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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156902
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20221006BHJP
   B60W 20/40 20160101ALI20221006BHJP
   B60W 20/12 20160101ALI20221006BHJP
   B60K 6/442 20071001ALI20221006BHJP
   B60W 30/18 20120101ALI20221006BHJP
【FI】
G01C21/34
B60W20/40 ZHV
B60W20/12 ZYW
B60K6/442
B60W30/18
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060829
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】太田 崇
【テーマコード(参考)】
2F129
3D202
3D241
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB20
2F129BB23
2F129EE52
3D202AA02
3D202DD01
3D202DD05
3D202DD06
3D202DD50
3D202FF12
3D241BA42
3D241BA50
3D241BB71
3D241CA06
3D241CD10
3D241DA13Z
3D241DA39Z
3D241DA69Z
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB12Z
(57)【要約】
【課題】地図情報を用いずに車両の走行予定経路を推定する方法を提供すること。
【解決手段】車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記車両の旋回量を取得する旋回量取得部と、を備える車両に備えられる制御装置であって、前記位置情報に基づいて前記車両の出発地を特定する出発地点特定部と、前記位置情報に基づいて前記車両の旋回量の計測起点を設定する計測起点設定部と、前記計測起点及び前記車両の旋回量を記録する走行中ルート記録部と、記録された前記計測起点及び前記旋回量に基づいて、前記車両の走行予定経路を推定する予定経路推定部と、を備える、車両の制御装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記車両の旋回量を取得する旋回量取得部と、
を備える車両に備えられる制御装置であって、
前記位置情報に基づいて前記車両の出発地を特定する出発地点特定部と、
前記位置情報に基づいて前記車両の旋回量の計測起点を設定する計測起点設定部と、
前記計測起点及び前記車両の旋回量を記録する走行中ルート記録部と、
記録された前記計測起点及び前記旋回量に基づいて、前記車両の走行予定経路を推定する予定経路推定部と、
を備える、車両の制御装置。
【請求項2】
前記位置情報取得部から取得した位置情報に基づいて二次元平面上における前記車両の軌跡を推定する車両軌跡推定部をさらに備え、
前記計測起点設定部は、前記二次元平面上に格子状に設けられる基準線と前記軌跡が交差したときに、前記基準線と前記軌跡の交差点を前記計測起点と設定する、
請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記旋回量取得部は、
前記旋回量を右旋回量及び左旋回量に分けて取得する、
請求項1又は2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記車両は、
エンジンと、
バッテリと、
駆動輪に接続され、前記バッテリからの電力供給により駆動され、回生時に発生した回生電力を前記バッテリに供給する電動機と、
を備え、
前記バッテリに関するイベントが発生したときの前記車両の位置を記録するイベント発生記録部を備える、
請求項1から3に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記イベントは、
前記バッテリの残容量が所定の値を上回ることを含む、
請求項4に記載の車両の制御装置。
【請求項6】
前記イベントは、
前記車両が、前記エンジンを用いず前記バッテリからの電力供給によって前記車両を駆動させる電力走行モードへ変更したことを含む、
