IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

特開2022-156770印刷システム、プリンタ、及びプログラム
<>
  • 特開-印刷システム、プリンタ、及びプログラム 図1
  • 特開-印刷システム、プリンタ、及びプログラム 図2
  • 特開-印刷システム、プリンタ、及びプログラム 図3
  • 特開-印刷システム、プリンタ、及びプログラム 図4
  • 特開-印刷システム、プリンタ、及びプログラム 図5
  • 特開-印刷システム、プリンタ、及びプログラム 図6
  • 特開-印刷システム、プリンタ、及びプログラム 図7
  • 特開-印刷システム、プリンタ、及びプログラム 図8
  • 特開-印刷システム、プリンタ、及びプログラム 図9
  • 特開-印刷システム、プリンタ、及びプログラム 図10
  • 特開-印刷システム、プリンタ、及びプログラム 図11
  • 特開-印刷システム、プリンタ、及びプログラム 図12
  • 特開-印刷システム、プリンタ、及びプログラム 図13
  • 特開-印刷システム、プリンタ、及びプログラム 図14
  • 特開-印刷システム、プリンタ、及びプログラム 図15
  • 特開-印刷システム、プリンタ、及びプログラム 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156770
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】印刷システム、プリンタ、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20221006BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20221006BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20221006BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20221006BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20221006BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G06F3/12 373
G06F3/12 303
G06F3/12 332
G06F3/12 339
G06F3/12 385
H04N1/00 127B
B41J29/13 103
B41J29/46 Z
B41J29/38 801
B41J29/38 204
B41J29/38 301
B41J3/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060623
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】西崎 孝志
【テーマコード(参考)】
2C055
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C055CC01
2C055CC03
2C061AP01
2C061AP07
2C061AP10
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS06
2C061AS14
2C061CD15
2C061HK11
2C061HN15
2C061HN29
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA12
5C062AA29
5C062AA35
5C062AB22
5C062AB30
5C062AB32
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC58
5C062AC67
5C062AE15
(57)【要約】
【課題】プリンタの消耗品の使用量に関する情報を収集できる印刷システム、プリンタ、及びプログラムを提供すること。
【解決手段】印刷システム10のプリンタ17は、印刷指示を受け付けると(S81)、装着中の感熱紙83を識別可能な用紙媒体ID76を記憶しているか否かを判断する(S87)。プリンタ17は、用紙媒体ID76を記憶している場合(S87:YES)、S81で受け付けた印刷指示に基づく印刷を実行する(S95)。プリンタ17は、印刷によって使用された感熱紙83の使用量に関する情報を、サーバ11へ送信する(S97)。また、プリンタ17は、用紙媒体ID76を記憶していない場合(S87:NO)、S81で受け付けた印刷指示に基づく印刷を実行しない(S89)。
【選択図】 図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタと、
前記プリンタと通信可能な端末装置と、
を備える印刷システムであって、
前記印刷システムは、
前記プリンタに対する印刷指示を受け付ける印刷指示受付処理と、
前記プリンタの消耗品を識別可能な識別情報を、前記プリンタが保持しているか否かを判断する判断処理と、
前記判断処理の結果、前記プリンタが前記識別情報を保持していると判断した場合、前記印刷指示受付処理で受け付けた前記印刷指示に基づく印刷を前記プリンタで実行する印刷処理と、
前記プリンタの印刷によって使用された前記消耗品の使用量に関する情報を、サーバへ送信するサーバ送信処理と、
前記判断処理の結果、前記プリンタが前記識別情報を保持していないと判断した場合、前記印刷指示受付処理で受け付けた前記印刷指示に基づく印刷を制限する制限処理と、
を実行する印刷システム。
【請求項2】
前記プリンタは、
印刷媒体に印刷を実行する印刷部を備え、
前記消耗品は、
前記印刷媒体である、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
新たな前記識別情報の発行指示を受け付けたことに基づいて、新たな前記識別情報を発行する発行処理と、
前記発行処理を実行した後、発行した前記識別情報に係わる情報を、前記プリンタにより前記印刷媒体に印刷する識別情報印刷処理と、
を実行する請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記印刷媒体は、
ロールに巻き付けられ、
前記印刷部は、
前記ロールの軸方向から前記ロールの中に挿入して前記ロールを支持する支持部材を有し、前記印刷処理において、前記ロールを回転させながら前記印刷媒体を搬送して、前記印刷媒体に対する印刷を実行し、
前記印刷システムは、
前記識別情報印刷処理において、前記識別情報に係わる情報を印刷した前記印刷媒体の搬送方向における搬送方向幅が、前記支持部材の外周の長さ以下の幅となるように前記プリンタで印刷する、請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記印刷媒体は、
ロールに巻き付けられ、
前記印刷部は、
前記ロールの軸方向から前記ロールの中に挿入して前記ロールを支持する支持部材を有し、前記印刷処理において、前記ロールを回転させながら前記印刷媒体を搬送して、前記印刷媒体に対する印刷を実行し、
前記印刷システムは、
前記識別情報印刷処理において、前記印刷媒体に印刷される前記識別情報に係わる情報の前記軸方向における軸方向幅が、前記支持部材に装着可能な前記印刷媒体の前記軸方向幅のうち、最小の前記軸方向幅以下となるように前記プリンタで印刷する、請求項3又は請求項4に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記識別情報印刷処理において、前記印刷媒体に印刷される前記識別情報に係わる情報のサイズが、前記印刷媒体のサイズに係わらず一定となるように前記プリンタで印刷する請求項3から請求項5の何れか1項に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記識別情報印刷処理を実行した後、ユーザからの指示に応じて、印刷済みの前記識別情報に係わる情報を、前記プリンタにより前記印刷媒体に印刷する識別情報再印刷処理を実行する請求項3から請求項6の何れか1項に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記識別情報再印刷処理において、既に印刷済みである前記識別情報に係わる情報を、再度、印刷したことを示す情報を、前記印刷媒体に印刷する請求項7に記載の印刷システム。
【請求項9】
前記端末装置は、
前記識別情報印刷処理により印刷した前記印刷媒体から、前記識別情報に係わる情報を取得する取得処理と、
前記取得処理で取得した前記識別情報に係わる情報を、前記プリンタに送信するプリンタ送信処理と、
を実行し、
前記プリンタは、
前記プリンタ送信処理により取得した前記識別情報を、自装置に登録して保持する登録処理を実行する請求項3から請求項8の何れか1項に記載の印刷システム。
【請求項10】
前記プリンタは、
開閉カバーと、
前記開閉カバーの開閉を検出する開閉センサと、
を備え、
前記開閉カバーを開けた状態で前記消耗品の交換が可能であり、前記開閉センサにより前記開閉カバーが閉じられたことを検出したことに基づいて、前記識別情報の発行又は登録を促す報知処理を実行する、請求項1から請求項9の何れか1項に記載の印刷システム。
【請求項11】
前記プリンタは、
前記消耗品の装着の有無を検出する装着センサを備え、
前記開閉センサにより前記開閉カバーが閉じられたことを検出し、且つ、前記装着センサにより前記消耗品が装着されたことを検出したことに基づいて、前記報知処理を実行する、請求項10に記載の印刷システム。
【請求項12】
前記プリンタは、
前記装着センサに基づいて、前記消耗品が取り外されたことを検出すると、自装置に保持する前記識別情報を削除する削除処理を実行する、請求項11に記載の印刷システム。
【請求項13】
前記プリンタは、
前記開閉センサに基づいて、前記開閉カバーが開けられたことを検出すると、自装置に保持する前記識別情報を削除する削除処理を実行する、請求項10に記載の印刷システム。
【請求項14】
前記プリンタは、
自装置で過去に保持した前記識別情報の履歴データを有し、
前記削除処理を実行する前に、保持中の前記識別情報で前記履歴データを更新する更新処理を実行する、請求項12又は請求項13に記載の印刷システム。
【請求項15】
前記プリンタは、
前記判断処理、前記サーバ送信処理、及び前記制限処理を実行しない通常モードと、前記判断処理、前記サーバ送信処理、及び前記制限処理を実行する消耗品管理モードを切り替え可能である、請求項1から請求項14の何れか1項に記載の印刷システム。
【請求項16】
前記プリンタは、
前記サーバ送信処理において、前記消耗品の使用量に関する情報を、前記端末装置を介して前記サーバへ送信する、請求項1から請求項15の何れか1項に記載の印刷システム。
【請求項17】
前記サーバは、
前記識別情報を記憶する管理データを有し、
前記印刷システムは、
前記判断処理の結果、前記プリンタが前記識別情報を保持していると判断した場合、保持している前記識別情報が前記管理データに登録されているか否かを前記サーバに確認する確認処理を実行し、
前記確認処理の結果、前記管理データに前記識別情報が登録されていた場合、前記印刷処理を実行し、
前記判断処理の結果、前記プリンタが前記識別情報を保持していると判断した場合であっても、前記管理データに前記識別情報が登録されていない場合、前記印刷指示に基づく印刷を実行しない、請求項1から請求項16の何れか1項に記載の印刷システム。
【請求項18】
印刷部と、
通信部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
印刷指示を受け付ける印刷指示受付処理と、
