(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156909
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】移動体、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B60L 9/18 20060101AFI20221006BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20221006BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20221006BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20221006BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20221006BHJP
H02P 5/46 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B60L9/18 P
B60L3/00 J
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L58/12
H02P5/46 H
H02P5/46 K
H02P5/46 J
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060847
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八釼 学
【テーマコード(参考)】
5H125
5H572
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC12
5H125BA04
5H125BB07
5H125CA02
5H125CA18
5H125EE06
5H125EE09
5H125EE16
5H125EE27
5H125EE41
5H125EE42
5H125EE44
5H125EE51
5H125EE57
5H125EE61
5H125EE62
5H572AA02
5H572BB07
5H572CC04
5H572EE03
5H572HB07
5H572HC07
5H572JJ03
5H572JJ04
5H572JJ17
5H572LL29
5H572LL43
5H572LL46
5H572MM01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】進路情報に基づいて、進路で必要とされる移動体を駆動するシャフトの必要トルクを推定し、着磁状態にある第1モータの出力トルクを増減させる必要があるか否かを判断する移動体を提供する。
【解決手段】移動体は、駆動するシャフト上に同軸で接続された第1モータおよび第2モータと、移動体の進路情報を取得する取得部と、第1モータおよび第2モータのそれぞれを独立して着磁状態または減磁状態に切り替えることにより、シャフトのトルクを増減させるよう制御するトルク制御部とを備える。トルク制御部は、第1モータの着磁状態を維持している間に、取得部が取得した進路情報からトルクを増減させる必要があると判断した場合、第2モータを着磁状態および減磁状態の一方から他方へ切り替える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体であって、
前記移動体を駆動するシャフト上に同軸で接続された第1モータおよび第2モータと、
前記移動体の進路の進路情報を取得する取得部と、
前記第1モータおよび前記第2モータのそれぞれを独立して着磁状態または減磁状態に切り替えることにより、前記シャフトのトルクを増減させるよう制御するトルク制御部と
を備え、
前記トルク制御部は、前記第1モータの着磁状態を維持している間に、これから前記トルクを増減させる必要があると前記進路情報から判断した場合に、前記第2モータを着磁状態および減磁状態の一方から他方へ切り替える、
移動体。
【請求項2】
前記トルク制御部は、
前記進路情報に基づいて、前記進路で必要とされる前記シャフトの必要トルクを推定し、
前記必要トルクと、着磁状態にある前記第1モータの出力トルクとに基づいて、これから前記トルクを増減させる必要があるか否かを判断する、
請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記トルク制御部は、前記第1モータのバッテリ残量に基づいて、着磁状態にある前記第1モータの前記出力トルクを算出する、
請求項2に記載の移動体。
【請求項4】
前記トルク制御部は、前記進路情報と、前記移動体のユーザによる入力情報および前記移動体の重量の少なくとも何れかと、に基づいて、前記進路で必要とされる前記シャフトの必要トルクを推定する、
請求項2または3に記載の移動体。
【請求項5】
前記入力情報は、前記移動体を加速させるための入力、および、前記移動体を減速させるための入力、の少なくとも何れかに関する情報を含む、
請求項4に記載の移動体。
【請求項6】
前記トルク制御部は、前記第1モータおよび前記第2モータの着磁状態を維持している間に、前記必要トルクが前記第1モータの前記出力トルク以下であると判断した場合に、前記第2モータを減磁状態に切り替えて前記トルクを減らすよう制御する、
請求項2から5の何れか一項に記載の移動体。
【請求項7】
