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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015674
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】水中ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20220114BHJP
   F04D 29/24 20060101ALI20220114BHJP
   F04D 29/62 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
F04D29/44 D
F04D29/24 C
F04D29/62 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020118677
(22)【出願日】2020-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000150844
【氏名又は名称】株式会社鶴見製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】鳥元 康史
(72)【発明者】
【氏名】新家 寿和
(72)【発明者】
【氏名】寺田 裕
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB13
3H130AB23
3H130AB47
3H130AC08
3H130BA66A
3H130BA66C
3H130BA66G
3H130BA66J
3H130BA68A
3H130BA68C
3H130BA68G
3H130BA68J
3H130CA06
3H130CA10
3H130CB01
3H130DD01X
3H130DG03X
3H130EA07A
3H130EA07C
3H130EA07G
3H130EA07J
3H130EA08A
3H130EA08C
3H130EA08G
3H130EA08J
3H130EB04A
3H130EB04C
3H130EB05C
(57)【要約】
【課題】全揚程をより大きくすることが可能な水中ポンプを提供する。
【解決手段】この水中ポンプ100は、水中ポンプ本体100aの片側に回転軸1に沿って延びる片側水路6が設けられた水中ポンプであって、回転軸1の一端10aに取り付けられる羽根車4と、羽根車4が内側に配置されたポンプケーシング5とを備え、ポンプケーシング5は、回転軸1の軸方向から見て、羽根車4が配置されるポンプ室5aと片側水路6の入口開口6aとの間に配置された舌部53と、回転軸1の軸方向から見て、ポンプケーシング5の内表面55と舌部53との間に設けられ、入口開口6aに上流側から直接接続される接続水路54とを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中ポンプ本体の片側に回転軸に沿って延びる片側水路が設けられた水中ポンプであって、
前記回転軸の一端に取り付けられる羽根車と、
前記羽根車が内側に配置されたポンプケーシングとを備え、
前記ポンプケーシングは、
前記回転軸の軸方向から見て、前記羽根車が配置されるポンプ室と前記片側水路の入口開口との間に配置された舌部と、
前記回転軸の軸方向から見て、前記ポンプケーシングの内表面と前記舌部との間に設けられ、前記入口開口に上流側から直接接続される接続水路とを含む、水中ポンプ。
【請求項2】
前記片側水路は、下流側から上流側の前記入口開口に向けて、流路断面積が徐々に小さくなるように形成されている、請求項1に記載の水中ポンプ。
【請求項3】
前記軸方向において、吸込口側とは逆側から前記ポンプケーシングに対して設置されるモータフレームを含むモータをさらに備え、
前記片側水路は、前記モータフレームおよび前記ポンプケーシングに跨るように形成されており、下流側の前記モータフレームから、上流側の前記ポンプケーシングに向けて、流路断面積が徐々に小さくなるように形成されている、請求項2に記載の水中ポンプ。
【請求項4】
前記羽根車は、板状部と、前記板状部の吸込口側に設けられた羽根部とを含み、
前記羽根部は、前記羽根部の内周側の部分が外周側に傾斜している、請求項1~3のいずれか1項に記載の水中ポンプ。
【請求項5】
前記羽根部は、前記軸方向の大きさが、前記羽根車の内周側から外周側に向けて徐々に小さくなるように形成され、
前記ポンプケーシングの前記羽根部に対向する対向面は、前記軸方向に直交する方向から見て、徐々に小さくなる前記羽根部の軸方向の大きさに対応して、前記羽根車の内周側から外周側に向けて傾斜している、請求項4に記載の水中ポンプ。
【請求項6】
前記羽根車は、前記羽根部の間に形成される水路の流路断面積が前記羽根車の内周側から外周側に向けて徐々に小さくなるように形成されている、請求項4または5に記載の水中ポンプ。
【請求項7】
前記軸方向において、吸込口側とは逆側から前記ポンプケーシングに対して設置されるモータフレームを含むモータをさらに備え、
前記片側水路の内表面は、前記モータフレームと吐出口との間において、段差のない滑らかな形状に形成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の水中ポンプ。
【請求項8】
前記舌部は、前記回転軸の軸方向から見て、前記ポンプ室の中心付近と前記片側水路の前記入口開口との間を区画するように、前記入口開口よりも上流側まで延びている、請求項1~7のいずれか1項に記載の水中ポンプ。
【請求項9】
前記ポンプケーシングは、前記接続水路に対して前記回転軸の他端側に設けられるとともに前記接続水路を形成する面を含み、
前記接続水路を形成する前記面は、前記回転軸の軸方向から見た前記ポンプケーシングの前記内表面と前記舌部とを互いに接続している、請求項1~8のいずれか1項に記載の水中ポンプ。
【請求項10】
