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特開2022-156907色設定プログラム、色設定方法、および色設定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156907
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】色設定プログラム、色設定方法、および色設定装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20221006BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20221006BHJP
   H04N 1/40 20060101ALI20221006BHJP
   B41J 2/525 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H04N1/60 160
H04N1/60 020
G06T1/00 510
H04N1/40
B41J2/525
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060843
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100213687
【弁理士】
【氏名又は名称】平松 大輝
(72)【発明者】
【氏名】森川 彰太
【テーマコード(参考)】
2C262
5B057
5C077
5C079
【Fターム(参考)】
2C262AA02
2C262AA05
2C262AA24
2C262AC01
2C262AC02
2C262BC01
2C262CA10
5B057AA11
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE17
5B057CE18
5B057CH16
5B057CH18
5B057DA15
5B057DA16
5B057DC25
5C077MP08
5C077PP32
5C077PP33
5C077PP36
5C077PP37
5C077PQ08
5C077TT02
5C077TT05
5C079HB01
5C079HB03
5C079HB08
5C079KA15
5C079LA02
5C079LA31
5C079LB02
5C079NA03
5C079PA03
(57)【要約】
【課題】印刷色が指定色に近づく設定の選択肢をユーザに提示できる色設定プログラム、色設定方法、および色設定装置を提供する。
【解決手段】色設定装置の制御部は指定色を取得する(S12)。制御部は指定色に基づくデバイス非依存色が、プリンタの第一印刷設定に基づく第一色域内に存在するかを判断する(S17)。指定色に基づくデバイス非依存色が第一印刷設定に基づく第一色域内に存在しないと判断された場合(S17:NO)、制御部は第二印刷設定を表示する(S22)。第二印刷設定は第一印刷設定とは異なるプリンタの印刷設定である。指定色に基づくデバイス非依存色と第二印刷設定に基づく第二色域との間の距離は、指定色に基づくデバイス非依存色と第一印刷設定に基づく第一色域との間の距離よりも小さい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
指定色を取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって取得された前記指定色に基づくデバイス非依存色が、プリンタの第一印刷設定に基づく第一色域内に存在するかを判断する判断ステップと、
前記判断ステップによって前記デバイス非依存色が前記第一色域内に存在しないと判断された場合、前記第一印刷設定とは異なる前記プリンタの第二印刷設定であって、前記デバイス非依存色と前記第二印刷設定に基づく第二色域との間の距離が前記デバイス非依存色と前記第一色域との間の距離よりも小さい前記第二印刷設定を表示する表示ステップと
を実行させる色設定プログラム。
【請求項2】
前記判断ステップは、前記プリンタの制御に関する印刷制御設定、前記プリンタによる印刷が行われる印刷媒体に関する印刷媒体設定、および前記プリンタによる印刷で使用されるインクに関するインク設定の少なくともいずれかを含む前記第一印刷設定に基づいて判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の色設定プログラム。
【請求項3】
前記判断ステップは、前記プリンタによるカラーインクの塗布よりも前に行われる前処理、および前記プリンタによるカラーインクの塗布よりも後に行われる後処理の少なくとも一方の処理条件を含む前記第一印刷設定に基づいて判断する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の色設定プログラム。
【請求項4】
前記判断ステップは、前記前処理の処理条件を含む前記第一印刷設定に基づいて判断し、
前記表示ステップは、前記前処理の処理条件として、前記プリンタによる下地液の塗布を行う設定を含む前記第二印刷設定を表示する
ことを特徴とする請求項3に記載の色設定プログラム。
【請求項5】
前記表示ステップは、前記前処理の処理条件として、前記プリンタによって前記下地液として塗布される下地インクの量を増やす設定を含む前記第二印刷設定を表示する
ことを特徴とする請求項4に記載の色設定プログラム。
【請求項6】
前記表示ステップは、前記前処理の処理条件として、前記プリンタによって前記下地液として塗布される前処理剤の量を増やす設定を含む前記第二印刷設定を表示する
ことを特徴とする請求項4に記載の色設定プログラム。
【請求項7】
指定色を取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって取得された前記指定色に基づくデバイス非依存色が、プリンタの第一印刷設定に基づく第一色域内に存在するかを判断する判断ステップと、
前記判断ステップによって前記デバイス非依存色が前記第一色域内に存在しないと判断された場合、前記第一印刷設定とは異なる前記プリンタの第二印刷設定であって、前記デバイス非依存色と前記第二印刷設定に基づく第二色域との間の距離が前記デバイス非依存色と前記第一色域との間の距離よりも小さい前記第二印刷設定を表示する表示ステップと
を備えたことを特徴とする色設定方法。
【請求項8】
制御部を備え、
前記制御部は、
指定色を取得する取得処理と、
前記取得処理によって取得された前記指定色に基づくデバイス非依存色が、プリンタの第一印刷設定に基づく第一色域内に存在するかを判断する判断処理と、
前記判断処理によって前記デバイス非依存色が前記第一色域内に存在しないと判断された場合、前記第一印刷設定とは異なる前記プリンタの第二印刷設定であって、前記デバイス非依存色と前記第二印刷設定に基づく第二色域との間の距離が前記デバイス非依存色と前記第一色域との間の距離よりも小さい前記第二印刷設定を表示する表示処理と
を実行することを特徴とする色設定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色設定プログラム、色設定方法、および色設定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の画像処理方法では、編集装置は指定色を取得する。編集装置は、指定色に基づくデバイス非依存色がプリンタの色域内に存在するかを判断する。指定色に基づくデバイス非依存色がプリンタの色域外に存在する場合、編集装置は指定色に基づくデバイス非依存色をプリンタの色域内の色に変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-270517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記画像処理方法では、指定色に基づくデバイス非依存色がプリンタの色域外に存在する場合、プリンタは編集装置によって変更された色で印刷する。このため、印刷色が指定色から比較的遠い色となる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、印刷色が指定色に近づく設定の選択肢をユーザに提示できる色設定プログラム、色設定方法、および色設定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係る色設定プログラムは、コンピュータに、指定色を取得する取得ステップと、前記取得ステップによって取得された前記指定色に基づくデバイス非依存色が、プリンタの第一印刷設定に基づく第一色域内に存在するかを判断する判断ステップと、前記判断ステップによって前記デバイス非依存色が前記第一色域内に存在しないと判断された場合、前記第一印刷設定とは異なる前記プリンタの第二印刷設定であって、前記デバイス非依存色と前記第二印刷設定に基づく第二色域との間の距離が前記デバイス非依存色と前記第一色域との間の距離よりも小さい前記第二印刷設定を表示する表示ステップとを実行させる。
