(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156730
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0067 20190101AFI20221006BHJP
F04D 17/04 20060101ALI20221006BHJP
F24F 1/0025 20190101ALI20221006BHJP
F28F 1/32 20060101ALI20221006BHJP
F24F 1/0033 20190101ALI20221006BHJP
【FI】
F24F1/0067
F04D17/04 D
F24F1/0025
F28F1/32 F
F24F1/0033
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060567
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 大貴
【テーマコード(参考)】
3H130
3L049
3L051
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB03
3H130AB26
3H130AB54
3H130AC11
3H130BA13A
3H130CA02
3H130DA02Z
3H130EB04A
3H130EB04D
3L049BC03
3L051BE05
(57)【要約】
【課題】熱交換器の風切り音と貫流ファンの翼ピッチ音とが共鳴する共鳴音の周波数を分散させて、共鳴音による騒音を低減する。
【解決手段】空気調和装置は、間隔をあけて配列された複数の伝熱管を有する熱交換器と、回転軸の軸方向に沿って延ばされると共に回転軸まわりに配列された複数の翼を有し、熱交換器を通過した空気が流入する貫流ファンと、を備える。熱交換器を通過する空気の流れ方向に直交する第1平面上において、複数の伝熱管の長手方向は、回転軸の軸方向に対して傾斜されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をあけて配列された複数の伝熱管を有する熱交換器と、
回転軸の軸方向に沿って延ばされると共に前記回転軸まわりに配列された複数の翼を有し、前記熱交換器を通過した空気が流入する貫流ファンと、を備えた空気調和装置であって、
前記熱交換器は、前記熱交換器を通過する空気の流れ方向に直交する第1平面上において、前記複数の伝熱管の長手方向は、前記回転軸の軸方向に対して傾斜されている、空気調和装置。
【請求項2】
前記伝熱管の断面形状は、当該断面形状における長手方向が前記熱交換器を通過する空気の流れ方向に沿った扁平状に形成され、
前記貫流ファンは、前記複数の翼が所定の翼ピッチで配列され、
前記伝熱管の扁平方向における厚みは、前記貫流ファンの前記翼ピッチよりも小さい、
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記第1平面に直交する第2平面上において、前記複数の伝熱管の長手方向は、前記回転軸の軸方向に対して傾斜されている、
請求項1または2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記熱交換器は、前記複数の伝熱管の配列方向と交差する方向に間隔をあけて配列された複数のフィンを有し、
前記複数のフィンは、前記複数のフィンの一側端と前記貫流ファンの前記翼との間の距離が、前記第1平面に沿う第1方向において変化すると共に、前記第2平面に沿う第2方向において変化するように形成されている、
請求項3に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記貫流ファンは、前記回転軸の軸方向に配列された複数の羽根車を有し、
前記回転軸の軸方向に隣り合う羽根車同士において、前記伝熱管の前記長手方向が前記回転軸の軸方向に対して傾斜する向きが互いに異なる、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
送風機の一例として、空気調和装置の室内機は、熱交換器と、熱交換器を通過した空気が流入する貫流ファンと、を備える。この種の室内機では、貫流ファンにおいて、翼の回転時に翼ピッチ音(周期音)が発生し、回転時の騒音になる。
【0003】
