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特開2022-156829吊り金具用補助部材及びロール体並びに吊り金具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156829
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】吊り金具用補助部材及びロール体並びに吊り金具
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/233 20060101AFI20221006BHJP
   F16L 3/14 20060101ALI20221006BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
F16L3/233
F16L3/14 Z
F16B2/08 H
F16B2/08 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060710
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】391039302
【氏名又は名称】株式会社昭和コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】堀越 信一
(72)【発明者】
【氏名】中原 啓忠
(72)【発明者】
【氏名】津久井 慎
(72)【発明者】
【氏名】木多 尚輝
【テーマコード(参考)】
3H023
3J022
【Fターム(参考)】
3H023AA03
3H023AD08
3J022DA12
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC22
3J022FB12
3J022GB42
3J022GB43
3J022GB53
(57)【要約】
【課題】 配管を保持する吊り金具のバンド部と配管との間に介在するようにして配管管軸方向に延びて配管を支持する吊り金具用補助部材に関して、これまでにない新規なものを提供することにある。
【解決手段】 吊り金具用補助部材10は、配管管周方向に延びるシート状の本体部20と、本体部20を配管管軸方向にカット可能なカット部30と、本体部20を固定する固定構造としての係止部40と、を備える。係止部40は、一対の係止片41,41が切り起こされるように本体部20に形成される。そして、係止片41,41を連接している連接部42を切断し、係止片41,41を本体部20から切り起こし、バンド部を挟むように係止する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を保持する吊り金具のバンド部と配管との間に介在するようにして配管管軸方向に延びて配管を支持する吊り金具用補助部材であって、
当該吊り金具用補助部材は、配管管軸方向に延びるとともに配管管周方向にカットして使用するシート状の本体部と、本体部を固定する固定構造と、を備えることを特徴とした吊り金具用補助部材。
【請求項2】
固定構造は、本体部の配管管周方向に規則的かつ連続的に3つ以上備えることを特徴とした請求項1記載の吊り金具用補助部材。
【請求項3】
固定構造は、配管管軸方向又は/及び配管管周方向へ本体部を位置規制するものであることを特徴とした請求項1又は2記載の吊り金具用補助部材。
【請求項4】
固定構造は、本体部の一部を切り起こした切り起こしであることを特徴とした請求項1から3のいずれかに記載の吊り金具用補助部材。
【請求項5】
固定構造は、本体部の一部に形成したスリットであることを特徴とした請求項1から3のいずれかに記載の吊り金具用補助部材。
【請求項6】
固定構造は、本体部と別部材との組み合わせであることを特徴とした請求項1から3のいずれかに記載の吊り金具用補助部材。
【請求項7】
固定構造は、本体部を吊り金具のバンド部の部分を使って取り付けることを特徴とした請求項1から6のいずれかに記載の吊り金具用補助部材。
【請求項8】
固定構造は、本体部を吊り金具のバンド部以外の部分又は吊り金具の構成部材を使って取り付けることを特徴とした請求項1から6のいずれかに記載の吊り金具用補助部材。
【請求項9】
