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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156713
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ヘッドセット
(51)【国際特許分類】
   G01K 13/20 20210101AFI20221006BHJP
【FI】
G01K13/20 341G
G01K13/20 361W
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060540
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000112565
【氏名又は名称】フォスター電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日比野 陽
(72)【発明者】
【氏名】川名 康夫
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 光
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056HD01
2F056HD03
2F056HD07
(57)【要約】
【課題】本発明は、体温測定用のセンサを追加することなく、精度よく体温を計測することを目的とする。
【解決手段】ヘッドセット100は、使用者の耳に装着される中空のハウジング10と、ハウジング10の一部分であって、ハウジング10の外耳道側の部分に設けられた筒状の外耳道挿入部12と、ハウジング10内部の外耳道側に設けられたヘッドセット用のサーミスタ18と、ハウジング10内部の外耳道側と反対側に設けられたヘッドセット用のメイン基板25上の温度センサ24と、サーミスタ18の出力と温度センサ24の出力とに基づいて、使用者の体温を計測する演算部22と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の耳に装着される中空のハウジングと、
前記ハウジングの一部分であって、前記ハウジングの外耳道側の部分に設けられた筒状の外耳道挿入部と、
前記ハウジング内部の外耳道側に設けられたヘッドセット用の第1センサと、
前記ハウジング内部の外耳道側と反対側に設けられたヘッドセット用の第2センサと、
前記第1センサの出力と、前記第2センサの出力とに基づいて、前記使用者の体温を計測する演算部と、
を含むヘッドセット。
【請求項2】
前記第1センサは、装着状態を検出するための近接センサ、又は前記ハウジング内部の温度を計測するためのサーミスタを含み、
前記第2センサは、メイン基板に搭載されたセンサ、又は前記使用者からの操作を検出するためのタッチパッドを含む請求項1記載のヘッドセット。
【請求項3】
前記演算部は、所定条件における前記第1センサ又は前記第2センサの出力から、前記ハウジング外の温度である室温を推定し、
前記第1センサの出力及び前記第2センサの出力を取得し、
前記推定された前記室温と、前記第1センサの出力から計測される温度との第1温度差、及び前記第2センサの出力から計測される温度と前記第1センサの出力から計測される温度との第2温度差から、前記使用者の体温を計測する請求項1又は2記載のヘッドセット。
【請求項4】
前記第1センサは複数のセンサであり、
前記第2センサは、複数のセンサであり、
前記演算部は、前記第1センサの複数のセンサの出力から計測される温度と、前記第2センサの複数のセンサの出力から計測される温度とに基づいて、前記第1センサの複数のセンサの何れか一つと、前記第2センサの複数のセンサの何れか一つとの組み合わせを選択し、
前記選択された組み合わせに含まれるセンサの出力から計測される温度に基づいて、前記使用者の体温を計測する請求項1~請求項3の何れか1項記載のヘッドセット。
【請求項5】
前記演算部は、
所定条件における前記第1センサ又は前記第2センサの出力から、前記ハウジング外の温度である室温を推定し、
前記第1センサの出力及び前記第2センサの出力を取得し、
前記第1センサの複数のセンサの何れか一つと、前記第2センサの複数のセンサの何れか一つとの組み合わせの各々について計算される、前記推定された室温と、前記第1センサの出力から計測される温度との第1温度差、及び前記第2センサの出力から計測される温度と前記第1センサの出力から計測される温度との第2温度差の比率から、前記組み合わせを選択し、
前記選択された組み合わせに含まれるセンサの出力から計測される温度と、前記組み合わせについて予め求められたパラメータとを用いて、前記使用者の体温を計測する請求項4記載のヘッドセット。
【請求項6】
前記演算部は、前記使用者の体温を計測する際に、前記選択された組み合わせにおける前記第1温度差、前記第2温度差、及び前記第1センサの出力から計測される温度に基づいて、前記使用者の体温を計測する請求項5記載のヘッドセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、体の深部の体温を測定する技術が知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。
【0003】
