(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156780
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】シリンダキャビネット
(51)【国際特許分類】
F17C 13/08 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
F17C13/08 301A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060644
(22)【出願日】2021-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 明之
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 遼
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172BA01
3E172BB04
3E172BB13
3E172BD05
3E172CA29
3E172CA30
3E172DA90
3E172KA03
(57)【要約】
【課題】シリンダキャビネット内の所定の位置に、作業者が容易にボンベを載置し、容易にボンベを回転させることが可能なシリンダキャビネットを提供する。
【解決手段】格納スペースSの底部に位置し、ボンベBを立設状態で載置する載置面を有するローラユニット3を備え、ボンベBが載置面上を立設状態で格納スペース内外方向に移動可能であり、ローラユニット3がボンベBを立設状態で載置する際の設置位置から移動可能である、シリンダキャビネット1を選択する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンベを立設状態で格納する格納スペースを有するシリンダキャビネットであって、
前記格納スペースの底部に位置し、前記ボンベを立設状態で載置する載置面を有するローラユニットを備え、
前記ボンベが、前記載置面上を立設状態で格納スペース内外方向に移動可能であり、
前記ローラユニットが、前記ボンベを立設状態で載置する際の設置位置から移動可能である、シリンダキャビネット。
【請求項2】
前記ローラユニットが、前記格納スペースから着脱自在である、請求項1に記載のシリンダキャビネット。
【請求項3】
前記ローラユニットが、
格納スペース内外方向に延在する一対の支持部と、
前記支持部の間に回動自在に軸支され、格納スペース内外方向に所定の間隔で配置される複数のローラと、を有する、請求項1又は2に記載のシリンダキャビネット。
【請求項4】
前記載置面が、前記複数のローラの上面である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシリンダキャビネット。
【請求項5】
前記ローラユニットの下方に位置し、ボンベの重量を測定する重量測定部材、又は前記重量測定部材と同じ高さの調高部材を備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシリンダキャビネット。
【請求項6】
前記重量測定部材と前記調高部材とが、交換可能である、請求項5に記載のシリンダキャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
各種ガスを供給するための設備として、シリンダキャビネットが広く用いられている。このようなシリンダキャビネットでは、各種ガスが充填されたボンベを、ボンベ出し入れ用の扉を有する格納スペース内に立設状態で格納する。また、残量を重量で管理する必要なボンベを用いる場合、ロードセルなどの重量測定が可能な部材が必要となるため、シリンダキャビネットの底部にはボンベの下方に台座が設けられている。したがって、格納スペース内にボンベを格納する際には、シリンダキャビネット底部の台座の高さ以上にボンベを持ち上げて格納スペースの底板上に載置する必要があった。
【0003】
しかし、内容量によっては100kgを超える重量のボンベもあり、上記格納作業は、ボンベを抱え上げて行う状態になるため、作業者にとって重労働となっていた。さらに、格納スペースの狭い空間内にボンベを入れる際、ボンベの口金の方向を合わせるためにボンベを回転させなければならないため、作業性もよくなかった。
【0004】
特許文献1には、格納スペースに設置したボンベを前記格納スペースの出入り口方向に水平動させる水平動機構を有するシリンダキャビネットが開示されている。このシリンダキャビネットによれば、レールと車輪との組み合わせにより、ボンベを載置したボンベ受け台の水平動が自在とされている。
【0005】