固定構造は、本体部を環状に連結してなることを特徴とした請求項1から6のいずれかに記載の吊り金具用補助部材。
【請求項10】
本体部は、カット可能なカット部を備えることを特徴とした請求項1から9のいずれかに記載の吊り金具用補助部材。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の吊り金具用補助部材に用いられる本体部をロール状に積層させたロール体。
【請求項12】
請求項1から10のいずれかに記載の吊り金具用補助部材を備えた吊り金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管を支持するための吊り金具に用いられる補助部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
吊り金具によって略水平方向に支持された配管(横引き配管)が、吊り金具の支持部分(バンド部)においてその自重により「配管被覆部の潰れ」や「配管被覆部の破れ」等の不具合による保温・断熱機能の低下を招き、結露・熱ロス等の発生という重大な欠陥を生じさせることがある。
【0003】
このため、平成31年版国土交通省公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)において、横引き配管支持の場合の断熱材の食込みを防止するために、断熱材被覆銅管と吊り金物との間に、合成樹脂等の保護プレート(本願でいう「吊り金具用補助部材」のこと)の設置が推奨されている。
そして、これまでに配管を保持する吊り金具のバンド部と配管との間に介在するようにして配管管軸方向に延びて配管を支持する吊り金具用補助部材が種々研究・開発され存在している(例えば、特許文献1及び特許文献2など)。
【0004】
その中で、特許文献3は、被覆配管を支持する受板材20が、次のような特徴を有している。
(1)受板材20は、吊りバンド10のバンド部11の幅よりも広い面積を有する板状の部材で、バンド部11の半分(半円)以上を占める程度に装着されている。
(2)受板材20から切り起こした係止部23をバンド部11の貫通孔13に貫通させてひねり、貫通孔13に係止部23を係止せしめることで、バンド部11に仮止めされた受板材20を、この係止部12で固定している。
(3)受板材20に幅の寸法を変えた数種類の係止溝21を形成したことにより、数種類のバンド部11の幅に対してこれらの係止溝21を適宜選択することができるので、バンド部11の幅にも柔軟に対応できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-120113号公報
【特許文献2】特開2010-048339号公報
【特許文献3】特開2009-052611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行技術文献をみれば、確かに、吊り金具のバンド部の支持面積を大きくすることで、配管の自重が分散され、「配管被覆部の潰れ」や「配管被覆部の破れ」等の不具合を防止し得る。
しかし、これまでの吊り金具用補助部材には、以下のような問題を有していた。
(1)吊り金具が支持する配管には様々な配管径のものがあり、また、支持する配管の数も現場によって様々であり、それら全てのケースに1つの製品(吊り金具用補助部材)で適正な支持面積が得られるとは限らない。そのため、配管径ごとにそれらに対応する製品(複数のラインナップ)を用意しなければならなかった。
(2)多配管支持の時、最下の配管しか保護できない。
(3)バンドへの係止部が1か所又は2か所であり、衝撃等でバンドから外れやすい。
(4)管周方向へズレる。
(5)薄板のため、強度が弱い。
【0007】
そこで、本願発明者は、上記課題を解決すべく鋭意試験・研究を行い、これまでにない斬新な発想による本願発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明は、配管を保持する吊り金具のバンド部と配管との間に介在するようにして配管管軸方向に延びて配管を支持する吊り金具用補助部材であって、当該吊り金具用補助部材は、配管管軸方向に延びるとともに配管管周方向にカットして使用するシート状の本体部と、本体部を固定する固定構造と、を備えることを特徴としたものである。
第2の発明は、固定構造が、本体部の配管管周方向に規則的かつ連続的に3つ以上備えることを特徴とした同吊り金具用補助部材である。