【0007】
第一態様によれば、指定色に基づくデバイス非依存色と第二印刷設定に基づく第二色域との間の距離は、指定色に基づくデバイス非依存色と第一印刷設定に基づく第一色域との間の距離よりも小さい。このため、プリンタによる印刷が第二印刷設定で行われる場合、プリンタによる印刷が第一印刷設定で行われる場合よりもプリンタによる印刷色と指定色の差異が小さくなる。よって、色設定プログラムは、第二印刷設定を表示することで、印刷色が指定色に近づく印刷設定の選択肢をユーザに提示できる。
【0008】
前記判断ステップは、前記プリンタの制御に関する印刷制御設定、前記プリンタによる印刷が行われる印刷媒体に関する印刷媒体設定、および前記プリンタによる印刷で使用されるインクに関するインク設定の少なくともいずれかを含む前記第一印刷設定に基づいて判断してもよい。
【0009】
印刷制御設定、印刷媒体設定、およびインク設定は、それぞれ、印刷設定に基づく色域の大きさおよび形状に影響する可能性がある。色設定プログラムは、印刷制御設定、印刷媒体設定、およびインク設定の少なくともいずれかに基づいて、指定色に基づくデバイス非依存色が第一印刷設定に基づく第一色域内に存在するかを判断する。すなわち、色設定プログラムは、印刷設定に基づく色域の大きさおよび形状に影響する可能性がある設定に基づいて、指定色に基づくデバイス非依存色が第一印刷設定に基づく第一色域内に存在するかを判断できる。
【0010】
前記判断ステップは、前記プリンタによるカラーインクの塗布よりも前に行われる前処理、および前記プリンタによるカラーインクの塗布よりも後に行われる後処理の少なくとも一方の処理条件を含む前記第一印刷設定に基づいて判断してもよい。
【0011】
前処理の処理条件と後処理の処理条件は、それぞれ、印刷設定に基づく色域の大きさおよび形状に影響する可能性がある。色設定プログラムは、前処理および後処理の少なくとも一方の処理条件に基づいて、指定色に基づくデバイス非依存色が第一印刷設定に基づく第一色域内に存在するかを判断する。すなわち、色設定プログラムは、印刷設定に基づく色域の大きさおよび形状に影響する可能性がある設定に基づいて、デバイス非依存色が第一印刷設定に基づく第一色域内に存在するかを判断できる。
【0012】
前記判断ステップは、前記前処理の処理条件を含む前記第一印刷設定に基づいて判断し、前記表示ステップは、前記前処理の処理条件として、前記プリンタによる下地液の塗布を行う設定を含む前記第二印刷設定を表示してもよい。
【0013】
プリンタによる下地液の塗布が行われると、指定色に基づくデバイス非依存色と印刷設定に基づく色域との間の距離が小さくなりやすい。よって、色設定プログラムは、下地液の塗布を行う設定を表示することで、印刷色が指定色に近づく印刷設定の選択肢をユーザに提示できる。
【0014】
前記表示ステップは、前記前処理の処理条件として、前記プリンタによって前記下地液として塗布される下地インクの量を増やす設定を含む前記第二印刷設定を表示してもよい。
【0015】
下地インクの量が増えると、指定色に基づくデバイス非依存色と印刷設定に基づく色域との間の距離が小さくなりやすい。よって、色設定プログラムは、下地インクの量を増やす設定を表示することで、印刷色が指定色に近づく印刷設定の選択肢をユーザに提示できる。
【0016】
前記表示ステップは、前記前処理の処理条件として、前記プリンタによって前記下地液として塗布される前処理剤の量を増やす設定を含む前記第二印刷設定を表示してもよい。
【0017】
前処理剤の量が増えると、指定色に基づくデバイス非依存色と印刷設定に基づく色域との間の距離が小さくなりやすい。よって、色設定プログラムは、前処理剤の量を増やす設定を表示することで、印刷色が指定色に近づく印刷設定の選択肢をユーザに提示できる。
【0018】
本発明の第二態様に係る色設定方法は、指定色を取得する取得ステップと、前記取得ステップによって取得された前記指定色に基づくデバイス非依存色が、プリンタの第一印刷設定に基づく第一色域内に存在するかを判断する判断ステップと、前記判断ステップによって前記デバイス非依存色が前記第一色域内に存在しないと判断された場合、前記第一印刷設定とは異なる前記プリンタの第二印刷設定であって、前記デバイス非依存色と前記第二印刷設定に基づく第二色域との間の距離が前記デバイス非依存色と前記第一色域との間の距離よりも小さい前記第二印刷設定を表示する表示ステップとを備えたことを特徴とする。
【0019】
第二態様は第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0020】
本発明の第三態様に係る色設定装置は、制御部を備え、前記制御部は、指定色を取得する取得処理と、前記取得処理によって取得された前記指定色に基づくデバイス非依存色が、プリンタの第一印刷設定に基づく第一色域内に存在するかを判断する判断処理と、前記判断処理によって前記デバイス非依存色が前記第一色域内に存在しないと判断された場合、前記第一印刷設定とは異なる前記プリンタの第二印刷設定であって、前記デバイス非依存色と前記第二印刷設定に基づく第二色域との間の距離が前記デバイス非依存色と前記第一色域との間の距離よりも小さい前記第二印刷設定を表示する表示処理とを実行することを特徴とする。
【0021】
第三態様は第一態様と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
図2】メイン処理のフローチャートである。
図3】色設定画面30の一例を示す図である。
図4】色設定画面30の一例を示す図である。
図5】色域テーブルの一例を示す概念図である。
図6】印刷設定に基づく色域を示す図である。
図7】色域グラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照して、本発明の一実施形態に係るプリンタ1を説明する。図1に示すプリンタ1は、後述する操作部28に対する入力操作に応じて、印刷する色を設定できる。プリンタ1は、設定された色に基づいて印刷データを作成する。プリンタ1は、作成した印刷データに基づいて印刷媒体に印刷を行う。印刷媒体は布帛、紙等であり、例えばTシャツである。
【0024】
以下では、互いに直交する上下方向、主走査方向、および副走査方向を使用する。白(W)のインクを「白インク」という。黒(K)、イエロー(Y)、シアン(C)、およびマゼンタ(M)のインクを総称する場合、「カラーインク」という。白インクとカラーインクとを総称する場合、「インク」という。
【0025】
プリンタ1は、例えばインクジェットプリンタであり、プラテン3、キャリッジ4、前処理ヘッド5、下地ヘッド6、カラーヘッド7、および後処理ヘッド8を備える。プラテン3は副走査駆動部22の駆動によって副走査方向に移動可能であり、印刷媒体を支持する。キャリッジ4はプラテン3の上方に設けられ、主走査駆動部21の駆動によって主走査方向に移動可能である。
【0026】
前処理ヘッド5、下地ヘッド6、カラーヘッド7、および後処理ヘッド8は、キャリッジ4に搭載される。前処理ヘッド5は、ヘッド駆動部23の駆動によってプラテン3上の印刷媒体に前処理剤を吐出する。前処理剤は下地液の一種であり、例えばベースコート剤である。前処理剤は後述の第二前処理の前に印刷媒体に塗布され、印刷媒体への下地の定着およびカラーインクの発色を向上させる。以下では、プリンタ1が印刷媒体に前処理剤を塗布する処理を「第一前処理」という。
【0027】
下地ヘッド6は、ヘッド駆動部24の駆動によってプラテン3上の印刷媒体に下地インクを吐出する。下地インクは下地液の一種であり、カラーインクの発色を向上させるため、後述の印刷処理の前に下地を印刷媒体に形成する。下地インクは特定の色のインクに限定されないが、例えば白インクである。以下では、プリンタ1が下地インクにより下地を印刷媒体に形成する処理を「第二前処理」という。なお、白インクは後述の印刷処理においても使用されてよい。
【0028】
カラーヘッド7は、ヘッド駆動部25の駆動によってプラテン3上の印刷媒体にカラーインクを吐出する。カラーインクは、印刷媒体に直接または下地の上に吐出されて印刷媒体に印刷画像を形成する。以下では、プリンタ1がカラーインクにより印刷画像を印刷媒体に印刷する処理を「印刷処理」という。
【0029】
後処理ヘッド8は、ヘッド駆動部26の駆動によってプラテン3上の印刷媒体に後処理剤を吐出する。後処理剤はコーティング剤であり、印刷処理の後に印刷画像上に塗布される。後処理剤は印刷画像を保護し、印刷画像の光沢性を向上させる。前処理剤および後処理剤は例えばカチオン系高分子、多価金属塩を含む水溶液である。以下では、プリンタ1が印刷媒体に後処理剤を塗布する処理を「後処理」という。
