IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本製紙株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156674
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】餅状食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20221006BHJP
   A23G 3/34 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
A23L7/10 102
A23G3/34 106
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060481
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130812
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100164161
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 彩
(72)【発明者】
【氏名】多田 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】薮野 伸季
【テーマコード(参考)】
4B014
4B023
【Fターム(参考)】
4B014GG01
4B014GG06
4B014GK12
4B014GP12
4B023LC05
4B023LG04
4B023LK06
4B023LK08
4B023LP07
4B023LP15
(57)【要約】
【課題】 冷凍中に餅状食品の硬化を促進して、切断等の際の取り扱い性(作業性)を改善でき、冷凍後に解凍した際の食感にも優れる餅状食品を提供することを目的とする。
【解決手段】 セルロースナノファイバー(好ましくはカルボキシメチル化セルロースナノファイバー)(好ましくはカルボキシメチル化セルロースナノファイバー)の粉体、及びデキストリンの粉体を含む粉体組成物をもち米を含む原料に混合することによって、餅状食品を製造する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースナノファイバーの粉体、及びデキストリンの粉体を含む粉体組成物をもち米を含む原料に混合することを含む、餅状食品の製造方法。
【請求項2】
セルロースナノファイバーがアニオン変性セルロースナノファイバーである請求項1記載の餅状食品の製造方法。
【請求項3】
アニオン変性セルロースナノファイバーがカルボキシ基を有するセルロースナノファイバーまたはカルボキシアルキル基を有するセルロースナノファイバーである請求項1ないし2記載の餅状食品の製造方法。
【請求項4】
アニオン変性セルロースナノファイバーがカルボキシメチル置換度が0.01~0.50の範囲内であるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーである請求項3に記載の餅状食品の製造方法。
【請求項5】
セルロースナノファイバーの粉体がカルボキシメチル化セルロースを含有する請求項1~4のいずれかに記載の餅状食品の製造方法。
【請求項6】
前記餅状食品が、大福餅、桜餅、あんころ餅、ぼた餅、草餅、求肥、おはぎ、団子からなる群より選ばれた1種である、請求項1~5のいずれかに記載の餅状食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースナノファイバーの粉体、及びデキストリンの粉体を含む粉体組成物をもち米を含む餅状食品の原料に添加することによる餅状食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
餅状食品はもち米またはもち米粉を主体に、必要に応じてうるち米、各種澱粉類、小麦粉などを混合させたものを蒸した後に、搗くあるいは練ることにより提供されるものである。
【0003】
餅生地は、切断に適した硬度にするため、通常4℃前後で48~72時間、冷蔵される。餅生地の硬化を促進させてこの冷蔵時間を短縮し生産効率を向上させるため、餅生地をトランスグルタミナーゼ、ブランチングエンザイム、α-グルコシダーゼ、および還元剤で処理する方法(特許文献1)、分岐α-グルカン混合物を有効成分とする澱粉糊化生地用硬化促進剤を添加する方法(特許文献2)、エリスリトールまたはグリセロールを添加する方法(特許文献3)、が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-171762号公報
【特許文献2】特開2016-26477号公報
【特許文献3】特許第2990895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1~3の方法においては、餅の硬化は促進できるものの、冷凍後解凍した際の食感が悪化することを防止することは不十分であった。
【0006】