自装置の消耗品を識別可能な識別情報を、保持しているか否かを判断する判断処理と、
前記判断処理の結果、前記識別情報を保持していると判断した場合、前記印刷指示受付処理で受け付けた前記印刷指示に基づく印刷を前記印刷部で実行する印刷処理と、
前記印刷部の印刷によって使用された前記消耗品の使用量に関する情報を、前記通信部を介してサーバへ送信するサーバ送信処理と、
前記判断処理の結果、前記識別情報を保持していないと判断した場合、前記印刷指示受付処理で受け付けた前記印刷指示に基づく印刷を制限する制限処理と、
を実行するプリンタ。
【請求項19】
プリンタと通信可能な端末装置のコンピュータで読み取り可能なプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記プリンタに対する印刷指示を受け付ける印刷指示受付処理と、
前記プリンタの消耗品を識別可能な識別情報を、前記プリンタが保持しているか否かを判断する判断処理と、
前記判断処理の結果、前記プリンタが前記識別情報を保持していると判断した場合、前記印刷指示受付処理で受け付けた前記印刷指示に基づく印刷を前記プリンタで実行させる印刷処理と、
前記プリンタの印刷によって使用された前記消耗品の使用量に関する情報を、サーバへ送信するサーバ送信処理と、
前記判断処理の結果、前記プリンタが前記識別情報を保持していないと判断した場合、前記印刷指示受付処理で受け付けた前記印刷指示に基づく印刷を制限する制限処理と、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、印刷システム、プリンタ、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタで使用される消耗品を管理する技術が種々提案されている。例えば、下記特許文献1には、プリンタに装着するトナーカートリッジの不揮発性メモリに、トナーの消費量に関する情報を記憶している。トナーカートリッジの不揮発性メモリには、そのトナーカートリッジを使用したプリンタのシリアルNOと、そのプリンタで使用したトナーの消費量が記憶される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-157138号公報(図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1のプリンタでは、トナーカートリッジの不揮発性メモリに記憶したデータによって、自装置のトナー消費量を管理できる。しかしながら、例えば、会社のシステム管理者や経理の担当者は、会社で使用する複数のプリンタの消耗品を管理したい場合がある。この場合、プリンタの消耗品の情報を集めて管理できる技術が必要となる。
【0005】
本願は、上記した課題を解決する技術を開示するものであり、プリンタの消耗品の使用量に関する情報を収集できる印刷システム、プリンタ、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示する印刷システムは、プリンタと、前記プリンタと通信可能な端末装置と、を備える印刷システムであって、前記印刷システムは、前記プリンタに対する印刷指示を受け付ける印刷指示受付処理と、前記プリンタの消耗品を識別可能な識別情報を、前記プリンタが保持しているか否かを判断する判断処理と、前記判断処理の結果、前記プリンタが前記識別情報を保持していると判断した場合、前記印刷指示受付処理で受け付けた前記印刷指示に基づく印刷を前記プリンタで実行する印刷処理と、前記プリンタの印刷によって使用された前記消耗品の使用量に関する情報を、サーバへ送信するサーバ送信処理と、前記判断処理の結果、前記プリンタが前記識別情報を保持していないと判断した場合、前記印刷指示受付処理で受け付けた前記印刷指示に基づく印刷を制限する制限処理と、を実行する。
【0007】
また、本願に開示の内容は、印刷システムとしての実施に限らず、例えば、プリンタ、プリンタと通信可能な端末装置のコンピュータで読み取り可能なプログラムとして実施しても有益である。
【発明の効果】
【0008】
上記構成の印刷システム、プリンタ、プログラムによれば、プリンタの消耗品の使用量に関する情報を収集できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る印刷システムの概略構成図である。
図2図1に示す印刷システムのブロック図である。
図3】管理DBに記憶されたデータを示す図である。
図4】プリンタの支持部材に感熱ロール紙を取り付ける状態を示す模式図である。
図5】履歴データに記憶されたデータを示す図である。
図6】プリンタが実行するモード移行処理の内容を示すフローチャートである。
図7】プリンタが実行するモード解除処理の内容を示すフローチャートである。
図8】プリンタが実行する報知処理の内容を示すフローチャートである。
図9】プリンタのユーザIFに表示する発行登録受付画面を示す図である。
図10】プリンタが実行するID印刷処理の内容を示すフローチャートである。
図11】用紙媒体IDを感熱紙に印刷した印刷済みの用紙を示す図である。
図12】プリンタが実行する登録処理の内容を示すフローチャートである。
図13】別例の登録処理における端末装置及びプリンタの処理内容を示すシーケンス図である。
図14】プリンタが実行する削除処理の内容を示すフローチャートである。
図15】プリンタが実行する印刷処理の内容を示すフローチャートである。
図16】プリンタが実行するID再印刷処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願に係わる印刷システムを具体化した一実施形態である印刷システム10について図面を参照しつつ説明する。図1は、印刷システム10の概略構成図であり、図2は、印刷システム10のブロック図である。図1及び図2に示すように、印刷システム10は、サーバ11、管理PC13、複数の端末装置15、及び複数のプリンタ17を備えている。尚、図2は、図面が煩雑となるのを避けるため、1つの端末装置15と、1つのプリンタ17のみを図示している。また、印刷システム10は、1つの端末装置15と、1つのプリンタ17を備える構成でも良く、1つの端末装置15で複数のプリンタ17を使用する構成でも良く、複数の端末装置15で1つのプリンタ17を使用する構成でも良い。
【0011】
例えば、印刷システム10を利用する会社は、ユーザ(営業を担当する社員など)に端末装置15やプリンタ17を貸与する。ユーザは、端末装置15を操作することで、プリンタ17による印刷を実行することができる。また、サーバ11は、例えば、端末装置15を管理する管理サーバである。端末装置15やプリンタ17の管理者(会社のシステム管理者など)は、管理PC13を操作することで、サーバ11の管理機能を利用し、端末装置15の機能を制限することができる。
【0012】
詳述すると、サーバ11は、例えば、MDM(Mobile Device Management)サーバであり、管理対象である複数の端末装置15を一元的に管理するサーバである。サーバ11は、サーバ制御部21、通信IF(インタフェースの略)22を備えている。サーバ制御部21等は、通信バス23を介して互いに通信可能となっている。通信IF22は、例えば、LANインタフェースであり、ネットワーク19に接続されている。ネットワーク19は、例えば、インターネットなどの広域ネットワーク、LANの他に、4G、5Gといった移動通信のネットワークを含んでいる。
【0013】
サーバ制御部21は、サーバ11を統括的に制御するものである。サーバ制御部21は、サーバ記憶部24及びサーバCPU25を備えている。サーバ記憶部24は、例えば、RAM、ROM、及びHDDを組み合わせて構成されている。サーバ記憶部24には、サーバプログラム26、及び管理DB(データベースの略)27が記憶されている。サーバプログラム26は、サーバ11に各種処理を実行させるプログラムである。例えば、サーバ制御部21は、サーバCPU25でサーバプログラム26を実行することで、サーバ11に対するアクセスなどを制御する。また、サーバ制御部21は、サーバCPU25でサーバプログラム26を実行することで、管理PC13から取得した指示に基づいて、MDMの管理対象である端末装置15に対する機能の制限などを実行する。
【0014】
尚、以下の説明では、サーバCPU25でサーバプログラム26を実行するサーバ制御部21のことを、単に装置名やプログラム名で記載する場合がある。例えば、「サーバ11が通信IF22を介して管理PC13から指示を取得する」という記載は、「サーバ制御部21がサーバCPU25でサーバプログラム26を実行することで通信IF22を制御し、通信IF22を介して管理PC13から指示を取得する」ということを意味する。後述する管理プログラム38をCPU31で実行する管理PC13、OSプログラム49やアプリケーションプログラム(以下、アプリケーションという場合がある)50を端末CPU48で実行する端末装置15、プリンタプログラム71をプリンタCPU70で実行するプリンタ17についても同様である。また、本願における「取得」とは、要求を必須とはしない概念で用いる。即ち、サーバ11が要求することなく指示を受信するという処理も、「サーバ11が指示を取得する」という概念に含まれる。
【0015】
管理DB27は、後述する各プリンタ17で使用する感熱ロール紙81(図4参照)を管理するためのデータである。図3は、管理DB27に記憶されたデータを示している。図3に示すように、管理DB27には、用紙媒体ID、使用量、使用量登録日時、プリンタIDが関連付けられて記憶されている。用紙媒体IDは、感熱ロール紙81を識別するための識別情報である。用紙媒体IDとしては、例えば、GUID(Globally Unique Identifier)のような管理対象の複数の感熱ロール紙81に対してユニークな識別情報を付与できるものを採用できる。また、用紙媒体IDは、GUIDに限らず、「2021-0001」など、使用開始年数と、印刷システム10全体の通し番号を組み合わせたものでも良い。あるいは、管理DB27で、複数の会社や組織の感熱ロール紙81を管理する場合、会社等の識別情報と通し番号を組み合わせたものを、用紙媒体IDとして用いても良い。また、用紙媒体IDは、プリンタ17のシリアル番号と、そのプリンタ17で使用した感熱ロール紙81の通し番号でも良い。従って、用紙媒体IDとしては、感熱ロール紙81を識別可能な様々な識別情報を採用できる。
【0016】
使用量は、用紙媒体IDが示す感熱ロール紙81に巻回された感熱紙83(図4参照)を使用した使用量である。使用量登録日時は、使用量をプリンタ17からサーバ11へ登録された日時を示している。プリンタIDは、用紙媒体IDが示す感熱ロール紙81を使用したプリンタ17の識別情報である。プリンタIDは、例えば、プリンタ17のベンダが設定したシリアル番号など、プリンタ17を他のプリンタ17と識別可能な情報を採用できる。尚、図3に示す管理DB27に記憶されたデータの種類・形式等は一例である。例えば、サーバ11は、1つの用紙媒体IDについて、トータルの使用量だけを管理DB27に記憶しても良い。また、サーバ11は、用紙媒体IDを管理DB27に登録した日時や、登録を行ったプリンタ17のプリンタIDなどを管理DB27に記憶しても良い。また、サーバ11は、管理DB27の他に、MDM機能を利用するためのデータベース、例えば、端末装置15の識別情報、端末装置15で利用可能な機能等を関連付けたデータベースを有しても良い。
【0017】
