(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156793
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】生体情報処理システム、生体情報処理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/01 20060101AFI20221006BHJP
B25J 5/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
A61B5/01 350
B25J5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060660
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】松本 晃
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 睦
【テーマコード(参考)】
3C707
4C117
【Fターム(参考)】
3C707AS34
3C707KS10
3C707KS11
3C707KS16
3C707KT02
3C707KT15
3C707KV11
3C707MS14
3C707MT11
3C707WA16
3C707WL05
3C707WM06
4C117XA07
4C117XB01
4C117XB02
4C117XE05
4C117XE13
4C117XE15
4C117XE43
4C117XE48
4C117XE76
4C117XH18
4C117XJ13
4C117XJ21
4C117XJ46
4C117XJ48
4C117XP11
4C117XP12
(57)【要約】
【課題】被検者の属性や測定場所固有の特徴に応じて最適な生体情報を取得し、又は、生体情報の最適な処理を実現する技術を提供する。
【解決手段】自律移動型ロボット101は、被検者の生体情報を取得する生体情報取得部107を備える。属性情報取得部102は、被検者の属性情報を取得する。現在地固有情報取得部103は、自律移動型ロボット101の現在地に固有の情報を示す現在地固有情報を取得する。生体情報処理部105は、生体情報を処理する。決定部106は、属性情報と現在地固有情報に基づいて、生体情報取得部107が取得する生体情報の種別、及び、生体情報処理部105が生体情報を処理する処理態様のうち少なくとも何れか一方を決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の生体情報を取得する生体情報取得手段を備えた少なくとも1つの移動型ロボットと、
前記被検者の属性情報を取得する属性情報取得手段と、
前記少なくとも1つの移動型ロボットの現在地に固有の情報を示す現在地固有情報を取得する現在地固有情報取得手段と、
前記生体情報を処理する生体情報処理手段と、
前記属性情報と前記現在地固有情報に基づいて、前記生体情報取得手段が取得する前記生体情報の種別、及び、前記生体情報処理手段が前記生体情報を処理する処理態様のうち少なくとも何れか一方を決定する決定手段と、
を含む、
生体情報処理システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの移動型ロボットの変動する外部環境を示す外部環境情報を取得する外部環境情報取得手段を更に含み、
前記決定手段は、前記属性情報と前記現在地固有情報と前記外部環境情報に基づいて、前記生体情報取得手段が取得する前記生体情報の種別、及び、前記生体情報処理手段が前記生体情報を処理する処理態様のうち少なくとも何れか一方を決定する、
請求項1に記載の生体情報処理システム。
【請求項3】
前記属性情報は、前記被検者の性別又は年齢を示すものであり、
前記生体情報は、前記被検者の体表面温度を示すものであり、
前記決定手段は、前記被検者の性別又は年齢に応じて、前記生体情報処理手段が前記被検者の体表面温度の異常判定に用いる閾値を決定する、
請求項1に記載の生体情報処理システム。
【請求項4】
前記現在地固有情報は、前記少なくとも1つの移動型ロボットの現在地が施設の出入口に近いか否かを示すものであり、
前記生体情報は、前記被検者の体表面温度を示すものであり、
前記決定手段は、前記少なくとも1つの移動型ロボットの現在地が施設の出入口に近いか否かに応じて、前記生体情報処理手段が前記被検者の体表面温度の異常判定に用いる閾値を決定する、
請求項1に記載の生体情報処理システム。
【請求項5】
前記外部環境情報は、前記少なくとも1つの移動型ロボットの現在地の気温を示すものであり、
前記決定手段は、前記気温に応じて、前記生体情報処理手段が前記被検者の体表面温度の異常判定に用いる閾値を決定する、
請求項2に記載の生体情報処理システム。
【請求項6】
前記被検者の識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記被検者の前記識別情報と前記生体情報を関連付けて記憶する生体情報記憶手段と、
を更に備え、
前記少なくとも1つの移動型ロボットは、施設内の同じ場所に留まって複数の被検者の前記生体情報を取得する定点モードと、施設内を巡回しながら複数の被検者の前記生体情報を取得する巡回モードと、選択的に実行する動作制御手段を更に備え、