例えば、特許文献1では、体表面に接触する測定面側から順に第1の温度センサと第2の温度センサとを具えるとともに、それら第1の温度センサと第2の温度センサとの間に断熱材を具える非加熱型の深部体温計において、前記第1の温度センサと前記第2の温度センサとの組と、前記第1の温度センサと前記第2の温度センサとの組との少なくとも二組の温度センサを具え、前記第1の温度センサと前記第2の温度センサとの組毎に、それら第1の温度センサと第2の温度センサとの間の前記断熱材の熱抵抗値が異なることを特徴とする、非加熱型深部体温計が開示されている。
【0004】
非特許文献1では、サーミスタで計測した外耳道温を用いて深部体温を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-212407号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】池尻晃基 他、「サーミスタで計測した外耳道温を用いた深部体温算出のための校正について検討」、[No.19-306] 日本機械学会 シンポジウム:スポーツ工学・ヒューマンダイナミクス 2019 講演論文集
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、従来技術では、体温測定用のセンサを追加する必要があるため、ヘッドセットの装置構成が複雑化してしまう。
【0008】
本発明は、体温測定用のセンサを追加することなく、精度よく体温を計測することができるヘッドセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るヘッドセットは、使用者の耳に装着される中空のハウジングと、前記ハウジングの一部分であって、前記ハウジングの外耳道側の部分に設けられた筒状の外耳道挿入部と、前記ハウジング内部の外耳道側に設けられたヘッドセット用の第1センサと、前記ハウジング内部の外耳道側と反対側に設けられたヘッドセット用の第2センサと、前記第1センサの出力と、前記第2センサの出力とに基づいて、前記使用者の体温を計測する演算部と、を含んで構成されている。
【0010】
本発明によれば、ヘッドセット用の第1センサが、前記ハウジング内部の外耳道側に設けられている。ヘッドセット用の第2センサが、前記ハウジング内部の外耳道側と反対側に設けられている。そして、演算部が、前記第1センサの出力と、前記第2センサの出力とに基づいて、前記使用者の体温を計測する。
【0011】
このように、前記ハウジング内部の外耳道側に設けられたヘッドセット用の第1センサの出力と、前記ハウジング内部の外耳道側と反対側に設けられたヘッドセット用の第2センサの出力とに基づいて、使用者の体温を計測することにより、体温測定用のセンサを追加することなく、精度よく体温を計測することができる。
【0012】
本発明に係る前記第1センサは、装着状態を検出するための近接センサ、又は前記ハウジング内部の温度を計測するためのサーミスタを含み、前記第2センサは、メイン基板に搭載されたセンサ、又は前記使用者からの操作を検出するためのタッチパッドを含むことができる。
【0013】
また、上記の発明に係る前記演算部は、所定条件における前記第1センサ又は前記第2センサの出力から、前記ハウジング外の温度である室温を推定し、前記第1センサの出力及び前記第2センサの出力を取得し、前記推定された前記室温と、前記第1センサの出力から計測される温度との第1温度差、及び前記第2センサの出力から計測される温度と前記第1センサの出力から計測される温度との第2温度差から、前記使用者の体温を計測することができる。
【0014】
本発明に係る前記第1センサは複数のセンサであり、前記第2センサは、複数のセンサであり、前記演算部は、前記第1センサの複数のセンサの出力から計測される温度と、前記第2センサの複数のセンサの出力から計測される温度とに基づいて、前記第1センサの複数のセンサの何れか一つと、前記第2センサの複数のセンサの何れか一つとの組み合わせを選択し、前記選択された組み合わせに含まれるセンサの出力から計測される温度に基づいて、前記使用者の体温を計測することができる。
【0015】
上記の発明に係る前記演算部は、所定条件における前記第1センサ又は前記第2センサの出力から、前記ハウジング外の温度である室温を推定し、前記第1センサの出力及び前記第2センサの出力を取得し、前記第1センサの複数のセンサの何れか一つと、前記第2センサの複数のセンサの何れか一つとの組み合わせの各々について計算される、前記推定された室温と、前記第1センサの出力から計測される温度との第1温度差、及び前記第2センサの出力から計測される温度と前記第1センサの出力から計測される温度との第2温度差の比率から、前記組み合わせを選択し、前記選択された組み合わせに含まれるセンサの出力から計測される温度と、前記組み合わせについて予め求められたパラメータとを用いて、前記使用者の体温を計測することができる。
【0016】
