(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156755
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】モータアンプ、端末装置、制御システム、設定プログラム、及び設定方法
(51)【国際特許分類】
H02P 31/00 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
H02P31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060599
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(72)【発明者】
【氏名】吉田 零
(72)【発明者】
【氏名】望月 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 永二
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501AA22
5H501JJ03
5H501JJ17
5H501JJ30
5H501KK06
5H501KK07
5H501LL07
5H501LL35
5H501MM09
(57)【要約】
【課題】設定中に意図しない動作が発生するのを抑制するモータアンプを提供する。
【解決手段】
モータアンプ1は、端末装置3に接続されてモータの制御用のパラメータを設定し、上位装置2との通信によりモータを制御する。すなわち、モータアンプ1は、端末装置3と上位装置2とが同時接続されることがある。通信部10は、上位装置2と通信を行う。状態送信部100は、通信部10にて上位装置2との通信中であるか否かの状態を示す状態情報200を端末装置3に送信する。設定実行部110は、接続された端末装置3からの指示によりパラメータを設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置に接続されてモータの制御用のパラメータを設定し、上位装置との通信により前記モータを制御するモータアンプであって、
前記上位装置と前記通信を行う通信部と、
前記通信部にて前記上位装置との通信中であるか否かの状態を示す状態情報を前記端末装置に送信する状態送信部と、
接続された前記端末装置からの指示により前記パラメータを設定する設定実行部とを備える
ことを特徴とするモータアンプ。
【請求項2】
前記設定実行部は、
前記通信部にて前記上位装置との通信中である場合、前記上位装置が書き込む可能性のある前記パラメータについて、前記端末装置からの設定を行わない
ことを特徴とする請求項1に記載のモータアンプ。
【請求項3】
設定を行わない前記パラメータは、制御におけるモード設定に関する前記パラメータ、及び内部指令に関する前記パラメータを含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータアンプ。
【請求項4】
上位装置の通信によりモータの回転を制御するモータアンプと接続される端末装置であって、
前記モータアンプから、前記上位装置との通信中であるか否かの状態を示す状態情報を取得する状態取得部と、
前記状態取得部により取得された前記状態情報に応じて、前記モータアンプの設定用のパラメータを表示する表示部と、
前記表示部に表示される前記パラメータの表示非表示又は入力可否が変更された際に、入力可能な前記パラメータについてのみ設定情報を取得し、前記モータアンプに設定するアンプ設定部とを備える
ことを特徴とする端末装置。
【請求項5】
前記状態情報が前記上位装置との通信中であることを示していた場合、前記上位装置が書き込む可能性のある前記パラメータを非表示にする、又は前記設定情報の入力が不可能であることを示す入力不可表示にする
ことを特徴とする請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
非表示にされる前記パラメータは、前記端末装置又は前記上位装置からの指令又は操作を行うモード設定の前記パラメータ、及び前記上位装置により変更される前記モータアンプの内部指令に関する前記パラメータを含む
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の端末装置。
【請求項7】
入力不可表示にされる前記パラメータは、設定時の利便性に応じて前記端末装置により現在設定値が参照される前記パラメータを含む
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の端末装置。
【請求項8】
上位装置と、該上位装置と接続されてモータの回転を制御するモータアンプと、前記モータアンプの設定を行う端末装置とを備える制御システムであって、
前記モータアンプは、
前記上位装置とネットワークによる通信を行う通信部と、
前記通信部にて前記上位装置との通信中であるか否かの状態を示す状態情報を前記端末装置に送信する状態送信部と、
前記端末装置からの指示を取得して設定を行う設定実行部とを備え、
前記端末装置は、
前記モータアンプから前記状態情報を取得する状態取得部と、
前記状態取得部により取得された前記状態情報に応じて、前記モータアンプの設定用のパラメータの表示非表示及び/又は入力可否を変更する表示部と、
前記表示部により変更された際に表示され、入力可能な前記パラメータについてのみ設定情報を取得し、該設定情報に基づいた指示を前記モータアンプに送信して設定させるアンプ設定部とを備える
ことを特徴とする制御システム。
【請求項9】
上位装置と接続されてモータの回転を制御するモータアンプの設定を行う端末装置により実行される設定プログラムであって、前記端末装置を、
前記モータアンプから前記上位装置との通信中であるか否かの状態を示す状態情報を取得させ、
取得された前記状態情報に応じて、前記モータアンプの設定用のパラメータの表示を変更させ、
変更された前記パラメータに応じて、入力が可能な設定情報のみを取得させ、
設定された前記設定情報に基づいた指示を前記モータアンプに送信して設定させる
ことを特徴とする設定プログラム。
【請求項10】
上位装置と接続されてモータの回転を制御するモータアンプの設定を行う端末装置により実行される設定方法であって、前記端末装置は、
