(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156762
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】シースヒータ及びそれを有する基板支持装置
(51)【国際特許分類】
H05B 3/48 20060101AFI20221006BHJP
H05B 3/10 20060101ALI20221006BHJP
H05B 3/12 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H05B3/48
H05B3/10 A
H05B3/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060610
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】木田 直哉
(72)【発明者】
【氏名】二口谷 淳
(72)【発明者】
【氏名】藤野 大輔
(72)【発明者】
【氏名】谷 祐樹
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP20
3K092QA02
3K092QB02
3K092QB03
3K092QB25
3K092QB44
3K092TT01
3K092VV28
(57)【要約】
【課題】信頼性を向上させたシースヒータを提供する。または、信頼性を向上させたシースヒータを有する基板支持装置を提供する。
【解決手段】本発明のシースヒータは、第1の金属線と、第1の金属線の第1の端部に接続する第1の端子と、第1の端子に接続し、第2の金属線に接続する第1の導電性可撓性部材と、第1の金属線の第2の端部に接続する第2の端子と、第2の端子に接続し、第3の金属線に接続する第2の導電性可撓性部材と、を備え、第1の導電性可撓性部材と第2の導電性可撓性部材とは隣接して配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属線と、
前記第1の金属線の第1の端部に接続する第1の端子と、前記第1の端子に接続し、第2の金属線に接続する第1の導電性可撓性部材と、
前記第1の金属線の第2の端部に接続する第2の端子と、前記第2の端子に接続し、第3の金属線に接続する第2の導電性可撓性部材と、を備え、
前記第1の導電性可撓性部材と前記第2の導電性可撓性部材とは隣接して配置される、シースヒータ。
【請求項2】
前記第1の導電性可撓性部材及び前記第2の導電性可撓性部材は、金属コイル、撚線及び平編線から選択される、請求項1に記載のシースヒータ。
【請求項3】
前記シースヒータは、屈曲部を有する形状を有し、
前記第1の導電性可撓性部材と前記第2の導電性可撓性部材とは、前記屈曲部に配置される、請求項1又は2に記載のシースヒータ。
【請求項4】
導電性可撓性部材は金属コイルであり、
前記屈曲部において、第2の金属コイルのピッチは、第1の金属コイルのピッチよりも大きい、請求項3に記載のシースヒータ。
【請求項5】
前記シースヒータは、前記屈曲部を2箇所以上有する、請求項3又は4に記載のシースヒータ。
【請求項6】
前記シースヒータは、前記第1の金属線、前記第1の端子、前記第2の金属線、前記第1の導電性可撓性部材、前記第2の端子、前記第3の金属線、及び前記第2の導電性可撓性部材を覆う金属シースをさらに備え、
前記屈曲部の曲率半径は、前記金属シースの直径の2倍以上である、請求項3乃至5の何れか一に記載のシースヒータ。
【請求項7】
前記金属シースに充填された絶縁材粒子をさらに備え、
前記絶縁材粒子は、前記第1の導電性可撓性部材と前記第2の導電性可撓性部材との間に配置され、
前記第1の導電性可撓性部材と前記第2の導電性可撓性部材との距離は、0.14mm以上である、請求項6に記載のシースヒータ。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一に記載のシースヒータを備える、基板支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シースヒータに関する。または、本発明は、シースヒータを有する基板支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シースヒータは、金属チューブ状のシース内に発熱線を保持し、金属シースと発熱線の間隙に熱伝導性の高い絶縁材を充填したヒータである。シースヒータは、発熱体の表面が電気的に絶縁されていることから、気体、液体、金属などを直接、加熱することができる。また、シースヒータは任意の形状にレイアウトすることができ、その利便性から、様々な用途に用いられる。このため、多様なニーズに対応したより複雑な形状にレイアウトできるように、より細径のシースヒータへの需要が高まっている。一方で、シースヒータは発熱線に電気を流して加熱することから、発熱線の短絡や破損を防止するための工夫も必要となる。
【0003】
例えば、特許文献1には、発熱線の断線を抑制する目的から、金属シースと、金属シース内に間隙をもって配置され、帯状であり、金属シースの軸方向に対して回転して配置される発熱線と、間隙に配置される絶縁材と、金属シースの一端に配置され、発熱線の両端それぞれと電気的に接続する接続端子と、を備えるシースヒータが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、シースとリード線との接続部に発生する熱応力に伴う熱歪みを緩和する目的から、シースヒータの発熱線の端部とリード線の端部とをバネ性を有する接続用導体を介して接続するシースヒータのリード線接続端子が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-181586号公報
