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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156855
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】燃料電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/02 20160101AFI20221006BHJP
   H01M 8/0273 20160101ALI20221006BHJP
   H01M 8/0247 20160101ALI20221006BHJP
   H01M 8/0258 20160101ALI20221006BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20221006BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20221006BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20221006BHJP
【FI】
H01M8/02
H01M8/0273
H01M8/0247
H01M8/0258
H01M8/04313
H01M8/10 101
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060750
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】小竹 智仁
(72)【発明者】
【氏名】寺田 江利
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和幸
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 真也
(72)【発明者】
【氏名】毛里 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】倉満 秀文
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126AA02
5H126AA08
5H126AA12
5H126AA15
5H126BB06
5H126DD02
5H126DD05
5H126DD14
5H126EE03
5H126EE11
5H126EE22
5H126EE23
5H126JJ03
5H127AA06
5H127AA07
5H127AB04
5H127BA02
5H127BB02
5H127DB41
5H127EE27
(57)【要約】
【課題】簡便かつ精度よく燃料電池の内部の状態量を計測できる燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料電池10は、セパレータ14、16、枠部材24及び電解質膜18の少なくとも一つに設けられたセンサ部50と、センサ部50に接続され、セパレータ14、16又はMEA12の外周部に延びる配線部55と、を有するセンサ40、42、44、46、を備え、センサ40、42、44、46は、センサ配置領域48、48A、48B、48Cを覆う下地絶縁膜56と、下地絶縁膜56の上に積層された配線パターン52、54と、配線パターン52、54及び配線パターン52、54に覆われていない部分の下地絶縁膜56の上を覆う被覆絶縁膜58と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質膜と、前記電解質膜の一方の面に設けられたアノード電極と、前記電解質膜の他方の面に設けられたカソード電極と、を有する電解質膜・電極構造体と、
前記電解質膜・電極構造体の外周部を囲む枠部材と、
前記電解質膜・電極構造体を挟持する一対のセパレータと、
前記セパレータ、前記枠部材及び前記電解質膜の少なくとも1つに設けられたセンサ部と、前記センサ部に接続され、前記セパレータ又は前記電解質膜・電極構造体の外周部に延びる配線部と、を有するセンサと、を備え、前記センサは、
前記センサが配置されるセンサ配置領域の表面を覆う下地絶縁膜と、
前記下地絶縁膜の上に積層された配線パターンと、
前記配線パターンと、前記配線パターンに覆われていない部分の前記下地絶縁膜の上を覆う被覆絶縁膜と、
を有する、燃料電池。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池であって、前記セパレータは前記電解質膜・電極構造体に向けて突出して前記電解質膜・電極構造体を押圧する凸部を備え、前記センサ部は、前記セパレータの前記凸部に対応する位置に設けられている、燃料電池。
【請求項3】
請求項1又は2記載の燃料電池であって、前記センサ部は前記下地絶縁膜の上に形成されており、前記配線パターンとともに前記被覆絶縁膜によって覆われている、燃料電池。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の燃料電池であって、前記センサ部は、前記電解質膜の表面に設けられるとともに、前記配線部は、
前記電解質膜の表面に沿って延びて前記センサ部に接続される第1配線部と、
前記セパレータの表面に沿って延びる第2配線部と、を備え、
