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特開2022-156698荷役車両、荷役システム、荷役車両の制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156698
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】荷役車両、荷役システム、荷役車両の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20221006BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G05D1/02 H
B66F9/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060517
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000183222
【氏名又は名称】住友ナコ フォ-クリフト株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】日南 敦史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄士
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏志
【テーマコード(参考)】
3F333
5H301
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AA20
3F333FA17
3F333FA40
3F333FD01
3F333FE05
3F333FE10
5H301AA01
5H301BB07
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301FF10
5H301FF11
5H301GG08
(57)【要約】
【課題】位置検出用の基準物の数量を減らす。
【解決手段】荷役車両であるAGF20は、出庫口51と搬送車両Tとの間で自動運転による荷役作業を行うものであり、出庫口51を含む設備側領域11の設備側マップM1と、搬送車両Tを含む移動体側領域12の移動体側マップM2とを記憶する記憶部26と、リフレクタの位置を検出してAGF20の自己位置を算出するレーザスキャナ24と、レーザスキャナ24が算出した自己位置に対応させて設備側マップM1と移動体側マップM2とのいずれかを参照する制御部27とを備えている。設備側領域11には、少なくとも2つの設備側リフレクタR1が配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
停止した移動体と荷役設備との間で自動運転による荷役作業を行う荷役車両であって、
前記荷役設備を含む設備側領域の設備側地図情報と、前記移動体を含む移動体側領域の移動体側地図情報と、を記憶する記憶手段と、
基準物の位置を検出して当該荷役車両の自己位置を算出する位置算出手段と、
前記位置算出手段が算出した前記自己位置に対応させて、前記設備側地図情報と前記移動体側地図情報とのいずれかを参照する地図参照手段と、
を備え、
前記設備側領域には、少なくとも2つの前記基準物が配置される、
荷役車両。
【請求項2】
前記移動体には、少なくとも2つの他の基準物が配置され、
前記位置算出手段は、前記他の基準物の位置を検出して前記移動体の位置を算出する、
請求項1に記載の荷役車両。
【請求項3】
前記設備側地図情報と前記移動体側地図情報の各々は、参照する地図情報を切り替えるための地図情報切替点の位置情報を含み、
前記地図参照手段は、前記設備側地図情報と前記移動体側地図情報のうち参照している一方の地図情報上で前記自己位置が前記地図情報切替点の位置と一致した場合に、参照する地図情報を他方に切り替える、
請求項1又は請求項2に記載の荷役車両。
【請求項4】
前記設備側地図情報は、前記移動体側領域側とは反対側に配置された前記荷役設備と、前記移動体側領域側に配置された前記地図情報切替点と、前記少なくとも2つの前記基準物と、の各位置情報を含む、
請求項3に記載の荷役車両。
【請求項5】
前記記憶手段は、複数種類の前記移動体に対応付けられた複数の前記移動体側地図情報を予め記憶しており、
前記地図参照手段は、前記移動体側領域に位置する前記移動体の種類に対応した前記移動体側地図情報を参照する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の荷役車両。