【特許文献2】特開2011-253691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態は、信頼性を向上させたシースヒータを提供することを目的の1つとする。または、本発明の一実施形態は、信頼性を向上させたシースヒータを有する基板支持装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によると、第1の金属線と、第1の金属線の第1の端部に接続する第1の端子と、第1の端子に接続し、第2の金属線に接続する第1の導電性可撓性部材と、第1の金属線の第2の端部に接続する第2の端子と、第2の端子に接続し、第3の金属線に接続する第2の導電性可撓性部材と、を備え、第1の導電性可撓性部材と第2の導電性可撓性部材とは隣接して配置される、シースヒータが提供される。
【0008】
第1の導電性可撓性部材及び第2の導電性可撓性部材は、金属コイル、撚線及び平編線から選択されてもよい。
【0009】
シースヒータが、屈曲部を有する形状を有し、第1の導電性可撓性部材と第2の導電性可撓性部材とは、屈曲部に配置される。
【0010】
導電性可撓性部材は金属コイルであり、屈曲部において、第2の金属コイルのピッチが、第1の金属コイルのピッチよりも大きくてもよい。
【0011】
シースヒータが、屈曲部を2箇所以上有してもよい。
【0012】
シースヒータが、前記第1の金属線、前記第1の端子、前記第2の金属線、前記第1の導電性可撓性部材、前記第2の端子、前記第3の金属線、及び前記第2の導電性可撓性部材を覆う金属シースをさらに備え、屈曲部の曲率半径が、金属シースの直径の2倍以上であってもよい。
【0013】
金属シースに充填された絶縁材粒子をさらに備え、絶縁材粒子が、第1の導電性可撓性部材と第2の導電性可撓性部材との間に配置され、第1の導電性可撓性部材と第2の導電性可撓性部材との距離が、0.14mm以上であってもよい。
【0014】
また、本発明の一実施形態によると、上記の何れかのシースヒータを備える、基板支持装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態によると、信頼性を向上させたシースヒータを提供することができる。または、本発明の一実施形態によると、信頼性を向上させたシースヒータを有する基板支持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシースヒータ100の模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るシースヒータ100の断面構造を示す模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る屈曲部191の断面端図を示す。
【
図4】本発明の一実施形態に係る基板支持装置1000の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に一実施形態に係る本発明のシースヒータ及び基板支持装置について、図を参照して説明する。なお、以下の実施形態は本発明のシースヒータ及び基板支持装置の一例であり、本発明のシースヒータ及び基板支持装置は以下の実施形態に限定されるわけではない。
【0018】
また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係るシースヒータ100の模式図である。金属シース101の一端から2本の非発熱線111が引き出された構造を有する。一例として、シースヒータ100は、非発熱線111側から見た平面視において、渦巻状の配置を有するが、これに限定されるものではない。また、シースヒータ100は、少なくとも1つの屈曲部を有する。または、シースヒータ100は、2つ以上の屈曲部を有してもよい。
図1においては、シースヒータ100が屈曲部191と屈曲部193を有する例を示した、これに限定されず、3つ以上の屈曲部を有してもよい。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態に係るシースヒータ100の断面構造を示す模式図である。なお、
図2においては、シースヒータ100が直線状に配置された構造を示す。シースヒータ100は、発熱線(第1の金属線とも称する)121と、発熱線121の一端に接続する第1の端子115aと、第1の端子115aに接続し、第1の非発熱線(第2の金属線とも称する)111aに接続する第1の導電性可撓性部材113aを備える。また、シースヒータ100は、発熱線121の他端に接続する第2の端子115bと、第2の端子115bに接続し、第2の非発熱線(第3の金属線とも称する)111bに接続する第2の導電性可撓性部材113bを備える。シースヒータ100において、第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113bとは隣接して配置される。また、第1の端子115aと第2の端子115bとは隣接して配置される。第1の非発熱線111aと第2の非発熱線111bとは隣接して配置される。
【0021】
図2において、一点鎖線は、発熱線121、第1の端子115a、第1の導電性可撓性部材113a、及び第1の非発熱線111aの中心を通る線、及び発熱線121、第2の端子115b、第2の導電性可撓性部材113b、及び第2の非発熱線111bの中心を通る線を示す。発熱線121は、シースヒータ100の先端部で折り返された配置を有する。第1の端子115aは、発熱線121と第1の非発熱線111aを接続するための端子であるが、本実施形態においては、第1の端子115aと第1の非発熱線111aを第1の導電性可撓性部材113aを介して接続する。また、第2の端子115bは、発熱線121と第2の非発熱線111bを接続するための端子であるが、本実施形態においては、第2の端子115bと第2の非発熱線111bを第2の導電性可撓性部材113bを介して接続する。第1の非発熱線111a、第1の導電性可撓性部材113a、第1の端子115a、発熱線121、第2の端子115b、第2の導電性可撓性部材113b、及び第2の非発熱線111bは、電気的に接続されている。
【0022】