請求項4又は5に記載の車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両に関連する情報に基づいて、ハイブリッド車両に搭載されている蓄電装置などを制御する技術が知られている。例えば、特許文献1には、走行経路が設定されていない場合に、走行履歴に基づいて目的地及び目的地の信頼度を算出し、信頼度が所定の値以上であれば、ハイブリッド車両を制御するという技術が開示されている。また、特許文献2には、バッテリの析出リスクの高い地点を記憶し、その地点から所定の距離の範囲に近づいたときにバッテリの析出抑制モードでハイブリッド車両を制御するという技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4438812号公報
【特許文献2】特許第6674637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、地図データが必須であるという欠点を有する。また、特許文献2に記載の発明は、地点との距離情報のみを使用するため、その地点を通過するか否かの確率を評価することができないという欠点を有する。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、地図情報を用いずに車両の走行予定経路を推定する方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る車両の制御装置は、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る車両は、前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記車両の旋回量を取得する旋回量取得部とを備える。前記車両に備えられる制御装置は、前記位置情報に基づいて前記車両の出発地を特定する出発地点特定部と、前記位置情報に基づいて前記車両の旋回量の計測起点を設定する計測起点設定部と、前記計測起点及び前記車両の旋回量を記録する走行中ルート記録部と、記録された前記計測起点及び前記旋回量に基づいて、前記車両の走行予定経路を推定する予定経路推定部と、を備える。
【0006】
(2):上記(1)の態様において、制御装置は、前記位置情報取得部から取得した位置情報に基づいて二次元平面上における前記車両の軌跡を推定する車両軌跡推定部をさらに備え、前記計測起点設定部は、前記二次元平面上に格子状に設けられる基準線と前記軌跡が交差したときに、前記基準線と前記軌跡の交差点を前記計測起点と設定する。
【0007】
(3):上記(1)又は(2)の態様において、前記旋回量取得部は、 前記旋回量を右旋回量及び左旋回量に分けて取得する。
【0008】
(4):上記(1)又は(2)の態様において、前記車両は、エンジンと、バッテリと、駆動輪に接続され、前記蓄電装置からの電力供給により駆動され、回生時に発生した回生電力を前記バッテリに供給する電動機と、を備え、前記バッテリに関するイベントが発生したときの前記車両の位置を記録するイベント発生記録部を備える。
【0009】
(5):上記(4)の態様において、前記イベントは、前記バッテリの残容量が所定の値を上回ることを含む。
【0010】
(6):上記(4)又は(5)の態様において、前記イベントは、前記車両が、前記エンジンを用いず前記バッテリからの電力供給によって前記車両を駆動させる電力走行モードへ変更したことを含む。
【発明の効果】
【0011】
(1)~(3)の態様によれば、地図データを使用せずに走行予定経路の推定をすることができる。
(4)~(6)の態様によれば、地図データを使用せずに走行予定経路の推定及びハイブリッド車両の制御をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態の車両Mの構成の一例を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る制御装置50の構成の一例を示す図である。
図3A】走行中ルート記憶部200に記録される走行中ルートの一例を示す図である。
図3B】走行中ルート記憶部200に記録される走行中ルートを模式的に表した図である。
図4】過去ルート記憶部202に記録されるルートの一例を示す図である。
図5】予定経路推定部106の推定方法を模式的に示した図である。
図6】第2の実施形態に係る制御装置50の構成の一例を示す図である。
図7A】第2の実施形態に係る走行中ルート記憶部200に記録される走行中ルートの一例を示す図である。
図7B】第2の実施形態に係る走行中ルート記憶部200に記録される走行中ルートを模式的に表した図である。
図8】イベント発生ルート記憶部204に記憶されているイベント発生ルートの一例である。
図9】イベント発生ルート更新部120の更新方法を模式的に示した図である。
図10】第2の実施形態に係る予定経路推定部106の動作を模式的に示した図である。