次に、管理PC13について説明する。以下の、管理PC13、端末装置15、プリンタ17の説明では、上記したサーバ11と同様の内容については、適宜省略する。管理PC13は、例えば、ノート型やデスクトップ型のパーソナルコンピュータである。管理PC13は、CPU31、記憶部32、ユーザIF33、ディスプレイ34、通信IF35を備える。CPU31等は、通信バス37を介して互いに通信可能となっている。管理PC13は、記憶部32に記憶された管理プログラム38をCPU31で実行することで、各種処理を実行する。管理PC13は、ユーザIF33(マウスやキーボードなど)に対する操作入力に応じてディスプレイ34の表示内容を変更する。また、管理PC13は、通信IF35を介してネットワーク19に接続可能となっている。
【0018】
次に、端末装置15について説明する。端末装置15は、例えば、スマートフォンである。尚、本願の端末装置は、スマートフォンに限らず、タブレット端末やノートPCなどでも良い。端末装置15は、端末制御部41、第1通信IF43、第2通信IF44、タッチパネル45を備える。端末制御部41等は、通信バス46を介して互いに通信可能となっている。
【0019】
端末制御部41は、端末装置15を統括的に制御し、端末記憶部47及び端末CPU48を備えている。端末記憶部47は、例えば、RAM、ROM等を組み合わせて構成されている。端末記憶部47には、OSプログラム49、アプリケーション50が記憶されている。OSプログラム49は、端末装置15を統括的に制御するプログラムであり、アプリケーション50に基本的な機能やサービスを提供する。OSプログラム49は、例えば、Android(登録商標)OSやiOS(登録商標)である。また、端末装置15が例えばノートPCである場合、OSプログラム49は、Windows(登録商標)OSなどである。
【0020】
アプリケーション50は、例えば、プリンタ17のベンダから提供されるプログラムであり、OSプログラム49の機能等を利用して、プリンタ17への印刷指示の送信、プリンタ17の設定情報の取得、プリンタ17に対する設定指示の送信等を実行するプログラムである。端末制御部41は、OSプログラム49やアプリケーション50を端末CPU48で実行し、端末装置15の動作を制御する。
【0021】
従って、サーバ11のサーバプログラム26や管理PC13の管理プログラム38には、Android(登録商標)OS等で動作する端末装置15を制御可能なMDMに対応したプログラムが含まれている。例えば、管理者は、管理PC13を操作し、サーバ11のMDM機能を利用して、端末装置15に対する各種の制御を実行できる。ここでいう各種の制御とは、例えば、管理対象のそれぞれの端末装置15における通信機能等の機能の制限、端末装置15のデータの削除、初期化、画面ロック、紛失ロックなどの制限制御である。尚、サーバ11は、上記した機能の制限、データの削除、初期化、画面ロック、紛失ロックなどの制限制御のうち、少なくとも1つの制御が可能なサーバでも良い。
【0022】
また、サーバ11は、MDM機能に加え、MAM(Mobile Application Management)機能を備えている。サーバ11は、例えば、管理PC13からの指示に基づいて、端末装置15に対するアプリケーション50のインストール、インストール時のパラメータの設定などの制御が可能である。尚、サーバ11は、MAM機能を備えなくとも良い。
【0023】
第1通信IF43は、例えば、Bluetooth(登録商標)規格に準じた近距離無線通信を実行可能な通信インタフェースである。端末装置15は、第1通信IF43を介してプリンタ17の第1通信IF61と通信可能であり、印刷指示等をプリンタ17に送信可能である。第2通信IF44は、例えば、4G、5G等の移動通信システムのネットワークとの通信や、Wi-Fi(登録商標)などの無線通信が可能な通信インタフェースである。端末装置15は、第2通信IF44を介してネットワーク19に接続される。端末装置15は、第2通信IF44を介してもプリンタ17と通信可能であり、印刷指示等をプリンタ17に送信可能である。尚、端末装置15を、ネットワーク19に有線で接続しても良い。また、上記した通信方式は、一例であり、適宜変更可能である。例えば、第1通信IF43の通信規格は、Bluetooth(登録商標)規格に限らず、NFC等の他の近距離無線通信の規格でも良い。また、第2通信IF44は、例えば、Wi-Fi Allianceによって策定されたWFD(Wi-Fi Direct(登録商標)の略)方式により、プリンタ17の第2通信IF62と通信可能な構成でも良い。
【0024】
また、端末装置15は、タッチパネル45を介してユーザの操作入力を受け付ける。また、端末装置15は、各種情報をタッチパネル45に表示する。尚、端末装置15が備えるユーザIFは、タッチパネル45に限らず、タッチパネル45の他に、又は替えてボタンスイッチやスライドスイッチを備えても良い。また、端末装置15は、LCDなどの表示装置と、キーボードなどの入力装置を別々に備えても良い。
【0025】
次に、プリンタ17について説明する。プリンタ17は、例えば、持ち運び可能な可搬型の印刷装置であり、端末装置15との間で有線通信又は無線通信を介して取得した印刷ジョブの画像データを印刷する。プリンタ17は、第1通信IF61、第2通信IF62、電源部63、印刷部64、ユーザIF65、開閉センサ66、装着センサ73、プリンタ制御部67を備えている。第1通信IF61等は、通信バス68を介して互いに通信可能となっている。
【0026】
第1通信IF61は、例えば、Bluetooth(登録商標)規格に準じた近距離無線通信を実行可能な通信インタフェースであり、端末装置15の第1通信IF43と通信する。第2通信IF62は、例えば、Wi-Fi(登録商標)などの無線LANや有線LANの通信が可能な通信インタフェースである。プリンタ17は、例えば、会社内や出張先のアクセスポイントに第2通信IF62を介して接続することで、ネットワーク19と接続できる。
【0027】
電源部63は、例えば、商用電源の電力からプリンタ17内の各装置へ供給する電力を生成する電源回路やバッテリを備えている。このため、プリンタ17は、商用電源に接続されていない状態でも、バッテリを電源として印刷動作等が可能なモバイルプリンタである。尚、電源部63は、商用電源を利用可能な電源回路又はバッテリの一方のみを備える構成でも良い。また、本願のプリンタとしては、例えば、ラベルプリンタ、レシートプリンタ等の他の持ち運びが可能なプリンタでも良い。また、本願のプリンタは、据え置き型のプリンタでも良く、印刷機能、FAX機能、スキャナ機能、コピー機能を備えた複合機でも良い。
【0028】
印刷部64は、例えば、サーマルヘッド等を備え、ダイレクトサーマル方式により感熱紙83(図4参照)に画像を印刷する。図4は、プリンタ17の支持部材82に感熱ロール紙81を取り付ける状態を模式的に示している。図4に示すように、プリンタ17内には、感熱ロール紙81を支持する支持部材82が設けられている。感熱ロール紙81は、長尺状の感熱紙83をロール85に巻き付けたものである。
【0029】
支持部材82は、例えば、略円柱状をなし、ロール85の穴に挿入する挿入部82Aを有する。ロール85は、例えば、円筒形状をなし、支持部材82の軸方向87から支持部材82を挿入される。感熱ロール紙81は、支持部材82を挿入されることによって、支持部材82によって回転可能に支持される。プリンタ17は、感熱ロール紙81から引き出した感熱紙83を搬送ローラ(図示略)によって搬送することで、支持部材82で支持した感熱ロール紙81を回転させつつ、感熱紙83を搬送方向89に搬送する。プリンタ17は、搬送方向89に搬送した感熱紙83に対して、印刷部64によって画像を印刷する。感熱紙83は、本願の印刷媒体の一例である。尚、本願の印刷媒体は、感熱紙83に限らない。印刷媒体としては、普通紙や、長尺の剥離台紙上にラベルを長手方向に所定間隔で並べて貼り付けたラベル紙などでも良い。また、印刷部64は、電子写真方式やインクジェット方式で印刷する構成でも良い。
【0030】
ユーザIF65は、例えば、タッチパネル、押しボタンスイッチ等であり、ユーザからの操作入力の受け付けや各種の情報の表示を行う。尚、プリンタ17は、タッチパネルを備えず、押しボタンスイッチやスライドスイッチなどのスイッチのみを備える構成でも良い。
【0031】
開閉センサ66は、プリンタ17の開閉カバー17A(図1参照)の開閉に応じた信号をプリンタ制御部67に出力するセンサである。プリンタ17は、例えば、装置上部に設けられた開閉カバー17Aを開けることで、感熱ロール紙81の装着又は取り外しが可能となっている。開閉センサ66は、例えば、開閉カバー17Aの開閉に応じて接続又は切断されるリレースイッチを備え、開閉カバー17Aを閉じた状態ではハイレベルの信号をプリンタ制御部67に出力し、開閉カバー17Aを開けられた状態ではローレベルの信号をプリンタ制御部67に出力する。これにより、プリンタ制御部67は、感熱ロール紙81の装着や交換のためにユーザが開閉カバー17Aを開閉すると、開閉センサ66の信号に基づいて、開閉カバー17Aの開閉を検出することができる。尚、上記した開閉センサ66の構成は、一例である。例えば、開閉センサ66は、開閉カバー17Aの位置を検出する赤外線センサを備え、赤外線センサによって開閉カバー17Aの開閉を検出しても良い。
【0032】
装着センサ73は、プリンタ17に対する感熱ロール紙81の装着の有無を検出するセンサである。装着センサ73は、例えば、支持部材82に感熱ロール紙81(ロール85)が装着された状態と、装着されていない状態とで異なる信号をプリンタ制御部67に出力する。装着センサ73としては、支持部材82の装着を検出可能な位置に設けられたリレースイッチや赤外線センサ等を採用できる。また、装着センサ73は、ロール85から引き出された感熱紙83がプリンタ17の排紙口まで正しく引き出されたか否かを検出する用紙センサを備えても良い。
【0033】
また、プリンタ制御部67は、プリンタ17を統括的に制御するものである。プリンタ制御部67は、プリンタ記憶部69及びプリンタCPU70を備えている。プリンタ記憶部69は、RAM、ROM等を組み合わせて構成されている。プリンタ記憶部69は、プリンタプログラム71、モードフラグ74、使用量データ75、用紙媒体ID76、履歴データ77、テンプレートデータ78、個人情報79を記憶可能となっている。プリンタプログラム71は、例えば、プリンタ17の各部を統括的に制御するファームウェアである。プリンタ制御部67は、プリンタCPU70でプリンタプログラム71を実行し、印刷部64等を制御する。
【0034】
モードフラグ74は、用紙媒体管理モード(本願の消耗品管理モードの一例)のオン/オフを示す情報である。詳細については後述するが、本実施形態のプリンタ17は、用紙媒体管理モードがオン状態では、感熱ロール紙81を識別する用紙媒体ID76を保持(記憶)しているか判断し、保持していない場合、印刷の実行を制限する。また、プリンタ17は、用紙媒体管理モードがオン状態では、印刷によって使用した感熱紙83の使用量の情報をサーバ11へ送信する。プリンタ17は、用紙媒体管理モードがオフ状態では、上記した用紙媒体ID76の判断処理、印刷の制限処理や、使用量をサーバ11に送信する処理を実行しないモード(以下、通常モードという)となる。モードフラグ74は、例えば、用紙媒体管理モードがオン状態では「1」の値が設定され、オフ状態(通常モード)では「0」の値が設定される。
【0035】
使用量データ75は、感熱紙83の使用量を示す値である。例えば、プリンタ17は、端末装置15等から印刷指示を受け付けて印刷を実行すると、印刷ごと(印刷ジョブごと)に印刷で使用した使用量の値を使用量データ75に記憶する。使用量の値とは、例えば、印刷の実行前から印刷の実行後までに図4に示す搬送方向89に搬送した感熱紙83の長さであり、印刷によって消費された感熱紙83の長さである。プリンタ17は、例えば、感熱紙83を搬送する搬送ローラ(図示略)の外周の長さと回転数とに基づいて、感熱紙83の使用量を演算することができる。プリンタ17は、図3に示すように、この使用量の値を、管理DB27に登録する。
