IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-包装袋 図1
  • 特開-包装袋 図2
  • 特開-包装袋 図3
  • 特開-包装袋 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156814
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B65D33/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060692
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森田 佐保
(72)【発明者】
【氏名】下野 貴裕
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB25
3E064BA01
3E064BA17
3E064BA24
3E064BA27
3E064BA28
3E064BA36
3E064BA46
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064BC20
3E064EA30
3E064FA01
3E064FA03
3E064HM01
3E064HP02
(57)【要約】
【課題】良好な熱接着性(密封性)と易開封性を兼ね備え、さらに、開封面が紙剥けせず美観的に良好である、包装袋を提供する。
【解決手段】少なくとも紙層と、該紙層に隣接する接着層と、中間層と、シーラント層とを、有する表裏2枚の積層フィルムを、シーラント層が最内層となるように対向して重ね、周縁をシールして形成され、該周縁の内の一辺に並行した脆弱線からなる開封予定線を有する包装袋であって、
少なくとも紙層と、該紙層に接する接着層との間に、前記開封予定線に沿って帯状に、紙層に接する目止めニス層と、該目止めニス層上の接着層側に剥離ニス層と、を設け、
前記開封予定線は、少なくとも表裏いずれか一方の、前記紙層側から、前記目止めニス層および剥離ニス層まで貫通するミシン目によって形成されていることを特徴とする包装袋である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも紙層と、該紙層に隣接する接着層と、中間層と、シーラント層とを、有する表裏2枚の積層フィルムを、シーラント層が最内層となるように対向して重ね、周縁をシールして形成され、該周縁の内の一辺に並行した脆弱線からなる開封予定線を有する包装袋であって、
少なくとも紙層と、該紙層に接する接着層との間に、前記開封予定線に沿って帯状に、紙層に接する目止めニス層と、該目止めニス層上の接着層側に剥離ニス層と、を設け、
前記開封予定線は、少なくとも表裏いずれか一方の、前記紙層側から、前記目止めニス層および剥離ニス層まで貫通するミシン目によって形成されていることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記開封予定線が、その端部に開封開始部を有することを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記紙層の坪量が、30~200g/mとした事を特徴とする請求項1または2に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封が容易かつ円滑であり、かつ開封面が紙剥けせず美観的に良好である、包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
菓子に代表されるような包装袋は、内面に施されたシーラント層によって熱融着することで封止する方法が一般的に用いられている。したがって、上記の目的を達成するためには、このシーラント層は充分な密封性を有することが必要であり、また、輸送等の過程でこのシール部が剥がれないよう充分なヒートシール強度を有することが必要とされている。
【0003】
しかしながら、内容物を保護するための過剰なヒートシール強度は逆に消費者が利用する際、容易に手で開封することができず、鋏等の器具を使わなければならないこともあった。また、仮に開封できたとしても、開封時に大きな力を必要としてしまい、開封した瞬間に勢い余って内容物が飛び出してしまったりするなどの問題があった。
【0004】
例えば、特許文献1では、
積層体を袋状にヒートシールして形成される自立性包装袋であって、この自立性包装袋は、紙基材層を含む積層体で構成され、その包装袋の開封に、手の引き裂きで開封し易いように、例えば、4方シールされ、上側辺を切り裂く為に、右側辺シール部上側の開封予定部位に、V型ノッチが切込まれており、このV型ノッチを起点とし、ハーフカット線にそって手で引き裂いて開封するものである。
【0005】
