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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156796
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】破断用ラベル
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B65D81/34 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060665
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】巽 衣理奈
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BA21
3E013BB06
3E013BC04
3E013BC12
3E013BC14
3E013BE01
3E013BF02
3E013BF13
3E013BF22
3E013BF23
3E013BF42
(57)【要約】
【課題】マイクロ波照射によって破断部の形状に沿って被着フィルムに確実に切れ目が入るようにしつつ、切れ目が入るトータル長さを長くする。
【解決手段】破断用ラベル10は、本体層11と、貼着剤層12とを備える。本体層11は、基材層100および導電体層110を含む。導電体層110は、第1縁部111と、第2縁部112と、複数の括れ部120と、複数の破断部130とを有する。複数の括れ部120の各々は、第1縁部111と第2縁部112とに挟まれている。複数の括れ部120の各々において、第1縁部111と第2縁部112との間の間隔が狭くなっている。複数の破断部130は、複数の括れ部120のうちの少なくとも一部の括れ部120の各々に少なくとも1つ設けられている。複数の破断部130の各々は、上記少なくとも一部の括れ部120のうちの設けられている括れ部120を長さ方向において分断している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波処理用包装体の被着フィルムに貼着される破断用ラベルであって、
本体層と、
前記本体層の一方側に積層された貼着剤層とを備え、
前記本体層は、前記貼着剤層との積層方向において互いに積層された基材層および導電体層を含み、
前記導電体層は、
前記積層方向から見て、前記積層方向に直交する長さ方向に沿って延在する第1縁部と、
前記積層方向から見て、前記長さ方向に直交する幅方向に前記第1縁部と間隔をあけつつ前記長さ方向に沿って延在する第2縁部と、
前記第1縁部と前記第2縁部とに挟まれ、かつ、前記第1縁部と前記第2縁部との間の間隔が狭くなっている複数の括れ部と、
前記積層方向に前記導電体層を貫通する複数の破断部とを有し、
前記複数の破断部は、前記複数の括れ部のうちの少なくとも一部の括れ部の各々に少なくとも1つ設けられており、
前記複数の破断部の各々は、前記少なくとも一部の括れ部のうちの設けられている括れ部を前記長さ方向において分断している、破断用ラベル。
【請求項2】
前記複数の破断部の各々は、前記幅方向に直線状に延在している、請求項1に記載の破断用ラベル。
【請求項3】
前記少なくとも一部の括れ部の各々において、前記第1縁部は、第2縁部側に凸状に湾曲した一方の湾曲部を有し、かつ、前記第2縁部は、第1縁部側に凸状に湾曲した他方の湾曲部を有している、請求項1または請求項2に記載の破断用ラベル。
【請求項4】
前記少なくとも一部の括れ部の各々において、前記一方の湾曲部と前記他方の湾曲部とを最短で繋ぐ方向が前記幅方向に平行である、請求項3に記載の破断用ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破断用ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波による破断用ラベルの構成を開示した先行文献として、特許第5621127号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された破断用ラベルは、包装体の被着フィルムに貼着される。破断用ラベルは、導電体層が積層されたラベル基材と、ラベル基材の裏面に設けられた貼着剤層とを有する。ラベル基材の平面形状は、略蝶ネクタイ状である。貼着剤層が設けられた範囲内においてラベルの全層に渡って厚み方向に切り込むことによってスリット部が形成されている。