前記モータアンプから前記上位装置との通信中であるか否かの状態を示す状態情報を取得し、
取得された前記状態情報に応じて、前記モータアンプの設定用のパラメータの表示を変更し、
変更された前記パラメータに応じて、入力が可能な設定情報のみを取得し、
設定された前記設定情報に基づいた指示を前記モータアンプに送信して設定させる
ことを特徴とする設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にモータの回転を制御するモータアンプ、当該モータアンプを設定する端末装置、制御システム、設定プログラム、及び設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、位置指令を送信するPLC(Programmable Logic Controller)等の上位装置と、モータの回転位置を取得するエンコーダと、このエンコーダに接続されたモータアンプを含む制御システムが存在する。
たとえば、特許文献1には、モータアンプにあたる制御装置を含む制御システムの一例が記載されている。
【0003】
このような制御システムでは、モータアンプの調整等の設定を行うための端末装置が接続されることがある。
ここで、上位装置と端末装置とが両方同時に接続された場合、従来のモータアンプでは、同一の設定用のパラメータに対して、それぞれが異なる値を書き換え可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の制御システムにおいて、同一のパラメータに対して、上位装置と端末装置とが同時接続され、それぞれ異なる値を書き換えると、意図しないモータアンプの動作が発生する可能性があった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、端末装置と上位装置とが同時接続されていても、意図しないモータアンプの動作の発生を抑制するモータアンプを提供し、上述の課題を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のモータアンプは、端末装置に接続されてモータの制御用のパラメータを設定し、上位装置との通信により前記モータを制御するモータアンプであって、前記上位装置と前記通信を行う通信部と、前記通信部にて前記上位装置との通信中であるか否かの状態を示す状態情報を前記端末装置に送信する状態送信部と、接続された前記端末装置からの指示により前記パラメータを設定する設定実行部とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、意図しない動作の発生を抑制することができる。
【0008】
本発明のモータアンプは、前記設定実行部は、前記通信部にて前記上位装置との通信中である場合、前記上位装置が書き込む可能性のある前記パラメータについて、前記端末装置からの設定を行わないことを特徴とする。
このように構成することで、意図しない動作の発生を抑制することができる。
【0009】
本発明のモータアンプは、設定を行わない前記パラメータは、制御におけるモード設定に関する前記パラメータ、及び内部指令に関する前記パラメータを含むことを特徴とする。
このように構成することで、意図しない動作の発生を確実に防ぐことができる。
【0010】
本発明の端末装置は、上位装置の通信によりモータの回転を制御するモータアンプと接続される端末装置であって、前記モータアンプから、前記上位装置との通信中であるか否かの状態を示す状態情報を取得する状態取得部と、前記状態取得部により取得された前記状態情報に応じて、前記モータアンプの設定用のパラメータを表示する表示部と、前記表示部に表示される前記パラメータの表示非表示又は入力可否が変更された際に、入力可能な前記パラメータについてのみ設定情報を取得し、前記モータアンプに設定するアンプ設定部とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、意図しないモータアンプの動作の発生を抑制することができる。
【0011】
本発明の端末装置は、前記状態情報が前記上位装置との通信中であることを示していた場合、前記上位装置が書き込む可能性のある前記パラメータを非表示にする、又は前記設定情報の入力が不可能であることを示す入力不可表示にすることを特徴とする。
このように構成することで、動的に、ユーザーによるパラメータの変更が行われないようにすることができる。
【0012】
本発明の端末装置は、非表示にされる前記パラメータは、前記端末装置又は前記上位装置からの指令又は操作を行うモード設定の前記パラメータ、及び前記上位装置により変更される前記モータアンプの内部指令に関する前記パラメータを含むことを特徴とする。
このように構成することで、ユーザーが閲覧できても混乱させるだけのパラメータを非表示とすることができる。
【0013】
本発明の端末装置は、入力不可表示にされる前記パラメータは、設定時の利便性に応じて前記端末装置により現在設定値が参照される前記パラメータを含むことを特徴とする。
このように構成することで、ユーザーの利便性を向上させ、ストレスを軽減することができる。
【0014】
本発明の制御システムは、上位装置と、該上位装置と接続されてモータの回転を制御するモータアンプと、前記モータアンプの設定を行う端末装置とを備える制御システムであって、前記モータアンプは、前記上位装置とネットワークによる通信を行う通信部と、前記通信部にて前記上位装置との通信中であるか否かの状態を示す状態情報を前記端末装置に送信する状態送信部と、前記端末装置からの指示を取得して設定を行う設定実行部とを備え、前記端末装置は、前記モータアンプから前記状態情報を取得する状態取得部と、前記状態取得部により取得された前記状態情報に応じて、前記モータアンプの設定用のパラメータの表示非表示及び/又は入力可否を変更する表示部と、前記表示部により変更された際に表示され、入力可能な前記パラメータについてのみ設定情報を取得し、該設定情報に基づいた指示を前記モータアンプに送信して設定させるアンプ設定部とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、意図しないモータアンプの動作の発生を抑制することができる。
【0015】
