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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156906
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04746 20160101AFI20221006BHJP
   H01M 8/249 20160101ALI20221006BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20221006BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20221006BHJP
【FI】
H01M8/04746
H01M8/249
H01M8/04537
H01M8/10 101
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060836
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山野 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】田村 卓也
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AB04
5H127AB14
5H127AB17
5H127AB29
5H127AC15
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA58
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127BB39
5H127CC07
5H127DB52
5H127DB69
5H127DC02
5H127DC22
5H127DC74
5H127DC76
(57)【要約】
【課題】無駄なガス供給を避けて発電効率を高めることができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】実施形態の燃料電池システムは、燃料電池スタックを複数備え、さらに、前記複数の燃料電池スタックに燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、前記複数の燃料電池スタックに酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、前記複数の燃料電池スタックを冷却するための冷媒を供給する冷媒供給手段と、各燃料電池スタックへの燃料ガス、酸化剤ガス、冷媒の供給流量を調整する流量調整手段と、前記複数の燃料電池スタックの発電状態を取得する発電状態取得手段と、前記発電状態取得手段が取得した前記発電状態に基づき、各燃料電池スタックへの前記供給流量を設定し、前記流量調整手段を制御する制御手段と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードとカソードを有し、前記アノードに燃料ガスが供給され、前記カソードに酸化剤ガスが供給されることで発電を行う燃料電池スタックを複数備え、さらに、
前記複数の燃料電池スタックが有する各アノードに前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、
前記複数の燃料電池スタックが有する各カソードに前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、
前記複数の燃料電池スタックを冷却するための冷媒を供給する冷媒供給手段と、
前記燃料ガス、前記酸化剤ガス、及び前記冷媒のうち、少なくとも何れか一つについて、各燃料電池スタックへの供給流量を調整する流量調整手段と、
前記複数の燃料電池スタックの発電状態を取得する発電状態取得手段と、
前記発電状態取得手段が取得した前記発電状態に基づき、前記各燃料電池スタックへの前記供給流量を設定し、前記流量調整手段を制御する制御手段と、
を備える、燃料電池システム。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記複数の燃料電池スタックの各々の発電効率を前記発電状態として取得し、
各燃料電池スタックにおける前記発電効率を相互に比較し、
前記発電効率が相対的に高い第1燃料電池スタックに対する前記供給流量が、
前記発電効率が相対的に低い第2燃料電池スタックに対する前記供給流量よりも、
多くなるように前記流量調整手段を制御する、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記制御手段は、第1段階、第2段階の順で前記流量調整手段を制御するものであり、
前記第1段階において、
前記制御手段は、外部から第1発電指示値を取得し、
前記第1発電指示値が予め任意に設定された所定値よりも低い場合、