スリット部の平面形状は、有端線形状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5621127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された破断用ラベルにおいては、マイクロ波照射によってスリット部の形状に沿って被着フィルムに確実に切れ目が入るようにしつつ、切れ目が入るトータル長さを長くできる余地がある。切れ目が入るトータル長さを長くすることにより、被着フィルム内に生じる蒸気を外部に確実に逃がすことができる。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、マイクロ波照射によって破断部の形状に沿って被着フィルムに確実に切れ目が入るようにしつつ、切れ目が入るトータル長さを長くできる、破断用ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく破断用ラベルは、マイクロ波処理用包装体の被着フィルムに貼着される。破断用ラベルは、本体層と、貼着剤層とを備える。貼着剤層は、本体層の一方側に積層される。本体層は、貼着剤層との積層方向において互いに積層された基材層および導電体層を含む。導電体層は、第1縁部と、第2縁部と、複数の括れ部と、複数の破断部とを有する。第1縁部は、上記積層方向から見て、上記積層方向に直交する長さ方向に沿って延在する。第2縁部は、上記積層方向から見て、上記長さ方向に直交する幅方向に第1縁部と間隔をあけつつ上記長さ方向に沿って延在する。複数の括れ部の各々は、第1縁部と第2縁部とに挟まれている。複数の括れ部の各々において、第1縁部と第2縁部との間の間隔が狭くなっている。複数の破断部の各々は、上記積層方向に導電体層を貫通する。複数の破断部は、複数の括れ部のうちの少なくとも一部の括れ部の各々に少なくとも1つ設けられている。複数の破断部の各々は、上記少なくとも一部の括れ部のうちの設けられている括れ部を上記長さ方向において分断している。
【0007】
本発明の一形態においては、複数の破断部の各々は、上記幅方向に直線状に延在している。
【0008】
本発明の一形態においては、上記少なくとも一部の括れ部の各々において、第1縁部は、第2縁部側に凸状に湾曲した一方の湾曲部を有し、かつ、第2縁部は、第1縁部側に凸状に湾曲した他方の湾曲部を有している。
【0009】
本発明の一形態においては、上記少なくとも一部の括れ部の各々において、一方の湾曲部と他方の湾曲部とを最短で繋ぐ方向が上記幅方向に平行である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、マイクロ波照射によって破断部の形状に沿って被着フィルムに確実に切れ目が入るようにしつつ、切れ目が入るトータル長さを長くできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態に係るマイクロ波処理用包装体の構成を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る破断用ラベルの構成を示す平面図である。
図3図2の破断用ラベルをIII-III線矢印方向から見た断面図である。
図4】本発明の一実施の形態の第1変形例に係る破断用ラベルを示す平面図である。
図5】本発明の一実施の形態の第2変形例に係る破断用ラベルを示す平面図である。
図6】本発明の一実施の形態の第3変形例に係る破断用ラベルを示す平面図である。
図7】本発明の一実施の形態の第4変形例に係る破断用ラベルを示す平面図である。
図8】本発明の一実施の形態の第5変形例に係る破断用ラベルを示す平面図である。
図9】本発明の一実施の形態の第6変形例に係る破断用ラベルを示す平面図である。
図10】本発明の一実施の形態の第7変形例に係る破断用ラベルを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態に係る破断用ラベルについて図面を参照して説明する。以下の実施の形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。なお、図面においては、破断用ラベルの長さ方向をX軸方向、破断用ラベルの幅方向をY軸方向、破断用ラベルの厚さ方向をZ軸方向とする。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に係るマイクロ波処理用包装体の構成を示す斜視図である。図2は、本発明の一実施の形態に係る破断用ラベルの構成を示す平面図である。図3は、図2の破断用ラベルをIII-III線矢印方向から見た断面図である。
【0014】
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係るマイクロ波処理用包装体1は、容器2と、被着フィルム3と、破断用ラベル10とを備える。図2および図3に示すように、本発明の一実施の形態に係る破断用ラベル10は、本体層11と、貼着剤層12とを備える。
