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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156673
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】フィルターユニット
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/02 20060101AFI20221006BHJP
   F24F 13/06 20060101ALI20221006BHJP
   F24F 13/28 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B01D46/02 A
F24F13/06 Z
F24F13/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060480
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄大
(72)【発明者】
【氏名】室井 利夫
(72)【発明者】
【氏名】小松 裕幸
【テーマコード(参考)】
3L080
4D058
【Fターム(参考)】
3L080AE04
3L080BE09
4D058JA03
4D058KA01
4D058KA15
4D058KC04
4D058KC26
4D058KC33
4D058KC52
4D058SA20
(57)【要約】

【課題】 長期間にわたり異物の侵入を防止する効果があり、容易に取り付け及びメンテナンスをすることが可能なフィルターユニットを提供する。
【解決手段】 フィルターユニット1は、一方向に向けて開口した開口部2a及び開口部2aとは反対側の閉じた奥部2bを有し、全体として凹形状のフィルター本体2と、開口部2aを取り付ける枠部31を有する設置部3と、を備え、枠部31に取り付けられた開口部2aの開口面積に対して、枠部31が形成する面に平行な奥部2bの開口面積が小さくなるように形成される。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に向けて開口した開口部及び前記開口部とは反対側の閉じた奥部を有し、全体として凹形状のフィルター本体と、
前記開口部を取り付ける枠部を有する設置部と、
を備え、
前記枠部に取り付けられた前記開口部の開口面積に対して、前記枠部が形成する面に平行な前記奥部の開口面積が小さくなるように形成される
ことを特徴とするフィルターユニット。
【請求項2】
前記設置部は、管状部材の内周に前記フィルター本体を設置する止め部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のフィルターユニット。
【請求項3】
前記止め部は、前記枠部の少なくとも一部から前記フィルター本体側に延び、前記フィルター本体から離れる方向へ付勢力を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のフィルターユニット。
【請求項4】
前記止め部は、前記枠部の少なくとも一部に取り付けられる磁石である
ことを特徴とする請求項2に記載のフィルターユニット。
【請求項5】
前記枠部は、外周側に拡がろうとする付勢力を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のフィルターユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虫及び塵埃等の異物の侵入を防止するフィルターユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、空調設備、換気設備、又は、排煙設備等において、空気の給排気を行うためにダクトが使用される。ダクトは、屋内と屋外とを結ぶため、屋外から虫及び埃等の異物が、ダクトを通じて屋内に侵入してしまうことがある。
【0003】
従来、昆虫が侵入しないように空調機の給排気口にフィルターを取り付ける技術が開示されている(特許文献1)。特許文献1に記載されたネットフィルターは、ネットフィルター本体の端部にマグネットを有するメッシュ袋が形成されている。このように、マグネットを用いたことにより、ネットフィルターの交換及びメンテナンスが容易になり、繰り返し使用可能なので経済的にも有利であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3221683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
微少な虫及び埃等の異物を捕集するためには目開きの小さいフィルターを用いなければならない。目開きの小さいフィルターは、圧力損失が大きく、電力消費量及びコストの増加を招いてしまう。
【0006】
また、特許文献1に記載されたネットフィルターは、侵入した異物を捕集する部分が平面状である。このような平面状の部分に異物が捕集されていくと、平面状の部分は捕集された異物に徐々に覆われてしまい、空気を通過させる面積が減少してしまう。そのため、頻繁なメンテナンスが必要となるが、異物の侵入を防止するフィルターは、取り外し及び取り付けが困難な箇所へ設置されているものが多い。したがって、メンテナンスの際にフィルターが変形してしまったり、取り付け時に隙間が生じたりして、異物の侵入の防止効果が薄れてしまっていた。
【0007】