【請求項6】
停止した移動体と荷役設備との間で自動運転による荷役作業を行う荷役車両と、
前記荷役車両の動作を制御する制御手段と、
を備える荷役システムであって、
前記荷役車両は、基準物の位置を検出して前記荷役車両の自己位置を算出する位置算出手段を備え、
前記制御手段は、
前記荷役設備を含む設備側領域の設備側地図情報と、前記移動体を含む移動体側領域の移動体側地図情報と、を記憶する記憶手段と、
前記荷役車両の前記位置算出手段が算出した前記自己位置に対応させて、前記設備側地図情報と前記移動体側地図情報とのいずれかを参照する地図参照手段と、
を備え、
前記設備側領域には、少なくとも2つの前記基準物が配置される、
荷役システム。
【請求項7】
停止した移動体と荷役設備との間で自動運転による荷役作業を行う荷役車両の制御プログラムであって、
前記荷役車両は、前記荷役設備を含む設備側領域の設備側地図情報と、前記移動体を含む移動体側領域の移動体側地図情報と、を記憶する記憶手段を備え、
コンピュータを、
前記設備側領域に配置された少なくとも2つの基準物の位置に基づいて前記荷役車両の自己位置を算出する位置算出手段、
前記位置算出手段が算出した前記自己位置に対応させて、前記設備側地図情報と前記移動体側地図情報とのいずれかを参照する地図参照手段、
として機能させる、
荷役車両の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役車両、荷役システム、荷役車両の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、荷役作業を行う荷役システムにおいて、無人フォークリフト等の自動運転可能な荷役車両の適用が進んできている。
特許文献1に記載の技術では、作業エリアの全域にリフレクタ等の基準物を多数設置し、この基準物の位置を検出して参照することで、荷役車両の位置誘導精度を担保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6725198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特にトラックヤード等の屋外を多く含む作業エリアの場合、トラック等の移動体が往来する場所では基準物が障害物となりうるため、多数の基準物を設置することが難しい。
そこで、本発明は、位置検出用の基準物の数量を減らすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、停止した移動体と荷役設備との間で自動運転による荷役作業を行う荷役車両であって、
前記荷役設備を含む設備側領域の設備側地図情報と、前記移動体を含む移動体側領域の移動体側地図情報と、を記憶する記憶手段と、
基準物の位置を検出して当該荷役車両の自己位置を算出する位置算出手段と、
前記位置算出手段が算出した前記自己位置に対応させて、前記設備側地図情報と前記移動体側地図情報とのいずれかを参照する地図参照手段と、
を備え、
前記設備側領域には、少なくとも2つの前記基準物が配置される構成とした。
【0006】
また本発明は、
停止した移動体と荷役設備との間で自動運転による荷役作業を行う荷役車両と、
前記荷役車両の動作を制御する制御手段と、
を備える荷役システムであって、
前記荷役車両は、基準物の位置を検出して前記荷役車両の自己位置を算出する位置算出手段を備え、
前記制御手段は、
前記荷役設備を含む設備側領域の設備側地図情報と、前記移動体を含む移動体側領域の移動体側地図情報と、を記憶する記憶手段と、
前記荷役車両の前記位置算出手段が算出した前記自己位置に対応させて、前記設備側地図情報と前記移動体側地図情報とのいずれかを参照する地図参照手段と、
を備え、
前記設備側領域には、少なくとも2つの前記基準物が配置される構成とした。
【0007】
また本発明は、停止した移動体と荷役設備との間で自動運転による荷役作業を行う荷役車両の制御プログラムであって、
前記荷役車両は、前記荷役設備を含む設備側領域の設備側地図情報と、前記移動体を含む移動体側領域の移動体側地図情報と、を記憶する記憶手段を備え、
コンピュータを、
前記設備側領域に配置された少なくとも2つの基準物の位置に基づいて前記荷役車両の自己位置を算出する位置算出手段、
前記位置算出手段が算出した前記自己位置に対応させて、前記設備側地図情報と前記移動体側地図情報とのいずれかを参照する地図参照手段、