図11】走行中ルートを模式的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の制御装置の実施形態について説明する。
[全体構成]
図1は、第1の実施形態の車両Mの構成の一例を示す図である。図示する構成の車両Mは、シリーズ方式とパラレル方式とを切り換え可能なハイブリッド車両である。シリーズ方式とは、エンジンと駆動輪が機械的に連結されておらず、エンジンの動力は専ら発電機による発電に用いられ、発電電力が走行用の電動機に供給される方式である。パラレル方式とは、エンジンと駆動輪を機械的に(或いはトルクコンバータなどの流体を介して)連結可能であり、エンジンの動力を駆動輪に伝えたり発電に用いたりすることが可能な方式である。図1に示す構成の車両Mは、ロックアップクラッチ14を接続したり、切り離したりすることで、シリーズ方式とパラレル方式とを切り換えることができる。
【0014】
図1に示すように、車両Mには、例えば、エンジン10と、第1モータ(発電機)12と、ロックアップクラッチ14と、ギアボックス16と、第2モータ(電動機)18と、ブレーキ装置20と、駆動輪25と、PCU(Power Control Unit)30と、バッテリ60と、電圧センサ、電流センサ、温度センサなどのバッテリセンサ62と、アクセル開度センサ70、車速センサ72、ブレーキ踏量センサ74などの車両センサと、位置情報取得部80と、旋回量取得部90が搭載される。この車両Mは、駆動源として少なくともエンジン10、第2モータ18、およびバッテリ60を備える。
【0015】
エンジン10は、ガソリンなどの燃料を燃焼させることで動力を出力する内燃機関である。エンジン10は、例えば、燃焼室、シリンダとピストン、吸気バルブ、排気バルブ、燃料噴射装置、点火プラグ、コンロッド、クランクシャフトなどを備えるレシプロエンジンである。また、エンジン10は、ロータリーエンジンであってもよい。
【0016】
第1モータ12は、例えば、三相交流発電機である。第1モータ12は、エンジン10の出力軸(例えばクランクシャフト)にロータが連結され、エンジン10により出力される動力を用いて発電する。エンジン10の出力軸および第1モータ12のロータは、ロックアップクラッチ14を介して駆動輪25の側に接続される。
【0017】
ロックアップクラッチ14は、PCU30からの指示に応じて、エンジン10の出力軸および第1モータ12のロータを駆動輪25の側に接続した状態と、駆動輪25の側とは切り離した状態とを切り替える。
【0018】
ギアボックス16は、変速機である。ギアボックス16は、エンジン10により出力される動力を変速して駆動輪25の側に伝える。ギアボックス16の変速比は、PCU30によって指定される。
【0019】
第2モータ18は、例えば、三相交流電動機である。第2モータ18のロータは、駆動輪25に連結される。第2モータ18は、供給される電力を用いて動力を駆動輪25に出力する。また、第2モータ18は、車両Mの減速時に車両Mの運動エネルギーを用いて発電し、発電した電力を後述する第2変換器34及びVCU40を介して、バッテリ60に保存する。
【0020】
ブレーキ装置20は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータとを備える。ブレーキ装置20は、ブレーキペダルの操作によって発生した油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置20は、上記説明した構成に限らず、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0021】
PCU30は、例えば、第1変換器32と、第2変換器34と、VCU(Voltage Control Unit)40と、制御装置50とを備える。なお、これらの構成要素をPCU30として一まとまりの構成としたのは、あくまで一例であり、これらの構成要素は分散的に配置されても構わない。
【0022】
第1変換器32および第2変換器34は、例えば、AC-DC変換器である。第1変換器32および第2変換器34の直流側端子は、直流リンクDLに接続されている。直流リンクDLには、VCU40を介してバッテリ60が接続されている。第1変換器32は、第1モータ12により発電された交流を直流に変換して直流リンクDLに出力したり、直流リンクDLを介して供給される直流を交流に変換して第1モータ12に供給したりする。同様に、第2変換器34は、第2モータ18により発電された交流を直流に変換して直流リンクDLに出力したり、直流リンクDLを介して供給される直流を交流に変換して第2モータ18に供給したりする。
【0023】
VCU40は、例えば、DC―DCコンバータである。VCU40は、バッテリ60から供給される電力を昇圧してDCリンクDLに出力する。
【0024】