本発明に係る前記演算部は、前記使用者の体温を計測する際に、前記選択された組み合わせにおける前記第1温度差、前記第2温度差、及び前記第1センサの出力から計測される温度に基づいて、前記使用者の体温を計測することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明のヘッドセットによれば、前記ハウジング内部の外耳道側に設けられたヘッドセット用の第1センサの出力と、前記ハウジング内部の外耳道側と反対側に設けられたヘッドセット用の第2センサの出力とに基づいて、使用者の体温を計測することにより、体温測定用のセンサを追加することなく、精度よく体温を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るヘッドセットでの深部体温の推定方法について説明するための図である。
図2】深部体温の推定で用いられるパラメータを説明するための図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係るヘッドセットの全体構成を示す断面図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係るヘッドセットの演算部を示すブロック図である。
図5】ヘッドセット開発時に測定した温度データの例を示す図である。
図6】t/tに対するt/tの分布の例を示す図である。
図7】本発明の第1の実施の形態に係るヘッドセットによる温度計測処理の内容を示すフローチャートである。
図8】本発明の第2の実施の形態に係るヘッドセットでの深部体温の推定方法について説明するための図である。
図9】深部体温の推定で用いられるパラメータを説明するための図である。
図10】本発明の第2の実施の形態に係るヘッドセットの全体構成を示す断面図である。
図11】本発明の第2の実施の形態に係るヘッドセットの演算部を示すブロック図である。
図12】本発明の第2の実施の形態に係るヘッドセットによる温度計測処理の内容を示すフローチャートである。
図13】実施例1に係るヘッドセットの全体構成を示す断面図である。
図14】実施例2に係るヘッドセットの全体構成を示す断面図である。
図15】実施例2に係るヘッドセットにおける深部体温の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
[第1の実施の形態]
<本発明の第1の実施の形態の概要>
本発明の第1の実施の形態では、深部体温を測定するための構成を追加することなく、従来のヘッドセット用に備えられているセンサを使って、深部体温を求める。
【0021】
一例として、ベーシックなセンサ構成である「サーミスタ」と「メイン基板の温度センサ」を含む温度伝達系統で、深部体温を測定する。
【0022】
この温度伝達系統での熱抵抗及びパラメータの構成を図1図2に示す。
【0023】
サーミスタで計測した温度をT、メイン基板の温度センサで計測した温度をT、室温をT、深部体温をTとする。また、室温Tと温度Tとの温度差を第1温度差t、温度Tと温度Tとの温度差であるヘッドセット内の温度差を第2温度差t、深部体温Tと温度Tとの温度差をtとする。また、温度差tに対応する熱抵抗をR、温度差tに対応する熱抵抗をR、温度差tに対応する熱抵抗をRとする。
【0024】
測定の事前準備、すわなち、ヘッドセット開発時におけるパラメータ作成として、あらかじめ温度計及び体温計を用いて測定している室温Tと深部体温Tを元にして、任意の状態における「R/R値」及び「t/tに対するt/tの分布」を求める。
【0025】
そして、深部体温の測定においては、温度差t、温度差t、温度差t、及び深部体温Tを求める。
【0026】
ここで、室温Tについては、体温による局所的な温度上昇が見られずヘッドセット筐体全体の温度が一定となっている状態(温度T、Tが等しい状態)での温度を室温Tとする。
【0027】
また、体温によりヘッドセットが局所的に暖まっていて室温Tが求められない状態の場合は、前回の体温測定で用いたパラメータを適用して深部体温Tを求める。
【0028】
<本発明の第1の実施の形態のヘッドセットの構成>
図3に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るヘッドセット100は、内部に各種の機能部品を収容する、使用者の耳に装着される中空のハウジング10を有する。ハウジング10が、ヘッドセット100の筐体である。また、ヘッドセット100は、ハウジング10の一部分であって、使用者の耳に装着されたときのハウジング10の外耳道側の部分に設けられた、中空部を有する筒状の外耳道挿入部12を有する。
【0029】
また、ヘッドセット100は、ハウジング10内部に設けられた音信号出力用のドライバ14を有する。
【0030】
また、ヘッドセット100は、音信号を出力するドライバ14と、外耳道挿入部12の中空部に伝播する信号を収集するように設けられたマイクロフォン16と、ハウジング10内部の外耳道側に設けられたヘッドセット用のサーミスタ18と、ハウジング10内部の外耳道側と反対側に設けられたヘッドセット用の温度センサ24と、ドライバ14から音信号を出力させる再生部20と、サーミスタ18及び温度センサ24の出力に基づいて深部体温を計測する演算部22と、情報処理端末(図示省略)から音信号を受信すると共に、演算部22による計測結果を情報処理端末へ送信する通信部23と、メイン基板25と、を備えている。
【0031】
再生部20、演算部22、通信部23、及び温度センサ24は、ハウジング10内に配置されたメイン基板25上に実装されている。
【0032】
サーミスタ18は、ハウジング10内部に設けられた電池(図示省略)の充放電の動作温度を計測するために用いられるセンサであり、外耳道空間の温度を計測する。
