(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156743
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】空気液化分離装置及び空気液化分離装置の待機方法
(51)【国際特許分類】
F25J 3/04 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
F25J3/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060584
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 伸一郎
【テーマコード(参考)】
4D047
【Fターム(参考)】
4D047AA08
4D047AB01
4D047AB02
4D047BA03
4D047BB03
4D047CA04
4D047CA16
4D047CA17
4D047DA08
4D047DB03
4D047EA09
(57)【要約】
【課題】空気液化分離装置に設置された熱交換器を熱応力により破損させることなく、空気液化分離装置の低温待機の頻度を増やすことができ、さらに装置の起動時間を短縮する。
【解決手段】原料空気を冷却する熱交換器5と、原料空気を液化精留分離する精留塔と、前記熱交換器5及び前記精留塔を収納するコールドボックス4とを備えた空気液化分離装置100であって、前記熱交換器5の温端側の温流体経路に常温のドライガスの供給経路11を備え、前記熱交換器5の冷端側に、前記熱交換器5によって熱交換されたドライガスを前記コールドボックス4から外部へ放出する放出経路12を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料空気を冷却する熱交換器と、原料空気を液化精留分離する精留塔と、前記熱交換器及び前記精留塔を収納するコールドボックスとを備えた空気液化分離装置であって、
前記熱交換器の温端側の温流体経路に常温のドライガスの供給経路を備え、
前記熱交換器の冷端側に、前記熱交換器によって熱交換されたドライガスを前記コールドボックスから外部へ放出する放出経路を備えていることを特徴とする空気液化分離装置。
【請求項2】
前記ドライガスの供給源が、液化ガス貯槽の液化ガスを気化圧送したものであることを特徴とする請求項1記載の空気液化分離装置。
【請求項3】
前記ドライガスの供給経路に、前記熱交換器の冷端側から温端側に流れる冷流体ガスを圧縮したものを導入することを特徴とする請求項1記載の空気液化分離装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の空気液化分離装置の待機方法であって、
装置の運転停止時の待機状態において、
前記精留塔内の液化ガスが蒸発して発生するガスを前記熱交換器の冷端側に導入し、
前記ドライガスを前記熱交換器の温端側に導入することを特徴とする空気液化分離装置の待機方法。
【請求項5】
請求項4記載の空気液化分離装置の待機方法において、前記熱交換器内部の温度分布を、装置の通常運転時と同じ状態に保持することを特徴とする空気液化分離装置の待機方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気液化分離装置及び当該空気液化分離装置の待機方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気液化分離装置の運転を停止すると、装置内にとどまっている低温液化ガスが侵入熱によって蒸発して装置内部の圧力が設計圧力以上に上昇することを防ぐために、ガスを放出する必要がある。しかし、常温のガス系統からガスを放出し圧力を調整すると、熱交換器に入る温流体がない状態で冷流体のみを流すこととなるために、熱交換器の温端が冷却され、最終的には低温液化ガス自体の温度となる。しかし、常温のガス系統の配管は、一般的に炭素鋼で製作されており、低温液化ガスの温度相当のガスを流すと低温脆性を起こして破損する。よって、空気液化分離装置の待機は、熱交換器の温端温度が、炭素鋼配管の許容温度である-10℃を下回る前に中止して、液化ガスを系外に放出する必要が生じる。