前記トルク制御部は、前記第1モータの着磁状態および前記第2モータの減磁状態を維持している間に、前記必要トルクが前記第1モータの前記出力トルクよりも大きいと判断した場合に、前記第2モータを着磁状態に切り替えて前記トルクを増やすよう制御する、
請求項2から6の何れか一項に記載の移動体。
【請求項8】
前記トルク制御部は、前記第2モータを着磁状態および減磁状態の一方から他方へ切り替える間、前記第1モータを0トルク制御して前記第1モータの出力トルクが前記シャフトに伝動しない状態とする、
請求項1から7の何れか一項に記載の移動体。
【請求項9】
前記進路情報は、前記進路が登り斜面、平面および下り斜面の何れかであること、および、前記進路が低速道路および高速道路の何れかであること、の少なくとも何れかを示し、
前記取得部は、(1)前記進路および前記進路の周囲の指標の少なくとも何れかに対する撮像およびセンシングの少なくとも何れかの結果に基づいて前記進路情報を推定すること、並びに、(2)GPSから受信したGPS情報および前記移動体が保有する地図情報の少なくとも何れかに基づいて前記進路情報を推定すること、の少なくとも何れかによって前記進路情報を取得する、
請求項1から8の何れか一項に記載の移動体。
【請求項10】
前記第1モータの回転数を制御する第1インバータ、および、前記第2モータの回転数を制御する第2インバータと、
前記第1モータ、前記第2モータ、前記第1インバータ、および、前記第2インバータ、のそれぞれの故障を検知する検知部と
を更に備え、
前記トルク制御部は、前記第1モータおよび前記第1インバータの少なくとも何れか、並びに、前記第2モータおよび前記第2インバータの少なくとも何れか、の一方の故障が検知された場合に、前記進路情報に拘わらず、(1)前記一方の側のモータを停止して他方の側のモータの着磁状態を維持する、または、(2)前記一方の側のモータを停止して前記他方の側のモータを着磁状態に切り替える、よう制御する、
請求項1から9の何れか一項に記載の移動体。
【請求項11】
移動体を制御するための制御方法であって、
前記移動体の進路の進路情報を取得する取得段階と、
前記移動体を駆動するシャフト上に同軸で接続された第1モータおよび第2モータのそれぞれを独立して着磁状態または減磁状態に切り替えることにより、前記シャフトのトルクを増減させるよう制御するトルク制御段階と
を備え、
前記トルク制御段階は、前記第1モータの着磁状態を維持している間に、これから前記トルクを増減させる必要があると前記進路情報から判断した場合に、前記第2モータを着磁状態および減磁状態の一方から他方へ切り替えることを含む、
制御方法。
【請求項12】
移動体を制御するためのプログラムであって、
前記移動体の進路の進路情報を取得する取得手順と、
前記移動体を駆動するシャフト上に同軸で接続された第1モータおよび第2モータのそれぞれを独立して着磁状態または減磁状態に切り替えることにより、前記シャフトのトルクを増減させるよう制御するトルク制御手順と
をコンピュータに実行させ、
前記トルク制御手順は、前記第1モータの着磁状態を維持している間に、これから前記トルクを増減させる必要があると前記進路情報から判断した場合に、前記第2モータを着磁状態および減磁状態の一方から他方へ切り替えることを含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「複数のモータの各別毎に分担する出力を、それらのモータの全消費電力が最小となるように定めて、各モータへの制御指令を発するようにしたから、走行に必要なモータ出力が常に最小の消費電力で駆動輪へ供給される」(段落0008)と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開平6-62508号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、移動体を提供する。移動体は、移動体を駆動するシャフト上に同軸で接続された第1モータおよび第2モータを備えてもよい。移動体は、移動体の進路の進路情報を取得する取得部を備えてもよい。移動体は、第1モータおよび第2モータのそれぞれを独立して着磁状態または減磁状態に切り替えることにより、シャフトのトルクを増減させるよう制御するトルク制御部を備えてもよい。トルク制御部は、第1モータの着磁状態を維持している間に、これからトルクを増減させる必要があると進路情報から判断した場合に、第2モータを着磁状態および減磁状態の一方から他方へ切り替えてもよい。
【0004】
トルク制御部は、進路情報に基づいて、進路で必要とされるシャフトの必要トルクを推定してもよい。トルク制御部は、必要トルクと、着磁状態にある第1モータの出力トルクとに基づいて、これからトルクを増減させる必要があるか否かを判断してもよい。
【0005】
トルク制御部は、第1モータのバッテリ残量に基づいて、着磁状態にある第1モータの出力トルクを算出してもよい。
【0006】
トルク制御部は、進路情報と、移動体のユーザによる入力情報および移動体の重量の少なくとも何れかと、に基づいて、進路で必要とされるシャフトの必要トルクを推定してもよい。
【0007】
入力情報は、移動体を加速させるための入力、および、移動体を減速させるための入力、の少なくとも何れかに関する情報を含んでもよい。
【0008】
トルク制御部は、第1モータおよび第2モータの着磁状態を維持している間に、必要トルクが第1モータの出力トルク以下であると判断した場合に、第2モータを減磁状態に切り替えてトルクを減らすよう制御してもよい。
【0009】