前記モータフレームには、下流側の前記モータフレームから上流側の前記ポンプケーシングに向けて前記片側水路の流路断面積が徐々に小さくなるのに合わせて、下流側から上流側に向けて、外観形状が徐々に小さくなる縮小部が設けられている、請求項3に記載の水中ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、羽根車を備える水中ポンプが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、水中ポンプ本体の片側に回転軸に沿って延びる流路が設けられた水中モータポンプ(いわゆる片水路ポンプ)が開示されている。水中モータポンプは、回転軸の下端に設けられた羽根車を回転させることによりポンプケーシングに設けられた吸込口から水を吸い込むとともに、水中ポンプ本体の片側の流路を介して水を上方の吐出口に向けて送るように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平3-87890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には明記されていないが、水中ポンプ本体の片側に流路が設けられた水中ポンプ(いわゆる片水路ポンプ)の分野においては、従来から、全揚程をより大きくすることが望まれており、いかにして全揚程をより大きくするかという課題が存在する。上記特許文献1に記載の水中モータポンプにおいても、いかにして全揚程をより大きくするかという課題が存在する。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、全揚程をより大きくすることが可能な水中ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における水中ポンプは、水中ポンプ本体の片側に回転軸に沿って延びる片側水路が設けられた水中ポンプであって、回転軸の一端に取り付けられる羽根車と、羽根車が内側に配置されたポンプケーシングとを備え、ポンプケーシングは、回転軸の軸方向から見て、羽根車が配置されるポンプ室と片側水路の入口開口との間に配置された舌部と、回転軸の軸方向から見て、ポンプケーシングの内表面と舌部との間に設けられ、入口開口に上流側から直接接続される接続水路とを含む。
【0008】
この発明の一の局面による水中ポンプでは、上記のように、回転軸の軸方向から見て、羽根車が配置されるポンプ室と片側水路の入口開口との間に配置された舌部と、回転軸の軸方向から見て、ポンプケーシングの内表面と舌部との間に配置され、入口開口に上流側から直接接続される接続水路とを、ポンプケーシングに設ける。これによって、ポンプ室と片側水路とを接続水路を介して接続することができる。このため、ポンプ室と片側水路とを直接接続する場合と比較して、片側水路の直前に設けられる接続水路において、水の流れ(流路断面積)を小さく絞るとともに水の流れを整えることができるので、片側水路に対してより早い速度で滑らかに水を流入させることができる。その結果、水中ポンプの全揚程をより大きくすることができる。
【0009】
上記一の局面による水中ポンプにおいて、好ましくは、片側水路は、下流側から上流側の入口開口に向けて、流路断面積が徐々に小さくなるように形成されている。このように構成すれば、片側水路の入口開口において、水の流れ(流路断面積)を小さく絞ることができるので、片側水路に対してより早い速度で水を流入させることができる。また、片側水路の流路断面積を急に変化させるのではなく、徐々に小さくなるように変化させることによって、流路断面積の急な変化により水の流れが乱れるのを抑制することができる。以上の結果、水中ポンプの全揚程をより一層大きくすることができる。
【0010】
この場合、好ましくは、軸方向において、吸込口側とは逆側からポンプケーシングに対して設置されるモータフレームを含むモータをさらに備え、片側水路は、モータフレームおよびポンプケーシングに跨るように形成されており、下流側のモータフレームから、上流側のポンプケーシングに向けて、流路断面積が徐々に小さくなるように形成されている。このように構成すれば、ポンプケーシングに設けられる片側水路だけでなく、モータフレームに設けられる片側水路についても、流路断面積が徐々に小さくなるように形成することができるので、比較的大きな範囲に渡って片側水路を、流路断面積が徐々に小さくなるように形成することができる。このため、流路断面積の急な変化をより抑制することができるので、水中ポンプの全揚程をさらに大きくすることができる。
【0011】
上記一の局面による水中ポンプにおいて、好ましくは、羽根車は、板状部と、板状部の吸込口側に設けられた羽根部とを含み、羽根部は、羽根部の内周側の部分が外周側に傾斜している。このように構成すれば、羽根部の内周側において、羽根部を外周側に傾斜させることにより、吸込口から羽根部の間に最初に水を取り込む内周側の開口部分をより大きく確保することができる。このため、吸込性能を向上させ、大流量側での損失を低減でき、大流量側の揚程を大きくすることができる。
【0012】
この場合、好ましくは、羽根部は、軸方向の大きさが、羽根車の内周側から外周側に向けて徐々に小さくなるように形成され、ポンプケーシングの羽根部に対向する対向面は、軸方向に直交する方向から見て、徐々に小さくなる羽根部の軸方向の大きさに対応して、羽根車の内周側から外周側に向けて傾斜している。このように構成すれば、ポンプケーシング内における入口側と出口側の面積比を変えて損失を低減することができるので、水中ポンプの全揚程をさらに大きくすることができる。
【0013】
上記羽根部の内周側の部分が外周側に傾斜している構成において、好ましくは、羽根車は、羽根部の間に形成される水路の流路断面積が羽根車の内周側から外周側に向けて徐々に小さくなるように形成されている。このように構成すれば、内周側(入口側)に比べ外周側(出口側)の羽根幅を小さくすることで、羽根車の外径を大きくすることができるため、小流量域における水中ポンプの全揚程をさらに大きくすることができる。
【0014】
上記一の局面による水中ポンプにおいて、好ましくは、軸方向において、吸込口側とは逆側からポンプケーシングに対して設置されるモータフレームを含むモータをさらに備え、片側水路の内表面は、モータフレームと吐出口との間において、段差のない滑らかな形状に形成されている。このように構成すれば、段差がある場合と異なり、片側水路を通る水の流れが乱れることを防止することができるので、水中ポンプの全揚程をより一層大きくすることができる。
【0015】
