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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156664
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】緊結金具
(51)【国際特許分類】
   E21D 5/10 20060101AFI20221006BHJP
   E04B 1/61 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
E21D5/10
E04B1/61 502D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060469
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】藤本 雄充
(72)【発明者】
【氏名】吉田 幸司
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA68
2E125AD05
2E125AD06
2E125AG07
2E125AG12
2E125CA05
2E125EB12
(57)【要約】
【課題】施工における騒音を低減することが可能となり、緊結力を十分に確保することが可能となる緊結金具を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る緊結金具1は、第1貫通孔が形成される第1ライナープレート8と、第2貫通孔が形成される第2ライナープレート9と、を接続するための緊結金具1であって、第1貫通孔と第2貫通孔とに挿入可能なボルト2と、ボルト2の軸部21に螺合されるナット30と、ボルト2の頭部22に設けられるとともにボルト2の軸心に交わる方向に延びる棒状部材5と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1貫通孔が形成される第1板状部材と、第2貫通孔が形成される第2板状部材と、を接続するための緊結金具であって、
第1貫通孔と第2貫通孔とに挿入可能なボルトと、
前記ボルトの軸部に螺合されるナットと、
前記ボルトの頭部に設けられるとともに前記ボルトの軸心に交わる方向に延びる棒状部材と、を備えること
を特徴とする緊結金具。
【請求項2】
前記第1板状部材と前記第2板状部材は、ライナープレートのフランジであること
を特徴とする請求項1記載の緊結金具。
【請求項3】
前記ボルトの頭部に設けられる基部を更に備え、
前記基部は、前記棒状部材が挿入される貫通孔が形成され、
前記棒状部材は、前記貫通孔にスライド自在に挿入されること
を特徴とする請求項1又は2記載の緊結金具。
【請求項4】
前記棒状部材は、一端部に前記貫通孔よりも拡径された第1拡径部を有すること
を特徴とする請求項3記載の緊結金具。
【請求項5】
前記棒状部材は、一端部に前記貫通孔よりも拡径された第1拡径部を有し、他端部に前記貫通孔よりも拡径された第2拡径部を有すること
を特徴とする請求項3又は4記載の緊結金具。
【請求項6】
第1貫通孔が形成される第1板状部材と、第2貫通孔が形成される第2板状部材と、を接続するための緊結金具であって、
第1貫通孔と第2貫通孔とに挿入可能なボルトと、
前記ボルトに螺合されるナットと、を備え、
前記ボルトは、前記頭部に設けられる基部を有し、
前記基部は、貫通孔が形成されること
を特徴とする緊結金具。
【請求項7】
前記第1板状部材と前記第2板状部材は、ライナープレートのフランジであること
を特徴とする請求項6記載の緊結金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊結金具に関する。
【背景技術】
【0002】
ライナープレートやコルゲート鋼板等の波形鋼板が互いに連結されて構造物が構築される。例えば、ライナープレート同士が複数連結されて、深礎杭、集水井、水中仮締切、橋脚等を構築する際の土留めとして用いられる。例えば、コルゲート鋼板同士が複数連結されて、水路として用いられる。
【0003】
従来、ライナープレート同士を連結する技術に関して、特許文献1~2の開示技術が提案されている。
【0004】
特許文献1に開示されたライナープレートの緊結金具は、上下のライナープレートの接触させたそれぞれのフランジの孔に挿入する差し込み部と、接触させた2枚のフランジを挟む挟持部からなることを特徴とする。
【0005】