トルク制御部は、第1モータの着磁状態および第2モータの減磁状態を維持している間に、必要トルクが第1モータの出力トルクよりも大きいと判断した場合に、第2モータを着磁状態に切り替えてトルクを増やすよう制御してもよい。
【0010】
トルク制御部は、第2モータを着磁状態および減磁状態の一方から他方へ切り替える間、第1モータを0トルク制御して第1モータの出力トルクがシャフトに伝動しない状態としてもよい。
【0011】
進路情報は、進路が登り斜面、平面および下り斜面の何れかであること、および、進路が低速道路および高速道路の何れかであること、の少なくとも何れかを示してもよい。取得部は、(1)進路および進路の周囲の指標の少なくとも何れかに対する撮像およびセンシングの少なくとも何れかの結果に基づいて進路情報を推定すること、並びに、(2)GPSから受信したGPS情報および移動体が保有する地図情報の少なくとも何れかに基づいて進路情報を推定すること、の少なくとも何れかによって進路情報を取得してもよい。
【0012】
移動体は、第1モータの回転数を制御する第1インバータ、および、第2モータの回転数を制御する第2インバータを更に備えてもよい。移動体は、第1モータ、第2モータ、第1インバータ、および、第2インバータ、のそれぞれの故障を検知する検知部を更に備えてもよい。トルク制御部は、第1モータおよび第1インバータの少なくとも何れか、並びに、第2モータおよび第2インバータの少なくとも何れか、の一方の故障が検知された場合に、進路情報に拘わらず、(1)一方の側のモータを停止して他方の側のモータの着磁状態を維持する、または、(2)一方の側のモータを停止して他方の側のモータを着磁状態に切り替える、よう制御してもよい。
【0013】
本発明の第2の態様においては、移動体を制御するための制御方法を提供する。制御方法は、移動体の進路の進路情報を取得する取得段階を備えてもよい。制御方法は、移動体を駆動するシャフト上に同軸で接続された第1モータおよび第2モータのそれぞれを独立して着磁状態または減磁状態に切り替えることにより、シャフトのトルクを増減させるよう制御する制御段階を備えてもよい。制御段階は、第1モータの着磁状態を維持している間に、これからトルクを増減させる必要があると進路情報から判断した場合に、第2モータを着磁状態および減磁状態の一方から他方へ切り替えることを含んでもよい。
【0014】
本発明の第3の態様においては、移動体を制御するためのプログラムを提供する。プログラムはコンピュータに、移動体の進路の進路情報を取得する取得手順を実行させてもよい。プログラムはコンピュータに、移動体を駆動するシャフト上に同軸で接続された第1モータおよび第2モータのそれぞれを独立して着磁状態または減磁状態に切り替えることにより、シャフトのトルクを増減させるよう制御する制御手順を実行させてもよい。制御手順は、第1モータの着磁状態を維持している間に、これからトルクを増減させる必要があると進路情報から判断した場合に、第2モータを着磁状態および減磁状態の一方から他方へ切り替えることを含んでもよい。
【0015】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態に係る車両20の利用形態を模式的に示す。
【
図4】一実施形態に係る、車両20を制御するための制御方法のフローを示す。
【
図5】
図4に示す制御方法のフローのサブルーチンを示す。
【
図6】SOCによるモータトルク特性を説明するグラフ例を示す。
【
図7】
図4のフロー中に故障が検知された場合の例外処理フローを示す。
【
図8】車両20内の制御システム1000の実装例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
図1は、一実施形態に係る車両20の利用形態を模式的に示す。車両20は、制御装置100を備える。本実施形態による車両20は、複数のモータで駆動する電気自動車である。車両20は、内燃機関を追加的に備えるハイブリッドカー、燃料電池自動車(FCV)等であってよい。車両20は、移動体の一例である。
【0019】
図1に示すように、車両20は、道路10上を走行する。道路10は、一例として、登り斜面、平面、下り斜面などを含んでもよい。道路10は、一般道、すなわち低速道路であってもよく、高速道路であってもよい。また、道路10上や道路10の周囲には、道路10の勾配有無や傾斜率などの形状変化を示す指標や、道路10に設定された指定速度、制限速度などの交通ルールを示す指標などが設けられていてもよい。
【0020】
図1において、[A]、[B]、[D]および[E]は、車両20が道路10の平面を走行中の状態を示し、[C]は、車両20が道路10の登り斜面を走行中の状態を示す。車両20の制御装置100は、道路10を走行中の車両20におけるエネルギー効率の悪化を防止することを目的として、走行中にメインモータの駆動力が不足する前にサブモータを着磁して、メインモータおよびサブモータの複合駆動力が過大になる前にサブモータを減磁するように制御する。
【0021】
なお、道路10は進路の一例である。本明細書において、車両20の進路とは、車両20が進んでいく道、行く手、または車両20の少し先の道を意図し、車両20の現在位置に対して、車両20の進行しようとする方向における任意の移動予定経路を指してもよい。具体的な一例として、車両20の進行方向における、車両20の数メートル~数百メートル前方の道を指してもよい。なお、進行方向は、車両20が前進する方向であってもよく、後進する方向であってもよい。