前記複数の燃料電池スタックのうち、一部の燃料電池スタックに対する、前記燃料ガス、前記酸化剤ガス、及び前記冷媒の供給を行い、かつ、他部の燃料電池スタックに対する、前記燃料ガス、前記酸化剤ガス、及び前記冷媒の供給を停止するように、前記流量調整手段を制御し、その後、
前記第2段階において、
前記制御手段は、前記他部の燃料電池スタックを昇温するために、前記他部の燃料電池スタックに対する、前記冷媒の供給を行うように前記流量調整手段を制御する、
請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記外部から、前記所定値よりも高い発電量を要求する第2発電指示値を取得したことに基づいて、前記第1段階から前記第2段階へ移行するものである、
請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記外部から、前記第1発電指示値よりも高い発電量を要求する第3発電指示値を取得し、(前記第3発電指示値/前記第1発電指示値×100%)で算出される上昇率が、予め任意に設定された所定値よりも高いことに基づいて、前記第1段階から前記第2段階へ移行するものである、
請求項3に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1及び第2燃料電池スタックが並列に接続され、これらに対し、マニホールド配管で燃料ガス、酸化剤ガス、冷却媒体ガスを供給する燃料電池システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-5196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、燃料電池システムが有する複数の燃料電池スタックには、互いの発電性能や劣化度合いのばらつきがある。その原因は、製造時に許容される誤差であったり、製造後の使用頻度や使用環境の違いであったりする。このため、同じ仕様の燃料電池スタックを並列に配置し、これらに接続する配管径や長さを調整したうえで、燃料ガス及び酸化剤ガスを均等に供給したとしても、各燃料電池スタックにおける発電効率を同一にすることは困難である。このような燃料電池システムにおいて、発電効率(ガス供給量に対する発電出力)が低い燃料電池スタックに対して、過度の燃料ガス及び酸化剤ガスを供給しても無駄であり、燃料電池システム全体としての発電効率が低下する問題が生じる。
【0005】
本発明は、無駄なガス供給を避けて発電効率を高めることができる燃料電池システムの提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る燃料電池システムは以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る燃料電池システムは、アノードとカソードを有し、前記アノードに燃料ガスが供給され、前記カソードに酸化剤ガスが供給されることで発電を行う燃料電池スタックを複数備え(例えば、実施形態での第1燃料電池スタック11及び第2燃料電池スタック12の2つを備え)、さらに、前記複数の燃料電池スタックが有する各アノードに前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段(例えば、実施形態での燃料タンク13)と、前記複数の燃料電池スタックが有する各カソードに前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段(例えば、実施形態でのエアポンプ14)と、前記複数の燃料電池スタックを冷却するための冷媒を供給する冷媒供給手段(例えば、実施形態でのウォーターポンプ22)と、前記燃料ガス、前記酸化剤ガス、及び前記冷媒のうち、少なくとも何れか一つについて、各燃料電池スタックへの供給流量を調整する流量調整手段(例えば、実施形態での第1バルブ機構16、第2バルブ機構17、第3バルブ機構18、第4バルブ機構19)と、前記複数の燃料電池スタックの発電状態を取得する発電状態取得手段(例えば、実施形態での電圧計25)と、前記発電状態取得手段が取得した前記発電状態に基づき、前記各燃料電池スタックへの前記供給流量を設定し、前記流量調整手段を制御する制御手段(例えば、実施形態でのFC制御装置20)と、を備える。
【0007】
(2)上記(1)に記載の燃料電池システムにおいて、前記制御手段は、前記複数の燃料電池スタックの各々の発電効率を前記発電状態として取得し、各燃料電池スタックにおける前記発電効率を相互に比較し、前記発電効率が相対的に高い第1燃料電池スタックに対する前記供給流量が、前記発電効率が相対的に低い第2燃料電池スタックに対する前記供給流量よりも、多くなるように前記流量調整手段を制御するものであってもよい。
【0008】
(3)上記(1)又は上記(2)に記載の燃料電池システムにおいて、前記制御手段は、次の第1段階、第2段階の順で前記流量調整手段を制御するものであってもよい。