【0036】
用紙媒体ID76は、管理DB27で説明したように、感熱ロール紙81を識別するための識別情報である。また、用紙媒体ID76は、プリンタ17に装着されている感熱ロール紙81(以下、使用中の感熱ロール紙81という場合がある)の用紙媒体ID76である。プリンタ17は、用紙媒体ID76についても、管理DB27に適宜登録する。
【0037】
履歴データ77は、使用中の感熱ロール紙81よりも前に、過去に使用していた感熱ロール紙81に関するデータである。図5は、履歴データ77に記憶されたデータの一例を示している。例えば、履歴データ77には、使用履歴、使用日時、用紙媒体ID、媒体情報が記憶されている。使用履歴は、用紙媒体IDが示す感熱ロール紙81をいつ使用したのかを示す情報である。履歴データ77には、例えば、使用中の感熱ロール紙81よりも1つ前の前回使用したデータと、2つ前の前々回使用したデータが記憶されている。従って、プリンタ17は、過去に使用した感熱ロール紙81の情報について、2つ前までの情報を履歴データ77に残す。尚、プリンタ17は、過去1つ分だけの情報を履歴データ77に残しても良く、3つ以上分の情報を履歴データ77に残しても良い。
【0038】
使用日時は、用紙媒体IDが示す感熱ロール紙81を使用した日時の情報、例えば、使用した感熱ロール紙81をプリンタ17から取り外した日時の情報である。用紙媒体IDは、前回又は前々回使用した感熱ロール紙81の用紙媒体IDである。媒体情報は、感熱ロール紙81に関する情報であり、軸方向87(図4参照)に沿った感熱紙83の用紙幅、用紙種(感熱紙、普通値、ラベル紙のような用紙種を示す情報)などの情報が記憶されている。この情報は、例えば、感熱ロール紙81をプリンタ17に装着された後、ユーザIF65に対する操作入力によってユーザが選択した用紙の情報である。尚、プリンタ17は、感熱ロール紙81に付加されたコード等を読み取って、媒体情報を自動で検出しても良い。
【0039】
また、図2に示すテンプレートデータ78は、例えば、領収書や報告書などの定型的な書類を印刷する際に使用するテンプレートのデータや、会社のロゴなどの書類に定型的に使用するデータである。個人情報79は、例えば、テンプレートに挿入等するデータであり、プリンタ17のユーザの名前・所属、顧客名、顧客の住所などの情報である。プリンタ17は、例えば、印刷ジョブで指定されたテンプレートや個人情報を用いて印刷を実行する。あるいは、プリンタ17は、ユーザIF65に対する所定の操作に基づいて、予め設定されたテンプレートや個人情報を用いた印刷を実行する。
【0040】
(モード移行処理)
次に、上記したプリンタ17が実行するモード移行処理について、図6を用いて説明する。プリンタ17は、図6に示すモード移行処理を実行することで、通常モードから用紙媒体管理モードへ移行する。例えば、プリンタ17は、ベンダから発送された初期状態では、通常モードを示す値がモードフラグ74に設定され、起動すると通常モードで起動する。この状態では、プリンタ17は、第1通信IF61や第2通信IF62を介して取得した印刷指示を、後述する用紙媒体ID76の判断等をせずに実行する。また、プリンタ17は、通常モードにおいて、ユーザIF65に対する操作入力に基づいて、用紙媒体管理モードへ移行する指示を受け付ける受付画面(図示略)をユーザIF65に表示させる。プリンタ17は、受付画面を表示させると、図6に示す処理を開始する。尚、図6の処理を開始する条件は、ユーザIF65に受付画面を表示させる条件に限らない。例えば、プリンタ17は、端末装置15のアプリケーション50からの指示に基づいて、図6の処理を開始しても良い。即ち、プリンタ17は用紙媒体管理モードへの移行指示を、アプリケーション50から取得しても良い。この場合、プリンタ17は、図6のS11の処理を省略し、アプリケーション50からの移行指示を取得した場合、S13以降の処理を実行しても良い。
【0041】
また、本明細書のフローチャートや後述するシーケンス図は、基本的に、各プログラムに記述された命令に従ったCPU(サーバCPU25、CPU31、端末CPU48、プリンタCPU70)の処理を示す。図6の場合は、プリンタプログラム71に記述された命令に従ったプリンタCPU70の処理を示している。また、以下の説明における「受付け」、「判断」、「有効化」等の処理は、CPUの処理を表している。CPUによる処理は、プログラムを介したハードウェア制御も含む。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。
【0042】
まず、図6のステップ(以下、単に「S」と記載する)11に示すように、プリンタ17は、図6の処理を開始すると、上記したユーザIF65の受付画面において、移行の指示を受け付けたか否かを判断する。プリンタ17は、例えば、用紙媒体管理モードへの移行を決定する決定ボタンと、キャンセルボタンをユーザIF65の受付画面に表示する。プリンタ17は、受付画面においてキャンセルボタンを操作された場合、S11で否定判断し(S11:NO)、図6に示す処理を終了し、ユーザIF65の画面を待機画面に切替える。あるいは、プリンタ17は、受付画面において一定時間だけ移行指示を受け付けなかった場合にも(S11:NO)、図6の処理を終了しても良い。
【0043】
一方、プリンタ17は、受付画面において決定ボタンの操作を受け付けると(S11:YES)、モードフラグ74を変更する(S13)。プリンタ17は、モードフラグ74を、通常モードを示す値「0」から用紙媒体管理モードを示す値「1」に変更する(以下、「モードフラグ74をオンする」という場合がある)。次に、プリンタ17は、モードフラグ74をオンすると、用紙媒体管理モードで必要な機能を有効化する(S15)。プリンタ17は、後述する用紙媒体ID76を発行する機能などを有効化する(S15)。これにより、プリンタ17は、用紙媒体管理モードが有効な状態(以下、「用紙媒体管理モードがオン状態」という場合がある)となる。プリンタ17は、S15を実行すると、図6に示す処理を終了する。
【0044】
(モード解除処理)
次に、プリンタ17が実行するモード解除処理について、図7を用いて説明する。プリンタ17は、図7に示すモード解除処理を実行することで、用紙媒体管理モードから通常モードへ移行する(用紙媒体管理モードオフする)。プリンタ17は、用紙媒体管理モードにおいて、ユーザIF65に対する操作入力に基づいて、用紙媒体管理モードを解除する指示を受け付ける受付画面(図示略)をユーザIF65に表示させると、図7に示す処理を開始する。尚、プリンタ17は、図6のモード移行処理と同様に、端末装置15のアプリケーション50からモード解除指示を取得しても良い。この場合、プリンタ17は、指示を取得すると、図7のS17の処理を省略して、S19以降の処理を実行しても良い。
【0045】
まず、S17において、プリンタ17は、ユーザIF65の受付画面において、解除の指示を受け付けたか否かを判断し、受付画面においてキャンセルボタンを操作された場合(S17:NO)、図7に示す処理を終了する。一方、プリンタ17は、受付画面において用紙媒体管理モードの解除を決定する決定ボタンの操作を受け付けると(S17:YES)、モードフラグ74をオフする(S19)。即ち、プリンタ17は、モードフラグ74を、用紙媒体管理モードを示す値から通常モードを示す値に変更する。次に、プリンタ17は、モードフラグ74をオフすると、用紙媒体管理モードの移行に合わせて図6のS15で有効化した機能を無効化する(S21)。プリンタ17は、用紙媒体ID76を発行する機能などを無効化する(S21)。これにより、プリンタ17は、通常モードとなる。
【0046】
また、プリンタ17は、用紙媒体管理モードがオン状態において、自装置のプリンタ記憶部69に記憶した用紙媒体ID76、即ち、使用中の用紙媒体ID76を記憶領域から削除する(S23)。プリンタ17は、S23を実行すると、図7に示す処理を終了する。尚、プリンタ17は、用紙媒体管理モードのオフに合わせて使用中の用紙媒体ID76を削除せずに、履歴データ77に残しても良い。また、プリンタ17は、S23において、用紙媒体ID76の削除と合わせて履歴データ77内の履歴も全て削除しても良い。
【0047】
(報知処理)
次に、プリンタ17が実行する報知処理について、図8を用いて説明する。プリンタ17は、図8に示す報知処理を実行することで、用紙媒体ID76の発行を実行するのか、登録を実行するのかを確認する。プリンタ17は、例えば、用紙媒体管理モードがオン状態において、開閉カバー17Aが開けられたことを開閉センサ66で検出すると、図8に示す処理を所定時間ごとに実行する。あるいは、プリンタ17は、用紙媒体管理モードがオン状態において、所定時間ごとに図8に示す処理を実行しても良い。また、プリンタ17は、例えば、後述するS33の処理を実行すると、図8を所定時間ごとに実行する処理を終了させる。
【0048】
ここで、上記したように、サーバ11は、管理DB27(図3参照)において、各プリンタ17で使用した感熱ロール紙81を、用紙媒体ID76に関連付けて管理する。また、プリンタ17は、後述するように、用紙媒体管理モードがオン状態になると、用紙媒体ID76がプリンタ記憶部69に記憶されていない、即ち、使用中の用紙媒体ID76を保持していない状態では、印刷指示に基づく印刷を実行しない。さらに、プリンタ17は、後述するように、感熱ロール紙81がプリンタ17から取り外された場合、使用中の用紙媒体ID76を削除する(図14参照)。このため、用紙媒体管理モードにおいて印刷を行ないたい場合、ユーザは、感熱ロール紙81をプリンタ17に装着した際に、新規に用紙媒体ID76を発行させるか(図10参照)、あるいは、既に発行済みの用紙媒体ID76をプリンタ17に登録する処理(図12参照)が必要となる。そこで、プリンタ17は、図8の報知処理を実行することで、用紙媒体管理モードがオン状態において、感熱ロール紙81が装着された際に、用紙媒体ID76を発行するのか、又は登録するのかを確認する。
【0049】
まず、S31において、プリンタ17は、開閉カバー17Aが閉じられ、且つ感熱ロール紙81が装着されたか否かを判断する(S31)。プリンタ17は、開閉センサ66から取得した信号に基づいて開閉カバー17Aが閉じられたことを検出し、且つ、装着センサ73から取得した信号に基づいて支持部材82に感熱ロール紙81が装着されたことを検出すると、S31で肯定判断する(S31:YES)。プリンタ17は、S31で肯定判断すると(S31:YES)、S33を実行する。また、プリンタ17は、開閉カバー17Aが閉じられていない場合や、開閉カバー17Aが閉じられても感熱ロール紙81が支持部材82に装着されていない場合(S31:NO)、図8に示す処理を終了する。プリンタ17は、開閉カバー17Aが閉じられていない場合、所定時間だけ経過した後、S31からの処理を再度実行する。これにより、プリンタ17は、開閉カバー17Aが開けられている状態において、図8の処理を繰り返し実行する。
【0050】
S33において、プリンタ17は、図9に示す発行登録受付画面91をユーザIF65に表示し、図8に示す処理を終了する。図9に示すように、プリンタ17は、メッセージ93、発行ボタン95、登録ボタン97、キャンセルボタン99を、発行登録受付画面91に表示する。プリンタ17は、メッセージ93として、「用紙媒体IDを発行しますか?登録しますか?」といった文字を表示させる。プリンタ17は、この発行登録受付画面91において、用紙媒体ID76の発行指示や登録指示を受け付ける。
【0051】