関連技術の室内機としては、貫流ファンの回転軸の軸方向に対して熱交換器全体を湾曲させることで、貫流ファンの回転軸の軸方向において熱交換器と貫流ファンとの間の距離を変化させる構造がある(特許文献1)。この構造によれば、全体として貫流ファンと熱交換器との距離が大きくなることにより熱交換器の伝熱管の下流側の領域での風速が小さくなり、翼ピッチ音が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した室内機等の送風機では、翼ピッチ音の他に、熱交換器において伝熱管同士の間の流路を通過する気流によって生じる風切り音が発生する。熱交換器の風切り音と、貫流ファンの翼ピッチ音とが共鳴することで共鳴音が生じるので、共鳴音によって騒音が増大する問題がある。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、熱交換器の風切り音と貫流ファンの翼ピッチ音とが共鳴して発生する共鳴音による騒音を低減できる空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示する空気調和装置の一態様は、間隔をあけて配列された複数の伝熱管を有する熱交換器と、回転軸の軸方向に沿って延ばされると共に回転軸まわりに配列された複数の翼を有し、熱交換器を通過した空気が流入する貫流ファンと、を備える空気調和装置であって、熱交換器を通過する空気の流れ方向に直交する第1平面上において、複数の伝熱管の長手方向は、回転軸の軸方向に対して傾斜している。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示する空気調和装置の一態様によれば、熱交換器の風切り音の周波数を分散させること可能になり、共鳴音による騒音を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例の室内機を示す断面図である。
【
図2】
図2は、実施例の室内機の貫流ファンを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施例の室内機の熱交換器を示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施例の室内機の熱交換器を示す正面図である。
【
図5】
図5は、実施例の室内機における要部を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施例の室内機における要部を模式的に示す正面図である。
【
図7】
図7は、実施例において、熱交換器の風切り音と貫流ファンの翼ピッチ音とが共鳴する共鳴音の周波数が分散する原理を説明するための模式図である。
【
図8】
図8は、実施例における騒音レベルを説明するための図である。
【
図9】
図9は、他の実施例における扁平伝熱管を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、他の実施例におけるフィンを示す斜視図である。
【
図11】
図11は、他の実施例におけるフィンを示す側面図である。
【
図12】
図12は、他の実施例における扁平伝熱管を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する送風機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する送風機が限定されるものではない。
【実施例0011】
図1は、実施例の室内機を示す断面図である。
図2は、実施例の室内機の貫流ファンを示す斜視図である。
図1に示すように、本願の開示する送風機は、冷凍サイクル装置、例えば、空気調和装置(図示せず)を構成する室内機1である。実施例の室内機1は、熱交換器5と、熱交換器5を通過した空気が流入する貫流ファン6と、貫流ファン6から送られる気流の流路を形成するファンケーシング7と、熱交換器5、貫流ファン6、ファンケーシング7を内部に収容する本体ケーシング8と、を備える。本体ケーシング8は、空気の吸い込み口8a及び吹き出し口8bを有する。
【0012】
貫流ファン6は、
図2に示すように、複数の翼12が回転軸13まわりに配列された羽根車11を備える。羽根車11は、回転軸13の軸方向Xに複数配列されており、各羽根車11の間に仕切板14を挟んで連結されている。回転軸13の軸方向Xにおける両端には、回転軸13を備える端板15が設けられており、ファンケーシング7の図示しない軸受けに貫流ファン6の両端の回転軸13が回転可能に支持されている。