特許文献2に開示されたライナープレートの仮止め具は、上下のライナープレートの接触させた双方のフランジの孔に挿入する差し込み部と、その2枚のフランジを挿入できる間隔のスリットを設けた挟持部と、差し込み部と挟持部とを接続する接続部とからなり、接続部から挟持部へかけて「く」の字状に折ったことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平3-69093号公報
【特許文献2】実開平2-125095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1、2の開示技術では、挟持部でフランジを挟み込むときやライナープレートから取り外すときには、専用の冶具やハンマー等の打撃手段で叩き込む必要がある。このため、騒音が発生してしまうという問題点があった。また、特許文献1、2の開示技術では、単にフランジ同士を挟んで固定するだけであるため、フランジ同士を固定する力が比較的に低いという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、施工における騒音を低減することが可能となり、緊結力を十分に確保することが可能となる緊結金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る緊結金具は、第1貫通孔が形成される第1板状部材と、第2貫通孔が形成される第2板状部材と、を接続するための緊結金具であって、第1貫通孔と第2貫通孔とに挿入可能なボルトと、前記ボルトの軸部に螺合されるナットと、前記ボルトの頭部に設けられるとともに前記ボルトの軸心に交わる方向に延びる棒状部材と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る緊結金具は、第1貫通孔が形成される第1板状部材と、第2貫通孔が形成される第2板状部材と、を接続するための緊結金具であって、第1貫通孔と第2貫通孔とに挿入可能なボルトと、前記ボルトに螺合されるナットと、を備え、前記ボルトは、前記頭部に設けられる基部を有し、前記基部は、貫通孔が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、施工における騒音を低減することが可能となり、緊結力を十分に確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1実施形態に係る緊結金具を用いたライナープレートを示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係る緊結金具を示す斜視図である。
図3図3は、第1実施形態に係る緊結金具を示す正面図である。
図4図4は、第1実施形態に係る緊結金具を用いたライナープレートの緊結方法を説明する図であって、図4(a)は、第1貫通孔と第2貫通孔とに軸部を挿入した状態を示す正面図であり、図4(b)は、棒状部材をボルトの軸心を中心に回転させた状態を示す正面図である。
図5図5(a)は、第1実施形態に係る緊結金具の第1変形例を示す斜視図であり、図5(b)は、第1実施形態に係る緊結金具の第2変形例を示す斜視図である。
図6図6は、第2実施形態に係る緊結金具を用いたライナープレートを示す斜視図である。
図7図7は、第2実施形態に係る緊結金具を示す斜視図である。
図8図8は、第2実施形態に係る緊結金具を用いたライナープレートの緊結方法を説明する図であって、図8(a)は、第1貫通孔と第2貫通孔とに軸部を挿入した状態を示す正面図であり、図8(b)は、棒状部材をボルトの軸心を中心に回転させた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態に係る緊結金具を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態に係る緊結金具1について説明する。緊結金具1は、図1に示すように、第1板状部材と第2板状部材とを接続するためのものであり、例えば第1ライナープレート8と、第2ライナープレート9と、を接続するためのものである。
【0015】
第1ライナープレート8は、上下方向に波形に形成される波形鋼板と、波形鋼板の上端、下端及び両側端にそれぞれ第1板状部材としてのフランジ81を有する。フランジ81には、第1貫通孔82が形成される。
【0016】
第2ライナープレート9は、上下方向に波形に形成される波形鋼板と、波形鋼板の上端、下端及び両側端にそれぞれ第2板状部材としてのフランジ91を有する。フランジ91には、第2貫通孔92が形成される。
【0017】
緊結金具1は、ボルト2と、ナット30と、基部4と、棒状部材5と、を備える。
【0018】
