信号取得部5103)
信号取得部5103は、生体由来試料Sからの光を受光し、当該光を電気信号、特にはデジタル電気信号へと変換することができるように構成され得る。信号取得部5103は、当該電気信号に基づき、生体由来試料Sに関するデータを取得することができるように構成されてもよい。信号取得部5103は、生体由来試料Sの像(画像、特には静止画像、タイムラプス画像、又は動画像)のデータを取得することができるように構成されてもよく、特に光学部5102によって拡大された画像のデータを取得するように構成され得る。信号取得部5103は、1次元又は2次元に並んで配列された複数の画素を有する1つ又は複数の撮像素子、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)又はCCD(Charge Coupled Device)等を含む。信号取得部5103は、低解像度画像取得用の撮像素子と高解像度画像取得用の撮像素子とを含んでよく、又は、AF(Auto Focus)等のためのセンシング用撮像素子と観察などのための画像出力用撮像素子とを含んでもよい。撮像素子は、複数の画素に加え、各画素からの画素信号を用いた信号処理を行う信号処理部(CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、及びメモリのうちの1つ、2以上を含む)、及び、画素信号から生成された画像データ及び信号処理部により生成された処理データの出力の制御を行う出力制御部を含み得る。また、複数の画素、信号処理部、及び出力制御部を含む撮像素子は、好ましくは1チップの半導体装置として構成され得る。
【0080】
なお、顕微鏡システム5000は、イベント検出センサをさらに具備してもよい。当該イベント検出センサは、入射光を光電変換する画素を含み、当該画素の輝度変化が所定の閾値を超えたことをイベントとして検出するように構成され得る。当該イベント検出センサは、非同期型であってもよい。
【0081】
(制御部5110)
制御部5110は、顕微鏡装置5100による撮像を制御する。制御部5110は、撮像制御のために、光学部5102、及び/又は、試料載置部5104の移動を駆動して、光学部5102と試料載置部5104との間の位置関係を調節しうる。制御部5110は、光学部5102、及び/又は、試料載置部5104を、互いに近づく又は離れる方向(例えば対物レンズの光軸方向)に移動させ得る。また、制御部5110は、光学部5102、及び/又は、試料載置部5104を、光軸方向と垂直な面におけるいずれかの方向に移動させてもよい。制御部5110は、撮像制御のために、光照射部5101、及び/又は、信号取得部5103を制御してもよい。
【0082】
(試料載置部5104)
試料載置部5104は、生体由来試料Sの試料載置部5104上における位置が固定できるように構成されてよく、いわゆるステージであってもよい。試料載置部5104は、生体由来試料Sの位置を、対物レンズの光軸方向、及び/又は、当該光軸方向と垂直な方向に移動させることができるように構成され得る。
【0083】
(情報処理部5120)
情報処理部5120は、顕微鏡装置5100が取得したデータ(撮像データなど)を、顕微鏡装置5100から取得し得る。情報処理部5120は、撮像データに対する画像処理を実行し得る。当該画像処理は、アンミキシング処理、特にスペクトラルアンミキシング処理を含んでもよい。当該アンミキシング処理は、撮像データから所定の波長又は波長範囲の光成分のデータを抽出して画像データを生成する処理、又は、撮像データから所定の波長又は波長範囲の光成分のデータを除去する処理などを含み得る。また、当該画像処理は、組織切片の自家蛍光成分と色素成分を分離する自家蛍光分離処理や互いに蛍光波長が異なる色素間の波長を分離する蛍光分離処理を含み得る。当該自家蛍光分離処理では、同一ないし性質が類似する複数の標本のうち、一方から抽出された自家蛍光シグナルを用いて他方の標本の画像情報から自家蛍光成分を除去する処理を行ってもよい。情報処理部5120は、制御部5110による撮像制御のためのデータを送信してよく、当該データを受信した制御部5110が、当該データに従い顕微鏡装置5100による撮像を制御してもよい。
【0084】