【0013】
また、各羽根車11は、回転軸13まわりの周方向、つまり複数の翼12の配列方向に対して互いにずらされて連結されている。これにより、各羽根車11は、回転軸13の軸方向Xに並ぶ羽根車11間で翼ピッチ音に位相差が生じるので、貫流ファン6の回転時の騒音を抑えられる。
【0014】
(貫流ファンの構成)
実施例の貫流ファン6は、空気の流れが、回転軸13の軸方向Xと交差する方向に貫流ファン6を貫通する、いわゆる貫流ファンとして用いられている。
【0015】
貫流ファン6は、
図2に示すように、回転軸13の軸方向Xに沿って延ばされると共に、
図1に示すように、回転軸13まわりに所定の翼ピッチPで配列された複数の翼12を備える(等ピッチ配列)。
図1に示すように、翼12の翼面17は、貫流ファン6の回転方向Rとは逆方向に向かって凸となるように湾曲しており、正圧面17aと負圧面17bを有する。翼12は、貫流ファン6の回転中心O側に位置する内周側部18aと、回転中心O側とは反対側に位置する外周側部18bと、を有する。なお、実施例の貫流ファン6は、翼12が等ピッチ配列にされたが、等ピッチ配列に限定するものではなく、翼12が不等ピッチ配列にされてもよい。
【0016】
(熱交換器の構成)
本実施例では、室内機1の前面側、すなわち吹き出し口8b側近傍に配置される熱交換器5について説明するが、室内機1の上部に配置される他の熱交換器5に適用されてもよく、本実施例と同様の効果が得られる。
図3は、実施例の室内機1の熱交換器5を示す平面図である。
図4は、実施例の室内機1の熱交換器5を示す正面図である。
【0017】
図3及び
図4に示すように、熱交換器5は、扁平面(幅広な面)が対向するように積層され、冷媒が流通する複数の扁平伝熱管21と、複数の扁平伝熱管21の端部が接続され、扁平伝熱管21に冷媒を分流する管状のヘッダ22と、複数の扁平伝熱管21の他端が接続され、扁平伝熱管21から流出した冷媒が合流する管状のヘッダ23と、扁平伝熱管21に接合された平板形状の複数のフィン24と、を備える。
【0018】
扁平伝熱管21は、
図3において矢印で示す、室内機1の外部の空気が熱交換器5を通過する流れ方向Dと直交する方向に延びている。扁平伝熱管21の断面形状は、熱交換器5を通過する空気の流れ方向Dに直交する、
図4中の上下方向である一方向(以下、扁平方向と称する。)につぶれた扁平状に形成されている。つまり、扁平伝熱管21の断面形状は、その断面形状における長手方向が、流れ方向Dに沿った扁平状に形成されている。室内機1の外部の空気は、貫流ファン6によって吸い込まれることで、熱交換器5を通過する。
図4に示すように、各扁平伝熱管21は、外周面のうちの扁平面が互いに対向するように上下方向に積層されている。
【0019】
各扁平伝熱管21は、長手方向(
図3、4中の左右方向)の一端部がヘッダ22に接続されており、他端部がヘッダ23に接続されている。また、ヘッダ22とヘッダ23の間には、扁平伝熱管21の長手方向と交差するように複数のフィン24が配置されている。複数のフィン24は、複数の扁平伝熱管21の配列方向と交差する方向に所定の間隔をあけて配列されている。室内機1に供給された冷媒は、配管25からヘッダ22へ供給され、各扁平伝熱管21に分流される。各扁平伝熱管21内を流通する際に、フィン24を介して空気と熱交換した冷媒は、ヘッダ23に流出し、ヘッダ23で合流した冷媒が、配管26を通って室内機1から送り出される。
【0020】
(実施例の要部)
図5は、実施例の室内機1における要部を模式的に示す斜視図である。
図6は、実施例の室内機1における要部を模式的に示す正面図である。
図3、
図4及び
図5に示すように、複数の扁平伝熱管21は、隣り合う扁平伝熱管21同士の間を、複数の扁平伝熱管21が積層される上下方向に対して垂直な流れ方向Dに沿って空気が熱交換器5を通過するように配置されている。各扁平伝熱管21は、概ね平坦な帯状に形成されている。
【0021】
図4、
図5及び
図6に示すように、各扁平伝熱管21は、扁平伝熱管21の長手方向に沿う直線が、熱交換器5を通過する空気の流れ方向Dに概ね垂直に配置され、かつ、回転軸13の軸方向Xに対して傾斜して配置されている。つまり、熱交換器5を通過する空気の流れ方向Dに直交する第1平面F1上において、複数の扁平伝熱管21の長手方向は、回転軸13の軸方向Xに対して、
