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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156864
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20221006BHJP
   G02F 1/1345 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G02F1/1339 500
G02F1/1345
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060765
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 孝次
(72)【発明者】
【氏名】大植 善英
(72)【発明者】
【氏名】奥山 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】森本 浩也
(72)【発明者】
【氏名】化生 正人
【テーマコード(参考)】
2H092
2H189
【Fターム(参考)】
2H092GA25
2H092GA44
2H092GA60
2H092JA24
2H092JB56
2H092PA03
2H092PA04
2H092PA06
2H092PA13
2H189DA07
2H189DA12
2H189DA31
2H189DA33
2H189DA37
2H189DA43
2H189DA45
2H189DA53
2H189DA72
2H189FA31
2H189LA03
2H189LA06
2H189LA08
2H189LA10
2H189LA20
(57)【要約】
【課題】表示装置の性能を向上させる。
【解決手段】表示装置DSP1は、表示領域DAと、表示領域DAの周囲にある周辺領域PFAと、周辺領域PFAに設けられ、液晶層をシールするシール部SLMと、シール部SLMの一部に設けられ、シール部SLMの外部から表示領域DAまでを連通する液晶供給部LQPと、を有する。液晶供給部LQPは、周辺領域PFAの一片に沿って設けられる。周辺領域PFAは、表示領域DAとシール部SLMとの間にある周辺領域PF1を含む。周辺領域PF1では、絶縁膜IF1が取り除かれている。周辺領域PF1には、複数のスペーサ部材SP2と、複数のスペーサ部材SP2を支持する複数のスペーサ部材SP3と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域と、
前記表示領域の周囲にある周辺領域と、
第1基板と、
前記第1基板と対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、液晶を含む液晶層と、
前記第1基板に形成され、前記液晶を駆動する駆動信号を伝送する複数の信号配線と、
前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、前記複数の信号配線を覆う第1絶縁膜と、
前記表示領域において前記第1絶縁膜と前記第2基板との間に配置され、前記第1基板と前記第2基板とのギャップを維持する複数の第1スペーサ部材と、
前記第1基板と前記第2基板との間で前記周辺領域に設けられ、前記液晶層をシールするシール部と、
前記シール部の一部に設けられ、前記シール部の外部から前記表示領域までを連通する液晶供給部と、
を有し、
前記第2基板側から視た平面視において、前記周辺領域は、第1辺、前記第1辺の反対側の第2辺、前記第1辺に交差する第3辺、および前記第3辺の反対側の第4辺を備え、
前記液晶供給部は、前記周辺領域の第1辺に沿って設けられ、
前記周辺領域は、前記表示領域と前記シール部との間にある第1周辺領域を含み、
前記第1周辺領域では、前記第1絶縁膜が取り除かれ、
前記第1周辺領域には、
前記第1基板と前記第2基板との間に配置される複数の第2スペーサ部材と、
前記複数の第2スペーサ部材と前記第1基板との間に形成され、前記複数の第2スペーサ部材を支持する複数の第3スペーサ部材と、
を備える、表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数の第2スペーサ部材は、前記複数の第1スペーサ部材と同じ厚さであり、かつ、前記複数の第1スペーサ部材と同じ材料から成り、