上記一の局面による水中ポンプにおいて、好ましくは、舌部は、回転軸の軸方向から見て、ポンプ室の中心付近と片側水路の入口開口との間を区画するように、入口開口よりも上流側まで延びている。このように構成すれば、ポンプ室の中心付近と片側水路の入口開口との間を直接接続する方向ではなく、羽根車によってポンプ室内に発生する水の流れに沿った方向に延びるように、接続水路を配置することができる。このため、ポンプ室から接続水路により早い速度で滑らかに水を流入させることができるので、水中ポンプの全揚程をより一層大きくすることができる。
【0016】
上記一の局面による水中ポンプにおいて、好ましくは、ポンプケーシングは、接続水路に対して回転軸の他端側に設けられるとともに接続水路を形成する面を含み、接続水路を形成する面は、回転軸の軸方向から見たポンプケーシングの内表面と舌部とを互いに接続している。このように構成すれば、回転軸の軸方向から見たポンプケーシングの内表面と舌部とを互いに接続して、接続水路を形成する面が、ポンプケーシングとは異なる蓋状の別部材により構成される場合と比較して、部品点数を少なくして装置構成を簡素化することができる。
【0017】
上記下流側から上流側に向けて片側水路の流路断面積が徐々に小さくなる構成において、好ましくは、モータフレームには、下流側のモータフレームから上流側のポンプケーシングに向けて片側水路の流路断面積が徐々に小さくなるのに合わせて、下流側から上流側に向けて、外観形状が徐々に小さくなる縮小部が設けられている。このように構成すれば、縮小部によりポンプケーシング側に確保された縮小部の周囲のスペースによって、より片側水路に近い位置に、ポンプケーシングとモータフレームとの固定部材を配置することが可能となる。このため、ポンプケーシングとモータフレームとを互いに強固に固定して、ポンプケーシングとモータフレームとの間からの水漏れを効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上記のように、全揚程をより大きくすることが可能な水中ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態による水中ポンプの全体構成を示した概略図である。
図2図1のポンプケーシングおよび羽根車を拡大して示した図である。
図3図1の90-90線に沿った断面図である。
図4】実施形態による水中ポンプのポンプケーシングの平面図である。
図5図1の91-91線に沿った矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
[実施形態]
(水中ポンプの構成)
図1図3を参照して、本実施形態の水中ポンプ100について説明する。水中ポンプ100は、回転軸1の回転中心軸線αが上下方向(Z方向)に延びる縦型の電動ポンプである。また、水中ポンプ100は、水中ポンプ本体100aの片側に回転軸1に沿って延びる片側水路6が設けられたいわゆる片水路ポンプである。なお、一例ではあるが、本実施形態の水中ポンプ100は、山間におけるトンネルの作業現場など、特に大きな全揚程が必要とされる現場で使用される。
【0022】
図1に示す片側水路6は、ポンプ室5a内の水を吐出口101bに向けて流す水路である。片側水路6は、後述するポンプケーシング5、モータフレーム22およびブラケット24の各部材に跨るように形成されている。すなわち、ポンプケーシング5には、片側水路6の最上流の一部分が形成されている。ブラケット24には、片側水路6の最下流の一部分が形成されている。モータフレーム22には、ポンプケーシング5とブラケット24との間に位置する片側水路6の一部分が形成されている。
【0023】
各図では、回転軸1の回転中心軸線αの延びる方向をZ方向により示し、Z方向のうち羽根車4側からモータ2側を向く方向をZ1方向(上方)により示し、Z1方向の反対方向(下方)をZ2方向により示す。また、回転軸1(羽根車4)の半径方向をR方向により示す。R方向は、Z方向に直交している。
【0024】
水中ポンプ100は、回転軸1と、モータ2と、吐出口101bに取り付けられるホースカップリング3と、羽根車4と、羽根車4が内側に配置されたポンプケーシング5と、上記の片側水路6とを備えている。水中ポンプ100の下部には、異物の吸い込みを防ぐとともに、水中ポンプ100を直立させるスタンドとして機能するストレーナ102が設けられている。なお、ホースカップリング3を設けずに、吐出口101bに配管を接続する場合もある。
【0025】
(回転軸の構成)
回転軸1は、概して、上下方向(Z方向)に延びる円柱形状を有している。回転軸1は、Z2方向の一端10a(下端)に羽根車4が取り付けられており、Z1方向の他端10b(上端)側にモータ2(回転子21)が固定されている。回転軸1は、モータ2の駆動力を羽根車4に伝達する機能を有している。
【0026】
回転軸1は、羽根車4のZ1方向の端面を当接させる当接面11を有している。当接面11は、Z方向において、回転軸1に対して羽根車4を位置決めする機能を有している。また、回転軸1は、下方側から羽根車4が嵌合されるとともに、図示しないキー部材が回転軸1と羽根車4との隙間に設置されるように構成されている。これによって、回転軸1は、回転軸1に対して羽根車4が位置決めされるように構成されている。その結果、回転軸1と羽根車4との回転が同期される。
【0027】
(モータの構成)
モータ2は、回転軸1を回転駆動させるように構成されている。そして、モータ2は、回転軸1を介して羽根車4を回転駆動させるように構成されている。詳細には、モータ2は、コイルを有する固定子20と、固定子20の内周側に配置された回転子21と、モータフレーム22と、上部軸受23aと、下部軸受23bと、ブラケット24とを含んでいる。なお、回転軸1もモータ2に含まれる構成である。
【0028】
回転子21には、回転軸1が固定されている。モータ2は、固定子20により磁界を発生させることによって、回転子21とともに回転軸1を回転駆動させるように構成されている。モータフレーム22は、固定子20および回転子21を覆っている。上部軸受23aおよび下部軸受23bは、それぞれ、回転軸1の上方側および下方側を回転可能に支持している。ブラケット24には、上部軸受23aが設置されている。ブラケット24は、上方からモータフレーム22に固定されている。下部軸受23bは、互いに上下に重なり合い、互いに異なる向きの2つのアンギュラ玉軸受から構成されている。下部軸受23bをこのように構成することで、両方向の異なる向きのアキシャル荷重に対応することが可能となり、小流量側および大流量側のいずれの場合におけるアキシャル荷重にも対応することが可能となる。
【0029】
