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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156813
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B65D33/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060691
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森田 佐保
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB25
3E064BA01
3E064BA17
3E064BA24
3E064BA27
3E064BA28
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA46
3E064BA55
3E064BA60
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064BC20
3E064EA30
3E064FA01
3E064FA03
3E064HM01
3E064HP02
(57)【要約】
【課題】包装袋を開口する開封部を、誰が引き裂いても、開封部の前面シートと背面シートとの先端を離間させて、開口しやすい包装袋を得る。
【解決手段】少なくとも紙層(21)と紙層に隣接する接着層(24)とシーラント層(27)とを有するシートからなり、該シートを前面シート(2)と背面シート(3)として、そのシーラント面を向かい合わせ、周縁をシールして形成され、該周縁の内の一辺に並行した脆弱線からなる開封予定線(5)を有する包装袋(1)において、少なくとも紙層と、該紙層に接する接着層との間に、該開封予定線に沿って帯状に、紙層に接する目止めニス層(22)と剥離ニス層(23)とを設け、上記開封予定線は、前面シートと背面シートのいずれのシートにも共に設け、一方の該開封予定線が他方のシートの剥離ニス層帯の中央に設けたことを特徴とする包装袋。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも紙層と、該紙層に隣接する接着層と、シーラント層と、を有するシートからなり、該シートを前面シートと背面シートとして、そのシーラント面を向かい合わせ、周縁をシールして形成され、該周縁の内の一辺に並行した脆弱線からなる開封予定線を有する包装袋において、
少なくとも紙層と、該紙層に接する接着層との間に、該開封予定線に沿って帯状に、
紙層に接する目止めニス層と、該目止めニス層上の接着層側に剥離ニス層と、を設け、
上記開封予定線は、前面シートと背面シートのいずれのシートにも共に設け、
一方の該開封予定線が他方のシートの剥離ニス層帯の中央に設けたことを特徴とする包装袋。
【請求項2】
開封予定線が、包装袋周縁の一辺に平行な直線状の脆弱線からなり、その端部に切り欠きを有することを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
紙層が、坪量30~200g/mとした事を特徴とする請求項1、又は2に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体、粉体、粒体、固体等の内容物を収納する包装袋であって、その一端を切り裂いて開口する包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装袋から、内容物を取り出す時に、引き裂いて開口した開口部の前面フィルムと背面フィルムが引き裂いた後にも密接していると、フィルムの間を離間するのは、難しい。
特に前面フィルムと背面フィルムとが同じ高さに破断していると、指先でめくっても、片側のフィルムだけをとらえて、離間させることは、なかなかできない。
濡れた両手でつかまないと、離間しにくく、開口には手間が掛かる。いったん開口させても、維持しにくく、一方の手で開口し、他方の手で内容物を取り出そうとすると、片手で離間した状態を維持しなければ、取り出すのも難しい、などの問題があった。
【0003】
例えば、特許文献1では、
積層体を袋状にヒートシールして形成される自立性袋状の容器であって、
該容器の胴部は、前後の壁面用積層体の両側端縁部を側部シール部でヒートシールして形成され、底部は、前後の前記壁面用積層体の下部の間に底面用積層体を内側に折り返して挿入し、ヒートシールしてなるガセット部を有する形式で形成され、
前記壁面用積層体は、透明プラスチック基材と、米坪量70~280g/mの紙基材層と、ガスバリア性積層フィルムとヒートシール層とを含む積層体であり、
前記底面用積層体は、透明プラスチック基材とヒートシール層とを含む積層体であることを特徴とする自立性袋状の容器を提案している。
【0004】
この自立性袋状の容器は、紙基材層を含む積層体で構成され、開口した場合は、その開口を維持しやすい。しかし、開封部を引き裂いて開口しても、前面シートと背面シートの端部高さが同じで、密着していると、前面シートと背面シートとの先端を別々に動かして、離間させることができない。