【0030】
上記プリンタ1の構成によれば、プリンタ1はキャリッジ4を主走査方向に搬送し、プラテン3を副走査方向に搬送することで、各ヘッドをプラテン3上の印刷媒体に対して主走査方向と副走査方向に相対移動させる。プリンタ1は各ヘッドをプラテン3上の印刷媒体に対して主走査方向と副走査方向に相対移動させながら、各ヘッドから前処理剤、下地インク、カラーインク、または後処理剤を吐出することで、第一前処理、第二前処理、印刷処理、または後処理を行う。
【0031】
プリンタ1は制御基板10を備える。制御基板10にはCPU11、ROM12、RAM13、およびフラッシュメモリ14が設けられる。CPU11はROM12、RAM13、およびフラッシュメモリ14と電気的に接続し、プリンタ1の制御を司る。ROM12は、CPU11がプリンタ1の動作を制御するための制御プログラム、各種プログラムの実行時にCPU11が必要な情報等を記憶する。RAM13は、制御プログラムで用いられる各種データ等を一時的に記憶する。フラッシュメモリ14は、不揮発性であり、後述の印刷設定、色域テーブル、印刷媒体に印刷を行うための印刷データ等を記憶する。
【0032】
CPU11には主走査駆動部21、副走査駆動部22、ヘッド駆動部23~26、ディスプレイ27、および操作部28が電気的に接続される。主走査駆動部21、副走査駆動部22、ヘッド駆動部23~26はCPU11による制御によって駆動する。
【0033】
ディスプレイ27はCPU11による制御によって各種情報を表示し、例えば後述の色設定画面30(図3図4参照)を表示する。操作部28はタッチパネル、キーボード等である。操作部28はユーザによって操作され、操作に応じた信号をCPU11に出力する。ユーザは操作部28を操作することで、例えば色設定を行うための色設定指示および印刷を開始するための印刷指示をプリンタ1に入力できる。
【0034】
印刷設定の例を説明する。印刷設定はプリンタ1の印刷に関する設定である。本実施形態の印刷設定は印刷制御設定と印刷媒体設定とインク設定の三種類に分類される。印刷制御設定はプリンタ1の制御に関する。プリンタ1は印刷制御設定に基づいて印刷を制御する。
【0035】
印刷制御設定は、例えば印刷画像の解像度、第一前処理の処理条件、第二前処理の処理条件、後処理の処理条件、印刷方向、画質調整値、インタレース、印刷時間、黒インクの濃度、プリンタ1の機種、プリンタ1内の温度、プリンタ1内の湿度、プリンタ1内の照明環境、プリンタ1による印刷コスト、および出力プロファイルの各設定を含む。例えば印刷画像の解像度はカラーインクを吐出する場合の解像度である。
【0036】
プリンタ1は第一前処理の処理条件として、例えば第一前処理を行うか否かを設定できる。第一前処理を行う場合には、プリンタ1は第一前処理の処理条件として、例えば第一前処理の方法、前処理剤の量、および前処理剤の濃度を設定できる。さらに、プリンタ1は前処理剤を吐出する場合の解像度を設定してもよい。
【0037】
プリンタ1は第二前処理の処理条件として、例えば第二前処理を行うか否かを設定できる。第二前処理を行う場合には、プリンタ1は例えば下地インクの量、下地インクの色の種類を設定できる。さらに、プリンタ1は下地インクを吐出する場合の解像度を設定してもよい。プリンタ1は後処理の処理条件として、例えば後処理を行うか否かを設定できる。後処理を行う場合には、プリンタ1は後処理の処理条件として、例えば後処理の方法、後処理剤の量、および後処理剤の濃度を設定できる。さらに、プリンタ1は後処理剤を吐出する場合の解像度を設定してもよい。
【0038】
印刷媒体設定はプリンタ1による印刷が行われる印刷媒体に関する。プリンタ1による印刷では、印刷媒体設定に基づく印刷媒体が使用される。印刷媒体設定は、例えば印刷媒体の色と印刷媒体の材質の各設定を含む。
【0039】
インク設定はプリンタ1による印刷で使用されるインクに関する。プリンタ1による印刷では、インク設定に基づくインクが使用される。インク設定は、例えば印刷処理で使用されるインクの色の種類とインクの量の各設定を含む。
【0040】
本実施形態では、プリンタ1による印刷時間は例えば印刷処理の開始から終了までの時間に加え、第一前処理、第二前処理、後処理にかかる時間も含む。プリンタ1は、例えば第一前処理、第二前処理、後処理の一部または全部を行わないように印刷設定を変更することで、プリンタ1による印刷時間を短縮化できる。
【0041】
プリンタ1による印刷コストは例えば印刷処理にかかるコストに加え、第一前処理、第二前処理、後処理にかかるコストも含む。コストは例えば前処理剤、インク、後処理剤等の消耗品にかかるコストと各処理でかかる消費電力のコストを含む。プリンタ1は前処理剤の量、下地インクの量、後処理剤の量を減らすように印刷設定を変更することで、プリンタ1による印刷コストを低減できる。
【0042】
プリンタ1の色域を説明する。プリンタ1の色域はプリンタ1が印刷再現可能な色範囲であり、プリンタ1の印刷設定の変更に伴って変化する場合がある。なお、「色域の変化」とは、色域の形状が変化する場合、色域の大きさが変化する場合の両方を含む。以下では、プリンタ1の色域を「印刷設定に基づく色域」という。印刷設定に基づく色域は、例えばLCh色空間において、明度(L)、彩度(C)、色相(h)で規定される。
【0043】
例えば、印刷設定に基づく色域は、印刷制御設定が変更されると、明度、彩度、色相の一部または全部において、広がり、または狭まる場合がある。より具体的には、第一前処理が行われる場合には、カラーインクの発色が向上するので、第一前処理が行われない場合に比べて明度、彩度、色相が広がりやすい。第一前処理において前処理剤の量が増えると色相は広がる。第二前処理が行われる場合には、カラーインクの発色が向上するので、第二前処理が行われない場合に比べて明度、彩度、色相が広がりやすい。第二前処理において下地インクの量が増えると明度、彩度、色相が広がりやすい。後処理が行われる場合には、光沢性が上がる分、後処理が行われない場合に比べて明度が上がりやすい。後処理において後処理剤の量が増えると明度は上がりやすい。
【0044】
印刷設定に基づく色域は、印刷媒体設定が変更されると、明度、彩度、色相の一部または全部において、広がり、または狭まる場合がある。より具体的には、発色性の比較的高い印刷媒体が使用される場合には、発色性の比較的低い印刷媒体が使用される場合に比べて明度、彩度、色相が広がりやすい。
【0045】
印刷設定に基づく色域は、インク設定が変更されると、明度、彩度、色相の一部または全部において、広がり、または狭まる場合がある。より具体的には、インクの色の種類が増えると、明度、彩度、色相が広がりやすい。
【0046】
図2図6を参照し、メイン処理を説明する。例えばユーザは図1に示す操作部28を操作し、色設定指示をプリンタ1に入力する。色設定指示が入力されると、CPU11は、ROM12から制御プログラムを読み出して動作することで、メイン処理を実行する。
【0047】
図2に示すように、メイン処理が開始されると、CPU11は、図3図4に示す色設定画面30を図1に示すディスプレイ27に表示する(S10)。ユーザは図1に示す操作部28を操作し、色設定画面30において色設定を行う。
【0048】
図3図4に示すように、色設定画面30の上部には印刷設定選択領域31が設けられる。印刷設定選択領域31はプリンタ1の印刷設定の選択肢を示し、例えば下地設定選択領域311と解像度選択領域312を含む。
【0049】
下地設定選択領域311は第二前処理の処理条件の選択肢を示し、例えば「下地なし」の選択肢と「下地少量」の選択肢と「下地多量」の選択肢を示す。「下地なし」の選択肢は第二前処理を行わない設定を示す。「下地少量」の選択肢は第二前処理を行う設定を示し、且つ第二前処理で使用される下地インクの量が少量である設定を示す。「下地多量」の選択肢は第二前処理を行う設定を示し、且つ第二前処理で使用される下地インクの量が多量である設定を示す。少量と多量は特定の量に限定されないが、多量は少量よりも量が多い。
【0050】
解像度選択領域312は印刷画像の解像度の選択肢を示し、例えば「低解像度」の選択肢と「高解像度」の選択肢を示す。「低解像度」の選択肢は印刷画像を低解像度で印刷する設定を示す。「高解像度」の選択肢は印刷画像を高解像度で印刷する設定を示す。低解像度と高解像度は特定の解像度に限定されないが、高解像度は低解像度よりも解像度が高い。
【0051】
ユーザは操作部28を操作し、下地設定選択領域311において「下地なし」の選択肢と「下地少量」の選択肢と「下地多量」の選択肢のいずれかを選択する。ユーザは操作部28を操作し、解像度選択領域312において「低解像度」の選択肢と「高解像度」の選択肢のいずれかを選択する。以下では、下地設定選択領域311と解像度選択領域312において選択された印刷設定を「対象印刷設定」という。すなわち、対象印刷設定は、現在設定されている印刷設定である。