ここで、「規則的」とは、固定構造の間隔に規則性があることの他に、固定構造の内容に規則性があることも含む。
第3の発明は、固定構造が、配管管軸方向又は/及び配管管周方向へ本体部を位置規制するものであることを特徴とした同吊り金具用補助部材である。
第4の発明は、固定構造が、本体部の一部を切り起こした切り起こしであることを特徴とした同吊り金具用補助部材である。
第5の発明は、固定構造が、本体部の一部に形成したスリットであることを特徴とした同吊り金具用補助部材である。
第6の発明は、固定構造が、本体部と別部材との組み合わせであることを特徴とした同吊り金具用補助部材である。
第7の発明は、固定構造が、本体部を吊り金具のバンド部の部分を使って取り付けることを特徴とした同吊り金具用補助部材である。
第8の発明は、固定構造が、本体部を吊り金具のバンド部以外の部分又は吊り金具の構成部材を使って取り付けることを特徴とした同吊り金具用補助部材である。
第9の発明は、固定構造が、本体部を環状に連結してなることを特徴とした同吊り金具用補助部材である。
第10の発明は、本体部が、カット可能なカット部を備えることを特徴とした同吊り金具用補助部材である。
第11の発明は、上記第1の発明から第10の発明に係る吊り金具用補助部材に用いられる本体部をロール状に積層させたロール体である。
第12の発明は、上記第1の発明から第10の発明に係る吊り金具用補助部材を備えた吊り金具である。
【発明の効果】
【0009】
上記した本願発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)どのような配管径・配管数にも1つの製品(吊り金具用補助部材)で適正な支持面積を得ることができる。すなわち、これまでは、バンド部(配管)が大きくなった際に、吊り金具用補助部材も大きくする必要があり(バンド部に対する受け角度を一定以上にするため)、また、バンド部で支持する配管数が多くなった際に、吊り金具用補助部材も大きくする必要がある(側面の被覆潰れを防止するため)が、本体部がシート状であり任意の長さにカットできるので、ラインナップを揃える必要が無く、1つの製品(吊り金具用補助部材)で適正な支持面積のものを成形できる。
(2)配管の全周を保護でき、巻いた後に端部を固定することで管周方向にズレない。仮にズレても、配管の保護に影響しない。
(3)配管管周方向へ本体部を延伸するようにカットすることで、断面二次モーメントが増加し、吊り金具用補助部材の剛性(強度)が上がる。
(4)固定構造を本体部の配管管周方向に規則的かつ連続的に3つ以上備えることで、本体部の固定の自由度が高くなる。すなわち、任意に必要な箇所を本体部の固定場所にすることができて、固定方法の柔軟性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本願発明に係る吊り金具用補助部材の第1実施形態を示す説明図(1)。
図2-1】本願発明に係る吊り金具用補助部材の第1実施形態を示す説明図(2)。
図2-2】本願発明に係る吊り金具用補助部材の第1実施形態を示す説明図(3)。
図3-1】本願発明に係る吊り金具用補助部材の第1実施形態を示す説明図(4)。
図3-2】本願発明に係る吊り金具用補助部材の第1実施形態を示す説明図(4)。
図4】本願発明に係る吊り金具用補助部材の第2実施形態を示す説明図。
図5-1】本願発明に係る吊り金具用補助部材の第3実施形態を示す説明図(1)。
図5-2】本願発明に係る吊り金具用補助部材の第3実施形態を示す説明図(2)。
図5-3】本願発明に係る吊り金具用補助部材の第3実施形態を示す説明図(3)。
図6】本願発明に係る吊り金具用補助部材の第4実施形態を示す説明図。
図7-1】本願発明に係る吊り金具用補助部材の第5実施形態を示す説明図(1)。
図7-2】本願発明に係る吊り金具用補助部材の第5実施形態を示す説明図(2)。
図8】本願発明に係る吊り金具用補助部材の第5実施形態を示す説明図(3)。
図9】本願発明に係る吊り金具用補助部材の第6実施形態を示す説明図(1)。
図10】本願発明に係る吊り金具用補助部材の第6実施形態を示す説明図(2)。
図11】本願発明に係る吊り金具用補助部材の固定構造の整理(1)。
図12】本願発明に係る吊り金具用補助部材の固定構造の整理(2)。