本発明の設定プログラムは、上位装置と接続されてモータの回転を制御するモータアンプの設定を行う端末装置により実行される設定プログラムであって、前記端末装置を、前記モータアンプから前記上位装置との通信中であるか否かの状態を示す状態情報を取得させ、取得された前記状態情報に応じて、前記モータアンプの設定用のパラメータの表示を変更させ、変更された前記パラメータに応じて、入力が可能な設定情報のみを取得させ、設定された前記設定情報に基づいた指示を前記モータアンプに送信して設定させることを特徴とする。
このように構成することで、意図しないモータアンプの動作の発生を抑制することができる。
【0016】
本発明の設定方法は、上位装置と接続されてモータの回転を制御するモータアンプの設定を行う端末装置により実行される設定方法であって、前記端末装置は、前記モータアンプから前記上位装置との通信中であるか否かの状態を示す状態情報を取得し、取得された前記状態情報に応じて、前記モータアンプの設定用のパラメータの表示を変更し、変更された前記パラメータに応じて、入力が可能な設定情報のみを取得し、設定された前記設定情報に基づいた指示を前記モータアンプに送信して設定させることを特徴とする。
このように構成することで、意図しないモータアンプの動作の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上位装置との通信中であるか否かの状態を示す状態情報を端末装置に送信し、これに応じて端末装置からの指示によりモータの制御用のパラメータを設定することで、意図しないモータアンプの動作の発生を抑制するモータアンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係る制御システムのシステム構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るモータアンプ設定処理のフローチャートである。
【
図3】本発明のモータアンプ設定処理の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施の形態>
〔制御システムXの構成〕
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る制御システムXの構成について説明する。
本実施形態に係る制御システムXは、上位装置2からの指令でモータ4を制御し、接続された端末装置3によりモータアンプ1の設定を行うことが可能な制御システムの一例である。
制御システムXは、モータアンプ1、上位装置2、端末装置3、モータ4、及びエンコーダ5を含んで構成される。
【0020】
モータアンプ1は、上位装置2とエンコーダ5とに接続された、制御用デバイスである。本実施形態においては、モータアンプ1は、上位装置2と通信し、上位装置2から送信される各種の指令に基づいてモータ4を駆動制御する。一方、モータアンプ1は、端末装置3に接続されてモータの制御用のパラメータを設定する。すなわち、本実施形態において、モータアンプ1は、端末装置3と上位装置2とが同時接続されることがある。
【0021】
本実施形態において、モータアンプ1と上位装置2との間は、例えば、EtherCAT等のフィールドネットワークで接続されている。一方、モータアンプ1とエンコーダ5との間は、例えば、専用線やシリアル通信線等で接続され、モータ4をサーボ駆動する電力も供給される。この電力は、エンコーダ5を介して、又は、直接、モータ4に供給される。さらに、モータアンプ1は、モータ4のモータ制御の電流フィードバック値を用いて、シャフトSのトルクを示すトルク値を算出することも可能である。加えて、モータアンプ1は、エンコーダ5から温度等の情報を取得することも可能である。さらに、モータアンプ1は、上位装置2からのデータリクエストに応答することも可能であってもよい。
また、本実施形態において、モータアンプ1と端末装置3との間は、USB(Universal Serial Bus)等の接続端子を介した直接接続で接続される。
【0022】
上位装置2は、指令を送信するクライアント(顧客)用の機器である。上位装置2は、例えば、マイクロコントローラを備えた各種機器のPLCやロジックボード等である。
具体的には、上位装置2は、モータ4を制御するための制御信号を、指令としてモータアンプ1に送信する。この指令の送信の周期、一度に送信するデータ量等は、フィールドネットワークの構成や上位装置2の構成等に応じて、任意(可変)である。加えて、上位装置2は、指令がなくても、周期的な通信を行っていてもよい。
また、上位装置2は、検出されたモータ4の位置データ、トルク値、その他のデータをモータアンプ1から取得することも可能である。
【0023】
端末装置3は、モータアンプ1と接続され、モータアンプ1を設定することが可能な端末である。本実施形態において、端末装置3は、PC(Personal Computer)、タブレット端末、スマートフォン、専用端末等である。本実施形態においては、端末装置3とモータアンプ1との間は、USB等で接続される例について説明する。
端末装置3は、サービスパーソンや工場のメンテナンスパーソンや管理者等のユーザーの指示を取得し、モータアンプ1によるモータ4のPI(Proportional-Integral)制御のパラメータの設定を含む各種設定を行うことが可能である。
【0024】
モータ4は、モータアンプ1からの制御信号により、回転出力軸であるシャフトSを、回転軸Aを中心軸として回転させる。
モータ4は、ロータ(rotor)、ベアリング(bearing)、ステータ(stator)、ブラケット(bracket)等を備える一般的なサーボモータ等である。
【0025】
エンコーダ5は、モータ4の回転位置を取得するデバイスである。本実施形態では、エンコーダ5は、モータ4の回転軸Aに係るシャフトSの回転位置の位置データを検出し、角度情報としてモータアンプ1に送信する。このため、エンコーダ5は、例えば、磁気式や光学式の角度検出機構と、MPU(Micro Processing Unit、マイクロコントローラ)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の制御演算手段と、角度情報や一時データを保持するRAM(Random Access Memory)、制御プログラム(図示せず)を記録したROM(Read Only Memory)等の一時的でない記録媒体を含んでいる。このRAMやROMは、例えば、バッテリーバックアップ付きSRAMやReRAMやMRAMやフラッシュメモリー等の不揮発性記録媒体を含んでいてもよい。また、エンコーダ5は、モータ4やエンコーダ5自身の温度を測定する温度センサ等も備えていてもよい。この上で、エンコーダ5は、この温度センサ、バッテリーの電圧センサ等の信号について、位置データとは別のデータとして送信可能であってもよい。