前記第1段階において、前記制御手段は、外部(例えば、実施形態での制御装置100)から第1発電指示値を取得し、前記第1発電指示値が予め任意に設定された所定値よりも低い場合、前記複数の燃料電池スタックのうち、一部の燃料電池スタック(例えば、実施形態での第1燃料電池スタック11)に対する、前記燃料ガス、前記酸化剤ガス、及び前記冷媒の供給を行い、かつ、他部の燃料電池スタック(例えば、実施形態での第2燃料電池スタック12)に対する、前記燃料ガス、前記酸化剤ガス、及び前記冷媒の供給を停止するように、前記流量調整手段を制御し、その後、前記第2段階において、前記制御手段は、前記他部の燃料電池スタックを昇温するために、前記他部の燃料電池スタックに対する、前記冷媒の供給を行うように前記流量調整手段を制御するものであってもよい。
【0009】
(4)上記(3)に記載の燃料電池システムにおいて、前記制御手段は、前記外部から、前記所定値よりも高い発電量を要求する第2発電指示値を取得したことに基づいて、前記第1段階から前記第2段階へ移行するものであってもよい。
【0010】
(5)上記(3)に記載の燃料電池システムにおいて、前記制御手段は、前記外部から、前記第1発電指示値よりも高い発電量を要求する第3発電指示値を取得し、(前記第3発電指示値/前記第1発電指示値×100%)で算出される上昇率が、予め任意に設定された所定値よりも高いことに基づいて、前記第1段階から前記第2段階へ移行するものであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
上記(1)によれば、各燃料電池スタックの発電性能や発電効率に応じて、各燃料電池スタックが発電可能な範囲で燃料ガス及び酸化剤ガスを供給することにより、無駄なガス供給を低減し、燃料電池システムの全体としての発電効率を高めることができる。
【0012】
上記(2)によれば、各燃料電池スタックの発電性能や発電効率の相違に応じて、各燃料電池スタックへ燃料ガス等を分配して供給することにより、無駄なガス供給を低減し、燃料電池システムの全体としての発電効率を高めることができる。
【0013】
上記(3)によれば、第1段階で発電停止して冷えた燃料電池スタックで発電を再開する前に、冷えた燃料電池スタックへ冷媒を供給することにより加温することができ、予め昇温された燃料電池スタックで発電を再開でき、発電を再開した初期の発電効率を高められるので、燃料電池システムの全体としての発電効率を高めることができる。
【0014】
上記(4)によれば、第2発電指示値の取得と第2段階への移行を関連付けて制御することができ、上記(3)と同様に燃料電池システムの全体としての発電効率を高めることができる。
【0015】
上記(5)によれば、第3発電指示値の取得と第2段階への移行を関連付けて制御することができ、上記(3)と同様に燃料電池システムの全体としての発電効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態の一例での燃料電池システムの構成を示す図。
図2】第1燃料電池スタック11と第2燃料電池スタック12への供給を、FC制御装置20が制御する様子を説明するため図。
図3】第2燃料電池スタック12への供給を停止するように、FC制御装置20が制御する様子を説明するための図。
図4】冷えた第2燃料電池スタック12へ冷媒を供給して加温するようにFC制御装置20が制御する様子を説明するための図。
図5】複数の燃料電池スタックにおける性能ばらつきに基づいて、燃料ガス等の分流比を制御する一連の処理の流れを示すフローチャートである。
図6】停止した燃料電池スタックにおける発電を再開する前に、冷媒の分流を制御する一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、実施形態での燃料電池システム10である。燃料電池システム10は、例えば車両に搭載することができる。車両は、燃料電池システム10の他に、例えば、蓄電装置、モーター、ラジエータ、冷媒タンク等の装置を備えてもよい。車両は、燃料電池システム10と、その他の装置を制御する制御装置100を備えてもよい。車両の制御装置100は、燃料電池システム10の制御装置(FC制御装置)20と相互に信号を送受信するものでもよい。
【0019】
燃料電池システム10は、第1燃料電池(FC)スタック11と、第2燃料電池(FC)スタック12と、燃料ガス供給手段の一例である燃料タンク13と、酸化剤ガス供給手段の一例であるエアポンプ14と、冷媒供給手段の一例であるFC冷却システム15と、流量調整手段の一例であるバルブ機構(すなわち第1バルブ機構16と、第2バルブ機構17と、第3バルブ機構18と、第4バルブ機構19)と、各燃料電池スタックの発電状態を取得する発電状態取得手段の一例である電圧計25と、制御手段の一例であるFC制御装置20とを備える。FC制御装置20は、燃料電池システム10の各構成部品に信号線で接続される。
【0020】