【0015】
図1に示すように、マイクロ波処理用包装体1は、マイクロ波照射によって処理される電子レンジ用食品などの図示しない被包装物を収容する包装体である。マイクロ波処理用包装体1にマイクロ波を照射することにより、被包装物は加熱される。
【0016】
容器2は、被包装物を収容する。容器2は、たとえば、ポリプロプレン(PP)などの合成樹脂により形成されている。被着フィルム3は、容器2の上部の開口を密閉し、容器2と被着フィルム3とにより被包装物を密封する。
【0017】
被着フィルム3は、単一の樹脂フィルム、または複数の樹脂フィルムが互いに積層された積層フィルムである。なお、被着フィルム3は、熱収縮性を持たない樹脂フィルムが好ましいが、熱収縮性フィルムまたは自己伸縮性フィルムなどの樹脂フィルムであってもよい。被着フィルム3の厚みは、たとえば、30μm以上90μm以下であり、本実施の形態においては50μmである。
【0018】
破断用ラベル10は、マイクロ波処理用包装体1の被着フィルム3の外側に貼着される。なお、本実施の形態においては、破断用ラベル10は、被着フィルム3に1つ貼着されているが、被着フィルム3に貼着される破断用ラベル10の数量は、1つに限られず、複数であってもよい。
【0019】
図2に示すように、X軸方向における破断用ラベル10の長さ10Wは、たとえば、20mm以上60mm以下であり、本実施の形態においては45mmである。Y軸方向における破断用ラベル10の幅10Lは、たとえば、10mm以上40mm以下であり、本実施の形態においては20mmである。
【0020】
図3に示すように、本体層11は、貼着剤層12との積層方向において互いに積層された基材層100および導電体層110を含む。図2に示すように、本実施の形態においては、本体層11は、本体層11と貼着剤層12との積層方向(Z軸方向)から見て、基材層100および導電体層110は、互いに同じ外形形状を有している。
【0021】
なお、本体層11は、基材層100と導電体層110との二層構造に限られず、マイクロ波照射時に破断用ラベル10において発生するスパークの光量を考慮して、被着フィルム3側とは反対側の最外面側に遮光層が設けられていてもよい。また、マイクロ波照射後のマイクロ波処理用包装体1の美観を考慮して、被着フィルム3側とは反対側の最外面側にポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂ラミネート層が設けられていてもよい。
【0022】
図3に示すように、貼着剤層12は、本体層11の一方側に積層される。具体的には、本実施の形態においては、貼着剤層12は、本体層11と貼着剤層12との積層方向(Z軸方向)において、導電体層110に隣接して基材層100とは反対側に積層されている。貼着剤層12は、導電体層110における導電体層110の積層方向における一方側の表面全体にわたって積層されている。
【0023】
貼着剤層12は、室温下で被着フィルム3に貼り付く粘着性を有し、その粘着性が長時間持続するものが好ましい。貼着剤層12を構成する材料としては、たとえば、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂またはウレタン系樹脂などが挙げられる。Z軸方向における貼着剤層12の厚さは、たとえば、10μm以上30μm以下である。
【0024】
図2および図3に示すように、本体層11における基材層100は、フィルム形状を有している。Z軸方向における基材層100の厚さは、たとえば、10μm以上100μm以下である。
【0025】
基材層100は、たとえば、PPまたはPETなどの樹脂フィルムである。なお、基材層100は、樹脂フィルム、合成紙、または、互いに異なる材料で構成された複数の層が互いに積層することで形成された多層フィルムであってもよい。
【0026】
導電体層110は、フィルム形状を有している。導電体層110の厚さ(Z軸方向)は、たとえば、下限として0.005μm以上、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.015μm以上、さらに好ましくは0.04μm以上であり、上限として30μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは1μm以下、最も好ましくは0.08μm以下である。
【0027】
導電体層110は、たとえば、アルミニウム、ニッケルもしくはクロムなどの金属、合金、または金属酸化物などである。導電体層110は、蒸着により基材層100上に設けられてもよいし、箔状の導電体層110を基材層100に接着させることにより形成されてもよい。導電体層110を構成する材料を含むインキを基材層100上に塗布して硬化させることにより、基材層100上に導電体層110が設けられてもよい。