情報処理部5120は、汎用のコンピュータ等の情報処理装置として構成されてよく、CPU、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)を有していてもよい。情報処理部5120は、顕微鏡装置5100の筐体内に含まれていてよく、又は、当該筐体の外にあってもよい。また、情報処理部5120による各種処理又は機能は、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータ又はクラウドにより実現されてもよい。
【0085】
顕微鏡装置5100による生体由来試料Sの撮像の方式は、生体由来試料Sの種類及び撮像の目的などに応じて、当業者により適宜選択されてよい。当該撮像方式の例を、図12及び図13を参照して、以下に説明する。図12及び図13は、撮像方式の例を示す図である。
【0086】
撮像方式の一つの例は以下のとおりである。顕微鏡装置5100は、まず、撮像対象領域を特定しうる。当該撮像対象領域は、生体由来試料Sが存在する領域全体をカバーするように特定されてよく、又は、生体由来試料Sのうちの目的部分(目的組織切片、目的細胞、又は目的病変部が存在する部分)をカバーするように特定されてもよい。次に、顕微鏡装置5100は、当該撮像対象領域を、所定サイズの複数の分割領域へと分割し、顕微鏡装置5100は各分割領域を順次撮像する。これにより、各分割領域の画像が取得される。
【0087】
図12に示されるように、顕微鏡装置5100は、生体由来試料S全体をカバーする撮像対象領域Rを特定する。そして、顕微鏡装置5100は、撮像対象領域Rを16の分割領域へと分割する。そして、顕微鏡装置5100は、分割領域R1の撮像を行い、次に、その分割領域R1に隣接する領域等、撮像対象領域Rに含まれる領域の内のいずれか領域を撮像し得る。さらに、顕微鏡装置5100は、未撮像の分割領域がなくなるまで、分割領域の撮像を行う。なお、顕微鏡装置5100は、撮像対象領域R以外の領域についても、分割領域の撮像画像情報に基づき、撮像しても良い。この際、或る分割領域を撮像した後に次の分割領域を撮像するために、顕微鏡装置5100と試料載置部5104との位置関係が調整される。当該調整は、顕微鏡装置5100の移動、試料載置部5104の移動、又は、これらの両方の移動により行われることができる。
【0088】
この例において、各分割領域の撮像を行う撮像装置は、2次元撮像素子(エリアセンサ)又は1次元撮像素子(ラインセンサ)であってもよい。信号取得部5103は、光学部5102を介して各分割領域を撮像してもよい。また、各分割領域の撮像は、顕微鏡装置5100、及び/又は、試料載置部5104を移動させながら連続的に行われてもよく、又は、各分割領域の撮像に際して、顕微鏡装置5100、及び/又は、試料載置部5104の移動が停止されてもよい。さらに、各分割領域の一部が重なり合うように、撮像対象領域の分割が行われてよく、又は、重なり合わないように撮像対象領域の分割が行われてもよい。各分割領域は、焦点距離、及び/又は、露光時間等の撮像条件を変えて複数回撮像されてもよい。
【0089】
また、情報処理部5120は、隣り合う複数の分割領域をステッチングして、より広い領域の画像データを生成し得る。当該ステッチング処理を、撮像対象領域全体にわたって行うことで、撮像対象領域について、より広い領域の画像を取得することができる。また、分割領域の画像、またはステッチング処理を行った画像から、より解像度の低い画像データを生成し得る。
【0090】
撮像方式の他の例は以下のとおりである。顕微鏡装置5100は、まず、撮像対象領域を特定し得る。当該撮像対象領域は、生体由来試料Sが存在する領域全体をカバーするように特定されてもよく、又は、生体由来試料Sのうちの目的部分(目的組織切片又は目的細胞が存在する部分)をカバーするように特定されてもよい。次に、顕微鏡装置5100は、撮像対象領域の一部の領域(「分割スキャン領域」ともいう)を、光軸と垂直な面内における一つの方向(「スキャン方向」ともいう)へスキャンして撮像する。顕微鏡装置5100は、当該分割スキャン領域のスキャンが完了したら、次に、当該スキャン領域の隣の分割スキャン領域を、スキャンする。そして、顕微鏡装置5100は、これらのスキャン動作が、撮像対象領域全体が撮像されるまで繰り返す。