図13】本願発明に係る吊り金具用補助部材の固定構造の整理(3)。
図14】本願発明に係る吊り金具用補助部材の固定構造の整理(4)。
図15】本願発明に係る吊り金具用補助部材の固定構造の整理(5)。
図16】本願発明に係る吊り金具用補助部材の固定構造の整理(6)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1乃至図3は、本願発明に係る吊り金具用補助部材の第1実施形態を示す説明図である。
図1に示すように、吊り金具用補助部材10は、配管管周方向に延びるシート状の本体部20と、本体部20を配管管軸方向にカット可能なカット部30と、本体部20を固定する固定構造としての係止部40と、を備える。
【0012】
本体部20は、ロール状に積層されたロール体から適宜の長さにカット部30でカットされて使用する。元々ロール状に積層されているので、湾曲した状態で吊り金具のバンド部に馴染みやすい。本体部の材質は特に限定されないが、弾性体であって、加工のし易さなどから樹脂製のものが好ましい。
なお、本願発明の実施形態では、本体部20を配管管軸方向にカットし易いように予めカット部30を備えているが、本体部20にカット部を備えずにカッターやはさみなどの工具を使用してカットしてもよい。また、同様にカット部を備えなくても本体部20が手でカットできる材質であれば手でカットしてもよい。
【0013】
本体部20は、配管管周方向に任意の長さにカットできるため、吊り金具のバンド部に1周以上巻くこともできる。1周以上巻くことで板厚が増し強度が上がる。また、配管の全周を保護できる。さらに、どんな配管径のものにもこれ一つで対応できる。
なお、本体部20は、1周巻かなくても、半周(半円)以上巻けば、断面二次モーメントが増加し配管管軸方向へ曲がりにくくなり、強度アップ(剛性)につながる。
【0014】
カット部30は、本体部20を配管管周方向に任意の長さにカットするために配管管軸方向に設けられたものである。施工の際に作業者によって機材を使用しなくても手でカットできるように、ミシン目形状又は凹形状であるとよい。
カット部は、配管管周方向へ規則的に連続して備える必要がある。一定の間隔(等間隔)で備えることが基本であるが、ある一定のパターンを繰り返すようなものであってもよい(微調整が可能になる)。
【0015】
係止部40は、図2-1に図示するように、一対の係止片41,41が切り起こされるように本体部20に形成される。係止片41,41を連接している連接部42を切断し、係止片41,41を本体部20から切り起こし、バンド部を挟むように係止する。なお、連接片42があることで、係止部40が不必要な飛び出しをせずに、配管被覆を傷つけない。
【0016】
係止部40は、カット部と同様に配管管周方向へ規則的に連続して備える必要がある。一定の間隔(等間隔)で備えることが基本であるが、ある一定のパターンを繰り返すようなものであってもよい。
係止部40があることで、配管管軸方向へのズレを防止できる。また、係止部40は、切り起こし構造であるので、配管管軸方向から係止部40をバンド部に取り付けることが可能である。
【0017】
また、図2-2に図示するように、係止部40とカット部30とを同一線上に組み合わせることで、カット部30のカットによって、係止片41の切り起こしが同時に行える。
すなわち、1つの動作で、本体部20のカットと係止片41の形成が実現できる。
【0018】
図3-1は、係止部40によって本体部20を吊り金具のバンド部Xに固定した状態の吊り金具用補助部材10を図示したものである。本体部20は、任意の長さにカットできるので、バンド部Xの全周(1周以上)にわたり本体部20を巻くことができる。この時、係止部40は配管管周方向へ規則的に連続して備えられているので、任意に必要な個所で係止片41がバンド部Xを挟むように係止できるので、固定方法を柔軟に選択できる。例えば、強い固定力が必要な場合は、全ての係止片41をバンド部Xに係止させればよい。強い固定力が必要でない場合は、2~3本の係止片を係止させる。
【0019】
そして、このようにバンド部Xの全周(1周以上)にわたり本体部20を巻くことができれば、図3-2に図示するように、吊り金具のバンド部Xが多配管Zを支持する場合でも、吊り金具用補助部材10が多配管Zの全ての側面まで保護できる効果が顕著に現れる。
【0020】