モータフレーム22は、回転軸1の軸方向(Z方向)において、吸込口101a側とは逆側(上方側)からポンプケーシング5に対して設置されている。モータフレーム22は、内側に固定子20および回転子21を配置するモータ室2aを形成するフレーム部22aと、片側水路6の一部分を形成するフレーム部22bとを有している。
【0030】
フレーム部22aおよびフレーム部22bは、ともに、上下方向に貫通する貫通穴が設けられた筒状に形成されている。フレーム部22bは、回転軸1(羽根車4)の半径方向(R方向)において、フレーム部22aの外周側に配置されている。
【0031】
ブラケット24は、片側水路6の最下流の一部分を形成している。ブラケット24には、水平方向(Z方向に直交する方向)に対して傾斜した吐出口101bが設けられている。ブラケット24には、吐出口101bを覆うように上方側からホースカップリング3が取り付けられている。
【0032】
(ホースカップリングの構成)
ホースカップリング3は、円筒形状を斜めに切断した形状を有している。すなわち、ホースカップリング3は、円筒形状が延びる方向に対して傾斜した傾斜端面30を有している。
【0033】
ホースカップリング3は、固定部材Fによりブラケット24に対して固定されている。ホースカップリング3の傾斜端面30は、固定部材Fにより、ホースカップリング3がブラケット24に固定された状態で、ブラケット24に上方側から対向している。
【0034】
ホースカップリング3は、固定部材Fによる固定を解除した上で、傾斜端面30をブラケット24に対向させながら、吐出口101bに対して回動させることにより、吐出口101bから吐出される水の流れ方向を切り換え可能に構成されている。具体的には、ホースカップリング3は、吐出口101bから吐出された水が、吐出口101bの直上に流れる状態と、直上に対して所定角度θ傾斜した方向に流れる状態とを切り換え可能に構成されている。
【0035】
(羽根車の構成)
図2に示すように、羽根車4は、ポンプケーシング5の内側のポンプ室5aに配置されている。羽根車4は、セミオープン型の羽根車である。すなわち、羽根車4は、板状部(シュラウド)40と、板状部40の吸込口101a側(下方側)に設けられた複数の羽根部(ベーン)41とを含んでいる。
【0036】
また、羽根車4には、板状部40の上方側(羽根部41側とは逆側)に裏羽根4aが設けられている。裏羽根4aは、羽根車4に作用する下方への負荷を抑制する機能を有している。すなわち、裏羽根4aは、ポンプ運転中において、軸受に作用する負荷を抑制する機能を有している。
【0037】
また、羽根車4とポンプケーシング5との間には、ラビリンスシールLSが設けられており、ポンプ室5aとオイル室7の間には空間8が設けられている。このため、ポンプ室5a内の圧力が、直接オイル室7に負荷されることを回避している。この空間8に対するポンプ室5aからの水の漏れは、ポンプ室5a内の圧力が高いほど多くなり、ポンプケーシング5から吐出される水の量を減らしてしまうこととなる。ポンプ室5aと、空間8の間にラビリンスシールLSを配置することで、ポンプ室5aから空間8への漏れを低減し、高圧時でもより多い水をポンプケーシング5から吐出させることが可能となる。
【0038】
板状部40は、Z方向に直交する方向に延びる円形の平板形状に形成されている。
【0039】
羽根部41は、軸方向(Z方向)の大きさDが、羽根車4の内周側から外周側に向けて徐々に小さくなるように形成されている。すなわち、羽根車4(羽根車4)は、側面視において、羽根車4の内周側が下方(Z2方向)に突出するように山形状(山なり)に形成されている。
【0040】
羽根部41は、羽根部41の内周側の部分41aが外周側に傾斜している。すなわち、羽根部41の内周側の部分41aは、板状部40に接続される羽根部41の根元から、羽根部41の下端(Z2方向の端部)に向けて徐々に回転軸1から離間するように、傾斜している。
【0041】
羽根車4は、断面図(図2参照)において羽根部41の羽根幅が、羽根車4の外周側に向かって狭く構成されているので、羽根部41の間に形成される水路42の流路断面積S1が羽根車4の内周側から外周側に向けて徐々に小さくなるように形成されている。すなわち、羽根車4は、吐出口101bを介して、複数の羽根部41の間の水路42に水を取り込む内周側において、多量の水を取り込むことが可能なように形成されている。
【0042】
また、羽根車4は、複数の羽根部41の間の水路42から羽根車4の外部に水を吐き出す外周側において、水の流速を増大させることが可能なように形成されている。このため、水中ポンプ100は、片側水路6に勢いよく水を導入することによって、全揚程を大きくすることが可能に構成されている。
【0043】
(ポンプケーシングの構成)
図3に示すように、ポンプケーシング5は、羽根車4が内側に配置され、内側にポンプ室5aが設けられている。ポンプケーシング5は、片側水路6の最上流の一部分を形成している。すなわち、ポンプケーシング5には、片側水路6にポンプ室5aからの水を導入する入口開口6aが設けられている。なお、図3では、説明の便宜上、ポンプケーシング5を分割した状態(断面)で図示し、羽根車4を分割していない状態で図示している。
【0044】
ポンプケーシング5は、ポンプケーシング本体50と、ポンプケーシング本体50に着脱可能に取り付けられるサクションカバー51とを含んでいる。
【0045】
サクションカバー51は、吸込口101aを有している。サクションカバー51は、回転軸1に羽根車4を取り付ける際に、ポンプケーシング本体50から取り外される。
【0046】
ポンプケーシング5(サクションカバー51)の羽根部41に下方側から対向する対向面52は、回転軸1の軸方向(Z方向)に直交する方向から見て(側面視において)、内周側から外周側に向けて徐々に小さくなる羽根部41の軸方向の大きさに対応して、羽根車4の内周側から外周側に向けて傾斜している。
【0047】
すなわち、ポンプケーシング5(サクションカバー51)の対向面52は、側面視において、羽根部41の下端から略一定の比較的小さな隙間を隔てて配置されている。このため、ポンプケーシング5(サクションカバー51)の対向面52は、側面視において、羽根車4の内周側から外周側に向けて徐々に小さくなる羽根部41に沿って傾斜するように形成されている。
【0048】
ポンプケーシング5(ポンプケーシング本体50)は、舌部53と、接続水路(スロート)54とを含んでいる。