【0022】
図2は、車両20の機能構成を模式的に示す。
図2では、車両20の一部の図示を省略している。
図2において、信号の入出力を矢印で示し、各機能構成間の電気的および/または通信的な接続を細線で示す。
【0023】
図2に示すように、車両20には少なくとも、プロペラシャフト22、リアドライブシャフト24、プロペラシャフト22のトルクをリアドライブシャフト24に伝動させるデファレンシャルギア26、リアドライブシャフト24の両端に固定された後輪28、等が装備されている。プロペラシャフト22は、車両20を駆動するシャフトの一例である。
【0024】
車両20は更に、第1モータ30と、第2モータ40とを備える。本実施形態による車両20は更に、第1インバータ35と、第2インバータ45と、バッテリ50と、検知部60とを更に備える。なお、以降の説明において、第1モータ30および第1インバータ35を第1ユニット36と称する場合があり、同様に、第2モータ40および第2インバータ45を第2ユニット46と称する場合がある。
【0025】
図2に示すように、第1モータ30および第2モータ40は、プロペラシャフト22上に同軸で接続されている。第1モータ30および第2モータ40は、車両20を駆動する他のシャフト上に同軸で接続されていてもよい。なお、第1モータ30および第2モータ40は、直列で接続されている、と定義してもよい。
【0026】
第1モータ30は、車両20のイグニッションスイッチがオンの状態において、第1ユニット36が故障しない限り、車両20を駆動するために常時駆動する、すなわち常時着磁状態にあるメインモータである。
【0027】
第2モータ40は、例えば、車両20が走行する道路10で必要とされるプロペラシャフト22の必要トルクが、プロペラシャフト22に対する第1モータ30の出力トルクよりも大きくなると推定される場合に、駆動するよう制御されるサブモータである。換言すると、第2モータ40は、車両20が第1モータ30の駆動力だけで道路10を走行する場合に、駆動力が不十分であると予想された場合に、着磁状態に切り替えられて駆動力を追加する。
【0028】
ここで、IPMモータのような永久磁石を用いるモータの場合、モータに電流を供給していない状態であっても、駆動シャフトに固定されたロータとステータとの間で、すなわち永久磁石と鉄との間で磁力が働くことで逆起電力が発生し、駆動シャフトの回転エネルギーに損失を与える。このような現象を、引き摺りトルクが発生する、と称する場合がある。
【0029】
これに対して、本実施形態における車両20は、着磁状態または減磁状態に切り替え可能な第1モータ30および第2モータ40を備える。車両20は、駆動していないモータ、例えば駆動させる必要が無いサブモータや、故障により駆動させることが出来ないモータなどを減磁状態にすることで、引き摺りトルクに起因するエネルギー損失の発生を抑止することができる。
【0030】
なお、第1モータ30および第2モータ40における着磁状態または減磁状態への切り替えは,磁界を外部からかけることで行う。例えば、第1モータ30等におけるステータのコイルにパルス状の大きな電流を流すことで磁界を発生させ、当該磁界の向きを第1モータ30等におけるロータの磁石の磁性方向と反対向きにすることで第1モータ30等を減磁し、当磁性方向と同じ向きにすることで第1モータ30等を着磁する。
【0031】
第1インバータ35は、制御装置100の指令により、第1モータ30の回転数を制御する。第2インバータ45は、制御装置100の指令により、第2モータ40の回転数を制御する。
【0032】
バッテリ50は、制御装置100の指令により、第1インバータ35および第2インバータ45のそれぞれに電力を供給し、これにより、第1モータ30および第2モータ40のそれぞれを駆動させる。なお、バッテリ50は、第1モータ30のバッテリや、第2モータ40のバッテリなどと称する場合がある。
【0033】
検知部60は、一例として、複数のセンサ群やカメラなどを含み、検知した情報を制御装置100に出力する。本実施形態における検知部60は、車両20の進路および進路の周囲の指標の少なくとも何れかを、撮像したりセンシングしたりする。このような検知部60を備える車両20は、ADAS(Advanced Driver Assistance System:先進運転支援システム)を実装している、とも言える。なお、ADASとは、ABS(Anti-lock Braking System)やブレーキアシスト(Brake Assist、BA)などの支援システムに加えて、車に搭載したカメラやミリ波レーダーなどのセンサから周囲の状況を認識し、ドライバの運転を高度に支援する様々な機能を総称したものである。
【0034】
本実施形態における検知部60は更に、第1モータ30、第2モータ40、第1インバータ35、および、第2インバータ45、のそれぞれの故障を検知する。
【0035】
本実施形態における検知部60は更に、第1インバータ35に電力を供給するバッテリ50のバッテリ残量(SOC:State of Capacity)を検知する。検知部60は更に、第2インバータ45に電力を供給するバッテリ50のSOCを検知してもよい。
【0036】
本実施形態における検知部60は更に、車両20のユーザ、すなわち運転手による入力情報を検知する。入力情報は、移動体を加速させるための入力、および、移動体を減速させるための入力、の少なくとも何れかに関する情報を含んでもよい。入力情報は、例えばアクセル開度情報や、ブレーキ情報である。
【0037】