前記動作制御手段は、前記定点モードにおいて前記被検者の前記識別情報を取得したものの当該被検者の前記生体情報を取得することに失敗した場合、前記巡回モードを実行して当該被検者を追跡して当該被検者の前記生体情報を取得する、
請求項1から5までの何れか1項に記載の生体情報処理システム。
【請求項7】
前記被検者の識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記被検者の前記識別情報と前記生体情報を関連付けて記憶する生体情報記憶手段と、
を更に備え、
前記少なくとも1つの移動型ロボットは、施設内の同じ場所に留まって複数の被検者の前記生体情報を取得する定点モードと、施設内を巡回しながら複数の被検者の前記生体情報を取得する巡回モードと、選択的に実行する動作制御手段を更に備え、
前記少なくとも1つの移動型ロボットは、少なくとも2つの移動型ロボットを含み、
前記少なくとも2つの移動型ロボットの一方の前記動作制御手段は前記定点モードを実行し、他方の前記動作制御手段は前記巡回モードを実行し、
前記巡回モードを実行する前記動作制御手段は、前記生体情報記憶手段を参照して、既に前記生体情報を取得した被検者を検査対象から除外する、
請求項1から5までの何れか1項に記載の生体情報処理システム。
【請求項8】
前記生体情報は、前記被検者の体表面温度を示すものであり、
前記少なくとも1つの移動型ロボットは、前記生体情報取得手段を校正する黒体炉を備えた、
請求項1から7までの何れか1項に記載の生体情報処理システム。
【請求項9】
被検者の生体情報を取得する生体情報取得手段を備えた少なくとも1つの移動型ロボットを備えた生体情報処理システムの生体情報処理方法であって、
前記被検者の属性情報を取得する属性情報取得ステップと、
前記少なくとも1つの移動型ロボットの現在地に固有の情報を示す現在地固有情報を取得する現在地固有情報取得ステップと、
前記生体情報を処理する生体情報処理ステップと、
前記属性情報と前記現在地固有情報に基づいて、前記生体情報取得手段が取得する前記生体情報の種別、及び、前記生体情報処理ステップで前記生体情報を処理する処理態様のうち少なくとも何れか一方を決定する決定ステップと、
を含む、
生体情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、請求項9に記載の生体情報処理方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報処理システム、生体情報処理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、保育所や託児施設等の施設内を移動しながら子供たちの体温を測定する自律走行型ロボットを開示している。このロボットは、子供の画像を取得したり子供が携帯するICタグと通信したりすることで子供を識別し、測定結果を子供と対応付けて記憶するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成では、被検者の属性や測定場所固有の特徴に応じて最適な生体情報を取得し、又は、生体情報の最適な処理を実現することができない。
【0005】
本開示の目的は、被検者の属性や測定場所固有の特徴に応じて最適な生体情報を取得し、又は、生体情報の最適な処理を実現する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の観点によれば、生体情報処理システムは、被検者の生体情報を取得する生体情報取得手段を備えた少なくとも1つの移動型ロボットを含む。生体情報処理システムは、前記被検者の属性情報を取得する属性情報取得手段を含む。生体情報処理システムは、前記少なくとも1つの移動型ロボットの現在地に固有の情報を示す現在地固有情報を取得する現在地固有情報取得手段を含む。生体情報処理システムは、前記生体情報を処理する生体情報処理手段を含む。生体情報処理システムは、前記属性情報と前記現在地固有情報に基づいて、前記生体情報取得手段が取得する前記生体情報の種別、及び、前記生体情報処理手段が前記生体情報を処理する処理態様のうち少なくとも何れか一方を決定する決定手段を含む。
【0007】
本開示の第2の観点によれば、被検者の生体情報を取得する生体情報取得手段を備えた少なくとも1つの移動型ロボットを備えた生体情報処理システムの生体情報処理方法は、前記被検者の属性情報を取得する属性情報取得ステップを含む。方法は、前記少なくとも1つの移動型ロボットの現在地に固有の情報を示す現在地固有情報を取得する現在地固有情報取得ステップを含む。方法は、前記生体情報を処理する生体情報処理ステップを含む。方法は、前記属性情報と前記現在地固有情報に基づいて、前記生体情報取得手段が取得する前記生体情報の種別、及び、前記生体情報処理手段が前記生体情報を処理する処理態様のうち少なくとも何れか一方を決定する決定ステップを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、被検者の属性や測定場所固有の特徴に応じて最適な生体情報を取得し、又は、生体情報の最適な処理を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】生体情報処理システムの機能ブロック図である。(第1実施形態)
【
図2】生体情報処理システムの概略図である。(第2実施形態)
【
図3】自律移動型ロボットの機能ブロック図である。(第2実施形態)
【