【0028】
図2および図3に示すように、導電体層110は、第1縁部111と、第2縁部112と、複数の括れ部120と、複数の破断部130とを有している。本実施の形態においては、導電体層110は、2つの括れ部120と、2つの破断部130とを有している。
【0029】
図2に示すように、第1縁部111は、積層方向(Z軸方向)から見て、積層方向に直交する長さ方向(X軸方向)に沿って延在している。具体的には、第1縁部111は、複数の括れ部120に合わせて蛇行しながらX軸方向に延在している。
【0030】
第2縁部112は、積層方向(Z軸方向)から見て、長さ方向に直交する幅方向(Y軸方向)に第1縁部111と間隔をあけつつ長さ方向(X軸方向)に沿って延在している。具体的には、第2縁部112は、Y軸方向に第1縁部111と間隔をあけつつ、複数の括れ部120に合わせて蛇行しながらX軸方向に延在している。
【0031】
複数の括れ部120の各々は、第1縁部111と第2縁部112とに挟まれている。複数の括れ部120の各々においては、第1縁部111と第2縁部112との間の間隔が狭くなっている。本実施の形態においては、複数の括れ部120は、導電体層110を含む破断用ラベル10のY軸方向における幅が狭くなっている部分である。なお、本発明の一実施の形態の破断用ラベル10において、基材層100にも複数の括れ部120が設けられているが、少なくとも導電体層110に複数の括れ部120が設けられていればよい。
【0032】
Y軸方向における複数の括れ部120の各々の幅120Lは、たとえば、4mm以上20mm以下であり、本実施の形態においては8mmである。なお、本実施の形態においては、複数の括れ部120の各々は、Y軸方向における幅10Lの中心位置を通過してX軸方向に延在する仮想中心軸に対して線対称の形状を有しているが、この形状に限られず、仮想中心軸に対して非対称の形状でもよい。たとえば、第1縁部111および第2縁部112のうちの一方が、蛇行しながらX軸方向に延在し、第1縁部111および第2縁部112のうちの他方がX軸方向に平行に延在していてもよい。また、複数の括れ部120の各々は、互いに異なる形状を有していてもよい。
【0033】
本実施の形態においては、複数の括れ部120の各々において、第1縁部111は、第2縁部112側に凸状に湾曲した一方の湾曲部111aを有し、かつ、第2縁部112は、第1縁部111側に凸状に湾曲した他方の湾曲部112aを有している。なお、必ずしも全ての括れ部120において、第1縁部111および第2縁部112の各々が湾曲部を有していなくてもよく、破断部130が設けられている括れ部120において、第1縁部111および第2縁部112の各々が湾曲部を有していればよい。
【0034】
仮に、第1縁部111および第2縁部112の各々が屈曲している場合、第1縁部111および第2縁部112の各々の折れ曲がった角部において、マイクロ波照射の際にスパークが発生することがある。第1縁部111および第2縁部112の各々が湾曲していることにより、マイクロ波照射時に第1縁部111および第2縁部112の各々の湾曲部においてスパークが発生することを抑制することができる。第1縁部111および第2縁部112の各々の形状と同様に、破断用ラベル10のXY平面における外形形状の全ての角部は、湾曲した形状を有している。
【0035】
後述するように複数の括れ部120のうちの複数の破断部130が設けられている少なくとも一部の括れ部120の各々において、一方の湾曲部111aと他方の湾曲部112aとを最短で繋ぐ方向が幅方向(Y軸方向)に平行である。本実施の形態においては、2つの括れ部120の各々において、一方の湾曲部111aと他方の湾曲部112aとを最短で繋ぐ方向がY軸方向に平行である。
【0036】
図2および図3に示すように、複数の破断部130は、積層方向(Z軸方向)に導電体層110を貫通する。なお、本実施の形態においては、複数の破断部130は、導電体層110に設けられているが、導電体層110だけでなく、基材層100および貼着剤層12の少なくとも一方もZ軸方向の同一線上に貫通していてもよい。複数の破断部130は、たとえば、導電体層110を基材層100上に蒸着により設ける場合、基材層100の一部をマスキングするなどにより導電体層110の欠損箇所を形成することによって設けられる。本実施の形態においては、破断部130は、スリット孔であるが、スリット孔に限られず、マイクロ波照射時に導電体層110における電子の流れを阻害する亀裂であってもよい。亀裂は、たとえば、エンボス加工などによって形成することができる。
【0037】