そこで、本発明は、冷凍後解凍した際の食感を低下させない餅状食品の硬化促進方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、かかる目的を達成するため鋭意検討した結果、餅状食品にセルロースナノファイバー(CNF)の粉体、及びデキストリンの粉体を含む粉体組成物を配合することが有効であることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
本発明は以下を提供する。
(1) セルロースナノファイバーの粉体、及びデキストリンの粉体を含む粉体組成物をもち米を含む原料に混合することを含む、餅状食品の製造方法。
(2) セルロースナノファイバーがアニオン変性セルロースナノファイバーである(1)記載の餅状食品の製造方法。
(3) アニオン変性セルロースナノファイバーがカルボキシ基を有するセルロースナノファイバーまたはカルボキシアルキル基を有するセルロースナノファイバーである(1)ないし(2)記載の餅状食品の製造方法。
(4) アニオン変性セルロースナノファイバーがカルボキシメチル置換度が0.01~0.50の範囲内であるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーである(3)に記載の餅状食品の製造方法。
(5) セルロースナノファイバーの粉体がカルボキシメチル化セルロースを含有する(1)~(4)のいずれかに記載の餅状食品の製造方法。
(6) 前記餅状食品が、大福餅、桜餅、あんころ餅、ぼた餅、草餅、求肥、おはぎ、団子からなる群より選ばれた1種である、(1)~(5)のいずれかに記載の餅状食品の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、冷凍中に餅状食品の硬化を促進して、切断等の際の取り扱い性(作業性)を改善でき、冷凍後に解凍した際の食感にも優れる餅状食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「~」は端値を含む。すなわち「X~Y」はその両端の値XおよびYを含む。
【0011】
本発明の餅状食品は、セルロースナノファイバーの粉体、及びデキストリンの粉体を含む粉体組成物を添加して製造される。この粉体組成物を添加することで、冷凍中に餅状食品の硬化を促進することが可能となるが、冷凍後解凍した際に餅の粘性の低下等の食感に影響を与えることがない。
【0012】
(もち米)
本発明の餅状食品に用いるもち米としては特に制限はなく、もち米の粉体(もち粉、白玉粉、道明寺粉等)でもよい。また、必要に応じて、うるち米、米粉(上新粉)、小麦粉(強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム小麦粉、全粒粉等)、そば粉、とうもろこし粉、澱粉類(馬鈴薯澱粉、片栗粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、れんこん澱粉、甘藷澱粉、コーンスターチ、きび粉、葛粉、わらび粉、及び加工澱粉(澱粉に酵素的、物理的及び/又は化学的な加工を施したもの))を混合させてもよい。
【0013】
(副原料)
本発明において、必要に応じて、一般に餅状食品に使用されている副原料、あるいは餅状食品の種類や望まれる品質等によって使用されている副原料を使用することができる。具体的には、糖類(ブドウ糖、果糖などの単糖類、麦芽糖、ショ糖、乳糖などの2糖類、異性化糖、水飴、還元水飴、糖アルコール)、食塩、重曹等の膨張剤、生クリーム、チーズ、クリームチーズ等の乳製品、卵(全卵、殺菌液卵黄、凍結卵黄、乾燥卵黄、加糖卵黄)、乳成分(牛乳、脱脂乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、加糖粉乳)、蜂蜜、ショートニング、油脂類(マーガリン、バター、液油、乳化油脂等)、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム等)、増粘多糖類(カルボキシメチル化セルロース、グアーガム、キサンタンガム、カラギーナン等)、香辛料(シナモン、バジリコ等)、洋酒類(ブランデー、ラム酒等)、豆類(大豆、そら豆)、胡麻、ドライフルーツ(レーズン、ドライチェリー等)、ナッツ類(アーモンド、ピーナツ等)、酵素(αアミラーゼ、βアミラーゼ、グルコアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、キシラナーゼ、ヘミセルラーゼ、グルコースオキシダーゼ等)、香料(例えばバニラエッセンス)、人工甘味料(例えばアスパルテーム)、食物繊維(ペクチン、グアーガム分解物、アガロース、グルコマンナン、ポリデキストローズ、アルギン酸ナトリウム、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン等)、活性グルテン、大豆蛋白、抹茶パウダー、チョコレート、ココアパウダー等が例示できる。
【0014】
(セルロースナノファイバー)