本実施形態における検知部60は更に、車両20の重量を検知する。検知部60は、例えば車両20のサスペンションに配置されたストロークセンサやロードセルなどを含んでもよい。
【0038】
図3は、車両20の機能構成を模式的に示す。
図3では、
図2と同様に、信号の入出力を矢印で示し、各機能構成間の電気的および/または通信的な接続を細線で示す。
【0039】
図3に示すように、制御装置100、第1インバータ35、第2インバータ45、バッテリ50、検知部60等は、車両内ネットワーク70で互いに接続されている。車両20は、制御装置100等以外に、例えば他の駆動系機器、情報通信系機器等を備えてもよく、すなわち、制御装置100等は、車両内ネットワーク70で他の機器に接続されてもよい。車両内ネットワーク70は、イーサネット(登録商標)ワークや、CAN(Controller Area Network)などを含んでよい。
【0040】
制御装置100は、取得部101と、トルク制御部103とを備える。取得部101は、車両20の進路の進路情報を取得する。進路情報は、車両20の進路が登り斜面、平面および下り斜面の何れかであること、および、進路が低速道路および高速道路の何れかであること、の少なくとも何れかを示してもよい。
【0041】
取得部101は、進路および進路の周囲の指標の少なくとも何れかに対する撮像およびセンシングの少なくとも何れかの結果に基づいて進路情報を推定することにより、進路情報を取得してもよい。本実施形態における取得部101は、検知部60から入力される情報に基づいて、進路情報を推定する。取得部101は、取得した進路情報をトルク制御部103に出力する。
【0042】
取得部101は、追加的に又は代替的に、GPSから受信したGPS情報および移動体が保有する地図情報の少なくとも何れかに基づいて進路情報を推定してもよい。この場合、取得部101は、移動体通信網を介して外部装置と通信を行ってもよい。
【0043】
トルク制御部103は、第1モータ30および第2モータ40のそれぞれを独立して着磁状態または減磁状態に切り替えることにより、プロペラシャフト22のトルクを増減させるよう制御する。
【0044】
トルク制御部103は、第1モータ30の着磁状態を維持している間に、これからプロペラシャフト22のトルクを増減させる必要があると進路情報から判断した場合に、第2モータ40を着磁状態および減磁状態の一方から他方へ切り替える。
【0045】
トルク制御部103は、第2モータ40を着磁状態および減磁状態の一方から他方へ切り替える間、第1モータ30を0トルク制御して第1モータ30の出力トルクがプロペラシャフト22に伝動しない状態としてもよい。これにより、車両20は、トルクショックが生じることを回避できる。
【0046】
図4は、一実施形態に係る、車両20を制御するための制御方法のフローを示す。当該フローは、例えば、ユーザが車両20のイグニッションスイッチをオンの状態にすることにより開始してもよい。
【0047】
車両20は、車両20の進路の進路情報を取得する取得段階を実行する(ステップS101)。車両20は、第1モータ30および第2モータ40のそれぞれを独立して着磁状態または減磁状態に切り替えることにより、プロペラシャフト22のトルクを増減させるよう制御するトルク制御段階を実行する(ステップS103)。
【0048】
ステップS103のトルク制御段階は、第1モータ30の着磁状態を維持している間に、これからトルクを増減させる必要があると進路情報から判断した場合に、第2モータ40を着磁状態および減磁状態の一方から他方へ切り替えることを含む。
【0049】
車両20は、例えば、車両20のイグニッションスイッチがオンの状態である間は、
図4のフローを繰り返してもよい。
【0050】
図5は、
図4に示す制御方法のフローのサブルーチンを示す。
図4のフローにおけるステップS103のトルク制御段階は、
図5に示すフローを含む。車両20は、
図4のフローにおけるステップS103のトルク制御段階を実行することにより、
図5のフローを開始する。
【0051】
車両20の制御装置100におけるトルク制御部103は、進路情報に基づいて、進路で必要とされるプロペラシャフト22の必要トルクを推定してもよい。トルク制御部103は、進路情報と、上述した入力情報および車両20の重量の少なくとも何れかと、に基づいて、当該必要トルクを推定してもよい。なお、トルク制御部103は、制御装置100のメモリを参照することにより、進路情報と必要トルクとの関係性を示す関数や、アクセル開度と必要トルクとの関係性を示す関数や、車両20の重量と必要トルクとの関係性を示す関数や、進路情報と、アクセル開度および車両20の重量の少なくとも何れかと、必要トルクとの関係性を示す関数などを用いて、必要トルクを推定してもよい。
【0052】
本実施形態では、車両20は、進路情報と、入力情報および重量とに基づいて、必要トルクを推定する(ステップS201)。
【0053】
トルク制御部103は、第1モータ30に電力を供給するバッテリ50のSOCに基づいて、着磁状態にある第1モータ30の出力トルクを算出してもよい。また、トルク制御部103は、推定した必要トルクと、着磁状態にある第1モータ30の出力トルクとに基づいて、これからプロペラシャフト22のトルクを増減させる必要があるか否かを判断してもよい。
【0054】
本実施形態では、車両20は、第1モータ30の出力トルクを算出し(ステップS203)、推定した必要トルクが第1モータ30の出力トルク以下であるか否かを判断する(ステップS205)。