前記第1配線部と前記第2配線部とは、前記第1配線部の前記配線パターンが前記被覆絶縁膜から露出した第1端子部と、前記第2配線部の前記配線パターンが前記被覆絶縁膜から露出した第2端子部と、を向かい合わせで当接させることで電気的に接続される、燃料電池。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の燃料電池であって、前記セパレータは、前記電解質膜・電極構造体に向けて突出し、反応ガスの流動方向に沿って延びる複数の凸部と、前記凸部の間に形成される流路溝と、を有し、
前記配線部は、前記流路溝に沿って設けられる、燃料電池。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の燃料電池であって、前記被覆絶縁膜は、前記配線パターンを覆う部分と、前記配線パターン以外の部分を覆う部分とが均等な高さに形成されている、燃料電池。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の燃料電池であって、前記配線部は、前記セパレータが突出して前記電解質膜・電極構造体を押圧する凸部を横断する凸部横断部を有し、前記凸部横断部の前記被覆絶縁膜が他の部分の前記被覆絶縁膜よりも厚く形成されている、燃料電池。
【請求項8】
請求項7記載の燃料電池であって、前記セパレータの前記凸部は少なくとも前記凸部横断部に対応する部分が平坦面よりなる、燃料電池。
【請求項9】
請求項1~3のいずれか1項に記載の燃料電池であって、前記センサは前記枠部材の上に形成されており、前記枠部材が前記下地絶縁膜を兼ねる、燃料電池。
【請求項10】
請求項1又は2記載の燃料電池であって、前記配線部は、一方の前記セパレータの表面に形成され第1配線パターンを含む第1配線部と、他方の前記セパレータの表面に形成され第2配線パターンを含む第2配線部と、を有し、
前記センサ部は、前記第1配線部の端部において前記第1配線パターンが露出してなる第1センサ部と、前記第2配線部の端部において前記第2配線パターンが露出してなる第2センサ部と、を有し、
前記第1センサ部と前記第2センサ部とが、前記電解質膜・電極構造体を挟んで対向配置されるとともに、前記電解質膜・電極構造体と電気的に接続されている、燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部の状態量を検出するセンサを備えた燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、電解質膜・電極構造体と、電解質膜・電極構造体を挟持する一対のセパレータとを有している。電解質膜・電極構造体は、水素イオンや酸素イオン等のイオンを伝導させる電解質膜と、その電解質膜の一方の面と他方の面とにそれぞれアノード電極及びカソード電極を積層した構成物である。一方のセパレータはアノード電極に対向配置され、セパレータとアノード電極との間に燃料ガスが流通する燃料ガス流路が形成される。また、他方のセパレータとカソード電極との間には酸化剤ガスが流通する酸化剤ガス流路が形成される。このような燃料電池は、厚さ方向に複数積層されて燃料電池スタックが構成され、例えば燃料電池電気自動車等に搭載される。
【0003】
燃料電池において、電解質膜や電極等の各種構成部材の発電状態における温度や導電性等といった内部環境の計測を行うことは、燃料電池の動作の把握に有益である。そのため、熱電対等の温度センサをセパレータと電解質膜・電極構造体との間に配置する等の手法で、燃料電池の内部環境の計測が行われている。
【0004】
例えば、特許文献1には、アノード電極とカソード電極との間に電解質膜を挟んだ電解質膜・電極構造体のカソード電極側にセンサ配置用の溝が設けられたカバー体を配置して、燃料電池の内部の温度を計測する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-135270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般には、通常の構造の燃料電池に、熱電対等のセンサをセパレータと電解質膜・電極構造体との間に配置して計測が行われる。そのため、センサを燃料電池の内部に配置する作業が必要であり、煩雑な作業が必要となる。その際に、作業中に細い熱電対用の金属線が損傷したり、組立の際にセンサの位置がずれたりして、目的部位の状態を正確に計測できない場合もある。
【0007】
また、特許文献1の技術の場合には、カバー体等の配置スペースを設ける必要があり、燃料電池の構造に大幅な変更を行う必要があるとともに、燃料電池の厚さが増大してしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、簡便かつ精度よく燃料電池の内部の状態量を計測できる燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下の開示の一観点は、電解質膜と、前記電解質膜の一方の面に設けられたアノード電極と、前記電解質膜の他方の面に設けられたカソード電極と、を有する電解質膜・電極構造体と、前記電解質膜・電極構造体の外周部を囲む枠部材と、前記電解質膜・電極構造体を挟持する一対のセパレータと、前記セパレータ、前記枠部材及び前記電解質膜の少なくとも1つに設けられたセンサ部と、前記センサ部に接続され、前記セパレータ又は前記電解質膜・電極構造体の外周部に延びる配線部と、を有するセンサと、を備え、前記センサは、前記センサが配置されるセンサ配置領域の表面を覆う下地絶縁膜と、前記下地絶縁膜の上に積層された配線パターンと、前記配線パターンと、前記配線パターンに覆われていない部分の前記下地絶縁膜の上を覆う被覆絶縁膜と、を有する、燃料電池にある。