第1及び第2燃料電池スタック11,12は、例えば、固体高分子形燃料電池である。固体高分子形燃料電池は、例えば、積層された複数の燃料電池セルと、複数の燃料電池セルの積層体を挟み込む一対のエンドプレートとを備える。燃料電池セルは、電解質電極構造体と、電解質電極構造体を挟み込む一対のセパレータと備える。電解質電極構造体は、固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜を挟み込む燃料極及び酸素極とを備える。固体高分子電解質膜は、陽イオン交換膜等を備える。燃料極(アノード)は、アノード触媒及びガス拡散層等を備える。酸素極(カソード)は、カソード触媒及びガス拡散層等を備える。第1及び第2燃料電池スタック11,12は、燃料タンク13からアノードに供給される燃料ガスと、エアポンプ14からカソードに供給される酸素を含む空気等の酸化剤ガスとの触媒反応によって発電する。燃料電池スタックに供給されて使用されなかった余剰のガス成分等は、所定の流路を通して排気される。
【0021】
燃料タンク13は、第1バルブ機構16を介して第1及び第2燃料電池スタック11,12に接続されている。燃料タンク13の下流には必要に応じてインジェクター(INJ)が設けられる。燃料は、例えば水素である。
【0022】
第1バルブ機構16は、例えば、燃料タンク13と第1燃料電池スタック11との間でFC制御装置20の制御によって燃料の流量Q、圧力P等を切り替える制御弁と、第1燃料電池スタック11側から燃料タンク13への燃料の流通を禁止する逆止弁となどを備える。また、第1バルブ機構16は、例えば、燃料タンク13と第2燃料電池スタック12との間でFC制御装置20の制御によって燃料の流量Q、圧力P等を切り替える制御弁と、第2燃料電池スタック12側から燃料タンク13への燃料の流通を禁止する逆止弁となどを備える。
図示例の第1バルブ機構16は、分流可能なバルブ(例えば三方調節弁)を1つ以上備えており、FC制御装置20の制御によって、燃料タンク13から第1燃料電池スタック11へ分流する燃料の流量Q1及び圧力P1と、燃料タンク13から第2燃料電池スタック12へ分流する燃料の流量Q2及び圧力P2と、を個別に又は連動して任意に調整することができる。
【0023】
燃料タンク13と第1燃料電池スタック11を接続する流路、及び燃料タンク13と第2燃料電池スタック12を接続する流路には、流量センサ、温度センサ、圧力センサが任意の箇所に設置される。各流路における燃料の流量Q、圧力P、温度Tは、前記センサを介して、FC制御装置20へ通信される。これらのセンサは、各燃料電池スタックに設置されてもよいし、第1バルブ機構16に設置されてもよい。
【0024】
エアポンプ14は、第2バルブ機構17を介して第1及び第2燃料電池スタック11,12に接続されている。エアポンプ14によって、各燃料電池スタックに酸化剤ガスの一例である空気が供給される。
【0025】
第2バルブ機構17は、例えば、エアポンプ14と第1燃料電池スタック11との間でFC制御装置20の制御によって空気の流量Q、圧力P等を切り替える制御弁と、第1燃料電池スタック11側からエアポンプ14への空気の流通を禁止する逆止弁となどを備える。また、第2バルブ機構17は、例えば、エアポンプ14と第2燃料電池スタック12との間でFC制御装置20の制御によって空気の流量Q、圧力P等を切り替える制御弁と、第2燃料電池スタック12側からエアポンプ14への空気の流通を禁止する逆止弁となどを備える。
図示例の第2バルブ機構17は、分流可能なバルブ(例えば三方調節弁)を1つ以上備えており、FC制御装置20の制御によって、エアポンプ14から第1燃料電池スタック11へ分流する空気の流量Q3及び圧力P3と、エアポンプ14から第2燃料電池スタック12へ分流する空気の流量Q4及び圧力P4と、を個別に又は連動して任意に調整することができる。
【0026】
エアポンプ14と第1燃料電池スタック11を接続する流路、及びエアポンプ14と第2燃料電池スタック12を接続する流路には、流量センサ、圧力センサ、温度センサが任意の箇所に設置される。各流路における燃料の流量Q、圧力P、温度Tは、前記センサを介して、FC制御装置20へ通信される。これらのセンサは、各燃料電池スタックに設置されてもよいし、第2バルブ機構17に設置されてもよい。
【0027】
FC冷却システム15は、例えば、冷媒(熱媒体)の一例である水と、冷媒を加熱又は冷却する熱交換器の一例であるラジエータ21と、ラジエータ21と第1及び第2燃料電池スタック11,12との間で冷媒を循環させる循環流路と、循環流路において冷媒を循環させる動力の一例であるウォーターポンプ22となどを備える。第1及び第2燃料電池スタック11,12の温度よりも冷媒の温度が高い場合には、第1及び第2燃料電池スタック11,12が加熱され、逆に冷媒の温度の方が低い場合には、第1及び第2燃料電池スタック11,12が冷却される。
【0028】
ラジエータ21は、燃料電池システム10が有するラジエータでもよいし、燃料電池システム10を有する車両等が有するラジエータであってもよい。ラジエータ21の温度及びラジエータ21における冷媒の熱交換は、FC制御装置20によって制御されてもよいし、前記車両等が有する制御装置100によって制御されてもよい。ラジエータ21の温度は、例えば、図示しない熱源を利用して加温することができ、図示しないファンからの送風により降温することができる。
【0029】