図4】生体情報管理装置の機能ブロック図である。(第2実施形態)
【
図5】生体情報処理システムのシーケンス図である。(第2実施形態)
【
図6】生体情報処理システムのシーケンス図である。(第2実施形態)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、
図1を参照して本発明の第1実施形態について説明する。
【0011】
図1には、第1実施形態の生体情報処理システム100を示している。
図1に示すように、生体情報処理システム100は、少なくとも1つの自律移動型ロボット101と、属性情報取得部102と、現在地固有情報取得部103と、生体情報処理部105と、決定部106と、を含む。自律移動型ロボット101は、移動型ロボットの一具体例である。移動型ロボットは、自律移動可能であってもよく、自律移動不能であってもよい。移動型ロボットは、遠隔制御可能であってもよく、遠隔制御不能であってもよい。
【0012】
自律移動型ロボット101は、被検者の生体情報を取得する生体情報取得部107を備える。生体情報取得部107は、生体情報取得手段の一具体例である。
【0013】
属性情報取得部102は、被検者の属性情報を取得する。属性情報取得部102は、属性情報取得手段の一具体例である。
【0014】
現在地固有情報取得部103は、自律移動型ロボット101の現在地に固有の情報を示す現在地固有情報を取得する。現在地固有情報取得部103は、現在地固有情報取得手段の一具体例である。
【0015】
生体情報処理部105は、生体情報を処理する。生体情報処理部105は、生体情報処理手段の一具体例である。
【0016】
決定部106は、属性情報と現在地固有情報に基づいて、生体情報取得部107が取得する生体情報の種別、及び、生体情報処理部105が生体情報を処理する処理態様のうち少なくとも何れか一方を決定する。決定部106は、決定手段の一具体例である。
【0017】
以上の構成によれば、被検者の属性や測定場所固有の特徴に応じて最適な生体情報を取得し、又は、生体情報の最適な処理を実現することができる。
【0018】
少なくとも1つの自律移動型ロボット101が、属性情報取得部102と、現在地固有情報取得部103と、生体情報処理部105と、決定部106の少なくとも何れか1つ又は全部を含んでもよい。
【0019】
(第2実施形態)
次に、
図2から
図6を参照して、第2実施形態を説明する。
図2は、生体情報処理システムの概略図である。
図3は、自律移動型ロボットの機能ブロック図である。
図4は、生体情報管理装置の機能ブロック図である。
【0020】
図2に示すように、本実施形態の生体情報処理システム1は、生体情報管理装置2と、自律移動型ロボット3と、を含む。本実施形態では、生体情報処理システム1が1つの自律移動型ロボット3を含む。しかし、生体情報処理システム1は、複数の自律移動型ロボット3を含むことができる。自律移動型ロボット3は、移動型ロボットの一具体例である。移動型ロボットは、自律移動可能であってもよく、自律移動不能であってもよい。移動型ロボットは、遠隔制御可能であってもよく、遠隔制御不能であってもよい。生体情報管理装置2は、1つの装置により実現してもよく、複数の装置における分散処理により実現してもよい。また、生体情報管理装置2が有するすべての機能を自律移動型ロボット3が搭載した場合、生体情報管理装置2を省略できる。生体情報管理装置2が有する機能の一部を自律移動型ロボット3が有してもよく、自律移動型ロボット3が有する機能の一部を生体情報管理装置2が有してもよい。生体情報管理装置2と自律移動型ロボット3は、無線通信により双方向通信可能に構成されている。しかし、生体情報管理装置2と自律移動型ロボット3は、有線通信により双方向通信可能に構成されてもよい。
【0021】
生体情報処理システム1は、典型的には、ショッピングモールや医療機関、図書館、博物館、コンサートホールなどの施設に設置され、施設の利用者の健康状態を管理するシステムである。
【0022】
図3に示すように、自律移動型ロボット3は、中央演算処理器としてのCPU3a(Central Processing Unit)と、読み書き自由のRAM3b(Random Access Memory)、読み出し専用のROM3c(Read Only Memory)を備えている。そして、CPU3aがROM3cに記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで、制御プログラムは、CPU3aなどのハードウェアを各種機能部として機能させる。
【0023】
自律移動型ロボット3は、更に、ディスプレイ4、RGBカメラ5、サーモグラフィカメラ6、気温センサ7、黒体炉8、アーム9、アクチュエータ10、移動駆動部11を備えている。
【0024】
RGBカメラ5は、撮像部の一具体例である。RGBカメラ5は、自律移動型ロボット3に正対する被検者を撮像するのに用いられる。サーモグラフィカメラ6は、自律移動型ロボット3に正対する被検者の体表面温度を測定するのに用いられる。サーモグラフィカメラ6は、生体情報取得手段の一具体例である。
【0025】
気温センサ7は、自律移動型ロボット3の現在地の気温を測定するのに用いられる。気温センサ7は、外部環境情報取得手段の一具体例である。本実施形態において外部環境情報は、自律移動型ロボット3の現在地の気温を示す。
【0026】