図5及び
図6における上下方向に傾斜している。言い換えると、各扁平伝熱管21の扁平面に沿う平面は、第1平面F1に直交する第2平面F2に対して傾斜しており、熱交換器5を通過する空気の流れ方向Dに概ね平行である。具体的には、熱交換器5はヘッダ22及びヘッダ23の長手方向が第2平面F2に直交する方向(
図5に示すZ方向)に沿うように配置され、複数の扁平伝熱管21の長手方向がZ方向に対して直交する方向(
図4に示す軸方向X)に対して傾斜するように配置される。言い換えると、一つの扁平伝熱管の一端側におけるヘッダ22との接続箇所の高さ位置は、他端側におけるヘッダ23との接続箇所の高さ位置よりも低い。なお、この形態に限らず、各扁平伝熱管21の長手方向がヘッダ22(及び、ヘッダ23)の長手方向に対して直交する熱交換器5をヘッダ22下端の高さ位置がヘッダ23下端の高さ位置よりも数mm低い位置となるように熱交換器5を傾けて配置することで、各扁平伝熱管21の扁平面に沿う平面を第2平面F2に対して傾斜させる形態であっても良い。
【0022】
上述のように本実施例における扁平伝熱管21は、第1平面F1上において、複数の扁平伝熱管21の長手方向が回転軸13の軸方向Xに対して傾斜することにより、熱交換器5で発生する風切り音の周波数が分散され、共鳴音による騒音が低減される。風切り音と翼ピッチ音との共鳴音の周波数が分散される原理については後述する。
【0023】
なお、
図5及び
図6では、回転軸13の軸方向Xに対して扁平伝熱管21の長手方向がなす傾斜を大きく強調して示しているが、実際には、扁平伝熱管21の傾斜角が数度程度であり、各扁平伝熱管21の長さは等しい。第1平面F1上において回転軸13の軸方向Xに対する扁平伝熱管21の傾斜角は、例えば、0.1度~5度程度であり、翼ピッチPに対応する貫流ファン6のピッチ角程度に設定されている。
【0024】
また、
図1に示すように、扁平伝熱管21の扁平方向における厚みTは、貫流ファン6の翼ピッチPよりも小さい。これにより、隣り合う扁平伝熱管21同士の間の流路27(風切り音の音源が連続する位置)の、ある高さ位置における軸方向Xに連続する長さが少なくなる。このため、風切り音と翼ピッチ音が共鳴することが抑えられ、風切り音と翼ピッチ音との共鳴音による騒音を低減する効果を高められる。
【0025】
(共鳴音の周波数が分散する原理)
図7は、実施例において、熱交換器5の風切り音と貫流ファン6の翼ピッチ音とが共鳴する共鳴音の周波数が分散する原理を説明するための模式図である。
図7は、熱交換器5を通過する空気の流れ方向Dに直交する第1平面F1を第2平面に平行な視点で貫流ファン6側から見た模式図であり、隣り合う扁平伝熱管21同士の間の流路27を拡大し模式図である。
【0026】
図7に示すように、本実施例では、熱交換器5を通過する空気の流れ方向Dに直交する第1平面F1上において、複数の扁平伝熱管21の長手方向が回転軸13の軸方向Xに対して傾斜していることにより、隣り合う扁平伝熱管21同士の間の流路27が、軸方向Xに対して傾斜する方向に形成されていることになる。
【0027】
ここで、隣り合う扁平伝熱管21同士の間の流路27を通過する気流は、空気の流れ方向Dに直交する第1平面F1において、流路27における扁平伝熱管21同士の中央近傍の中央領域A1を通過する流速が速くなり、流路27における扁平伝熱管21近傍の両側領域A2を流れる気流の流速が流路抵抗で遅くなる。
【0028】
本実施例では、第1平面F1上において、複数の扁平伝熱管21の長手方向が回転軸13の軸方向Xに対して傾斜していることにより、扁平伝熱管21同士の間の流路27における流速の速い気流が通過する中央領域A1が、貫流ファン6の外周側である翼12の外周側部18bが延びる方向に対して傾斜して配置されている。
【0029】
したがって、流路27の中央領域A1を通過する流速の速い気流が貫流ファン6に流入する位置は、貫流ファン6の翼12の外周側部18bの長手方向(回転軸13の軸方向X)と一致しないようにずらされる。これにより、流路27の中央領域A1を通過する流速の速い気流が貫流ファン6に流入する位置は、貫流ファン6の翼12が回転することにより発生する翼ピッチ音の音源(翼12の外周側部18bとファンケーシング7が最も近接する位置との間、具体的には外周側部18とファンケーシング7の図示しないスタビライザとの間)が連続する方向に対してずらされる。気流が流路27を通過することに起因して発生する風切り音の周波数は流速に応じて変動する。従来は、熱交換器5の軸方向Xの一端から他端にかけて一定の周波数の風切り音が発生していたため、翼ピッチ音の周波数と重なった場合に共鳴音の騒音レベルが大きかった。本発明では、熱交換器5の軸方向Xの一端から他端にかけて風切り音の周波数を分散させるため、翼ピッチ音と共鳴する音源となる範囲を狭めることができ、共鳴音による騒音が低減される。