この為、開口部を大きく開いて、内容物を取り出すことは、若い人でも手間取って、時間がとられやすい。特に一方の手で容器開口部を開き、他方の手で内容物を取り出すなど、効率的に取り出しにくいといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-265854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、包装袋を開口する開封部を、誰が引き裂いても、開封部の前面シートと背面シートとの先端を離間させて、開口しやすい包装袋を得ることが、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の包装袋は、
少なくとも紙層と、該紙層に隣接する接着層と、シーラント層と、を有するシートからなり、該シートを前面シートと背面シートとして、そのシーラント面を向かい合わせ、周縁をシールして形成され、該周縁の内の一辺に並行した脆弱線からなる開封予定線を有する包装袋において、
少なくとも紙層と、該紙層に接する接着層との間に、該開封予定線に沿って帯状に、
紙層に接する目止めニス層と、該目止めニス層上の接着層側に剥離ニス層と、を設け、
上記開封予定線は、前面シートと背面シートのいずれのシートにも共に設け、
一方の該開封予定線が他方のシートの剥離ニス層帯の中央に設けたことを特徴とする包装袋である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の包装袋は、紙層と、該紙層に接する接着層との間に、該開封予定線に沿って目止めニス層と剥離ニス層とを開封予定線がその帯の中央になるように設けることによって、開封した時に、厚み方向に段差が生じ、誰がやっても、その段差によって、前面シートと背面シートとの先端を離間させて、開口しやすい開封部に開口することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る包装袋を示す正面図である。
図2】本発明に係る包装袋を開封仕掛けた工程の図と、開封予定線近傍の前面シート構成を示す図である。
図3】本発明に係る包装袋の開封部の、押し切りする開封前と、開封後の拡大縦断面図である。
図4】本発明に係る包装袋の開封部の、引き切りする開封前と、開封後の拡大縦断面図である。
図5】本発明に係るスタンディングパウチで、開封した状態の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の包装袋の実施形態について、図で説明する。
図1は、本発明に係る包装袋1の実施形態例で、底部に底シートを挿入したスタンディングパウチの例を示す正面図である。もちろん、スタンディングパウチでなく、汎用の4方シールの包装袋であっても、3方シールの包装袋であってもかまわない。
包装袋1は、前面シート2と背面シート3とのシーラント面を向かい合わせ、周囲に天シール部11、左側シール部12、右側シール部13、および底部にシーラント層を表側にして折り曲げた底シート4を前面シート2と背面シート3との間に挟んでガゼットとした底シール部14から形成されている。
【0011】
包装袋1には、天シール部11に並行な直線状の開封予定線5を有している。
開封予定線5の左右両端には、切り欠き51、52が設けられ、開封する時に、その切り欠き52の上方をつかみ、引き裂く、きっかけにすることができる。
【0012】
図2は、本発明に係る包装袋1を開封する工程の図と、開封予定線近傍の前面シート構成を示す図である。
図2-1は切り欠き52の上方をつかみ、つかんだシートの端を手前に引き裂き始めた工程で、包装袋1の前面シート2の切り裂かれた上端は、開封予定線5の位置と同じ高さである。
しかし、背面シート3が破断した開封位置は、開封予定線5の位置よりも、充分に高い位置になっている。
【0013】
図2-2は第一実施形態例における、開封予定線5近傍の前面シート2の構成を示す図である。
前面シート2は、外側から順にオーバープリントニス層212/インキ層211/基材層(紙基材層)21/目止めニス層22/剥離ニス層23/接着層24/中間層25/接着層26/シーラント層27の順に積層されている。
ただ、インキ層211やオーバープリントニス層212は全面的に施され、目止めニス層22、剥離ニス層23は、部分的、あるいは局所的な領域に施され、特に、剥離ニス層23は、一定の幅だけの帯状の層になっている。
ここで、インキ層211の中央から厚み方向に深く、開封予定線5が施されている。ここでは、半抜きのミシン目加工がなされている。
ミシン目加工の先は剥離ニス層23の深さまで達するように加工されている。
また、ミシン目加工は、ハの字形状のミシン目であっても良い。
【0014】
図3は、本発明に係る包装袋1の開封予定線5近傍において、押し切りする開封前と、開封後の拡大縦断面図である。
図3-1の開封前の断面に示すように、前面シート2と、背面シート3とが、シーラント層27を向かい合わせて融着されている。
前面シート2や背面シート3には、紙層が基材層や中間層などとして、組み込まれている。
第一実施形態例では基材層21に紙が使用されている。
紙の基材層21に隣接した接着層24との間には、紙基材層21側に目止めニス層22が塗工され、その上の接着層24側には、剥離ニス層23が、帯状に設けられている。
そして、ミシン目加工からなる開封予定線5は、前面シート2側にのみ加工され、背面シート3には加工されていない。