【発明の効果】
【0010】
上記観点の燃料電池によれば、簡便かつ精度よく燃料電池の内部の状態量を計測できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る燃料電池の分解斜視図である。
図2図1の第2セパレータの第1面の平面図である。
図3図2のIII-III線に対応する部分の燃料電池の断面図である。
図4図1の電解質膜・電極構造体の平面図である。
図5図2のV-V線に対応する部分の燃料電池の断面図である。
図6図4のVI-VI線における断面図である。
図7図2のVII-VII線に対応する部分の燃料電池の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1に示すように、燃料電池10(発電セル)は、枠付き電解質膜・電極構造体12(以下、「枠付きMEA12」という)と、枠付きMEA12の両側に配置された第1セパレータ14及び第2セパレータ16とを備える。燃料電池10は、例えば、横長(又は縦長)の長方形状に形成されている。複数個の燃料電池10が、例えば、矢印A方向に積層されて燃料電池スタック(図示せず)を構成する。燃料電池スタックは、例えば、積層方向を水平方向又は上下方向に向けた状態で車載用燃料電池スタックとして燃料電池電気自動車(図示せず)に搭載される。
【0014】
燃料電池10は、枠付きMEA12が第1セパレータ14及び第2セパレータ16により挟持される。第1セパレータ14及び第2セパレータ16は、横長(又は縦長)の長方形状を有する。第1セパレータ14及び第2セパレータ16は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、チタン板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属板や、カーボン部材等で構成される。
【0015】
長方形状の枠付きMEA12は、電解質膜・電極構造体12a(以下、「MEA12a」という)を備える。MEA12aは、電解質膜18と、電解質膜18の第1面18a(図の紙面手前側の面)に設けられたアノード電極20(第1電極)と、電解質膜18の第2面18b(図の紙面奥側の面)に設けられたカソード電極22(第2電極)とを備える。
【0016】
電解質膜18は、例えば、固体高分子電解質膜(陽イオン交換膜)である。固体高分子電解質膜は、例えば、水分を含んだパーフルオロスルホン酸の薄膜であり、水素イオンを通過させる材料よりなる。電解質膜18の材料には、フッ素系電解質の他、HC(炭化水素)系電解質を使用することができる。電解質膜18は、アノード電極20及びカソード電極22に挟持される。
【0017】
尚、電解質膜18は、固体高分子電解質膜に限定されるものではなく、酸素イオン伝導性を有する酸化物セラミックや、プロトン又は炭酸イオンの伝導性を有する各種溶融塩を含浸させた多孔質材で構成されてもよい。
【0018】
枠付きMEA12は、電解質膜18の外周を全周に亘って周回するとともに、アノード電極20及びカソード電極22に接合される枠部材24をさらに備える。枠部材24は、アノード電極20の外周部とカソード電極22の外周部との間に挟まれるように配置され、接着剤等でアノード電極20及びカソード電極22に接合されている。枠部材24を構成する枠状シートは、特に限定されるものではないが、例えば樹脂材料により構成してもよい。燃料電池10の設計によっては、枠部材24を設けずにMEA12aのみで構成してもよい。
【0019】
図1に示すように、燃料電池10の矢印B方向(水平方向)の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス入口連通孔30a及び燃料ガス出口連通孔32bが設けられる。酸化剤ガス入口連通孔30aは、酸化剤ガスとして、例えば空気を供給する。燃料ガス出口連通孔32bは、燃料ガスとして、例えば水素含有ガスを排出する。酸化剤ガス入口連通孔30a及び燃料ガス出口連通孔32bは、矢印C方向に配列して設けられる。
【0020】
燃料電池10の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給する燃料ガス入口連通孔32a及び酸化剤ガスを排出する酸化剤ガス出口連通孔30bが設けられる。燃料ガス入口連通孔32a、及び酸化剤ガス出口連通孔30bは、矢印C方向に配列して設けられる。
【0021】
第1セパレータ14の枠付きMEA12に向かう内面14aには、燃料ガス入口連通孔32aと燃料ガス出口連通孔32bとに連通する燃料ガス流路34が設けられる。燃料ガス流路34は、第1セパレータ14と枠付きMEA12との間に形成される。燃料ガス流路34は、複数の凸部34aと、凸部34aの間に形成された流路溝34bとを有する。凸部34aは、アノード電極20側に向かって膨出するとともにアノード電極20に当接する。凸部34aは直線状又は波線状に形成され、矢印B方向に延在している。複数本の凸部34aの間に流路溝34bが形成される。凸部34aと流路溝34bは、流路幅方向(矢印C方向)に交互に配置される。
【0022】