前記複数の第3スペーサ部材のそれぞれは、前記第1絶縁膜と同じ厚さであり、かつ、前記第1絶縁膜と同じ材料から成る、表示装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記表示領域では、前記第1絶縁膜が格子状に形成されている、表示装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記第1周辺領域と前記表示領域との間には、
前記複数の信号配線に接続される第1回路が配置され、かつ、前記第1回路を覆う前記第1絶縁膜が形成された第2周辺領域を有している、表示装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記第2周辺領域には前記複数の第1スペーサ部材および前記複数の第2スペーサ部材が形成されていない、表示装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記複数の第3スペーサ部材のうち、互いに隣り合う第3スペーサ部材の配列ピッチは、前記複数の第1スペーサ部材のうち、互いに隣り合う第1スペーサ部材の配列ピッチよりも広い、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶層を用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶層を用いた表示装置を製造する方法として、互いに対向する基板の間に液晶を供給することにより液晶が封入された表示装置を製造する技術がある(特開2019-219565号公報(特許文献1)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-219565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
互いに対向する基板の間に液晶を供給することにより、基板の間に液晶を封入する方式の場合、基板の間に供給された液晶が外部に漏れ出ることを防止するシール部の一部に液晶の供給口として利用される開口部が設けられる。真空雰囲気中において、この開口部に液晶を接触させた後、基板周辺の圧力を常圧に戻すと、シール部で囲まれた空間内の圧力と雰囲気との差圧により液晶がシール部で囲まれた空間内に封入される。
【0005】
ところが、本願発明者の検討によれば、上記した方法により液晶を封入する場合、表示装置の性能に影響する課題があることが判った。例えば、上記した開口部から液晶が供給される際に、シール部で囲まれた空間内において液晶の流れを阻害する部材があると、液晶内に微細な気泡が多数発生する場合がある。この微細な気泡が残留すれば、表示装置の表示性能に影響を及ぼす。
【0006】
本発明の目的は、表示装置の性能を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様である表示装置は、表示領域と、前記表示領域の周囲にある周辺領域と、第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、液晶を含む液晶層と、前記第1基板に形成され、前記液晶を駆動する駆動信号を伝送する複数の信号配線と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、前記複数の信号配線を覆う第1絶縁膜と、前記表示領域において前記第1絶縁膜と前記第2基板との間に配置され、前記第1基板と前記第2基板とのギャップを維持する複数の第1スペーサ部材と、前記第1基板と前記第2基板との間で前記周辺領域に設けられ、前記液晶層をシールするシール部と、前記シール部の一部に設けられ、前記シール部の外部から前記表示領域までを連通する液晶供給部と、を有する。前記第2基板側から視た平面視において、前記周辺領域は、第1辺、前記第1辺の反対側の第2辺、前記第1辺に交差する第3辺、および前記第3辺の反対側の第4辺を備える。前記液晶供給部は、前記周辺領域の第1辺に沿って設けられる。前記周辺領域は、前記表示領域と前記シール部との間にある第1周辺領域を含む。前記第1周辺領域では、前記第1絶縁膜が取り除かれている。前記第1周辺領域には、前記第1基板と前記第2基板との間に配置される複数の第2スペーサ部材と、前記複数の第2スペーサ部材と前記第1基板との間に形成され、前記複数の第2スペーサ部材を支持する複数の第3スペーサ部材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施の形態である表示装置の一例を示す斜視図である。