【0003】
また、液化ガスを系外に放出したあとの空気液化分離装置は、一度完全に常温に戻して水分や二酸化炭素を除去する運転(全加温運転)を実施したのちに、常温状態から冷却して装置の運転に移行する(常温起動)必要があるため、そのために莫大なエネルギーと時間を要するものとなる。このような状況を解消するために、液体の逆流防止装置やガス放出弁等を設けることが提案されている(例えば、特許文献1、2を参照。)。
【0004】
また、従来の空気液化分離装置(例えば、
図2で示される、上記特許文献2に示される装置)100aにおいて、運転停止時(低温待機状態)には熱交換器5も当然停止しており、当該熱交換器5内部へのガス供給は停止した状態となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2782355号公報
【特許文献2】特開2019-178816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1、2に記載のように熱交換器にガスを流さない状態を保持していると熱交換器内部の温度分布は熱交換器を構成する金属の伝熱により、時間と共に温端部付近は温度が低くなり、冷端部付近は温度が高くなっていく。その後、空気液化分離装置の再起動時には、温端側から常温の原料空気が、冷端側には装置内に保有する液化ガスの飽和温度に近いガスが導入される。このような状態で、熱交換器にガスを定格近くまで導入してしまうと、ガスと熱交換器金属部の温度差が大きくなり、熱交換器内部に局所的に過大な応力が発生してしまう。このような状態を繰り返すことにより、最悪の場合、熱交換器の破損が生じる可能性がある。熱交換器の破損を避けるためには、冷却初期の段階で熱交換器の温度変化が急激にならないようにガスの導入速度を調整すればよいが、このような操作は起動時間が長くなることを意味している。また、起動時間が長くなると、無駄な動力を消費する時間が長くなり、効率的では無い。
【0007】
以上の点に鑑みて、本発明は、熱交換器を熱応力により破損させることなく、空気液化分離装置の低温待機の頻度を増やすことができ、さらに装置の起動時間の短縮が可能な空気液化分離装置及びその待機方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の発明は、原料空気を冷却する熱交換器と、原料空気を液化精留分離する精留塔と、前記熱交換器及び前記精留塔を収納するコールドボックスとを備えた空気液化分離装置であって、前記熱交換器の温端側の温流体経路に常温のドライガスの供給経路を備え、前記熱交換器の冷端側に、前記熱交換器によって熱交換されたドライガスを前記コールドボックスから外部へ放出する放出経路を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の第2の発明は、前記第1の発明において、前記ドライガスの供給源が、液化ガス貯槽の液化ガスを気化圧送したものであることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の第3の発明は、前記第1の発明において、前記ドライガスの供給経路に、前記熱交換器の冷端側から温端側に流れる冷流体ガスを圧縮したものを導入することを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第4の発明は、前記第1乃至第3のいずれか1つの発明の空気液化分離装置の待機方法であって、装置の運転停止時の待機状態において、前記精留塔内の液化ガスが蒸発して発生するガスを前記熱交換器の冷端側に導入し、前記ドライガスを前記熱交換器の温端側に導入することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第5の発明は、前記第4の発明において、前記熱交換器内部の温度分布を、装置の通常運転時と同じ状態に保持することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の空気液化分離装置及び空気液化分離装置の待機方法によれば、ドライガスを熱交換器の温端側から導入するので、待機時に熱交換器に与える熱疲労を大幅に緩和することが可能となり熱交換器の寿命の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の待機方法を適用可能な空気液化分離装置の一形態例を示す図である。