黒体炉8は、サーモグラフィカメラ6を校正するために、伸縮自在なアーム9と、アーム9を伸縮させるアクチュエータ10と共に自律移動型ロボット3に設けられている。黒体炉8はアーム9に支持されている。アクチュエータ10がアーム9を伸展させると、黒体炉8は、サーモグラフィカメラ6から所定距離離れた位置に移動することができる。これにより、サーモグラフィカメラ6の校正が可能となる。
【0027】
移動駆動部11は、典型的には、自律移動型ロボット3の底部に設けられた複数の車輪と、複数の車輪の一部又は全部を回転させる電気モータと、電気モータを駆動するための制御回路と、を含む。
【0028】
制御プログラムによって実現される上記の各種機能部は、地図情報記憶部12、属性判定部13、現在地情報取得部14、異常判定部15、警告部16、動作制御部17を含む。
【0029】
地図情報記憶部12は、自律移動型ロボット3が配備される施設の地図情報を記憶する。
【0030】
属性判定部13は、RGBカメラ5で撮像された被検者の画像に基づいて、被検者の属性を判定し、判定結果としての属性情報を生成する。換言すれば、属性判定部13は、RGBカメラ5で撮像された被検者の画像に基づいて、被検者の属性を推定し、推定結果としての属性情報を生成する。被検者の属性とは、被検者の年齢及び性別である。属性判定部13は、被検者の属性情報を取得する属性情報取得手段の一具体例である。
【0031】
現在地情報取得部14は、図示しないGPSモジュールを用いて、自律移動型ロボット3の現在地情報を取得する。GPSモジュールは、GNSSモジュール(Global Navigation Satellite System)の一具体例である。GNSSモジュールの具体例としては、GLONASSモジュール(Global Navigation Satellite System)、Galileoモジュール、BeiDouモジュール、QZSSモジュール(Quasi-Zenith Satellite System)が挙げられる。現在地情報取得部14は、GPSモジュールを用いることに代えて、屋内位置測位モジュールを用いて、自律移動型ロボット3の現在地情報を取得してもよい。屋内位置測位モジュールは、例えば無線LANやBluetooth(登録商標)などの電波を利用して屋内で測位するもの、RFIDやマーカなどを利用して測位するもの、地磁気などを利用して測位するものであってもよい。
【0032】
異常判定部15は、サーモグラフィカメラ6による測定結果に基づいて、被検者の健康状態の異常の有無を判定する。具体的には、異常判定部15は、被検者の体表面温度が閾値を超える場合、被検者の健康状態が悪化していると判定する。被検者の健康状態が悪化しているとは、典型的には、被検者が新型コロナウイルス感染症やインフルエンザウイルス感染症などの感染症に罹患した結果、被検者の体表面温度が平時と比較して高いことを意味する。異常判定部15は、被検者の体表面温度(生体情報)の異常判定(処理)をする生体情報処理手段の一具体例である。
【0033】
警告部16は、異常判定部15による判定結果に基づいて例えばディスプレイ4を介して被検者に警告メッセージを出力する。即ち、被検者の健康状態が悪化していると異常判定部15が判定した場合、警告部16は、被検者に「施設への入場を控えてください。」などの警告メッセージを出力する。警告部16は、例えばスピーカーを介して被検者に警告メッセージを音声で出力し、又は、例えばスピーカーを介して被検者に警告音を出力するようにしてもよい。
【0034】
動作制御部17は、自律移動型ロボット3の動作を制御する。動作制御部17は、定点モード及び巡回モードを有し、定点モードと巡回モードを選択的に実行する。定点モードは、自律移動型ロボット3が施設内の同じ場所に留まって複数の被検者の生体情報を取得するモードである。巡回モードは、施設内を巡回しながら複数の被検者の生体情報を取得するモードである。動作制御部17は、移動駆動部11及びサーモグラフィカメラ6などを用いて、定点モード及び巡回モードを実行する。
【0035】
図4に示すように、生体情報管理装置2は、中央演算処理器としてのCPU2a(Central Processing Unit)と、読み書き自由のRAM2b(Random Access Memory)、読み出し専用のROM2c(Read Only Memory)を備えている。そして、CPU2aがROM2cに記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで、制御プログラムは、CPU2aなどのハードウェアを各種機能部として機能させる。
【0036】
制御プログラムによって実現される上記の各種機能部は、現在地固有情報記憶部20、被検者識別部21、生体情報記憶部22、現在地固有情報取得部23、決定部24、生体情報管理部25を含む。
【0037】
現在地固有情報記憶部20は、施設における場所毎の固有の情報を記憶する。場所毎の固有の情報とは、例えば、場所毎に、出入口に近いか否か、換気がいいか悪いか、といった場所毎に不変な情報である。
【0038】
被検者識別部21は、自律移動型ロボット3から受信した被検者の画像に基づいて、被検者を識別し、被検者の識別情報を生成する。
【0039】
生体情報記憶部22は、被検者の生体情報をその被検者の識別情報と関連付けて記憶する。
【0040】