しかし、この開封予定線5に対して、背面シート3にも、同じ位置に、目止めニス層22と剥離ニス層23が、帯状に加工してあって、しかも、帯状の剥離ニス層23の塗工部帯の中央に設けられている。
【0015】
図3-2は、前面シート2と背面シート3とが融着しているシール部分をつかんで、ミシン目などに加工された開封予定線5の上方を押し切る工程を示している。
包装袋1の上方を押し切ろうとすると、前面シート2側の開封予定線5で前面シート2が破断し、背面シート3に大きな力が掛かる。すると、剥離ニス層23部分で剥離が始まり、背面シート3の剥離ニス層23を形成している上端近傍に、破断できる大きな力が掛かり、その力で、基材層21が破断し、開封することができる。
この時、上記で示したように、剥離ニス層23の上端まで剥離するので、端部まで開封位置がずれて開封される。
この為、前面シート2の破断位置と、背面シート3の破断位置がずれ、開封した時に、前面シート2と背面シート3との間に、段差が生じる。
この段差が生じることによって、開封した包装背面シート3を、開封線に垂直に指先でこすると、前面シート2と背面シート3の開封端部が離間し、単独で前面シート2や背面シート3を捕らえることができる。このようにして、背面シート3を前面シート2から乖離させることができるので、包装袋1の開封部分を充分に大きく開口させることができる。
【0016】
図4は、本発明に係る包装袋1の開封予定線5近傍で、その引き切りする開封前と、開封後の拡大縦断面図である。
図4-1は引き切りで開封する前の状態を示す断面図で、図3の押し切りする前と同じである。図4-2は、前面シート2と背面シート3とが融着しているシール部分をつかんで、ミシン目などに加工された開封予定線5の上方を手前に引き切る工程を示している。
包装袋1の上方を引き切ろうとすると、背面シート3の背後から強く前面シート2側に押し込む力を掛けることになる。その時、前面シート2側の剥離ニス層23部分で剥離が生じながら、前面シート2の開封予定線5に大きな力が掛かり、開封予定線5で、その力が解放されるように、前面シート2が破断し始める。
この時、背面シート3にも大きな力が掛かり、背面シート3の剥離ニス層23を形成している下端近傍に、破断の大きな力が掛かり、その力で、基材層21が破断し、開封することができる。
この時、上記で示したように、剥離ニス層23の下端まで剥離するので、端部まで開封位置がずれた状態に開封される。
この開封位置がずれて段差が生じることによって、開封した包装背面シート3を、開封線に対して垂直に指先でこすると、前面シート2と背面シート3の開封端部が離間し、単独で前面シート2や背面シート3を捕らえることができる。このようにして、前面シート2を背面シート3から乖離させることができるので、引ききりであっても、包装袋1の開封部分を充分に大きく開口させることができる。
【0017】
図5は、包装袋1を開封した状態を示す外観斜視図である。
包装袋1を開封し、上端を押し切ったり、引き切ったりした後は、図5に示すように、包装袋1の上端は前面シート2側と背面シート3側と、ずれている状態となる。
開封した端面を垂直に指先で接触すると、高い背面シート3の端面だけを接触して捉えることができるので、前面シート2から背面シート3を離間させ、包装袋1の開封部分を充分に大きく開口させることができる。
【0018】
本発明の包装袋1を構成する積層シートに用いる基材層としては、紙やオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルムなどが考えられる。
紙を基材層とする場合には、坪量を30g/m~200g/mの紙を使用するが、特に50g/m~120g/mの紙が好ましい。これは、30g/m以下の紙は、内層を厚くする必要があるが、プラスチックの容器に占める比率が上がり過ぎてしまう環境上の問題が発生する。200g/m以上の紙は、引き裂く時に過大な力が生じやすかったり、腰が上がり過ぎて折り曲げにくいなど製袋性が悪化したり、断熱性が高くなり過ぎて融着することが難しくなったり、製品価格が高くなり過ぎるなどの問題が発生するからである。
オレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタアクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂などが考えられる。オレフィン系樹脂も、厚すぎると破断しにくいので、薄肉としたり、無延伸の樹脂フィルムを使用したり、一軸延伸の破断しやすいフィルムを使用するなどの対応が求められる。
ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリアミドフィルムを使用する場合には、20μm以下の薄いフィルムか、直線カット性を有するフィルムを使用すると良い。
基材層に紙を使用しない場合には、中間層に紙を用いる。その場合にも、坪量を30g/m~200g/mの紙を使用するとよい。
【0019】
中間層にも、紙やオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルムなどが考えられる。
紙の場合は坪量30g/m~200g/mの紙を使用することなどは、基材層と同じである。
オレフィン系樹脂フィルムも、薄肉としたり、無延伸の樹脂フィルムを使用したり、一軸延伸の破断しやすいフィルムを使用する。