制御装置50の機能については後述する。バッテリ60は、例えば、リチウムイオン電池などの二次電池である。
【0025】
アクセル開度センサ70は、運転者による加速指示を受け付ける操作子の一例であるアクセルペダルに取り付けられ、アクセルペダルの操作量を検出し、アクセル開度として制御装置50に出力する。車速センサ72は、例えば、各車輪に取り付けられた車輪速センサと速度計算機とを備え、車輪速センサにより検出された車輪速を統合して車両Mの速度(車速)を導出し、制御装置50に出力する。ブレーキ踏量センサ74は、運転者による減速または停止指示を受け付ける操作子の一例であるブレーキペダルに取り付けられ、ブレーキペダルの操作量を検出し、ブレーキ踏量として制御装置50に出力する。
【0026】
位置情報取得部80は、車両Mの位置情報を取得する。位置情報取得部80は例えばGPS(Global Positioning System)を使用することで実現することができる。旋回量取得部90は、車両Mの旋回量を取得する。旋回量は、例えば、車両Mが曲がった角度を合計した値である。旋回量取得部は、例えばヨーレートセンサを使用することで実現することができる。
【0027】
〈第1の実施形態〉
[制御装置50の構成]
図2は、第1の実施形態に係る制御装置50の構成の一例を示す図である。
制御装置50は、出発地点特定部100、計測起点設定部102、走行中ルート記録部104、予定経路推定部106、車両軌跡推定部108、過去ルート記録部110、走行中ルート記憶部200及び過去ルート記憶部202を備える。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0028】
出発地点特定部100は、位置情報取得部80から位置情報を取得することで車両Mの出発地点を特定する。計測起点設定部102は、位置情報取得部80から位置情報を取得することで、車両Mの旋回量の計測起点を設定する。走行中ルート記録部104は計測起点設定部102により特定された計測起点及び旋回量取得部90から取得する旋回量を走行中ルート記憶部200に記録する。
【0029】
予定経路推定部106は、走行中ルート記憶部200及び過去ルート記憶部202に記憶された出発地点と旋回量に基づいて、車両Mの走行予定経路を推定する。車両軌跡推定部108は、位置情報取得部80から取得した位置情報に基づいて二次元平面上における車両Mの軌跡を推定する。
【0030】
図3Aは、走行中ルート記憶部200に記録される走行中ルートの一例を示す図である。図3Bは、走行中ルート記憶部200に記録される走行中ルートを模式的に表した図である。図3Bに示されるように、位置情報を示す二次元平面は区画(以後、この区画をメッシュと呼ぶ)により分けられる。メッシュは、例えば、経度及び緯度を基準にして分けられる区画である。計測起点設定部102は、車両軌跡推定部108により推定される車両Mの軌跡がメッシュ間の境界線に交差したと判定したときに、軌跡と境界線の交差した地点を計測起点と設定する。
図3Aに示すルートにおいて、メッシュ番号は図3Bに示すメッシュ番号に対応する。計測起点は各メッシュにおける計測起点を示す。右旋回量及び左旋回量は、各メッシュにおける車両の右旋回量及び左旋回量をそれぞれ示す。
【0031】
過去ルート記録部110は、走行終了後に走行中ルート記憶部200に記憶されている走行中ルートを過去ルートとして過去ルート記憶部202に記録する。走行中ルート記憶部200は、走行中ルートを記憶する。過去ルート記憶部202は、過去ルートを記憶する。また、過去ルート記録部110は、走行中ルートを過去ルート記憶部202に記録するときに、過去ルート記憶部202に記憶されている過去ルートのうち、記録されたのが最も早いルートを削除する。例えば、過去ルート記憶部202が100個の過去ルートを記憶する場合、最新の100個の過去ルートを記憶することができる。これにより、過去使用していたが現在は使用していないルートが過去ルート記憶部202から削除され、容量を節約することができる。
【0032】
過去ルート記憶部202には、過去ルートが当該過去ルートの走行回数と結び付けられて記録されてもよい。この場合、過去ルート記憶部202に記憶されている過去ルートのうち、走行中ルートと一致するルートがあるとき、過去ルート記録部110は、当該過去ルートの走行回数に1を加算する(以下、「更新する」と呼ぶ)。また、過去ルート記憶部202に記憶されている過去ルートのうち走行中ルートと一致するルートがないとき、過去ルート記録部110は、走行中ルートを新たな過去ルートとして過去ルート記憶部202に記録する。このとき、過去ルート記録部110は、最も早く記録または更新されたルートを削除する。これにより、同じルートが過去ルート記憶部202に記録されず、また、更新されていないルートが削除されることで、過去ルート記憶部202の容量を節約することができる。