本実施の形態においては、図2に示すように、複数の破断部130は、複数の括れ部120のうちの少なくとも一部の括れ部120に対して1対1で対応して設けられている。2つの破断部130は、2つの括れ部120に対して1つずつ設けられている。なお、破断部130が設けられていない括れ部120が存在していてもよい。また、複数の破断部130が設けられた括れ部120が存在していてもよい。すなわち、複数の破断部130は、複数の括れ部120のうちの少なくとも一部の括れ部120の各々に少なくとも1つ設けられている。なお、括れ部120以外の部分に設けられた破断部が存在していてもよい。
【0038】
複数の破断部130の各々は、幅方向(Y軸方向)に直線状に延在している。複数の破断部130の各々のX軸方向における横幅130Wは、たとえば、1.0mm以下であり、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.2mm以下である。複数の破断部130の各々のY軸方向における縦幅130Lは、たとえば、2mm以上6mm以下であり、本実施の形態においては4mmである。
【0039】
複数の破断部130の各々は、第1縁部111および第2縁部112の各々に離間しつつ当該破断部130が設けられている括れ部120を長さ方向(X軸方向)において分断している。具体的には、破断部130の縦幅130Lは括れ部120の幅120Lより狭く、破断部130は第1縁部111および第2縁部112の各々に対して離間している。このように破断部130は、括れ部120のY軸方向の両端部を除いた部分をX軸方向において分断する。
【0040】
なお、本実施の形態においては、複数の破断部130の各々は、スリット孔であるため、第1縁部111および第2縁部112の各々に離間しているが、この構成に限定されず、複数の破断部130の各々が亀裂である場合には、複数の破断部130のうちの少なくとも一部の破断部130が一方の湾曲部111aから他方の湾曲部112aまで連続して設けられることによって、導電体層110を縦断していてもよい。この場合は、基材層100は亀裂によって分断されていないため、導電体層110が亀裂によって完全に分断されていても破断用ラベル10として一体性を維持することができる。
【0041】
Y軸方向における破断部130は、たとえば、第1縁部111および第2縁部112の各々に対して2mm離間している。具体的には、図2に示すように、括れ部120における、第1縁部111と破断部130との間の距離L2、および、第2縁部112と破断部130との間の距離L2の各々の寸法は、2mmである。距離L2の寸法は、0.1mm以上2mm以下であることが好ましい。
【0042】
複数の破断部130において、長さ方向(X軸方向)において互いに隣り合う破断部130同士の間の距離L1の寸法は、長さ方向(X軸方向)における導電体層110の長さ10Wの寸法に対して9分の1以上9分の5以下である。本実施の形態においては、X軸方向の互いに隣り合う破断部130同士の間の距離L1の寸法は、X軸方向の導電体層110の長さ10Wの寸法に対して略3分の1である。距離L1の寸法が長さ10Wの寸法に対して9分の1以上9分の5以下であることにより、互いに隣り合う破断部130同士の間および当該破断部130同士の両外側に電子の供給源となる導電体層110を確保して、マイクロ波照射時に十分な量の電子を破断部130に集めてスパークを発生させることができる。その結果、スパークによる発熱によって被着フィルム3を効果的に溶融させることができる。
【0043】
以下、本発明の一実施の形態に係る破断用ラベル10のマイクロ波照射時の作用について説明する。
【0044】
破断用ラベル10がマイクロ波に曝されると、導電体層110に渦電流が発生する。発生した渦電流は、導電体層110の分断された先端部へ集中する、いわゆる、エッジランナウェイ現象により、括れ部120および破断部130の各々に沿った位置に集中する。
【0045】
図2に示すように、Y軸方向における破断用ラベル10の幅10Lに対して括れ部120の幅120Lが狭くなっているため、括れ部120において電子の密度が高くなる。そのため、括れ部120における、第1縁部111と破断部130との間の位置、および、第2縁部112と破断部130との間の位置には、高密度の電子が集中する。
【0046】
括れ部120における、第1縁部111と破断部130との間の位置、および、第2縁部112と破断部130との間の位置の導電体層110は、電子の流路面積が狭いため集中した高密度の電子が流れることができず、その結果、X軸方向において破断部130を介して互いに対向する導電体層110の端面同士の間で放電してスパークが発生する。このスパークにより発生した熱は、破断用ラベル10から被着フィルム3に伝熱され、被着フィルム3の破断部130に沿う部分を溶融させる。被着フィルム3が溶融して切れ目が形成されることにより、マイクロ波により加熱された被包装物から発生する蒸気が、マイクロ波処理用包装体1の内部から、被着フィルム3の切れ目を通じて外部に排出される。