現在地固有情報取得部23は、自律移動型ロボット3から受信した現在地情報に対応する現在地固有情報を現在地固有情報記憶部20から取得する。現在地固有情報取得部23は、現在地固有情報取得手段の一具体例である。
【0041】
決定部24は、自律移動型ロボット3から受信した属性情報、現在地固有情報取得部23が取得した現在地固有情報、自律移動型ロボット3から受信した外部環境情報に基づいて、異常判定部15が生体情報を処理する処理態様を決定する。本実施形態において「生体情報を処理する処理態様」とは、異常判定部15が被検者の体表面温度の測定結果を用いて被検者の健康状態を異常判定する際の閾値を意味する。従って、決定部24は、属性情報、現在地固有情報、外部環境情報に基づいて、異常判定部15が用いる閾値を決定する。決定部24は、決定手段の一具体例である。
【0042】
生体情報管理部25は、被検者識別部21が生成した被検者の識別情報と、自律移動型ロボット3から受信した生体情報と、を関連付けて生体情報記憶部22に格納する。
【0043】
次に、
図5及び
図6を参照して、生体情報処理システム1の制御フローを説明する。
図5及び
図6は、生体情報処理システム1の動作のシーケンス図を示している。
【0044】
S100:
まず、自律移動型ロボット3の動作制御部17は、現在実行しているモードが定点モードであるか判定する。S100でYESの場合、処理をS110に進め、NOの場合、処理を
図6のS300に進める。
図5は、主として定点モードにおける生体情報処理システム1の動作を示している。
【0045】
S110:
次に、動作制御部17は、移動駆動部11を制御して、自律移動型ロボット3を予め設定された場所へ移動させる。本実施形態において予め設定された場所は、施設の出入口である。動作制御部17は、自律移動型ロボット3が当該場所へ到達したら自律移動型ロボット3を停止させる。
【0046】
S120:
次に、動作制御部17は、アクチュエータ10を制御して、黒体炉8をサーモグラフィカメラ6から所定距離離れた場所にセットし、サーモグラフィカメラ6の校正を実施する。
【0047】
S130:
次に、現在地情報取得部14は、自律移動型ロボット3の現在地情報を取得し、生体情報管理装置2に現在地情報を送信する。
【0048】
S140:
次に、現在地固有情報取得部23は、自律移動型ロボット3から受信した現在地情報に対応する現在地固有情報を現在地固有情報記憶部20から取得する。
【0049】
S150:
次に、気温センサ7は、自律移動型ロボット3の現在地の気温を測定し、気温を示す外部環境情報を生体情報管理装置2に送信する。
【0050】
S160:
次に、RGBカメラ5は、自律移動型ロボット3に正対する被検者を撮像し、被検者の画像を生体情報管理装置2に送信する。
【0051】
S170:
次に、被検者識別部21は、自律移動型ロボット3から受信した画像に基づいて、被検者を識別し、識別情報を生成する。
【0052】
S180:
次に、属性判定部13は、被検者の画像に基づいて、被検者の年齢及び性別を判定する。属性判定部13は、判定結果としての属性情報を生体情報管理装置2に送信する。なお、属性情報は、被検者の年齢及び性別の他に、被検者個々の平時体温や被検者の身体情報(既往歴、既往症等)などを含んでもよい。
【0053】
S190:
次に、決定部24は、属性情報、現在地固有情報、外部環境情報に基づいて、異常判定部15が用いる閾値を決定する。本実施形態において、決定部24は、基準値を属性情報、現在地固有情報、外部環境情報に基づいて補正し、補正後の値を異常判定部15が用いる閾値とする。説明の便宜上、以下、基準値を37.5とする。
【0054】
決定部24は、属性情報を参照して、被検者の年齢が25歳未満である場合、基準値が1.0高くなるように基準値を補正する。なぜなら、若年層は平時から体温が高いからである。一方、決定部24は、属性情報を参照して、被検者の年齢が60歳以上である場合、基準値が1.0低くなるように基準値を補正する。なぜなら、高齢層は平時から体温が低いからである。
【0055】
決定部24は、属性情報を参照して、被検者が男性である場合、基準値が1.0高くなるように基準値を補正する。なぜなら、男性は平時から体温が高いからである。一方、決定部24は、属性情報を参照して、被検者が女性である場合、基準値が1.0低くなるように基準値を補正する。なぜなら、女性は平時から体温が低いからである。
【0056】
決定部24は、現在地固有情報を参照して、自律移動型ロボット3の現在地が出入口に近い場合、現在の季節又は外気温に応じて基準値を補正する。詳しくは、夏季である場合又は外気温が35度を超える場合、決定部24は、基準値が1.0高くなるように基準値を補正する。なぜなら、施設に入ろうとする被検者の体表面温度が外気温の影響により平時よりも高くなっているからである。一方、冬季である場合又は外気温が10度未満である場合、決定部24は、基準値が1.0低くなるように基準値を補正する。なぜなら、施設に入ろうとする被検者の体表面温度が外気温の影響により平時よりも低くなっているからである。
【0057】
決定部24は、現在地固有情報を参照して、自律移動型ロボット3の現在地が換気の悪い場所である場合、基準値が1.0低くなるように基準値を補正する。なぜなら、換気の悪い場所では、体表面温度が平時よりも高い被検者を漏れなく確実に検出する必要があるからである。
【0058】