尚、プリンタ17は、S31において、開閉カバー17Aが閉じられ、且つ感熱ロール紙81が装着されたことをもって(S31:YES)、S33を実行した。これに対し、例えば、プリンタ17は、開閉カバー17Aが閉じられたことだけを条件に、即ち、開閉センサ66の信号だけで、S31を判断しても良い。プリンタ17は、開閉カバー17Aが閉じられたことを条件に、S33を実行しても良い。この場合、プリンタ17は、装着センサ73を備えなくとも良い。また、プリンタ17は、装着センサ73を備えないことで、感熱ロール紙81が支持部材82に装着されているか否かを検出できない場合、例えば、発行登録受付画面91に、「用紙をセットしていない場合は用紙をセットして下さい。」などの警告を表示しても良い。これにより、後述するID印刷処理や登録処理を実行する前に、より確実に感熱ロール紙81をプリンタ17に装着させることができる。
【0052】
(ID印刷処理)
次に、プリンタ17が実行するID印刷処理について、図10を用いて説明する。プリンタ17は、図10に示すID印刷処理を実行することで、装着された感熱ロール紙81について、用紙媒体ID76を新規に発行しサーバ11への登録を実行する。プリンタ17は、例えば、図8のS33を実行し、発行登録受付画面91をユーザIF65に表示すると、図10に示す処理を開始する。
【0053】
尚、図10の処理を開始する条件は、ユーザIF65に発行登録受付画面91を表示させる条件に限らない。例えば、プリンタ17は、端末装置15のアプリケーション50からの指示に基づいて、図10の処理を開始しても良い。即ち、プリンタ17は用紙媒体IDの発行指示を、アプリケーション50から取得しても良い。この場合、プリンタ17は、図10のS35の処理を省略し、アプリケーション50からの発行指示を取得した場合、S37以降の処理を実行しても良い。
【0054】
プリンタ17は、図10に示す処理を開始すると、S35において、用紙媒体ID76の発行指示を受け付けたか否かを判断する。プリンタ17は、発行登録受付画面91において、発行ボタン95を操作された場合、S35で肯定判断し(S35:YES)、S37を実行する。また、プリンタ17は、発行登録受付画面91において、登録ボタン97やキャンセルボタン99を操作された場合、S35で否定判断し(S35:NO)、図10に示す処理を終了する。
【0055】
S37において、プリンタ17は、用紙媒体IDを新規に発行する。例えば、プリンタ17は、GUIDを生成するプログラムを用いて、新規のGUIDを生成し、生成したGUIDを用紙媒体IDとして設定することで、用紙媒体IDを発行する。プリンタ17は、発行した用紙媒体IDを、用紙媒体ID76としてプリンタ記憶部69に記憶する(S39)。これにより、プリンタ17は、用紙媒体ID76を保持する状態となる。
【0056】
次に、プリンタ17は、S37で発行した用紙媒体ID76の印刷を実行する(S41)。ユーザは、用紙媒体ID76が既に発行された感熱ロール紙81について再度使用する場合、この印刷された用紙媒体ID76を確認することで、発行済みの用紙媒体ID76を確認できる。
【0057】
プリンタ17は、S41を実行すると、S37で発行した用紙媒体ID76を、サーバ11へ登録する処理を実行する(S43)。プリンタ17は、サーバ11へアクセスして、発行した用紙媒体ID76を通知する。サーバ11は、プリンタ17から取得した用紙媒体ID76を管理DB27に記憶する。この時点では、発行した用紙媒体ID76のデータは、例えば、使用量、使用量登録日時、プリンタIDが登録されていない(ブランクの状態)となる。プリンタ17は、サーバ11への登録を完了させると、図10に示す処理を終了する。これにより、新規に発行した用紙媒体ID76をサーバ11に登録することができる。
【0058】
尚、プリンタ17がサーバ11のアクセス先を取得する方法は、特に限定されない。例えば、予めサーバ11のURL等をプリンタ17のプリンタ記憶部69に設定しても良い。また、プリンタ17は、サーバ11のアクセス先情報を端末装置15から取得しても良い。また、プリンタ17は、登録しようとている用紙媒体ID76が既に管理DB27に登録されていないかサーバ11に確認しても良い。例えば、プリンタ17は、S43において、用紙媒体ID76を通知した際に、既に登録済みの用紙媒体ID76と重複している旨の応答を受けた場合、改めて用紙媒体ID76を発行・記憶しても良い。
【0059】
図11は、用紙媒体ID76を感熱紙83に印刷した印刷済みの用紙101を示している。図11に示すように、プリンタ17は、用紙媒体IDであることを示すメッセージ103と、用紙媒体ID76の数値を、用紙101に印刷する。また、プリンタ17は、用紙媒体ID76を示すコード情報105として、例えば、QRコード(登録商標)を用紙101に印刷する。これにより、コード情報105を端末装置15で読み取ることで、端末装置15のタッチパネル45で用紙媒体ID76を確認することができる。また、ユーザは、端末装置15を操作して、コード情報105から読み取った用紙媒体ID76をプリンタ17に送信することで、用紙媒体ID76の登録を行なうことができる。例えば、ユーザは、用紙媒体ID76を発行した感熱ロール紙81を再使用する際に、端末装置15で読み取った用紙媒体ID76をプリンタ17に送信し、後述する登録処理を実行しても良い。
【0060】
また、プリンタ17は、感熱紙83を搬送する搬送方向89(図4参照)における用紙101の幅である搬送方向幅107を、所定の幅に設定し、用紙101を印刷する。プリンタ17は、例えば、搬送方向幅107を、図4に示す支持部材82の挿入部82Aの外周の長さ82B以下の幅となるように印刷する。即ち、用紙101の搬送方向の長さを、ロール85に挿入する挿入部82Aの外周の長さ82B以下とする。これにより、印刷した用紙101を丸めてロール85内に挿入し易くなり、使用していない期間の用紙媒体ID76の管理が容易となる。
【0061】
また、プリンタ17は、用紙101における用紙媒体ID76やコード情報105(本願の識別情報に係わる情報)を印刷した領域の搬送方向89(図4参照)に沿った搬送方向幅109及び軸方向87(図4参照)に沿った軸方向幅111が、一定の大きさとなるように、印刷する。従って、プリンタ17は、感熱紙83に印刷する用紙媒体ID76等の印刷領域のサイズ(搬送方向幅109、軸方向幅111)が、感熱紙83のサイズに係わらず一定となるように印刷する。これにより、用紙媒体ID76を一定の文字サイズで印刷することができ、ユーザが用紙媒体ID76を読み間違えることを抑制できる。また、コード情報105を一定のサイズで印刷でき、コード情報105の読み取りミスの発生を抑制できる。尚、プリンタ17は、コード情報105や用紙媒体ID76の一方のみを一定のサイズで印刷しても良い。
【0062】
また、プリンタ17は、支持部材82に装着可能な感熱紙83の軸方向の幅のうち、最小の軸方向幅を、最小軸方向幅とした場合、軸方向幅111が、最小軸方向幅以下となるように印刷する。これにより、軸方向87の幅が最も小さい感熱紙83(感熱ロール紙81)を装着した場合でも、印刷したコード情報105や用紙媒体ID76が、軸方向87における感熱紙83の外側へはみ出ることを抑制できる。上記した搬送方向幅107、搬送方向幅109、軸方向幅111の値や情報については、例えば、予めベンダによってプリンタ記憶部69に設定しても良い。
【0063】
尚、図11に示す用紙101の構成は、一例である。プリンタ17は、用紙媒体ID76及びコード情報105の一方を用紙101に印刷しなくとも良い。また、端末装置15は、用紙媒体ID76のみが印刷された場合にも、用紙媒体ID76を撮像して文字認識をして用紙媒体ID76を読み取っても良い。また、コード情報105は、QRコード(登録商標)に限らず、バーコード等の用紙媒体ID76を伝達可能な他の情報でも良い。また、プリンタ17は、搬送方向幅109を、ロール85の外周の長さ82B以下や、挿入部82Aの直径82C(図4参照)以下の幅となるように用紙101を印刷しても良い。また、プリンタ17は、搬送方向幅109や軸方向幅111を一定サイズにせず、装着された感熱紙83の用紙サイズに応じて、搬送方向幅109、軸方向幅111を変更しても良い。即ち、プリンタ17は、用紙サイズに応じてコード情報105やメッセージ103を拡大又は縮小しても良い。また、プリンタ17は、用紙101の搬送方向幅107の指定を、アプリケーション50から受け付けても良い。
【0064】
(登録処理)
次に、プリンタ17が実行する登録処理について、図12を用いて説明する。プリンタ17は、図12に示す登録処理を実行することで、用紙媒体ID76が発行済みの感熱ロール紙81をプリンタ17に装着した場合に、発行済みの用紙媒体ID76を装着された感熱ロール紙81に関連付ける処理を実行する。プリンタ17は、例えば、図8のS33を実行し、発行登録受付画面91をユーザIF65に表示すると、図12に示す処理を開始する。
【0065】
プリンタ17は、図12に示す処理を開始すると、S51において、用紙媒体ID76の登録指示を受け付けたか否かを判断する。プリンタ17は、発行登録受付画面91において、登録ボタン97(図9参照)を操作された場合、S51で肯定判断し(S51:YES)、S53を実行する。また、プリンタ17は、発行登録受付画面91において、発行ボタン95やキャンセルボタン99を操作された場合、S51で否定判断し(S51:NO)、図12に示す処理を終了する。従って、プリンタ17は、発行登録受付画面91でキャンセルボタン99が操作された場合、媒体管理モードがオン状態であるものの、用紙媒体ID76を記憶しない状態となる。この状態では、プリンタ17は、後述するように、印刷を実行しない(図15のS87:NO)。
【0066】
S53において、プリンタ17は、用紙媒体IDを受け付けて記憶する。例えば、プリンタ17は、登録ボタン97を操作されると、用紙媒体IDを入力する入力ボックスをユーザIF65に表示して用紙媒体IDを受け付ける。ユーザは、例えば、初めて感熱ロール紙81をプリンタ17に装着した際に、図10のID印刷処理をプリンタ17に実行させて用紙101を印刷させる。ユーザは、印刷した用紙101をロール85の中に収納して保管する。あるいは、ユーザは、印刷した用紙101と感熱ロール紙81と何らかの方法で関連付けて別々に管理しても良い。ユーザは、S53において、印刷した用紙101の用紙媒体ID76を確認してユーザIF65で入力する。プリンタ17は、入力された値を用紙媒体ID76としてプリンタ記憶部69に記憶する(S53)。
【0067】
プリンタ17は、S53を実行すると、S53で記憶した用紙媒体ID76をサーバ11へ確認する処理を実行する(S55)。例えば、プリンタ17は、用紙媒体ID76をサーバ11へ問い合わせて、管理DB27に登録された用紙媒体IDであるか確認する。プリンタ17は、仮に、管理DB27に登録されていない用紙媒体ID76であった場合、エラー等を通知してユーザに用紙媒体ID76の再入力や発行指示を促しても良い。プリンタ17は、S55を実行すると、図12に示す処理を終了する。
【0068】
尚、プリンタ17は、S55の確認処理を実行しなくとも良い。また、プリンタ17は、S55において、自装置のプリンタIDと、用紙媒体ID76をサーバ11へ送信しても良い。これにより、サーバ11は、用紙媒体ID76が登録済みの感熱ロール紙81について、同じプリンタ17や別のプリンタ17で使用が開始された場合に、S55の処理の時点で、どのプリンタ17で使用を開始したのかを把握できる。
【0069】
(別例の登録処理)
尚、図12の登録処理を開始する条件は、ユーザIF65に発行登録受付画面91を表示させる条件に限らない。例えば、プリンタ17は、端末装置15のアプリケーション50からの指示に基づいて、図12の処理を開始しても良い。即ち、プリンタ17は用紙媒体IDの登録指示を、アプリケーション50から取得しても良い。