シースヒータ100において、金属シース101は、発熱線121、第1の端子115a、第1の導電性可撓性部材113a、第1の非発熱線111a、第2の端子115b、第2の導電性可撓性部材113b、及び第2の非発熱線111bを覆う。また、金属シース101には、絶縁材粒子131が充填されている。シースヒータ100の先端部で折り返された発熱線121の間、第1の端子115aと第2の端子115bの間、第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113bの間、第1の非発熱線111aと第2の非発熱線111bの間には、絶縁材粒子131が配置されている。さらに、金属シース101は、発熱線121、第1の端子115a、第1の導電性可撓性部材113a、第1の非発熱線111a、第2の端子115b、第2の導電性可撓性部材113b、及び第2の非発熱線111bと、金属シース101と間にも、絶縁材粒子131が配置されている。
【0023】
一実施形態において、絶縁材粒子131として、酸化マグネシウム粒子、酸化アルミニウム粒子、窒化ホウ素粒子、窒化ケイ素粒子、窒化アルミニウム粒子及び窒化アルミニウム系セラミックス粒子から選択される一種の粒子を用いることができる。一実施形態において、絶縁材粒子131として、酸化マグネシウム粒子を用いることが好ましい。
【0024】
一実施形態において、発熱線121は、通電することでジュール熱を発生する導電体を用いることができる。具体的には、タングステン、タンタル、モリブデン、白金、ニッケル、クロム、コバルト及びジルコニウムから選択される金属を含むことができる。金属はこれらの金属を含む合金でもよく、例えば、ニッケルとクロムの合金、ニッケル、クロム、及びコバルトを含む合金、又はジルコニウム合金であってもよい。
図2において、発熱線121を線状の導電体をコイル状の構造として例を示したが、これに限定されず、帯状の導電体をコイル状の構造としてもよい。
【0025】
一実施形態において、第1の端子115a、第1の導電性可撓性部材113a、第1の非発熱線111a、第2の端子115b、第2の導電性可撓性部材113b、及び第2の非発熱線111bは、非発熱領域を構成する。非発熱領域に配置されるこれらの部材には、通電することでジュール熱を発生しない、又はジュール熱を発生しにくい導電体を用いることができる。一実施形態において、非発熱領域に配置されるこれらの部材には、純鉄、鋳鉄、鉄合金、純ニッケル、ニッケル合金、純銅、及び銅合金から選択される金属を用いることができる。
図2において、第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113bを線状の導電体をコイル状の構造とした金属コイルの例を示したが、導電性可撓性部材はこれに限定されるものではない。第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113bには、伸縮性のある導電性の線材を用いることができる。例えば、第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113bとして、帯状の導電体をコイル状の構造とした金属コイルを用いてもよく、撚線又は平編線を用いてもよい。
【0026】
金属シース101は、発熱線121を保護するためのカバーであり、且つ、発熱線121が発生する熱エネルギーを効率よく被加熱物へ伝えるための部材である。発熱線121の熱伝導率は、200W/mK以上であることが好ましい。一実施形態において、金属シース101には、純アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、純ニッケル、ニッケル合金、純銅、銅合金、純チタン、チタン合金、及びセラミックスを用いることができる。
【0027】
図3は、屈曲部191の断面端図を示す。第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113bは、屈曲部191に配置される。図示しないが、第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113bは、屈曲部193にも配置される。
図3において、一点鎖線は、シースヒータ100の中心線を示す。屈曲部191において、第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113bとは隣接して配置されるが、第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113bとの距離は、屈曲部191と非屈折部とを比較して、大きくは変化せず、好ましくは、ほとんど変化しない。
【0028】
本実施形態のように、金属シース内で発熱線を折り曲げ、発熱線に接続した2本の非発熱線を引き出す、所謂、2芯構造を有する従来のシースヒータでは、シースヒータに曲げを加えた際に、非発熱線に用いられるニッケル棒は軸方向に伸縮しないため、曲げの内側と外側の経路差により、外側の非発熱線が引っ張られ、曲げの内側に移動しようとする力が働く。これにより、発熱線同士、又は非発熱線同士が接近し、短絡や破損の原因となっていた。
【0029】
本実施形態のシースヒータ100においては、非発熱領域に配置された第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113bが屈曲部191や屈曲部193において屈曲する際に、シースヒータ100の中心線方向又は第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113bが配置された軸方向に伸縮する。このため、第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113bが金属コイルである場合には、屈曲部191においては、第2の金属コイル113bのピッチP2が、第1の金属コイル113aのピッチP1よりも大きくなる。
【0030】