【0047】
なお、破断部130が亀裂である場合であっても、本実施の形態のように破断部130がスリット孔である場合と同様に、X軸方向において亀裂である破断部130を介して互いに対向する導電体層110の端面同士の間で放電してスパークが発生する。
【0048】
本実施の形態においては、破断用ラベル10は、破断部130が設けられた複数の括れ部120を有しているため、被着フィルム3の切れ目が入るトータル長さを長くでき、その結果、被着フィルム3内に生じる蒸気を外部に確実に逃がすことができる。これにより、破断部130が設けられた1つの括れ部のみを有する、いわゆる、略蝶ネクタイ型の破断用ラベルに比べて、破断用ラベル10は高い蒸気排出性能を有する。
【0049】
なお、被着フィルム3に形成される切れ目は、マイクロ波処理用包装体1の内部の蒸気の排出を目的とする場合に限られず、被着フィルム3を開封するための切り口として用いられてもよい。
【0050】
なお、括れ部120の幅120Lは、Y軸方向における破断用ラベル10の幅10Lから少しでも狭くなれば括れ部120に電子が集中しやすくなるため、長方形形状の破断用ラベルと比較してマイクロ波照射によるスパークを引き起こす効果は高くなる。
【0051】
本発明の一実施の形態に係る破断用ラベル10においては、破断部130が設けられている複数の括れ部120を有することにより、マイクロ波照射時に括れ部120に高密度の電子を集中させて破断部130においてスパークを発生させることができるため、破断部130の形状に沿って被着フィルム3に確実に切れ目が入るようにしつつ、切れ目が入るトータル長さを長くすることができる。
【0052】
本発明の一実施の形態に係る破断用ラベル10においては、破断部130が幅方向(Y軸方向)に直線状に延在していることにより、破断部130のY軸方向の全長に亘って均一にスパークを発生させることができるため、破断部130の形状に沿って被着フィルム3により確実に切れ目が入るようにしつつ、切れ目が入るトータル長さを長くすることができる。
【0053】
本発明の一実施の形態に係る破断用ラベル10においては、括れ部120において、第1縁部111が第2縁部112側に凸状に湾曲した一方の湾曲部111aを有し、かつ、第2縁部112が第1縁部111側に凸状に湾曲した他方の湾曲部112aを有していることにより、マイクロ波照射時に一方の湾曲部111aおよび他方の湾曲部112aにおいてスパークが発生することを抑制することができる。
【0054】
本発明の一実施の形態に係る破断用ラベル10においては、括れ部120において、一方の湾曲部111aと他方の湾曲部112aとを最短で繋ぐ方向が幅方向(Y軸方向)に平行であることにより、当該最短で繋ぐ方向がY軸方向に平行でない場合と比較して、第1縁部111と第2縁部112との間の間隔を破断部130周辺において狭くすることができるため、マイクロ波照射時に破断部130に集中的に電子を集めてスパークを発生させることができる。その結果、スパークによる発熱によって被着フィルム3を効果的に溶融させることができる。
【0055】
以下、本発明の一実施の形態の破断用ラベルの変形例について説明する。以下の変形例に係る破断用ラベルは、第1縁部、第2縁部、括れ部および破断部の構成が本発明の一実施の形態に係る破断用ラベル10と異なるため、本発明の一実施の形態に係る破断用ラベル10と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0056】
図4は、本発明の一実施の形態の第1変形例に係る破断用ラベルを示す平面図である。図4に示すように、本発明の一実施の形態の第1変形例に係る破断用ラベル10Aにおいては、互いに隣り合う破断部130同士の間の距離L1の寸法は、破断用ラベル10の長さ10Wの寸法に対して略9分の1である。
【0057】
互いに隣り合う破断部130同士の間の距離L1の寸法を破断用ラベル10の長さ10Wの寸法の略9分の1まで小さくしても、互いに隣り合う破断部130同士の間に電子の供給源となる導電体層110を確保して、マイクロ波照射時に十分な量の電子を破断部130に集めてスパークを発生させることができる。その結果、スパークによる発熱によって被着フィルム3を効果的に溶融させることができる。
【0058】