本発明は、長期間にわたり異物の侵入を防止する効果があり、容易に取り付け及びメンテナンスをすることが可能なフィルターユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかるフィルターユニットは、一方向に向けて開口した開口部及び前記開口部とは反対側の閉じた奥部を有し、全体として凹形状のフィルター本体と、前記開口部を取り付ける枠部を有する設置部と、を備え、前記枠部に取り付けられた前記開口部の開口面積に対して、前記枠部が形成する面に平行な前記奥部の開口面積が小さくなるように形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかるフィルターユニットによれば、長期間にわたり異物の侵入を防止する効果があり、容易に取り付け及びメンテナンスをすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態のフィルターユニットの一例を示す。
図2】管状部材に取り付けた第1実施形態のフィルターユニットの断面を示す。
図3】第2実施形態のフィルターユニットの一例を示す。
図4】管状部材に取り付けた第2実施形態のフィルターユニットの断面を示す。
図5】第3実施形態のフィルターユニットの一例を示す。
図6】管状部材に取り付けた第3実施形態のフィルターユニットの断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明にかかる一実施形態のフィルターユニット1を説明する。
【0012】
図1は、第1実施形態のフィルターユニット1の一例を示す。
【0013】
第1実施形態のフィルターユニット1は、虫及び塵埃等の異物の侵入を防止するフィルター本体2と、フィルター本体2をダクト等の流路に設置する設置部3と、を備える。
【0014】
フィルター本体2は、空気を通過させ、虫及び塵埃等の異物の侵入を防止する機能をもつ。第1実施形態のフィルター本体2は、ネット等の網目状に構成される。フィルター本体2は、ネットに限らず、不織布等でもよい。フィルター本体2は、一方向に向けて開口した開口部2aと、開口部2aとは反対側の閉じた奥部2bと、を有し、全体として凹形状とする。開口部2aの形状は、設置部3の形状に合わせればよい。
【0015】
なお、フィルター本体2は、設置前から全体として凹形状であってもよく、気流に奥部2bが押されることで凹形状になってもよい。
【0016】
設置部3は、設置するダクト等の流路の断面形状にあわせた枠部31と、流路に接触して枠部31を止める止め部32と、を有する。枠部31は、棒状又は管状の部材を用いて、環状又は角形状等の流路の内周形状に形成される。第1実施形態の枠部31は、四角形状に形成されている。
【0017】
止め部32は、流路に接触して枠部31が流路に対して動かないようにする。第1実施形態の止め部32は、枠部31の少なくとも一部からフィルター本体2側に延び、フィルター本体2から離れる方向へ付勢力を有する。
【0018】
フィルター本体2の開口部2aは、枠部31に取り付けられる。フィルター本体2は、枠部31に取り付けられた開口部2aの開口面積に対して、枠部31が形成する面に平行な奥部2bの開口面積が小さくなるように形成される。以下、「枠部31が形成する面に平行な断面における開口面積」は、単に「開口面積」という。
【0019】
第1実施形態のフィルター本体2は、開口部2aから奥部2bに向けて徐々に開口面積が小さくなるように形成されている。なお、開口面積は、開口部2aから奥部2bにかけて増減したとしても、最終的に開口部2aよりも奥部2bの方が小さければよい。なお、奥部2bは、複数あってもよく、複数ある場合の開口面積はそれぞれの開口面積を加算すればよい。
【0020】
図2は、管状部材4に取り付けた第1実施形態のフィルターユニット1の断面を示す。
【0021】
第1実施形態のフィルターユニット1は、断面四角形の管状部材4の内周に取り付けられる。取付時には、止め部32をフィルター本体2側に折り畳み、管状部材4の内部に挿入する。フィルター本体2は、管状部材4の内周に枠部31の外周がほぼ隙間無く接触するように設置される。フィルター本体2が管状部材4に設置された状態で、止め部32は、管状部材4を付勢力によって押圧する。したがって、フィルターユニット1は、管状部材4に対して常に付勢力を付加し、強固に設置されるので、強い気流であってもほとんど移動することがない。
【0022】
図3は、第2実施形態のフィルターユニット1の一例を示す。
【0023】
第2実施形態のフィルターユニット1は、虫及び塵埃等の異物の侵入を防止するフィルター本体2と、フィルター本体2をダクト等の流路に設置する設置部3と、を備える。
【0024】
第2実施形態の枠部31は、円環形状に形成されている。そのため、フィルター本体2の開口部2aは、円形となる。第2実施形態の止め部32は、枠部31の少なくとも一部に沿って取り付けられる磁石である。
【0025】
その他のフィルター本体2の構成は、第1実施形態と同様である。
【0026】
図4は、管状部材4に取り付けた第2実施形態のフィルターユニット1の断面を示す。
【0027】
第2実施形態のフィルターユニット1は、断面円環形状の金属の管状部材4の内周に取り付けられる。取付時には、磁石の止め部32を金属の管状部材4の内部に挿入する。フィルター本体2は、管状部材4の内周に枠部31の外周がほぼ隙間無く接触するように設置される。フィルター本体2が管状部材4に設置された状態で、止め部32は、管状部材4に磁力によって接着される。したがって、フィルターユニット1は、管状部材4に対して常に磁力で接着され、強固に設置されるので、強い気流であってもほとんど移動することがない。