【0070】
図13は、端末装置15から登録指示を送信する場合の端末装置15及びプリンタ17の処理を示している。尚、図13における左下向きの矢印はユーザによる作業を示している。まず、ユーザは、用紙媒体ID76が発行済みの感熱ロール紙81をプリンタ17に装着し、開閉カバー17Aを閉じる(S61)。プリンタ17は、例えば、媒体管理モードがオン状態において感熱ロール紙81が装着され、且つ開閉カバー17Aが閉じられると、図8のS33を実行し、発行登録受付画面91をユーザIF65に表示させる。プリンタ17は、登録ボタン97が操作されると、用紙媒体ID76を入力させる入力ボックスをユーザIF65に表示しつつ、用紙媒体ID76をアプリケーション50から受け付ける登録指示受付状態に移行する(S63)。
【0071】
一方、端末装置15は、ユーザの操作に基づいてアプリケーション50を起動し、用紙101のコード情報105の読み取りを実行する。ユーザは、端末装置15を操作し、コード情報105を読み取る(S65)。端末装置15は、読み取りに成功すると、読み取ったコード情報105が示す用紙媒体ID76をプリンタ17へ送信する(S67)。尚、端末装置15は、用紙101に印刷された用紙媒体ID76の数値を、タッチパネル45でユーザから受付け、受け付けた用紙媒体ID76をプリンタ17に送信しても良い(S67)。あるいは、端末装置15は、過去に登録等した用紙媒体ID76やその用紙媒体ID76の感熱ロール紙81の情報(用紙サイズ、用紙種など)を履歴として残しておき、その履歴の中からプリンタ17へ送信する用紙媒体ID76の選択を受け付けても良い。
【0072】
プリンタ17は、S67で端末装置15(アプリケーション50)から用紙媒体ID76を取得すると、図12のS53,S55と同様に、取得した用紙媒体ID76の記憶やサーバ11への確認を実行する。プリンタ17は、S55でサーバ11の確認処理を完了させると、登録が完了した旨を端末装置15へ通知する(S69)。このようにして、プリンタ17は、ユーザIF65で用紙媒体ID76を受け付けずに、端末装置15から受け付けることができる。
【0073】
尚、用紙媒体ID76の登録指示を受け付ける方法は、上記したユーザIF65での入力や、端末装置15による読み取り・入力に限らない。例えば、プリンタ17は、登録する用紙媒体ID76を、履歴データ77の中から受け付けても良い。例えば、プリンタ17は、図12のS53において、履歴データ77をユーザIF65に表示して用紙媒体ID76の選択を受け付けても良い。
【0074】
(削除処理)
次に、プリンタ17が実行する削除処理について、図14を用いて説明する。プリンタ17は、図14に示す削除処理を実行することで、プリンタ17から取り外された感熱ロール紙81について、用紙媒体ID76を削除し履歴データ77へ移行する処理を実行する。プリンタ17は、例えば、開閉カバー17Aが開けられたことを検出すると、図14に示す処理を所定時間毎に実行する。また、プリンタ17は、例えば、後述するS73の処理を実行した場合や、開閉カバー17Aが閉じられた場合、図14の処理を所定時間ごとに実行する処理を終了させる。
【0075】
プリンタ17は、図14に示す処理を開始すると、S71において、感熱ロール紙81が取り外されたか否かを判断する。プリンタ17は、装着センサ73の信号に基づいて感熱ロール紙81が支持部材82から取り外されたか否かを判断する。プリンタ17は、感熱ロール紙81が取り外された場合(S71:YES)、S73を実行する。また、プリンタ17は、感熱ロール紙81が取り外されていない場合(S71:NO)、図14に示す処理を終了し、開閉カバー17Aが閉じられていなければ、所定時間が経過した後に、S71から再度実行する。
【0076】
S73において、プリンタ17は、用紙媒体ID76をプリンタ記憶部69に記憶しているか否かを判断する。即ち、プリンタ17は、使用中の用紙媒体ID76が登録されているか否かを判断する。プリンタ17は、用紙媒体ID76を記憶していない場合(S73:NO)、図14に示す処理を終了する。この場合、プリンタ17は、例えば、開閉カバー17Aが閉じられて、再度開けられるまで、図14の処理は実行しない。
【0077】
S75において、プリンタ17は、使用中の用紙媒体ID76で、履歴データ77を更新する。プリンタ17は、例えば、履歴データ77の前々回使用のデータを削除する。プリンタ17は、前回使用のデータを、前々回使用のデータに変更する。そして、プリンタ17は、使用中の用紙媒体ID76のデータを前回使用のデータとして履歴データ77に記憶する。プリンタ17は、S75の実行時、即ち、感熱ロール紙81を取り外した日時を、使用日時として履歴データ77に登録する。また、取り外された感熱ロール紙81を使用していた際に、ユーザによって設定された用紙幅や用紙種の情報を、媒体情報として履歴データ77に登録する。これにより、履歴データ77を、取り外された感熱ロール紙81の情報で更新できる。
【0078】
プリンタ17は、S75を実行すると、使用中の用紙媒体ID76の情報をプリンタ記憶部69から削除する(S77、履歴データ77には残したまま、プリンタ記憶部69から削除する)。プリンタ17は、S77を実行すると、図14に示す処理を終了する。これにより、感熱ロール紙81の取り外しに応じて使用中の用紙媒体ID76の情報を削除することで、交換後の感熱ロール紙81が誤った用紙媒体ID76と関連付けられて使用されることを抑制できる。
【0079】
尚、図14に示す処理内容は、一例である。例えば、プリンタ17は、図14のS71を実行しなくとも良い。プリンタ17は、開閉センサ66で開閉カバー17Aが開けられたことを検出した場合に、S73以降の処理を実行しても良い。この場合、プリンタ17は、装着センサ73を備えなくとも良い。
【0080】
(印刷処理)
次に、プリンタ17が実行する印刷処理について、図15を用いて説明する。プリンタ17は、図15に示す印刷処理を実行することで、受け付けた印刷指示に基づく印刷を実行する。プリンタ17は、例えば、電源を投入されプリンタCPU70でプリンタプログラム71を実行してシステムを起動すると、通常モード及び用紙媒体管理モードの何れであるかに係わらず、図15の処理を開始する。
【0081】
まず、プリンタ17は、図15のS81において、印刷指示を受け付けたか否かを判断する。プリンタ17は、例えば、端末装置15から第1通信IF61や第2通信IF62を介して印刷指示を受け付けた場合、S81で肯定判断し(S81:YES)、S83を実行する。あるいは、プリンタ17は、ユーザIF65の操作入力に基づいてテンプレートデータ78等の印刷指示を受け付けた場合、S81で肯定判断する(S81:YES)。一方、プリンタ17は、印刷指示を受け付けない場合(S81:NO)、図15に示す処理を終了する。プリンタ17は、処理を終了すると、S81からの処理を再度実行する。
【0082】
S83において、プリンタ17は、用紙媒体管理モードがオン状態であるか否かを判断する。プリンタ17は、モードフラグ74に基づいて現在のモードを判断し、用紙媒体管理モードがオフ状態、即ち、通常モードである場合(S83:NO)、S81で受け付けた印刷指示に基づく印刷を印刷部64で実行する(S85)。プリンタ17は、印刷を実行すると、図15に示す処理を終了し、S81からの処理を再度実行する。これにより、用紙媒体ID76による感熱ロール紙81の管理を実施しない使用環境では、プリンタ17を通常モードに設定することで、用紙媒体ID76による制限を受けることなく印刷を実行できる。
【0083】
一方、プリンタ17は、用紙媒体管理モードがオン状態である場合(S83:YES)、使用中の用紙媒体ID76を記憶しているか否かを判断する(S87)。プリンタ17は、用紙媒体ID76が記憶されていない場合、印刷を実行せずにエラーを報知する(S89)。例えば、用紙媒体管理モードがオン状態で感熱ロール紙81を装着した後、図9に示す発行登録受付画面91でキャンセルボタン99を選択した場合、プリンタ17は、用紙媒体ID76を記憶しない状態となる。従って、用紙媒体管理モードをオン状態にした後、感熱ロール紙81を装着したにも係わらず、図10のID印刷処理や図12の登録処理を実行しなかった場合、プリンタ17は、用紙媒体ID76を記憶しない状態となる。このような状態では、プリンタ17は、印刷で使用した感熱紙83の使用量を、用紙媒体ID76に関連付けてサーバ11に報告できない。このため、プリンタ17は、用紙媒体管理モードがオン状態で用紙媒体ID76が記憶されていない場合は、印刷を実行しない。プリンタ17は、S89において、例えば、発行登録受付画面91を表示し、「用紙媒体ID76が登録されていないため、印刷できません、用紙媒体ID76の発行又は登録を実行して下さい」などのメッセージを表示しても良い。また、プリンタ17は、印刷指示の指示元(端末装置15等に)印刷エラーを送信しても良い。プリンタ17は、S89を実行すると、図15に示す処理を終了し、S81からの処理を再度実行する。
【0084】
また、プリンタ17は、用紙媒体ID76を記憶している場合(S87:YES)、用紙媒体ID76をサーバ11に登録済みであるか否かを確認する(S91)。プリンタ17は、例えば、自装置の用紙媒体ID76をサーバ11へ送信し、管理DB27に登録されているか否かを問い合わせる。図10のID印刷処理において、S37で新規の用紙媒体ID76を発行しS39で記憶したものの、S43の登録処理においてネットワーク障害等で登録できなかった場合、使用中の用紙媒体ID76が管理DB27に未登録となる。あるいは、何らかの原因で管理DB27に登録されていた用紙媒体ID76が消えてしまった場合にも、用紙媒体ID76が未登録となる。
【0085】
プリンタ17は、S91の問い合わせを実行した後、問い合わせ結果を判断する(S93)。プリンタ17は、用紙媒体ID76が管理DB27に登録されていた場合(S93:YES)、S81で受け付けた印刷指示に基づく印刷を印刷部64で実行する(S95)。プリンタ17は、印刷を完了させると、印刷で使用した感熱紙83の使用量を使用量データ75に記憶する。また、プリンタ17は、印刷で使用した感熱紙83の使用量をサーバ11へ送信し、管理DB27の情報を更新する(S97)。プリンタ17は、例えば、用紙媒体ID76、印刷で使用した使用量(何cmなど)、自装置のプリンタIDを、サーバ11へ送信する。サーバ11は、プリンタ17から取得した用紙媒体ID76、使用量及びプリンタIDを関連付けて管理DB27に登録する。また、サーバ11は、使用量登録日時として、プリンタ17から用紙媒体ID76等を取得した日時を設定する。これにより、プリンタ17で印刷が実行されるごとに、その印刷で使用された感熱ロール紙81の用紙媒体ID76と、使用量が管理DB27に登録される。プリンタ17は、S97を実行すると、図15に示す処理を終了し、S81からの処理を再度実行する。
【0086】
また、プリンタ17は、S93において、使用中の用紙媒体ID76が管理DB27に登録されていなかった場合(S93:NO)、サーバ11にアクセスして管理DB27への登録を実行する(S99)。プリンタ17は、用紙媒体ID76を管理DB27へ登録する処理に成功した場合(S101:YES)、印刷を実行し(S95)、使用量を管理DB27へ登録する(S97)。
【0087】
一方、プリンタ17は、ネットワーク障害等で用紙媒体ID76を管理DB27に登録できない場合(S101:NO)、S81で受け付けた印刷指示を実行せずに印刷エラーを報知し(S103)、図15に示す処理を終了する。プリンタ17は、例えば、「用紙媒体ID76をサーバ11に登録できなかったため、印刷を実行できませんでした。ネットワーク接続をご確認下さい」などのメッセージを、ユーザIF65や印刷指示元の端末装置15に表示させる。プリンタ17は、図15の処理を終了すると、S81からの処理を再度実行する。