【0049】
舌部53は、回転軸1の軸方向(Z方向)から見て、羽根車4が配置されるポンプ室と片側水路6の入口開口6aとの間に配置されている。舌部53とは、ポンプケーシング5内で羽根車4の羽根部41間の水路42から吐き出された水を集める渦巻き状のボリュートの巻き始めの部分である。
【0050】
舌部53は、回転軸1の軸方向(Z方向)から見て、ポンプ室5aの中心付近(回転軸1の回転中心軸線α付近)と片側水路6の入口開口6aとの間を区画するように、入口開口6aよりも上流側まで延びている。
【0051】
すなわち、ポンプケーシング5は、回転軸1の軸方向(Z方向)から見て、回転軸1の回転中心軸線αと入口開口6aとを直線Lにより結んだ場合、回転中心軸線αと入口開口6aと結ぶ直線L上には、舌部53が常に位置するように構成されている。
【0052】
接続水路54は、ポンプ室5aと片側水路6とを繋ぐ水路である。接続水路54は、回転軸1の軸方向(Z方向)から見て、ポンプケーシング5の内表面55と舌部53との間に設けられている。ポンプケーシング5の内表面55は、回転軸1の軸方向から見て、回転軸1(羽根車4)の半径方向(R方向)において、舌部53の外周側に配置されている。接続水路54は、入口開口6aに上流側から直接接続されている。
【0053】
ポンプケーシング5は、接続水路54に対して回転軸1の他端10b側(Z1方向側)に設けられるとともに、接続水路54を形成する上面56aを含んでいる。接続水路54を形成する上面56aは、回転軸1の軸方向から見たポンプケーシング5の内表面55と舌部53とを互いに接続している。なお、上面56aは、特許請求の範囲の「面」の一例である。
【0054】
また、ポンプケーシング5は、接続水路54に対して回転軸1の一端10a側(Z2方向側)に設けられるとともに、接続水路54を形成する下面56b(図2参照)を含んでいる。接続水路54は、舌部53、内表面55、上面56aおよび下面56bに囲まれることにより、ポンプ室5aと片側水路6とを繋ぐ管状に形成されている。
【0055】
図1に示すように、モータ2とポンプ室5aとの間にはオイル室7が設けられている。オイル室7には、メカニカルシール70およびオイルリフター71が設置されている。また、図示していないがオイル室7内には電極式の浸水検知部を配置してもよい。
【0056】
ポンプケーシング5とモータフレーム22とは、ポンプケーシング5とモータフレーム22との間にオイル室7を直接挟むことがないように、オイル室7の外周側の当接部Cにおいて、互いに直接当接している。これによって、水中ポンプ100は、考慮しなければならない部品公差を減らすことができるので、高い組立性を確保することができる。
【0057】
図4に示すように、ポンプケーシング5の上方端部には、一対の小型フランジ部FL1と、1つの大型フランジ部FL2(図5も合わせて参照)とが設けられている。小型フランジ部FL1および1つの大型フランジ部FL2は、ポンプケーシング5をモータフレーム22に固定するための構成である。一対の小型フランジ部FL1には、固定部材を取り付けるためのネジ穴H10が1つずつ設けられている。大型フランジ部FL2は、内側に大型フランジ部FL2を貫通するように片側水路6が配置されている。
【0058】
ここで、図4および図5では、回転軸1と片側水路6とが並ぶ方向をA方向により示し、A方向に直交する方向をB方向により示す。A方向およびB方向はともにZ方向に直交する方向である。
【0059】
大型フランジ部FL2には、固定部材Fa(図5参照)を取り付けるための一対のネジ穴H20と、固定部材Fb(図5参照)を取り付けるための一対のネジ穴H21とが設けられている。
【0060】
一対のネジ穴H20は、大型フランジ部FL2のB方向の両端部近傍で、かつ、大型フランジ部FL2の内周側に配置されている。
【0061】
一対のネジ穴H21は、大型フランジ部FL2の外周端部近傍に配置されている。また、一対のネジ穴H21は、B方向において、一対のネジ穴H20の内側に配置されている。すなわち、一対のネジ穴H21は、B方向において、一対のネジ穴H20よりも片側水路6に近い位置に配置されている。さらに、一対のネジ穴H21は、B方向において、片側水路6が設けられる範囲の内側に配置されている。
【0062】
このような片側水路6に近接したネジ穴H21の配置は、モータフレーム22の後述する縮小部22c(縮小部22cの外観形状が小さくなるZ2方向側の部分)によって、縮小部22cの周囲に確保されたスペースにより実現されている。また、縮小部22cの周囲に確保されたスペースにより、上方側(モータフレーム22)から固定部材FaおよびFbを挿入すること(取り付けること)が実現されている。
【0063】
このように、水中ポンプ100は、片側水路6に近い位置で、固定部材Faによるポンプケーシング5とモータフレーム22との固定が行われるため、ポンプケーシング5とモータフレーム22とを強固に固定して、ポンプケーシング5とモータフレーム22との間からの水漏れを効果的に抑制することができる。
【0064】
ここで、ポンプケーシング5とモータフレーム22との間には、二点鎖線で示す範囲にパッキンPが設置されている。水中ポンプ100は、図4に示すように大型フランジ部FL2の外周端部のネジ穴の位置をH21で示す位置に設けているので、図4のハッチングで示す位置付近にネジ穴を設けた場合と比較してパッキンPの必要面積を小さくすることができるため、パッキンPに加わる圧力を従来よりも大きくすることができる。縮小部22cを設け、ネジ穴の位置を最適化した結果、水中ポンプ100は、パッキンPにより従来よりも確実に水密状態を確保することが可能となった。
【0065】
(片側水路の構成)
図1に示すように、片側水路6は、下流側から上流側の入口開口6aに向けて、流路断面積S2が徐々に小さくなるように形成されている。言い換えると、片側水路6は、上流側の入口開口から下流側に向けて、流路断面積S2が徐々に大きくなる末広がり形状に形成されている。
【0066】
詳細には、片側水路6は、上記の通り、モータフレーム22およびポンプケーシング5に跨るように形成されており、下流側のモータフレーム22から、上流側のポンプケーシング5に向けて、流路断面積S2が徐々に小さくなるように形成されている。
【0067】