【0030】
図8は、実施例における騒音レベルを説明するための図である。
図8において、縦軸が、騒音レベル[dB]を示し、横軸が騒音の周波数[Hz]を示す。
図8において、実施例の室内機1を破線で示し、比較例の室内機を実線で示す。
【0031】
比較例の室内機は、熱交換器の複数の扁平伝熱管21の長手方向が、貫流ファン6の回転軸13の軸方向Xと平行に配置されている。実施例の室内機1は、熱交換器5を通過する空気の流れ方向Dに直交する第1平面F1上において、複数の扁平伝熱管21の長手方向が、貫流ファン6の回転軸13の軸方向Xに対して傾斜していることにより、翼ピッチ音が発生するタイミングで生じる熱交換器5で発生する風切り音の周波数が分散される。このため、実施例の室内機1は、
図8に示すように、比較例と比べて、矢印H1で示す1次の周波数付近と、矢印H2で示す2次の周波数付近において、翼ピッチ音と風切り音の共鳴による騒音レベルの増大を抑制できる。
【0032】
(実施例の効果)
上述したように実施例の室内機1は、熱交換器5を通過する空気の流れ方向Dに直交する第1平面F1上において、複数の扁平伝熱管21の長手方向が、回転軸13の軸方向Xに対して傾斜している。これにより、扁平伝熱管21同士の間の流路27における流速の速い気流が通過する中央領域A1が、貫流ファン6の外周側である翼12の外周側部18bが延びる方向に対して傾斜して配置されている。したがって、流路27の中央領域A1を通過する流速の速い気流が貫流ファン6に流入する位置は、貫流ファン6の翼12の外周側部18bの長手方向(回転軸13の軸方向X)と一致しないようにずらされる。これにより、流路27の中央領域A1を通過する流速の速い気流が貫流ファン6に流入する位置は、貫流ファン6の翼12が発生する翼ピッチ音の音源が連続する方向に対してずらされる。気流が流路27を通過することに起因して発生する風切り音の周波数は流速に応じて変動するので、翼ピッチ音が発生するタイミングで生じる風切り音の周波数を分散させることができる。これにより、熱交換器5の軸方向Xの一端から他端にかけて風切り音の周波数を分散させるため、翼ピッチ音と共鳴する音源となる範囲を狭めることができ、共鳴音による騒音を低減できる。
【0033】
また、実施例の室内機1は、扁平伝熱管21の扁平方向における厚みTが、貫流ファン6の翼ピッチPよりも小さい。これにより、隣り合う扁平伝熱管21同士の間の流路27(風切り音の音源が連続する位置)の、ある高さ位置における軸方向Xに連続する長さが少なくなる。このため、風切り音と翼ピッチ音が共鳴することが抑えられ、風切り音と翼ピッチ音との共鳴音による騒音を低減する効果を高められる。
【0034】
以下、他の実施例について図面を参照して説明する。他の実施例において、上述した実施例と同一の構成部材には、実施例と同一の符号を付して説明を省略する。他の実施例は、熱交換器の扁平伝熱管の形状、フィンの形状が、実施例における熱交換器5と異なる。
このため、扁平伝熱管31は、回転軸13の軸方向Xに直交する断面において、回転軸13に対してZ方向とY方向の2方向の各位置がそれぞれ変化している。これにより、熱交換器30における風切り音の音源の位置は、貫流ファン6の翼12における翼ピッチ音の音源の位置に対して更にずらされるだけではなく、熱交換器30と貫流ファン6との間の距離が軸方向Xの位置により異なることで流速差が生じ風切り音の周波数を更に分散させて、風切り音と翼ピッチ音との共鳴音による騒音を更に低減できる。
上述のように他の実施例において、複数の扁平伝熱管31の長手方向は、第1平面F1上において、回転軸13の軸方向Xに対して傾斜し、かつ、第1平面F1に直交する第2平面F2上において、回転軸13の軸方向Xに対して傾斜している。これにより、他の実施例によれば、熱交換器30が発生する風切り音と、貫流ファンが発生する翼ピッチ音との共鳴音の周波数を更に分散させて、風切り音と翼ピッチ音との共鳴音による騒音を更に低減できる。