本発明において、セルロースナノファイバー(以下、CNFということがある。)は、セルロース系原料であるパルプなどがナノメートルレベルまで微細化されたもので、繊維幅が1~500nm程度の微細繊維である。セルロースナノファイバーの平均繊維径および平均繊維長は、原子間力顕微鏡(AFM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、各繊維を観察した結果から得られる繊維径および繊維長を平均することによって得ることができる。また、セルロースナノファイバーの平均アスペクト比は、通常50以上である。上限は特に限定されないが、通常は1000以下である。平均アスペクト比は、下記の式により算出することができる:
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
【0015】
セルロースナノファイバーは、パルプに機械的な力を加えて微細化することで得られ、未変性のセルロースあるいは、カルボキシ化したセルロース(酸化セルロースとも呼ぶ)、カルボキシメチル化したセルロース、リン酸エステル基を導入したセルロースのようなアニオン変性セルロース、カチオン化したセルロースなどの変性セルロースを解繊することによって得ることができる。微細繊維の平均繊維長と平均繊維径は、酸化処理、解繊処理により調整することができる。本発明においては、カルボキシメチル化処理を行って得られたカルボキシメチル化セルロースを解繊して得られたカルボキシメチル化(CM化)セルロースナノファイバーを用いることが好ましい。
【0016】
(セルロース原料)
本発明に用いるセルロースナノファイバーを製造するためのセルロース原料としては、例えば、植物性材料(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ)、動物性材料(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))産生物等を起源とするものが挙げられる。パルプとしては、針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等が挙げられる。これらのすべてが使用できるが、植物または微生物由来のセルロース繊維が好ましく、植物由来のセルロース繊維がより好ましい。
【0017】
(カルボキシメチル化)
本発明において、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーを用いる場合、カルボキシメチル化したセルロースは、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシメチル化することにより得てもよいし、市販品を用いてもよい。いずれの場合も、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度は0.01~0.50であることが好ましい。そのようなカルボキシメチル化したセルロースを製造する方法の一例として次のような方法を挙げることができる。セルロースを発底原料にし、溶媒として3~20質量倍の水または低級アルコールを使用する。具体的には水、メタノール、エタノール、N-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N-ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等を単独、あるいは2種以上を併用して使用できる。水と低級アルコールの混合溶媒を用いる場合、低級アルコールの混合割合は60~95質量%である。マーセル化剤としては、発底原料の無水グルコース残基当たり0.5~20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用する。発底原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0~70℃、好ましくは10~60℃で、反応時間を15分~8時間、好ましくは30分~7時間としてマーセル化処理を行う。その後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05~10.0倍モル添加し、反応温度30~90℃、好ましくは40~80℃で、反応時間を30分~10時間、好ましくは1時間~4時間としてエーテル化反応を行う。
【0018】
<カルボキシメチル化セルロースナノファイバー>
本発明のカルボキシメチル化セルロースナノファイバーは、水に分散した際にも繊維状の形状の少なくとも一部が維持されるものである。すなわち、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの水分散体を電子顕微鏡で観察すると、繊維状の物質を観察することができるものである。また、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーをX線回折で測定した際にセルロースI型結晶のピークを観測することができるものである。
【0019】
<セルロースI型の結晶化度>