【0026】
より詳しく説明すると、本実施形態においては、モータアンプ1は、通信部10及びアンプ制御部20を備えている。
【0027】
通信部10は、フィールドネットワークの通信を受信し、上位装置2からモータアンプ1宛の指令を取得して、アンプ制御部20に送信する通信手段である。
通信部10は、例えば、フィールドネットワークの通信用の回路(物理層)とを含んでいる。
【0028】
アンプ制御部20は、通信部10から取得した指令に基づいてモータ4をサーボ駆動させ、シャフトSの位置を制御する。アンプ制御部20は、MPU、DSP、ASIC等の制御演算手段を含む。
本実施形態において、アンプ制御部20は、制御モードに応じて、エンコーダ5から取得した角度情報やその他の各種センサの情報、トルク値等も参照して、モータ4の制御を行うことが可能である。
加えて、アンプ制御部20は、RAMやROM等の一時的でない記録媒体を含んでいる。このアンプ制御部20の記録媒体には、モータアンプ1の制御プログラム(図示せず)、及び後述する状態情報200及びパラメータ群210を含む各種データが格納されている。
【0029】
本実施形態においては、端末装置3は、端末制御部30、記憶部40、I/F部50、入力部60、及び表示部70を備えている。
【0030】
端末制御部30は、端末装置3の全体の制御を行い、モータアンプ1と接続される制御演算手段である。端末制御部30は、MPU、DSP、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC等の制御演算手段を含む。
【0031】
記憶部40は、端末装置3によりモータアンプ1の設定を行うためのプログラムが格納され、展開される主記憶手段及び補助記憶手段である。記憶部40は、RAMやROM等の一時的でない記録媒体を含む。
本実施形態において、記憶部40には、OS(Operating System)、モータアンプ1のデバイスドライバ(Device Driver)、ミドルウェア、後述する設定プログラム400を含む各種アプリケーションソフトウェア(Application Software、以下、単に「アプリ」という。)、及び各種データが格納される。
または、端末制御部30と記憶部40とが一体的に構成されていてもよい。
【0032】
I/F部50は、制御部と他のデバイスとを接続するためのインターフェイス(Interface、I/F)を含む接続手段である。I/F部50は、CPU専用バスインターフェイス、PCI-Express(登録商標)等のバスインターフェイス、周辺機器用の各種USBインターフェイス、近接無線インターフェイス、RS-232Cインターフェイス、LAN(Local Area Network)インターフェイス、無線LANインターフェイス等と、これらの物理層の回路等を含む。
本実施形態において、I/F部50は、USB接続により、モータアンプ1と直接接続し、所定のプロトコルで通信可能である。
【0033】
入力部60は、ユーザーが設定情報を入力する入力手段である。
本実施形態において、入力部60は、キーボード、マウスやタッチパッドやデジタイザ等のポインティングデバイス、スイッチやボタン、スライドレバー、スティック入力機器、画像入力デバイス(カメラ)、近距離レーダー、ジェスチャ入力機器、コンソール端末等を含む。
【0034】
表示部70は、ユーザーが閲覧可能なGUI(Graphical User Interface)又はCUI(Character User Interface)の表示手段である。
本実施形態において、表示部70は、液晶、有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)、プロジェクター、HMD(Head-Mounted Display)、コンソール端末等を含む。
ここで、入力部60と表示部70とは、タッチパネル付きディスプレイのように一体的に形成されていてもよい。
【0035】
〔モータアンプ1及び端末装置3の機能構成〕
次に、モータアンプ1及び端末装置3の機能的な構成について説明する。
まず、モータアンプ1の機能構成について説明する。
モータアンプ1のアンプ制御部20は、状態送信部100、及び設定実行部110を備える。
アンプ制御部20の記録媒体は、状態情報200、及びパラメータ群210を格納する。
【0036】
本実施形態において、通信部10は、上位装置2とファクトリーネットワーク等での通信を行い、各種指令に応答する。
【0037】
状態送信部100は、状態情報200を端末装置3に送信する。本実施形態において、状態送信部100は、端末装置3の状態取得部300からのUSB接続によるリクエストにより、上位装置2と通信中であっても、状態情報200を別スレッド等で送信可能であってもよい。
ここで、本実施形態における通信中の状態は、ファクトリーネットワークで上位装置2とモータアンプ1との通信が確立し、指令(コマンド)及びデータを送受信可能な状態を示す。なお、
図1、
図2において、一点鎖線の矢印にて、情報の流れ(移動)を示す。
【0038】
設定実行部110は、接続された端末装置3からの指示によりモータの制御用のパラメータを設定する。ここで、本実施形態において、設定実行部110は、通信部10にて上位装置2との通信中である場合、上位装置2が書き込む可能性のあるパラメータについて、端末装置3からの設定を行わない。この設定を行わないパラメータは、モード設定のパラメータ、及び内部指令に関するパラメータを含む。
【0039】
状態情報200は、通信部10にて上位装置2との通信中であるか否かの状態を示すフラグ等の情報である。加えて、状態情報200は、パラメータ群210のパラメータのID(Identification)や種類毎に、書き込み可能であるか否かを示す情報も含んでいてもよい。