しかし、このような開封予定部位に切込まれているV型ノッチを起点とし、ハーフカット線にそって手で引き裂いて開封するものでは、紙の層間強度よりも引き裂き強度が過大なため、斜めに引き裂かれて被着体の紙が破壊したり、あるいは、紙基材のみが剥がれてしまうという、いわゆる「紙剥け現象」を生じやすいという問題もある。図4は、従来の包装袋を開封した際の開封面に発生した「紙剥け現象」の拡大模式図である。これらの現象は美観が良くない上、文字が読めなくなる可能性もある。また、紙粉などが内容物に混入する可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-265854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の技術的背景を考慮してなされたものであって、良好な熱接着性(密封性)と易開封性を兼ね備え、さらに、開封面が紙剥けせず美観的に良好である、包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するために、すなわち、
本発明の請求項1によると、少なくとも紙層と、該紙層に隣接する接着層と、中間層と、シーラント層とを、有する表裏2枚の積層フィルムを、シーラント層が最内層となるように対向して重ね、周縁をシールして形成され、該周縁の内の一辺に並行した脆弱線からなる開封予定線を有する包装袋であって、
少なくとも紙層と、該紙層に接する接着層との間に、前記開封予定線に沿って帯状に、紙層に接する目止めニス層と、該目止めニス層上の接着層側に剥離ニス層と、を設け、
前記開封予定線は、少なくとも表裏いずれか一方の、前記紙層側から、前記目止めニス層および剥離ニス層まで貫通するミシン目によって形成されていることを特徴とする包装袋である。
【0009】
「紙剥け現象」は、紙層と中間層間の接着層による接着強度が、紙層の層間強度より強いため、先に紙層の層間で剥離が生じ、紙が剥けることによって発生する。本発明では、紙層と接着層の間に目止めニス層および剥離ニス層を積層することによって、剥離ニス層と接着層とは強くは接着せずに易剥離状態となり、剥離ニス層と接着層間の接着強度を紙層の層間強度より弱めている。
【0010】
また、請求項2によると、前記開封予定線が、その端部に開封開始部を有することを特徴とする請求項1に記載の包装袋である。
【0011】
また、請求項3によると、前記紙層の坪量が、30~200g/mとした事を特徴とする請求項1または2に記載の包装袋である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、良好な熱接着性(密封性)と易開封性を兼ね備え、さらに、開封面が紙剥けせず美観的に良好である、包装袋を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る包装袋を示す正面図である。
図2】本発明に係る包装袋を開封仕掛けた工程の図と、開封予定線近傍の前面シート構成を示す拡大模式図である。
図3】本発明に係る包装袋を示す展開図および組み立て図である。
図4】従来の包装袋を開封した工程の図と、開封面の拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施例としての実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の包装袋20の一例で、開封予定線29を、スタンディングパウチにミシン目加工によって施した正面図である。もちろん、スタンディングパウチでなく、汎用の4方シールの包装袋であっても、3方シールの包装袋であってもかまわない。包装袋20は、前面シート21と背面シート22とのシーラント面を向かい合わせ、周囲に天シール部24、左側シール部25、右側シール部26、および底部にシーラント層を表側にして折り曲げた底シート23を前面シート21と背面シート22との間に挟んでガゼットとした底シール部27から形成されている。
【0015】
本発明に係る包装袋20は、紙層2、中間層3、シーラント層4からなり、各々接着層5及び6を介して積層された積層フィルム1(図2(b)参照)を用いた易開封性包装袋20であって、天シール部24に並行な直線状の開封予定線29を有している。開封予定線29の左右両端には、開封開始部28が設けられ、開封する時に、その開封開始部28の上方をつかみ、引き裂く、きっかけにすることができる。
【0016】
図2(a)は開封開始部28の上方をつかみ、つかんだシートの端を手前に引き裂き始めた工程で、図2(b)は第一実施形態例における、開封予定線29近傍の前面シート21の構成を示す拡大模式図である。
【0017】
図2(a)で示された、本発明の積層フィルム1を用いた前面シート21は、例えば、