第3バルブ機構18は、例えば、ラジエータ21と第1燃料電池スタック11との間でFC制御装置20の制御によって冷媒の流量Q、圧力P等を切り替える制御弁と、第1燃料電池スタック11側からウォーターポンプ22への冷媒の流通を禁止する逆止弁となどを備える。また、第3バルブ機構18は、例えば、ウォーターポンプ22と第2燃料電池スタック12との間でFC制御装置20の制御によって冷媒の流量Q、圧力P等を切り替える制御弁と、第2燃料電池スタック12側からウォーターポンプ22への冷媒の流通を禁止する逆止弁となどを備える。
図示例の第3バルブ機構18は、分流可能なバルブ(例えば三方調節弁)を1つ以上備えており、FC制御装置20の制御によって、ウォーターポンプ22から第1燃料電池スタック11へ分流する冷媒の流量Q5及び圧力P5と、ウォーターポンプ22から第2燃料電池スタック12へ分流する冷媒の流量Q6及び圧力P6と、を個別に又は連動して任意に調整することができる。
【0030】
冷媒の循環流路には、温度センサと、必要に応じて流量センサ、圧力センサとが任意の箇所に設置される。循環流路における冷媒の温度T、流量Q、圧力Pは、前記センサを介して、FC制御装置20へ通信される。これらのセンサは、各燃料電池スタックに設置されてもよいし、第3バルブ機構18に設置されてもよい。
【0031】
第4バルブ機構19は、エアポンプ14と第1及び第2燃料電池スタック11,12とを接続する流路において、第2バルブ機構17の上流側(すなわちエアポンプ14と第2バルブ機構17の間)に設置される。同時に、第4バルブ機構19は、エアポンプ14と排気手段の一例である排気管23とを接続する流路に設置される。
【0032】
第4バルブ機構19は、例えば、エアポンプ14と第2バルブ機構17との間でFC制御装置20の制御によって空気の流量Q、圧力P等を切り替える制御弁と、第2バルブ機構17側からエアポンプ14への空気の流通を禁止する逆止弁となどを備える。また、第4バルブ機構19は、例えば、エアポンプ14と排気管23との間でFC制御装置20の制御によって空気の流量Q、圧力P等を切り替える制御弁と、排気管23側からエアポンプ14への空気の流通を禁止する逆止弁となどを備える。
図示例の第4バルブ機構19は、分流可能なバルブ(例えば三方調節弁)を1つ以上備えており、FC制御装置20の制御によって、エアポンプ14から第2バルブ機構17へ分流する空気の流量Q7及び圧力P7と、エアポンプ14から排気管23へ分流する空気の流量Q8及び圧力P8と、を個別に又は連動して任意に調整することができる。
【0033】
FC制御装置20は、燃料電池システム10の動作を統合的に制御することができる。
FC制御装置20は、第1バルブ機構16と、第2バルブ機構17と、第3バルブ機構18と、第4バルブ機構19とを独立に制御することができる。
FC制御装置20は、各燃料電池スタックに設置された電圧計25等を介して、第1燃料電池スタック11の発電状態又は発電効率と、第2燃料電池スタック12の発電状態又は発電効率とを独立に取得することができる。
FC制御装置20は、各燃料電池スタックの発電状態等に基づき、各燃料電池スタックに対する燃料ガス、酸化剤ガス、及び冷媒の供給流量をそれぞれ独立に設定し、前記バルブ機構を介してそれぞれ独立に制御することができる。
【0034】
FC制御装置20は、例えば、CPUなどのプロセッサによって所定のプログラムが実行されることにより機能するソフトウェア機能部である。ソフトウェア機能部は、CPUなどのプロセッサ、プログラムを格納するROM、データを一時的に記憶するRAM及びタイマーなどの電子回路を備えるECU(Electronic Control Unit)である。FC制御装置20の少なくとも一部は、LSIなどの集積回路であってもよい。
【0035】
電圧計25は、各燃料電池スタックの発電状態を取得する手段の一例であり、例えば電流計に代えてもよい。電圧計25等の発電状態取得手段の設置箇所は特に制限されず、図示例では各燃料電池スタックに設置されている。
【0036】
FC制御装置20は、電圧計25を介して取得した第1及び第2燃料電池スタック11,12の発電状態に基づき、各燃料電池スタックに対する、燃料ガス、酸化剤ガス、及び冷媒の供給流量のうち、少なくとも何れか一つの供給流量を設定し、前記流量調整手段を制御する。
【0037】
FC制御装置20は、第1及び第2燃料電池スタック11,12の各々の発電効率を取得し、各燃料電池スタックにおける発電効率を相互に比較し、発電効率が相対的に高い第1燃料電池スタック11に対する供給流量が、発電効率が相対的に低い第2燃料電池スタック12に対する供給流量よりも、多くなるように前記バルブ機構を制御することができる。
この制御により、各燃料電池スタック11,12の発電効率に応じて適切な流量で供給することができ、燃料電池システム10の全体としての発電効率を高められる。
【0038】
図2に例示するように、第1燃料電池スタック11の発電効率が60%であり、第2燃料電池スタック12の発電効率が40%である場合、FC制御装置20は、第1バルブ機構16を制御し、燃料タンク13から供給される燃料ガスが、第2燃料電池スタック12よりも第1燃料電池スタック11の方へ多く流れるように分流する。具体的には、例えば、燃料タンク13から供給される流量100のうち、第1燃料電池スタック11に対して60、第2燃料電池スタックに対して40、の比率で分流(分配)することができる。