さらに、内容物の保存性を向上させるバリア層として、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルムなども使用できるので、その場合には、20μm以下の薄肉のフィルムを使用するか、直線カット性を有するフィルムを使用すると良い。
【0020】
シーラント層としては、ポリオレフィン系樹脂が良い。具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EAA)、アイオノマー、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂が使用できる。これらの樹脂をTダイ、あるいはインフレーションなどの
押出し機により製膜可能である。単層または複層でもよい。フィルムの厚みとしては、50~200μmの範囲であることが好ましい。特に引裂き性を有するポリオレフィン系樹脂を用いるとさらにカット性が向上する。
【0021】
接着層としては、ドライラミネート用接着剤が使用できる。例えば、二液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、エポキシ系接着剤などを使用することができる。
上記接着剤を使用して貼り合わせ方法としては、ドライラミネート法にて可能である。
また、エキストルーダーラミネーション機で、シーラント層側を製膜しながら貼り合せてもかまわないし、サンドポリエチレン加工してもかまわない。
【0022】
目止めニスは、低密度ポリエチレンを部分的にラミネートしても良いが、ポリビニルアルコールやクレーを印刷、あるいはコーターで塗工しても良い。
上シール部の下方で、開封予定線5の位置を中心として、天シール部に並行して塗工する。
【0023】
剥離層としては、シリコーン系剥離剤や非シリコーン系剥離剤を、印刷などで帯状に塗工する。
目止めニスを塗工した帯状の塗工面に乗せて、開封予定線を加工する高さ位置に合わせ、充分に段差を付けられる高さの位置までの幅になるよう、塗工幅を設ける。
【0024】
また、積層シートの諸物性を向上する必要があれば、例えば、積層シートの剛性や落下強度、突き刺し強度などを向上させる場合、水蒸気や酸素ガスなどのバリア性を向上させる場合、などにはバリア層を設けることも可能である。
【0025】
バリア層としては、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム、無機酸化物蒸着ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムなどを使用することができる。もちろん、バリア層を積層するには、接着層を介してドライラミネート法にて貼り合わせることができる。
【0026】
蒸着させる無機酸化物としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシュウム、酸化カリウム、酸化錫、酸化ナトリウム、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化イットリウムなどの金属の酸化物が使用できる。中でも生産性、価格面から酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどが好ましい。
【0027】
底フィルムは、前フィルムや後フィルムと同じ構成でかまわない。しかし、使い勝手や生産性から、折り畳まれる面には、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリプロピレンなどの2軸延伸フィルムを使用することが好ましい。そして、前フィルムや後フィルムよりも薄肉にして、開閉性をスムーズに行なわれやすくしておいてもよい。
【実施例0028】
<実施例1>
前面シート、背面シートとして、外側からオーバープリントニス/インキ/紙基材層/目止めニス層/剥離ニス層/接着剤/ポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)/直鎖状低密度ポリエチレン(厚さ60μm)の構成のシートを使用した。
紙基材層には、坪量100g/mの紙を使用した。
前記シートを、長さ200mm、幅200mmの正方形に切断した。同時に、易開封破断線を、天シール部側上端から25mmの位置に、外側から剥離ニス層までの深さで半抜きのミシン目になるよう加工した。
次に、幅方向を二分するように折り曲げ、底シール部と、左側シールと右側の折り曲げた罫線部分も右側シール部としてシールし、上方の天シール部をシールすると共に、易開封破断線の左右に切り欠きを加工した。上記実施例1の包装袋は、同じものを5個作成した。
【0029】
<実施例2>
前面シート、背面シートとして、外側からオーバープリントニス/インキ/紙基材層/目止めニス層/剥離ニス層/低密度ポリエチレン(厚さ18μm)/ポリエチレンテレフタレート(12μm)/直鎖状低密度ポリエチレン(厚さ60μm)の構成のシートで、実施例1の接着剤の部分を、押出ラミネーション機のTダイで押し出した溶融ポリエチレンを使用して接着するサンドポリエチレンで貼り合わせる構成とした。
その他は、実施例1と同じ加工を行った。
【0030】
<実施例3>
前面シート、背面シートの構成は実施例1と同じであるが、易開封破断線のミシン目は加工しなかった。
その他は、実施例1と同じ加工を行った。
【0031】
<実施例4>