図2図1のA-A線に沿った断面図である。
図3図1の表示装置が備える回路の一例を示す回路ブロック図である。
図4図2に示すシール部と、図1に示す表示領域との平面的な位置関係を示す平面図である。
図5図4のB部の拡大平面図である。
図6図5のC-C線に沿った拡大断面図である。
図7図5のD-D線に沿った拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一または関連する符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
以下の実施の形態では、液晶層を備えた表示装置の例として、表示領域に種々の画像を表示させる液晶表示装置を取り上げて説明する。
【0011】
また、液晶表示装置は、液晶層に含まれる分子の配向を変化させることにより、表示画像を形成する装置であるが、光源を必要とする。本実施の形態では、液晶層を含む表示パネルのサイドに光源を備えた表示装置を取り上げて説明する。ただし、以下で説明する実施形態には種々の変形例があり、例えば、以下で説明する技術を、表示パネルの背面側に光源が配置された液晶表示装置に適用することができる。
【0012】
<表示装置の構成>
まず、表示装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態の表示装置の一例を示す斜視図である。図1では、表示領域DAと周辺領域PFAの境界を二点鎖線で示している。また、図1では、表示装置DSP1が備える回路のうち、液晶を駆動するための信号を伝送する信号配線の一部(詳しくは、ゲート線GLおよびソース線SL)を一点鎖線で模式的に示している。図1を含む以下の図面において、表示装置DSP1の厚さ方向に沿った方向をZ方向、Z方向に直交するX-Y平面において、表示パネルP1の一辺の延在方向をX方向、X方向に交差する方向をY方向として説明する。図2は、図1のA-A線に沿った断面図である。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態の表示装置DSP1は、基板(アレイ基板)10、基板(対向基板)20、サイド光源装置30、および駆動回路40を備える表示パネルP1を有する。表示装置DSP1は、図1に示す表示パネルP1が備える各部分の他、例えば制御回路、あるいは表示パネルP1に接続されるフレキシブル基板、あるいは筐体などが含まれる場合がある。図1では、表示パネルP1以外の部分は図示を省略している。表示装置DSP1は、外部から供給される入力信号に応じて画像が形成される表示領域DAと、表示領域DAの周囲にある周辺領域(額縁領域)PFAを有する。なお、図1に示す表示装置DSP1の表示領域DAは四角形であるが、表示領域が多角形や円形など、四角形以外の形状であってもよい。表示領域DAは、表示面を視た平面視において、表示装置DSP1が画像を表示する有効領域である。基板10および20のそれぞれは、平面視において表示領域DAと重なる位置にある。サイド光源装置30、および駆動回路40のそれぞれは、基板10上に搭載されている。
【0014】
図2に示すように、表示装置DSP1は、液晶層LQLを介して対向するように貼り合せられた基板10および基板20を有している。基板10と基板20とは、表示装置DSP1の厚さ方向であるZ方向に配列される。言い換えれば、基板10と基板20とは、表示装置DSP1の厚さ方向(Z方向)において互いに対向する。基板10は、液晶層LQL(および基板20)と対向する前面(主面、面)10fを有する。また基板20は、基板10の前面10f(および液晶層LQL)と対向する背面(主面、面)20bを有する。基板10は、スイッチング素子(能動素子)Tr(図3参照)としての複数のトランジスタ(トランジスタ素子)がアレイ状に配置されたアレイ基板である。また、基板20は、表示面側に設けられた基板である。基板20は、アレイ基板に対向配置された基板という意味で、対向基板と言い換えることができる。
【0015】
