(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156778
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】化粧料塗布具
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
A45D34/04 510A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060642
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 浩通
(57)【要約】
【課題】広範囲に塗布することができ塗布範囲も定まり易い化粧料塗布具を提供する。
【解決手段】可撓性のへら状部2と切り欠き状の液溜め部9とを有し、液溜め部9の少なくとも一部がへら状部2の内側で厚さ方向に亘って延びることを特徴とする化粧料塗布具1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性のへら状部と切り欠き状の液溜め部とを有し、
前記液溜め部の少なくとも一部が前記へら状部の内側で厚さ方向に亘って延びることを特徴とする化粧料塗布具。
【請求項2】
前記へら状部の基端部に連なる棒状部を有し、
前記液溜め部が前記へら状部と前記棒状部とに跨って設けられる、請求項1に記載の化粧料塗布具。
【請求項3】
前記液溜め部が前記棒状部の内側で前記厚さ方向に亘って延びる、請求項2に記載の化粧料塗布具。
【請求項4】
前記へら状部が前記液溜め部の外周縁に沿って延びる枠状をなす、請求項1~3の何れか1項に記載の化粧料塗布具。
【請求項5】
前記へら状部の先端部の幅方向中間部が切り欠き部を有する、請求項4に記載の化粧料塗布具。
【請求項6】
前記切り欠き部が前記へら状部の前記先端部の前記幅方向中間部を分断する、請求項5に記載の化粧料塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
塗布部材として筆を有する化粧料塗布具が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の化粧料塗布具は、筆が液状の化粧料を良好に保持することができるので広範囲に塗布することができるものの、塗布する際に筆を被塗布部に押し付ける力の加減によって筆の毛先の広り具合が変化するため、塗布範囲は定まり難いという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、広範囲に塗布することができ塗布範囲も定まり易い化粧料塗布具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の化粧料塗布具は、可撓性のへら状部と切り欠き状の液溜め部とを有し、前記液溜め部の少なくとも一部が前記へら状部の内側で厚さ方向に亘って延びることを特徴とする化粧料塗布具である。
【0007】
また、本発明の化粧料塗布具は、上記構成において、前記へら状部の基端部に連なる棒状部を有し、前記液溜め部が前記へら状部と前記棒状部とに跨って設けられる、化粧料塗布具であるのが好ましい。
【0008】
また、本発明の化粧料塗布具は、上記構成において、前記液溜め部が前記棒状部の内側で前記厚さ方向に亘って延びる、化粧料塗布具であるのが好ましい。
【0009】
また、本発明の化粧料塗布具は、上記構成において、前記へら状部が前記液溜め部の外周縁に沿って延びる枠状をなす、化粧料塗布具であるのが好ましい。
【0010】
また、本発明の化粧料塗布具は、上記構成において、前記へら状部の先端部の幅方向中間部が切り欠き部を有する、化粧料塗布具であるのが好ましい。
【0011】
また、本発明の化粧料塗布具は、上記構成において、前記切り欠き部が前記へら状部の前記先端部の前記幅方向中間部を分断する、化粧料塗布具であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、広範囲に塗布することができ塗布範囲も定まり易い化粧料塗布具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態である化粧料塗布具を備える塗布具付きキャップを示す一部断面側面図である。
【
図2】
図1に示す塗布具付きキャップを90°異なる角度から見たときの一部断面側面図である。
【
図3】
図1に示す塗布具付きキャップの底面図である。