すなわち、片側水路6は、入口開口6a付近において、水の通る経路が絞られるように形成されている。このため、片側水路6は、入口開口6a付近において、水の流速を増大させることが可能である。このように、水中ポンプ100は、片側水路6に勢いよく水を導入するように形成されることによって、全揚程を大きくすることが可能に構成されている。
【0068】
なお、モータフレーム22には、下流側のモータフレーム22から上流側のポンプケーシング5に向けて片側水路6の流路断面積が徐々に小さくなるのに合わせて、下流側から上流側に向けて、外観形状が徐々に小さくなる縮小部22cが設けられている(図5参照)。なお、縮小部22cは、上記のフレーム部22bのうちの下方側の一部分である。このように、流路を絞った縮小部22cを設けることでポンプ性能を向上させることが可能となり、流路の幅を広くしたフレーム22bを設けることで、流路を流れる水がモータ2内の部品に接する面積を増やし、モータ2に対する冷却性を向上させることが可能となる。
【0069】
片側水路6の内表面60は、モータフレーム22と吐出口101bとの間において、段差のない滑らかな形状(平滑化された形状)に形成されている。すなわち、片側水路6の内表面60は、ブラケット24に設けられる最下流の部分において、段差のない滑らかな形状に形成されている。
【0070】
なお、片側水路6の内表面60は、ポンプケーシング5およびモータフレーム22に設けられる上流側の部分においても、同様に、段差のない滑らかな形状に形成されている。このように、水中ポンプ100は、内表面60を段差のない滑らかな形状に形成して、片側水路6内での水のエネルギー損失を低減させることによって、全揚程を大きくすることが可能に構成されている。
【0071】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0072】
本実施形態では、上記のように、回転軸1の軸方向から見て、羽根車4が配置されるポンプ室5aと片側水路6の入口開口6aとの間に配置された舌部53と、回転軸1の軸方向から見て、ポンプケーシング5の内表面55と舌部53との間に配置され、入口開口6aに上流側から直接接続される接続水路54とを、ポンプケーシング5に設ける。これによって、ポンプ室5aと片側水路6とを接続水路54を介して接続することができる。このため、ポンプ室5aと片側水路6とを直接接続する場合と比較して、片側水路6の直前に設けられる接続水路54において、水の流れ(流路断面積)を小さく絞るとともに水の流れを整えることができるので、片側水路6に対してより早い速度で滑らかに水を流入させることができる。その結果、水中ポンプ100の全揚程をより大きくすることができる。
【0073】
本実施形態では、上記のように、片側水路6は、下流側から上流側の入口開口6aに向けて、流路断面積S2が徐々に小さくなるように形成されている。これによって、片側水路6の入口開口6aにおいて、水の流れ(流路断面積S2)を小さく絞ることができるので、片側水路6に対してより早い速度で水を流入させることができる。また、片側水路6の流路断面積S2を急に変化させるのではなく、徐々に小さくなるように変化させることによって、流路断面積S2の急な変化により水の流れが乱れるのを抑制することができる。以上の結果、水中ポンプ100の全揚程をより一層大きくすることができる。
【0074】
本実施形態では、上記のように、軸方向において、吸込口101a側とは逆側からポンプケーシング5に対して設置されるモータフレーム22を含むモータ2をさらに備え、片側水路6は、モータフレーム22およびポンプケーシング5に跨るように形成されており、下流側のモータフレーム22から、上流側のポンプケーシング5に向けて、流路断面積S2が徐々に小さくなるように形成されている。これによって、ポンプケーシング5に設けられる片側水路6だけでなく、モータフレーム22に設けられる片側水路6についても、流路断面積S2が徐々に小さくなるように形成することができるので、比較的大きな範囲に渡って片側水路6を、流路断面積S2が徐々に小さくなるように形成することができる。このため、流路断面積S2の急な変化をより抑制することができるので、水中ポンプ100の全揚程をさらに大きくすることができる。
【0075】
本実施形態では、上記のように、羽根車4は、板状部40と、板状部40の吸込口101a側に設けられた羽根部41とを含み、羽根部41は、羽根部41の内周側の部分が外周側に傾斜している。これによって、羽根部41の内周側において、羽根部41を外周側に傾斜させることにより、吸込口101aから羽根部41の間に最初に水を取り込む内周側の開口部分をより大きく確保することができる。このため、吸込性能を向上させ、大流量側での損失を低減でき、大流量側の揚程を大きくすることができる。
【0076】
本実施形態では、上記のように、羽根部41は、軸方向の大きさDが、羽根車4の内周側から外周側に向けて徐々に小さくなるように形成され、ポンプケーシング5の羽根部41に対向する対向面52は、軸方向に直交する方向から見て、徐々に小さくなる羽根部41の軸方向の大きさDに対応して、羽根車4の内周側から外周側に向けて傾斜している。これによって、ポンプケーシング5内における入口側と出口側の面積比を変えて損失を低減することができるので、水中ポンプ100の全揚程をさらに大きくすることができる。
【0077】
本実施形態では、上記のように、羽根車4は、羽根部41の間に形成される水路42の流路断面積S1が羽根車4の内周側から外周側に向けて徐々に小さくなるように形成されている。これによって、内周側(入口側)に比べ外周側(出口側)の羽根幅を小さくすることで、羽根車4の外径を大きくすることができるため、小流量域における水中ポンプ100の全揚程をさらに大きくすることができる。
【0078】
本実施形態では、上記のように、軸方向において、吸込口101a側とは逆側からポンプケーシング5に対して設置されるモータフレーム22を含むモータ2をさらに備え、片側水路6の内表面60は、モータフレーム22と吐出口101bとの間において、段差のない滑らかな形状に形成されている。これによって、段差がある場合と異なり、片側水路6を通る水の流れが乱れることを防止することができるので、水中ポンプ100の全揚程をより一層大きくすることができる。
【0079】