【0055】
トルク制御部103は、第1モータ30および第2モータ40の着磁状態を維持している間に、推定した必要トルクが第1モータ30の出力トルク以下であると判断した場合に、第2モータ40を減磁状態に切り替えてトルクを減らすよう制御してもよい。また、トルク制御部103は、第1モータ30の着磁状態および第2モータ40の減磁状態を維持している間に、当該必要トルクが第1モータ30の出力トルクよりも大きいと判断した場合に、第2モータ40を着磁状態に切り替えてトルクを増やすよう制御してもよい。
【0056】
本実施形態では、車両20は、推定した必要トルクが第1モータ30の出力トルク以下であると判断した場合に(ステップS205:YES)、第2モータ40が着磁状態であれば(ステップS211:YES)、第2モータ40を減磁状態に切り替えて(ステップS213)、当該フローを終了する。また、車両20は、推定した必要トルクが第1モータ30の出力トルク以下であると判断した場合に(ステップS205:YES)、第2モータ40が着磁状態でなければ(ステップS211:NO)、当該フローを終了する。
【0057】
また、車両20は、推定した必要トルクが第1モータ30の出力トルクよりも大きいと判断した場合に(ステップS205:NO)、第2モータ40が着磁状態でなければ(ステップS207:NO)、第2モータ40を着磁状態に切り替えて(ステップS209)、当該フローを終了する。また、車両20は、推定した必要トルクが第1モータ30の出力トルクよりも大きいと判断した場合に(ステップS205:NO)、第2モータ40が着磁状態であれば(ステップS207:YES)、当該フローを終了する。
【0058】
図6は、SOCによるモータトルク特性を説明するグラフ例を示す。グラフの横軸は回転数を指し、縦軸はトルクを指す。グラフには、第1モータ30の出力アウトラインと、第1モータ30および第2モータ40の複合出力アウトラインとをそれぞれ太い線で示す。ただし、当グラフ中、第1モータ30の出力アウトラインについては、バッテリ50の残量、すなわちSOCが低下する前の状態を破線で示し、SOCが低下した後の状態を実線で示す。また、当グラフ中、これらの破線と実践との間に、SOC低下による第1モータ30の出力アウトラインの変移方向を白抜きの矢印で示す。なお、上述の第1モータ30の出力アウトラインは、第1モータ30のみを駆動させた場合における車両20の出力アウトラインを意図し、上述の複合出力アウトラインは、第1モータ30および第2モータ40の両方を駆動させた場合における車両20の出力アウトラインを意図する。
【0059】
また、当グラフには、車両20が進路を走行中に必要とされる必要出力を黒い点で示し、当該必要出力に対応する必要トルクおよび必要回転数をそれぞれ、縦軸および横軸に示す。また、当グラフには、バッテリ50のSOCが低下した後の、第1モータ30が出力可能な範囲を斜線領域で示す。
【0060】
上述の通り、トルク制御部103は、バッテリ50のSOCに基づいて、着磁状態にある第1モータ30の出力トルクを算出し、推定した必要トルクと当該出力トルクとに基づいて、これからプロペラシャフト22のトルクを増減させる必要があるか否かを判断してもよい。例えば
図6のグラフにおいて、トルク制御部103は、第1モータ30のみを駆動させている状態において、必要出力の点が、第1モータ30が出力可能な範囲内に位置していない場合に、これからプロペラシャフト22のトルクを増加させる必要があると判断し、第2モータ40を着磁状態に切り替えてもよい。また例えば、トルク制御部103は、第1モータ30および第2モータ40の両方を駆動させている状態において、必要出力の点が、第1モータ30が出力可能な範囲内に位置している場合に、これからプロペラシャフト22のトルクを減少させる必要があると判断し、第2モータ40を減磁状態に切り替えてもよい。このように、車両20は、より効率的に車両20を駆動するべく、第1モータ30および第2モータ40のそれぞれを独立して着磁状態または減磁状態に切り替える。
【0061】
なお、制御装置100は、少なくとも、第1モータ30の出力アウトラインと、第1モータ30および第2モータ40の複合出力アウトラインとをそれぞれ特定するための、回転数およびトルクの関係性を示す関数をメモリに格納していてもよい。制御装置100は、第2モータ40の出力アウトラインを特定するための当該関数をメモリに格納していてもよい。
【0062】
図7は、
図4のフロー中に故障が検知された場合の例外処理フローを示す。車両20は、例えば、
図4のフロー中に、第1ユニット36および第2ユニット46の何れか一方において故障を検知した場合に、
図7のフローを開始する。換言すると、車両20は、
図4のフロー中の任意のタイミングで当該故障を検知した場合に、
図4のフローを中断し、
図7の例外処理フローに切り替える。
【0063】
トルク制御部103は、第1ユニット36および第2ユニット46の一方の故障が検知された場合に、進路情報に拘わらず、(1)当該一方の側のモータを停止して他方の側のモータの着磁状態を維持する、または、(2)当該一方の側のモータを停止して他方の側のモータを着磁状態に切り替える、よう制御してもよい。なお、トルク制御部103は、故障が検知されたユニット側のインバータの三相短絡制御または全相遮断を実行することにより、当該ユニット側のモータを停止してもよい。
【0064】