図4は、本願発明に係る吊り金具用補助部材の第2実施形態を示す説明図である。
第1実施形態と異なるのは、係止部の構造である。第2実施形態の係止部50は、一対の係止片51,51が千鳥状になっている点である(図4(a)参照)。この一対の係止片51,51を1セットに(=規則的に)、これが配管管周方向へ連続して形成されている。
ここで、係止片51,51の同一線上の外側に連結スリット52,52を設けてもよい。この連結スリット52,52どうしを組み合わせることで、一対の係止片51,51を連結することができて(図4(b)参照)、バンド部との係止が確実なものとなる。
【0021】
図5は、本願発明に係る吊り金具用補助部材の第3実施形態を示す説明図である。
第1実施形態及び第2実施形態と異なるのは、係止部の構造である。第3実施形態の係止部60は、スリット61になっている点である。図5-1に図示するように、このスリット61にバンド部を通すことで、バンド部から外れず固定されることになる。
【0022】
スリット61については、完全に切れていないミシン目であってもよい。バンド部を通すために使用する箇所以外は切れていないことで、スリット端面で配管被覆に傷を付けない、本体部20の強度低下が無いなどの効果がある。
また、図5-1では、係止部60にスリット61は1つだけであるが、バンド部Xの幅に合わせて配管管周方向に複数並べて設けてもよい(例えば、漢数字の「二」や「三」の形のように)。バンド部Xの幅は、バンドサイズやバンドの種類ごとに異なるので、長短のスリットを組み合わせることにより、バンド部Xの幅にあったスリットを選択できる。それにより、また配管管軸方向への動き(ズレ)も規制できる。スリット加工なのでこれを安価に実現できる。
【0023】
ここで、スリット61は、その長さを長くすることで、バンド部X上を移動させることができる。
例えば、図5-2(a)に図示するように、スリット61をバンド部Xの幅よりも長くすることで(左図)、被覆配管Zの曲がり部(エルボ部)Z1を吊り金具用補助部材10で支持する必要がある場合に、曲がり部Z1との干渉を避けるために、吊り金具用補助部材10をオフセットできる(右図)。
【0024】
また、スリット61は、配管管軸方向へ長くするほかにも、図5-2(b)に図示するように、分割させてスリット61,61,61,…によって係止部60を構成してもよい。このスリット61分割方法であると、スリット61内でバンド部Xが規制されるので、係止部60による本体部20の固定が安定する。
【0025】
次に、図5-3に図示するように、吊り金具用補助部材10は、スリット61を介してバンド部Xの外側に出た本体部20がバンド部Xの首部X1に当接するので、本体部20の配管管周方向への動きが規制されて、配管管周方向へのズレがなくなる(その他の実施形態においても同じ)。なお、本体部20を1周以上巻いた場合には、配管管周方向への不動とはならないが、ループ状なので配管管周方向へのズレの課題は解決する。
【0026】
図6は、本願発明に係る吊り金具用補助部材の第4実施形態を示す説明図である。
第4実施形態は、係止部70として通し孔71,71を備えているが、この通し孔71,71に係止体72を組み付けてバンド部Xを挟むことで係止するものとなっている。例えば、図示するように、通し孔71は二列の通し孔71A,71Bからなり、この通し孔71A,71Bに係止体72を挿通し、係止体72の両先端に設けられた突起部が通し孔71Bで係合し、通し孔71,71に係止体72を組み付ける。
これまでの第1実施形態乃至第3実施形態が本体部20の一部を切り起こしたり(第1実施形態及び第2実施形態)、本体部20の一部に切れ込み(スリット)を入れたり(第3実施形態)して係止部を構成していたのに対して、第4実施形態は、係止体72という本体部20と異なる部材を用いて係止部70を構成する点に特徴がある。
【0027】
図7及び図8は、本願発明に係る吊り金具用補助部材の第5実施形態を示す説明図である。
第5実施形態は、これまでの第1実施形態乃至第4実施形態と異なり、本体部20を固定する固定構造として、吊り金具のバンド部以外の部材に取り付ける取付部80を備えたことを特徴とする。
【0028】
取付部80は、図7-1に図示するように、取付孔81が本体部20に形成される。