本実施形態では、上記のように、舌部53は、回転軸1の軸方向から見て、ポンプ室5aの中心付近と片側水路6の入口開口6aとの間を区画するように、入口開口6aよりも上流側まで延びている。これによって、ポンプ室5aの中心付近と片側水路6の入口開口6aとの間を直接接続する方向ではなく、羽根車4によってポンプ室5a内に発生する水の流れに沿った方向に延びるように、接続水路54を配置することができる。このため、ポンプ室5aから接続水路54により早い速度で滑らかに水を流入させることができるので、水中ポンプ100の全揚程をより一層大きくすることができる。
【0080】
本実施形態では、上記のように、ポンプケーシング5は、接続水路54に対して回転軸1の他端10b側に設けられるとともに接続水路54を形成する上面56aを含み、接続水路54を形成する上面56aは、回転軸1の軸方向から見たポンプケーシング5の内表面55と舌部53とを互いに接続している。これによって、回転軸1の軸方向から見たポンプケーシング5の内表面55と舌部53とを互いに接続して、接続水路を形成する上面がポンプケーシングとは異なる蓋状の別部材により構成される場合と比較して、部品点数を少なくして装置構成を簡素化することができる。
【0081】
本実施形態では、上記のように、モータフレーム22には、下流側のモータフレーム22から上流側のポンプケーシング5に向けて片側水路6の流路断面積S2が徐々に小さくなるのに合わせて、下流側から上流側に向けて、外観形状が徐々に小さくなる縮小部22cが設けられている。これによって、縮小部22cでポンプケーシング5側に確保された縮小部22cの周囲のスペースにより、より片側水路6に近い位置に、ポンプケーシング5とモータフレーム22との固定部材Faを配置することが可能となる。このため、ポンプケーシング5とモータフレーム22とを互いに強固に固定して、ポンプケーシング5とモータフレーム22との間からの水漏れを効果的に抑制することができる。
【0082】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0083】
たとえば、上記実施形態において示した舌部の長さは一例にすぎず、図3に示したような例よりも長く舌部を形成してもよいし、接続水路が確実に設けられる状態で図3に示した例よりも短く舌部を形成してもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、下流側から上流側の入口開口に向けて、流路断面積が徐々に小さくなるように、片側水路を形成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、下流側から上流側の入口開口に向けて、流路断面積が徐々に大きくなるように、または、変化することがないように、片側水路を形成してもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、羽根部の内周側の部分を外周側に傾斜させた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、羽根部の内周側の部分を外周側に傾斜させることなく、下方に延びるように形成してもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、羽根部の軸方向の大きさが、羽根車の内周側から外周側に向けて徐々に小さくなるように、羽根車を形成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、羽根部の軸方向の大きさが、一定となるように、羽根車を形成してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、ポンプケーシングの羽根部に対向する対向面を、軸方向に直交する方向から見て、傾斜させた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、対向面を、水平方向に延びるように形成してもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、羽根部の間に形成される水路の流路断面積が、羽根車の内周側から外周側に向けて徐々に小さくなるように、羽根車を形成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、羽根部の間に形成される水路の流路断面積が、羽根車の内周側から外周側に向けて変化することがない一定の大きさとなるように、羽根車を形成してもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、羽根車としてセミオープン型の羽根車を用いた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、クローズド型の羽根車を用いてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 回転軸
2 モータ
4 羽根車
5 ポンプケーシング
5a ポンプ室
6 片側水路
6a 入口開口
10a (回転軸の)一端
10b (回転軸の)他端
22 モータフレーム
22c (モータフレームの)縮小部
40 板状部
41 羽根部
42 (羽根部の間に形成された)水路
52 対向面
53 舌部
54 接続水路
55 (ポンプケーシングの)内表面
56a 上面(面)
60 (片側水路の)内表面
100 水中ポンプ
100a 水中ポンプ本体
101a 吸込口
101b 吐出口
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中ポンプ本体の片側に回転軸に沿って延びる片側水路が設けられた水中ポンプであって、
前記回転軸の一端に取り付けられる羽根車と、
前記羽根車が内側に配置されたポンプケーシングとを備え、
前記ポンプケーシングは、
前記回転軸の軸方向から見て、前記羽根車が配置されるポンプ室と前記片側水路の入口開口との間に配置された舌部と、
前記回転軸の軸方向から見て、前記ポンプケーシングの内表面と前記舌部との間に設けられ、前記入口開口に上流側から直接接続される接続水路とを含み、
前記軸方向において、吸込口側とは逆側から前記ポンプケーシングに対して設置されるモータフレームを含むモータをさらに備え、
前記モータフレームは、内側にモータ室を形成する第1フレーム部と、前記片側水路の一部分を形成する第2フレーム部とを有し、
前記モータフレームの前記第2フレーム部には、下流側の前記モータフレームから上流側の前記ポンプケーシングに向けて前記片側水路の流路断面積が徐々に小さくなるのに合わせて、下流側から上流側に向けて、外観形状が徐々に小さくなる縮小部が設けられ、