第2セパレータ16の枠付きMEA12に向かう内面16aには、酸化剤ガス入口連通孔30aと酸化剤ガス出口連通孔30bとに連通する酸化剤ガス流路38が設けられる。酸化剤ガス流路38は、第2セパレータ16と枠付きMEA12との間に形成される。酸化剤ガス流路38は、複数の凸部38aと、凸部38aの間に形成された流路溝38bとを有する。凸部38aは、カソード電極22側に向かって膨出するとともにカソード電極22に当接する。凸部38aは直線状又は波線状に形成され、矢印B方向に延在している。複数本の凸部38aの間に流路溝38bが形成される。凸部38aと流路溝38bは、流路幅方向(矢印C方向)に交互に配置される。
【0023】
第1セパレータ14の凸部34aと、第2セパレータ16の凸部38aとは、互いに対向する位置に形成されており、MEA12aは凸部34aと凸部38aとに挟まれて保持される。
【0024】
次に、本実施形態の燃料電池10のセンサ40、42、44、46について説明する。図2及び図4に示すように、燃料電池10は、第2セパレータ16の温度を検出する第1センサ40と、電解質膜18の温度を検出する第2センサ42と、枠部材24の温度を検出する第3センサ44と、MEA12aのインピーダンスを検出する第4センサ46とを備える。
【0025】
図2に示すように、第1センサ40は、第2セパレータ16の内面16aに設けられたセンサ配置領域48に形成された温度センサである。第1センサ40は、第2セパレータ16の測定対象部位16cに対応する部分に設けられたセンサ部50と、センサ部50に接続された第1配線パターン52及び第2配線パターン54を含む配線部55とを有している。センサ部50、第1配線パターン52及び第2配線パターン54は、薄膜状に形成された導体によって形成されている。
【0026】
このうち、センサ部50は、金属又は半導体等の温度によって抵抗値が変化する導電性材料によって形成されており、平面視して図示のようにジグザグパターンに形成されている。センサ部50の一端には第1配線パターン52が接続され、センサ部50の他端には第2配線パターン54が接続されている。第1配線パターン52及び第2配線パターン54は直線状に形成されており、第2セパレータ16の外周部に向けて互いに平行に延びている。
【0027】
センサ部50、第1配線パターン52及び第2配線パターン54は、金属等の導電性材料で形成された第2セパレータ16との短絡や、MEA12aの発電電位等の影響を防ぐために、絶縁膜によって被覆されている。
【0028】
図3に示すように、第1センサ40の絶縁膜は、下地絶縁膜56と、被覆絶縁膜58とを含む。下地絶縁膜56は、第2セパレータ16の内面16aの上に形成された絶縁膜であり、例えば、ポリイミド樹脂やパリレン樹脂等の絶縁性樹脂によって構成されている。尚、燃料電池10を固体酸化物燃料電池として構成する場合には、下地絶縁膜56は酸化物等の耐熱性を有する絶縁体で構成してもよい。下地絶縁膜56は、図2のセンサ配置領域48の全域を覆うように形成されている。
【0029】
図3に示すように、第1センサ40の第1配線パターン52及び第2配線パターン54は、第2セパレータ16の凸部38aを横断する凸部横断部60を有している。下地絶縁膜56は、凸部横断部60において、凸部38aの側壁38a1及び上端部38a2を被覆して形成されている。
【0030】
下地絶縁膜56の上には、上記したセンサ部50、第1配線パターン52及び第2配線パターン54を構成する導体膜が形成される。導体膜の形成方法は後述する。
【0031】
被覆絶縁膜58は、センサ部50、第1配線パターン52及び第2配線パターン54と、センサ部50、第1配線パターン52及び第2配線パターン54に覆われていない部分の下地絶縁膜56を覆うように形成されている。被覆絶縁膜58は、例えば、ポリイミド樹脂やパリレン樹脂等の絶縁性の樹脂材料を用いて形成できる。本実施形態においては、被覆絶縁膜58は、第1配線パターン52と第2配線パターン54(図2参照)との隙間を埋める部分の厚さが、第1配線パターン52及び第2配線パターン54を覆う部分の厚さよりも厚く形成されており、第1配線パターン52及び第2配線パターン54とそれ以外の部分とで段差が生じないように均一な高さで形成されている。これにより、凸部横断部60において、より広い部分に面圧を分散させることができ、荷重の集中による配線パターン52、54のダメージを抑制できる。
【0032】
また、被覆絶縁膜58は、凸部横断部60の上の部分の厚さが、他の部分の厚さよりも厚く形成されてもよい。このように形成することで、振動や熱サイクルによって、第2セパレータ16と枠付きMEA12とが面方向に位置ずれが生じる場合であっても、被覆絶縁膜58の摩耗による劣化を抑制できる。
【0033】
尚、図3においては、説明の便宜のために、下地絶縁膜56、第1配線パターン52及び被覆絶縁膜58の厚さを誇張して図示しているが、これらの部材は実際には、MEA12aのカソード電極22の厚さよりも薄くなっている。また、凸部横断部60においては、下地絶縁膜56、第1配線パターン52及び被覆絶縁膜58の厚さを、MEA12aを構成する各部材が変形して受け持つことができる。
【0034】
図2に示すように、第1配線パターン52及び第2配線パターン54の外周側の端部には、第1接続パッド52a及び第2接続パッド54aがそれぞれ形成されている。第1接続パッド52aは、図3の右端に示すように、第1配線パターン52を覆う被覆絶縁膜58の開口部58aに設けられている。第1接続パッド52aでは、第1配線パターン52が被覆絶縁膜58から露出している。第2接続パッド54a(図2参照)も第1接続パッド52aと同様の構造となっており、第2配線パターン54が露出している。