【0088】
尚、図15に示す処理の内容、順番等は、一例である。例えば、プリンタ17は、S101で登録に失敗した場合、端末装置15に用紙媒体ID76の登録を依頼しても良い。即ち、プリンタ17は、端末装置15を介した用紙媒体ID76の登録を実行し、登録に成功した場合は、印刷を実行しても良い(S95)。また、プリンタ17は、S101で登録に失敗しても(S101:NO)、印刷を実行しても良い(S95)。この場合、プリンタ17は、印刷の終了後など、一定時間だけ経過した後に、用紙媒体ID76の管理DB27への登録を再度実行しても良い。また、プリンタ17は、複数の印刷指示について、S101で登録に失敗しても(S101:NO)、順次印刷指示を実行し、全ての印刷指示が完了した後に、まとめて使用量を管理DB27に登録しても良い。同様に、プリンタ17は、S97で登録に失敗した場合、複数の印刷が終了した後に、使用量データ75をまとめてサーバ11に登録しても良い。
【0089】
(ID再印刷処理)
次に、プリンタ17が実行するID再印刷処理について、図16を用いて説明する。プリンタ17は、図16に示すID再印刷処理を実行することで、使用中の用紙媒体ID76又は履歴データ77の用紙媒体IDを再度印刷する。プリンタ17は、例えば、用紙媒体管理モードがオン状態である場合、図16に示す処理を所定時間ごとに実行する。
【0090】
まず、プリンタ17は、図16の処理を開始すると、用紙媒体IDの再発行指示を受け付けたか否かを判断する(S111)。プリンタ17は、例えば、ユーザIF65に対する所定の操作入力に基づいて、用紙媒体IDの再発行指示を受け付ける。あるいは、プリンタ17は、再発行指示を、端末装置15のアプリケーション50から受け付けても良い。プリンタ17は、再発行指示を受け付けない場合(S111:NO)、図16に示す処理を終了し、再度、S111からの処理を実行する。尚、プリンタ17は、ユーザIF65の操作入力に基づいて、再発行指示を受け付ける画面が表示された場合に、図16の処理を開始しても良い。
【0091】
プリンタ17は、再発行指示をユーザIF65で受け付けると(S111:YES)、どの用紙媒体ID76を再発行するのか、選択肢をユーザIF65に表示する(S113)。プリンタ17は、使用中の用紙媒体ID76と、履歴データ77に記憶された2つの用紙媒体IDの合計3つの用紙媒体IDを選択する画面をユーザIF65に表示する(S113)。尚、プリンタ17は、履歴データ77の用紙媒体IDのみを表示しても良い。あるいは、プリンタ17は、選択を受け付けずに、使用中の用紙媒体ID76のみを印刷しても良い。
【0092】
プリンタ17は、S113を実行すると、表示した3つの用紙媒体IDのうちどの用紙媒体IDが発行対象に選択されたか否かを判断する(S115)。プリンタ17は、3つの用紙媒体IDの何れも選択されなかった場合(S115:NO)、図16に示す処理を終了する。また、プリンタ17は、3つの用紙媒体IDの何れか選択されると(S115:YES)、選択された発行対象の用紙媒体IDを、図10のS41と同様に印刷する(S117、図11参照)。プリンタ17は、S41と同様に、用紙101のサイズを一定サイズにしても良く、コード情報105等の印刷領域の幅(軸方向幅111、搬送方向幅109)を一定の大きさにしても良い。また、プリンタ17は、S117において、再印刷した印刷物であることが分かるように、例えば、「再印刷」、「再」などの文字やマークを再印刷した用紙101に印刷しても良い。プリンタ17は、S117を実行すると、図16に示す処理を終了し、再度、S111からの処理を実行する。
【0093】
因みに、管理DB27は、管理データの一例である。端末制御部41は、コンピュータの一例である。アプリケーション50は、プログラムの一例である。第1通信IF61、第2通信IF62は、通信部の一例である。プリンタ制御部67は、制御部の一例である。用紙媒体ID76は、識別情報の一例である。感熱ロール紙81、感熱紙83、ロール85は、消耗品の一例である。感熱紙83は、印刷媒体の一例である。用紙101は、印刷媒体の一例である。S33は、報知処理の一例である。S37は、発行処理の一例である。S41は、識別情報印刷処理の一例である。S65は、取得処理の一例である。S67は、プリンタ送信処理の一例である。図13のS53は、登録処理の一例である。S75は、更新処理の一例である。S77は、削除処理の一例である。S81は、印刷指示受付処理の一例である。S87は、判断処理の一例である。S91は、確認処理の一例である。S95は、印刷処理の一例である。S97は、サーバ送信処理の一例である。S89は、制限処理の一例である。図16のID再印刷処理は、識別情報再印刷処理の一例である。
【0094】
(効果)上記した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態のプリンタ17は、印刷指示を受け付けるS81の処理と、感熱紙83を識別可能な用紙媒体ID76を、プリンタ記憶部69に記憶しているか否かを判断するS87の処理と、を実行する。そして、プリンタ17は、用紙媒体ID76を記憶している場合(S87:YES)、S81で受け付けた印刷指示に基づく印刷を実行する(S95)。プリンタ17は、印刷によって使用された感熱紙83の使用量に関する情報を、サーバ11へ送信する(S97)。プリンタ17は、S87の判断の結果、用紙媒体ID76を記憶していない場合(S87:NO)、S81で受け付けた印刷指示に基づく印刷を実行しない(S89)。
【0095】
これによれば、用紙媒体管理モードがオン状態で用紙媒体ID76が記憶されている場合、プリンタ17は、印刷を実行と、その印刷で使用した感熱ロール紙81の使用量を管理DB27に登録する。システム管理者は、会社で所有するプリンタ17で使用される感熱ロール紙81を管理DB27で管理でき、交換用の感熱ロール紙81を、使用量に応じて適切な個数だけ発注することができる。また、会社から支給していない感熱ロール紙81など、例えば、プリンタ17のベンダが販売している正規品の感熱ロール紙81以外の感熱ロール紙81を、社員が勝手に購入して使用した場合でも、非正規の感熱ロール紙81に用紙媒体ID76を設定して使用量を管理できる。
【0096】
さらに、プリンタ17は、用紙媒体ID76を記憶していない場合、印刷指示を受け付けても印刷を実行しない。このため、用紙媒体管理モードをオン状態にしておけば、用紙媒体ID76に関連付けられていない(所在が不明な)感熱ロール紙81がプリンタ17で使用されることを抑制できる。社員等が消費する感熱ロール紙81(感熱紙83)を精度良く管理できる。
【0097】
(2)プリンタ17は、感熱紙83に印刷を実行する印刷部64を備える。上記実施形態では、本願の消耗品として、感熱紙83を採用している。これによれば、印刷システム10で消費される感熱紙83を、用紙媒体ID76に関連付けてサーバ11側で管理することができる。
【0098】
(3)プリンタ17は、新たな用紙媒体ID76の発行指示を受け付けたことに基づいて、(S35:YES),新たな用紙媒体ID76を発行する(S37)。プリンタ17は、S37を実行した後、発行した用紙媒体ID76を、感熱紙83に印刷する(S41)。これによれば、プリンタ17は、ユーザからの発行指示に基づいて用紙媒体ID76を新規に発行し、使用することができる。また、プリンタ17は、用紙媒体ID76を印刷することで、使用中の感熱ロール紙81に関連付けた用紙媒体ID76を用紙101でユーザに管理させることができる。ユーザは、発行済みの感熱ロール紙81を再度使用する際に、印刷した用紙101を用いて用紙媒体ID76をプリンタ17に登録し使用することができる。従って、発行済みの感熱ロール紙81を、同じプリンタ17又は別のプリンタ17で再利用する際にも、用紙媒体ID76に基づいて使用量をサーバ11で管理できる。
【0099】
(4)感熱紙83は、ロール85に巻き付けられている。印刷部64は、ロール85の軸方向87からロール85の中に挿入してロール85を支持する支持部材82を有し、ロール85を回転させながら感熱紙83を搬送して、感熱紙83に対する印刷を実行する。プリンタ17は、用紙媒体ID76を印刷した用紙101の搬送方向89における搬送方向幅107が、支持部材82の外周の長さ82B以下の幅となるように印刷する。
【0100】
これにより、印刷した用紙101を丸めてロール85内に挿入し易くなり、使用していない期間の用紙媒体ID76の管理が容易となる。また、改めて使用する際には、ロール85内の用紙101の用紙媒体ID76や、ロール85から一部を引き出した用紙101の用紙媒体ID76を目視で確認する、又はコード情報105を端末装置15で読み取ることができる。また、例えば、用紙媒体ID76をラベル紙などの貼り付け可能な用紙に印刷した場合、ロール85の内周一周分以下で貼り付けることができ、ロール85内で重ならないように貼り付けることができる。尚、プリンタ17は、搬送方向幅107を、例えば、図4に示す挿入部82Aの直径82C以下の幅に設定し用紙101を印刷しても良い。これにより、ロール85に用紙101を貼り付ける作業が容易となり、且つロール85内に貼り付けた用紙101からコード情報105を読み取る作業もより容易となる。
【0101】
(5)プリンタ17は、用紙101に印刷される用紙媒体ID76やコード情報105の軸方向87における軸方向幅111が、支持部材82に装着可能な感熱紙83の軸方向の幅のうち、最小の軸方向幅以下となるように印刷する。これにより、軸方向87の幅が最も小さい感熱紙83(感熱ロール紙81)を装着した場合でも、印刷したコード情報105や用紙媒体ID76が、軸方向87における感熱紙83の外側へはみ出ることを抑制できる。即ち、コード情報105や用紙媒体ID76を印刷したものが途中で切れるような事態の発生を抑制することができる。
【0102】
(6)プリンタ17は、用紙101に印刷される用紙媒体ID76やコード情報105のサイズが、感熱紙83のサイズに係わらず一定となるように印刷する。これにより、用紙媒体ID76を一定の文字サイズで印刷することができ、ユーザが用紙媒体ID76を読み間違えることを抑制できる。また、コード情報105を一定のサイズで印刷でき、コード情報105の読み取りミスの発生を抑制できる。
【0103】
(7)プリンタ17は、図10のID印刷処理を実行した後、ユーザからの指示に応じて、印刷済みの用紙媒体ID76やコード情報105を、用紙101に印刷する(図16参照)。これによれば、ユーザは、用紙101を紛失等した場合に、用紙101を再度印刷させて管理することができる。感熱ロール紙81の用紙媒体ID76が不明となることを抑制できる。また、紛失に応じて、用紙媒体ID76を、改めて新規発行する必要がなくなる。サーバ11側においても、同一の感熱ロール紙81に対して異なる2以上の用紙媒体ID76が割り当てられることがなく、管理が容易となる。
【0104】
(8)プリンタ17は、図16のS117において、既に印刷済みである用紙媒体ID76等を、再度、印刷したことを示す情報(「再印刷」などの文字やマーク)を、用紙101に印刷する。これによれば、再印刷した用紙101を見ることで、再印刷した用紙媒体ID76であるか否かを判断することができる。仮に、紛失した用紙101が発見された場合にも、2つの用紙101を照らし合わせて紛失した用紙101であることを確認できる。
【0105】
(9)端末装置15は、用紙101に印刷した用紙媒体ID76やコード情報105から、用紙媒体ID76を取得しても良い(S65)。端末装置15は、S65で取得した用紙媒体ID76を、プリンタ17に送信する(S67)。プリンタ17は、S67で取得した用紙媒体ID76を、自装置に登録する(図13のS53)。これによれば、QRコード(登録商標)や文字認識技術を用いて、用紙101から用紙媒体ID76を端末装置15で取得し、端末装置15からプリンタ17へ登録させることができる。ユーザは、端末装置15を操作することで、登録を実行できる。