同様に、FC制御装置20は、第2バルブ機構17を制御し、エアポンプ14から供給される酸化剤ガスが、第2燃料電池スタック12よりも第1燃料電池スタック11の方へ多く流れるように分流する。
同様に、FC制御装置20は、第3バルブ機構18を制御し、ウォーターポンプ22から供給される冷媒が、第2燃料電池スタック12よりも第1燃料電池スタック11の方へ多く流れるように分流する。
【0039】
FC制御装置20は、第1段階、第2段階の順で前記バルブ機構を制御することができる。まず、第1段階において、FC制御装置20は、制御装置100から第1発電指示値を取得する。この第1発電指示値が予め任意に設定された所定値よりも低い場合、第1及び第2燃料電池スタック11,12のうち、第1燃料電池スタック11に対する、燃料ガス、酸化剤ガス、及び冷媒の供給を行い、かつ、第2燃料電池スタック12に対する、燃料ガス、酸化剤ガス、及び冷媒の供給を停止するように、前記バルブ機構を制御する。
その後、第2段階において、FC制御装置20は、第2燃料電池スタック12を昇温する(暖機する)ために、第2燃料電池スタック12に対する、前記冷媒の供給を行うように前記バルブ機構を制御する。
この制御により、発電停止時に冷えた第2燃料電池スタック12の発電を再開する前に、第2燃料電池スタック12を加温することができ、第2燃料電池スタック12及び燃料電池システム10の全体としての発電効率を高められる。
なお、第1発電指示値が所定値以上である場合、第1及び第2燃料電池スタック11,12の両方に対する前記供給を行い、両方で発電するように、前記バルブ機構を制御する。
【0040】
図3に、前記第1段階の制御を例示する。FC制御装置20は、第1及び第2燃料電池スタック11,12の各々の発電効率を取得し、各燃料電池スタックにおける発電効率を相互に比較する。制御装置100から取得した第1発電指示値を所定値と比較し、第1発電指示値が所定値よりも低いので、第1燃料電池スタック11の発電のみで要求を満たせると判定する。この判定に基づき、FC制御装置20は、第1燃料電池スタック11のみで発電し、第2燃料電池スタック12を停止するように前記バルブ機構を制御する。具体的には、FC制御装置20は、第1バルブ機構16を制御し、燃料タンク13から供給される燃料ガスが第1燃料電池スタック11のみに流れるようにする。同様に、FC制御装置20は、第2バルブ機構17を制御し、エアポンプ14から供給される酸化剤ガスが第1燃料電池スタック11のみに流れるようにする。同様に、FC制御装置20は、第3バルブ機構18を制御し、ウォーターポンプ22から供給される冷媒が第1燃料電池スタック11のみに流れるようにする。この制御により、第2燃料電池スタック12における発電は停止し、外気によって徐々に冷却され、第2燃料電池スタック12の温度が冷える。
【0041】
図4に、前記第2段階の制御を例示する。FC制御装置20は、制御装置100から第2発電指示値または第3発電指示値を取得し、第2燃料電池スタック12における発電を再開する前に、第3バルブ機構18を制御し、ウォーターポンプ22から供給される冷媒が第1燃料電池スタック11と第2燃料電池スタック12の両方に流れるように分流する。この際、FC制御装置20は、ウォーターポンプ22の出力を高めるように制御してもよい。分流された冷媒により、第2燃料電池スタック12は加温される。
【0042】
前記第2発電指示値は、前記所定値よりも高い発電量を要求するものであり得る。この場合、第2燃料電池スタック12における発電を再開することにより、その要求された高い発電量を供給することができる。
【0043】
前記第3発電指示値は、さらなる高い発電量の要求があることを予測させるものであり得る。例えば、FC制御装置20は、(前記第3発電指示値/前記第1発電指示値×100%)で算出される上昇率が、予め任意に設定された所定値よりも高いことに基づいて、さらなる高い発電量の要求が所定時間内にあると予測することができる。
【0044】
以下、燃料電池システム10のFC制御装置20又は制御装置100或いはコンピュータにより実行される処理の流れの一例についてフローチャートを用いて説明する。ここでは、燃料電池システム10及び制御装置100を備えた車両を例とする。
【0045】
[制御フロー:例1]
図5は、燃料電池システム10及び制御装置100を備えた車両により実行される一連の処理の流れを示すフローチャートである。制御装置100は、FC制御装置20に対し、任意の発電量を要求する。この要求に対して、まず、FC制御装置20は、各燃料電池スタックに対して所定の供給量で燃料ガス、酸化剤ガス及び必要に応じて冷媒を供給するように発電を指示する(ステップS100)。ここで発電指示は、各燃料電池スタックに対して均等に燃料ガス、酸化剤ガス及び冷媒を供給する指示を例とするが、均等でなくてもよい。
【0046】