【0035】
第1センサ40は、以上のように構成されるが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、第1センサ40を第1セパレータ14側に設けてもよい。
【0036】
また、第1センサ40は、抵抗温度計に限定されるものではなく、例えば、熱電対として構成してもよい。この場合には、第1配線パターン52と第2配線パターン54とを異なる種類の金属によって形成する。また、センサ部50は、第1配線パターン52と第2配線パターン54との接点として構成することができる。
【0037】
また、第1配線パターン52及び第2配線パターン54を、流路溝38bに沿わせて配置してもよい。この場合には、凸部横断部60の数を減らすことができ、センサ40の劣化をさらに効果的に抑制できる。
【0038】
次に、第1センサ40を有する燃料電池10の製造方法について説明する。
【0039】
まず、図1に示すように、第2セパレータ16を用意する。次に、図2に示す第2セパレータ16の内面16aのセンサ配置領域48の全域に、下地絶縁膜56(図3参照)を形成する。下地絶縁膜56は、ポリイミド樹脂をインクジェット法により塗布して形成することができる。また、下地絶縁膜56は、パリレン樹脂を真空蒸着法により成膜して形成してもよい。
【0040】
次に、図3に示すように、下地絶縁膜56の上に、所定形状の開口孔を有するマスクを配置し、そのマスクの開口孔に露出した下地絶縁膜56の上に、蒸着法、スパッタ法、又はめっき法等の各種成膜手法により、導体膜を形成する。これにより、下地絶縁膜56の上にセンサ部50、第1配線パターン52及び第2配線パターン54が形成される。
【0041】
次に、マスクを取り除いた後、センサ部50、第1配線パターン52、第2配線パターン54及び露出している下地絶縁膜56の上に被覆絶縁膜58を形成する。被覆絶縁膜58は、下地絶縁膜56と同様の手法で形成される。以上の工程により、第1センサ40が形成された第2セパレータ16が完成する。
【0042】
その後、通常の燃料電池10の製造と同様に、枠付きMEA12のカソード電極22側に第2セパレータ16を当接させ、枠付きMEA12のアノード電極20側に第1セパレータ14を当接させることで、図3に示す断面構造が得られる。
【0043】
次に、図2図4及び図5を参照して、第2センサ42について説明する。
【0044】
図4に示すように、第2センサ42は、MEA12aの電解質膜18の表面に設けられ、電解質膜18の温度を検出する温度センサである。第2センサ42は、電解質膜18の正確な温度を図るべく、図5に示すように、電解質膜18の第2面18bとカソード電極22との間に形成されている。尚、特に図示はしないが、第2センサ42は、電解質膜18の第1面18a側に設けてもよく、この場合には第1面18aとアノード電極20との間に第2センサ42を配置してもよい。
【0045】
第2センサ42は、電解質膜18の温度をより正確に測定するべく、センサ部50は、第1セパレータ14の凸部34a及び第2セパレータ16の凸部38aに対応する部分に設けられている。この構成によれば、センサ部50が凸部34a、38aによって押圧されており、センサ部50と電解質膜18との熱的な接続状態が向上する。
【0046】
第2センサ42は、電解質膜18の上に形成されている点を除けば、基本的には図2及び図3を参照しつつ説明した第1センサ40と同様の構造であり、同様なセンサ部50、第1配線パターン52及び第2配線パターン54を有している。従って、図4及び図5に示す第2センサ42において、図2及び図3の第1センサ40と同様の構成には、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。ただし、枠付きMEA12の外周部は、外部に突出しておらず、外部の配線と接続するための接続端子を設けることが困難となっている。
【0047】
そこで、第2センサ42は、第1配線パターン52と第2配線パターン54を含む配線部55を、図4に示す電解質膜18の第2面18bの上のセンサ配置領域48A1に形成された第1配線部62と、図2に示す第2セパレータ16の内面16aのセンサ配置領域48A2に形成された第2配線部64とに分けて構成する。そして、第2配線部64に形成された第1配線パターン52と第2配線パターン54とを第2セパレータ16の外周部に引き伸ばして、その外周側の端部に第1接続パッド52a及び第2接続パッド54aを設けている。
【0048】
第1配線部62と第2配線部64とは、第1配線部62側に設けられた第1端子部62a(図4)と、第2配線部64に設けられた第2端子部64a(図2)とを介して電気的に接続される。すなわち、図4に示すように第1配線部62の第1配線パターン52と第2配線パターン54とには、それぞれ第1端子部62aが設けられている。図5に示すように、第1端子部62aには、被覆絶縁膜58の開口部58bが形成されており、開口部58bから第1配線パターン52(又は第2配線パターン54)が露出している。第1端子部62aは、第1セパレータ14の凸部34a及び第2セパレータ16の凸部38aに対応する部分に設けられている。
【0049】