として機能させるものとした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、位置検出用の基準物の数量を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る荷役システムの作業エリアを示す図であって、設備側マップと移動体側マップを説明するための図である。
図2】実施形態に係る荷役システムの概略の制御構成を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る荷役処理の流れを示すフローチャートである。
図4】実施形態に係る設備側領域に配置する基準物の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
[荷役システムの構成]
図1は、本実施形態に係る荷役システム1の作業エリア10を示す図であって、後述の設備側マップM1と移動体側マップM2を説明するための図であり、図2は、荷役システム1の概略の制御構成を示すブロック図である。
図1に示すように、荷役システム1は、無人フォークリフト(Automated Guided Forklift;以下、「AGF」という。)20により、作業エリア10において倉庫の出庫口51から搬送車両(例えばトラック)Tに荷Lを搬送して積み込むシステムである。
本明細書において、AGF20による「荷役(又は荷役動作)」とは、AGF20が荷Lに対して行う荷取り、荷積み、荷下ろし等をいい、本実施形態では、出庫口51又は搬送車両Tの荷台Cに対して行う動作をいう。また、AGF20による「荷役作業」とは、荷役に加えて、それに付随するAGF20の動作(荷役のための走行、荷Lの搬送等)を含む。
【0012】
荷役システム1の作業エリア10は、例えばトラックヤードであり、設備側領域11と、移動体側領域12を含む。
このうち、設備側領域11は、位置が固定された倉庫の出庫口51を含むエリアであり、本実施形態では、出庫口51周辺の所定範囲のエリアである。出庫口51は、本発明に係る荷役設備の一例であり、倉庫に収納・保管された荷LがAGF20によって取り出される場所である。
また、設備側領域11には、複数(本実施形態では2つ)の設備側リフレクタR1が配置されている。設備側リフレクタR1は、AGF20が自己位置を算出するための基準物(参照物)であって、後述するレーザスキャナ24の検出対象である。2つの設備側リフレクタR1は、比較的に出庫口51の周辺に配置されている。なお、設備側リフレクタR1の数量は、特に限定はされないが、少なくとも2つあればよい。
【0013】
移動体側領域12は、搬送車両Tが停車されるエリアである。搬送車両Tは、本発明に係る移動体の一例であり、AGF20によりその荷台Cに荷Lが積み込まれる。
また、搬送車両Tには、複数(本実施形態では2つ)の移動体側リフレクタR2が配置されている。移動体側リフレクタR2は、荷役対象である搬送車両T(の荷台C)の位置を算出するための基準物(参照物)であって、後述するレーザスキャナ24の検出対象である。本実施形態の移動体側リフレクタR2は、搬送車両Tのうち荷台Cの開口部の車両前後端それぞれに設けられている。移動体側リフレクタR2の数量は、特に限定はされないが、少なくとも2つあればよい。
なお、移動体側領域12は、設備側領域11と一部が重複していてもよいし、設備側領域11から多少離れていてもよい。
【0014】
具体的に、荷役システム1は、図2に示すように、AGF20と、制御サーバ30とを備えている。
【0015】
AGF20は、荷の搬送、荷の昇降及び荷の受渡し等が可能な荷役車両であり、本実施形態では軌条等を用いずに路上を走行できる無人フォークリフトである。AGF20は、本発明に係る荷役車両の一例であり、制御サーバ30の制御指令に基づく自動運転(無人運転)が可能なように構成されている。
具体的に、AGF20は、駆動部21、荷役装置23、レーザスキャナ24、通信部25、記憶部26、制御部27を備える。
【0016】
駆動部21は、AGF20の各種駆動源である走行モータ及び操舵モータ(いずれも図示省略)を含む。走行モータは、車輪のうちの駆動輪を駆動する。操舵モータは、車輪のうちの操舵輪を回転(操舵動作)させる。
荷役装置23は、荷役動作を行うためのものであり、AGF20の車体前部に設けられている。荷役装置23は、車体前後に傾倒可能なマストと、マストに昇降可能に取り付けられて荷Lを保持する左右一対のフォークと、フォークの昇降や傾倒等の各動作を行わせる荷役モータとを含む。
【0017】