【
図2】従来の空気液化分離装置(上記特許文献2に記載の装置)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本形態例の空気液化分離装置100を示すものである。空気液化分離装置100は、主要な機器として、空気濾過器1、原料空気圧縮機2、前処理設備3、コールドボックス4、熱交換器5、膨張タービン6、中圧精留塔7、コンデンサ・リボイラ(コンデンサ)8、低圧精留塔9、過冷器10、ドライガス供給経路11、熱交換器冷端側放出経路12、熱交換器温端側放出経路13を備えている。なお、ここで、中圧とは約3バール(絶対圧)から約15バール(絶対圧)であり、低圧とは、中圧より相対的に低い圧力を意味している。また、以下の説明における高温、低温は、相対的な温度の相違を示すものであって、温度範囲を特定するものではない。
【0016】
空気濾過器1は、原料空気中のダストを濾過するための濾過器である。原料空気圧縮機2は、原料空気を圧縮し、後述する前処理設備3に供給するための装置である。前処理設備3は、原料空気圧縮機2から供給された圧縮空気中に含まれるH2OやCO2などの吸着除去を前処理として行う装置である。
【0017】
コールドボックス4は、後述する熱交換器5や中圧精留塔7、低圧精留塔9、過冷器10等が収納されるものであり、外部からの熱侵入を抑制し、低温を保持するために設けられている。
【0018】
熱交換器5は、製品ガス等と熱交換を行って原料空気を予冷するための装置である。膨張タービン6は、前記熱交換器5によって予冷された原料空気を、断熱膨張によってさらに冷却するための装置である。
【0019】
中圧精留塔7及び低圧精留塔9は、冷却された原料空気を液化精留分離する精留塔であり、当該液化精留分離によって、液化窒素や液化酸素等が分離される。
【0020】
コンデンサ8は、低圧精留塔9の内部において、中圧精留塔7の上部に分離した中圧の窒素ガスを、低圧精留塔9の底部に分離した低圧の液化酸素との熱交換によって液化し、液化窒素及び酸素ガスを生成する凝縮器である。
【0021】
過冷器10は、中圧精留塔7の底部から導出した液化ガスと低圧精留塔9の上部から導出したガスとを熱交換させる装置である。
【0022】
ドライガス供給経路11は、原料空気導入経路51において、原料空気導入弁51aの二次側である、前記熱交換器5の温端側の温流体経路に設けられ、外部からドライガス(H2O、CO2が含まれない常温のガス)を導入する経路である。当該経路11によって導入されたドライガスは、低温ガスとの熱交換によって、低温まで冷却される。その際に、ガスが固化して配管機器が閉塞しないようにするために、H2O、CO2が含まれていないドライガスが用いられる。
【0023】
熱交換器冷端側放出経路12は、装置の運転停止時(低温待機状態)等に、前記熱交換器5における熱交換によって冷却されたドライガスや、低圧精留塔9内の液化ガスが蒸発して発生するガス(冷流体ガス)を、熱交換器5の冷端側から放出するための経路である。
【0024】
ドライガスについては、低温原料空気経路52から分岐された経路から冷端側放出弁12bを介して放出され、冷流体ガスについては、粗純窒素採取経路59から分岐された経路から冷端側放出弁12aを介して放出される。これは、熱交換器に導入したドライガスの熱量に相当する熱量の冷流体ガスを与えて、熱交換器の温度分布を適切に保つために行われる。
【0025】
熱交換器温端側放出経路13は、熱交換によって加熱された冷流体ガスを、温端側放出弁13a~13dを介して外部に放出するための経路であり、装置の運転停止(低温待機状態)時にガスの排出を行う時に用いられる。冷流体ガスは、上述した粗純窒素採取経路59だけでなく、低圧窒素導出経路58,製品酸素採取経路61,中圧窒素採取経路62からも導出される。
【0026】
以上のように構成された空気液化分離装置100において、装置の通常運転時について説明する。
【0027】