第2端子部64aは、第1端子部62aに対向する部分の第2セパレータ16の内面16aに形成されている。第2端子部64aは、第2セパレータ16の凸部38aの上に乗り上げた部分に形成されている。第2端子部64aでは、第2配線部64を覆う被覆絶縁膜58に開口部58cが形成されており、第2配線部64の第1配線パターン52(又は第2配線パターン54)が露出している。
【0050】
第1端子部62a及び第2端子部64aが形成された部分のカソード電極22には開口孔22cが形成されている。第1配線部62の第1配線パターン52と第2配線部64の第1配線パターン52は、凸部34a、38aによって押圧されることにより、開口孔22c及び開口部58b、58cを介して互いに当接し、第1配線部62の第1配線パターン52と第2配線部64の第1配線パターン52とが互いに電気的に接続される。第2配線パターン54についても同様に、第1端子部62a及び第2端子部64aを介して第1配線部62及び第2配線部64が互いに接続される。
【0051】
次に、第2センサ42を含む燃料電池10の製造方法について説明する。
【0052】
まず、第2センサ42の第2配線部64を、第1センサ40の製造方法と同様の工程で、第2セパレータ16の内面16aに形成する。第2配線部64は、第1センサ40の製造工程と同一であるため、第1センサ40と同時に形成できる。
【0053】
次に、第2センサ42の第1配線部62を有する枠付きMEA12を形成する。まず、図5に示す電解質膜18の上に、下地絶縁膜56と、センサ部50、第1配線パターン52及び第2配線パターン54と、被覆絶縁膜58とを、順に形成する。これらの工程は、第1センサ40の製造工程と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0054】
次に、第1端子部62a及び第2端子部64aに対応する部分に開口孔22cが形成されたカソード電極22を、第2センサ42の第1部分が形成された電解質膜18の第2面18bの上に接合する。また、電解質膜18の第1面18aの上には、アノード電極20を接合する。
【0055】
その後、電解質膜18、アノード電極20及びカソード電極22の外周部に枠部材24を接合する。枠部材24は、電解質膜18及びカソード電極22と、アノード電極20との間に挟み込むようにして接合される。以上の工程により、第2センサ42の第1配線部62が形成された枠付きMEA12が完成する。
【0056】
その後、図1に示すように、枠付きMEA12のカソード電極22側に第2セパレータ16を当接させ、枠付きMEA12のアノード電極20側に第1セパレータ14を当接させる。これにより、図5に示すように、第1端子部62aと第2端子部64aとが凸部34a、38aにより押圧されて電気的に接続され、第2センサ42が形成された燃料電池10が完成する。
【0057】
次に、第3センサ44について説明する。
【0058】
図4に示すように、第3センサ44は、枠部材24の温度を検出する温度センサであり、枠部材24に設けられたセンサ配置領域48Bに全域が形成されている。第3センサ44は、第1センサ40と同様のセンサ部50と、第1配線パターン52及び第2配線パターン54を有する配線部55を備えて構成されている。
【0059】
ただし、図6に示すように、枠部材24が絶縁性の樹脂材料で構成した場合には、センサ部50、第1配線パターン52及び第2配線パターン54の下に下地絶縁膜56を設けなくてもよい。この場合には、枠部材24が下地絶縁膜56を兼ねる。センサ部50と、第1配線パターン52及び第2配線パターン54及びその周辺のセンサ配置領域48Bは、第2セパレータ16との短絡を防ぐために、被覆絶縁膜58で覆われている。第3センサ44の外周部には、被覆絶縁膜58の開口部58dが形成されており、開口部58dからは第1配線パターン52及び第2配線パターン54が露出した第1接続パッド52a及び第2接続パッド54a(図4参照)がそれぞれ形成されている。
【0060】
第3センサ44は、枠部材24を用意し、その表面にセンサ部50、第1配線パターン52及び第2配線パターン54と、被覆絶縁膜58とを順に形成することで作製できる。これらの工程は、第1センサ40の製造工程と同様である。
【0061】
次に、第4センサ46について説明する。
【0062】
図7に示すように、第4センサ46は、第1セパレータ14の凸部34aの上端部34a2に沿って形成された第1配線パターン52Aと、第2セパレータ16の凸部38aの上端部38a2に沿って形成された第2配線パターン54Aとを有する。第1配線パターン52Aと第2配線パターン54Aとは互いに対向する部分に設けられており、平面視(図2参照)して同一形状に形成されている。
【0063】
第1配線パターン52Aは、下地絶縁膜56の上に形成されており、下地絶縁膜56を介して第1セパレータ14から絶縁されている。第2配線パターン54Aも下地絶縁膜56の上に形成されており、下地絶縁膜56を介して第2セパレータ16から絶縁されている。第2セパレータ16の下地絶縁膜56は、図2に示す細長く延びて形成されたセンサ配置領域48Cの全域に形成されている。第1セパレータ14のセンサ配置領域48C及び下地絶縁膜56も同様の形状に形成されている。第1配線パターン52A及び第2配線パターン54Aは、それぞれ被覆絶縁膜58に覆われて、アノード電極20又はカソード電極22から絶縁される。
【0064】