特許文献2には、シリンダキャビネット内へのボンベの格納・取出し及び搬送を容易に行うことが可能なボンベ搬送格納システムが開示されている。このシステムによれば、ボンベの格納スペースの底部に内外方向に移動可能なテーブルを有するシリンダキャビネットと、ボンベに装着した搬送用アダプタの鍔部に係合して昇降させるフォークを有するボンベ搬送台車とを運用することで、シリンダキャビネット内へのボンベの格納・取出し及び搬送が容易とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6-34100号公報
【特許文献2】特開2001-106086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されたシリンダキャビネットでは、作業者がキャビネット内のボンベ受け台にボンベを載置する必要があった。
同様に、特許文献2に開示されたシリンダキャビネットでは、作業者がキャビネット内のテーブルにボンベを載置する必要があった。
さらに、特許文献1及び特許文献2に開示されたシリンダキャビネットでは、格納スペース内でボンベを回転させることが困難であった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、シリンダキャビネット内の所定の位置に、作業者が容易にボンベを載置し、容易にボンベを回転させることが可能なシリンダキャビネットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用する。
[1] ボンベを立設状態で格納する格納スペースを有するシリンダキャビネットであって、
前記格納スペースの底部に位置し、前記ボンベを立設状態で載置する載置面を有するローラユニットを備え、
前記ボンベが、前記載置面上を立設状態で格納スペース内外方向に移動可能であり、
前記ローラユニットが、前記ボンベを立設状態で載置する際の設置位置から移動可能である、シリンダキャビネット。
[2] 前記ローラユニットが、前記格納スペースから着脱自在である、[1]に記載のシリンダキャビネット。
[3] 前記ローラユニットが、
格納スペース内外方向に延在する一対の支持部と、
前記支持部の間に回動自在に軸支され、格納スペース内外方向に所定の間隔で配置される複数のローラと、を有する、[1]又は[2]に記載のシリンダキャビネット。
[4] 前記載置面が、前記複数のローラの上面である、[1]乃至[3]のいずれかに記載のシリンダキャビネット。
[5] 前記ローラユニットの下方に位置し、ボンベの重量を測定する重量測定部材、又は前記重量測定部材と同じ高さの調高部材を備える、[1]乃至[4]のいずれかに記載のシリンダキャビネット。
[6] 前記重量測定部材と前記調高部材とが、交換可能である、[5]に記載のシリンダキャビネット。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシリンダキャビネットは、シリンダキャビネット内の所定の位置に、作業者が容易にボンベを載置し、容易にボンベを回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のシリンダキャビネットの一実施形態を示す正面図である。
【
図2】本発明のシリンダキャビネットの一実施形態を示す上面図である。
【
図3】本発明のシリンダキャビネットの要部を示す斜視図である。
【
図4】本発明のシリンダキャビネットの一実施形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について、添付の図面を参照し、実施形態を示して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0013】
<シリンダキャビネット>
先ず、本発明を適用した一実施形態であるシリンダキャビネットの構成について、説明する。
図1~
図4は、本発明の実施形態に係るシリンダキャビネットを示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態のシリンダキャビネット1は、内側にボンベBを立設状態で格納する格納スペースSを有する筐体2と、ローラユニット3と、ロードセル(重量測定部材)4と、スペーサ(調高部材)5とを備えて概略構成されている。
シリンダキャビネット1は、筐体2の格納スペースS内にそれぞれボンベBを立設状態で格納するものである。
【0014】
筐体2は、内側にボンベBを立設状態で格納する、1以上の格納スペースSを有する収納ボックスである。また、格納スペースSの底部には、ローラユニット3、ロードセル4、及びスペーサ5が配置されている。具体的には、
図1中の左側の格納スペースSには、底面にロードセル4が配置されており、このロードセル4の上面にローラユニット3が載置されている。また、