液晶LQを含む液晶層LQLは、基板10の前面10fと基板20の背面20bとの間にある。液晶層LQLは、光学変調素子である。表示装置DSP1は、上記したスイッチング素子を介して液晶層LQLの周辺に形成される電界の状態を制御することにより、そこを通過する光を変調する機能を備えている。基板10および基板20にある表示領域DAは、図2に示すように液晶層LQLと重畳する。
【0016】
また、基板10と基板20とは、シール部(シール材)SLMを介して接着される。図1に示すように、シール部SLMは、表示領域DAの周囲を囲むように、周辺領域PFAに配置される。シール部SLMの内側には、図2に示すように液晶層LQLがある。シール部SLMは、基板10と基板20との間に液晶を封入するシールとしての役割を果たす。また、シール部SLMは、基板10と基板20とを接着する、接着材としての役割を果たす。
【0017】
サイド光源装置30は、光源部31を有する。光源部31は、基板20の側面20s1と対向する位置に配置される。図2に二点鎖線で模式的に示すように、光源部31から出射された光源光L1は、基板10の背面10bおよび基板20の前面20fで反射しながら、側面20s1から遠ざかる方向に伝搬する。光源光L1の伝搬経路において、基板10の背面10bおよび基板20の前面20fは、屈折率の大きな媒質と、屈折率の小さな媒質への界面との界面である。このため、光源光L1が前面20fおよび背面10bに入射する入射各が臨界角よりも大きい場合、光源光L1は、前面20fおよび背面10bにおいて全反射する。
【0018】
表示装置DSP1は、光源光L1の伝搬経路における液晶LQの配向を制御することにより、液晶LQに対する光源光L1の入射角を制御する。液晶LQに対する光源光L1の入射角が臨界角よりも小さい場合、光源光L1は液晶LQにより全反射せず、放出光L2として前面20f側から表示装置DSP1の外部に出射される。また、背面10b側から入射した背景光L3は、液晶LQの配向状態を制御することにより、基板10、液晶層LQL、および基板20を透過して、前面20fから外部に出射される。放出光L2および背景光L3は、前面20f側にいる観者に視認される。観者は、放出光L2と、背景光L3とを組み合わせて認識することができる。このように観者が、表示画像と背景とを重ね合わせて認識することが可能な表示装置を透明表示装置と呼ぶ。
【0019】
<回路の構成例>
次に、図1に示す表示装置が備える回路の構成例について説明する。図3は、図1の表示装置が備える回路の一例を示す回路ブロック図である。図3に示す共通電極CEに接続される配線経路は、例えば図2に示す基板20に形成されている。図3では、基板20に形成された配線を点線で図示している。図3に示す例では、光源制御部32が、駆動回路40に含まれる。変形例としては、駆動回路40とは別に光源制御部32を設ける場合もある。光源部31と、光源制御部32とは、基板10に形成された配線を介して電気的に接続されている。
【0020】
図3に示す例では、駆動回路40は、信号処理回路41、画素処理回路42、ゲート駆動回路43、ソース駆動回路44、および共通電位駆動回路45を備える。また、光源部31は、例えば赤色光源部31r、緑色光源部31g、および青色光源部31bを備える。図1に示すように、基板10は、基板20よりも面積が大きいので、駆動回路40およびサイド光源装置30のそれぞれは、基板10上に設けられている。
【0021】
信号処理回路41は、入力信号解析部(入力信号解析回路)411、記憶部(記憶回路)412、および信号調整部413を備える。表示装置DSP1は、画像の表示を制御する制御回路を備える制御部90を有し、信号処理回路41の入力信号解析部411には、制御部90から図示しないフレキシブル配線板などの配線経路を介して入力信号VSが入力される。入力信号解析部411は、外部から入力された入力信号VSに基づいて解析処理を行い、入力信号VCSを生成する。入力信号VCSは、例えば、入力信号VSに基づいて、表示パネルP1(図1参照)の各画素PIX(図1参照)にどのような階調値を与えるかを定める信号である。
【0022】
信号調整部413は、入力信号解析部411から入力された入力信号VCSから入力信号VCSAを生成する。信号調整部413は、入力信号VCSAを画素制御回路42へ送出し、光源制御信号LCSAを光源制御部32へ送出する。光源制御信号LCSAは、例えば、画素PIXへの入力階調値に応じて設定される光源部31の光量の情報を含む信号である。例えば、暗い画像が表示される場合、光源部31の光量は小さく設定される。明るい画像が表示される場合、光源部31の光量は大きく設定される。