本実施形態のシースヒータ100においては、屈曲部191の外側に位置する第2の導電性可撓性部材113bが引っ張られても、第2の導電性可撓性部材113bが伸びることにより、屈曲部の内側に移動しようとする力を抑制するため、シースヒータ100を屈曲させた際に、折り返された発熱線121同士の接近、第1の端子115aと第2の端子115bの接近、第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113bの接近、及び/又は第1の非発熱線111aと第2の非発熱線111bの接近を抑制することができる。これにより、折り返された発熱線121同士、第1の端子115aと第2の端子115b、第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113b、及び/又は第1の非発熱線111aと第2の非発熱線111bの安定した絶縁距離を確保することができるため、シースヒータ100における短絡を防止することができる。
【0031】
このため、一実施形態において、シースヒータ100は、第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113bとの距離を0.14mm以上とすることができる。絶縁材粒子131として酸化マグネシウム粒子、酸化アルミニウム粒子、窒化ホウ素粒子、窒化ケイ素粒子、窒化アルミニウム粒子及び窒化アルミニウム系セラミックス粒子から選択される一種の粒子を用いる本実施形態のシースヒータ100においては、第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113bとの距離を0.14mm以上として、折り返された発熱線121同士、第1の端子115aと第2の端子115b、及び第1の非発熱線111aと第2の非発熱線111bの距離を0.14mm以上に維持することにより、208Vの交流定格電圧において、短絡による断線を防止することができる。
【0032】
一実施形態において、第1の導電性可撓性部材113a、第2の導電性可撓性部材113b及び発熱線121の外径は、4.2mm以下とすることが好ましい。
【0033】
また、一実施形態において、発熱線121、第1の端子115a、第1の導電性可撓性部材113a、第1の非発熱線111a、第2の端子115b、第2の導電性可撓性部材113b、及び第2の非発熱線111bと、金属シース101の内径との最短絶縁距離は、500VAC~1500VACを印加した際のリーク電流を1mA以下とする時に、0.33mm~0.99mmとすることができる。このため、本実施形態においては、金属シース101の外径φを3mm~10mmとすることができる。
【0034】
また、一実施形態において、シースヒータ100は、屈曲部191や屈曲部193の曲率半径Rを金属シース101の直径の2倍以上とすることができる。即ち、屈曲部191や屈曲部193は、金属シース101の直径の2倍の曲率半径Rとなるように屈曲させても、第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113bの伸縮性により、安定した絶縁距離を確保することができるため、シースヒータ100における短絡を防止することができる。
【0035】
第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113bは、特に、後述する基板支持装置のヒータプレート面から垂直に立ち上がる、又は面内において急激に折り返す範囲に適用することにより、本願の効果を得ることができる。また、シースヒータ100を屈曲させた際に、折り返された発熱線121同士、第1の端子115aと第2の端子115b、第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113b、及び/又は第1の非発熱線111aと第2の非発熱線111bの変位を抑制することができるため、シースヒータ100のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0036】
[基板支持装置]
上述したシースヒータ100を基板支持装置1000に適用した例について説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る基板支持装置1000の斜視図である。基板支持装置1000は、ヒータプレート部1100及びシャフト部1200を備え、ヒータプレート部1100の内部にシースヒータ100が配設される。ヒータプレート部1100の上面とは反対側のヒータプレート部1100の中央部には、シャフト部1200が接続する。シャフト部1200は中空構造1210を有する。シャフト部1200の中空構造1210には、シースヒータ100に接続し、外部の制御装置(図示せず)に接続する配線1230が配設される。基板支持装置1000において、ヒータプレート部1100には絶縁膜1110が形成される。
【0037】
上述したように、シースヒータ100において、第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113bを、基板支持装置1000のヒータプレート部1100から垂直に立ち上がる、又はヒータプレート部1100の面内において急激に折り返す範囲に適用することにより、本願の効果を得ることができる。
【0038】
基板支持装置1000は、半導体装置の製造における化学気相成長(CVD)、表面改質等の処理に用いる半導体製造装置内に配設される。このため、基板支持装置1000は、500℃程度の高温環境下で使用される。基板支持装置1000は、シースヒータ100に第1の導電性可撓性部材113aと第2の導電性可撓性部材113bを配置することにより、安定した絶縁距離が確保されるため、常温から高温環境までの短絡を防止することができる。
【符号の説明】
【0039】
100 シースヒータ、101 金属シース、111 非発熱線、111a 非発熱線、111b 非発熱線、113a 導電性可撓性部材、113b 導電性可撓性部材、115a 第1の端子、115b 第2の端子、121 発熱線、131 絶縁材粒子、191 屈曲部、193 屈曲部、1000 基板支持装置、1100 ヒータプレート部、1110 絶縁膜、1200 シャフト部、1210 中空構造、1230 配線