決定部24は、外部環境情報を参照して、自律移動型ロボット3の現在地の気温が30度以上である場合、基準値が1.0高くなるように基準値を補正する。なぜなら、高い室温の場所にいる被検者の体表面温度は、平時よりも高くなっているからである。一方、決定部24は、外部環境情報を参照して、自律移動型ロボット3の現在地の気温が10度未満である場合、基準値が1.0低くなるように基準値を補正する。なぜなら、低い室温の場所にいる被検者の体表面温度は、平時よりも低くなっているからである。
【0059】
決定部24は、決定した閾値を自律移動型ロボット3に送信する。
【0060】
S200:
次に、サーモグラフィカメラ6は、被検者の体表面温度を測定する。そして、自律移動型ロボット3は、サーモグラフィカメラ6による測定結果を生体情報管理装置2に送信する。被検者の体表面温度の測定値が30℃を下回ったり、50℃を上回るなど明らかに現実的でない値となった場合、サーモグラフィカメラ6による測定が失敗したものと考えられる。この場合、自律移動型ロボット3は、サーモグラフィカメラ6による測定結果に代えて、所定の値、例えば999.9を生体情報管理装置2に送信する。
【0061】
S210:
次に、生体情報管理部25は、自律移動型ロボット3から受信した被検者の測定結果を識別情報と関連付けて生体情報記憶部22に格納する。
【0062】
S220:
次に、異常判定部15は、サーモグラフィカメラ6による測定結果と閾値を比較することで、被検者の健康状態が異常であるか判定する。
【0063】
S230:
次に、警告部16は、異常判定部15による判定結果に基づいて例えばディスプレイ4を介して被検者に警告メッセージを出力する。即ち、警告部16は、異常判定部15が異常であると判定した場合、被検者に警告メッセージを出力する。一方、警告部16は、異常判定部15が異常でないと判定した場合、被検者に警告メッセージを出力しない。
【0064】
S240:
動作制御部17は、現在時刻が第1の所定時刻か否か判定する。第1の所定時刻とは、動作制御部17が実行するモードを定点モードから巡回モードに切り替える時刻である。動作制御部17は、S240でYESの場合、実行するモードを定点モードから巡回モードに切り替え、処理を
図6のS300に進めて巡回モードを開始する。一方、動作制御部17は、S240でNOの場合、処理をS160に戻し、定点モードを継続して実行する。なお、ここでは時刻に基づいて動作制御部17が実行するモードとして定点モードと巡回モードを切り替えているが、ある管理者が手動で、動作制御部17が実行するモードを切り替えてもよい。
【0065】
次に、
図6を参照されたい。
図6は、主として巡回モードにおける生体情報処理システム1の動作を示している。
【0066】
S300:
動作制御部17は、移動駆動部11を制御して、自律移動型ロボット3を予め設定された経路に沿って移動させる。本実施形態において予め設定された経路は、施設内をくまなく巡回するように設定されている。動作制御部17は、被検者と正対すると、移動駆動部11を制御して、自律移動型ロボット3を停止させる。
【0067】
S310:
次に、動作制御部17は、アクチュエータ10を制御して、黒体炉8をサーモグラフィカメラ6から所定距離離れた場所にセットし、サーモグラフィカメラ6の校正を実施する。なお、校正処理は省略することができる。また、ステップS310の処理は、ステップS300の処理よりも先に実行してもよい。
【0068】
S320:
次に、現在地情報取得部14は、自律移動型ロボット3の現在地情報を取得し、生体情報管理装置2に現在地情報を送信する。
【0069】
S330:
次に、現在地固有情報取得部23は、自律移動型ロボット3から受信した現在地情報に対応する現在地固有情報を現在地固有情報記憶部20から取得する。
【0070】
S340:
次に、気温センサ7は、自律移動型ロボット3の現在地の気温を測定し、気温を示す外部環境情報を生体情報管理装置2に送信する。
【0071】
S350:
次に、RGBカメラ5は、自律移動型ロボット3に正対する被検者を撮像し、被検者の画像を生体情報管理装置2に送信する。
【0072】
S360:
次に、被検者識別部21は、自律移動型ロボット3から受信した画像に基づいて、被検者を識別し、識別情報を生成する。
【0073】
S370:
次に、生体情報管理装置2は、現在地固有情報記憶部20を参照して、被検者識別部21が生成した識別情報に対応する被検者の体表面温度が既に成功裏に測定済みであるか判定する。生体情報管理装置2は、被検者識別部21が生成した識別情報が現在地固有情報記憶部20に格納されており、対応する測定結果が999.9でない場合、識別情報に対応する被検者の体表面温度が既に成功裏に測定済みであると判定する。被検者識別部21が生成した識別情報に対応する被検者の体表面温度が既に成功裏に測定済みである場合、生体情報管理装置2は、測定済みであることを示す重複情報を自律移動型ロボット3に送信する。
【0074】
S380:
次に、自律移動型ロボット3は、生体情報管理装置2から重複情報を受信した場合、当該被検者に対するすべての動作を中止し、処理をS300に戻す。一方、自律移動型ロボット3は、生体情報管理装置2から重複情報を受信していない場合、処理をS390に進める。
【0075】
S390:
次に、属性判定部13は、被検者の画像に基づいて、被検者の年齢及び性別を判定する。属性判定部13は、判定結果としての属性情報を生体情報管理装置2に送信する。