レーザスキャナ24は、本発明に係る位置算出手段の一例である。レーザスキャナ24は、投光部と受光部を備えており、投光部からレーザ光を出射させ、少なくとも2つの反射体で反射されたその反射光を受光部で検出することにより、三角測量の原理に基づいて自己位置(反射体との相対位置)を算出する。算出結果は制御部27に出力される。ただし、レーザスキャナ24が投光及び受光のみを行い、制御部27がその結果に基づいて自己位置を算出することとしてもよい。
【0018】
通信部25は、制御サーバ30との間で各種情報を送受信可能な通信デバイスである。
制御部27は、CPU(Central Processing Unit)等により構成され、AGF20各部の動作を制御する。具体的に、制御部27は、記憶部26に予め記憶されているプログラムを展開し、展開されたプログラムと協働して各種処理を実行したりする。
【0019】
記憶部26は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等により構成されるメモリであり、各種のプログラム及びデータを記憶するとともに、制御部27の作業領域としても機能する。
本実施形態の記憶部26には、AGF20が動作するときに参照する設備側マップM1と移動体側マップM2とが予め記憶されている。
【0020】
図1に示すように、設備側マップM1は、設備側領域11の地図情報である。地図情報とは、対象領域における所要の配置物(例えば後述のリフレクタ等)の位置情報を含むデータである。このような地図情報としては、例えば制御サーバ30の表示部32などに地図表示できるものであるのが好ましいが、単に配置物の位置情報を有するだけのものであってもよい。
設備側マップM1は、少なくとも、出庫口51、2つの設備側リフレクタR1、設備側切替ポイントP1の各位置情報を有している。設備側切替ポイントP1は、AGF20が設備側領域11から移動体側領域12に向かうときに、参照する地図情報が設備側マップM1から移動体側マップM2に切り替えられる位置である。設備側切替ポイントP1は、設備側領域11のうち、移動体側領域12側の端部に配置される。
また、設備側マップM1は、設備側切替ポイントP1と出庫口51との間の移動経路G1の情報を有している。移動経路G1は、AGF20が設備側切替ポイントP1と出庫口51との間を移動するときの好適な経路である。なお、移動経路G1は、設備側切替ポイントP1と出庫口51との間の往復で、互いに異なっていてもよい。
【0021】
移動体側マップM2は、移動体側領域12の地図情報である。
移動体側マップM2は、少なくとも、2つの移動体側リフレクタR2、移動体側切替ポイントP2の各位置情報を有している。移動体側切替ポイントP2は、AGF20が移動体側領域12から設備側領域11に向かうときに、参照する地図情報が移動体側マップM2から設備側マップM1に切り替えられる位置である。移動体側切替ポイントP2は、移動体側領域12のうち、設備側領域11側の端部に配置される。なお、移動体側切替ポイントP2は、設備側切替ポイントP1から所定範囲内の位置であることが好ましく、設備側切替ポイントP1と同一の位置であってもよい。
また、移動体側マップM2は、移動体側切替ポイントP2と搬送車両Tの荷台Cとの間の移動経路G2の情報を有している。移動経路G2は、AGF20が移動体側切替ポイントP2と荷台Cとの間を移動するときの好適な経路である。なお、移動経路G2は、移動体側切替ポイントP2と荷台Cとの間の往復で、互いに異なっていてもよい。
【0022】
なお、移動体側領域12では、移動体である搬送車両Tの位置が固定されない(変化しうる)。そのため、移動体側マップM2における2つの移動体側リフレクタR2と移動経路G2の情報は、あくまで搬送車両Tが所定の位置に停車された場合のものである。
また、移動体側マップM2には、記憶された2つの移動体側リフレクタR2と移動経路G2に対応する搬送車両Tの情報が割り当てられて記憶されているのが好ましい。
さらには、記憶部26には、複数種類の搬送車両Tに対応付けられた複数の移動体側マップM2が予め記憶されており、実際に移動体側領域12に位置する搬送車両Tに対応した移動体側マップM2が選択されて参照されるのが好ましい。これにより、搬送車両Tの種類に応じて好適に荷役作業を行うことができる。
【0023】
図2に示すように、制御サーバ30は、荷役システム1を中央制御するものであり、AGF20の動作を制御可能に構成されている。制御サーバ30は、荷役システム1を制御できるものであればよく、例えば端末装置とクラウドサーバで構成されるものなどであってもよい。
具体的に、制御サーバ30は、操作部31、表示部32、通信部35、記憶部36、制御部37を備える。
【0024】