【0040】
パラメータ群210は、モータ4の制御用のパラメータのデータを含むデータベースである。本実施形態において、パラメータ群210は、パラメータ毎にIDと種類等の属性が設定される。加えて、パラメータ群210の各パラメータは、制御用に用いられる値(制御値)だけでなく、文字列やその他のデータも含んでいてもよい。
具体的には、このパラメータの種類としては、モータアンプ1の制御におけるモード設定に関するパラメータ、モータ制御設定に関するパラメータ、及び内部指令に関するパラメータを含む。
【0041】
このうち、モード設定に関するパラメータは、例えば、モータアンプ1の制御モード、指令モード、操作モードのパラメータを含む。このうち、制御モードは、モータアンプ1のモータ4の制御を、位置制御モード、速度制御モード、又はトルク制御モード等に設定するパラメータである。指令モードは、上位装置2からの指令及び内部指令のいずれでモータ4が制御されるかを示すパラメータである。操作モードは、USB及びファクトリーネットワークの指示のいずれでモータ4が制御されているか設定が行われるかを示すパラメータである。
【0042】
制御設定に関するパラメータは、PI制御の調整用の各種パラメータである。この調整用の各種パラメータは、例えば、位置偏差異常の検出用のパラメータ、トルク指令の制限、使用の切り替え、出力条件、及びリミット値に関するパラメータ、速度指令の制限値に関するパラメータを含む。
【0043】
内部指令に関するパラメータは、内部位置指令の指定方法の変更、原点復帰や基準信号、エンコーダ5の基準設定や値の取得に関するパラメータ等を含む。
【0044】
次に、端末装置3の機能的構成について説明する。
端末制御部30は、状態取得部300、及びアンプ設定部310を備える。
記憶部40は、設定プログラム400を格納する。
【0045】
端末制御部30の状態取得部300は、モータアンプ1から、状態情報200を取得する。本実施形態において、状態取得部300は、USB接続により、モータアンプ1の状態送信部100から送信された状態情報200を取得し、記憶部40に格納する。
【0046】
アンプ設定部310は、表示部70に表示されるパラメータの表示非表示又は入力可否が変更された際に、入力可能なパラメータについてのみ設定情報を取得し、設定情報に基づいた指示をモータアンプ1に送信して、モータアンプ1を設定させる。
アンプ設定部310は、状態情報200が上位装置2との通信中であることを示していた場合、上位装置2が書き込む可能性のあるパラメータを表示部70で非表示にすることが可能である。ここで、非表示にされるパラメータは、端末装置3又は上位装置2からの指令又は操作を行うモード設定のパラメータ、及び上位装置2により変更されるモータアンプ1の内部指令に関するパラメータを含む。
または、アンプ設定部310は、状態情報200が、上位装置2とモータアンプ1とが通信中であることを示していた場合、表示部70に表示される設定欄やボタン等について、設定情報の入力が不可能であることを示す入力不可表示にすることも可能である。この入力不可表示にされるパラメータは、設定時の利便性に応じて端末装置3により現在設定値が参照されるパラメータを含む。
【0047】
設定プログラム400は、本実施形態に係る端末装置3によりモータアンプ1の設定を行うためのアプリの一例である。
設定プログラム400は、外部記録媒体や外部のサーバー等からダウンロードされ、インストールされてもよい。
【0048】
また、本実施形態において、表示部70は、状態取得部300により取得された状態情報200に応じて、モータアンプ1の設定用のパラメータを表示する。本実施形態においては、表示部70は、設定プログラム400が実行された際のGUIとして、各パラメータをリスト形式(以下、「パラメータリスト」という。)で表示する。
【0049】
ここで、アンプ制御部20は、内蔵する記録媒体に格納された制御プログラムを実行することで、状態送信部100及び設定実行部110として機能させられる。
端末制御部30は、記憶部40の補助記憶部40に格納された設定プログラム400を主記憶部40に展開して実行することで、状態取得部300及びアンプ設定部310として機能させられる。
加えて、上述のモータアンプ1及び端末装置3の各部は、本実施形態に係る設定方法を実行するハードウェア資源となる。
さらに、上述の機能構成の一部又は任意の組み合わせをICやプログラマブルロジックやFPGA(Field-Programmable Gate Array)等でハードウェア的、回路的に構成してもよい。
【0050】
〔モータアンプ設定処理〕
次に、
図2及び
図3により、本発明の実施の形態に係るモータアンプ設定処理の説明を行う。
本実施形態に係るモータアンプ設定処理では、モータアンプ1により、状態情報200を端末装置3に送信する。端末装置3は、この状態情報200を取得し、モータアンプ1の設定用のパラメータの表示を変更する。そして、端末装置3は、変更されたパラメータに応じて、入力が可能な設定情報のみを取得し、モータアンプ1に指示を送信する。端末装置3は、設定された設定情報に基づいた指示をモータアンプ1に送信する。モータアンプ1は、接続された端末装置3からの指示によりパラメータを設定する。
本実施形態のモータアンプ設定処理は、端末装置3の端末制御部30が、記憶部40に格納された設定プログラム400を、各部と協働し、ハードウェア資源を用いて実行する。また、これと連動して、モータアンプ1の通信部10及びアンプ制御部20が、内蔵する記憶媒体に記憶された制御プログラム(図示せず)を、各部と協働し、ハードウェア資源を用いて実行する。
以下で、
図3のフローチャートにより、本実施形態に係るモータアンプ設定処理の詳細をステップ毎に説明する。
【0051】
(ステップS101)
まず、モータアンプ1の通信部10が、上位装置2と通信中か否かを判定する。通信部10は、ファクトリーネットワークで上位装置2と通信中の場合、Yesと判定する。通信部10は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、通信部10は、処理をステップS102に進める。
Noの場合、通信部10は、処理をステップS103に進める。
【0052】
(ステップS102)
上位装置2との通信中の場合、通信部10が、通信中設定処理を行う。