本発明に用いられるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーにおけるセルロースの結晶化度は、結晶I型が40%以上であり、好ましくは50%以上である。セルロースI型の結晶化度が40%以上と高いと、水等の溶媒中で溶解せずに結晶構造を維持するセルロースの割合が高いため、チキソ性が高くなり(チキソトロピー)、増粘剤等の粘度調整用途に適するようになる。また、例えば、これに限定されないが、ゲル状の物質(例えば、食品や化粧品など)に添加した際に、優れた保形性を付与できるという利点が得られる。セルロースの結晶性は、マーセル化剤の濃度と処理時の温度、並びにカルボキシメチル化の度合によって制御できる。マーセル化及びカルボキシメチル化においては高濃度のアルカリが使用されるために、セルロースのI型結晶がII型に変換されやすいが、アルカリ(マーセル化剤)の使用量を調整するなどして変性の度合いを調整することによって、所望の結晶性を維持させることができる。セルロースI型の結晶化度の上限は特に限定されない。現実的には90%程度が上限となると考えられる。
【0020】
カルボキシメチル化セルロースナノファイバーのセルロースI型の結晶化度の測定方法は、以下の通りである:
試料をガラスセルに乗せ、X線回折測定装置(LabX XRD-6000、島津製作所製)を用いて測定する。結晶化度の算出はSegal等の手法を用いて行い、X線回折図の2θ=10°~30°の回折強度をベースラインとして、2θ=22.6°の002面の回折強度と2θ=18.5°のアモルファス部分の回折強度から次式により算出する。
Xc=(I002c―Ia)/I002c×100
Xc=セルロースI型の結晶化度(%)
I002c:2θ=22.6°、002面の回折強度
Ia:2θ=18.5°、アモルファス部分の回折強度。
カルボキシメチル化セルロースのナノファイバーにおけるI型結晶の割合は、ナノファイバーとする前のカルボキシメチル化セルロースにおけるものと、通常、同じである。
【0021】
<カルボキシメチル置換度>
本発明に用いられるカルボキシメチル化セルロースのナノファイバーは、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が、0.50以下である。カルボキシメチル置換度が0.50を超えると水へ溶解し、繊維形状を維持できなくなると考えられる。操業性を考慮すると当該置換度は0.01~0.50であることが好ましく、0.02~0.50であることがさらに好ましく、0.05~0.40であることがさらに好ましく、0.10~0.40であることがさらに好ましい。セルロースにカルボキシメチル基を導入することで、セルロース同士が電気的に反発するため、ナノファイバーへと解繊することができるようになるが、無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01より小さいと、解繊が不十分となり、透明性の高いセルロースナノファイバーが得られない場合がある。なお、従来の水媒法では、カルボキシメチル置換度が0.20~0.40の範囲では、セルロースI型の結晶化度が60%以上であるカルボキシメチル化セルロースのナノファイバーを得ることは困難であったが、本発明者らは、例えば後述する方法により、カルボキシメチル置換度が0.20~0.40の範囲であり、セルロースI型の結晶化度が60%以上であるカルボキシメチル化セルロースのナノファイバーを製造できることを見出した。カルボキシメチル置換度は、反応させるカルボキシメチル化剤の添加量、マーセル化剤の量、水と有機溶媒の組成比率をコントロールすること等によって調整することができる。
【0022】
本発明において無水グルコース単位とは、セルロースを構成する個々の無水グルコース(グルコース残基)を意味する。また、カルボキシメチル置換度(エーテル化度ともいう。)とは、セルロースを構成するグルコース残基中の水酸基のうちカルボキシメチルエーテル基に置換されているものの割合(1つのグルコース残基当たりのカルボキシメチルエーテル基の数)を示す。なお、カルボキシメチル置換度はDSと略すことがある。
【0023】
カルボキシメチル置換度の測定方法は以下の通りである:
試料約2.0gを精秤して、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。硝酸メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液100mLを加え、3時間振盪して、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの塩(CMC)をH-CMC(水素型カルボキシメチル化セルロースナノファイバー)に変換する。その絶乾H-CMCを1.5~2.0g精秤し、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。80%メタノール15mLでH-CMCを湿潤し、0.1N-NaOHを100mL加え、室温で3時間振盪する。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1N-HSOで過剰のNaOHを逆滴定し、次式によってカルボキシメチル置換度(DS値)を算出する。
A=[(100×F’-0.1N-HSO(mL)×F)×0.1]/(H-CMC
の絶乾質量(g))
カルボキシメチル置換度=0.162×A/(1-0.058×A)
F’:0.1N-HSOのファクター