【0076】
S400:
次に、決定部24は、属性情報、現在地固有情報、外部環境情報に基づいて、異常判定部15が用いる閾値を決定する。そして、決定部24は、決定した閾値を自律移動型ロボット3に送信する。
【0077】
S410:
次に、サーモグラフィカメラ6は、被検者の体表面温度を測定する。そして、自律移動型ロボット3は、サーモグラフィカメラ6による測定結果を生体情報管理装置2に送信する。
【0078】
S420:
次に、生体情報管理部25は、自律移動型ロボット3から受信した被検者の測定結果を識別情報と関連付けて生体情報記憶部22に格納する。
【0079】
S430:
次に、異常判定部15は、サーモグラフィカメラ6による測定結果と閾値を比較することで、被検者の健康状態が異常であるか判定する。
【0080】
S440:
次に、警告部16は、異常判定部15による判定結果に基づいて例えばディスプレイ4を介して被検者に警告メッセージを出力する。即ち、警告部16は、異常判定部15が異常であると判定した場合、被検者に警告メッセージを出力する。一方、警告部16は、異常判定部15が異常でないと判定した場合、被検者に警告メッセージを出力しない。
【0081】
S450:
動作制御部17は、現在時刻が第2の所定時刻か否か判定する。第2の所定時刻とは、動作制御部17が実行するモードを巡回モードから定点モードに切り替える時刻である。動作制御部17は、S450でYESの場合、実行するモードを巡回モードから定点モードに切り替え、処理を
図5のS100に戻して定点モードを開始する。一方、動作制御部17は、S450でNOの場合、処理をS300に戻し、巡回モードを継続して実行する。
【0082】
以上に、本願発明の第2実施形態を説明したが、上記第2実施形態は以下の特徴を有する。
【0083】
生体情報処理システム1は、自律移動型ロボット3と、属性判定部13(属性情報取得手段)と、現在地固有情報取得部23(現在地固有情報取得手段)を備える。生体情報処理システム1は、気温センサ7(外部環境情報取得手段)と、異常判定部15(生体情報処理手段)と、決定部24(決定手段)と、を備える。自律移動型ロボット3は、被検者の体表面温度(生体情報)を測定して取得するサーモグラフィカメラ6(生体情報取得手段)を備える。属性判定部13は、被検者の属性情報を取得する。現在地固有情報取得部23は、自律移動型ロボット3の現在地に固有の情報を示す現在地固有情報を取得する。気温センサ7は、自律移動型ロボットの現在地の気温を示す外部環境情報を取得する。異常判定部15は、サーモグラフィカメラ6で測定された被検者の体表面温度を閾値と比較処理する。決定部24は、属性情報と現在地固有情報と外部環境情報に基づいて、異常判定部15が体表面温度を処理する際に用いる閾値(処理態様)を決定する。以上の構成によれば、被検者の属性や測定場所固有の特徴、測定場所の現在の状況に応じて体表面温度の最適な評価処理を実現することができる。
【0084】
なお、上記実施形態において、自律移動型ロボット3は、被検者の体表面温度を測定するように構成されている。体表面温度は、生体情報の一具体例である。自律移動型ロボット3は、被検者の体表面温度に代えて、被検者の血圧や心拍数を測定するように構成されてもよい。また、自律移動型ロボット3は、被検者の血液を採取し、その場で、又は、事後的に当該血液を検査するようにしてもよい。
【0085】
また、上記実施形態において、被検者の属性情報は、性別及び年齢を示すとした。しかし、被検者の属性情報は、性別及び年齢の何れか一方であってもよく、被検者の身長や体重であってもよい。
【0086】
また、上記実施形態において、生体情報管理装置2は、現在地固有情報記憶部20及び現在地固有情報取得部23を備えている。しかし、これに代えて、自律移動型ロボット3が、現在地固有情報記憶部20及び現在地固有情報取得部23を備えてもよい。
【0087】
また、上記実施形態において、自律移動型ロボット3の変動する外部環境として、自律移動型ロボット3の現在地の気温を例示した。ここで、自律移動型ロボット3の変動する外部環境とは、自律移動型ロボット3の現在地に固有でない自律移動型ロボット3の外部環境を意味する。従って、自律移動型ロボット3の変動する外部環境とは、例示の気温に代えて、自律移動型ロボット3の現在地の気圧、照度、混雑度であってもよい。自律移動型ロボット3に気圧センサを設けることで、自律移動型ロボット3の現在地の気圧を測定し得る。自律移動型ロボット3に照度センサを設けることで、自律移動型ロボット3の現在地の照度を測定し得る。例えば、自律移動型ロボット3は、照度センサの測定値に基づいて自律移動型ロボット3に直接日が射していると判定した場合、現在地は生体情報の測定に適さないので、他の場所に移動することができる。自律移動型ロボット3にマイクやLiDAR(Light Detection and Ranging)を設けることで、自律移動型ロボット3の現在地の混雑度(単位面積あたりの施設利用者の数)を測定し得る。
【0088】
また、上記実施形態において、生体情報を処理する生体情報処理手段の一具体例として異常判定部15を例示した。異常判定部15は、サーモグラフィカメラ6による測定結果を閾値と比較することで被検者の健康状態を評価している。しかし、これに代えて、生体情報処理手段は、単に生体情報を生体情報記憶部22に蓄積するようにしてもよい。
【0089】