【0033】
温度センサ24は、メイン基板25に実装されるセンシング用IC(9軸センサなど)に内蔵されているセンサであり、ハウジング10に接しない場所に配置されたセンサである。
【0034】
演算部22は、サーミスタ18からの出力と、温度センサ24からの出力とに基づいて、使用者の深部体温を計測する。
【0035】
演算部22は、機能的に、図4に示すように、認証部30、室温推定部32、深部体温推定部34、及び再生制御部36を備えている。
【0036】
認証部30は、マイクロフォン16を用いた耳音響認証で、ヘッドセット100を装着している使用者を特定する。
【0037】
室温推定部32は、所定条件におけるサーミスタ18及び温度センサ24の出力から、室温を推定する。具体的には、室温推定部32は、温度センサ24によって計測された温度Tとサーミスタ18によって計測された温度Tとが等しい場合に、温度Tと温度Tが筐体温度であり、室温Tに等しいと判断し、温度T又は温度Tを、室温Tと推定する。
【0038】
深部体温推定部34は、サーミスタ18の出力及び温度センサ24の出力を取得し、推定された室温Tと、温度センサ24の出力から計測される温度Tとの第1温度差t、及び温度センサ24の出力から計測される温度Tとサーミスタ18の出力から計測される温度Tとの第2温度差tから、使用者の深部体温を推定する。
【0039】
具体的には、サーミスタ18及び温度センサ24が温まるまで所定の時間待機してから、サーミスタ18の出力及び温度センサ24の出力を取得し、以下に説明するように深部体温Tを推定する。
【0040】
まず、室温Tが推定された場合には、ヘッドセット開発時の測定データから求めた「t/tに対するt/tの分布」をもとに以下の式に従って、深部体温Tを推定する。
【0041】

(1)
【0042】
ただし、上式のf(x)は、一例として、複数の測定データと分布を示している図5図6に示すような、ヘッドセット開発時の測定データを用いた場合には以下の式で表される。
【0043】
【0044】
そして、上記で求めた深部体温Tと、サーミスタ18の出力から計測される温度Tと、第2温度差tとから、以下の式に従って、熱抵抗比R/R値を算出し記録する。
【0045】

(2)
【0046】
また、温度Tと温度Tが等しくない場合、すなわち、筐体が部分的に暖まっている状態で計測が開始された場合には、最後に記録されたR/R値を用いて、上記式(2)に従って、ヘッドセット内部の温度差tにR/R値を乗算した値と、温度Tとを加算して、深部体温Tを推定する
【0047】
なお、最後に記録されたR/R値がない場合は事前測定で求めたR/R値を用いればよい。
【0048】
再生制御部36は、情報処理端末から受信した音信号を、再生部20及びドライバ14を介して出力するように制御する。
【0049】
<本発明の第1の実施の形態のヘッドセットの動作>
ヘッドセット100のハウジング10が、使用者の耳に装着されているときであって、使用者の情報処理端末(図示省略)から、深部体温計測の指示が無線通信により受信されたときに、図7に示すような温度計測処理が、演算部22によって実行される。
【0050】
まず、ステップS100において、認証部30は、マイクロフォン16を用いた耳音響認証で、ヘッドセット100を装着している使用者を特定する。
【0051】
ステップS102において、室温推定部32は、サーミスタ18により計測された温度T、及び温度センサ24により計測された温度Tを取得する。
【0052】
ステップS104において、室温推定部32は、温度センサ24によって計測された温度Tとサーミスタ18によって計測された温度Tとが等しいか否かを判定する。温度Tと温度Tとが等しい場合には、ステップS106へ移行する。一方、温度Tと温度Tとが等しくない場合には、ステップS116へ移行する。なお、温度センサ24によって計測された温度Tとサーミスタ18によって計測された温度Tとが等しいことが、所定条件の一例である。
【0053】
ステップS106において、室温推定部32は、温度T又は温度Tを、室温Tと推定する。
【0054】
ステップS108において、深部体温推定部34は、サーミスタ18及び温度センサ24が温まるまで所定の時間待機する。
【0055】
ステップS110において、深部体温推定部34は、所定の時間経過後のサーミスタ18により計測された温度T及び温度センサ24により計測された温度Tを取得する。
【0056】
ステップS112において、深部体温推定部34は、上記式(1)に従って、深部体温Tを推定する。そして、通信部23により、深部体温Tの推計結果を、情報処理端末へ送信する。
【0057】
ステップS114において、深部体温推定部34は、上記で求めた深部体温Tと、サーミスタ18の出力から計測される温度Tと、第2温度差tとから、上記式(2)に従って、R/R値を算出し記録し、温度計測処理を終了する。
【0058】
ステップS116では、深部体温推定部34は、サーミスタ18及び温度センサ24が温まるまで所定の時間待機する。
【0059】
ステップS118において、深部体温推定部34は、最後に記録されたR/R値を用いて、上記式(2)に従って、深部体温Tを推定する。そして、通信部23により、深部体温Tの推計結果を、情報処理端末へ送信し、温度計測処理を終了する。