図4は、過去ルート記憶部202に記録されるルートの一例を示す図である。過去ルート記憶部202には、走行中ルート記憶部200に記憶されていた走行中ルートが記憶される。
【0033】
図5は、予定経路推定部106の推定方法を模式的に示した図である。
予定経路推定部106は、過去ルート記憶部202に記憶されている過去ルートのうち、走行中ルート記憶部200に記憶される走行中ルートと一致するルート(マッチングルート)がいくつあるかをカウントする。予定経路推定部106は、車両が走行し、走行中ルートの計測起点が設定されるときに、マッチングルートがいくつあるかをカウントする。つまり、車両が走行するにつれてマッチングルートの数は減少する。例えば、図5において、メッシュ番号1におけるマッチングルートの数は13であるが、メッシュ番号1及び2におけるマッチングルートの数は12と減少し、メッシュ番号1、2及び3におけるマッチングルートの数は11と減少している。
マッチングルートの数は車両が走行するルートの予測に役立てることができる。例えば、マッチングルートの数の差を当該ルートが通行される頻度を示す。図5において、走行中ルートのメッシュ番号1のルートを走行した車両は、過去ルートによると、13回のうち12回は走行中ルートのメッシュ番号2のルートを走行する。
【0034】
過去ルート記憶部202に、過去ルートが当該過去ルートの走行回数と結び付けられて記録されているとき、予定経路推定部106は、過去ルート記憶部202に記憶されている過去ルートのうち、走行中ルート記憶部200に記憶される走行中ルートと一致するルートの走行回数をカウントする。
【0035】
第1の実施形態に係る制御装置50は、計測起点及び旋回量に基づき車両が走行する予定経路を推定することができる。そのため、地図情報がない場合であっても車両が走行する予定経路を推定することができる。
【0036】
〈第2の実施形態〉
図6は、第2の実施形態に係る制御装置50の構成の一例を示す図である。
第2の実施形態に係る制御装置50は、第1の実施形態に係る制御装置50に加え、イベント発生記録部112、イベント発生ルート記録部114、バッテリ推定部116、変換器制御部118、イベント発生ルート更新部120及びイベント発生ルート記憶部204を備える。
【0037】
イベント発生記録部112は、車両の走行中に発生したイベントを記録する。イベントは、例えば、バッテリ60の残容量が所定の基準値を上回ること、または、車両が、エンジン10を用いずバッテリ60からの電力供給によって車両を駆動させる電力走行モードへ変更したことである。図7Aは、第2の実施形態に係る走行中ルート記憶部200に記録される走行中ルートの一例を示す図である。図7Bは、第2の実施形態に係る走行中ルート記憶部200に記録される走行中ルートを模式的に表した図である。図7Aにおいて、計測起点がX8、Y9であるときにイベントが発生したこと及びイベントが発生した地点が示されている。図7Bにおいて、イベントが発生した地点が×で示されている。
【0038】
イベント発生ルート記録部114は、走行中ルート記憶部200に記憶されているルートがイベント発生を含むとき、走行中ルート記憶部200に記憶されているルートをイベント発生ルート記憶部204に記録する。
図8は、イベント発生ルート記憶部204に記憶されているイベント発生ルートの一例である。イベント発生ルートは、少なくとも1つのイベント発生を含む。また、イベント発生ルートには当該イベント発生地点で発生したイベントの回数が記録される。イベント発生ルートには、マッチングルートの数が記録されている。記録されるマッチングルートの数については後述する。
【0039】
バッテリ推定部116は、バッテリセンサ62から取得したデータに基づいて、バッテリ60の充電量を推定する。変換器制御部118は、第1変換器32、第2変換器34及びVCU40の切り替えを制御する。
【0040】
図9は、イベント発生ルート更新部120の更新方法を模式的に示した図である。イベント発生ルート更新部120は、イベント発生ルート記憶部204に記憶されている1つのイベント発生ルートについて、過去ルート記憶部202に記憶されているルートと一致するルート(マッチングルート)がいくつあるかをカウントする。つまり、イベント発生ルート更新部120が、イベント発生ルート記憶部204に記憶されている1つのルートに対して行う動作は、第1の実施形態における予定経路推定部106が走行中ルートに対して行う動作と同様である。イベント発生ルート更新部120は、該当するイベント発生ルートに、カウントしたマッチングルートの数を記録する。イベント発生ルート更新部120は全てのイベント発生ルートに同様にしてカウントしたマッチングルートの数を記録する。以上の動作をイベント発生ルート記憶部204の更新と呼ぶ。