操作部31は、操作者が制御サーバ30を動作させるための各種操作を行う操作手段であり、例えばマウスやキーボード等のポインティングデバイスを含む。
表示部32は、例えば液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のディスプレイである。表示部32は、制御部37から入力される表示信号に基づいて各種情報を表示する。なお、表示部32は、操作部31の少なくとも一部を兼ねるタッチパネルであってもよい。
【0025】
通信部35は、AGF20との間で各種情報を送受信可能な通信デバイスである。
記憶部36は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等により構成されるメモリであり、各種のプログラム及びデータを記憶するとともに、制御部37の作業領域としても機能する。
制御部37は、CPU(Central Processing Unit)等により構成され、制御サーバ30各部の動作を制御する。具体的に、制御部37は、操作部31の操作内容等に基づいて、記憶部36に予め記憶されているプログラムを展開し、展開されたプログラムと協働して各種処理を実行したりする。
【0026】
[荷役システムの動作]
続いて、AGF20により出庫口51の荷Lを搬送車両Tに積み込んで搬出する荷役処理を実行するときの荷役システム1の動作について説明する。
図3は、この荷役処理の流れを示すフローチャートである。
荷役処理は、制御サーバ30の制御部37が、操作者の操作に基づいて、記憶部36から該当するプログラムを読み出して展開することで実行される。
ここでは、AGF20の初期位置が設備側領域11内であるものとする。
【0027】
図3に示すように、荷役処理が実行されると、まず制御サーバ30の制御部37は、操作者の操作に基づいて、AGF20に荷役作業の開始指令を送信する(ステップS1)。ここでは、出庫口51の荷Lを搬送車両Tの荷台Cに所定の並びで積み込む旨の指令が送信される。
すると、AGF20の制御部27は、そのときの自己位置(初期位置)に対応した地図情報として、設備側マップM1を記憶部26から読み出して参照する(ステップS2)。
【0028】
次に、制御部27は、レーザスキャナ24により周囲の基準物を検出する(ステップS3)。
ここで、AGF20が設備側領域11にいる場合には、レーザスキャナ24により2つの設備側リフレクタR1の位置を検出して、設備側マップM1に設定されている2つの設備側リフレクタR1の位置情報と照合することで、AGF20の自己位置を算出する。これにより、設備側マップM1におけるAGF20の自己位置が得られる。
【0029】
一方、AGF20が移動体側領域12にいる場合には、レーザスキャナ24により2つの移動体側リフレクタR2の位置を検出して、移動体側マップM2に設定されている2つの移動体側リフレクタR2の位置情報と照合する。そして、制御部27は、2つの移動体側リフレクタR2の実際の位置と移動体側マップM2上での設定位置との差分に基づいて、移動体側マップM2に設定されている荷台Cまでの移動経路G2と移動体側切替ポイントP2の位置を補正する。これにより、搬送車両T(の荷台C)の実際の位置が求められ、それに基づいて移動体側マップM2の情報が補正される。
【0030】
なお、レーザスキャナ24による自己位置の算出等は、作業中(動作中)に継続的に行うこととしてもよい。また、慣性計測装置(IMU)等の内界センサにより継続的に自己位置を計測しつつ、この自己位置をレーザスキャナ24による算出結果で定期的に補正することとしてもよい。
【0031】
次に、制御部27は、駆動部21を動作させ、AGF20を荷役対象(出庫口51又は搬送車両Tの荷台C)まで移動(走行)させる(ステップS4)。
ここでは、AGF20が設備側領域11にいる場合には出庫口51まで移動し、AGF20が移動体側領域12にいる場合には搬送車両Tの荷台Cまで移動する。
AGF20がマップ切替ポイント(設備側切替ポイントP1又は移動体側切替ポイントP2)に位置する場合には、当該マップ切替ポイントから移動経路G1、G2に沿って荷役対象まで移動する。
【0032】
次に、制御部27は、駆動部21や荷役装置23を動作させ、AGF20に荷役対象に対する荷役動作を行わせる(ステップS5)。
ここでは、AGF20が設備側領域11にいる場合には出庫口51から荷Lを取り、AGF20が移動体側領域12にいる場合には搬送車両Tの荷台Cに荷積みする。
【0033】
次に、制御部27は、駆動部21を動作させてAGF20をマップ切替ポイント(設備側切替ポイントP1又は移動体側切替ポイントP2)まで移動させる(ステップS6)。