通信部10は、ファクトリーネットワークで上位装置2と通信中であることを、アンプ制御部20の状態情報200に設定する。本実施形態においては、例えば、通信部10が、直接、DMA(Direct Memory Access)等によりアンプ制御部20の記録媒体にアクセスし、状態情報200のフラグ等を設定してもよい。または、通信部10がアンプ制御部20に信号線やコマンド(指示)等で通知し、これを検知したアンプ制御部20の状態送信部100が、状態情報200に書き込んでもよい。
【0053】
(ステップS103)
次に、状態送信部100が、状態送信処理を行う。
状態送信部100は、状態情報200を端末装置3に送信する。本実施形態においては、状態送信部100は、USBでの接続を確立した状態で、端末装置33からの状態情報200の送信を要求する指示を取得した場合、状態情報200を端末装置3に送信する。この際、状態送信部100は、パラメータ群210を参照して、設定可能なパラメータの一覧についても送信してもよい。
【0054】
(ステップS201)
ここで、端末装置3の状態取得部300が、状態取得処理を行う。
まず、本実施形態においては、例えば、状態取得部300は、設定プログラム400のアプリが起動され実行されると、USBでモータアンプ1と接続する。
接続確立後、状態取得部300は、設定プログラム400のGUIの画面を表示部70に表示させ、ユーザーの入力部60による指示を取得開始する。
【0055】
図4(a)の画面例500は、画面上の「パラメータ」のタブが押下され、モータアンプ1のパラメータ変更画面にて、パラメータリストが表示部70に表示された例を示している。本実施形態において、このパラメータ変更画面は、設定値を入力可能(動的)なGUIを含んでいる。この画面例500では、後述する表示変更がされておらず、設定可能な全てのパラメータが表示されている状態を示す。
【0056】
ここで、状態取得部300は、実時間(リアルタイム)で、モータアンプ1に状態情報200の送信を要求する指示をモータアンプ1へ送信する。状態取得部300は、モータアンプ1の状態送信部100から送信された状態情報200を取得し、記憶部40に格納する。この取得は、例えば、数ミリ秒~数秒のような所定間隔で周期的に行われてもよい。
【0057】
(ステップS202)
次に、状態取得部300が、モータアンプ1は上位装置2と通信中か否かを判定する。
状態取得部300は、記憶部40に格納された状態情報200を解析し、モータアンプ1が上位装置2と通信中の場合に、Yesと判定する。状態取得部300は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、状態取得部300は、処理をステップS203に進める。
Noの場合、状態取得部300は、処理をステップS204に進める。
【0058】
(ステップS203)
モータアンプ1が上位装置2と通信中の場合、アンプ設定部310が、表示変更処理を行う。
アンプ設定部310は、状態取得部300により取得された状態情報200に応じて、表示部70に表示されるパラメータの表示を変更(表示変更)する。本実施形態においては、アンプ設定部310は、上位装置2が書き込む可能性のあるパラメータを非表示にする、又は設定情報の入力が不可能である入力不可表示にする。
【0059】
より具体的には、アンプ設定部310は、例えば、指令モード並びに操作モードのパラメータ、及び内部指令に関するパラメータを非表示にする。これらは、たとえ端末装置3から変更したとしても、上位装置2と通信中の場合は、上位装置2から実時間(リアルタイム)で変更される可能性があり、閲覧させるとユーザーを混乱させるおそれのあるパラメータである。
図4(b)の画面例501では、
図4(a)の画面例500における「指令モード」のパラメータを示す欄Dを非表示としている。
【0060】
加えて、アンプ設定部310は、設定時の利便性に応じて端末装置3により現在設定値が参照されるパラメータについては、設定情報の入力(書き込み、設定)が不可能である入力不可表示にする。すなわち、アンプ設定部310は、ユーザーが設定時に閲覧可能であった方がユーザーの利便性を高められ得るパラメータについては、入力不可表示とした上で、パラメータの値は表示された状態にする。この入力不可表示は、例えば、ボタンを押下しても変化しないグレーアウト表示、設定値の入力が無効となる無効表示等を含む。
【0061】
具体的には、入力不可表示にされるパラメータは、例えば、制御モード、位置偏差異常の検出、位置偏差異常の検出用のパラメータ、トルク指令の制限、使用の切り替え、出力条件、及びリミット値に関するパラメータ、速度指令の制限値に関するパラメータを含む。
図4(b)の画面例501では、制御モードのパラメータが、変更を「無効」として、入力不可表示に表示変更されている。
【0062】
また、ユーザーがモータアンプ1のパラメータを一時的に設定して、テスト動作させることがある。この場合、モータアンプ1に対して一時的に設定値を設定できればよく、不揮発性記録媒体に値を保存する必要はない。しかし、パラメータの不揮発性記録媒体への「書き込み」ボタンが有効となっていると、この一時的なパラメータが保存されてしまったり、上位装置2が変更した値が保存されてしまったりする可能性がある。これにより、その後の上位装置2との通信時、又は次回起動時に不都合が生じるおそれがある。
このため、
図4(b)の画面例501では、アンプ設定部310は、上位装置2との通信中に、「書き込み」ボタンBをグレーアウトし、入力不可表示としている。
【0063】
このような状況の詳細について、「トルク指令の制限」のパラメータを例として説明する。このパラメータは、モータアンプ1の出力トルクを制限するために用いられる。
上位装置2との通信中、上位装置2は、ファクトリーネットワークの「ObjectのMaxTorque(6072h)」に値を設定することでトルク指令の制限のパラメータを変更可能である。ここで、ファクトリーネットワーク通信の特性上、トルク指令の制限のパラメータは、リアルタイムに設定値が変更される。
このため、端末装置3からパラメータを変更できると、リアルタイムに変更されている時点での設定値がモータアンプ1の不揮発性記録媒体に書き込まれる。すなわち、次回起動時に、書き込まれたトルク指令の制限の設定値が用いられてしまい、この場合、書き込まれたトルク制限値はユーザーの意図しない値となってしまっている可能性がある。