【
図4】
図1に示す塗布具付きキャップによる塗布の様子を示す外観図である。
【
図5】
図4に示す塗布の様子を90°異なる角度から見たときの外観図である。
【
図6】
図1に示す化粧料塗布具の変形例を示す側面図である。
【
図7】(a)は、
図1に示す化粧料塗布具の他の変形例を示す側面図であり、(b)は、(a)に示す化粧料塗布具による塗布の様子を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。
【0015】
図1~
図3に示す本発明の一実施形態である化粧料塗布具1は、塗布部材としての可撓性のへら状部2と、へら状部2の基端部に連なる棒状部3と、棒状部3の基端部に連なる連結部4と、を有している。連結部4は、キャップ5の内面に連結しており、化粧料塗布具1とキャップ5とで、塗布具付きキャップ6が形成されている。キャップ5は、図示しないボトル状の容器本体の口部に着脱可能であり、キャップ5を口部に取り付けた状態ではへら状部2が容器本体内に収容される液状の化粧料7(
図4~
図5参照)に浸るように構成されている。このように、本実施形態では、塗布具付きキャップ6と容器本体とで、図示しない塗布容器が形成される。
【0016】
化粧料塗布具1は合成樹脂製の一体成形物である。なお、化粧料塗布具1は合成樹脂製に限らず、また、一体成形物に限らない。
【0017】
化粧料7は本実施形態では、マニキュア、ペディキュア等の爪8(
図4~
図5参照)に塗布される液体である。なお、化粧料7は爪8用のものに限らず、液状であれば特に限定されない。また、化粧料7の粘度も特に限定されない。
【0018】
本明細書において、へら状とは平たい形状、すなわち厚さが少なくて面が広い形状を意味している。したがって、へら状部2は平たい形状をなしている。
【0019】
なお、本実施形態において、厚さ方向とは、
図2における左右方向を意味し、幅方向とは、
図1における左右方向を意味し、長さ方向とは、
図1における上下方向、つまり中心軸線Oに沿う方向を意味している。また、本実施形態において、説明の便宜上、
図1における上方を単に上方といい、
図1における下方を単に下方という。
【0020】
へら状部2は、中心軸線Oに沿って長さ方向に延びており、長さ方向に亘って一定の厚さを有している。また、棒状部3は、中心軸線Oに沿って長さ方向に延びる円柱状をなしており、先端部3a(下端部)において、へら状部2の基端部(上端部)に向けて徐々に厚さが減少している。
【0021】
また、へら状部2は、幅方向に亘って一定の厚さを有している。さらに、へら状部2は、先端部2a(下端部)において幅が拡大している。
【0022】
また、化粧料塗布具1は、切り欠き状の液溜め部9を有している。液溜め部9の一部はへら状部2の内側で厚さ方向に亘って延びており、さらに、へら状部2は液溜め部9の外周縁に沿って延びる枠状をなしている。また、液溜め部9はへら状部2と棒状部3とに跨って設けられ、液溜め部9の他の一部は、棒状部3の内側で厚さ方向に亘って延びている。したがって、化粧料塗布具1は、大きな容積の液溜め部9を有しており、それにより、多くの液状の化粧料7を表面張力によって液溜め部9に保持させることができる。
【0023】
液溜め部9は、厚さ方向に見て上下方向に細長いスリット状をなしている。また、液溜め部9は、へら状部2の形状に合わせて、先端部(下端部)において幅が拡大している。厚さ方向に見て液溜め部9の外周縁を形成する内側表面10(つまり左右側面、先端面及び基端面)は、凹凸がなく滑らかである。
【0024】
連結部4は中心軸線Oに沿って長さ方向に延びる中空円柱状をなしている。キャップ5は、中心軸線Oに沿って長さ方向に延びる円筒状の外周壁5aと、外周壁5aの上端に連なる天壁5bと、を有している。連結部4の上端は、天壁5bの下面への当接によりキャップ5に対する上方への相対移動が規制されるように、天壁5bの下面に対向して配置されている。また、連結部4の外周面は、キャップ5に対する下方への相対移動が規制されるように、外周壁5aの内周面に嵌合している。外周壁5aの外周面は、化粧料塗布具1を用いて化粧料7を被塗布部としての爪8に塗布する際に、被把持部11として用いられる。
【0025】
化粧料塗布具1の使用に際しては、使用者はキャップ5を把持して口部から取り外し、液溜め部9に化粧料7が溜まった状態で、へら状部2を厚さ方向から爪8に押し付ける。これにより、
図4~