そして、図8に図示するように、吊り金具のバンド部X以外の部分又は部材であるボルトYなどにこの取付孔81,81を挿通させて本体部20を取り付けて固定する。これにより、配管管周方向へのズレを防止できる。
【0029】
また、取付部は、図7-2に図示するように、取付部80’とカット部30とを同一線上に組み合わせてもよい。この場合、取付部80’をひょうたん型の穿孔にするとよい。これにより、カット部30のカットによって、切り欠き状の取付孔82の形成が同時に行えるからである。すなわち、1つの動作で、本体部20のカットと取付孔82の形成が実現できる。なお、切り欠き状の取付孔82は、ボルトYをナットと組んだ後であっても、ボルトYに挿通させて、本体部20を取り付け固定できる。
【0030】
図9及び図10は、本願発明に係る吊り金具用補助部材の第6実施形態を示す説明図である。
第6実施形態は、これまでの第1実施形態乃至第5実施形態と異なり、本体部20を固定する固定構造として、本体部20を環状に連結する連結部90を備えたことを特徴とする。
【0031】
連結部90は、図9に図示するように、本体部20から切り起こした切起片91Bを切り起こされた跡に残る切起片91Aの切起孔92に引っ掛けて連結することで本体部20を固定する。
すなわち、図10に図示するように、本体部20を1周以上巻いて連結することで、配管管周方向へズレても結果的に配管全周を保護できているのである。
なお、配管管軸方向へのズレは、第3実施形態の係止部60(スリット61)を本体部20に組み合わせて設けることで、解決できる。
【0032】
図11乃至図16は、本願発明に係る吊り金具用補助部材の固定構造を吊り金具への取り付け位置に分けて整理したものである。
まず、図11は、本体部20を吊り金具のバンド部Xに取り付ける固定構造を図示したものである。
図11(a)は、本体部20に形成された切り起こしからなる一対の係止片41,41でバンド部Xに取り付けたものであり、図1乃至図3に図示する第1実施形態と共通する。
図11(b)は、本体部20に形成された1本スリット61の中で(図5-1)、本体部20の端部に位置する1本スリット61にバンド部Xを挿通して取り付けたものである。
図11(c)は、本体部20に形成された2本スリット62にバンド部Xを挿通して取り付けたものである。
図11(d)は、本体部20に形成された1本スリット61にバンド部Xを交互に挿通して取り付けたものである。
図11(e)は、本体部20に形成されたスリットに係止体72を組み付けてバンド部Xを挟むことで取り付けたものであり、図6に図示する第4実施形態と共通する。
以上のように図11で図示した本願発明に係る吊り金具用補助部材の固定構造は、配管管軸方向への本体部20の位置規制によるものである。
【0033】
図12は、本体部20を吊り金具のバンド部X以外の部分又は部材として、バンド部Xの首部X1に取り付ける固定構造を図示したものである。
図12(a)は、本体部20に形成された切り起こしからなる一対の係止片41,41でバンド部Xの首部X1に取り付けたものである。
図12(b)は、本体部20に形成された1本スリット61の中で(図5-1)、本体部20の端部に位置する1本スリット61にバンド部Xの首部X1を挿通して取り付けたものである。
図12(c)は、本体部20に形成された2本スリット62にバンド部Xの首部X1を挿通して取り付けたものである。
図12(d)は、本体部20に形成された1本スリット61の中で(図5-1)、本体部20の端部に位置する1本スリット61にバンド部Xを挿通して取り付けたものであり(本体部20の端面と首部X1との当接で配管管周方向への位置規制あり)、図5-3に図示する第3実施形態と共通する。
図12(e)は、本体部20に形成されたスリットに係止体72を組み付けてバンド部Xの首部X1を挟むことで取り付けたものである。
以上のように図12で図示した本願発明に係る吊り金具用補助部材の固定構造は、配管管軸方向及び配管管周方向への本体部20の位置規制によるものである。
【0034】
図13は、本体部20を吊り金具のバンド部X以外の部分又は部材として、バンド部Xのふた部X2に取り付ける固定構造を図示したものである。
図13(a)は、本体部20に形成された1本スリット61の中で(図5-1)、本体部20の端部に位置する1本スリット61にバンド部Xのふた部X2を挿通して取り付けたものである(本体部20の他方の端部に位置する1本スリット61にバンド部Xを挿通して取り付けた)。