F:0.1N-NaOHのファクター。
カルボキシメチル化セルロースのナノファイバーにおけるカルボキシメチル置換度は、ナノファイバーとする前のカルボキシメチル化セルロースにおけるカルボキシメチル置換度と、通常、同じである。
【0024】
<繊維径、アスペクト比>
本発明に用いられるカルボキシメチル化セルロースのナノファイバーは、ナノスケールの繊維径を有するものである。平均繊維径は、好ましくは3nm~500nm、さらに好ましくは3nm~150nm、さらに好ましくは3nm~20nm、さらに好ましくは5nm~19nm、さらに好ましくは5nm~15nmである。
【0025】
カルボキシメチル化セルロースナノファイバーのアスペクト比は、特に限定されないが、350以下であることが好ましく、300以下であることがさらに好ましく、200以下であることがさらに好ましく、120以下であることがさらに好ましく、100以下であることがさらに好ましく、80以下であることがさらに好ましい。アスペクト比が350以下であると、繊維が過度に長すぎず、繊維同士の絡まり合いが少なくなり、セルロースナノファイバーの塊(ダマ)の発生を低減することができ、添加剤として使用するのに適する。また、流動性が高いので、高濃度でも使用しやすくなり、高固形分が要求される用途においても使いやすくなるという利点が得られる。アスペクト比の下限は、特に限定されないが、好ましくは25以上であり、さらに好ましくは30以上である。アスペクト比が25以上であると、その繊維状の形状から、チキソ性の向上といった効果が得られる。カルボキシメチル化セルロースナノファイバーのアスペクト比は、カルボキシメチル化時の溶媒と水の混合比、薬品添加量、及びカルボキシメチル化の度合によって制御でき、また、例えば、後述する製法により製造することができる。
【0026】
カルボキシメチル化セルロースのナノファイバーの平均繊維径および平均繊維長は、径が20nm以下の場合は原子間力顕微鏡(AFM)、20nm以上の場合は電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、ランダムに選んだ200本の繊維について解析し、平均を算出することにより、測定することができる。また、アスペクト比は下記の式により算出することができる:
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径。
【0027】
(解繊)
セルロース原料の解繊は、セルロース原料に変性処理を施す前に行ってもよいし、後に行ってもよい。また、解繊は、一度に行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回の場合それぞれの解繊の時期はいつでもよい。
【0028】
解繊に用いる装置は特に限定されないが、例えば、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などのタイプの装置が挙げられ、高圧又は超高圧ホモジナイザーが好ましく、湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーがより好ましい。装置は、セルロース原料又は変性セルロース(通常は分散液)に強力なせん断力を印加できることが好ましい。装置が印加できる圧力は、50MPa以上が好ましく、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。装置は、セルロース原料又は変性セルロース(通常は分散液)に上記圧力を印加することができ、かつ強力なせん断力を印加できる、湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーが好ましい。これにより、解繊を効率的に行うことができる。
【0029】
セルロース原料の分散体に対して解繊を行う場合、分散体中のセルロース原料の固形分濃度は、通常は0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上である。これにより、セルロース繊維原料の量に対する液量が適量となり効率的である。上限は通常10質量%以下、好ましくは6質量%以下である。これにより流動性を保持することができる。
【0030】
解繊(好ましくは高圧ホモジナイザーでの解繊)、又は必要に応じて解繊前に行う分散処理に先立ち、必要に応じて予備処理を行ってもよい。予備処理は、高速せん断ミキサーなどの混合、撹拌、乳化、分散装置を用いて行えばよい。
【0031】
(セルロースナノファイバーの粉体)
上記で得られたセルロースナノファイバーの分散体から分散媒を除去(乾燥)することにより、セルロースナノファイバーの粉体とすることができる。乾燥方法としては、公知のものを用いることができ、特に限定されない。例えば、スプレイドライ、圧搾、風乾、熱風乾燥、及び真空乾燥を挙げることができる。乾燥装置は、特に限定されないが、連続式のトンネル乾燥装置、バンド乾燥装置、縦型乾燥装置、垂直ターボ乾燥装置、多重段円板乾燥装置、通気乾燥装置、回転乾燥装置、気流乾燥装置、スプレードライヤ乾燥装置、噴霧乾燥装置、円筒乾燥装置、ドラム乾燥装置、ベルト乾燥装置、スクリューコンベア乾燥装置、加熱管付回転乾燥装置、振動輸送乾燥装置、回分式の箱型乾燥装置、通気乾燥装置、真空箱型乾燥装置、及び撹拌乾燥装置等を単独で又は2つ以上組み合わせて用いることができる。