まず、原料空気は空気濾過器1によって、ダストが濾過され、続いて、原料空気圧縮機2において圧縮状態となる。その後、前処理装置3において、H2OやCO2などを吸着除去し、精製される。
【0028】
精製後の原料空気は、原料空気導入経路51を通り、原料空気導入弁51aを介して、コールドボックス4内の熱交換器5の温端側に温流体として導入され、冷流体である液化ガスと熱交換を行い、所定の低温状態に冷却(液化)される。この後、原料空気をさらに冷却する目的で、膨張タービン用経路65を介して膨張タービン6へ供給し、断熱膨張による冷却を行っても良い。但し、断熱膨張後の原料空気は圧力が低下しているので、膨張後経路66を介して、低圧精留塔9に供給される。
【0029】
膨張タービン6を経由せずに、熱交換器5のみを通過した場合、熱交換後の原料空気は低温となり液化が進んでおり、低温原料空気経路52を通り、中圧精留塔7へ導入される。低温となった原料空気は、中圧精留塔7の下部に導入されて塔内を上昇し、塔内での精留操作によって塔上部に中圧窒素ガスが分離するとともに、塔底部に酸素が濃縮した中圧の液化空気が分離する。中圧精留塔7底部の液化空気は、液化空気導出経路53に抜き出され、過冷器10で過冷却状態に冷却された後、液化空気導入経路54を通り、減圧弁54aにて低圧精留塔9の圧力に対応した低圧状態に減圧されてから、低圧精留塔9の中段部に下降液として導入される。
【0030】
また、中圧精留塔7の上部の中圧窒素ガスは、コンデンサ8で液化した後、一部が中圧精留塔7の上部に下降液として導入され、残部が液化窒素経路57から過冷器10を通り、減圧弁57aで減圧された後、低圧精留塔9の上部に下降液として導入される。この際、必要に応じて、液化窒素導入弁63aを備えた液化窒素導入経路63より、液化窒素を外部から導入しても良い。また、中圧精留塔7上部の液化酸素は、液化酸素採取弁60aを備えた液化酸素採取経路60から製品液化酸素として採取される。
【0031】
低圧精留塔9では、塔内での精留操作によって塔上部に低圧窒素ガスが分離するとともに、塔底部に低圧の液化酸素が分離する。塔上部の低圧窒素ガスは、低圧窒素導出経路58に抜き出され、過冷器10を通り、更に熱交換器5で原料空気と熱交換を行うことによって昇温した後、低圧窒素採取弁58aを備えた低圧窒素採取経路から製品低圧窒素ガスとして採取される。
【0032】
一方、低圧精留塔9底部の液化酸素は、前記コンデンサ8で中圧窒素ガスと熱交換して気化した後、製品酸素採取経路61から抜き出され、熱交換器5で原料空気と熱交換を行うことによって昇温した後、製品酸素採取弁61aを備えた製品酸素採取経路61から製品酸素ガスとして採取される。
【0033】
また、中圧精留塔7より発生した窒素ガス(中圧窒素)は、中圧窒素採取経路62から抜き出され、熱交換器5を通って昇温した後、中圧窒素採取弁62aを備えた中圧窒素採取経路62から製品中圧窒素ガスとして採取される。
【0034】
さらに、低圧精留塔9の中段上部からは、低純度窒素(粗純窒素)が原料空気冷却用流体である排ガスとして粗純窒素採取経路59から抜き出され、過冷器10を通り、熱交換器5を通って昇温した後、一部は粗純窒素採取弁59aを備えた粗純窒素採取経路59から採取され、残部はオフガス導出弁64aを備えたオフガス導出経路64を通って、前処理設備3の再生ガスとして用いられる。
【0035】
次に、上記形態例の空気液化分離装置100において、装置の運転停止時(低温待機状態)での待機方法について説明する。
【0036】
上記形態例の空気液化分離装置100では、低温待機状態において、装置内(精留塔内)に保持されている液化ガスが蒸発し、熱交換器5には、その蒸発したガスが冷流体として冷端側に導入される。そこで、対向する温流体として、ドライガス供給経路11からドライガス供給弁11aを介して、熱交換器5の温端側にドライガスを導入する。この際に、熱交換器5の状態を監視しながら、上記温流体の導入量を調整することで、当該熱交換器5内部の温度分布を、上記装置100の通常運転時と同じ状態に保持することができる。熱交換器の状態監視については、熱交換器5の温端側、冷端側に設置した温度計によって熱交換器5に導入する流体、導出される流体の温度を測定することで、又は熱交換器5の高さ方向に設けた一つ又は複数の表面温度計によって熱交換器5の表面温度を測定することで、熱交換器5の状態や熱交換器5の温度分布を把握することが可能である。