また、上記実施形態において、決定部24は、属性情報と現在地固有情報、外部環境情報に基づいて、異常判定部15が用いる閾値を決定している。異常判定部15が閾値を用いて測定結果を評価することは、生体情報処理手段が生体情報を処理する処理態様の一具体例である。しかし、これに代えて、決定部24は、属性情報と現在地固有情報、外部環境情報に基づいて、生体情報取得手段が取得する生体情報の種別を決定してもよい。例えば、外気温が氷点下である場合、施設の出入口で体表面温度を精確に測定することは困難である。この場合、決定部24は、自律移動型ロボット3が被検者の体表面温度(生体情報)を測定することに代えて、被検者の血圧(生体情報)を測定するように、測定対象となる生体情報の種別を決定してもよい。
【0090】
また、現在地固有情報は、自律移動型ロボット3の現在地が施設の出入口に近いか否かを示す。生体情報は、被検者の体表面温度を示すものである。決定部24は、自律移動型ロボット3の現在地が施設の出入口に近いか否かに応じて、異常判定部15が被検者の体表面温度の異常判定に用いる閾値を決定する。以上の構成によれば、被検者の体表面温度が外気温によって影響を受けた場合でも、その影響を相殺することができる。
【0091】
また、外部環境情報は、自律移動型ロボット3の現在地の気温を示すものである。決定部24は、気温に応じて、異常判定部15が被検者の体表面温度の異常判定に用いる閾値を決定する。以上の構成によれば、被検者の体表面温度が室温によって影響を受けた場合でも、その影響を相殺することができる。
【0092】
また、生体情報処理システム1は、更に、被検者の識別情報を取得する被検者識別部21(識別情報取得手段)と、記被検者の識別情報と生体情報を関連付けて記憶する生体情報記憶部22(生体情報記憶手段)と、を備える。自律移動型ロボット3は、施設内の同じ場所に留まって複数の被検者の生体情報を取得する定点モードと、施設内を巡回しながら複数の被検者の生体情報を取得する巡回モードと、選択的に実行する動作制御部17(動作制御手段)を更に備える。動作制御部17は、定点モードにおいて被検者の識別情報を取得したものの当該被検者の生体情報を取得することに失敗した場合、巡回モードを実行して当該被検者を追跡して当該被検者の生体情報を取得する。以上の構成によれば、施設の利用者全員の生体情報を漏れなく取得することができる。
【0093】
なお、上記実施形態において被検者識別部21は、自律移動型ロボット3から受信した被検者の画像に基づいて顔認証技術により被検者の識別情報を生成して取得するように構成されている。しかし、これに代えて、被検者識別部21は、被検者の指紋や声紋、虹彩を用いて被検者の識別情報を生成して取得し得る。また、被検者に当該被検者の識別情報が登録されたICチップを携帯させ、被検者識別部21がICチップに記憶されている識別情報を読み取ることにより当該被検者の識別情報を取得し得る。また、被検者の入場チケットにバーコードやQRコード(登録商標)などを印字し、被検者識別部21がこれらを読み込むことにより当該被検者の識別情報を取得し得る。
【0094】
また、動作制御部17が定点モードと巡回モードを選択的に実行可能としたことで、以下の効果も得られる。即ち、施設の出入口が複数あり、本来であれば閉鎖されているはずの出入口から利用者が施設内に入ってしまう場合も想定される。この場合でも、動作制御部17が巡回モードを実行することにより、当該利用者を被検者とすることができる。
【0095】
また、生体情報は、被検者の体表面温度を示すものである。自律移動型ロボット3は、サーモグラフィカメラ6を校正する黒体炉8を備える。以上の構成によれば、自律移動型ロボット3の移動先に黒体炉を人手で設置する必要がない。
【0096】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第2実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0097】
上記第2実施形態の生体情報処理システム1は、生体情報管理装置2と、1つの自律移動型ロボット3を含む。自律移動型ロボット3は、定点モードと巡回モードを時分割で実行するように構成されている。
【0098】
これに対し、本実施形態の生体情報処理システム1は、生体情報管理装置2と、2つの自律移動型ロボット3を含む。2つの自律移動型ロボット3のうち一方の動作制御部17は定点モードを実行し、他方の動作制御部17は巡回モードを実行するように構成されている。そして、他方の動作制御部17は、生体情報記憶部22を参照することにより、既に生体情報を成功裏に取得した被検者を検査対象から除外する。以上の構成によれば、同じ被検者を二度、検査対象とすることがないので、他方の動作制御部17が効率よく巡回モードを実行することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 生体情報処理システム
2 生体情報管理装置
3 自律移動型ロボット
4 ディスプレイ
5 RGBカメラ
6 サーモグラフィカメラ
7 気温センサ
8 黒体炉
9 アーム
10 アクチュエータ
11 移動駆動部
12 地図情報記憶部
13 属性判定部
14 現在地情報取得部
15 異常判定部
16 警告部
17 動作制御部
20 現在地固有情報記憶部
21 被検者識別部
22 生体情報記憶部
23 現在地固有情報取得部
24 決定部
25 生体情報管理部