前記縮小部の周囲には、前記ポンプケーシングと前記モータフレームとを固定する固定部材の配置スペースが設けられている、水中ポンプ。
【請求項2】
前記片側水路は、下流側から上流側の前記入口開口に向けて、流路断面積が徐々に小さくなるように形成されている、請求項1に記載の水中ポンプ。
【請求項3】
記片側水路は、前記モータフレームおよび前記ポンプケーシングに跨るように形成されており、下流側の前記モータフレームから、上流側の前記ポンプケーシングに向けて、流路断面積が徐々に小さくなるように形成されている、請求項2に記載の水中ポンプ。
【請求項4】
前記羽根車は、板状部と、前記板状部の吸込口側に設けられた羽根部とを含み、
前記羽根部は、前記羽根部の内周側の部分が外周側に傾斜している、請求項1~3のいずれか1項に記載の水中ポンプ。
【請求項5】
前記羽根部は、前記軸方向の大きさが、前記羽根車の内周側から外周側に向けて徐々に小さくなるように形成され、
前記ポンプケーシングの前記羽根部に対向する対向面は、前記軸方向に直交する方向から見て、徐々に小さくなる前記羽根部の軸方向の大きさに対応して、前記羽根車の内周側から外周側に向けて傾斜している、請求項4に記載の水中ポンプ。
【請求項6】
前記羽根車は、前記羽根部の間に形成される水路の流路断面積が前記羽根車の内周側から外周側に向けて徐々に小さくなるように形成されている、請求項4または5に記載の水中ポンプ。
【請求項7】
記片側水路の内表面は、前記モータフレームと吐出口との間において、段差のない滑らかな形状に形成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の水中ポンプ。
【請求項8】
前記舌部は、前記回転軸の軸方向から見て、前記ポンプ室の中心付近と前記片側水路の前記入口開口との間を区画するように、前記入口開口よりも上流側まで延びている、請求項1~7のいずれか1項に記載の水中ポンプ。
【請求項9】
前記ポンプケーシングは、前記接続水路に対して前記回転軸の他端側に設けられるとともに前記接続水路を形成する面を含み、
前記接続水路を形成する前記面は、前記回転軸の軸方向から見た前記ポンプケーシングの前記内表面と前記舌部とを互いに接続している、請求項1~8のいずれか1項に記載の水中ポンプ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における水中ポンプは、水中ポンプ本体の片側に回転軸に沿って延びる片側水路が設けられた水中ポンプであって、回転軸の一端に取り付けられる羽根車と、羽根車が内側に配置されたポンプケーシングとを備え、ポンプケーシングは、回転軸の軸方向から見て、羽根車が配置されるポンプ室と片側水路の入口開口との間に配置された舌部と、回転軸の軸方向から見て、ポンプケーシングの内表面と舌部との間に設けられ、入口開口に上流側から直接接続される接続水路とを含み、軸方向において、吸込口側とは逆側からポンプケーシングに対して設置されるモータフレームを含むモータをさらに備え、モータフレームは、内側にモータ室を形成する第1フレーム部と、片側水路の一部分を形成する第2フレーム部とを有し、モータフレームの第2フレーム部には、下流側のモータフレームから上流側のポンプケーシングに向けて片側水路の流路断面積が徐々に小さくなるのに合わせて、下流側から上流側に向けて、外観形状が徐々に小さくなる縮小部が設けられ、縮小部の周囲には、ポンプケーシングとモータフレームとを固定する固定部材の配置スペースが設けられている
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
この発明の一の局面による水中ポンプでは、上記のように、回転軸の軸方向から見て、羽根車が配置されるポンプ室と片側水路の入口開口との間に配置された舌部と、回転軸の軸方向から見て、ポンプケーシングの内表面と舌部との間に配置され、入口開口に上流側から直接接続される接続水路とを、ポンプケーシングに設ける。これによって、ポンプ室と片側水路とを接続水路を介して接続することができる。このため、ポンプ室と片側水路とを直接接続する場合と比較して、片側水路の直前に設けられる接続水路において、水の流れ(流路断面積)を小さく絞るとともに水の流れを整えることができるので、片側水路に対してより早い速度で滑らかに水を流入させることができる。その結果、水中ポンプの全揚程をより大きくすることができる。
また、縮小部によりポンプケーシング側に確保された縮小部の周囲のスペースによって、より片側水路に近い位置に、ポンプケーシングとモータフレームとの固定部材を配置することが可能となる。このため、ポンプケーシングとモータフレームとを互いに強固に固定して、ポンプケーシングとモータフレームとの間からの水漏れを効果的に抑制することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
この場合、好ましくは、片側水路は、モータフレームおよびポンプケーシングに跨るように形成されており、下流側のモータフレームから、上流側のポンプケーシングに向けて、流路断面積が徐々に小さくなるように形成されている。このように構成すれば、ポンプケーシングに設けられる片側水路だけでなく、モータフレームに設けられる片側水路についても、流路断面積が徐々に小さくなるように形成することができるので、比較的大きな範囲に渡って片側水路を、流路断面積が徐々に小さくなるように形成することができる。このため、流路断面積の急な変化をより抑制することができるので、水中ポンプの全揚程をさらに大きくすることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
上記一の局面による水中ポンプにおいて、好ましくは、片側水路の内表面は、モータフレームと吐出口との間において、段差のない滑らかな形状に形成されている。このように構成すれば、段差がある場合と異なり、片側水路を通る水の流れが乱れることを防止することができるので、水中ポンプの全揚程をより一層大きくすることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2021-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
【特許文献1】実開平3-87890号公報