次に、FC制御装置20は、各燃料電池スタックの電圧計25を介して、各燃料電池スタックにおける発電状態を取得する(ステップS101)。ここで、第1燃料電池スタック11の発電効率は60%であり、第2燃料電池スタック12の発電効率は40%である場合を例とする。なお、発電効率100%は、予め任意に設定された閾値である。閾値は、例えば、出荷時の燃料電池スタックに燃料ガス及び酸化剤ガスを大過剰に供給した場合における最大発電量(つまり、発電使用により劣化する前の最大効率)とすることができる。
【0047】
続いて、FC制御装置20は、取得した各燃料電池スタックの発電効率を相互に比較し、その結果に基づき、各燃料電池スタックにおける発電性能のばらつきを推定する(ステップS102)。例えば、各燃料電池スタックに均等に燃料ガス、酸化剤ガス及び冷媒を供給している場合、各燃料電池スタックの発電効率が同等であれば、各燃料電池スタックの発電性能にばらつきは無いと判定する。各燃料電池スタックの発電効率に差があれば、各燃料電池スタックの発電性能にばらつきが有ると判定する。さらに、例えば、発電効率の差が発電性能の差であると判定する。
【0048】
その後、FC制御装置20は、各燃料電池スタックの発電状態又は発電性能のばらつきに基づき、燃料ガス、酸化剤ガス及び冷媒のうち少なくとも何れか一つについて、各燃料電池スタックへの供給流量を設定する(ステップS103)。例えば、発電効率が相対的に高い第1燃料電池スタックに対する前記供給流量が、発電効率が相対的に低い第2燃料電池スタックに対する前記供給流量よりも多くなるように設定する。換言すれば、発電性能が相対的に高い第1燃料電池スタックに対する前記供給流量が、発電性能が相対的に低い第2燃料電池スタックに対する前記供給流量よりも多くなるように設定する。また、設定した供給流量になるように、第1燃料電池スタック11と第2燃料電池スタック12に分流する比率(分流比)を設定する。上記のステップS101で取得した発電効率60%:40%の例については、例えば、第1燃料電池スタック11に対する供給流量を60%に設定し、第2燃料電池スタック12に対する供給流量を40%に設定してもよい。ここで、供給流量100%は、燃料タンク13が供給する燃料ガスの合計量、エアポンプ14が供給する酸化剤ガスの合計量、又はウォーターポンプ22が供給する冷媒の合計量である。
【0049】
最後に、FC制御装置20は、上記のステップS103の設定に基づき、流量調整手段である、第1バルブ機構16、第2バルブ機構17、第3バルブ機構18、及び第4バルブ機構19のうち少なくとも1つに分流比を指示し、分流を制御する(ステップS104)。この際、FC制御装置20は、各流路に設置されている流量センサ、圧力センサ、温度センサから流量、圧力、温度を取得し、分流前後の変化を取得する。
【0050】
[制御フロー:例2]
図6は、燃料電池システム10及び制御装置100を備えた車両により実行される一連の処理の流れを示すフローチャートである。まず、制御装置100は、FC制御装置20に対して、任意の発電量を指示値として示し、発電を指示する(ステップS200)。任意の発電量は、例えば、車両のモーターが要求する発電量とすることができる。
【0051】
FC制御装置20は、指示値が所定値未満であるか否かを判定する(ステップS201)。所定値は、例えば、第1燃料電池スタック11に過剰の燃料ガス及び酸化剤ガスを供給したときの発電量とすることができる。
FC制御装置20は、指示値が所定値未満であると判定した場合、第1燃料電池スタック11だけで発電し、第2燃料電池スタック12を停止するように、前記流量調整手段を制御し、第1燃料電池スタック11に対しては、燃料ガス、酸化剤ガス、及び必要に応じて冷媒を供給し、第2燃料電池スタック12に対してはこれらの供給を停止する。例えば、第1燃料電池スタック11に対する供給流量を100%に設定し、第2燃料電池スタック12に対する供給流量を0%に設定して、前記流量調整手段を制御する(ステップS202)。ここで、供給流量100%は、燃料タンク13が供給する燃料ガスの合計量、エアポンプ14が供給する酸化剤ガスの合計量、又はウォーターポンプ22が供給する冷媒の合計量である。
【0052】
FC制御装置20は、第2燃料電池スタック12が停止している間、所定時間に又は所定時間毎に、温度センサ26を介して第2燃料電池スタック12の温度tを取得し、温度tが所定値未満であるか否かを判定する(ステップS203)。所定値は、例えば、第2燃料電池スタック12の発電効率が良好となる温度範囲の下限値とすることができる。
FC制御装置20は、温度tが所定値未満でない(第2燃料電池スタックが冷えてない)と判定した場合、所定時間経過後に再び、第2燃料電池スタック12の温度tを取得し、温度tが所定値未満であるか否かを判定する(ステップS203)。
一方、FC制御装置20は、温度tが所定値未満であると判定した場合、制御装置100から所定時間毎に取得される発電量の指示値の上昇率が、所定値を超えるか否かを判定する(ステップS204)。指示値の上昇率は、例えば、ステップS201における指示値に対するステップS204における指示値の百分率として算出される。所定値は予め任意に設定した値とすることができる。