【0032】
乾燥後に必要に応じて、粉砕してもよい。粉砕に用いる装置としては、これらに限定されないが、カッティング式ミル、衝撃式ミル、気流式ミル、媒体ミルを例示することができる。これらを単独あるいは併用して、さらには同機種で数段処理することができる。これらの中で、気流式ミルは好ましい。カッティング式ミルとしては、メッシュミル((株)ホーライ製)、アトムズ((株)山本百馬製作所製)、ナイフミル(パルマン社製)、グラニュレータ(ヘルボルト製)、ロータリーカッターミル((株)奈良機械製作所製)、等が例示される。衝撃式ミルとしては、パルペライザ(ホソカワミクロン(株)製)、ファインイパクトミル(ホソカワミクロン(株)製)、スーパーミクロンミル(ホソカワミクロン(株)製)、サンプルミル((株)セイシン製)、バンタムミル((株)セイシン製)、アトマイザー((株)セイシン製)、トルネードミル(日機装(株))、ターボミル(ターボ工業(株))、ベベルインパクター(相川鉄工(株))等が例示される。気流式ミルとしては、CGS型ジェットミル(三井鉱山(株)製)、ジェットミル(三庄インダストリー(株)製)、エバラジェットマイクロナイザ((株)荏原製作所製)、セレンミラー(増幸産業(株)製)、超音速ジェットミル(日本ニューマチック工業(株)製)等が例示される。媒体ミルとしては、振動ボールミル等が例示される。
【0033】
乾燥後、必要に応じて、所定の目開きを有するメッシュ(篩)を通過させるなどして、特定の粒度となるように調整してもよい。CNFの粉体のメディアン径は、これに限定されないが、1cm以下であることが好ましく、500μm以下であることがさらに好ましく、150μm以下であることがさらに好ましく、130μm以下であることがさらに好ましく、120μm以下であることがさらに好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。例えば、CNFの粉体のメディアン径は、10~150μmであることが好ましく、30~130μmであることがさらに好ましく、50~120μmであることがさらに好ましい。
【0034】
CNFの粉体を形成する際に、CNFの分散体に水溶性高分子を添加してから、CNFと水溶性高分子とを含む分散体から分散媒を除去して、CNFの粉体に水溶性高分子を含有させてもよい。CNFの粉体に水溶性高分子を含有させると、CNFの粉体を分散媒に再分散させた際に、CNF同士の凝集が起こりにくくなる。そのような水溶性高分子としては、例えば、水溶性のカルボキシメチルセルロースが挙げられる。水溶性のカルボキシメチルセルロースとしては、カルボキシメチル置換度が0.55~1.60のものが好ましく、0.55~1.10のものがさらに好ましく、0.65~1.10のものがさらに好ましい。また、分子が長く、水に分散した際に高い粘度を示すものが好ましく、1質量%水溶液における25℃、60rpmでのB型粘度が、3~14000mPa・sとなるものが好ましく、7~14000mPa・sとなるものがさらに好ましく、1000~8000mPa・sとなるものがさらに好ましい。CNF粉体中にカルボキシメチルセルロースを含有させる場合のカルボキシメチルセルロースの配合量は、特に限定されないが、CNF(絶乾固形分)に対して、5~300質量%であることが好ましく、20~300質量%がさらに好ましく、20~100質量%がさらに好ましく、20~50質量%がさらに好ましい。なお、ここでいうカルボキシメチルセルロースとは、カルボキシメチル置換度が高い水溶性の高分子であり、上述のカルボキシメチル化CNFとは異なるし、カルボキシメチル化CNFを製造するために作成される水中で繊維状の形状が維持されるカルボキシメチル化セルロースとも異なる。
【0035】
(デキストリンの粉体)
本発明の粉体組成物は、上記で得られたセルロースナノファイバーの粉体と、デキストリンの粉体とを含む。デキストリンの粉体としては、通常の、例えば市販の、粉末状の糖類を使用することができる。デキストリンの粉体のメディアン径等は特に限定されない。
水溶性のデキストリンはママコの抑制効果が高いため、好ましい。
【0036】
(粉体組成物)
上述のセルロースナノファイバーの粉体と、デキストリンンの粉体とを混合することにより、本発明の粉体組成物を得ることができる。混合に用いる手段は特に限定されず、粉体同士を混合できるものを用いればよい。例えば、容器回転式混合装置、パドルミキサー、気流式混合装置、振動式混合装置などが挙げられる。また、撹拌用の装置を特に使用しなくてもよい。セルロースナノファイバーの粉体とデキストリンの粉体とは、必ずしも均一に混合されていなくてもよく、本発明の粉体組成物は、セルロースナノファイバーの粉体とデキストリンの粉体とを有していればよい。
【0037】
本発明の粉体組成物は、セルロースナノファイバーの粉体を用意し、また、デキストリンの粉体を用意し、これらを混合したものである。本発明の粉体組成物は、セルロースナノファイバーとデキストリンとを、湿潤状態で混合するのではなく、それぞれ乾燥粉体の状態で混合することを要するものである。このようにして得た粉体組成物は、分散媒に懸濁した際に、分散媒とのなじみがよく、ママコが生じにくいまたは生じたママコが解消しやすいという利点を有する。