【0052】
図3は、一例として、下地設定選択領域311において「下地なし」の選択肢が選択され、解像度選択領域312において「低解像度」が選択された状態を示す。図4は、一例として、下地設定選択領域311において「下地なし」の選択肢が選択され、解像度選択領域312において「高解像度」が選択された状態を示す。
【0053】
色設定画面30において、印刷設定選択領域31の下側には指定色入力領域32が設けられる。指定色入力領域32は指定色を示し、例えばLab入力領域321とRGB入力領域322と指定色対応アイコン323を含む。指定色はユーザによって指定される色である。
【0054】
Lab入力領域321は指定色としてLab値を示す。RGB入力領域322は指定色としてRGB値を示す。指定色対応アイコン323は、指定色として、入力されたLab値またはRGB値に応じた色を示す。
【0055】
ユーザは操作部28を操作し、色見本の色、RGB値、CMYK値、XYZ値、Luv値、LCh値、Lab値、ディスプレイ27の表示色、画像等を、指定色としてプリンタ1に入力する。本実施形態では、ユーザは操作部28を操作し、Lab入力領域321とRGB入力領域322のいずれかを選択する。ユーザは操作部28を操作し、Lab入力領域321においてLab値を指定色として入力し、またはRGB入力領域322においてRGB値を指定色として入力する。
【0056】
図3は、一例として、Lab入力領域321においてLab値(50,60,0)が入力された状態を示す。図4は、一例として、Lab入力領域321においてLab値(50,20,0)が入力された状態を示す。
【0057】
色設定画面30において、指定色入力領域32の右側には入力色空間選択領域324が設けられる。入力色空間選択領域324はRGB色空間の種類を示し、例えば「sRGB」の選択肢と「Display P3」の選択肢を示す。指定色入力領域32において、指定色としてRGB入力領域322にRGB値が入力された場合、ユーザは操作部28を操作し、入力色空間選択領域324において、「sRGB」の選択肢と「Display P3」の選択肢のいずれかを選択する。指定色対応アイコン323は、入力色空間選択領域324で選択された色空間において、RGB入力領域322に入力されたRGB値に応じた色を示す。なお、指定色入力領域32において、指定色としてLab入力領域321にLab値が入力された場合、入力色空間選択領域324では「sRGB」の選択肢と「Display P3」の選択肢のいずれも選択されない。
【0058】
色設定画面30において、入力色空間選択領域324の上側には変換ボタン39が設けられる。ユーザは印刷設定選択領域31において印刷設定を選択し、指定色入力領域32において指定色を入力した後、操作部28を操作し、変換ボタン39を選択する。これにより、後述のS12以降の処理を実行するための変換指示がプリンタ1に入力される。
【0059】
なお、S10の処理の時点では、以下説明する近傍色表示領域33、色差表示領域34、判断結果表示領域35、代替印刷設定表示領域36、代替色表示領域37に対してユーザは入力操作、選択操作等を行ってない。つまり、S10の処理の時点では、以下説明する近傍色表示領域33、色差表示領域34、判断結果表示領域35、代替印刷設定表示領域36、代替色表示領域37には数値、文字等はまだ表示されていない。
【0060】
色設定画面30において、指定色入力領域32の下側には近傍色表示領域33が設けられる。近傍色表示領域33は後述の近傍色を示し、例えばLab表示領域331とRGB表示領域332とLab対応アイコン333とRGB対応アイコン334を含む。
【0061】
Lab表示領域331は近傍色としてLab値を示す。RGB表示領域332は近傍色としてRGB値を示す。Lab対応アイコン333は近傍色として、Lab表示領域331のLab値に応じた色を示す。RGB対応アイコン334は近傍色として、RGB表示領域332のRGB値に応じた色を示す。
【0062】
色設定画面30において、近傍色表示領域33の右側には表示色空間選択領域335が設けられる。表示色空間選択領域335はRGB色空間の種類を示し、例えば「sRGB」の選択肢と「Display P3」の選択肢を示す。ユーザは操作部28を操作し、表示色空間選択領域335において、「sRGB」の選択肢と「Display P3」の選択肢のいずれかを選択する。RGB対応アイコン334は、表示色空間選択領域335で選択された色空間において、RGB表示領域332のRGB値に応じた色を示す。
【0063】
色設定画面30において、近傍色表示領域33の下側には色差表示領域34が設けられる。色差表示領域34は指定色と近傍色の色差を示す。色差は、例えばΔEまたはΔE00である。
【0064】
色設定画面30において、色差表示領域34の右側には判断結果表示領域35が設けられる。判断結果表示領域35は指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内外のいずれに存在するかを示す。デバイス非依存色はデバイスの特性に依存しない色であり、Lab色空間、XYZ色空間、Luv色空間、LCh色空間等において表される。詳しくは後述するが、本実施形態では、指定色がデバイス非依存色に変換され、変換された指定色(指定色に基づくデバイス非依存色)が対象印刷設定に基づく対象色域内外のいずれに存在するか判断される。
【0065】
色設定画面30において、判断結果表示領域35の右下側には代替印刷設定表示領域36が設けられる。代替印刷設定表示領域36は、指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在しない場合には後述の第一代替印刷設定を示す。代替印刷設定表示領域36は、指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在する場合には後述の第二代替印刷設定を示す。
【0066】
色設定画面30において、代替印刷設定表示領域36の下側には代替色表示領域37が設けられる。代替色表示領域37は後述の第一代替色または第二代替色を示し、例えばRGB表示領域371とRGB対応アイコン372を含む。
【0067】
RGB表示領域371は第一代替色または第二代替色としてRGB値を示す。RGB対応アイコン372は表示色空間選択領域335で選択された色空間において、第一代替色または第二代替色として、RGB表示領域371のRGB値に応じた色を示す。
【0068】
図2に示すように、CPU11は、ユーザによる操作部28の操作によって変換ボタン39が選択されたかに基づいて、変換指示があるかを判断する(S11)。変換指示がない場合(S11:NO)、CPU11は変換指示があるまでS11の処理を繰り返す。変換指示があった場合(S11:YES)、CPU11は指定色入力領域32において入力された指定色を取得する(S12)。図3の例では、CPU11は指定色としてLab値(50,60,0)を取得する。図4の例では、CPU11は指定色としてLab値(50,20,0)を取得する。
【0069】
CPU11はLUTテーブル、プロファイル等に基づいて、指定色をデバイス非依存色に変換する(S13)。LUTテーブル、プロファイルは、フラッシュメモリ14に記憶され、指定色とデバイス非依存色の対応関係を示す。本実施形態では、一例として、CPU11は指定色をLab色空間の色に変換する。Lab色空間の色はデバイス非依存色の一種である。S13では、CPU11は、指定色を、デバイス非依存色としてXYZ色空間、Luv色空間、LCh色空間等の色に変換してもよい。
【0070】
例えば指定色としてRGB値がRGB入力領域322に入力されている場合には、CPU11はRGB値をLab値に変換する。例えば指定色としてLab値がLab入力領域321に入力されている場合には、CPU11はS13の処理をスキップしてもよい。以下では、S13によって指定色に基づいて変換されたデバイス非依存色、またはS12によって指定色として取得されたデバイス非依存色を「指定色に基づくデバイス非依存色」という。
【0071】
CPU11は印刷設定選択領域31において選択された対象印刷設定を取得する(S14)。図3の例では、CPU11は対象印刷設定として「下地なし」と「低解像度」を取得する。図4の例では、CPU11は対象印刷設定として「下地なし」と「高解像度」を取得する。
【0072】
CPU11は対象印刷設定に基づく対象色域を特定する(S15)。例えば、CPU11は、対象印刷設定に基づいてテーブルを参照し、対象印刷設定に基づく対象色域を特定する。一例として、CPU11は図5に示す色域テーブルを参照する。
【0073】