外側から順にオーバープリントニス層10/インキ層9/基材層2(紙基材層)/目止めニス層7/剥離ニス層8/接着層5/中間層3/接着層6/シーラント層4の順に積層されている。ただ、インキ層9やオーバープリントニス層10、目止めニス層7、剥離ニス層8は、部分的、あるいは局所的な領域のみに施され、特に、剥離ニス層8は、一定の幅だけの帯状の層になっている。ここで、インキ層9の中央から厚み方向に深く、開封予定線29が施されている。ここでは、半抜きのミシン目加工がなされている。ミシン目加工の先は剥離ニス層8の深さまで達するように加工されている。
【0018】
図3(a)は、前面シート21と背面シート22の展開図を示している。前面シート21や背面シート22には、紙層が基材層や中間層などとして、組み込まれている。第一実施形態例では基材層2に紙が使用されている。紙の基材層2に隣接した接着層5との間には、紙基材層2側に目止めニス層7が塗工され、その上の接着層5側には、剥離ニス層8が、帯状に設けられている。そして、開封予定線29は、紙層2側から、目止めニス層7および剥離ニス層8まで貫通するミシン目によって形成されている前面シート21側にのみ加工され、背面シート22には加工されていない。しかし、この開封予定線29に対して、背面シート22にも、同じ位置に、目止めニス層7と剥離ニス層8が、帯状に加工している。開封予定線29は背面シート22に加工されていても問題ないが、表裏同じ位置に加工することが必要である。開封予定線29の形成方法については特に制約は無く、刃物や抜型を用いた方法でも良いし、レーザーを用いた方法でも良い。
【0019】
図3(b)は、前面シート21と背面シート22の組み立て図を示している。図3(b)のように 、目止めニス層7と剥離ニス層8が表裏同じ位置になるように、フィルムの左右端部を合わせて、融着し、その後、底シール(底シール部28)をして、筒状から袋形状に変化させ、開いている上部から内容物を注入し、開封予定線29より上側を融着して天シール(天シール部25)する。
【0020】
<紙剥け抑止機構>
図2(a)は、前面シート2と背面シート3とが融着しているシール部分をつかんで、開封開始部28を開封の始点として、ミシン目などに加工された開封予定線29にそって押し切る工程を示している。上述した剥離ニス層8と接着層5とは強くは接着せずに易剥離状態となっている。そのため剥離ニス層8と接着層5間の接着強度は、紙の層間強度より弱くなり、開封予定線29にそって前面シート21を押し切ろうとすると、紙基材層2より先に剥離ニス層8と接着層5間で界面剥離が始まり、紙基材層間では剥雛しないため紙剥け現象が発生しない。このように、開封予定線29のミシン目加工が剥離ニス8上で剥離を開始するガイドとなる。この作用によって開封後の外観の美粧性および紙剥けにより印刷文字が読めなくなるといった問題が解決される。
【0021】
<基材層>
本発明の包装袋20を構成する積層フィルム1に用いる基材層としては、紙やオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルムなどが考えられる。紙を基材層とする場合には、坪量を30g/m~200g/mの紙を使用するが、特に50g/m~120g/mの紙が好ましい。これは、30g/m以下の紙は、内層を厚くする必要があるが、プラスチックの包装袋に占める比率が上がり過ぎてしまう環境上の問題が発生する。200g/m以上の紙は、引き裂く時に過大な力が生じやすかったり、腰が上がり過ぎて折り曲げにくいなど製袋性が悪化したり、断熱性が高くなり過ぎて融着することが難しくなったり、製品価格が高くなり過ぎるなどの問題が発生するからである。
【0022】
オレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタアクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂などが考えられる。オレフィン系樹脂も、厚すぎると破断しにくいので、薄肉としたり、無延伸の樹脂フィルムを使用したり、一軸延伸の破断しやすいフィルムを使用するなどの対応が求められる。ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリアミドフィルムを使用する場合には、20μm以下の薄いフィルムか、直線カット性を有する一軸延伸のフィルムを使用すると良い。基材層に紙を使用しない場合には、中間層に紙を用いる。その場合にも、坪量を30g/m~200g/mの紙を使用するとよい。
【0023】
<印刷層>
本発明の積層フィルム1を用いて包装袋20などとして実用的に用いる際、通常、上記の基材層上に印刷模様層9を形成することができる。係る印刷模様層9としては、例えば、文字、図形、記号、絵柄、その他等からなる所望の印刷模様を印刷して、印刷模様層9を形成することができるものである。上記の印刷模様層9としては、具体的には、まず、樹脂等の1種ないし2種以上からなるインキ用ビヒクルを主成分とし、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、さらに、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整し、次いで、そのインキ組成物を使用し、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷などの公知の印刷方式を使用し、文字、図形、記号、絵柄などからなる所望の印刷模様を印刷して、印刷模様層9を形成することができるものである。