ボルト2は、周面にネジ形状に形成される軸部21と、軸部21の一端側に配置される頭部22と、基部4と、を有する。ボルト2の軸部21には、ナット30が螺合される。ボルト2の頭部22には、ワッシャー23が設けられる。ナット30には、ワッシャー31が設けられる。ボルト2としては、例えば通常のボルトよりもネジのピッチが大きいゼスナーボルトが用いられることが好ましい。ナット30としては、例えば通常の六角ナットよりも高さが高い高ナットが用いられることが好ましい。ナット30として高ナットが用いられることにより、ボルト2と螺合させる際に、手で把持しやすくなる。
【0019】
基部4は、鋼板等で構成され、頭部22に設けられる。基部4は、棒状部材5が挿入される貫通孔41が形成される。
【0020】
棒状部材5は、ボルト2の頭部22に設けられるとともにボルト2の軸心に交わる方向、例えば直交する方向、に延びる。棒状部材5は、基部4に形成される貫通孔41を図3中矢印S方向にスライド自在に挿入される。棒状部材5は、一端部に貫通孔よりも拡径された第1拡径部51と、一端部と反対側の他端部に貫通孔よりも拡径された第2拡径部52と、を有する。第1拡径部51と第2拡径部52は、上下方向に拡径される。
【0021】
なお、本発明における第1拡径部51と第2拡径部52は、上下方向に直交する方向に拡径されてもよい。また、本発明における第1拡径部51と第2拡径部52は、リベットやボルトなどを用いてもよい。また、溶接により貫通孔41よりも径大に肉盛りされて形成されるものであってもよい。また、本発明における第1拡径部51と第2拡径部52は、球状等に形成されるものであってもよい。
【0022】
次に、第1実施形態に係る緊結金具1を用いたライナープレートの緊結方法について説明する。
【0023】
先ず、ライナープレートの緊結方法では、図4(a)に示すように、第1貫通孔82と第2貫通孔92とに、ボルト2の軸部21を挿入する。このとき、ワッシャー23がフランジ81に接触された状態とされる。そして、ボルト2の軸部21に、ワッシャー31とナット30とを取り付ける。このとき、作業者がボルト2の頭部22を把持しつつ、ナット30を螺合させてもよい。
【0024】
次に、ライナープレートの緊結方法では、図4(b)に示すように、ナット30を作業者の手や工具で把持し、ボルト2の軸心を中心として棒状部材5を回転させる。これにより、より大きなトルクを得ることができる。このため、ライナープレート同士の緊結力を十分に確保することが可能となる。
【0025】
以上により、ライナープレートの緊結方法が完了する。
【0026】
本実施形態によれば、第1貫通孔82が形成される第1ライナープレート8と、第2貫通孔92が形成される第2ライナープレート9と、を接続するための緊結金具1であって、第1貫通孔82と第2貫通孔92とに挿入可能なボルト2と、ボルト2の軸部21に螺合されるナット30と、棒状部材5と、を備える。これにより、ボルト2の軸心を中心として棒状部材5を回転させることができる。このため、より大きなトルクを得ることができ、ライナープレート同士の緊結力を十分に確保することが可能となる。
【0027】
また、本実施形態によれば、従来の金具のような挟持部をフランジに挟み込むときやライナープレートから取り外す作業が不要となる。加えて、また、ボルト2の軸心を中心として棒状部材5を回転させることでより大きなトルクを得ることができる。このため、専用の冶具やハンマー、インパクトレンチ等の打撃手段で叩き込む作業を省略することができる。したがって、施工における騒音を低減することが可能となる。
【0028】
本実施形態によれば、ボルト2は、頭部22に設けられる基部4を有し、基部4は、棒状部材5が挿入される貫通孔41が形成され、棒状部材5は、貫通孔41にスライド自在に挿入される。これにより、ボルト2の軸心を中心として棒状部材5を回転させるとき、棒状部材5がライナープレート8、9のフランジ81、91に対して略垂直に配置される波形鋼板に接触するのを抑制することができる。このため、棒状部材5の長さを十分に確保することができ、ボルト2の軸心を中心として棒状部材5を回転させる動作を容易に行うことが可能となる。
【0029】
本実施形態によれば、棒状部材5は、一端部に貫通孔41よりも拡径された第1拡径部51を有する。これにより、棒状部材5が貫通孔41から脱落しにくくできる。このため、ライナープレートの緊結作業を容易に行うことが可能となる。
【0030】
本実施形態によれば、棒状部材5は、一端部に貫通孔41よりも拡径された第1拡径部51を有し、他端部に貫通孔41よりも拡径された第2拡径部52を有する。これにより、棒状部材5が貫通孔41から脱落を防止することができる。このため、ライナープレートの緊結作業をより容易に行うことが可能となる。
【0031】