前面シート、背面シートとして、まず、実施例1と同じ、外側からオーバープリントニス/インキ/紙基材層/目止めニス層/剥離ニス層/接着剤/ポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)/直鎖状低密度ポリエチレン(厚さ60μm)の構成のシートを作成した。その後、易開封破断線を、天シール部側上端から25mmの位置に、外側の紙基材層から剥離ニス層までの深さで半抜きのミシン目になるよう加工した。
さらに、その後、上記実施例1と同じ構成のシートの外側に、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを接着剤で貼り合わせ、実施例4のシートとした。
次に、前記シートを、長さ200mm、幅200mmの正方形に切断した。
そして、幅方向を二分するように折り曲げ、底シール部と、左側シールと右側の折り曲げた罫線部分も右側シール部としてシールし、上方の天シール部をシールすると共に、易開封破断線の左右に切り欠きを加工した。上記実施例4の包装袋も、同じものを5個作成した。
【0032】
<比較例1>
前面シート、背面シートとして、外側からオーバープリントニス/インキ/紙基材層/接着剤/未延伸ポリプロピレン(厚さ60μm)の構成のシートを使用した。
紙基材層には、坪量100g/mの紙を使用した。
前記シートを、長さ200mm、幅200mmの正方形に切断した。しかし、易開封破断線は加工しなかった。
次に、幅方向を二分するように折り曲げ、底シール部と、左側シールと右側の折り曲げた罫線部分も右側シール部としてシールし、上方の天シール部をシールすると共に、天シール部側上端から25mmの位置の左右に切り欠きを加工した。上記比較例1の包装袋は、同じものを5個作成した。
【0033】
<比較例2>
前面シート、背面シートとして、外側からポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)/接着剤/6-ナイロン(厚さ12μm)/接着剤/直鎖状低密度ポリエチレン(厚さ60μm)の構成のシートを使用し、紙層は含まなかった。
前記シートを、長さ200mm、幅200mmの正方形に切断した。しかし、易開封破断線は加工しなかった。
次に、幅方向を二分するように折り曲げ、底シール部と、左側シールと右側の折り曲げた
罫線部分も右側シール部としてシールし、上方の天シール部をシールすると共に、天シール部側上端から25mmの位置の左右に切り欠きを加工した。上記比較例1の包装袋は、同じものを5個作成した。
【0034】
<評価方法>
包装袋の天シール部の左端と、左側シール部の切り欠きの直ぐ下側と、をつかみ、勢いよく天シール部の左端をノッチ部より開封し、引き切りや押し切りして開封した。
<段差の発現>
段差の発現は、開封した包装袋の開封した幅の中央で、前面シートと背面シートとの先端が、2mm以上の段差があるものを〇、2mm未満のものを×とした。5個試験して、3個以上の評価を全体の評価とした。
<易開口性>
易開口性は、開封した開口部の左端部をつかみ、右手で開封した幅の中央の上端を指先で接触し、該指先を手前、あるいは奥へ動かして、容易に20mm以上開口した状態で保持し、該開口部に親指を挿入できるか、確認した。20mm以上開口できたものを〇、20mm未満しか開口できなかったものを×とした。5個試験して、3個以上の評価を全体の評価とした。
【0035】
<評価結果>
実施例1、実施例2、実施例3、実施例4では、段差は2mm以上で発現した。また、容易に前面シートと背面シートとの間を離間させて開口させ、易開口性は、良好だった。
比較例1、比較例2では、段差は2mm未満で発現できず、容易に開口できず、易開口性はなかった。
以上の結果を表にまとめた。
【0036】
【表1】
【0037】
以上の結果から、前面シートと背面シートが、紙層と、該紙層に接する接着層との間に、該開封予定線に沿って帯状に、紙層に接する目止めニス塗工部と、該目止めニス塗工部上の接着層側に剥離ニス塗工部と、を設け、開封予定線を前面シートに加工することによって、破断させた時に、前面シートと背面シートとの破断先端で段差が生じ、開口しやすい包装袋とすることができると、評価された。
【0038】
本発明の包装袋は以上のようなもので、紙基材層と紙層に隣接する接着層との間に目止めニスと剥離ニスを、前面シートに設けた開封予定線の高さを中央に幅を設けて塗工する事によって、前面シートと背面シートとの破断先端の段差を生じ、この段差で、容易に開口できる。
本発明の包装袋は、シートを積層するときに、印刷などの工程を入れるだけで、容易に製造することができ、かつ、汎用の設備で製造できるので、生産性も高く、安価に供給できるなど、本発明のメリットは大きい。
【符号の説明】
【0039】
1・・・・・・・・包装袋
11・・・・・・・天シール部
12・・・・・・・左側シール部
13・・・・・・・右側シール部
14・・・・・・・底シール部
2・・・・・・・・前面シート
21・・・・・・・基材層(紙基材層)
211・・・・・・インキ層
212・・・・・・オーバープリントニス層
22・・・・・・・目止めニス層
23・・・・・・・剥離ニス層
24・・・・・・・接着層
25・・・・・・・中間層
26・・・・・・・接着層
27・・・・・・・シーラント層
3・・・・・・・・背面シート
4・・・・・・・・底シート
5・・・・・・・・開封予定線
51・・・・・・・切り欠き(左)
52・・・・・・・切り欠き(右)
図1
図2
図3
図4
図5