ここでは、AGF20が設備側領域11にいる場合には設備側切替ポイントP1まで移動し、AGF20が移動体側領域12にいる場合には移動体側切替ポイントP2まで移動する。
【0034】
次に、制御部27は、AGF20がマップ切替ポイントに到達(自己位置がマップ切替ポイントの位置と一致)したか否かを判定し(ステップS7)、到達していないと判定した場合には(ステップS7;No)、当該ステップS7を繰り返す。
【0035】
そして、AGF20がマップ切替ポイントに到達したと判定した場合(ステップS7;Yes)、制御部27は、参照する地図情報を現在参照していない方に切り替える(ステップS8)。
ここでは、AGF20が設備側領域11におり、設備側切替ポイントP1に到達した場合には、制御部27は、参照する地図情報を設備側マップM1から移動体側マップM2に切り替える。一方、AGF20が移動体側領域12におり、移動体側切替ポイントP2に到達した場合には、制御部27は、参照する地図情報を移動体側マップM2から設備側マップM1に切り替える。
なお、マップ切替のタイミングは特に限定されず、例えばマップ切替ポイントに到達する少し前であってもよい。この場合、マップ切替ポイントに到達するまで(地図情報を切り替える前)に、移動先の領域におけるリフレクタを検出し、当該移動先の領域におけるマップ切替ポイントの位置を検出(補正)しておくのが好ましい。当該移動先の領域におけるマップ切替ポイントの位置は、現在参照している地図情報にも記憶されていればよい。
【0036】
次に、制御部27は、駆動部21を動作させ、AGF20に設備側切替ポイントP1と移動体側切替ポイントP2との間を移動させる(ステップS9)。
ここでは、制御部27は、設備側切替ポイントP1と移動体側切替ポイントP2との間の経路を、これらの位置情報等に基づいて生成し、当該経路に沿ってAGF20を移動させる。なお、設備側切替ポイントP1と移動体側切替ポイントP2とが同一の位置の場合には、このステップは省略する。
その後、制御部27は、上述のステップS3に処理を移行し、移動した領域での荷役と走行等を、当該領域の地図情報を参照しつつ繰り返す。
【0037】
そして、上述したステップS3~S9のいずれかにおいて、例えば所定の荷Lが搬出された等により、荷役処理を終了させると判定した場合には、制御部27は、荷役処理の終了を制御サーバ30に報知し、制御サーバ30の制御部37は荷役処理を終了させる。
【0038】
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、設備側領域11に配置された少なくとも2つの設備側リフレクタR1の位置を検出してAGF20の自己位置が算出され、この自己位置に対応させて設備側マップM1と移動体側マップM2のいずれかが参照される。
すなわち、固定設備に設けられた少なくとも2つの設備側リフレクタR1により自己位置を好適に求めるとともに、この自己位置に対応した地図情報を参照しつつAGF20を好適に誘導することができる。したがって、作業エリア全域に多数の基準物を設置していた従来に比べ、位置検出用の基準物(リフレクタ)の数量を減らすことができる。ひいては、AGF20の導入コストを低減できる。
また、作業エリア全域を1つの地図情報に含めた場合には、搬送車両の位置の変化に伴って地図情報全体の相対位置が変化するところ、搬送車両Tを含む移動体側マップM2が固定位置の出庫口51を含む設備側マップM1から分離されているため、搬送車両Tの位置が変化した場合でも移動体側マップM2の位置情報が変わるだけとなる。
さらに、設備側マップM1と移動体側マップM2とが分離されているため、出庫口51の移動や増減といった作業エリア10のレイアウト変更があった場合でも、該当する部分の地図情報だけを変更すれば足り、容易に対応できる。
【0039】
また本実施形態によれば、搬送車両Tには少なくとも2つの移動体側リフレクタR2が配置され、レーザスキャナ24がこの移動体側リフレクタR2の位置を検出して、搬送車両Tの位置が求められる。
これにより、駐停車の度に位置が変わる搬送車両Tの荷台Cに対しても、その位置を正確に求めて荷役動作を行うことができる。
【0040】
また本実施形態によれば、設備側マップM1は、そのうち移動体側領域12側とは反対側に配置された出庫口51と、移動体側領域12側に配置された設備側切替ポイントP1と、少なくとも2つの設備側リフレクタR1と、の各位置情報を含むものであればよい。
したがって、設備側マップM1を出庫口51周辺だけのものに簡素化できる。