【0091】
図13に示されるように、顕微鏡装置5100は、生体由来試料Sのうち、組織切片が存在する領域(グレーの部分)を撮像対象領域Saとして特定する。そして、顕微鏡装置5100は、撮像対象領域Saのうち、分割スキャン領域Rsを、Y軸方向へスキャンする。顕微鏡装置5100は、分割スキャン領域Rsのスキャンが完了したら、次に、X軸方向における隣の分割スキャン領域をスキャンする。顕微鏡装置5100は、撮像対象領域Saの全てについてスキャンが完了するまで、この動作を繰り返す。
【0092】
各分割スキャン領域のスキャンのために、及び、或る分割スキャン領域を撮像した後に次の分割スキャン領域を撮像するために、顕微鏡装置5100と試料載置部5104との位置関係が調整される。当該調整は、顕微鏡装置5100の移動、試料載置部5104の移動、又は、これらの両方の移動により行われてもよい。この例において、各分割スキャン領域の撮像を行う撮像装置は、1次元撮像素子(ラインセンサ)又は2次元撮像素子(エリアセンサ)であってもよい。信号取得部5103は、拡大光学系を介して各分割領域を撮像してよい。また、各分割スキャン領域の撮像は、顕微鏡装置5100、及び/又は、試料載置部5104を移動させながら連続的に行われてよい。各分割スキャン領域の一部が重なり合うように、撮像対象領域の分割が行われてよく、又は、重なり合わないように撮像対象領域の分割が行われてもよい。各分割スキャン領域は、焦点距離、及び/又は、露光時間などの撮像条件を変えて複数回撮像されてもよい。
【0093】
また、情報処理部5120は、隣り合う複数の分割スキャン領域をステッチングして、より広い領域の画像データを生成し得る。当該ステッチング処理を、撮像対象領域全体にわたって行うことで、撮像対象領域について、より広い領域の画像を取得することができる。また、分割スキャン領域の画像、またはステッチング処理を行った画像から、より解像度の低い画像データを生成し得る。
【0094】
<4.2 病理診断システム>
また、本開示に係る技術は、例えば、医師等が患者から採取された細胞や組織を観察して病変を診断する病理診断システムやその支援システム等(以下、診断支援システムと称する)に適用されてもよい。この診断支援システムは、デジタルパソロジー技術を利用して取得された画像に基づいて病変を診断又はその支援をするWSI(Whole Slide Imaging)システムであってもよい。
【0095】
図14は、本開示に係る技術が適用される診断支援システム5500の概略的な構成の一例を示す図である。図14に示すように、診断支援システム5500は、1以上の病理システム5510を含む。さらに医療情報システム5530と、導出装置5540とを含んでもよい。
【0096】
1以上の病理システム5510それぞれは、主に病理医が使用するシステムであり、例えば研究所や病院に導入される。各病理システム5510は、互いに異なる病院に導入されてもよく、それぞれWAN(Wide Area Network)(インターネットを含む)やLAN(Local Area Network)や公衆回線網や移動体通信網などの種々のネットワークを介して医療情報システム5530及び導出装置5540に接続される。
【0097】
各病理システム5510は、顕微鏡(詳細には、デジタル撮像技術と組み合わされて用いられる顕微鏡)5511と、サーバ5512と、表示制御装置5513と、表示装置5514とを含む。
【0098】
顕微鏡5511は、光学顕微鏡の機能を有し、ガラススライドに収められた観察対象物を撮影し、デジタル画像である病理画像を取得する。観察対象物とは、例えば、患者から採取された組織や細胞であり、臓器の肉片、唾液、血液等であってよい。例えば、顕微鏡5511が図1に示されるスキャナ30として機能する。
【0099】
サーバ5512は、顕微鏡5511によって取得された病理画像を図示しない記憶部に記憶、保存する。また、サーバ5512は、表示制御装置5513から閲覧要求を受け付けた場合に、図示しない記憶部から病理画像を検索し、検索された病理画像を表示制御装置5513に送る。
【0100】