FC制御装置20は、上昇率が所定値を超えないと判定した場合、所定時間経過後に再び、制御装置100から取得される発電量の指示値の上昇率が、所定値を超えるか否かを判定する(ステップS204)。
一方、FC制御装置20は、上昇率が所定値を超えると判定した場合、第2燃料電池スタック12に冷媒が供給されるように、第3バルブ機構18を制御する。例えば、第2燃料電池スタック12に対する冷媒の供給流量が40%となるように分流させる(ステップS205)。
【0053】
ステップS205の処理により、第2燃料電池スタック12は予め供給された冷媒によって暖機され、その後に燃料ガス及び酸化剤ガスが供給されたときの発電効率を高めることができる。第2燃料電池スタック12に対する冷媒の供給流量は、外気温が所定温度よりも低い場合にはより多くすることが好ましい。また、第2燃料電池スタック12に冷媒を分流する際には、ウォーターポンプ22の出力を高めて、第1燃料電池スタック11に対する冷媒の供給圧力が低下しないように制御することが好ましい。
【0054】
以上のステップS200~S205の処理により、制御装置100からの発電指示値が小さい間は、第1燃料電池スタック11のみで発電し、第2燃料電池スタック12の発電を停止し、第2燃料電池スタック12の劣化や燃料ガス、酸化剤ガス及び冷媒の無駄な供給を抑制することができる。また、制御装置100からの発電指示値が所定の上昇率を超えた段階で、発電停止中に冷えてしまった第2燃料電池スタック12を暖機することにより、第1燃料電池スタック11のみの発電では足りず、第2燃料電池スタック12の発電を開始したときの発電効率を高めることができる。
【0055】
また、ステップS201の処理において、FC制御装置20は、指示値が所定値以上であると判定した場合、第1燃料電池スタック11だけでなく、第2燃料電池スタック12でも発電するように、前記流量調整手段を制御し、両方の燃料電池スタックへ燃料ガス、酸化剤ガス、及び必要に応じて冷媒を供給することにより、両方の燃料電池スタックで発電する(ステップS206)。
以上により、本フローチャートの処理が終了する。この処理によれば、適量の燃料ガス、酸化剤ガス及び冷媒を適時に、第1燃料電池スタック11及び第2燃料電池スタック12に供給するので、第2燃料電池スタック12の発電が不要なときには発電を停止でき、再稼働が必要になる直前に暖機して発電効率を高めることができる。
【0056】
なお、FC制御装置20及び制御装置100のそれぞれは、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPU等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めFC制御装置20又は制御装置100のHDDやフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることでFC制御装置20又は制御装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0057】
上記実施形態は、以下のように表現することができる。
アノードとカソードによって発電する複数の燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックに燃料ガスを供給する燃料供給手段と、前記燃料電池スタックに酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、前記燃料電池スタックに冷媒を供給する冷媒供給手段と、前記燃料ガス、酸化剤ガス及び冷媒のうち少なくとも1つについて前記燃料電池スタックの各々に対する供給の流量を制御する流量調整手段と、プログラムを記憶した記憶装置と、ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、前記流量調整手段を制御し、所定の発電量を得るために稼働する所定数の燃料電池スタックに対して、各燃料電池スタックの発電効率の高低に応じて、前記供給の流量の分配を行うように構成されている制御システム。
また、前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、前記流量調整手段を制御し、所定の発電量を得るために稼働する所定数の燃料電池スタックに対する前記供給を行い、それ以外の余剰の燃料電池に対する前記供給を停止した後、所定の発電量が増える傾向を検知した場合、発電停止していた燃料電池スタックに対して冷媒を供給し、予め暖機するように構成されている制御システム。
【0058】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
10…燃料電池システム、11…第1燃料電池スタック、12…第2燃料電池スタック、13…燃料タンク、14…エアポンプ、15…FC冷却システム、16…第1バルブ機構、17…第2バルブ機構、18…第3バルブ機構、19…第4バルブ機構、20…FC制御装置、21…ラジエータ、22…ウォーターポンプ、23…排気管、25…電圧計、26…温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6