図5に示すように、色域テーブルは印刷設定に基づく色域をプリンタ1の印刷設定と対応付けて定める。一例として、色域テーブルは、印刷制御設定の一種として印刷画像の解像度の設定(「低解像度」または「高解像度」)と下地インクの設定(「なし」、「少量」、または「多量」)のそれぞれの組み合わせについて、色域C1~色域C6を定める。色域テーブルは、デバイス非依存色空間で色域C1~C6を示す。本実施形態では、一例として、色域テーブルはLCh色空間で色域C1~C6を示す。
【0074】
例えば、印刷設定に基づく色域は「低解像度」よりも「高解像度」の方が大きい。このため、印刷設定に基づく色域は色域C1よりも色域C4の方が大きく、色域C2よりも色域C5の方が大きく、色域C3よりも色域C6の方が大きい。例えば、印刷設定に基づく色域は下地インクが「なし」の場合よりも下地インクが「少量」の場合の方が大きく、下地インクが「少量」の場合よりも下地インクが「多量」の場合の方が大きい。このため、印刷設定に基づく色域は色域C1、色域C2、色域C3の順に大きくなり、色域C4、色域C5、色域C6の順に大きくなる。
【0075】
図3の例では、CPU11は「下地なし」と「低解像度」に対応する色域C1(図6参照)を、対象印刷設定に基づく対象色域として特定する。図4の例では、CPU11は「下地なし」と「高解像度」に対応する色域C4(図6参照)を、対象印刷設定に基づく対象色域として特定する。
【0076】
さらに、色域テーブルは各色域C1~C6に対応付けて印刷時間PT1~PT6と印刷コストPC1~PC6を定める。一例として、時間の長さは、印刷時間PT1、PT4、PT2、PT5、PT3、PT6の順に長くなる。一例として、コストの高さは、PC1、PC4、PC2、PC5、PC3、PC6の順に高くなる。
【0077】
図2に示すように、CPU11は近傍色を特定する(S16)。近傍色は対象印刷設定に基づく対象色域内の色であり、且つ明度、彩度、色相の一部または全部を固定しない状態で、指定色との距離が最も小さくなる色である。CPU11は近傍色を特定することで、近傍色と指定色との色差(ΔEまたはΔE00)を算出できる。近傍色には、例えば色差優先の近傍色、色相優先の近傍色、明度優先の近傍色、彩度優先の近傍色がある。
【0078】
色差優先の近傍色は、明度、彩度、色相の全部を固定しない状態で指定色との距離が最も小さくなる色である。色相優先の近傍色は、色相を固定した状態で、指定色との距離が最も小さくなる色である。明度優先の近傍色は、明度を固定した状態で、指定色との距離が最も小さくなる色である。彩度優先の近傍色は、彩度を固定した状態で、指定色との距離が最も小さくなる色である。CPU11は、明度、彩度、色相のうち固定しない要素を軸とする空間において、指定色に基づくデバイス非依存色から対象印刷設定に基づく対象色域までの距離が最も小さくなる点を、色差優先の近傍色として特定する。
【0079】
CPU11は各近傍色のいずれか一つまたは複数を特定してもよいが、一例として色差優先の近傍色を特定する。この場合、固定しない要素は明度、彩度、色相の三要素である。このため、CPU11は、明度、彩度、色相の三要素のそれぞれを軸とする三次元空間において、指定色から対象色域までの距離が最も小さくなる点を、色差優先の近傍色として特定する。図3の例では、CPU11は色差優先の近傍色としてLab値(48.6,52.8,2.5)とRGB値(255,16,128)を特定する。図4の例では、CPU11は色差優先の近傍色としてLab値(49.8,20.3,-0.4)とRGB値(148,77,92)を特定する。
【0080】
図2に示すように、CPU11は指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在するかを判断する(S17)。例えばCPU11は、指定色に基づくデバイス非依存色の色空間と、対象印刷設定に基づく対象色域の色空間とが同じ色空間になるように、指定色に基づくデバイス非依存色と対象印刷設定に基づく対象色域の一方または両方を変換する。この状態で、CPU11は、指定色に基づくデバイス非依存色の色値(座標値)がS15で特定した対象印刷設定に基づく対象色域内に存在するか否かに応じて、S17の判断を行う。指定色に基づくデバイス非依存色の色値(座標値)がS15で特定した対象印刷設定に基づく対象色域内に存在する場合、CPU11は指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在すると判断する。指定色に基づくデバイス非依存色の色値(座標値)がS15で特定した対象印刷設定に基づく対象色域内に存在しない場合、CPU11は指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在しないと判断する。
【0081】
上述したように、本実施形態の色域テーブルは印刷設定に基づく色域をLCh色空間で示す。このため、図3の例では、CPU11は指定色としてLab値(50,60,0)をLCh値に変換し、変換後のLCh値が、対象色域として色域C1内に存在するかを判断する。図4の例では、CPU11は指定色としてLab値(50,20,0)をLCh値に変換し、変換後のLCh値が、対象色域として色域C4内に存在するかを判断する。
【0082】
上述したように、印刷設定の変更によって印刷設定に基づく色域が変化する場合がある。例えば指定色に基づくデバイス非依存色が印刷設定に基づく色域内に存在しない場合には、印刷設定を変更して色域を変化させることで、プリンタ1は指定色に基づくデバイス非依存色を印刷設定に基づく色域に相対的に近づかせることができる可能性がある。一方で、例えば指定色に基づくデバイス非依存色が印刷設定に基づく色域内に存在する場合には、印刷設定を変更して色域を変化させても、指定色に基づくデバイス非依存色が印刷設定に基づく色域内に存在したままの場合がある。この場合、印刷設定の内容によっては、例えばプリンタ1は印刷コストを低減できたり、印刷時間を低減できたりする場合がある。したがって、以下説明するように、CPU11はS17での判断結果に応じて異なる印刷設定の表示処理を行う。
【0083】
図2に示すように、指定色に基づくデバイス非依存色が対象色域内に存在しない場合(S17:NO)、CPU11は第一代替印刷設定を特定する(S21)。第一代替印刷設定は対象印刷設定とは異なる印刷設定である。第一代替印刷設定は、指定色に基づくデバイス非依存色と第一代替印刷設定に基づく第一代替色域との間の距離が指定色に基づくデバイス非依存色と対象印刷設定に基づく対象色域との間の距離よりも小さくなる印刷設定である。なお、指定色に基づくデバイス非依存色と印刷設定に基づく色域との間の距離は、指定色に基づくデバイス非依存色が印刷設定に基づく色域内に存在する場合に「0」となる。本実施形態では、第一代替印刷設定は、指定色に基づくデバイス非依存色と対象印刷設定に基づく対象色域との間の距離が、「0」となる印刷設定である。すなわち、第一代替印刷設定は、指定色に基づくデバイス非依存色が第一代替印刷設定に基づく第一代替色域内に存在する印刷設定である。
【0084】
S21では、CPU11は、図5に示す色域テーブルを参照し、色域C1~C6のうち対象色域以外の色域を特定する。CPU11は、特定した複数の色域のうち指定色に基づくデバイス非依存色が色域内に存在する色域を特定する。CPU11は、特定した色域に対応する印刷設定を、第一代替印刷設定として特定する(図5参照)。
【0085】
図6は、Lab値(50,60,0)の変換後のLCh値を点A1として示す。点A1は色域C1内に存在せず、色域C4内に存在する。このため、図3の例では、CPU11は、色域C4に対応する印刷設定(高解像度と下地インクなし)を、第一代替印刷設定として特定する。
【0086】
例えば指定色に基づくデバイス非依存色が色域内に存在する色域が複数ある場合がある。この場合、CPU11は優先設定に応じて複数の色域からいずれか一つを、第一代替印刷設定に基づく第一代替色域として特定する。例えばユーザは操作部28を操作し、印刷時間よりも印刷コストを優先するか、印刷コストよりも印刷時間を優先するか、のいずれかの優先設定をプリンタ1に設定する。優先設定はフラッシュメモリ14に記憶される。
【0087】
例えば印刷時間よりも印刷コストを優先する優先設定が設定されている場合、CPU11は図5に示す色域テーブルの印刷コストの欄を参照し、複数の色域のうち最も長さが短い印刷時間に対応する色域を、第一代替印刷設定に基づく第一代替色域として特定する。
【0088】
例えば印刷コストよりも印刷時間を優先する優先設定が設定されている場合、CPU11は図5に示す色域テーブルの印刷時間の欄を参照し、複数の色域のうち最も長さが短い印刷時間に対応する色域を、第一代替印刷設定に基づく第一代替色域として特定する。
【0089】