表示制御装置5513は、ユーザから受け付けた病理画像の閲覧要求をサーバ5512に送る。そして、表示制御装置5513は、サーバ5512から受け付けた病理画像を、液晶、EL(Electro‐Luminescence)、CRT(Cathode Ray Tube)などを用いた表示装置5514に表示させる。なお、表示装置5514は、4Kや8Kに対応していてもよく、また、1台に限られず、複数台であってもよい。
【0101】
ここで、観察対象物が臓器の肉片等の固形物である場合、この観察対象物は、例えば、染色された薄切片であってよい。薄切片は、例えば、臓器等の検体から切出されたブロック片を薄切りすることで作製されてもよい。また、薄切りの際には、ブロック片がパラフィン等で固定されてもよい。
【0102】
薄切片の染色には、HE(Hematoxylin-Eosin)染色などの組織の形態を示す一般染色や、IHC(Immunohistochemistry)染色などの組織の免疫状態を示す免疫染色や蛍光免疫染色など、種々の染色が適用されてよい。その際、1つの薄切片が複数の異なる試薬を用いて染色されてもよいし、同じブロック片から連続して切り出された2以上の薄切片(隣接する薄切片ともいう)が互いに異なる試薬を用いて染色されてもよい。
【0103】
顕微鏡5511は、低解像度で撮影するための低解像度撮影部と、高解像度で撮影するための高解像度撮影部とを含み得る。低解像度撮影部と高解像度撮影部とは、異なる光学系であってもよいし、同一の光学系であってもよい。同一の光学系である場合には、顕微鏡5511は、撮影対象に応じて解像度が変更されてもよい。
【0104】
観察対象物が収容されたガラススライドは、顕微鏡5511の画角内に位置するステージ上に載置される。顕微鏡5511は、まず、低解像度撮影部を用いて画角内の全体画像を取得し、取得した全体画像から観察対象物の領域を特定する。続いて、顕微鏡5511は、観察対象物が存在する領域を所定サイズの複数の分割領域に分割し、各分割領域を高解像度撮影部により順次撮影することで、各分割領域の高解像度画像を取得する。対象とする分割領域の切替えでは、ステージを移動させてもよいし、撮影光学系を移動させてもよいし、それら両方を移動させてもよい。また、各分割領域は、ガラススライドの意図しない滑りによる撮影漏れ領域の発生等を防止するために、隣接する分割領域との間で重複していてもよい。さらに、全体画像には、全体画像と患者とを対応付けておくための識別情報が含まれていてもよい。この識別情報は、例えば、文字列やQRコード(登録商標)等であってよい。
【0105】
顕微鏡5511で取得された高解像度画像は、サーバ5512に入力される。サーバ5512は、各高解像度画像をより小さいサイズの部分画像(以下、タイル画像と称する)に分割する。例えば、サーバ5512は、1つの高解像度画像を縦横10×10個の計100個のタイル画像に分割する。その際、隣接する分割領域が重複していれば、サーバ5512は、テンプレートマッチング等の技法を用いて互いに隣り合う高解像度画像にステッチング処理を施してもよい。その場合、サーバ5512は、ステッチング処理により貼り合わされた高解像度画像全体を分割してタイル画像を生成してもよい。ただし、高解像度画像からのタイル画像の生成は、上記ステッチング処理の前であってもよい。
【0106】
また、サーバ5512は、タイル画像をさらに分割することで、より小さいサイズのタイル画像を生成し得る。このようなタイル画像の生成は、最小単位として設定されたサイズのタイル画像が生成されるまで繰り返されてよい。
【0107】
このように最小単位のタイル画像を生成すると、サーバ5512は、隣り合う所定数のタイル画像を合成することで1つのタイル画像を生成するタイル合成処理を、全てのタイル画像に対して実行する。このタイル合成処理は、最終的に1つのタイル画像が生成されるまで繰り返され得る。このような処理により、各階層が1つ以上のタイル画像で構成されたピラミッド構造のタイル画像群が生成される。このピラミッド構造では、ある層のタイル画像とこの層とは異なる層のタイル画像との画素数は同じであるが、その解像度が異なっている。例えば、2×2個の計4つのタイル画像を合成して上層の1つのタイル画像を生成する場合、上層のタイル画像の解像度は、合成に用いた下層のタイル画像の解像度の1/2倍となっている。
【0108】