図1中の右側の格納スペースSには、底面にスペーサ5が配置されており、このスペーサ5の上面にローラユニット3が載置されている。さらに、ローラユニット3の上面には、ボンベSがそれぞれ立設状態で載置されている。
【0015】
また、筐体2は、ローラユニット3の上面に立設状態で載置されたボンベBを支持するためのガイド部材6,7をそれぞれ有する。
ガイド部材6,7は、ボンベBが格納スペース内外方向へ移動することを規制する。なお、ガイド部材6,7は、後述するローラユニット3や、ボンベBに対して鉛直方向の力を加えないように設置されることが好ましい。
【0016】
ローラユニット3は、格納スペースSの底部寄りに位置する。
図2及び
図3に示すように、ローラユニット3は、格納スペース内外方向(図中に示す矢印方向)に延在する一対の支持部材(支持部)8,8と、支持部材8,8の間に回動自在に軸支され、格納スペース内外方向に所定の間隔で配置される複数のローラ9,9・・・と、を有する。このローラユニット3により、ボンベBが、複数のローラ9,9・・・の上面上を立設状態で格納スペース内外方向に移動可能となる。
【0017】
ローラ9の径及び本数は、特に限定されない。使用するボンベBの規格に応じて、必要な強度や面積となるように適宜選択できる。
【0018】
また、
図2に示すように、本実施形態のシリンダキャビネット1は、ボンベBを立設状態で格納スペースSに格納する際、ボンベBはローラユニット3を構成する複数のローラ9,9・・・の上面に載置される。すなわち、ローラユニット3は、ボンベBを立設状態で載置する載置面3Aを有し、ローラユニット3を構成する複数のローラ9,9・・・の上面がボンベBの載置面3Aである。
換言すると、ローラユニット3を構成する複数のローラ9,9・・・の上面は、ボンベBの移動面であり、載置面3Aである。
【0019】
ロードセル4は、測定面に置かれた物の重量を測定する重量測定部材である。
図1または
図3に示すように、ロードセル4は、格納スペースSの底部であって、ローラユニット3の下方に位置する。
【0020】
ロードセル4は、床板10と、床板10の両端に互いに平行に配置され、格納スペース内外方向(図中に示す矢印方向)に延在する一対のバー型ロードセル11,11と、を有する。一対のバー型ロードセル11,11の上面に、ローラユニット3の支持部材8,8がそれぞれ載置されることで、ロードセル4の上面にローラユニット3が支持される。これにより、ロードセル4は、ローラユニット3のみの状態、又はローラユニット3の載置面3AにボンベBが載置されている状態で、重量を測定できる。これにより、ボンベBの重量からボンベBの残量を求め、ボンベBの交換時期を予測できる。したがって、シリンダキャビネット1を容易に管理できる。
【0021】
スペーサ5は、ロードセル(重量測定部材)4と同じ高さとなるように調整する調高部材である。
図1または
図3に示すように、スペーサ5は、格納スペースSの底部であって、ローラユニット3の下方に位置する。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のシリンダキャビネット1によれば、スペーサ5の高さはロードセル4の高さと同じであるため、ロードセル4上に配設されたローラユニット3の載置面3Aと、スペーサ5上に配設されたローラユニット3の載置面3Aとが同じ高さとなる。したがって、ボンベBをシリンダキャビネット1に設置する際、あるいはボンベBをシリンダキャビネット1から回収する際、共通のボンベ搬送台車等を使用できる。
【0023】
本実施形態のシリンダキャビネット1は、少なくとも一部、または全部のローラユニット3が、ボンベBを立設状態で載置する際の筐体2内での設置位置から移動可能となっている。このように、ローラユニット3が移動可能であるため、当該ローラユニット3の下方に位置するロードセル4とスペーサ5とを適宜交換することができる。例えば、ボンベBの残量を重量で管理する必要がある場合は、ローラユニット3の下方にロードセル4を設置し、ボンベBの残量を重量で管理する必要がない場合は、スペーサ5を設置できる。これにより、全ての格納スペースSの底部にロードセル4を配置する必要がない。
【0024】
また、本実施形態のシリンダキャビネット1は、筐体2内において格納スペースSとボンベBとの間の隙間が少ない場合では、ローラユニット3が格納スペースSから着脱自在であることが好ましい。これにより、ロードセル4とスペーサ5との交換が容易となる。
【0025】
図4に示すように、本実施形態のシリンダキャビネット1によれば、格納スペースSの底部寄りにローラユニット3が位置するため、作業者は、格納スペースSとボンベBとの間の隙間が少なくても、格納スペースS内で、ボンベBを立設状態で格納スペース内外方向に容易に移動させることができる。また、ローラユニット3の載置面3Aで、容易にボンベBを回転させることができるため、ボンベBの口金の向きを容易に修正できる。