図6に示すように、第1配線パターン52Aの先端には、被覆絶縁膜58から第1配線パターン52Aが露出した第1センサ部50Aが形成されている。また、第2配線パターン54Aの先端には、被覆絶縁膜58から第2配線パターン54Aが露出した第2センサ部50Bが形成されている。第1センサ部50A及び第2センサ部50Bは、平面視して互いに重なる位置に設けられており、MEA12aを介して互いに対向する。
【0065】
第1センサ部50Aと第2センサ部50Bとは、凸部34a、38aを介してMEA12aに向けて押圧されており、第1センサ部50Aは、アノード電極20にめり込むようにして当接している。また、第2センサ部50Bは、カソード電極22にめり込むようにして当接している。第4センサ46は、第1センサ部50A及び第2センサ部50Bとの間に、交流電圧を印加することにより局所的なMEA12aのインピーダンスを検出できる。
【0066】
第4センサ46を有する燃料電池10は、第1配線パターン52Aが設けられた第1セパレータ14を作製する工程と、第2配線パターン54Aが設けられた第2セパレータ16を作製する工程と、第1セパレータ14と、枠付きMEA12と、第2セパレータ16とを積層する工程とにより作製される。
【0067】
このうち、第1配線パターン52Aが設けられた第1セパレータ14は、その内面14aに、下地絶縁膜56、第1配線パターン52A及び被覆絶縁膜58を順に形成する工程によって作製される。また、第2配線パターン54Aが設けられた第2セパレータ16は、その内面16aに、下地絶縁膜56、第2配線パターン54A及び被覆絶縁膜58を順に形成する工程によって作製される。第1配線パターン52A及び第2配線パターン54Aを作製する工程は、第1センサ40を第2セパレータ16に形成する工程と同様にして行うことができる。以上の工程により、第4センサ46を有する燃料電池10が得られる。
【0068】
本実施形態の燃料電池10は、以下の効果を奏する。
【0069】
本実施形態の燃料電池10は、電解質膜18と、電解質膜18の第1面18aに設けられたアノード電極20と、電解質膜18の第2面18bに設けられたカソード電極22と、を有するMEA12a(電解質膜・電極構造体)と、MEA12aの外周部を囲む枠部材24と、MEA12aを挟持する一対のセパレータ14、16と、セパレータ14、16、枠部材24及び電解質膜18の少なくとも一つに設けられたセンサ部50、50A、50Bと、センサ部50、50A、50Bに接続され、セパレータ14、16又はMEA12aの外周部に延びる配線部55と、を有するセンサ40、42、44、46と、を備え、センサ40、42、44、46は、センサ40、42、44、46が配置されるセンサ配置領域48、48A、48B、48Cを覆う下地絶縁膜56と、下地絶縁膜56の上に積層された配線パターン52、52A、54、54Aと、配線パターン52、52A、54、54Aと、配線パターン52、52A、54、54Aに覆われていない部分の下地絶縁膜56の上を覆う被覆絶縁膜58と、を有する。
【0070】
上記の構成によれば、センサ40、42、44、46を薄膜状にして燃料電池10と一体的に作り込むことができるため、煩雑なセンサ40、42、44、46の配置作業が不要となり、簡便かつ正確に状態量を検出できる。また、センサ40、42、44、46の位置ずれを防ぐことができるため、所望の部位の局所的な状態量の検出に好適である。
【0071】
上記の燃料電池10において、セパレータ14、16はMEA12aに向けて突出してMEA12aを押圧する凸部34a、38aを備え、センサ部50、50A、50Bは、セパレータ14、16の凸部34a、38aに対応する位置に設けられてもよい。この構成によれば、センサ部50、50A、50Bを測定対象物に密着させることができるため、より精度よく測定を行うことができる。
【0072】
上記の燃料電池10において、センサ部50は下地絶縁膜56の上に形成されており、配線パターン52、54とともに被覆絶縁膜58によって覆われてもよい。この構成により、セパレータ14、16やMEA12a等とセンサ部50とを電気的に絶縁することができるため、精度よく測定を行うことができる。
【0073】
上記の燃料電池10において、センサ部50は、電解質膜18の表面に設けられるとともに、配線部55は、電解質膜18の表面に沿って延びてセンサ部50に接続される第1配線部62と、セパレータ14、16の表面に沿って延びる第2配線部64と、を備え、第1配線部62と第2配線部64とは、第1配線部62の配線パターン52、54が被覆絶縁膜58から露出した第1端子部62aと、第2配線部64の配線パターン52、54が被覆絶縁膜58から露出した第2端子部64aと、を向かい合わせで当接させることで電気的に接続される。この構成によれば、センサ部50の配線部55を電解質膜18とセパレータ14、16とに設けることができるため、センサ部50の配置位置の自由度が高まる。
【0074】
上記の燃料電池10において、セパレータ14、16は、MEA12aに向けて突出し、反応ガスの流動方向に沿って延びる複数の凸部34a、38aと、凸部34a、38aの間に形成される流路溝34b、38bと、を有し、配線部55は、流路溝34b、38bに沿って設けられてもよい。この構成によれば、凸部34a、38aとの摩擦による配線部55の摩耗を防止できる。
【0075】
上記の燃料電池10において、被覆絶縁膜58は、配線パターン52、54を覆う部分と、配線パターン52、54以外の部分を覆う部分とが均等な高さに形成されてもよい。
【0076】