このようなピラミッド構造のタイル画像群を構築することによって、表示対象のタイル画像が属する階層次第で、表示装置に表示される観察対象物の詳細度を切り替えることが可能となる。例えば、最下層のタイル画像が用いられる場合には、観察対象物の狭い領域を詳細に表示し、上層のタイル画像が用いられるほど観察対象物の広い領域が粗く表示されるようにすることができる。
【0109】
生成されたピラミッド構造のタイル画像群は、例えば、各タイル画像を一意に識別可能な識別情報(タイル識別情報と称する)とともに、不図示の記憶部に記憶される。サーバ5512は、他の装置(例えば、表示制御装置5513や導出装置5540)からタイル識別情報を含むタイル画像の取得要求を受け付けた場合に、タイル識別情報に対応するタイル画像を他の装置へ送信する。
【0110】
なお、病理画像であるタイル画像は、焦点距離や染色条件等の撮影条件毎に生成されてもよい。撮影条件毎にタイル画像が生成される場合、特定の病理画像とともに、特定の撮影条件と異なる撮影条件に対応する他の病理画像であって、特定の病理画像と同一領域の他の病理画像を並べて表示してもよい。特定の撮影条件は、閲覧者によって指定されてもよい。また、閲覧者に複数の撮影条件が指定された場合には、各撮影条件に対応する同一領域の病理画像が並べて表示されてもよい。
【0111】
また、サーバ5512は、ピラミッド構造のタイル画像群をサーバ5512以外の他の記憶装置、例えば、クラウドサーバ等に記憶してもよい。さらに、以上のようなタイル画像の生成処理の一部又は全部は、クラウドサーバ等で実行されてもよい。
【0112】
表示制御装置5513は、ユーザからの入力操作に応じて、ピラミッド構造のタイル画像群から所望のタイル画像を抽出し、これを表示装置5514に出力する。このような処理により、ユーザは、観察倍率を変えながら観察対象物を観察しているような感覚を得ることができる。すなわち、表示制御装置5513は仮想顕微鏡として機能する。ここでの仮想的な観察倍率は、実際には解像度に相当する。
【0113】
なお、高解像度画像の撮影方法は、どの様な方法を用いてもよい。ステージの停止、移動を繰り返しながら分割領域を撮影して高解像度画像を取得してもよいし、所定の速度でステージを移動しながら分割領域を撮影してストリップ上の高解像度画像を取得してもよい。また、高解像度画像からタイル画像を生成する処理は必須の構成ではなく、ステッチング処理により貼り合わされた高解像度画像全体の解像度を段階的に変化させることで、解像度が段階的に変化する画像を生成してもよい。この場合でも、広いエリア域の低解像度画像から狭いエリアの高解像度画像までを段階的にユーザに提示することが可能である。
【0114】
医療情報システム5530は、いわゆる電子カルテシステムであり、患者を識別する情報、患者の疾患情報、診断に用いた検査情報や画像情報、診断結果、処方薬などの診断に関する情報を記憶する。例えば、ある患者の観察対象物を撮影することで得られる病理画像は、一旦、サーバ5512を介して保存された後、表示制御装置5513によって表示装置5514に表示され得る。病理システム5510を利用する病理医は、表示装置5514に表示された病理画像に基づいて病理診断を行う。病理医によって行われた病理診断結果は、医療情報システム5530に記憶される。
【0115】
導出装置5540は、病理画像に対する解析を実行し得る。この解析には、機械学習によって作成された学習モデルを用いることができる。導出装置5540は、当該解析結果として、特定領域の分類結果や組織の識別結果等を導出してもよい。さらに、導出装置5540は、細胞情報、数、位置、輝度情報等の識別結果やそれらに対するスコアリング情報等を導出してもよい。導出装置5540によって導出されたこれらの情報は、診断支援情報として、病理システム5510の表示装置5514に表示されてもよい。
【0116】
なお、導出装置5540は、1台以上のサーバ(クラウドサーバを含む)等で構成されたサーバシステムであってもよい。また、導出装置5540は、病理システム5510内の例えば表示制御装置5513又はサーバ5512に組み込まれた構成であってもよい。すなわち、病理画像に対する各種解析は、病理システム5510内で実行されてもよい。
【0117】