【0024】
<中間層>
中間層3にも、紙やオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルムなどが考えられる。紙の場合は坪量30g/m~200g/mの紙を使用することなどは、基材層と同じである。オレフィン系樹脂フィルムも、薄肉としたり、無延伸の樹脂フィルムを使用したり、一軸延伸の破断しやすいフィルムを使用する。さらに、内容物の保存性を向上させるバリア層として、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルムなども使用できるので、その場合には、20μm以下の薄肉のフィルムを使用するか、直線カット性を有する一軸延伸のフィルムを使用すると良い。
【0025】
<シーラント層>
シーラント層4としては、ポリオレフィン系樹脂が良い。具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EAA)、アイオノマー、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂が使用できる。これらの樹脂をTダイ、あるいはインフレーションなどの押出し機により製膜可能である。単層または複層でもよい。フィルムの厚みとしては、50~200μmの範囲であることが好ましい。特に引裂き性を有するポリオレフィン系樹脂を用いるとさらにカット性が向上する。
【0026】
<接着層>
接着層としては、ドライラミネート用接着剤が使用できる。例えば、二液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、エポキシ系接着剤などを使用することができる。上記接着剤を使用して貼り合わせ方法としては、ドライラミネート法にて可能である。また、エキストルーダーラミネーション機で、シーラント層側を製膜しながら貼り合せてもかまわないし、サンドポリエチレン加工してもかまわない。
【0027】
<ニス層>
目止めニス層7は、剥離ニス層8の下地として紙層の上に積層する。下地層がないと紙
繊維に剥離ニスが浸透し濃淡ができてしまう。目止めニス層7は、低密度ポリエチレンを部分的にラミネートしても良いが、ポリビニルアルコールやクレーを印刷、あるいはコーターで塗工しても良い。天シール部の下方で、開封予定線29の位置を中心として、天シール部に並行して塗工する。
【0028】
剥離ニス層8としては、接着層5に対し、強い接着性を持たない、シリコーン系剥離剤や非シリコーン系剥離剤を、印刷などで帯状に塗工する。目止めニス層7を塗工した帯状の塗工面に乗せて、開封予定線29を加工する高さ位置に合わせ、塗工幅を設ける。
【0029】
また、積層フィルム1の諸物性を向上する必要があれば、例えば、積層フィルム1の剛性や落下強度、突き刺し強度などを向上させる場合、水蒸気や酸素ガスなどのバリア性を向上させる場合、などにはバリア層を設けることも可能である。
【0030】
バリア層としては、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム、無機酸化物蒸着ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムなどを使用することができる。もちろん、バリア層を積層するには、接着層を介してドライラミネート法にて貼り合わせることができる。
【0031】
蒸着させる無機酸化物としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、酸化錫、酸化ナトリウム、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化イットリウムなどの金属の酸化物が使用できる。中でも生産性、価格面から酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどが好ましい。
【0032】
底シート23は、前面シート21や背面シート22と同じ構成でかまわない。しかし、使い勝手や生産性から、折り畳まれる面には、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリプロピレンなどの2軸延伸フィルムを使用することが好ましい。そして、前面シート21や背面シート22よりも薄肉にして、開閉性をスムーズに行なわれやすくしておいてもよい。
【0033】