図5に示すように、へら状部2はその可撓性(より具体的には弾性)により厚さ方向に撓んで爪8の表面形状に対応した形状に変形し、化粧料7を爪8に良好に接触させることができる。この時、押し付け力の加減に応じてへら状部2の厚さ方向の撓み量を加減することができる一方、へら状部2の幅は殆ど変化することがない。したがって、幅方向の塗布範囲が定まり易く、この状態でへら状部2を長さ方向に爪8に対して相対移動させることで、狙った範囲に容易に化粧料7を塗布することができる。
【0026】
また、へら状部2には、液溜め部9におけるへら状部2の内側に設けられた部分により、多くの化粧料7が保持されているので広範囲に塗布することができる。また、その化粧料7が塗布に伴って低減すると、液溜め部9における棒状部3の内側に設けられた部分から化粧料7が供給されるので、さらに広い範囲に塗布することができる。
【0027】
前述した実施形態では液溜め部9に面する内側表面10(左右側面、先端面及び基端面)が滑らかであるが、これに限らず、例えば
図6に示す変形例のように、内側表面10が凹凸形状を有していてもよいし、図示は省略するが、内側表面10が櫛歯形状をなしていてもよい。このような構成によれば、液溜め部9に対する化粧料7の表面張力による付着力を高めることができる。
【0028】
また、前述した実施形態ではへら状部2の先端部2aが幅方向に一定となる断面形状を有しているが、これに限らず、例えば
図7(a)、(b)に示す変形例のように、へら状部2の先端部2aの幅方向中間部が、当該幅方向中間部を分断する切り欠き部12を有してもよい。このような構成によれば、
図7(b)に示すように、爪8の湾曲形状に合わせてへら状部2の先端部2aが切り欠き部12を起点に曲がり易くなり、それによってスムーズな塗布を可能にすることができる。なお、この場合、切り欠き部12をへら状部2の先端部2aの幅方向中間部に、当該幅方向中間部を分断しない程度に設けてもよい。
【0029】
本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0030】
したがって、前記実施形態の化粧料塗布具1は、例えば以下に述べるような種々の変更が可能である。
【0031】
前述した実施形態の化粧料塗布具1は、可撓性のへら状部2と切り欠き状の液溜め部9とを有し、液溜め部9の少なくとも一部がへら状部2の内側で厚さ方向に亘って延びることを特徴とする化粧料塗布具1である限り、種々変更可能である。
【0032】
例えば、へら状部2は長さ方向に亘って一定の厚さを有していなくてもよい。また、へら状部2は幅方向に亘って一定の厚さを有していなくてもよい。また、へら状部2は先端部2a(下端部)において幅が拡大していなくてもよい。また、棒状部3は円柱状に限らず、例えば角柱状をなしてもよい。また、液溜め部9の全体が、へら状部2の内側で厚さ方向に亘って延びる構成であってもよい。また、液溜め部9は、へら状部2の内側で厚さ方向に亘って延びる複数の孔で構成してもよい。この場合、例えば、液溜め部9はメッシュ状をなしてもよい。また、化粧料塗布具1は、塗布具付きキャップ6を形成しなくてもよく、例えば、連結部4の代わりに被把持部11を有し、キャップ5とは独立して使用される構成を有してもよい。
【0033】
なお、前述した実施形態の化粧料塗布具1は、上記構成において、へら状部2の基端部に連なる棒状部3を有し、液溜め部9がへら状部2と棒状部3とに跨って設けられる化粧料塗布具1であるのが好ましい。
【0034】
また、前述した実施形態の化粧料塗布具1は、上記構成において、液溜め部9が棒状部3の内側で厚さ方向に亘って延びる化粧料塗布具1であるのが好ましい。
【0035】
また、前述した実施形態の化粧料塗布具1は、上記構成において、へら状部2が液溜め部9の外周縁に沿って延びる枠状をなす化粧料塗布具1であるのが好ましい。
【0036】
また、前述した実施形態の化粧料塗布具1は、上記構成において、へら状部2の先端部2aの幅方向中間部が切り欠き部12を有する化粧料塗布具1であるのが好ましい。
【0037】
また、前述した実施形態の化粧料塗布具1は、上記構成において、切り欠き部12がへら状部2の先端部2aの幅方向中間部を分断する化粧料塗布具1であるのが好ましい。
【符号の説明】
【0038】
1 化粧料塗布具
2 へら状部
2a へら状部の先端部
3 棒状部
3a 棒状部の先端部
4 連結部
5 キャップ
5a 外周壁
5b 天壁
6 塗布具付きキャップ
7 化粧料
8 爪
9 液溜め部
10 内側表面
11 被把持部
12 切り欠き部
O 中心軸線