図2に示すように、CPU11はS16とS21での特定結果に基づいて色設定画面30の表示内容を更新する(S22)。S22が実行される時点では、対象印刷設定が印刷設定としてフラッシュメモリ14に記憶されている。図3の例では、S22が実行される時点で、「下地なし」と「低解像度」が対象印刷設定として設定されている。S22において、CPU11はLab表示領域331にLab値(48.6,52.8,2.5)を表示し、Lab対応アイコン333に(48.6,52.8,2.5)に応じた色を表示する。CPU11はRGB表示領域332にRGB値(225,16,128)を表示し、RGB対応アイコン334に、sRGB色空間におけるRGB値(255,16,128)に応じた色を表示する。
【0090】
CPU11は指定色に基づくデバイス非依存色(50,60,0)と近傍色のLab値(48.6,52.8,2.5)との間の距離(7.7)を色差表示領域34に表示する。CPU11は、「色域外です。」を判断結果表示領域35に表示する。「色域外です。」はS17の判断結果が、指定色に基づくデバイス非依存色(50,60,0)が対象印刷設定に基づく対象色域(色域C1)内に存在しないことを示す。
【0091】
CPU11は「高解像度にすると再現可能です。」を代替印刷設定表示領域36に表示する。「高解像度にすると再現可能です。」は、低解像度(対象印刷設定)を高解像度(第一代替印刷設定)に変更することで、プリンタ1が指定色を、印刷設定に基づく色域内の色で再現できることを示す。つまり、印刷設定を対象印刷設定から第一代替印刷設定に変更することで、プリンタ1は印刷色を指定色に近づけることができる。
【0092】
CPU11はS21で特定した第一代替印刷設定を代替印刷設定表示領域36に表示する。このため、CPU11は図3の例の他に、特定した第一代替印刷設定に応じて、例えば、第二前処理を行う設定、下地インクを対象印刷設定から増やす設定を代替印刷設定表示領域36に表示できる。
【0093】
CPU11はRGB表示領域371に第一代替色のRGB値(192,71,103)を表示する。第一代替色は印刷設定が第一代替印刷設定に変更された場合において、指定色をプリンタ1によって印刷するためのRGB値である。CPU11はRGB対応アイコン372にRGB値(192,71,103)に応じた色を表示する。
【0094】
図2に示すように、CPU11は印刷設定を対象印刷設定から第一代替印刷設定に変更する指示があったかを判断する(S23)。ユーザは、操作部28を操作し、印刷設定を対象印刷設定から第一代替印刷設定に変更する指示、および印刷設定を対象印刷設定から第一代替印刷設定に変更しない指示のいずれかをプリンタ1に入力する。
【0095】
印刷設定を対象印刷設定から第一代替印刷設定に変更しない指示があった場合(S23:NO)、CPU11は印刷設定を変更することなく処理をS41に移行する。印刷設定を対象印刷設定から第一代替印刷設定に変更する指示があった場合(S23:YES)、CPU11はフラッシュメモリ14において印刷設定を対象印刷設定から第一代替印刷設定に変更する(S24)。CPU11は処理をS41に移行する。
【0096】
指定色に基づくデバイス非依存色が対象色域内に存在する場合(S17:YES)、CPU11は第二代替印刷設定を特定する(S31)。第二代替印刷設定は対象印刷設定とは異なる印刷設定である。第二代替印刷設定は、指定色に基づくデバイス非依存色が第二代替印刷設定に基づく第二代替色域内に存在する印刷設定である。
【0097】
S31では、CPU11は、例えば図5に示す色域テーブルを参照し、色域C1~C6のうち対象色域以外の色域を特定する。CPU11は、特定した複数の色域のうち指定色に基づくデバイス非依存色が色域内に存在する色域を特定する。CPU11は、特定した色域に対応する印刷設定を、第二代替印刷設定として特定する。
【0098】
図6は、Lab値(50,20,0)の変換後のLCh値を点A2として示す。点A2は色域C4内に存在し、且つ色域C1内にも存在する。このため、図4の例では、CPU11は、色域C1に対応する印刷設定(低解像度と下地インクなし)を、第二代替印刷設定として特定する(図5参照)。
【0099】
例えば指定色に基づくデバイス非依存色が色域内に存在する色域が複数ある場合がある。この場合、CPU11は優先設定に応じて複数の色域からいずれか一つを、第二代替印刷設定に基づく第二代替色域として特定する。例えば印刷時間よりも印刷コストを優先する優先設定が設定されている場合、CPU11は図5に示す色域テーブルの印刷コストの欄を参照し、複数の色域のうち最も長さが短い印刷時間に対応する色域を、第二代替印刷設定に基づく第二代替色域として特定する。例えば印刷コストよりも印刷時間を優先する優先設定が設定されている場合、CPU11は図5に示す色域テーブルの印刷時間の欄を参照し、複数の色域のうち最も長さが短い印刷時間に対応する色域を、第二代替印刷設定に基づく第二代替色域として特定する。
【0100】
図2に示すように、CPU11はS16とS31での特定結果に基づいて色設定画面30の表示内容を更新する(S32)。S32が実行される時点では、対象印刷設定が印刷設定としてフラッシュメモリ14に記憶されている。図4の例では、S32が実行される時点で、「下地なし」と「高解像度」が対象印刷設定として設定されている。S32において、CPU11はLab表示領域331にLab値(49.8,20.3,-0.4)を表示し、Lab対応アイコン333に(49.8,20.3,-0.4)に応じた色を表示する。CPU11はRGB表示領域332にRGB値(148,77,92)を表示し、RGB対応アイコン334に、sRGB色空間におけるRGB値(148,77,92)に応じた色を表示する。
【0101】
CPU11は指定色に基づくデバイス非依存色(50,20,0)と近傍色のLab値(49.8,20.3,-0.4)との間の距離(0.54)を色差表示領域34に表示する。CPU11は、「色域内です。」を判断結果表示領域35に表示する。「色域内です。」はS17の判断結果が、指定色に基づくデバイス非依存色(50,20,0)が対象印刷設定に基づく対象色域(色域C4)内に存在することを示す。
【0102】
CPU11は「低解像度でも再現可能です。」を代替印刷設定表示領域36に表示する。「低解像度にすると再現可能です。」は、高解像度(対象印刷設定)を低解像度(第二代替印刷設定)に変更しても、プリンタ1が指定色を印刷設定に基づく色域内の色で再現できることを示す。つまり、印刷設定を対象印刷設定から第二代替印刷設定に変更しても、プリンタ1は印刷色が指定色から遠くなることを抑制できる。
【0103】
CPU11はS31で特定した第二代替印刷設定を代替印刷設定表示領域36に表示する。このため、CPU11は図4の例の他に、特定した第二代替印刷設定に応じて、例えば、第二前処理を行わない設定、下地インクの量を対象印刷設定から減らす設定を代替印刷設定表示領域36に表示できる。
【0104】
CPU11はRGB表示領域371に第二代替色のRGB値(171,77,99)を表示する。第二代替色は印刷設定が第二代替印刷設定に変更された場合において、指定色をプリンタ1によって印刷するためのRGB値である。CPU11はRGB対応アイコン372にRGB値(171,77,99)に応じた色を表示する。
【0105】
CPU11は印刷設定を対象印刷設定から第二代替印刷設定に変更する指示があったかを判断する(S33)。ユーザは、操作部28を操作し、印刷設定を対象印刷設定から第二代替印刷設定に変更する指示、および印刷設定を対象印刷設定から第二代替印刷設定に変更しない指示のいずれかをプリンタ1に入力する。
【0106】
印刷設定を対象印刷設定から第二代替印刷設定に変更しない指示があった場合(S33:NO)、CPU11は印刷設定を変更することなく処理をS41に移行する。印刷設定を対象印刷設定から第二代替印刷設定に変更する指示があった場合(S33:YES)、CPU11はフラッシュメモリ14において印刷設定を対象印刷設定から第二代替印刷設定に変更する(S34)。CPU11は処理をS41に移行する。
【0107】
CPU11は設定された色を印刷するための印刷データを作成する(S41)。例えば印刷設定が対象印刷設定のままの場合、CPU11は近傍色を印刷するための印刷データを作成する。例えば印刷設定が対象印刷設定から第一代替印刷設定に変更される場合、CPU11は第一代替色を印刷するための印刷データを作成する。例えば印刷設定が対象印刷設定から第二代替印刷設定に変更される場合、CPU11は第二代替色を印刷するための印刷データを作成する。CPU11はメイン処理を終了する。
【0108】
以上説明したように、CPU11は、指定色を取得する(S12)。CPU11は指定色に基づくデバイス非依存色が、プリンタ1の対象印刷設定に基づく対象色域内に存在するかを判断する(S17)。デバイス非依存色が対象色域内に存在しないと判断された場合(S17:NO)、CPU11はプリンタ1の第一代替印刷設定を表示する(S22)。第一代替印刷設定は対象印刷設定とは異なる。指定色に基づくデバイス非依存色と第一代替印刷設定に基づく第一代替色域との間の距離は、指定色に基づくデバイス非依存色と対象印刷設定に基づく対象色域との間の距離よりも小さい。