【0028】
図5は、第3実施形態のフィルターユニット1の一例を示す。
【0029】
第3実施形態のフィルターユニット1は、虫及び塵埃等の異物の侵入を防止するフィルター本体2と、フィルター本体2をダクト等の流路に設置する設置部3と、を備える。
【0030】
第3実施形態の枠部31は、円環形状に形成されているが、一部に切断された切断部31aを有する。また、枠部31は、外周側に拡がろうとする付勢力を有する。そのため、枠部31は、単体では切断部31aから拡がってしまう。
【0031】
第3実施形態では、フィルター本体2の開口部2aと枠部31は、取り付けられる管状部材の直径と同じ直径の円環形状で取り付けられる。したがって、フィルター本体2の開口部2aに取り付けられた状態の枠部31の直径は、切断前の直径と同じ又はほぼ同じである。
【0032】
その他のフィルター本体2の構成は、第1及び第2実施形態と同様である。なお、第3実施形態のフィルターユニット1では、枠部31が止め部32を構成する。
【0033】
図6は、管状部材4に取り付けた第3実施形態のフィルターユニット1の断面を示す。
【0034】
第3実施形態のフィルターユニット1は、断面円環形状のスパイラル管等の管状部材4の内周に取り付けられる。取付時には、枠部31の直径が小さくなるように、切断部31aから両端部を重ねていき、管状部材4の内周に挿入する。フィルター本体2は、管状部材4の内周に枠部31の外周がほぼ隙間無く接触するように設置される。フィルター本体2が管状部材4に設置された状態で、止め部32の機能を有する枠部31は、外周側に付勢力が付加されている。したがって、フィルターユニット1は、管状部材4を常に付勢力で押圧し、強固に設置されるので、強い気流であってもほとんど移動することがない。
【0035】
本実施形態のフィルターユニット1は、気流Aに対して上流側に枠部31を設置し、下流側にフィルター本体2を設置している。したがって、外部から侵入した虫等の異物は、フィルター本体2の奥部2bに捕集される。
【0036】
微少な虫及び埃等の異物を捕集するためには目開きの小さいフィルターを用いなければならない。目開きの小さいフィルターは、圧力損失が大きく、電力消費量及びコストの増加を招いてしまう。
【0037】
また、特許文献1に記載された従来技術のフィルターは、本実施形態の奥部2bに対応する捕集部分が平面であった。そのため、捕集した異物は、平面を埋めていく。すると、フィルターの隙間が徐々に小さくなり、通気量が減少してしまう。
【0038】
本実施形態のフィルターユニット1は、奥部2bに虫等の異物が捕集される。フィルター本体2は立体的なので、フィルター本体2の表面積は、特許文献1に記載された従来技術のフィルターの平面と比較して大きい。したがって、本実施形態のフィルターユニット1は、目開きの小さいフィルターであっても、通気量の減少を抑えることができ、圧力損失が小さい。したがって、本実施形態のフィルターユニット1は、長期間にわたり異物の侵入を防止する効果があり、メンテナンスの頻度を低減することができる。
【0039】
また、本実施形態のフィルターユニット1は、既存の設備と干渉せずに、管状部材4の内周に、取り付け取り外しができる構造であって、容易にメンテナンスをすることができる。
【0040】
以上、本実施形態のフィルターユニット1は、一方向に向けて開口した開口部2a及び開口部2aとは反対側の閉じた奥部2bを有し、全体として凹形状のフィルター本体2と、開口部2aを取り付ける枠部31を有する設置部3と、を備え、枠部31に取り付けられた開口部2aの開口面積に対して、枠部31が形成する面に平行な奥部2bの開口面積が小さくなるように形成される。したがって、通気量の減少を抑えることができ、長期間にわたり異物の侵入を防止する効果があり、容易にメンテナンスをすることができる。
【0041】
また、本実施形態のフィルターユニット1では、設置部3は、管状部材4の内周にフィルター本体2を設置する止め部32を有する。したがって、既存の設備と干渉せずに省スペースで容易に管状部材4に取り付けることができる。
【0042】
また、本実施形態のフィルターユニット1では、止め部32は、枠部31の少なくとも一部からフィルター本体2側に延び、フィルター本体2から離れる方向へ付勢力を有する。したがって、管状部材4に対して容易に取り付け取り外しができる構造であって、容易にメンテナンスをすることができる。
【0043】
また、本実施形態のフィルターユニット1では、止め部32は、枠部31の少なくとも一部に取り付けられる磁石である。したがって、管状部材4に対して容易に取り付け取り外しができる構造であって、容易にメンテナンスをすることができる。
【0044】
また、本実施形態のフィルターユニット1では、枠部31は、外周側に拡がろうとする付勢力を有する。したがって、管状部材4に対して容易に取り付け取り外しができる構造であって、容易にメンテナンスをすることができる。
【0045】
なお、この実施形態によって本発明は限定されるものではない。すなわち、実施形態の説明に当たって、例示のために特定の詳細な内容が多く含まれるが、当業者であれば、これらの詳細な内容に色々なバリエーションや変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…フィルターユニット
2…フィルター本体
2a…開口部
2b…奥部
3…設置部
31…枠部
32…止め部
4…管状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6