【0060】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態に係るヘッドセットによれば、ハウジング内部の外耳道側に設けられたヘッドセット用のサーミスタと、ハウジング内部の外耳道側と反対側に設けられたヘッドセット用の温度センサの出力とに基づいて、使用者の体温を計測することにより、体温測定用のセンサを追加することなく、精度よく体温を計測することができる。
【0061】
なお、上記の実施の形態において、サーミスタと、メイン基板上の温度センサとの組み合わせを用いた場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。外耳道側のサーミスタ及び後述する近接センサの何れか一方と、外耳道側と反対側のメイン基板上の温度センサ及び後述するタッチパッドの何れか一方との組み合わせを用いて、深部体温を計測するようにしてもよい。
【0062】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態のヘッドセットについて説明する。第1の実施の形態と同様の構成となる部分につては、同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
第2の実施の形態では、ヘッドセット用の4つのセンサの出力を用いて、深部体温を推定する点が、第1の実施の形態と異なっている。
【0064】
<本発明の第2の実施の形態の概要>
ヘッドセットには、多数の温度センシングデバイスが搭載されていることがある。本実施の形態では、温度センシングデバイスとなる4つのセンサを用いて形成されている、複数の温度伝達系統から、深部体温を計測する。
【0065】
ここで、複数の温度伝達系統での熱抵抗及びパラメータの構成を図8に示す。なお、第1の実施の形態と同様の変数に関しては説明を省略する。
【0066】
サーミスタで計測した温度をTthm、メイン基板の温度センサで計測した温度をTpwbとする。近接センサで計測した温度をTprox、タッチパッドで計測した温度をTtouchとする。また、室温Tと、温度Tpwbとの温度差をtAi、室温Tと、温度Ttouchとの温度差をtAj、温度Tthmと、温度Tpwbとの温度差をt+t、温度Tprox、温度Tpwbとの温度差をt+t、温度Tthmと、温度Ttouchとの温度差をt+t、温度Tproxと、温度Ttouchとの温度差をt+t、深部体温Tと温度Tthmとの温度差をtBn、深部体温Tと温度Tproxとの温度差をtBmとする。
【0067】
また、温度差tAiに対応する熱抵抗をRAi、温度差tAjに対応する熱抵抗をRAj、温度差t+tに対応する熱抵抗をR+R、温度差t+tに対応する熱抵抗をR+R、温度差t+tに対応する熱抵抗をR+R、温度差t+tに対応する熱抵抗をR+R、温度差tBnに対応する熱抵抗をRBn、温度差tBmに対応する熱抵抗をRBmとする。
【0068】
また、上述した各温度差及び各熱抵抗と、第1の実施の形態の温度差t、t、t及び熱抵抗R、R、Rとの対応関係を、図9に示す。図9では、4つの温度伝達系統が存在する場合のパラメータ構成要素について示しているが、これは搭載しているセンサの数によって変動する。
【0069】
次に、各センサの制約事項について説明する。ヘッドセット内部の熱抵抗値(R,R,R,R)は構造が同じであるため製品毎の差は発生しない。また、周囲のエアコンや日照の状況により、ヘッドセットと室温との間の熱抵抗RAi,RAjは測定毎に差が出る。また、装着状態が使用者ごとに異なるため、ヘッドセットと深部体温との間の熱抵抗RBm,RBnには個人差が出る。このため、同じ筐体・同じパラメータで複数の使用者の深部体温を測定した場合に誤差が発生する。
【0070】
そこで、本実施の形態では、以下のように深部体温を測定する。
【0071】
まず、測定の事前準備、すなわち、ヘッドセット開発時におけるパラメータ作成において、あらかじめ温度計及び体温計を用いて測定している室温Tと深部体温Tを元にして、4つの温度伝達系統ごとのt,tの比率を求めておく。
【0072】
そして、深部体温を、以下のように測定する。
【0073】
ここで、測定時の装着状態や空調の影響により熱抵抗R、Rは測定ごとに異なる。そのため、センサが温まるまで所定の時間待機して測定されたt,tの比率について、事前準備にて求めている4つの温度伝達系統におけるt,tの比率と比較し、最も事前準備の条件に近い温度伝達系統を選択する。
【0074】
そして、選択された温度伝達系統のt,tを用いて、温度差t及び深部体温Tを求める。
【0075】
なお、室温Tについては、体温による局所的な温度上昇が見られず筐体全体の温度が一定となっている状態(温度Tpwb,Tthmが等しい状態)での温度を室温Tとする。
【0076】
体温により局所的に暖まっていて室温Tが求められない状態の場合は、所定の温度伝達系統についての前回の体温測定で用いたパラメータを用いて深部体温Tを求める。
【0077】
<本発明の第2の実施の形態のヘッドセットの構成>
図10に示すように、本発明の第2の実施の形態に係るヘッドセット200は、上記第1の実施の形態に係るヘッドセット100と同様の構成の他、ハウジング10内部の外耳道側に設けられたヘッドセット用の近接センサ218と、ハウジング10内部の外耳道側と反対側に設けられたヘッドセット用のタッチパッド224と、を備えている。