上記の燃料電池10において、配線部55は、セパレータ14、16が突出してMEA12aを押圧する凸部34a、38aを横断する凸部横断部60を有し、凸部横断部60の被覆絶縁膜58が他の部分の被覆絶縁膜58よりも厚く形成されてもよい。この構成によれば、凸部横断部60における被覆絶縁膜58の摩耗による損傷を抑制できる。
【0077】
上記の燃料電池10において、セパレータ14、16の凸部34a、38aは少なくとも凸部横断部60に対応する部分が平坦面よりなる。この構成によれば、凸部横断部60内での荷重を分散することができ、荷重の集中による配線パターン52、54の破損を防止できる。
【0078】
上記の燃料電池10において、配線パターン52、54は、第1金属によって形成された第1配線パターン52と、第1金属とは異なる種類の第2金属によって形成された第2配線パターン54と、を備え、センサ部50は、第1配線パターン52の先端部と第2配線パターン54の先端部とが接触した熱電対の接点であってもよい。
【0079】
上記の燃料電池10において、センサ44は枠部材24の上に形成されており、枠部材24が下地絶縁膜56を兼ねてもよい。この構成によれば、独立した下地絶縁膜56を形成する工程が不要となるため、製造工程を簡略化できる。
【0080】
上記の燃料電池10において、配線部55は、一方のセパレータ14の表面に形成され第1配線パターン52Aを含む第1配線部62と、他方のセパレータ16の表面に形成され第2配線パターン54Aを含む第2配線部64と、を有し、センサ部50は、第1配線部62の端部において配線パターン52が露出してなる第1センサ部50Aと、第2配線部64の端部において配線パターン54が露出してなる第2センサ部50Bと、を有し、第1センサ部50Aと第2センサ部50Bとが、MEA12aを挟んで対向配置されるとともに、MEA12aと電気的に接続されてもよい。この構成によれば、第1センサ部50A及び第2センサ部50Bとの間に交流電圧を印加することにより、MEA12aの局所的なインピーダンスを検出できる。
【0081】
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0082】
10…燃料電池 12a…MEA
14、16…セパレータ 18…電解質膜
20…アノード電極 22…カソード電極
34a、38a…凸部 34b、38b…流路溝
40、42、44、46…センサ
48、48A、48B、48C…センサ配置領域
50、50A、50B…センサ部 52、52A…第1配線パターン
54、54A…第2配線パターン 55…配線部
56…下地絶縁膜 58…被覆絶縁膜
60…凸部横断部 62…第1配線部
62a…第1端子部 64…第2配線部
64a…第2端子部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-06-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
また、第1配線パターン52及び第2配線パターン54を、流路溝38bに沿わせて配置してもよい。この場合には、凸部横断部60の数を減らすことができ、第1センサ40の劣化をさらに効果的に抑制できる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
ただし、図6に示すように、枠部材24絶縁性の樹脂材料で構成した場合には、センサ部50、第1配線パターン52及び第2配線パターン54の下に下地絶縁膜56を設けなくてもよい。この場合には、枠部材24が下地絶縁膜56を兼ねる。センサ部50と、第1配線パターン52及び第2配線パターン54及びその周辺のセンサ配置領域48Bは、第2セパレータ16との短絡を防ぐために、被覆絶縁膜58で覆われている。第3センサ44の外周部には、被覆絶縁膜58の開口部58dが形成されており、開口部58dからは第1配線パターン52及び第2配線パターン54が露出した第1接続パッド52a及び第2接続パッド54a(図4参照)がそれぞれ形成されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
に示すように、第1配線パターン52Aの先端には、被覆絶縁膜58から第1配線パターン52Aが露出した第1センサ部50Aが形成されている。また、第2配線パターン54Aの先端には、被覆絶縁膜58から第2配線パターン54Aが露出した第2センサ部50Bが形成されている。第1センサ部50A及び第2センサ部50Bは、平面視して互いに重なる位置に設けられており、MEA12aを介して互いに対向する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
上記の燃料電池10において、配線部55は、一方のセパレータ14の表面に形成され第1配線パターン52Aを含む第1配線部62と、他方のセパレータ16の表面に形成され第2配線パターン54Aを含む第2配線部64と、を有し、センサ部50は、第1配線の端部において第1配線パターン52Aが露出してなる第1センサ部50Aと、第2配線の端部において第2配線パターン54Aが露出してなる第2センサ部50Bと、を有し、第1センサ部50Aと第2センサ部50Bとが、MEA12aを挟んで対向配置されるとともに、MEA12aと電気的に接続されてもよい。この構成によれば、第1センサ部50A及び第2センサ部50Bとの間に交流電圧を印加することにより、MEA12aの局所的なインピーダンスを検出できる。