本発明の一実施の形態の第1変形例に係る破断用ラベル10Aにおいては、2つの括れ部120の各々は、Y軸方向における幅10Lの中心位置を通過してX軸方向に延在する仮想中心軸に対して線対称の形状を有している。2つの括れ部120は、X軸方向における破断用ラベル10の中心位置を通過してY軸方向に延在する仮想中心軸に対して線対称の形状を有している。
【0059】
図4に示すように、括れ部120の中心を通過してY軸方向に延在する括れ中心線Bと、第1縁部111において括れ部120同士の間に位置する部分とのなす角はA1である。第1縁部111において括れ部120同士の外側に位置する部分と括れ中心線Bとのなす角はA2である。本変形例においては、A2>A1となっていることにより、互いに隣り合う括れ部120同士のX軸方向における距離が、破断用ラベル10の長さ10Wの寸法の3分の1より短くなっている。その結果、互いに隣り合う破断部130同士の間の距離L1の寸法も、破断用ラベル10の長さ10Wの寸法の3分の1より短くなっている。なお、角A1および角A2は、A2>A1の関係に限定されず、本実施の形態のようにA2=A1の関係を満たしていてもよい。
【0060】
なお、破断部130は、括れ中心線B上に設けられている場合に限られず、括れ中心線Bを中心に、X軸方向に±5mmの範囲内に設けられていればよい。この範囲内に破断部130が設けられていることにより、マイクロ波照射時に括れ部120に高密度の電子を集中させて破断部130においてスパークを発生させることができる。
【0061】
図5は、本発明の一実施の形態の第2変形例に係る破断用ラベルを示す平面図である。図5に示すように、本発明の一実施の形態の第2変形例に係る破断用ラベル10Bにおいては、破断部130同士の間におけるY軸方向の最大幅13Lは、X軸方向における両端の幅10Lよりも狭く、かつ、括れ部120のY軸方向における幅120Lよりも広くなっている。
【0062】
図6は、本発明の一実施の形態の第3変形例に係る破断用ラベルを示す平面図である。図6に示すように、本発明の一実施の形態の第3変形例に係る破断用ラベル10Cにおいては、第1縁部111および第2縁部112の各々は、破断用ラベル10CのX軸方向の両端における長さL3の範囲において、X軸方向に平行に延在している。
【0063】
図7は、本発明の一実施の形態の第4変形例に係る破断用ラベルを示す平面図である。図7に示すように、本発明の一実施の形態の第4変形例に係る破断用ラベル10Dにおいては、第1縁部111および第2縁部112の各々は、括れ部120同士の間における長さL4の範囲において、X軸方向に平行に延在している。
【0064】
図8は、本発明の一実施の形態の第5変形例に係る破断用ラベルを示す平面図である。図8に示すように、本発明の一実施の形態の第5変形例に係る破断用ラベル10Eにおいては、第2縁部112は、X軸方向に平行に延在している。
【0065】
図9は、本発明の一実施の形態の第6変形例に係る破断用ラベルを示す平面図である。図9に示すように、本発明の一実施の形態の第6変形例に係る破断用ラベル10Fにおいては、一方の湾曲部111aと他方の湾曲部112aとが、X軸方向において互いにずれて位置している。破断部130は、一方の湾曲部111aと他方の湾曲部112aとを最短で繋ぐ方向に延在しており、Y軸方向に対して斜めに位置している。本変形例においては、破断部130の長さを長くすることができるため、切れ目が入るトータル長さを長くすることができる。
【0066】
図10は、本発明の一実施の形態の第7変形例に係る破断用ラベルを示す平面図である。図10に示すように、本発明の一実施の形態の第7変形例に係る破断用ラベル10Gにおいては、3つの括れ部120が設けられている。破断部130は、3つの括れ部120の各々に1つずつ設けられている。
【0067】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本開示の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではない。また、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。上述した実施の形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 マイクロ波処理用包装体、2 容器、3 被着フィルム、10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G 破断用ラベル、11 本体層、12 貼着剤層、100 基材層、110 導電体層、111 第1縁部、111a 一方の湾曲部、112 第2縁部、112a 他方の湾曲部、120 括れ部、130 破断部。
図1
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図10