【0078】
近接センサ218は、耳に装着しているか判定するために用いられる静電容量センサである。近接センサ218のセンサ出力と、温度とが線形性を有するため、近接センサ218の出力から、近接センサ218の温度を測定することができる。
【0079】
タッチパッド224は、使用者の操作(再生・停止など)を検出するために用いられる静電容量センサである。また、タッチパッド224のセンサ出力と、温度とが線形性を有するため、タッチパッド224の出力から、タッチパッド224の温度を測定することができる。
【0080】
演算部22は、サーミスタ18からの出力と、温度センサ24からの出力と、近接センサ218からの出力と、タッチパッド224からの出力と、に基づいて、深部体温を計測する。
【0081】
具体的には、演算部22は、機能的に、図11に示すように、認証部30、室温推定部32、系統選択部233、深部体温推定部234、及び再生制御部36を備えている。
【0082】
系統選択部233は、外耳道側のサーミスタ18及び近接センサ218の何れか一方と、外耳道側と反対側の温度センサ24及びタッチパッド224の何れか一方との組み合わせからなる4つの温度伝達系統の何れかを選択する。
【0083】
具体的には、サーミスタ18及び温度センサ24が温まるまで所定の時間待機してから、サーミスタ18からの出力と、温度センサ24からの出力と、近接センサ218からの出力と、タッチパッド224からの出力とを取得し、4つの温度伝達系統の各々について、室温との温度差t、及びヘッドセット内の温度差tの比率を算出する。そして、4つの温度伝達系統の各々について、事前準備で当該温度伝達系統について算出された室温との温度差t、及びヘッドセット内の温度差tの比率と、現時点で算出された比率とを比較する。そして、事前準備で算出された比率と最も近くなる温度伝達系統を選択する。
【0084】
深部体温推定部234は、選択された温度伝達系統のセンサ出力を取得し、選択された温度伝達系統における、推定された室温Tとの第1温度差t、及びヘッドセット内の第2温度差tから、使用者の深部体温を推定する。
【0085】
具体的には、以下に説明するように深部体温Tを推定する。
【0086】
まず、室温Tが推定された場合には、ヘッドセット開発時の測定データから求めた「t/tに対するt/tの分布」をもとに、上記式(1)に従って、深部体温Tを推定する。
【0087】
このとき、選択された温度伝達系統が、サーミスタ18及び温度センサ24の組み合わせからなる温度伝達系統である場合には、サーミスタ18の出力から測定される温度TthmをTとし、温度差t+tをtとし、温度差tAiをtとする。f(x)のパラメータとして、当該温度伝達系統の測定データを用いて定められたものを用いる。
【0088】
また、選択された温度伝達系統が、サーミスタ18及びタッチパッド224の組み合わせからなる温度伝達系統である場合には、サーミスタ18の出力から測定される温度TthmをTbとし、温度差t+tをtとし、温度差tAjをtとする。f(x)のパラメータとして、当該温度伝達系統の測定データを用いて定められたものを用いる。
【0089】
また、選択された温度伝達系統が、近接センサ218及びタッチパッド224の組み合わせからなる温度伝達系統である場合には、近接センサ218の出力から測定される温度TproxをTbとし、温度差t+tをtとし、温度差tAjをtとする。f(x)のパラメータとして、当該温度伝達系統の測定データを用いて定められたものを用いる。
【0090】
また、選択された温度伝達系統が、近接センサ218及び温度センサ24の組み合わせからなる温度伝達系統である場合には、近接センサ218の出力から測定される温度TproxをTbとし、温度差t+tをtとし、温度差tAiをtとする。f(x)のパラメータとして、当該温度伝達系統の測定データを用いて定められたものを用いる。
【0091】
そして、上記で求めた深部体温Tと、当該温度伝達系統に応じた温度Tb及び第2温度差tから、上記式(2)に従って、R/R値を算出し、選択された温度伝達系統のR/R値として記録する。
【0092】
また、温度Tpwbと温度Tthmが等しくない場合、すなわち、筐体が部分的に暖まっている状態で計測が開始された場合には、サーミスタ18及び温度センサ24の組み合わせからなる温度伝達系統について最後に記録されたR/R値と、当該温度伝達系統に応じた温度Tb及び第2温度差tとを用いて、上記式(2)に従って、深部体温Tを推定する。
【0093】
なお、当該温度伝達系統について最後に記録されたR/R値がない場合は当該温度伝達系統について事前測定で求めたR/R値を用いればよい。
【0094】
<本発明の第2の実施の形態のヘッドセットの動作>
ヘッドセット200のハウジング10が、使用者の耳に装着されているときであって、使用者の情報処理端末(図示省略)から、深部体温計測の指示が無線通信により受信されたときに、図12に示すような温度計測処理が、演算部22によって実行される。
【0095】
まず、ステップS100において、認証部30は、マイクロフォン16を用いた耳音響認証で、ヘッドセット200を装着している使用者を特定する。
【0096】
ステップS102において、室温推定部32は、サーミスタ18により計測された温度Tthm及び温度センサ24により計測された温度Tpwbを取得する。
【0097】