【0023】
画素制御回路42は、入力信号VCSAに基づいて水平駆動信号HDSと垂直駆動信号VDSとを生成する。例えば、本実施形態では、フィールドシーケンシャル方式で駆動されるので、水平駆動信号HDSと垂直駆動信号VDSとが光源部31が発光可能な色毎に生成される。ゲート駆動回路43は水平駆動信号HDSに基づいて1垂直走査期間内に表示パネルP1(図1参照)のゲート線GLを順次選択する。ゲート線GLの選択の順番は任意である。図1に示すように複数のゲート線(信号配線)GLは、X方向に延び、かつ、Y方向に沿って配列されている。
【0024】
ソース駆動回路44は垂直駆動信号VDSに基づいて1水平走査期間内に表示パネルP1(図1参照)の各ソース線SLに各画素PIX(図1参照)の出力階調値に応じた階調信号を供給する。図1に示すように複数のソース線(信号配線)SLは、Y方向に延び、かつ、X方向に沿って配列されている。ゲート線GLとソース線SLとの交差毎に、一つの画素PIXが形成される。ゲート線GLとソース線SLとが交差する部分のそれぞれには、スイッチング素子Tr(図3参照)が形成されている。図1および図3に示す複数のゲート線GLおよび複数のソース線SLは、図2に示す液晶LQを駆動する駆動信号を伝送する複数の信号配線に相当する。
【0025】
図3に示すスイッチング素子Trとして例えば、薄膜トランジスタが用いられる。薄膜トランジスタの種類は特に限定されず、例えば、以下のようなものを例示できる。ゲートの位置で分類すると、ボトムゲート型トランジスタ又はトップゲート型トランジスタを挙げることができる。また、ゲートの数で分類すると、シングルゲート薄膜トランジスタと、ダブルゲート薄膜トランジスタとを挙げられる。スイッチング素子Trのソース電極及びドレイン電極のうち一方はソース線SLに接続され、ゲート電極はゲート線GLに接続され、ソース電極及びドレイン電極のうち他方は、高分子分散型液晶LCの容量の一端に接続されている。高分子分散型液晶LCの容量は、一端がスイッチング素子Trに画素電極PEを介して接続され、他端が共通電極CEを介してコモン電位配線COMLに接続されている。また、画素電極PEと、コモン電位配線COMLに電気的に接続されている保持容量電極との間には、保持容量HCが生じる。なお、コモン電位配線COMLは、共通電位駆動回路45より供給される。
【0026】
<周辺領域の構造>
次に、図2に示すシール部SLM内に液晶層LQLを封入する構造および封入方法について説明する。図4は、図2に示すシール部SLMと、図1に示す表示領域との平面的な位置関係を示す平面図である。図5は、図4のB部の拡大平面図である。図6は、図5のC-C線に沿った拡大断面図である。図7は、図5のD-D線に沿った拡大断面図である。図4および図5は、図1に示す表示装置を基板20側から視た平面図であって、基板20は図示を省略されている。図4では、シール材SLM1およびシール材SLM2の形状を明確にするため、平面図であるが、シール材SLM1およびシール材SLM2にハッチングを付している。図4において、表示装置DSP1は、液晶供給部LQPがシール材SLM2により封止されているが、図5では、図4に示すシール材SLM2が取り除かれている。液晶LQ(図2参照)を封入する前の製造工程では、図5に示すようにシール材SLM2が未だ形成されず、液晶供給部LQPは、シール部SLMで囲まれた空間と、外部とを連通する開口部になっている。図6および図7では図示を省略したが、基板20の表示領域DAには、図3に示す共通電極CEや、表示領域DAにおいてソース線SLおよびゲート線GLと重なる位置に格子状に設けられる遮光膜がスペーサ部材SP1と基板20との間に形成されている場合がある。
【0027】
図4に示すように、平面視において、周辺領域PFAは、辺PFs1、辺PFs1の反対側の辺PFs2、辺PFs1に交差する辺PFs3、および辺PFs3の反対側の辺PFs4を備える。シール部SLMは、基板10と基板20(図2参照)との間で、周辺領域PFAに設けられている。液晶供給部LQPは、シール部SLMの一部に設けられ、シール部SLMの外部から表示領域DAまでを連通するように形成された開口部である。ただし、上記したように完成品の表示装置DSP1においては、液晶供給部LQPは、シール材SLM2により封止されている。