【0037】
上記ドライガス供給経路11によるドライガスは、熱交換器5内部の温度分布を保持するためだけに用いるので、装置の通常運転時よりもかなり少ない供給量で十分である。そのため、当該ドライガスの供給源としては、別の空気液化分離装置(図示せず)から原料空気や窒素ガス等を供給することや、別の液化ガス貯槽からの液化ガスの気化圧送機(図示せず)によって供給することが考えられる。
【0038】
また、ドライガスの供給量をさらに減少させるために、熱交換器5の温端側に冷流体ガスの圧縮機(図示せず)を備え、当該冷流体を加熱圧縮したガスを温流体として用いることも可能である。
【0039】
いずれの場合においても、供給したドライガスは熱交換器5の出口において低温となるので、冷端側放出経路12を経て、冷端側のコールドボックス4の低温部より外部に放出する。
【0040】
なお、低温待機状態では、原料空気や粗純窒素について、経路の途中に分岐して設けられた冷端側放出弁12a、12bから外部に放出することができる。また、製品ガス(中圧窒素、低圧窒素、酸素)及び粗純窒素について、それぞれの採取経路に分岐して設けられた温端側放出弁13a~13dから外部に放出することができる。
【0041】
以上のようにすることで、低温待機状態でも熱交換器5内の温度分布(例えば、温端側が常温、冷端側が-160℃)が保たれているため、空気液化分離装置100の低温起動開始時(低温待機状態からの運転復帰時)から熱交換器5に定格に近い量のガスを供給しても、熱交換器5内温度の急激な変化を防ぎ、頻繁な起動停止においても熱交換器5内部の熱疲労を最小限に抑えることができる。よって、低温待機の回数を大幅に増加することが可能となる。また、次回の起動も低温状態から実施できるため、起動時間を大幅に短縮できる。
【0042】
なお、必要であれば、ドライガスを精製するために、ドライガス供給経路11において、ドライガス専用の空気圧縮機とH2O、CO2を除去する精製器を設けてもよい。また、熱交換器5における冷流体は、熱交換器5にて常温となった後に、各放出経路より大気に放出するが、通常のガス流量よりも少ないガス量で放出量の調節が必要となる。そのために、制御性の向上を目的として、低温待機用に別途、専用の放出経路を設けてもよい。
【0043】
また、上記形態例において、空気の液化分離を低圧精留塔9及び中圧精留塔7の二塔式装置を用いて行っているが、液化分離の条件等に応じて、低圧・中圧・高圧の三塔式や低圧・高圧の二塔式など、上記形態例以外の形式の精留塔を用いることも可能である。
【0044】
また、上記形態例において、熱交換器内部の温度を装置の通常運転時と同じ状態に保持する旨が示されているが、必ずしも装置の通常運転時と同じ状態に保持するだけでなく、温端側にドライガスを導入することにより、熱交換器を熱応力によって破損させないように温度低下を防止することができれば、本願発明の効果は十分に達成することできる。
【符号の説明】
【0045】
1・・・空気濾過器、2・・・原料空気圧縮機、3・・・前処理設備、4・・・コールドボックス、5・・・熱交換器、6・・・膨張タービン、7・・・中圧精留塔、8・・・コンデンサ・リボイラ(コンデンサ)、9・・・低圧精留塔、10・・・過冷器、11・・・ドライガス供給経路、12・・・熱交換器冷端側放出経路、13・・・熱交換器温端側放出経路、51・・・原料空気導入経路、51a・・・原料空気導入弁、52・・・低温原料空気経路、53・・・液化空気導出経路、54・・・液化空気導入経路、54a・・・減圧弁、57・・・液化窒素経路、57a・・・減圧弁、58・・・低圧窒素導出経路、58a・・・低圧窒素採取弁、59・・・粗純窒素採取経路、59a・・・粗純窒素採取弁、60・・・液化酸素採取経路、60a・・・液化酸素採取弁、61・・・製品酸素採取経路、61a・・・製品酸素採取弁、62・・・中圧窒素採取経路、62a・・・中圧窒素採取弁、63・・・液化窒素導入経路、63a・・・液化窒素導入弁、64・・・オフガス導出経路、64a・・・オフガス導出弁、65・・・膨張タービン用経路、66・・・膨張後経路、100・・・空気液化分離装置、100a・・・従来の空気液化分離装置