ステップS104において、室温推定部32は、温度センサ24によって計測された温度Tpwbとサーミスタ18によって計測された温度Tthmとが等しいか否かを判定する。温度Tpwbと温度Tthmとが等しい場合には、ステップS106へ移行する。一方、温度Tpwbと温度Tthmとが等しくない場合には、ステップS116へ移行する。
【0098】
ステップS106において、室温推定部32は、温度Tpwb又は温度Tthmを、室温Tと推定する。
【0099】
ステップS108において、系統選択部233は、サーミスタ18及び温度センサ24が温まるまで所定の時間待機する。
【0100】
ステップS200において、系統選択部233は、サーミスタ18により計測された温度Tthm、温度センサ24により計測された温度Tpwb、近接センサ218からの出力により計測される温度Tprox、及びタッチパッド224からの出力により計測されるTtouchを取得する。
【0101】
ステップS202において、系統選択部233は、4つの温度伝達系統の各々について、室温との温度差t、及びヘッドセット内の温度差tの比率を算出する。そして、系統選択部233は、4つの温度伝達系統の各々について、事前準備で当該温度伝達系統について算出された室温との温度差t、及びヘッドセット内の温度差tの比率と、現時点で算出された比率とを比較する。そして、系統選択部233は、事前準備で算出された比率と最も近くなる温度伝達系統を選択する。
【0102】
ステップS204において、深部体温推定部234は、選択された温度伝達系統における、推定された室温Tとの第1温度差t、及びヘッドセット内の第2温度差tから、上記式(1)に従って、深部体温Tを推定する。そして、通信部23により、深部体温Tの推計結果を、情報処理端末へ送信する。
【0103】
ステップS206において、深部体温推定部234は、選択された温度伝達系統が、サーミスタ18及び温度センサ24の組み合わせからなる温度伝達系統である場合には、上記で求めた深部体温Tと、当該温度伝達系統に応じた温度Tb及び第2温度差tから、上記式(2)に従って、R/R値を算出し、当該温度伝達系統のR/R値として記録し、温度計測処理を終了する。
【0104】
ステップS116では、深部体温推定部234は、サーミスタ18及び温度センサ24が温まるまで所定の時間待機する。
【0105】
ステップS118において、深部体温推定部234は、サーミスタ18及び温度センサ24の組み合わせからなる温度伝達系統について最後に記録されたR/R値と、当該温度伝達系統に応じた温度Tb及び第2温度差tとを用いて、上記式(2)に従って、深部体温Tを推定する。そして、通信部23により、深部体温Tの推計結果を、情報処理端末へ送信し、温度計測処理を終了する。
【0106】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態に係るヘッドセットによれば、ハウジング内部の外耳道側に設けられたヘッドセット用のサーミスタの出力及び近接センサの出力と、ハウジング内部の外耳道側と反対側に設けられたヘッドセット用の温度センサの出力及びタッチパッドの出力とに基づいて、使用者の体温を計測することにより、体温測定用のセンサを追加することなく、精度よく体温を計測することができる。
【0107】
また、サーミスタ及び近接センサの何れか一方と、温度センサ及びタッチパッドの何れか一方との組み合わせからなる4つの温度伝達系統のうちの何れかを選択して、使用者の体温を計測することにより、測定毎の差、個人差を考慮して、精度よく体温を計測することができる。
【0108】
また、複数のセンサのうち、絶対値で温度を計測できるサーミスタとメイン基板の温度センサとを用いて、室温を推定することができる。
【0109】
<実施例1>
上記第1の実施の形態のヘッドセットの実施例について説明する。図13に示すように、本実施例のヘッドセットのハウジング10は、メインハウジング1aとフロントハウジング1bが嵌合して形成される。
【0110】
メインハウジング1aは、全体として円筒形をした中空状の部材であり、後方の開口部はカバー2によって塞がれている。メインハウジング1aの内部には、その開口部に対向してメイン基板25が配置される。メイン基板25は、再生部20、演算部22、及び通信部23として機能する電子部品を実装した基板であり、メイン基板25上に、温度センサ24が配置されている。このように、温度センサ24は、ハウジング10及びカバー2に直接接しない場所に配置されている。
【0111】
メイン基板25の前方には、電池6が電池クッション7及び電池キャップ8を介して配置される。
【0112】
メインハウジング1aの外周には、ハウジングラバー9が設けられる。ハウジングラバー9は、メインハウジング1aの外周に嵌め込まれた円筒状の弾性部材であり、耳との接触を緩和するとともに、ハウジング10内への水の進入を防止する。
【0113】
フロントハウジング1bは、円筒状をしたメインハウジング1aの前方の開口部を塞ぐように配置される。フロントハウジング1bは、全体として斜円錐台の形状をしており、周縁の一部が鼓膜側に向かってやや盛り上がっている。
【0114】