【0026】
ところで、従来のシリンダキャビネットでは、ボンベの残量を重量で管理する場合に、筐体内の格納スペースの底部にロードセル等の重量測定部材を配置する必要があった。このため、筐体内の格納スペースの底部、すなわち、ボンベの載置面となる台座部分に回転ローラを設けることが困難であった。
【0027】
これに対して、本実施形態のシリンダキャビネット1によれば、ボンベを移動させるための回転ローラをユニット化して、筐体内の格納スペースの底部から移動可能(着脱自在)とするとともに、ローラユニット3の下方にロードセル4を配置してローラユニット3ごとボンベBの重量を測定可能とすることで、ボンベの残量管理とボンベの容易な移動とを両立可能とした。
【0028】
以上説明したように、本実施形態のシリンダキャビネット1によれば、筐体2内の所定の設置位置となるローラユニット3の上面(載置面3A)に、作業者が容易にボンベBを移動させて、当該載置面3A上で容易にボンベBを回転させることができる。
【0029】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、上述したシリンダキャビネット1では、ローラユニット3が支持部材8,8の間に回動自在に軸支された複数のローラ9,9・・・を有する構成を一例として説明したが、これに限定されない。本発明のシリンダキャビネットは、ローラユニット3がボンベBを移動させる際に複数のローラ9,9・・・が回動自在であり、ボンベBを載置する際に複数のローラ9,9・・・の回動を規制するロック機構を有する構成としてもよい。これにより、ローラユニット3を構成する複数のローラ9,9・・・の上面を、ボンベBを移動させる際には可動面とし、ボンベBを載置させる際には固定面とすることができる。したがって、ボンベBを容易に移動させるとともに、ボンベBを安全に格納できる。
【0030】
また、上述した実施形態のシリンダキャビネット1では、ローラユニット3が筐体2から分離することで、ローラユニット3の通常の設置位置から移動可能な構成を一例として説明したが、これに限定されない。本発明のシリンダキャビネットは、ローラユニット3の一部が筐体2と繋がった状態のまま、通常の設置位置から移動可能な構成であってもよい。例えば、
図2に示すように、
図2中に示す矢印方向に沿って、ローラユニット3が筐体2の出入り口側から奥側へ退避する構成であってもよい。
【0031】
また、上述した実施形態のシリンダキャビネット1では、ローラユニット3の下方にロードセル4、又はスペーサ5が位置する構成を一例として説明したが、これに限定されない。本発明のシリンダキャビネットは、ローラユニット3のみを備える構成で使用してもよい。
【0032】
また、上述した実施形態のシリンダキャビネット1では、ロードセル4が一対のバー型ロードセル11,11を有する構成を一例として説明したが、これに限定されない。本発明のシリンダキャビネットは、ロードセルは任意の形状のものを適宜適用してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 シリンダキャビネット
2 筐体
3 ローラユニット
3A 載置面
4 ロードセル(重量測定部材)
5 スペーサ(調高部材)
6,7 ガイド部材
8 支持部材(支持部)
9 ローラ
10 床板
11 バー型ロードセル
B ボンベ
S 格納スペース
【手続補正書】
【提出日】2022-01-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンベを立設状態で格納する格納スペースを有するシリンダキャビネットであって、
前記格納スペースの底部に位置し、前記ボンベを立設状態で載置する載置面を有するローラユニットと、
前記ローラユニットの下方に位置し、前記ボンベの重量を測定する重量測定部材、又は前記重量測定部材と同じ高さの調高部材と、を備え、
前記ボンベが、前記載置面上を立設状態で格納スペース内外方向に移動可能であり、
前記ローラユニットが、前記ボンベを立設状態で載置する際の設置位置から移動可能であり、
前記重量測定部材と前記調高部材とが、交換可能である、シリンダキャビネット。
【請求項2】
前記ローラユニットが、前記格納スペースから着脱自在である、請求項1に記載のシリンダキャビネット。
【請求項3】
前記ローラユニットが、
格納スペース内外方向に延在する一対の支持部と、
前記支持部の間に回動自在に軸支され、格納スペース内外方向に所定の間隔で配置される複数のローラと、を有する、請求項1又は2に記載のシリンダキャビネット。
【請求項4】
前記載置面が、前記複数のローラの上面である、請求項3に記載のシリンダキャビネット。