【0106】
(10)プリンタ17は、開閉カバー17Aと、開閉カバー17Aの開閉を検出する開閉センサ66と、を備える。プリンタ17は、開閉カバー17Aを開けた状態で感熱ロール紙81の交換が可能であり、開閉センサ66により開閉カバー17Aが閉じられたことを検出すると(S31:YES)、用紙媒体ID76の発行又は登録を促す(S33)。これによれば、プリンタ17は、開閉カバー17Aの開閉に応じて、即ち、感熱ロール紙81が交換された可能性が高い場合に、発行又は登録をユーザに促すことができる。
【0107】
(11)プリンタ17は、感熱ロール紙81の装着の有無を検出する装着センサ73を備える。プリンタ17は、開閉センサ66により開閉カバー17Aが閉じられたことを検出し、且つ、装着センサ73により感熱ロール紙81が装着されたことを検出したことに基づいて(S31:YES)、S33を実行する。これによれば、開閉カバー17Aが開閉されただけでなく、感熱ロール紙81が支持部材82に装着されている場合に、発行等をユーザに促すことができる。換言すれば、開閉カバー17Aが閉じられたものの感熱ロール紙81が装着されていないような場合には、不必要に発行等をユーザに促すことを抑制できる。
【0108】
(12)プリンタ17は、装着センサ73に基づいて、感熱ロール紙81が取り外されたことを検出すると(S71:YES)、使用中の用紙媒体ID76を削除する(S77)。これにより、感熱ロール紙81の取り外しに応じて使用中の用紙媒体ID76の情報を削除することで、交換した感熱ロール紙81が誤った用紙媒体ID76と関連付けられて使用されることを抑制できる。
【0109】
(13)また、プリンタ17は、装着センサ73を備えないような構成の場合、開閉センサ66に基づいて、開閉カバー17Aが開けられたことを検出すると、使用中の用紙媒体ID76を削除する処理を実行しても良い。これにより、開閉カバー17Aが開けられたことに応じて使用中の用紙媒体ID76の情報を削除することで、交換した感熱ロール紙81が誤った用紙媒体ID76と関連付けられて使用されることを抑制できる。
【0110】
(14)プリンタ17は、自装置で過去に保持した用紙媒体ID76の履歴データ77を有する。プリンタ17は、使用中の用紙媒体ID76を削除する前に、使用中の用紙媒体ID76の情報に基づいて履歴データ77を更新する(S75)。これによれば、感熱ロール紙81が取り外され用紙媒体ID76を削除するのに合わせて、履歴データ77を更新できる。
【0111】
(15)プリンタ17は、通常モードの場合(S83:NO)、S87の判断処理、S97のサーバ送信処理、及びS89の制限処理を実行しない。プリンタ17は、この通常モードと、用紙媒体管理モード(本願の消耗品管理モードの一例)を切り替え可能である。これによれば、感熱ロール紙81を用紙媒体ID76で管理するか否かに応じて、即ち、ユーザの使用環境に応じて、モードを選択し、プリンタ17を利用できる。例えば、用紙媒体ID76による制限をしたくないユーザ等には、通常モードで使用させることで、ユーザビリティを向上できる。
【0112】
(16)プリンタ17は、S97において、感熱紙83の使用量に関する情報を、端末装置15を介してサーバ11へ送信しても良い。これによれば、例えば、出張先等でプリンタ17がネットワーク19に接続されていない場合など、端末装置15を介して使用量をサーバ11へ登録できる。プリンタ17から端末装置15へ使用量を送信する方法は、Bluetooth(登録商標)、NFC、Wi-Fi Direct(登録商標)などの通信方式を利用できる。
【0113】
(17)サーバ11は、用紙媒体ID76を記憶する管理DB27を有する。プリンタ17は、S87で肯定判断すると(S87:YES)、使用中の用紙媒体ID76が管理DB27に登録されているか否かをサーバ11に確認する(S91)。プリンタ17は、S91の処理の結果、管理DB27に用紙媒体ID76が登録されていた場合(S93:YES)、印刷を実行する(S95)。また、プリンタ17は、用紙媒体ID76を記憶していても、その用紙媒体ID76が管理DB27に未登録である場合(S93:NO)、印刷指示に基づく印刷を実行しない(S103)。これによれば、プリンタ17に記憶されただけでなく、サーバ11に登録されいる場合のみ印刷を許可することができる。感熱ロール紙81の使用量等をより確実にサーバ11で管理できる。
【0114】
(変形例)
以上、本願の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施形態の変形例を以下に列挙する。
例えば、上記実施形態において、本願の印刷指示受付処理、判断処理、印刷処理、サーバ送信処理、制限処理、識別情報印刷処理、識別情報再印刷処理、報知処理、削除処理、確認処理等を、プリンタ17以外の装置が実行しても良い。例えば、端末装置15がアプリケーション50を実行して、ユーザから印刷指示を受け付ける処理は、本願の印刷指示受付処理として考えることができる。また、例えば、端末装置15は、アプリケーション50を実行し、用紙媒体ID76を記憶しているか否かを、プリンタ17に問い合わせる処理、即ち、判断処理を実行しても良い。また、例えば、端末装置15は、アプリケーション50を実行し、問い合わせた結果、プリンタ17が用紙媒体ID76を記憶していると判断した場合、プリンタ17に印刷指示を送信して印刷を実行させても良い、即ち、印刷処理を実行しても良い。また、例えば、端末装置15は、アプリケーション50を実行し、印刷後に、印刷によって使用された感熱紙83の使用量の情報をプリンタ17から取得しサーバ11へ送信する処理、即ち、サーバ送信処理を実行しても良い。また、例えば、端末装置15は、アプリケーション50を実行し、プリンタ17が用紙媒体ID76を記憶していないと判断した場合、ユーザから受け付けた印刷指示をプリンタ17へ送信しなくとも良い、即ち、制限処理を実行しても良い。この場合、端末装置15が、ユーザにエラー等を通知しても良い。従って、図15に記載された印刷処理の一部又は全部を、端末装置15が、アプリケーション50によって実行しても良い。
【0115】
また、端末装置15は、アプリケーション50を実行し、図10に示すID印刷処理の一部又は全部を実行しても良い。例えば、端末装置15は、用紙媒体ID76の発行指示をタッチパネル45で受付け、GUIDを生成して用紙媒体ID76を発行しても良い(S37)。また、端末装置15は、新規発行した用紙媒体ID76を、プリンタ17に記憶させる処理(S39)や、サーバ11へ登録する処理を実行しても良い(S43)。また、端末装置15は、用紙媒体ID76をプリンタ17に印刷させる際に、搬送方向幅107を長さ82B以下にする調整などを印刷設定に設定しプリンタ17に指示しても良い。従って、端末装置15が、搬送方向幅107、搬送方向幅109、軸方向幅111の調整を実行しても良い。
また、端末装置15は、アプリケーション50を実行し、図16に示すID再印刷処理の一部又は全部を実行しても良い。例えば、端末装置15は、再印刷指示の受け付け(S111)、印刷する用紙媒体ID(選択肢)をタッチパネル45に表示させる処理(S113)、選択された用紙媒体IDをプリンタ17に印刷させる処理(S117)等を実行しても良い。
また、端末装置15は、プリンタ17から開閉センサ66や装着センサ73の情報を取得して、図8の報知処理を実行しても良い。端末装置15は、装着センサ73の情報に基づいて、感熱ロール紙81が取り外されたことを検出した場合に、用紙媒体ID76を削除する指示をプリンタ17に送信し削除させても良い、即ち、本願の削除処理を実行しても良い。
【0116】
また、本願の制限処理としては、印刷を中止する処理だけに限らず、一部(トップページなど)だけを印刷して、エラーや警告を合わせて印刷する処理でも良い。
また、プリンタ17は、通常モードと、用紙媒体管理モードとを切替え可能であったが、切り替えできず、常に用紙媒体管理モードがオン状態の構成でも良い。即ち、プリンタ17は、用紙媒体ID76による判断処理等を常に実行する構成でも良い。
また、上記実施形態では、主に、ユーザIF65で、モード移行処理(図6)、モード解除処理(図7)、ID印刷処理(図10)、登録処理(図12)、削除処理(図14)、ID再印刷処理(図16)の開始指示を受け付けたが、端末装置15のアプリケーション50による各処理の開始指示を受け付けても良い。また、印刷システム10は、ユーザIF65又はアプリケーション50の一方のみで開始指示を受け付け可能な構成でも良い。
また、上記実施形態では、本願の消耗品として、感熱紙83を採用したが、これに限らない。本願の消耗品は、普通紙、ラベル紙等の他の印刷媒体でも良い。また、消耗品は、印刷媒体に限らず、例えば、インクカートリッジ、トナーカートリッジ、感光体ドラムなど、プリンタ17で使用し消耗する部品等を採用できる。
プリンタ17は、履歴データ77を備えなくとも良い。
【0117】
上記実施形態の印刷システム10の構成は、一例である。例えば、印刷システム10は、管理PC13を備えなくとも良い。また、印刷システム10は、端末装置15を管理するサーバ11(MDMサーバ)を備えなくとも良い。
また、本願の情報処理端末として、スマートフォンである端末装置15を採用したが、これに限らない。情報処理装置としては、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPC等の端末を採用できる。
また、本願の制御部として、プリンタ記憶部69を備えるプリンタ制御部67を採用したが、本願の制御部は、記憶部を備えなくとも良い。
また、プリンタ17は、本願の通信部として、第1通信IF61、及び第2通信IF62を備える構成であったが、どちらか一方のみを備える構成でも良い。また、端末装置15は、第1通信IF43又は第2通信IF44の一方を備える構成でも良い。
また、サーバ11は、管理DB27で少なくとも1台の端末装置15を管理しても良い。また、1台のプリンタ17に複数台の端末装置15が通信可能な構成でも良く、1台のプリンタ17に1台の端末装置15のみが通信可能な構成でも良い。
プリンタ17は、テンプレートデータ78や個人情報79を備えなくとも良い。
また、各プログラム(サーバプログラム26、管理プログラム38、OSプログラム49、アプリケーション50、プリンタプログラム71)を記憶する記憶部は、特に限定されず、各記憶部のROMやフラッシュメモリなどでも良い。また、各プログラムを記憶する記憶部は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体としては、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体を採用しても良い。
【符号の説明】
【0118】
10 印刷システム、17 プリンタ、17A 開閉カバー、15 端末装置、27 管理DB(管理データ)、41 端末制御部(コンピュータ)、50 アプリケーション(プログラム)、61 第1通信IF(通信部)、62 第2通信IF(通信部)、64 印刷部、66 開閉センサ、67 プリンタ制御部(制御部)、73 装着センサ、76 用紙媒体ID(識別情報)、81 感熱ロール紙(消耗品)、82 支持部材、82B 長さ、83 感熱紙(消耗品、印刷媒体)、85 ロール(消耗品)、87 軸方向、89 搬送方向、101 用紙(印刷媒体)、107 搬送方向幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16