【0038】
粉体組成物におけるセルロースナノファイバーの粉体とデキストリンの粉体との配合割合は、特に限定されないが、例えば、セルロースナノファイバーの粉体:デキストリンの粉体(質量比)で、1:99~99:1であり、好ましくは10:90~90:10であり、さらに好ましくは15:85~60:40であり、さらに好ましくは20:80~50:50であり、さらに好ましくは25:75~45:55である。なお、セルロースナノファイバーの粉体を形成する際にカルボキシメチルセルロースのような水溶性高分子を添加した場合は、ここでいうセルロースナノファイバーの粉体の質量は、セルロースナノファイバーの質量と水溶性高分子の質量の合計をいうものとする。セルロースナノファイバー単独の質量と、デキストリンの質量との比は、これに限定されないが、セルロースナノファイバー:デキストリン(質量比)で、1:99~90:10が好ましく、5:95~85:15がさらに好ましく、10:90~55:45がさらに好ましく、15:85~45:55がさらに好ましく、15:85~35:65がさらに好ましい。
【0039】
本明細書で、「粉体組成物」というときは、粉状または顆粒状の物質を混合して得た組成物をいう。粉状又は顆粒状の物質が周囲の水分などを吸着することにより一部凝集してやや大きめの塊を形成している状態のものも粉体組成物に含むこととする。
【0040】
本発明の粉体組成物を形成するセルロースナノファイバーの粉体とデキストリンの粉体は、いずれも吸湿性があり、粉体組成物は、少量の水分を含む場合がある。粉体組成物の水分(含水率)は少ない方が好ましい。粉体組成物の含水率は、10質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがさらに好ましく、3質量%未満であることがさらに好ましく、2質量%未満であることがさらに好ましい。粉体組成物における含水率は、以下の手順により測定することができる:
粉体組成物を105℃のオーブンで12時間乾燥させ、乾燥前後の質量から粉体組成物の含水率を算出する。
粉体組成物の含水率(質量%)={1-(乾燥後の質量/乾燥前の質量)}×100
【0041】
本発明の粉体組成物は、分散媒に投入した際、ママコが生じにくく、また、生じたママコが解消しやすいという特徴を有する。ママコとは、粉体を分散媒(液体)中に投入した際に粉体が分散媒になじまずに(ほぐれずに)粉のまま固まっている様子をいう。ママコが生じにくいとは、ママコが発生しないか、発生してもサイズが小さいことを含む。ママコが解消しやすいとは、短時間の撹拌でママコがなくなる(視認できなくなる)ことを含む。分散媒の種類は、特に限定されないが、ママコの抑制効果が高い点から、水または水溶性有機溶媒が好ましい。水溶性有機溶媒は、水と任意に混合可能な有機溶媒であり、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド等を挙げることができる。水と水溶性有機溶媒とは、複数の種類を混合したものを分散媒として用いてもよいし、単独の種類を用いてもよい。これら分散媒の中では、水が最も好ましい。
【0042】
(餅状食品の製造方法)
セルロースナノファイバーの粉体、及びデキストリンの粉体を含む粉体組成物を直接餅状食品の原料に添加してもよいし、粉体組成物を水分散液の状態で添加してもよい。粉体組成物の粉末から水分散液を調製する場合は、例えば、粉体組成物の粉末および水をミキサーで撹拌すれば良い。次に、もち米、粉体組成物水分散液、必要に応じて副原料等を混合して生地を調整し、得られた生地を蒸し、その後搗く、あるいは練るなどの処理することにより本発明の餅状食品を製造することができる。
【0043】
本発明の餅状食品は、セルロースナノファイバーを含むため、適度な粘性を有するので、食感に優れる。餅状食品として、具体的には大福餅、桜餅、あんころ餅、ぼた餅、草餅、求肥、おはぎ、団子等が挙げられる。
【0044】
粉体組成物の餅状食品への添加量は、餅生地の硬化促進効果が得られれば制限されないが、原材料のもち米に対して0.01~5質量%が好ましい。添加量が001質量%未満では硬化促進効果が不十分であり、5質量%を超えても硬化促進効果は頭打ちとなる
【実施例0045】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0046】
(カルボキシメチル置換度の測定方法)
1)カルボキシメチル化セルロース繊維(絶乾)約2.0gを精秤して、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。
2)硝酸メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液100mLを加え、3時間振とうして、カルボキシメチルセルロース塩(CM化セルロース)を水素型CM化セルロースにする。
3)水素型CM化セルロース(絶乾)を1.5~2.0g精秤し、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。