過去ルート記憶部202に、過去ルートが当該過去ルートの走行回数と結び付けられて記録されているとき、イベント発生ルート更新部120は、イベント発生ルート記憶部204に記憶されている1つのイベント発生ルートについて、過去ルート記憶部202に記憶されているルートと一致するルートの走行回数をカウントする。
【0041】
イベント発生ルート更新部120は、定期的にイベント発生ルート記憶部204を更新する。例えば、イベント発生ルート更新部120は、新たに過去ルート記憶部202に過去ルートが所定の数記憶されたときに、イベント発生ルート記憶部204を更新する。
イベント発生ルート更新部120は、マッチングルートの数が0であるルートをイベント発生ルート記憶部204から削除する。これによりイベント発生ルート更新部120は、過去ルート記憶部202に含まれていない、つまり使われていないルートをイベント発生ルート記憶部204から削除する。これにより、後述する走行中ルートとの比較における負担を軽減し、イベント発生ルート記憶部204のメモリを節約することができる。
【0042】
図10は、第2の実施形態に係る予定経路推定部106の動作を模式的に示した図である。
第2の実施形態に係る予定経路推定部106は、第1の実施形態に係る予定経路推定部106と異なり、イベント発生ルートを使用する。走行中ルートの計測起点とイベント発生ルートのイベント発生地点を比較する。予定経路推定部106は、走行中ルートの計測起点とイベント発生ルートのイベント発生地点との間の距離が、所定の距離以内であるときに、走行中ルートの計測起点及び旋回量と当該イベント発生を含むイベント発生ルートの計測起点及び旋回量を比較する。このときは、図11に示す走行中ルートを模式的に表した図においては、イベント発生地点を中心とする所定の半径の円の中に計測起点が含まれているときである。
【0043】
予定経路推定部106は、走行中ルートの計測起点及び旋回量と当該イベント発生を含むイベント発生ルートの計測起点及び旋回量が一致しているときに、変換器制御部118が第1変換器32、第2変換器34及びVCU40の切り替えを制御する。例えば、当該イベントが、バッテリ60の残容量が所定の基準値を上回ることである場合、変換器制御部118は、バッテリ60が廃電するように第1変換器32、第2変換器34及びVCU40の切り替えを制御する。ここで廃電とは、電力を熱や車両の駆動エネルギー以外の運動エネルギーなどに変換して消費することで、バッテリ60の過充電を防ぐことをいう。廃電は、例えば、回生エネルギーでエンジン10を駆動させることにより行われてもよいし、その他の方法で行われてもよい。当該イベントが、車両が、エンジン10を用いずバッテリ60からの電力供給によって車両を駆動させる電力走行モードへ変更することである場合、バッテリ60が充電するように第1変換器32、第2変換器34及びVCU40の切り替えを制御する。
【0044】
第2の実施形態に係る制御装置50は、計測起点及び旋回量に基づき車両が走行する予定経路及び発生するイベントを推定することができる。そのため、地図情報がない場合であっても車両が走行する予定経路及び発生するイベントを推定することができる。
【0045】
〈他の実施形態〉
走行中ルートは、各メッシュにおける平均速度または走行距離を含んでもよい。
各メッシュのルートにおいて、距離が一定の値以下である場合、走行中ルート記録部104は当該ルートを走行中ルート記憶部200に記録しなくてもよい。また、走行中ルートの距離が一定の値以下である場合、過去ルート記録部110は走行中ルートを過去ルートとして過去ルート記憶部202に記録しなくてもよい。
【0046】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0047】
10 エンジン
12 第1モータ
14 ロックアップクラッチ
16 ギアボックス
18 第2モータ
20 ブレーキ装置
30 PCU
32 第1変換器
34 第2変換器
40 VCU
50 制御装置
60 バッテリ
62 バッテリセンサ
70 アクセル開度センサ
72 車速センサ
74 ブレーキ踏量センサ
80 位置情報取得部
90 旋回量取得部
100 出発地点特定部
102 計測起点設定部
104 走行中ルート記録部
106 予定経路推定部
108 車両軌跡推定部
110 過去ルート記録部
112 イベント発生記録部
114 イベント発生ルート記録部
116 バッテリ推定部
118 変換器制御部
120 イベント発生ルート更新部
200 走行中ルート記憶部
202 過去ルート記憶部
204 イベント発生ルート記憶部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11