【0028】
液晶供給部LQPは、周辺領域PFAの辺PFs1、PFs2、PFs3、およびPFs4の少なくともいずれか一辺に形成されている。図4に示す例では、液晶供給部LQPは、周辺領域PFAの辺PFs1に形成されている。表示装置DSP1の製造工程において、図2に示す液晶LQをシール材SLM2の内部に供給する工程は、例えば以下のように実施される。
【0029】
まず、図1に示す基板10と基板20とを図4に示すシール部SLMのシール材SLM1を介して接着固定する。この時、液晶供給部LQPには、シール材SLM2が配置されず、開口部になっている。次に、基板10および基板20が接着された構造物を、真空雰囲気(大気圧よりも低い減圧雰囲気)の環境下に配置した状態で、液晶供給部LQPに液晶LQ(図2参照)を接触させる。次に、液晶供給部LQPに液晶LQが接触した状態で環境圧力を大気圧に復圧させると、シール部SLMに囲まれた空間と外部との差圧、および毛細管現象により液晶LQがシール部SLMに囲まれた空間内に注入される。その後、液晶供給部LQPの開口部を図4に示すシール材SLM2により封止すれば、図2に示すように、基板10と基板20との間に液晶LQが封入された表示パネルP1が得られる。
【0030】
本願発明者の検討によれば、上記した液晶LQの封入方法の場合、表示装置の性能に影響する課題があることが判った。例えば、図4で示す液晶供給部LQPから液晶LQ(図2参照)が供給される際に、シール部SLMで囲まれた空間内において液晶の流れを阻害する部材があると、液晶層LQL(図2参)内に微細な気泡が多数発生する場合がある。この微細な気泡が残留すれば、表示装置の表示性能に影響を及ぼす。
【0031】
表示装置DSP1は、図6に示すように、基板10と基板20との間に、ソース線SL(および図5に示すゲート線GL)を覆う絶縁膜IF1を有する。絶縁膜IF1は、例えばアクリル樹脂などの有機系絶縁材料から成る有機絶縁膜である。有機絶縁膜であるIF1は、無機系材料から成る他の絶縁膜(例えば図6に示すゲート線GL上に形成される絶縁膜IF2やソース線SL上に形成される絶縁膜IF3など)と比較して、膜厚を厚く形成することができる。図5に示す表示領域DAにおいて、ゲート線GLおよびソース線SLは、膜厚の厚い絶縁膜IF1に覆われている。これにより、ゲート線GLおよびソース線SLを保護することができる。また、絶縁膜IF1上にコモン電位配線COML(図3参照)に電気的に接続されている保持容量電極が形成されている場合、保持容量電極とゲート線GLおよびソース線SLとの間に厚い絶縁膜IF1を配置することにより、ゲート線GLやソース線SLに対するコモン電位の影響を低減することができる。
【0032】
本実施の形態の場合図5に示すように、絶縁膜IF1は、ゲート線GLおよびソース線SLの延在方向に沿って、格子状に形成されている。この場合、画素PIXの絶縁膜IF1からの露出面積を大きくすることができるので、表示装置の光透過特性を向上させることができる。変形例としては、画素PIXが絶縁膜IF1に覆われている場合もある。
【0033】
また、図5および図6に示すように、表示装置DSP1は、表示領域DAにおいて絶縁膜IF1と基板20との間に配置され、基板10と基板20とのギャップを維持する複数のスペーサ部材SP1を有する。スペーサ部材SP1が絶縁膜IF1と重なる位置に配置されていることにより、基板10と基板20とのギャップを高精度で維持することができる。
【0034】
図5および図6に示す周辺領域PFAにおいても、基板10と基板20とのギャップを維持する必要がある。本実施の形態の透明表示装置は、周辺領域PFAも光を透過させる必要があるので、表示領域DAと周辺領域PFAとの光透過特性を同様にする観点からは、周辺領域PFAにおいても、表示領域DAと同様に絶縁膜IF1を配置する構造が考えられる。ところが、本願発明者の検討によれば、周辺領域PFAの特に液晶供給部LQPの近傍に絶縁膜IF1を配置すると、絶縁膜IF1が液晶LQ(図2参照)の流れを阻害する障害物となり、上記した微細な気泡が発生することが判った。
【0035】