4)80%メタノール15mLで水素型CM化セルロースを湿潤し、0.1NのNaOHを100mL加え、室温で3時間振とうする。
5)指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1NのH2SO4で過剰のNaOHを逆滴定する。
6)カルボキシメチル置換度(DS)を、次式によって算出する:
A=[(100×F’-(0.1NのH2SO4)(mL)×F)×0.1]/(水素型CM化セルロースの絶乾質量(g))
DS=0.162×A/(1-0.058×A)
A:水素型CM化セルロースの1gの中和に要する1NのNaOH量(mL)
F’:0.1NのH2SO4のファクター
F:0.1NのNaOHのファクター
【0047】
(平均繊維径、アスペクト比の測定方法)
CNFの平均繊維径および平均繊維長は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いてランダムに選んだ200本の繊維について解析した。アスペクト比は下記の式により算出した。
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
【0048】
[実施例1]
(カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの製造)
回転数を100rpmに調節した5L容の二軸ニーダーに、イソプロパノール(IPA)1089部と、水酸化ナトリウム31部を水121部に溶解したものとを加え、広葉樹パルプ(日本製紙(株)製、LBKP)を100℃60分間乾燥した際の乾燥質量で200部仕込んだ。30℃で60分間撹拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に撹拌しつつモノクロロ酢酸ナトリウム117部を添加し、30℃で30分間撹拌した後、30分かけて70℃に昇温し、70℃で60分間カルボキシメチル化反応をさせた。マーセル化反応時及びカルボキシメチル化反応時の反応媒中の水の割合は、10質量%である。反応終了後、中和し、65%含水メタノールで洗浄し、脱液、乾燥、粉砕して、カルボキシメチル置換度0.27、セルロースI型の結晶化度64%のカルボキシメチル化セルロースのナトリウム塩を得た。なお、カルボキシメチル置換度及びセルロースI型の結晶化度の測定方法は、先述の通りである。
得られたカルボキシメチル化セルロースのナトリウム塩を水に分散し、1%(w/v)水分散体とした。これを、150MPaの高圧ホモジナイザーで3回処理し、カルボキシメチル化セルロースのナノファイバーの分散体を得た。
得られたカルボキシメチル化セルロースナノファイバーを水で固形分0.7質量%の分散体とし、カルボキシメチルセルロース(商品名:F350HC-4、粘度(1質量%、25℃、60rpm)約3000mPa・s、カルボキシメチル置換度約0.90)を、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーに対して40質量%(すなわち、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの固形分を100質量部としたときにカルボキシメチルセルロースの固形分が40質量部となるように)添加し、TKホモミキサー(12,000rpm)で60分間攪拌した。この分散体のpHは7~8程度であった。
この分散体に、水酸化ナトリウム水溶液0.5質量%を加え、pHを9に調整した後、ドラム乾燥機D0405(カツラギ工業社製)のドラム表面に塗布し、140℃で1分間乾燥した。得られた乾燥物を掻き取り、次いで、衝撃式ミルを用いて1時間あたり10kgの速さで乾燥物を粉砕し、水分量5質量%の乾燥粉砕物を得た。得られた粉砕物を、30メッシュを用いて分級し、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーを含む粉末(CNF粉体)を得た。
【0049】
(粉体組成物の製造)
上記で得られたCNF粉体の3gを、デキストリン(松谷化学製 商品名TK-16、分子量約1020)7gと混合し、粉体組成物を得た。
【0050】
(餅の製造)
もち米粉100部、水100部をよく練り合わせ、蒸し器で30分間蒸した。蒸し上がった生地をホームベーカリの生地モードにて5分間練り、さらに上記で得られた粉体組成物2部を添加し、さらに5分間練った。次に練りあがった餅生地を48時間冷凍保管し、その後解凍した。解凍した餅生地をナイフで切断したところ、適度な硬度を有しており、切断し易かった。また、この餅生地を10人のパネラーに試食させ、風味を1~10点で評価し、平均値で評価したところ、食感に優れており、8~10点であった。
【0051】
[比較例1]
粉体組成物を添加しない以外は、実施例1と同様にして生地を製造した。次に練りあがった生地を48時間冷凍保管し、その後解凍した。解凍した生地をナイフで切断したところ、硬度が不十分で切断し難かったまた、この餅生地を10人のパネラーに試食させ、風味を1~10点で評価し、平均値で評価したところ、食感がやや劣っており、4~7点であった。