本実施形態では、車両20は、故障が検知されたユニット側のモータを停止し(ステップS301)、故障が検知されていないユニット側のモータが着磁状態ではない場合に(ステップS303:NO)、当モータを着磁状態に切り替えて、当該フローを終了する。また、車両20は、故障が検知されていないユニット側のモータが着磁状態である場合に(ステップS303:YES)、当該フローを終了する。
【0065】
車両20は、
図7の例外処理フローに切り替えた後は、故障が検知されている限りにおいて、すなわち故障していた箇所が修理されるまで、
図4のフローを再開しない。例えば、車両20のイグニッションスイッチがオンの状態の間に故障が検知されなくなった場合に、
図4のフローを再開してもよい。また、車両20のイグニッションスイッチがオフの状態からオンの状態になった際に故障が検知されない限りは、
図4のフローを再開してもよい。
【0066】
本実施形態による制御装置100を備える車両20との第1比較例として、例えば、車が登り斜面を走行し始めてメインモータの駆動力が不足している状態となった後に、トルクショックを回避するべくメインモータを0トルク制御し、サブモータを着磁した後、両モータでの駆動を開始することが考えられる。この場合、登坂中にメインモータを0トルク制御することによって過大なトルク抜けが発生するため、急激に速度低下した車を再加速する際にエネルギー損失が生じる。
【0067】
また、制御装置100を備える車両20との第2比較例として、例えば、車がメインモータおよびサブモータの両方を駆動させた状態で登り斜面を登り終えて平坦路または下り斜面に入り、両モータによる駆動力が過大な状態となった後に、サブモータを減磁することが考えられる。この場合、駆動力が過大な状態は、エネルギーロスを生じさせている。
【0068】
これに対して、本実施形態による制御装置100を備える車両20によれば、車両20の進路の進路情報を取得し、第1モータ30の着磁状態を維持している間に、これからプロペラシャフト22のトルクを増減させる必要があると進路情報から判断した場合に、第2モータ40を着磁状態および減磁状態の一方から他方へ切り替えるよう制御する。例えば、車両20は、第1モータ30の着磁状態を維持している状態で、上り坂や高速区間に差し掛かる前に第2モータ40を着磁状態に切り替え、その後、平坦路または下り坂や低速区間に差し掛かる前に第2モータ40を減磁状態に切り替える。
【0069】
このような構成を備える車両20によれば、上述の比較例1のように過大なトルク抜けによるエネルギー損失が生じることや、上述の比較例2のように過大な駆動力によるエネルギーロスが生じること、などを回避することができるため、エネルギー効率の悪化を防止できる。また、車両20は、車両20が進路を走行するのに必要とされる必要トルクを推定する際に、アクセル開度情報のような入力情報や、車両20の重量などを考慮することで、推定精度を高めることができる。また同様に、車両20は、第1モータ30に電力を供給するバッテリ50のSOCを考慮して、着磁状態にある第1モータ30の出力トルクを算出することにより、これからプロペラシャフト22のトルクを増減させる必要があるか否かを判断することで、当該判断の精度を向上させることができる。
【0070】
図8は、車両20の制御システムの実装例を示す。制御システム1000は、コアECU1010と、TCU1020と、AD/ADAS ECU1021と、情報系ECU1022と、エリアECU1023と、エリアECU1024と、センサ機器1040と、情報系機器1041と、駆動系機器1030と、快適系機器1031と、アラーム系機器1032と、視界系機器1033と、先進安全系機器1034と、防盗系機器1035と、灯体系機器1036と、ドア系機器1037と、ドライブポジション系機器1038と、開閉系機器1039と、通信ネットワーク1080と、通信ネットワーク1081と、通信ネットワーク1082と、通信ネットワーク1084と、通信ネットワーク1085とを備える。AD/ADAS ECU1021は、自動運転(AD)、先進運転支援システム(ADAS)に関する制御を行うECUである。
【0071】
TCU1020はテレマティクス制御ユニットである。TCU1020は、上述した制御装置100の一実装例である。なお、TCU1020及びコアECU1010が協働して、上述した制御装置100として機能してもよい。
【0072】
通信ネットワーク1080、通信ネットワーク1081、通信ネットワーク1082、通信ネットワーク1084、及び通信ネットワーク1085は、車両内ネットワーク29の一実装例である。通信ネットワーク1080、通信ネットワーク1081、通信ネットワーク1082、通信ネットワーク1084及び通信ネットワーク1085は、イーサネット(登録商標)ワークを備えてよい。TCU1020、コアECU1010、AD/ADAS ECU1021、情報系ECU1022、エリアECU1023、及びエリアECU1024は、通信ネットワーク1080、通信ネットワーク1081、通信ネットワーク1082、通信ネットワーク1084及び通信ネットワーク1085を介してIP通信可能であってよい。なお、通信ネットワーク1084及び通信ネットワーク1085は、CANを備えてよい。
【0073】
センサ機器1040は、カメラ、レータ及びLIDARを含むセンサを備える。AD/ADAS ECU1021は、バスを通じてセンサ機器1040が備える各センサに接続され、センサ機器1040が備える各センサを制御するとともに、各センサが検出した情報を取得する。
【0074】