本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、先に説明したように、顕微鏡5511に好適に適用され得る。顕微鏡5511に本開示に係る技術を適用することにより、より鮮明な病理画像を得ることができるため、病変の診断をより正確に行うことが可能になる。
【0118】
なお、上記で説明した構成は、診断支援システムに限らず、デジタル撮像技術を利用する、共焦点顕微鏡や蛍光顕微鏡、ビデオ顕微鏡等の生物顕微鏡全般にも適用され得る。ここで、観察対象物は、培養細胞や受精卵、精子等の生体試料、細胞シート、三次元細胞組織等の生体材料、ゼブラフィッシュやマウス等の生体であってもよい。また、観察対象物は、ガラススライドに限らず、ウェルプレートやシャーレ等に保存された状態で観察されることもできる。
【0119】
さらに、デジタル撮像技術を利用する顕微鏡を用いて取得した観察対象物の静止画像から動画像が生成されてもよい。例えば、所定期間連続的に撮影した静止画像から動画像を生成してもよいし、所定の間隔を空けて撮影した静止画像から画像シーケンスを生成してもよい。このように、静止画像から動画像を生成することで、がん細胞や神経細胞、心筋組織、精子等の拍動や伸長、遊走等の動きや培養細胞や受精卵の分裂過程など、観察対象物の動的な特徴を、機械学習を用いて解析することが可能となる。
【0120】
<<5. 補足>>
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0121】
なお、先に説明した本開示の実施形態においては、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0122】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0123】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
筐体と、当該筐体の底面にマウントされた複数の発光素子と、当該複数の発光素子の上方に設けられた蛍光体層と、を有する光源と、
前記光源からの光を集光する光学系と、
を備え、
前記各発光素子のFWHMの角度をθとし、前記発光素子の1辺の長さをdとし、互いに隣り合う前記発光素子の間隔の最大値をPとし、前記発光素子と前記蛍光体層との間の距離をLとし、前記筐体内の媒体の屈折率をnとし、前記蛍光体層の膜厚をTとし、前記蛍光体層の屈折率をnとしたとき、前記複数の発光素子は、下記の数式(1)を満たすように設けられる、
観察装置用照明装置。
【数5】
(2)
前記複数の発光素子は、下記の数式(2)を満たすように設けられる、
上記(1)に記載の観察装置用照明装置。
【数6】
(3)
前記複数の発光素子は、下記の数式(3)を満たすように設けられる、
上記(2)に記載の観察装置用照明装置。
【数7】
(4)
前記複数の発光素子は、発光ダイオード又はレーザダイオードからなる、上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の観察装置用照明装置。
(5)
白色光又は単一光を出射する、上記(1)~(4)のいずれか1つに記載の観察装置用照明装置。
(6)
前記光学系は、
前記照明装置と試料との間に設けられた視野絞りと、
前記視野絞りと前記試料との間に設けられた開口絞りと、
前記照明装置と前記視野絞りとの間、前記視野絞りと前記開口絞りとの間、及び、前記開口絞りと前記試料との間に設けられた複数のレンズと、
を有する、上記(1)~(5)のいずれか1つに記載の観察装置用照明装置。
(7)
前記光学系は、
前記照明装置と試料との間に設けられた開口絞りと、
前記照明装置と前記開口絞りとの間、及び、前記開口絞りと前記試料との間に設けられた複数のレンズと、
を有する、上記(1)~(5)のいずれか1つに記載の観察装置用照明装置。
(8)
前記光学系は、
前記照明装置と前記開口絞りとの間に設けられた光均一化部材をさらに有する、
上記(6)又は(7)に記載の観察装置用照明装置。
(9)
前記光均一化部材は、拡散板又はロッドインテグレータからなる、上記(8)に記載の観察装置用照明装置。
(10)
前記蛍光体層は、少なくとも1種以上の蛍光体を含む、上記(1)~(9)のいずれか1つに記載の観察装置用照明装置。