【0041】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限られない。
例えば、上記実施形態では、設備側領域11に設けた2つの設備側リフレクタR1により、AGF20が自己位置を算出することとした。しかし、設備側領域11に設ける位置検出用の基準物は、2つの設備側リフレクタR1でなくてもよい。なお、基準物の位置情報が、参照する地図情報に含まれるのは勿論である。
具体的には、例えば図4(a)に示すように、出庫口51及びその周辺の壁52を基準物として、これらの位置をレーザスキャナ24で検出してもよい。
あるいは、図4(b)に示すように、出庫口51及びその周辺の壁52と、当該壁52に対して垂直方向に離間した少なくとも1つのリフレクタR3とを基準物としてもよい。上記図4(a)の場合には、壁52に沿った方向における自己位置を特定できないおそれがあるところ、壁52の垂直方向に位置するリフレクタR3を参照することでこれを解決できる。この場合、リフレクタR3は、壁52と明確に識別するために、壁52から所定距離以上離間させた方がよい。
ただし、出庫口51の開口部が大きく開いているときなど、参照できる検出対象部が小さい場合には、好適に自己位置を算出できず、AGF20の位置誘導精度が低下するおそれがある。そのため、上記実施形態のように、出庫口51周辺の壁52とは異なる少なくとも2つの基準物を設けるのが好ましい。
【0042】
また、上記実施形態では、設備側領域11又は搬送車両Tに設置したリフレクタ(反射体)をレーザスキャナ(光学センサ)で検出することとした。しかし、位置検出用の基準物とその検出手段は、この組み合わせに限定されない。例えば、基準物はバーコード、ICタグ、マーカ等であってもよく、その場合の検出手段はこれらを検出可能なものであればよい。あるいは、設備側領域11での検出手法であれば、設備側領域11に設置された任意の固定物を基準物とし、この固定物を撮像手段で画像認識して捉える手法でもよい。また、搬送車両Tを検出する場合には、例えば撮像手段等により搬送車両T自体の形状を認識し、これに基づいて移動体側領域12の相対的な座標を取得する手法でもよい。
【0043】
また、上記実施形態の荷役処理では、出庫口51の荷Lを搬送し、搬送車両Tに荷積みして搬出する荷役作業を行うこととした。しかし、AGF20が行う荷役作業は、荷役設備と移動体との間で行うものであればよく、例えば、搬送車両Tが積んできた荷を搬送し、倉庫に荷下ろしして搬入する荷役作業等であってもよい。
【0044】
また、制御サーバ30が、位置誘導を含むAGF20の動作制御を行うこととしてもよい。この場合、設備側マップM1と移動体側マップM2は制御サーバ30の記憶部36に記憶されており、制御サーバ30の制御部37が、AGF20の自己位置に対応させて、設備側マップM1と移動体側マップM2とのいずれかを参照し、AGF20を誘導すればよい。AGF20の自己位置は、AGF20のレーザスキャナ24が算出したものを制御サーバ30が受信してもよいし、レーザスキャナ24によるリフレクタの検出結果を制御サーバ30が受信して制御部37が算出してもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、AGF20が制御サーバ30から指令を受けて動作することとしたが、AGF20が制御サーバ30から独立して動作することとしてもよい。この場合、AGF20の記憶部26に記憶されたプログラムを制御部27が読み出して展開することで、上記実施形態の荷役処理が実行されればよい。
【0046】
また、本発明に係る荷役車両は、自動運転により荷役及び走行が可能なものあれば、無人フォークリフトに限定されず、例えば無人搬送車(Automated Guided Vehicle;AGV)などであってもよい。
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 荷役システム
10 作業エリア
11 設備側領域
12 移動体側領域
20 AGF(荷役車両)
24 レーザスキャナ(位置算出手段)
26 記憶部(記憶手段)
27 制御部(地図参照手段)
30 制御サーバ(制御手段)
51 出庫口(荷役設備)
52 壁
G1、G2 移動経路
L 荷
M1 設備側マップ(設備側地図情報)
M2 移動体側マップ(移動体側地図情報)
P1 設備側切替ポイント(地図情報切替点)
P2 移動体側切替ポイント(地図情報切替点)
R1 設備側リフレクタ(基準物)
R2 移動体側リフレクタ(他の基準物)
T 搬送車両(移動体)
C 荷台
図1
図2
図3
図4