【0109】
これによれば、指定色に基づくデバイス非依存色と第一代替印刷設定に基づく第一代替色域との間の距離は、指定色に基づくデバイス非依存色と対象印刷設定に基づく対象色域との間の距離よりも小さい。このため、プリンタ1による印刷が第一代替印刷設定で行われる場合、プリンタ1による印刷が対象印刷設定で行われる場合よりもプリンタ1による印刷色と指定色の差異が小さくなる。よって、プリンタ1は、第一代替印刷設定を表示することで、印刷色が指定色に近づく印刷設定の選択肢をユーザに提示できる。ユーザが印刷設定を対象印刷設定から第一代替印刷設定に変更した場合、プリンタ1は印刷色を指定色に近づけることができる。
【0110】
CPU11は、対象印刷設定に基づいて、指定色に基づくデバイス非依存色が、プリンタ1の対象印刷設定に基づく対象色域内に存在するかを判断する(S17)。対象印刷設定は印刷制御設定を含む。印刷制御設定はプリンタ1の制御に関する。
【0111】
印刷制御設定は、印刷設定に基づく色域の大きさおよび形状に影響する可能性がある。CPU11は、印刷制御設定に基づいて、指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在するかを判断する。すなわち、CPU11は、印刷設定に基づく色域の大きさおよび形状に影響する可能性がある設定に基づいて、指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在するかを判断できる。
【0112】
CPU11は、対象印刷設定に基づいて、指定色に基づくデバイス非依存色が、プリンタ1の対象印刷設定に基づく対象色域内に存在するかを判断する(S17)。対象印刷設定は、前処理の処理条件を含む。前処理はプリンタ1によるカラーインクの塗布よりも前に行われる。
【0113】
前処理の処理条件は、印刷設定に基づく色域の大きさおよび形状に影響する可能性がある。プリンタ1は、前処理の処理条件に基づいて、指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在するかを判断する。すなわち、プリンタ1は、印刷設定に基づく色域の大きさおよび形状に影響する可能性がある設定に基づいて、指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在するかを判断できる。
【0114】
CPU11は、プリンタ1の第一代替印刷設定を表示する(S22)。第一代替印刷設定は前処理の処理条件として、プリンタ1による下地インクの塗布を行う設定を含む。
【0115】
プリンタ1による下地インクの塗布が行われると、指定色に基づくデバイス非依存色と印刷設定に基づく色域との間の距離が小さくなりやすい。よって、プリンタ1は、下地インクの塗布を行う設定を表示することで、印刷色が指定色に近づく印刷設定の選択肢をユーザに提示できる。
【0116】
CPU11は、プリンタ1の第一代替印刷設定を表示する(S22)。第一代替印刷設定は前処理の処理条件として、下地インクの量を増やす設定を含む。下地インクはプリンタ1によって下地液として塗布される。
【0117】
下地インクの量が増えると、指定色に基づくデバイス非依存色と印刷設定に基づく色域との間の距離が小さくなりやすい。よって、プリンタ1は、下地インクの量を増やす設定を表示することで、印刷色が指定色に近づく印刷設定の選択肢をユーザに提示できる。
【0118】
上記実施形態において、CPU11が本発明の「コンピュータ」と「制御部」に相当する。図2のS12が本発明の「取得ステップ」に相当する。プリンタ1が本発明の「プリンタ」と「色設定装置」に相当する。対象印刷設定が本発明の「第一印刷設定」に相当する。対象色域が本発明の「第一色域」に相当する。図2のS17が本発明の「判断ステップ」に相当する。第一代替印刷設定が本発明の「第二印刷設定」に相当する。第一代替色域が本発明の「第二色域」に相当する。図2のS22が本発明の「表示ステップ」に相当する。図2のS12の処理が本発明の「取得処理」に相当する。図2のS17の処理が本発明の「判断処理」に相当する。図2のS22の処理が本発明の「表示処理」に相当する。
【0119】
本発明は上記実施形態から種々変更できる。以下説明する各種変形例は、矛盾が生じない限り、それぞれ組み合わせ可能である。例えば、上記実施形態において、プリンタ1はインクジェットプリンタとは異なるタイプでもよく、レーザプリンタ、テーププリンタ等でもよい。前処理ヘッド5、下地ヘッド6、カラーヘッド7、および後処理ヘッド8の一部または全部はラインヘッドであってもよい。
【0120】
上記実施形態において、第一前処理を行うための装置(例えば前処理ヘッド5を備えた装置)、第二前処理を行うための装置(例えば下地ヘッド6を備えた装置)、および後処理を行うための装置(例えば後処理ヘッド8を備えた装置)の一部または全部はプリンタ1とは別体であってもよい。
【0121】
第一前処理はプリンタ1による印刷媒体への前処理剤の塗布に代えて、または加えて熱処理を含んでもい。後処理はプリンタ1による印刷媒体への後処理剤の塗布に代えて、または加えて熱処理を含んでもい。熱処理では、印刷媒体が加熱される。これにより、例えば第一前処理では印刷媒体から余分な水分が蒸発して印刷媒体が乾燥し、後処理では印刷媒体に塗布された前処理剤、インク、後処理剤等が硬化する。
【0122】
上述したように、各種ヘッドがラインヘッドである場合、第一前処理、第二前処理、および後処理を行うための装置がプリンタと別体である場合、および第一前処理、第二前処理、および後処理に加熱処理を含む場合は、これらに関する設定も印刷制御設定等、印刷設定に含まれる。
【0123】
上記実施形態では、プリンタ1がメイン処理の全部を実行した。これに対し、色設定装置として、プリンタ1とは異なる装置がメイン処理の一部または全部を実行してもよい。色設定装置は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)、タブレット端末、およびスマートフォンであり、プリンタ1と有線または無線で相互に通信する。色設定装置がメイン処理の全部を実行する場合、色設定装置は印刷データをプリンタ1に送信する。プリンタ1は色設定装置から受信した印刷データに基づいて印刷を行う。
【0124】
上記実施形態において、色設定画面30の構成は適宜変更できる。例えば色設定画面30において印刷設定選択領域31は下地設定選択領域311と解像度選択領域312に代えて、または加えて、前処理設定選択領域、後処理設定選択領域等を含んでもよい。
【0125】
前処理設定選択領域は第一前処理の処理条件の選択肢を示し、例えば「前処理なし」の選択肢と「前処理剤少量」の選択肢と「前処理剤多量」の選択肢を示す。「前処理なし」の選択肢は第一前処理を行わない設定を示す。「前処理剤少量」の選択肢は第一前処理を行う設定を示し、且つ第一前処理で使用される前処理剤の量が少量である設定を示す。「前処理剤多量」の選択肢は第一前処理を行う設定を示し、且つ第一前処理で使用される前処理剤の量が多量である設定を示す。後処理設定選択領域は、同様に、後処理の処理条件の選択肢を示す。
【0126】
上記実施形態において、対象印刷設定に基づく対象色域の特定方法(S15)は、特定の方法に限定されない。CPU11は例えば対象印刷設定に基づいて、計算式によって対象印刷設定に基づく対象色域を特定してもよい。計算式はROM12またはフラッシュメモリ14に記憶され、印刷制御設定、印刷媒体設定、およびインク設定の一部または全部の内容を変数とする。CPU11は例えば対象印刷設定として設定されている印刷制御設定、印刷媒体設定、およびインク設定の内容に応じた値を計算式の変数に代入することで、対象印刷設定に基づく対象色域を特定する。
【0127】
上記実施形態では、色域テーブルは印刷制御設定の一種として解像度の設定と下地インクの設定の組み合わせに対応付けて、印刷設定に基づく色域C1~C6を定める。これに対し、色域テーブルは他の印刷制御設定、印刷媒体設定、インク設定の各設定の一部または全部に対応付けて、印刷設定に基づく色域を定めてもよい。つまり、CPU11は対象印刷設定として印刷制御設定、印刷媒体設定、インク設定の一部または全部に基づいて、指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在するかを判断してもよい。例えば、色域テーブルは下地インクの設定に代えてまたは加えて後処理の処理条件の設定に対応付けて、印刷設定に基づく色域を定めてもよい。つまり、CPU11は対象印刷設定として下地インクの設定に代えてまたは加えて後処理の処理条件の設定に基づいて、指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在するかを判断してもよい。CPU11は対象印刷設定として印刷制御設定、印刷媒体設定、インク設定以外の印刷設定に基づいて、指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在するかを判断してもよい。