フロントハウジング1bの前方には、斜円錐台の頂部から鼓膜側に向かって突出した外耳道挿入部12が設けられる。外耳道挿入部12は、フロントハウジング1bの一部に設けられた円筒状の形状であり、前方及び後方とも開口し、フロントハウジング1bの内外を連通させている。外耳道挿入部12の内部には、円筒状のケースを備えたドライバ14が設置される。そのため、外耳道挿入部12の前方開口部に近接して、ドライバ14の位置決め部11が設けられ、ドライバ14の前端部がこの位置決め部11に係合することにより、ドライバ14は外耳道挿入部12の内側面に固定される。ドライバ14の後端部は、フロントハウジング1bの前端部付近に来るよう配置される。ドライバ14は、円筒状のケース内に出力信号を生成するための磁気回路、振動板などを備え、適宜の周知構造のものが用いられる。
【0115】
本実施例のヘッドセットは、マイクロフォン16を有する。マイクロフォン16は、フロントハウジング1b内の外耳道挿入部12の近傍、すなわちドライバ14の後方に設けられる。
【0116】
マイクロフォン16は、マイクロフォン用基板15に実装される。マイクロフォン用基板15は、ブロック416に固定される。ブロック416は、マイクロフォン16とマイクロフォン用基板15を支持するブロック状の部材である。マイクロフォン用基板15及びブロック416には、マイクロフォン16に外耳道内の音響信号が到達することができるように開口部15a,16aが設けられている。
【0117】
また、サーミスタ18は、電池6の充放電の動作温度を測定するために設けられている。また、サーミスタ18は、開口部15a,16aの近傍に配置されているため、外耳道空間の温度を測定することができる。
【0118】
外耳道挿入部12の内面には、外耳道挿入部12の軸方向に沿って形成された溝である第2中空部16Aが設けられる。第2中空部16Aは、ドライバ14の側面との間に形成された角溝型の空間であって、外耳道挿入部12の前端部からフロントハウジング1bに固定されたブロック416の開口部16aにまで連通している。
【0119】
外耳道挿入部12の外周には、イヤピース13が固定される。イヤピース13は、イヤチップ、イヤパッド、イヤキャップとも呼ばれており、例えばシリコーンゴムなどの弾性部材からなる。イヤピース13は、外耳道挿入部12の外周に嵌め込まれる円筒部13bの先端に、半球に形成された外耳道壁面への密着部13aを有する。外耳道挿入部12の外周には、イヤピース取付溝412が設けられ、一方、イヤピース13の円筒部13bの内周に嵌合部13cが設けられており、嵌合部13cがイヤピース取付溝412に噛み合うことにより、イヤピース13が外耳道挿入部12に固定される。
【0120】
<実施例2>
上記第2の実施の形態のヘッドセットの実施例について説明する。なお、実施例1と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0121】
図14に示すように、近接センサ218は、耳に密接するように、マイクロフォン用基板15のマイクロフォン16とは反対側に配置されている。また、近接センサ218は、開口部15a,16aの近傍に配置されているため、外耳道空間の温度を測定することができる。
【0122】
また、タッチパッド224は、カバー2の一部に配置されている。タッチパッド224は、最も体から遠い場所に配置されているため、カバー2自身の温度変化を取得することができる。
【0123】
次に、実施例2における深部体温の測定結果について説明する。図15に示すような、各被験者におけるヘッドセット内の温度差、室温に対して、上記第2の実施の形態で説明した手法(提案方式)により深部体温を推定した。また、比較のための従来方式として、上記式(2)により深部体温を計算した。
【0124】
そして、誤差の分散については以下の式で求めた。なお、xは、n番目の測定で算出した深部体温、TBnは、n番目の測定で目標とする深部体温(専用測定機器で計測した深部体温)とする。
【0125】
【0126】
従来方式での誤差分散は、0.367となり、提案方式での誤差分散は、0.300となった。このように、提案方式では、従来方式よりも誤差が小さくなることが分かった。
【0127】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0128】
例えば、上記の第2の実施の形態では、4つのセンサを用いた場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。3つのセンサを用いてもよい。この場合には、外耳道側の2つのセンサと、反対側の1つのセンサとからなる2つの温度伝達系統、又は、外耳道側の1つのセンサと、反対側の2つのセンサとからなる2つの温度伝達系統を用いて、体温を測定すればよい。また、5つ以上のセンサを用いてもよい。この場合には、外耳道側の1つ以上のセンサと、反対側の1つ以上のセンサとからなる複数の温度伝達系統を用いて、体温を測定すればよい。
【符号の説明】
【0129】
10 ハウジング
12 外耳道挿入部
14 ドライバ
16 マイクロフォン
18 サーミスタ
20 再生部
22 演算部
23 通信部
24 温度センサ
25 メイン基板
30 認証部
32 室温推定部
34、234 深部体温推定部
36 再生制御部
100、200 ヘッドセット
218 近接センサ
224 タッチパッド
233 系統選択部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15