そこで、本実施の形態では、気泡の発生を抑制し、かつ、周辺領域PFAにおける基板10と基板20とのギャップを維持できる構造として、図5および図6に示す構造を見出した。すなわち、周辺領域PFAは、表示領域DAとシール部SLM(図5参照)との間にある周辺領域PF1を含み、周辺領域PF1では、絶縁膜IF1が取り除かれている。周辺領域PF1には、複数のスペーサ部材SP1と同じ材料から成る複数のスペーサ部材SP2と、複数のスペーサ部材SP2と基板10との間に形成され、複数のスペーサ部材SP2を支持する複数のスペーサ部材SP3と、を備える。複数のスペーサ部材SP3は互いに分離されている。
【0036】
周辺領域PF1は、液晶供給部LQPと表示領域DAとの間のみではなく、辺PFs1(図4参照)に沿ったX方向において、シール材SLM1と表示領域DAとの間まで広がっている。さらに詳しくは、絶縁膜IF1が取り除かれた周辺領域PF1は、図4に示す辺PFs3に沿ったシール部SLMとの境界から辺PFs3に沿ったシール部SLMとの境界までX方向に沿って連続的に広がっている。
【0037】
表示装置DSP1の場合、周辺領域PF1において、表示領域DAと同様に絶縁膜IF1が配置されている場合と比較して、液晶の注入経路の断面積を広く確保できるので、液晶の流入が阻害され難い。この結果、上記した気泡の発生を抑制することができる。また、図6に示すように、周辺領域PF1において、絶縁膜IF1が形成されていない場合でも、基板10と基板20との間にスペーサ部材SP2およびスペーサ部材SP3が重なって配置されているので、基板10と基板20とのギャップを維持することができる。
【0038】
本実施の形態の場合、複数のスペーサ部材SP1および複数のスペーサ部材SP2は基板20側に形成され、複数のスペーサ部材SP3は、基板10側に形成されている。複数のスペーサ部材SP2と複数のスペーサ部材SP3とは、基板10および基板20を重ね合わせる時に互いに対向する位置に形成されている。この場合、複数のスペーサ部材SP2および複数のスペーサ部材SP3の厚さ(Z方向の高さ)を極端に厚くする必要がないので、複数のスペーサ部材SP2および複数のスペーサ部材SP3のそれぞれを容易に形成することができる。
【0039】
スペーサ部材SP1、SP2、およびSP3のそれぞれは、互いに異なる材料、互いに異なる厚さで形成されていてもよい。ただし、スペーサ部材SP2およびSP3を要請する工程の作業効率を向上させる観点からは、以下が好ましい。すなわち、複数のスペーサ部材SP2は、複数のスペーサ部材SP1と同じ材料から成り、かつ、同じ厚さ(Z方向の高さ)であることが好ましい。これにより、スペーサ部材SP1を形成する工程において、スペーサ部材SP1およびSP2を一括して形成することができるので、スペーサ部材SP2を形成するための製造工程が追加されることを防止できる。
【0040】
また、複数のスペーサ部材SP3のそれぞれは、表示領域DAにおける絶縁膜IF1と同じ厚さであり、かつ、絶縁膜IF1と同じ材料から成ることが好ましい。絶縁膜IF1とスペーサ部材SP3とが同じ材料からなる場合、例えば、表示領域DAから周辺領域PFAまで連続的に広がる平坦化膜として絶縁膜IF1を形成した後、エッチング処理により、絶縁膜IF1の一部分を選択的に取り除くことにより、図5に示すような形状の絶縁膜IF1および複数のスペーサ部材SP3が一括して形成される。
【0041】
スペーサ部材SP2の厚さをスペーサ部材SP1の厚さと同じにし、かつ、スペーサ部材SP3の厚さを絶縁膜IF1の厚さと同じにすることで、表示領域DAにおける基板10と基板20との間のギャップと、周辺領域PF1における基板10と基板20との間のギャップと、を同じにすることができる。このように周辺領域PF1における基板10と基板20との間のギャップを維持することにより、液晶LQ(図2参照)を注入する際の流路が狭くなることを防止できる。
【0042】
ところで、図5図7に示す例では、表示装置DSP1は、複数のソース線(信号配線)SLに接続される回路SLCが配置され、かつ、回路SLCを覆う絶縁膜IF1が形成された周辺領域PF2を有している。回路SLCは、例えば、画素電極選択回路もしくはテスト回路や保護回路などである。このように、周辺領域PFAに複数のソース線SLに接続される回路SLCが配置される場合、この回路SLCを保護する観点から、回路SLCを覆う絶縁膜IF1が設けられていることが好ましい。なお、図6および図7では例示的にソース線SLに接続される回路SLCを示しているが、例えば図4に示す辺PFs3および辺PFs4のいずれかまたは両方に、図3に示すゲート線GLに接続されるゲート駆動回路43が配置される場合もある。この場合、図6および図7に示す構造と同様に、周辺領域PFAに配置されたゲート駆動回路43(図3参照)は、絶縁膜IF1に覆われていることが好ましい。