このため、上述の画面例501のボタンBのように、書き込みボタンBをグレーアウト表示して、指示自体をできなくするようにすることで意図しないモータアンプ1の動作の発生を抑制しつつ、ユーザーの利便性を向上させ、ストレスを軽減することができる。
【0064】
(ステップS204)
ここで、アンプ設定部310が、設定取得処理を行う。
アンプ設定部310は、パラメータ変更画面から、ユーザーにより設定された設定情報を取得する。この際、アンプ設定部310は、入力可能なパラメータについてのみ設定情報を取得する。本実施形態においては、例えば、アンプ設定部310は、GUIの画面上でボタンや表示欄が表示され、入力不可表示されていない箇所についてのユーザーの指示、入力された設定情報を取得する。
すなわち、上述の
図4の画面例500、画面例501の例では、アンプ設定部310は、ボタンB、欄C、Dについての指示や設定情報を取得しない。
【0065】
(ステップS205)
次に、アンプ設定部310が、アンプ設定処理を行う。
アンプ設定部310は、取得された設定情報に基づいた指示を前記モータアンプ1に送信して、モータアンプ1に設定させる。
本実施形態において、具体的には、アンプ設定部310は、USBの所定のプロトコルにて、設定情報に基づいてパラメータを変更する指示を送信する。
【0066】
(ステップS104)
ここで、モータアンプ1の設定実行部110が、指示取得処理を行う。
本実施形態において、設定実行部110は、USB接続を介して、端末装置3からの指示を取得する。
【0067】
(ステップS105)
次に、設定実行部110が、上位装置2と通信中で、上位装置2により変更される可能性のあるパラメータについての指示であったか否かを判定する。設定実行部110は、上位装置2と通信中であり、取得した指示が、上位装置2により書き込まれる(変更される)可能性のあるパラメータに関する指示であった場合に、Yesと判定する。設定実行部110は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、設定実行部110は、本実施形態に係るモータアンプ設定処理を終了する。これにより、上位装置2が書き込む可能性のあるパラメータについて、端末装置3からの設定を行わないようにすることができる。
Noの場合、設定実行部110は、処理をステップS106に進める。
【0068】
(ステップS106)
の場合、設定実行部110が、設定実行処理を行う。
設定実行部110は、指示に含まれる設定値等に基づいて、パラメータ群210の対応するパラメータを変更する。
変更後、設定実行部110は、この変更されたパラメータを端末装置3へUSBで送信してもよい。
以上により、本発明の実施の形態に係るモータアンプ設定処理を終了する。
【0069】
〔本実施形態の主な効果〕
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
従来は、モータアンプ1に対して、端末装置3と上位装置2とがそれぞれ接続した場合は、同一パラメータに対してそれぞれ異なる値を書き換え可能で、それにより意図しないアンプ動作となる不具合が発生するおそれがあった。
【0070】
これに対して、本発明の実施の形態に係るモータアンプ1は、端末装置3に接続されてモータの制御用のパラメータを設定し、上位装置2との通信によりモータ4を制御するモータアンプ1であって、上位装置2と通信を行う通信部10と、通信部10にて上位装置2との通信中であるか否かの状態を示す状態情報200を端末装置3に送信する状態送信部100と、接続された端末装置3からの指示によりパラメータを設定する設定実行部110とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、端末装置3と上位装置2とが同時接続されていても、意図しないモータアンプ1の動作の発生を抑制することができる。すなわち、モータアンプ1と上位装置2が通信状態に合わせて、端末装置3からパラメータの設定の制限を行うことで、同一パラメータを上位装置2と端末装置3とが設定することによるモータアンプ1の動作不良をなくすことができる。
【0071】
本発明の実施の形態に係るモータアンプ1において、設定実行部110は、通信部10にて上位装置2との通信中である場合、上位装置2が書き込む可能性のあるパラメータについて、端末装置3からの設定を行わないことを特徴とする。
このように構成することで、端末装置3の設定プログラム400の不具合や僅かなタイミングの差で、上位装置2から書き込まれる可能性があるパラメータの変更の指示を端末装置3から取得しても、設定を行わないようにすることができる。これにより、意図しないモータアンプ1の動作を防ぐことができる。
【0072】
本発明の実施の形態に係るモータアンプ1において、設定を行わないパラメータは、モード設定のパラメータ、及び内部指令に関するパラメータを含むことを特徴とする。
このように構成することで、通信中に上位装置2から変更される可能性のあるモード設定のパラメータ、内部指令のパラメータについて、の端末装置3からの設定を行わないようにすることができる。これにより、意図しないモータアンプ1の動作を確実に防ぐことが可能となる。
【0073】
本発明の実施の形態に係る端末装置3は、上位装置2の通信によりモータの回転を制御するモータアンプ1と接続される端末装置3であって、モータアンプ1から、上位装置2との通信中であるか否かの状態を示す状態情報200を取得する状態取得部300と、状態取得部300により取得された状態情報200に応じて、モータアンプ1の設定用のパラメータを表示する表示部70と、表示部70に表示されるパラメータの表示非表示又は入力可否が変更された際に、入力可能なパラメータについてのみ設定情報を取得し、モータアンプ1に設定するアンプ設定部310とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、端末装置3と上位装置2とがモータアンプ1に同時接続されていても、意図しないモータアンプ1の動作の発生を抑制することができる。加えて、ユーザーに対して、表示しなくてよいパラメータを非表示にしたり、閲覧させた方が良いパラメータを表示のみで入力不可としたりして、ユーザーの利便性を高めることができる。