本実施形態によれば、ボルト2は、ゼスナーボルトが用いられる。これにより、通常のボルトナットのようにナットを数多く回転させる必要がない。このため、ライナープレートの緊結作業をより容易に行うことが可能となる。
【0032】
次に、第1実施形態に係る緊結金具1の変形例について説明する。緊結金具1は、図5(a)に示すように、第2拡径部52が省略されてもよい。また、緊結金具1は、図5(b)に示すように、第1拡径部51と第2拡径部52と、が省略されてもよい。このとき、棒状部材5は、例えば所定の径で延びる棒材が用いられる。
【0033】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る緊結金具1について説明する。緊結金具1は、図6及び図7に示すように、ボルト2と、ナット30と、基部4と、を備える。第2実施形態に係る緊結金具1は、貫通孔41に棒状部材5が予め設けられていない点で、第1実施形態に係る緊結金具1と相違する。
【0034】
第2実施形態に係る緊結金具1では、基部4は、鋼板等で構成され、頭部22に設けられる。基部4は、棒状部材5が挿入される貫通孔41が形成される。貫通孔41は、シノ等の棒状部材を挿入可能なものである。
【0035】
次に、第2実施形態に係る緊結金具1を用いたライナープレートの緊結方法について説明する。
【0036】
先ず、ライナープレートの緊結方法では、図8(a)に示すように、第1貫通孔82と第2貫通孔92とに、ボルト2の軸部21を挿入する。このとき、ワッシャー23がフランジ81に接触された状態とされる。そして、ボルト2の軸部21に、ワッシャー31とナット30とを取り付ける。このとき、作業者がボルト2の頭部22を把持しつつ、ナット30を螺合させてもよい。
【0037】
次に、ライナープレートの緊結方法では、図8(b)に示すように、基部4の貫通孔41にシノ等の棒状部材7を挿入する。そして、ナット30を作業者の手や工具で把持し、ボルト2の軸心を中心として棒状部材7を回転させる。これにより、より大きなトルクを得ることができる。このため、ライナープレート同士の緊結力を十分に確保することが可能となる。
【0038】
以上により、ライナープレートの緊結方法が完了する。
【0039】
本実施形態によれば、第1貫通孔82が形成される第1ライナープレート8と、第2貫通孔92が形成される第2ライナープレート9と、を接続するための緊結金具1であって、第1貫通孔82と第2貫通孔92とに挿入可能なボルト2と、ボルト2の軸部21に螺合されるナット30と、を備え、ボルト2は、頭部22に設けられる基部4を有し、基部4は、貫通孔41が形成される。これにより、基部4の貫通孔41にシノ等の棒状部材7を挿入することができる。このため、ボルト2の軸心を中心として棒状部材7を回転させることができ、より大きなトルクを得ることができる。このため、ライナープレート同士の緊結力を十分に確保することが可能となる。
【0040】
また、本実施形態によれば、従来の金具のような挟持部をフランジに挟み込むときやライナープレートから取り外す作業が不要となる。加えて、また、ボルト2の軸心を中心として棒状部材7を回転させることでより大きなトルクを得ることができる。このため、専用の冶具やハンマー、インパクトレンチ等の打撃手段で叩き込む作業を省略することができる。したがって、施工における騒音を低減することが可能となる。
【0041】
上述した実施形態では緊結金具1は、ライナープレートを緊結するものとして説明したが、ライナープレートに限らず板状部材の緊結金具として実施することが可能である。
【0042】
以上、この発明の実施形態のいくつかを説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、これらの実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能である。さらに、この発明は、上記いくつかの実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記いくつかの実施形態のそれぞれは、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1 :緊結金具
2 :ボルト
21 :軸部
22 :頭部
23 :ワッシャー
30 :ナット
31 :ワッシャー
4 :基部
41 :貫通孔
5 :棒状部材
51 :第1拡径部
52 :第2拡径部
7 :棒状部材
8 :第1ライナープレート
81 :フランジ
82 :第1貫通孔
9 :第2ライナープレート
91 :フランジ
92 :第2貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8