【0043】
また、周辺領域PF2には絶縁膜IF1が形成されているので、周辺領域PF2では液晶の流路が狭くなる。このため、液晶の流路を少しでも広くする観点からは、図5図7に示す例のように、周辺領域PF2には複数のスペーサ部材SP1および複数のスペーサ部材SP2が形成されていないことが好ましい。Y方向における絶縁膜IF1の幅は、回路SLCが露出しない範囲で極力狭くすることが好ましい。このため、仮に、周辺領域PF2に複数のスペーサ部材SP1および複数のスペーサ部材SP2が形成されていない状態であっても、周辺領域PF1に複数のスペーサ部材SP2およびSP3が形成されていれば、基板10と基板20とのギャップを維持することができる。ただし、変形例としては、周辺領域PF2にも周辺領域PF1と同様にスペーサ部材SP2が形成される場合もある。
【0044】
また、周辺領域PF1における液晶の流路を広くする観点から以下の構造が好ましい。図5および図6に示すように、複数のスペーサ部材SP3のうち、互いに隣り合うスペーサ部材SP3の配列ピッチSPp3は、複数のスペーサ部材SP1のうち、互いに隣り合うスペーサ部材SP1の配列ピッチSPp1よりも広い。配列ピッチSPp3は、平面視において、互いに隣り合うスペーサ部材SP3の中心間距離として定義され、配列ピッチSPp1は、平面視において、互いに隣り合うスペーサ部材SP1の中心間距離として定義される。スペーサ部材SP1、SP2、およびSP3のそれぞれは、規則的に配列されている。このため、図5に示す配列ピッチSPp1と、図6に示す配列ピッチSPp1は同じ値である。同様に、図5に示す配列ピッチSPp3と、図6に示す配列ピッチSPp3は同じ値である。
【0045】
図5および図6に示す例の場合、配列ピッチSPp1は0.2mmであり、配列ピッチSPp3は、0.5mmである。ただし、配列ピッチSPp1および配列ピッチSPp3の値は、表示装置の仕様に応じて変更可能であり、上記した数値に限定されるものではない。特に、図5に示すように、スペーサ部材SP1は、格子状に形成された絶縁膜IF1が交差する位置に配置されているので、画素PIXのサイズに応じて配列ピッチSPp1の値は変更される。
【0046】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、表示装置や表示装置が組み込まれた電子機器に利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
10,20 基板
10b,20b,20b 背面(主面、面)
10f,20f 前面(主面、面)
20s1 側面
30 サイド光源装置
31 光源部
31b 青色光源部
31g 緑色光源部
31r 赤色光源部
32 光源制御部
40 駆動回路
41 信号処理回路
42 画素制御回路
42 画素処理回路
43 ゲート駆動回路
44 ソース駆動回路
45 共通電位駆動回路
90 制御部
411 入力信号解析部(入力信号解析回路)
412 記憶部(記憶回路)
413 信号調整部
CE 共通電極
COML コモン電位配線
DA 表示領域
DSP1 表示装置
GL ゲート線(信号配線)
HC 保持容量
HDS 水平駆動信号
IF1 絶縁膜(有機絶縁膜)
IF2,IF3 絶縁膜(無機絶縁膜)
L1 光源光
L2 放出光
L3 背景光
LC 高分子分散型液晶
LCSA 光源制御信号
LQ 液晶
LQL 液晶層
LQP 液晶供給部
P1 表示パネル
PE 画素電極
PF1,PF2 周辺領域
PFA 周辺領域(額縁領域)
PFs1,PFs2,PFs3,PFs4 辺
PIX 画素
SL ソース線(信号配線)
SLC 回路
SLM シール部
SLM1,SLM2 シール材
SP1,SP2,SP3 スペーサ部材
SPp1,SPp3 配列ピッチ
Tr スイッチング素子
VCS,VCSA,VS 入力信号
VDS 垂直駆動信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7