【0074】
加えて、本実施形態に係る設定プログラム400は、設定時のタブ切り替え等でパラメータリストを表示し、動的なGUIとしてモータアンプ1の設定用のパラメータを変更可能とすることで、ユーザーの設定に係るストレスを軽減することも可能である。
【0075】
本発明の実施の形態に係る端末装置3は、状態情報200が上位装置2との通信中であることを示していた場合、上位装置2が書き込む可能性のあるパラメータを非表示にする、又は設定情報の入力が不可能であることを示す入力不可表示にすることを特徴とする。
このように構成することで、特に上位装置2とモータアンプ1との通信中である場合に表示変更を行って、動的に、ユーザーによるパラメータの変更が行われないようにすることができる。さらに、表示変更により、上位装置2が通信中であることをユーザーに示して、ユーザーの注意を惹起することも可能である。これにより、確実に、意図しないモータアンプ1の動作の発生を抑制することができる。
【0076】
本発明の実施の形態に係る端末装置3において、非表示にされるパラメータは、端末装置3又は上位装置2からの指令又は操作を行うモード設定のパラメータ、及び上位装置2により変更されるモータアンプ1の内部指令に関するパラメータを含むことを特徴とする。
このように構成することで、上位装置2の指令による実時間での変更が予想され、パラメータの設定時にユーザーが閲覧できても混乱させるだけのパラメータを非表示とすることができる。よって、意図しないモータアンプ1の動作の発生を抑制しつつ、ユーザーの操作性を向上させ、ストレスを軽減することができる。
【0077】
本発明の実施の形態に係る端末装置3において、入力不可表示にされるパラメータは、設定時の利便性に応じて端末装置3により現在設定値が参照されるパラメータを含むことを特徴とする。
このように構成することで、パラメータの設定時にユーザーにより参照可能であった方が利便性を高められ、ユーザーの手助けになるようなパラメータは、入力不可とした上で参照させることができる。これにより、意図しないモータアンプ1の動作の発生を抑制しつつ、ユーザーの利便性を向上させ、ストレスを軽減することができる。
【0078】
〔他の実施の形態〕
なお、上述の実施形態においては、モータアンプ1の設定実行部110が、上位装置2との通信中である場合、上位装置2が書き込む可能性のあるパラメータであるかを判断して、端末装置3からの設定を行わないように記載した。
しかしながら、モータアンプ1の設定実行部110は、この判断を行わないようにして、端末装置3のみで判断するような構成も可能である。具体的には、
図2のステップS105における判断を行わなくてもよい。
このように構成することで、モータアンプ1の処理負荷を抑えることができる。また、従来のモータアンプ1の制御プログラムの変更を少なくすることができ、開発リソースを削減できる。
【0079】
上述の実施形態においては、USBにより端末装置3とモータアンプ1とが接続されてパラメータの設定を行う例について説明した。
しかしながら、端末装置3とモータアンプ1との間が、Bluetooth(登録商標)、Wi-fi、産業用無線ネットワーク、ファクトリーネットワークやそれ以外のLANで接続されてもよい。この場合も、端末装置3と上位装置2とがモータアンプ1に両方接続されていてもよい。
このように構成することで、USBで直接接続しなくても、端末装置3によりパラメータの設定を行うことが可能となり、柔軟な設定に対応可能となる。特に、Bluetooth(登録商標)により、無線接続でパラメータの設定が可能であり、ユーザーの手間を削減することができる。
また、端末装置3とモータアンプ1との間は、RS-232C等によるコンソールでの設定を行うことが可能であってもよい。この場合も、上位装置2との通信中に、パラメータの設定の制限を行ってもよい。
【0080】
上述の実施形態においては、端末装置3に入力部60と表示部70とが内蔵されているように記載した。
しかしながら、端末は一体型ではなく、入力部60と表示部70とが別途接続されるコンピュータのような構成であってもよい。または、I/F部50が別途、インターフェイスボックス、インターフェイスカードのような形式で提供されてもよい。
このように構成することで、柔軟な構成に対応可能となる。
【0081】
上述の実施形態においては、端末装置3が設定プログラム400を格納し、モータアンプ1の設定を端末装置3の端末制御部30により実行する例について記載した。
しかしながら、モータアンプ1が端末装置3の設定プログラム400により実現される機能を備えるような構成であってもよい。たとえば、モータアンプ1のアンプ制御部20又は設定用制御部等の制御演算手段が、ウェブサーバーやCGI(Common Gateway Interface)等に基づいた設定プログラム400を実行し、端末装置3はウェブブラウザーからアクセスして設定可能とするような構成でもよい。さらに、モータアンプ1に入力部60や表示部70を直接接続して、端末装置3を用いずにモータアンプ1の設定をすることが可能であってもよい。
このように構成することで、一般的なPCやスマートフォン等からモータアンプ1の設定を行うことが可能となる。すなわち、制御装置に、デバイスドライバや制御プログラムを別途インストールしなくてもよくなり、ユーザーの利便性を高めることができる。
【0082】
また、上述の実施形態においては、上位装置2がPLC等である例について説明した。
しかしながら、ファクトリーネットワークに接続された他のモータアンプ1やセンサ等が上位装置2であってもよい。
【0083】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0084】
1 モータアンプ
2 上位装置
3 端末装置
4 モータ
5 エンコーダ
10 通信部
20 アンプ制御部
30 端末制御部
40 記憶部
50 I/F部
60 入力部
70 表示部
100 状態送信部
110 設定実行部
200 状態情報
210 パラメータ群
300 状態取得部
310 アンプ設定部
400 設定プログラム
500、501 画面例
A 軸
B ボタン
C、D 欄
S シャフト
X 制御システム