【0128】
上記実施形態において、CPU11は、S22において、S21で特定した第一代替印刷設定を代替印刷設定表示領域36に表示できる。例えば、CPU11は代替印刷設定表示領域36に、第一前処理を行う設定、前処理剤の量を増やす設定を表示してもよい。CPU11は一度打ちから二度打ちへの変更等、印刷処理で使用されるインクの量を増やす設定を表示してもよい。CPU11は双方向印刷から片方向印刷に変更する設定を表示してもよい。CPU11は無変換プロファイルの設定を表示してもよい。これらの場合、第一代替印刷設定に基づく第一代替色域は対象印刷設定に基づく対象色域よりも大きくなりやすい。例えば、インクの量、前処理剤の量が増えると、指定色に基づくデバイス非依存色と印刷設定に基づく色域との間の距離が小さくなりやすい。よって、プリンタ1は、前処理剤の量を増やす設定を表示することで、印刷色が指定色に近づく印刷設定の選択肢をユーザに提示できる。
【0129】
上記実施形態において、CPU11は、S32において、S31で特定した第二代替印刷設定を代替印刷設定表示領域36に表示できる。例えば、CPU11は代替印刷設定表示領域36に、第一前処理を行わない設定、前処理剤の量を減らす設定を表示してもよい。CPU11は二度打ちから一度打ちへの変更等、印刷処理で使用されるインクの量を減らす設定を表示してもよい。CPU11は片方向印刷から双方向印刷に変更する設定を表示してもよい。CPU11はインクの量を減らすことができるプロファイルの設定を表示してもよい。これらの場合、第二代替印刷設定は対象印刷設定よりも印刷時間の短縮化しまたは印刷コストを低減できる。例えば、インクの量、前処理剤の量が減ると、その分、印刷コストが低下する。よって、プリンタ1は、印刷色が指定色から遠くなることを抑制しつつ、対象印刷設定の他に、印刷コストを低減可能な第二代替印刷設定の選択肢をユーザに提示できる。
【0130】
上記実施形態において、CPU11は色差優先の近傍色、色相優先の近傍色、明度優先の近傍色、彩度優先の近傍色の複数を特定し、特定した全部の近傍色を近傍色表示領域33に表示してもよい。この場合、ユーザは操作部28を操作し、各近傍色からいずれかを選択すればよい。
【0131】
CPU11は近傍色の表示態様を適宜変更できる。例えばCPU11はS22またはS32において、図7に示す色域グラフを色設定画面30に表示してもよい。図7に示すように、色域グラフはLab色空間において対象印刷設定に基づく対象色域を色域CBとして示す。色域グラフは指定色に基づくデバイス非依存色を点B1として示す。色域グラフは近傍色のLab値を点B2として示す。ユーザは色域グラフを見ることで指定色と近傍色の色差を視覚的に確認できる。CPU11は近傍色としてCMYK値等を表示してもよい。
【0132】
CPU11は近傍色を、色の名称を所定の色空間の値に変換するためのカラーライブラリに記憶してもよい。カラーライブラリは例えばフラッシュメモリ14に設けられる。この場合、ユーザは近傍色をカラーライブラリから容易に指定できる。
【0133】
上記実施形態では、一つの色が指定色として指定された場合の例を説明した。これに対し、CPU11がS12で画像を取得し、取得した画像にプロファイルが指定されている場合がある。この場合、CPU11は、S12において、画像全体をスキャンし、スキャンした画像の全部の色を指定色として取得してもよい。CPU11は、S13において指定色として取得した全部の色を、指定色に基づくデバイス非依存色として変換し、S17において、指定色に基づくデバイス非依存色の全部が対象印刷媒体に基づく対象色域内に存在するかを判断してもよい。
【0134】
指定色に基づくデバイス非依存色の一部または全部が対象印刷媒体に基づく対象色域内に存在しない場合、CPU11はS21を実行する。この場合、CPU11は例えば指定色に基づくデバイス非依存色の全部が第一代替印刷設定に基づく第一代替色域内に存在することとなる第一代替印刷設定を特定してもよい。CPU11は例えば第一代替印刷設定に基づく第一代替色域内に存在する指定色に基づくデバイス非依存色の種類数が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在する指定色に基づくデバイス非依存色の種類数よりも多くなる第一代替印刷設定を特定してもよい。
【0135】
指定色に基づくデバイス非依存色の全部が対象印刷媒体に基づく対象色域内に存在する場合、CPU11はS31を実行する。この場合、CPU11は例えば指定色に基づくデバイス非依存色の全部が第二代替印刷設定に基づく第二代替色域内に存在する第二代替印刷設定を特定してもよい。
【0136】
上記実施形態では、操作部28が操作されることで、CPU11は指定色を取得した。これに対し、例えばユーザは外部機器を操作し、通信によって外部機器から指定色をプリンタ1に入力してもよい。外部機器は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)、タブレット端末、およびスマートフォンであり、プリンタ1と有線または無線で相互に通信する。
【0137】
上記実施形態では、優先設定は、印刷時間よりも印刷コストを優先するか、印刷コストよりも印刷時間を優先するかを示す。これに対し、優先設定は、印刷制御設定、印刷媒体設定、インク設定の優先度を示してもよいし、より詳細に、解像度の設定よりも下地インクの設定を優先するか、下地インクの設定よりも解像度の設定を優先するか等を示してもよい。指定色に基づくデバイス非依存色が色域内に存在する色域が複数ある場合、S21において、CPU11は複数の色域に対応する印刷設定のうち優先度が高い印刷設定を、第一代替印刷設定として特定する。図3の例において、対象印刷設定に基づく対象色域が色域C1であり、指定色に基づくデバイス非依存色が色域内に存在する色域として、色域C3と色域C4が特定される場合がある。色域C1から色域C3に変更される場合には、解像度の設定は「低解像度」で変わらず、下地インクの設定が「なし」から「多量」に変わる。色域C1から色域C4に変更される場合には、解像度の設定は「低解像度」から「高解像度」に変わり、下地インクの設定は「なし」で変わらない。この場合、下地インクの設定よりも解像度の設定を優先する優先設定が設定されていれば、CPU11は色域C1を第一代替印刷設定に基づく第一代替色域として特定する。
【0138】
上記実施形態において、S21では、指定色に基づくデバイス非依存色と対象印刷設定に基づく対象色域との間の距離が「0」となる第一代替印刷設定が存在しない場合がある。この場合、CPU11は各色域C1~C6のうち指定色に基づくデバイス非依存色から色域までの距離が最も小さい色域を、第一代替印刷設定に基づく第一代替色域として特定してもよい。またはCPU11は例えば代替印刷設定表示領域36において、第一代替印刷設定が存在しない旨を表示してもよい。第一代替印刷設定が存在しない旨は例えば「他の印刷設定でも再現不可能です。」である。
【0139】
上記実施形態では、指定色に基づくデバイス非依存色が色域内に存在する色域が複数ある場合、S21において、CPU11は複数の色域からいずれか一つを、第一代替印刷設定に基づく第一代替色域として特定する。これに対し、CPU11は複数の色域の全部を第一代替印刷設定に基づく第一代替色域として特定してもよい。この場合、CPU11はS22において、複数の第一代替印刷設定を代替印刷設定表示領域36に表示してもよい。
【0140】
CPU11の代わりに、マイクロコンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が、プロセッサとして用いられてもよい。メイン処理は、複数のプロセッサによって分散処理されてもよい。ROM12、フラッシュメモリ14等の非一時的な記憶媒体は、情報を記憶する期間に関わらず、情報を留めておくことが可能な記憶媒体であればよい。非一時的な記憶媒体は、一時的な記憶媒体(例えば、伝送される信号)を含まなくてもよい。制御プログラムは、例えば、図示外のネットワークに接続されたサーバからダウンロードされて(すなわち、伝送信号として送信され)、ROM12またはフラッシュメモリ14に記憶されてもよい。この場合、制御プログラムは、サーバに備えられたHDD等の非一時的な記憶媒体に保存されていればよい。
【符号の説明】
【0141】
1 プリンタ
11 CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7