図13(b)は、図13(a)の1本スリット61に代えて、本体部20に形成された切り起こしからなる一対の係止片41,41や本体部20に形成された2本スリット62にバンド部Xのふた部X2を挿通して取り付けたもの、又は、本体部20に形成されたスリットに係止体72を組み付けてバンド部Xのふた部X2を挟むことで取り付けたものである。
以上のように図13で図示した本願発明に係る吊り金具用補助部材の固定構造は、配管管軸方向及び配管管周方向への本体部20の位置規制によるものである。
【0035】
図14は、本体部20を吊り金具のバンド部X以外の部分又は部材として、バンド部Xの蝶番部X3に取り付ける固定構造を図示したものである。
図14(a)は、本体部20に形成された切り起こしからなる一対の係止片41,41でバンド部Xの蝶番部X3の左右に取り付けたものである。
図14(b)は、本体部20に形成された2本スリット62にバンド部Xの蝶番部X3の左右を挿通して取り付けたものである。
図14(c)は、本体部20に形成されたスリットに係止体72を組み付けてバンド部Xの蝶番部X3の左右を挟むことで取り付けたものである。
以上のように図14で図示した本願発明に係る吊り金具用補助部材の固定構造は、配管管軸方向及び配管管周方向への本体部20の位置規制によるものである。
【0036】
図15は、本体部20を吊り金具のバンド部X以外の部分又は部材として、ボルトYに取り付ける固定構造を図示したものである。
図15(a)は、本体部20に形成された取付孔81にボルトYを挿通して取り付けたものであり、図7及び図8に図示する第5実施形態と共通する。
図15(b)は、図15(a)の取付孔81に代えて、切り欠き状の取付孔82にボルトYを挿通して取り付けたものである。
図15(c)は、本体部20に形成されたスリットに取付孔84を設けた孔部材83を組み付けて、その取付孔84にボルトYを挿通して取り付けたものである。
以上のように図15で図示した本願発明に係る吊り金具用補助部材の固定構造は、配管管軸方向及び配管管周方向への本体部20の位置規制によるものである。
【0037】
図16は、本体部20を環状に連結する連結部90によって取り付ける固定構造を図示したものである。
図16(a)は、本体部20に形成された切り起こしからなる一対の切起片93,93を切り起こされた跡に残る切起孔94,94に引っ掛けて連結することで取り付けたものであり、図9及び図10に図示する第6実施形態の変形例である。この一対の切起片93,93であると、連結部90にもできるし、バンド部Xへ取り付ける係止片にもできる。
図16(b)は、本体部20に形成された千鳥状の1本スリット63,63を相互に差し込み連結することで取り付けたものである。スリット63はミシン目であってもよい。
図16(c)は、本体部20に形成された取付孔81を別部材である連結片95で連結することで取り付けたものである。
以上のように図16で図示した本願発明に係る吊り金具用補助部材の固定構造は、実質的に配管管周方向への本体部20の位置規制によるものである(配管管周方向への不動とはならないが、ループ状なので配管管周方向へのズレの課題は解決する)。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本願発明に係る吊り金具用補助部材は、配管を支持する吊り金具に広く利用できるものであり、「吊り金具」という名称にかかわらず配管を支持する支持材に利用できる。
【符号の説明】
【0039】
10 吊り金具用補助部材
20 本体部
30 カット部
40 係止部(第1実施形態)
41 係止片
42 連接部
50 係止部(第2実施形態)
51 係止片
52 連結スリット
60 係止部(第3実施形態)
61 スリット
70 係止部(第4実施形態)
71 通し孔
72 係止体
80 取付部(第5実施形態)
81 取付孔
82 取付孔(切り欠き状)
90 連結部
91 切起片
92 切起孔
X バンド部
Y ボルト
Z 配管
図1
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図6
図7-1】
図7-2】
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16