(11)
前記蛍光体層は、互いに異なる波長帯域の光を放射する複数種の前記蛍光体を含む、上記(10)に記載の観察装置用照明装置。
(12)
前記光源は、生体試料に光を照射する、上記(1)~(11)のいずれか1つに記載の観察装置用照明装置。
(13)
筐体と、当該筐体の底面にマウントされた複数の発光素子と、当該複数の発光素子の上方に設けられた蛍光体層と、を有する光源を備え、
前記各発光素子のFWHMの角度をθとし、前記発光素子の1辺の長さをdとし、互いに隣り合う前記発光素子の間隔の最大値をPとし、前記発光素子と前記蛍光体層との間の距離をLとし、前記筐体内の媒体の屈折率をnとし、前記蛍光体層の膜厚をTとし、前記蛍光体層の屈折率をnとしたとき、前記複数の発光素子は、下記の数式(1)を満たすように設けられる、
観察装置用照明装置。
【数8】
(14)
筐体と、当該筐体の底面にマウントされた複数の発光素子と、当該複数の発光素子の上方に設けられた蛍光体層と、を有する光源と、
前記光源からの光を集光する光学系と、
を備え
前記筐体は、前記底面と対向するように設けられ、前記複数の発光素子からの光が外部へ出射する開口面を有し、
前記開口面の輝度分布において1つのピークが存在し、且つ、変曲点が存在しないように、前記複数の発光素子は前記底面に設けられている、
観察装置用照明装置。
(15)
筐体と、当該筐体の底面にマウントされた複数の発光素子と、当該複数の発光素子の上方に設けられた蛍光体層と、を有する光源と、
前記光源からの光を集光する光学系と、
を備え
前記筐体は、前記底面と対向するように設けられ、前記複数の発光素子からの光が外部へ出射する開口面を有し、
前記開口面において前記各発光素子の配光範囲の一部が互いに重なり合うように、前記複数の発光素子は前記底面に設けられている、
観察装置用照明装置。
(16)
光を照射する照明装置と
試料を拡大する対物レンズと、
を備え、
前記照明装置は、
筐体と、当該筐体の底面にマウントされた複数の発光素子と、当該複数の発光素子の上方に設けられた蛍光体層と、を有する光源と、
前記光源からの光を集光する光学系と、
を有し、
前記各発光素子のFWHMの角度をθとし、前記発光素子の1辺の長さをdとし、互いに隣り合う前記発光素子の間隔の最大値をPとし、前記発光素子と前記蛍光体層との間の距離をLとし、前記筐体内の媒体の屈折率をnとし、前記蛍光体層の膜厚をTとし、前記蛍光体層の屈折率をnとしたとき、前記複数の発光素子は、下記の数式(1)を満たすように設けられる、
観察装置。
【数9】
(17)
接眼レンズをさらに備える、上記(16)に記載の観察装置。
(18)
撮像素子からなる撮像部をさらに備える、上記(16)に記載の観察装置。
(19)
生体試料を観察する観察装置と、当該観察装置を制御し、当該観察装置から得られた信号を処理するコンピュータとを含み、
前記観察装置は、光を照射する照明装置と、前記生体試料を撮像する撮像素子からなる撮像部と、を有し、
前記照明装置は、
筐体と、当該筐体の底面にマウントされた複数の発光素子と、当該複数の発光素子の上方に設けられた蛍光体層と、を有する光源と、
前記光源からの光を集光する光学系と、
を備え、
前記各発光素子のFWHMの角度をθとし、前記発光素子の1辺の長さをdとし、互いに隣り合う前記発光素子の間隔の最大値をPとし、前記発光素子と前記蛍光体層との間の距離をLとし、前記筐体内の媒体の屈折率をnとし、前記蛍光体層の膜厚をTとし、前記蛍光体層の屈折率をnとしたとき、前記複数の発光素子は、下記の数式(1)を満たすように設けられる、
観察システム。
【数10】
【符号の説明】
【0124】
10 観察システム
100 スキャナ
102、102a 照明部
104 センサ部
106 制御部
108 ステージ
200 画像処理装置
300 スライド
400、400a 光学系
402、402a、402b、402c レンズ
412 視野絞り
414 開口絞り
420 拡散板
500、500a 光源
510 筐体
510a 底面
510b 開口面
512 媒体
522 発光素子
524 蛍光体層
図1
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