本発明の積層フィルム1を用いた包装袋20は、シーラント層4として、良好な熱接着性(密封性)と易開封性を兼ね備え、さらに、剥離強度が強すぎるため被着体の紙が破壊する、いわゆる「紙剥け現象」の発生がない包装袋に好適に使用される。さらに、包装袋に限らず、環境問題や容器のリサイクル法の改正に対応してプラスチック容器の紙化の要求が高まり、紙容器などの蓋材などにも用途展開が可能である。
【実施例0034】
下記構成の包装袋をそれぞれ指定位置で開封し、紙剥けの発現有無を確認した。
<実施例1>
前面シート、背面シートとして、外側からオーバープリントニス/インキ/紙基材層/目止めニス層/剥離ニス層/接着剤1/ポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)/接着剤2/直鎖状低密度ポリエチレン(厚さ60μm)の構成のシートを使用した。紙基材層には、坪量100g/mの紙を使用した。前記シートを、長さ200mm、幅200mmの正方形に切断した。同時に、易開封破断線を、天シール部側上端から25mmの位置に、外側から剥離ニス層までの深さで半抜きのミシン目になるよう加工した。
次に、前面シートと背面シートの周縁をシールして3方製袋品を作製し、易開封破断線の左右に切り欠きを加工した。
【0035】
<実施例2>
前面シート、背面シートとして、外側からオーバープリントニス/インキ/紙基材層/目止めニス層/剥離ニス層/低密度ポリエチレン(厚さ18μm)/ポリエチレンテレフ
タレート(12μm)/接着剤2/直鎖状低密度ポリエチレン(厚さ60μm)の構成のシートで、実施例1の接着剤1の部分を、押出ラミネーション機のTダイで押し出した溶融ポリエチレンを使用して接着するサンドポリエチレンで貼り合わせる構成とした。
その他は、実施例1と同じ加工を行った。
【0036】
<実施例3>
前面シート、背面シートの構成は実施例1と同じであるが、易開封破断線のミシン目は加工しなかった。
その他は、実施例1と同じ加工を行った。
【0037】
<実施例4>
前面シート、背面シートとして、外側からポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)/接着剤/インキ/紙基材層/目止めニス層/剥離ニス層/接着剤/ポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)/接着剤/直鎖状低密度ポリエチレン(厚さ60μm)の構成のシートを作成した。その他は、実施例1と同じ加工を行った。
【0038】
<比較例1>
前面シート、背面シートとして、外側からオーバープリントニス/インキ/紙基材層/接着剤/未延伸ポリプロピレン(厚さ60μm)の目止めニス層と剥離ニス層を含まない構成のシートを使用した。紙基材層には、坪量100g/mの紙を使用した。前記シートを、長さ200mm、幅200mmの正方形に切断した。しかし、易開封破断線は加工しなかった。その他は、実施例1と同じ加工を行った。
【0039】
<比較例2>
前面シート、背面シートとして、外側からポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)/接着剤/6-ナイロン(厚さ12μm)/接着剤/直鎖状低密度ポリエチレン(厚さ60μm)の構成のシートを使用し、紙層は含まなかった。前記シートを、長さ200mm、幅200mmの正方形に切断した。しかし、易開封破断線は加工しなかった。その他は、実施例1と同じ加工を行った。
【0040】
<評価方法>
包装袋の天シール部の左端と、左側シール部の切り欠きの直ぐ下側と、をつかみ、勢いよく天シール部の左端を手前に引っ張って開封し、紙剥けの発現有無を確認した。紙剥けの発現がないものを〇、紙剥けが発現したものを×とした。
【0041】
<評価結果>
実施例1、実施例2、実施例3、実施例4では、紙剥けは発現しなかった。比較例1では、紙剥けが発現した。比較例2は、紙を含まない構成なので紙剥け現象はない。
以上の結果を表1にまとめた。
【0042】
【表1】
【0043】
以上の結果から、前面シートと背面シートが、紙層と、該紙層に接する接着層との間に、該開封予定線に沿って帯状に、紙層に接する目止めニス塗工部と、該目止めニス塗工部上の接着層側に剥離ニス塗工部と、を設け、開封予定線を前面シートに加工することによって、開封予定線にそって開封した時に、紙剥け現象が発現しない包装袋が得られた。
【符号の説明】
【0044】
1・・・積層フィルム
2・・・基材層(紙基材層)
3・・・中間層
4・・・シーラント層
5,6・・・接着層
7・・・目止めニス層
8・・・剥離ニス層
9・・・印刷模様層層
10・・・オーバープリントニス層
20・・・包装袋
21・・・前面シート
22・・・背面シート
23・・・底シート
24・・・天シール部
25・・・左側シール部
26・・・右側シール部
27・・・底シール部
28・・・開封開始部
29・・・開封予定線
30・・・ニス層
図1
図2
図3
図4