情報系機器1041は、メータ機器、ディプレイ機器、チューナ、プレーヤ、DSRC(狭域通信)システム、無線充電器及びUSBポートを含む機器を備える。情報系ECU1022は、バスを通じて情報系機器1041が備える各機器に接続され、情報系機器1041が備える各機器を制御する。情報系機器1041は、情報通信機器、マルチメディア関連機器、ユーザインタフェース機器を含む。
【0075】
駆動系機器1030は、電動パーキングブレーキ(EPB)、電動パワーステアリングシステム(EPS)、車両挙動安定化制御システム(VSA)、シフター(SHIFTER)、パワー・ドライブ・ユニット(PDU)、インテリジェントパワーユニット(IPU)、及び燃料噴射装置(FI)を含む機器を備える。駆動系機器1030は、バスを通じて駆動系機器1030が備える各機器に接続され、駆動系機器1030が備える各機器を制御する。
【0076】
エリアECU1024は、バスを通じて、快適系機器1031、アラーム系機器1032、視界系機器1033、先進安全系機器1034、防盗系機器1035、灯体系機器1036、ドア系機器1037、ドライブポジション系機器1038、及び開閉系機器1039と接続され、快適系機器1031、アラーム系機器1032、視界系機器1033、先進安全系機器1034、防盗系機器1035、灯体系機器1036、ドア系機器1037、ドライブポジション系機器1038、及び開閉系機器1039が備える機器を制御する。快適系機器1031、アラーム系機器1032、視界系機器1033、先進安全系機器1034、防盗系機器1035、灯体系機器1036、ドア系機器1037、ドライブポジション系機器1038、及び開閉系機器1039と接続される。快適系機器1031、アラーム系機器1032、視界系機器1033、先進安全系機器1034、防盗系機器1035、灯体系機器1036、ドア系機器1037、ドライブポジション系機器1038、及び開閉系機器1039は、主として車両20の補機を含む。
【0077】
駆動系機器1030、センサ機器1040、快適系機器1031、アラーム系機器1032、視界系機器1033、先進安全系機器1034、防盗系機器1035、灯体系機器1036、ドア系機器1037、ドライブポジション系機器1038、及び開閉系機器1039は、車両20の制御系の機器である。情報系機器1041は非制御系の機器である。
【0078】
センサ機器1040、駆動系機器1030、快適系機器1031、アラーム系機器1032、視界系機器1033、先進安全系機器1034、防盗系機器1035、灯体系機器1036、ドア系機器1037、ドライブポジション系機器1038、及び開閉系機器1039が含む機器に関するデータ通信は、情報系機器1041が含む機器に関するデータ通信と比べて、優先度が低くてよい。
【0079】
図9は、本発明の複数の実施形態が全体的又は部分的に具現化され得るコンピュータ2000の例を示す。コンピュータ2000にインストールされたプログラムは、コンピュータ2000を、実施形態に係る情報処理装置等の装置又は当該装置の各部として機能させる、当該装置又は当該装置の各部に関連付けられるオペレーションを実行させる、及び/又は、実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2000に、本明細書に記載の処理手順及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU2012によって実行されてよい。
【0080】
本実施形態によるコンピュータ2000は、CPU2012、及びRAM2014を含み、それらはホストコントローラ2010によって相互に接続されている。コンピュータ2000はまた、ROM2026、フラッシュメモリ2024、通信インタフェース2022、及び入力/出力チップ2040を含む。ROM2026、フラッシュメモリ2024、通信インタフェース2022、及び入力/出力チップ2040は、入力/出力コントローラ2020を介してホストコントローラ2010に接続されている。
【0081】
CPU2012は、ROM2026及びRAM2014内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。
【0082】
通信インタフェース2022は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。フラッシュメモリ2024は、コンピュータ2000内のCPU2012によって使用されるプログラム及びデータを格納する。ROM2026は、アクティブ化時にコンピュータ2000によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ2000のハードウエアに依存するプログラムを格納する。入力/出力チップ2040はまた、キーボード、マウス及びモニタ等の様々な入力/出力ユニットをシリアルポート、パラレルポート、キーボードポート、マウスポート、モニタポート、USBポート、HDMI(登録商標)ポート等の入力/出力ポートを介して、入力/出力コントローラ2020に接続してよい。
【0083】
プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、又はメモリカードのようなコンピュータ可読記憶媒体又はネットワークを介して提供される。RAM2014、ROM2026、又はフラッシュメモリ2024は、コンピュータ可読記憶媒体の例である。プログラムは、フラッシュメモリ2024、RAM2014、又はROM2026にインストールされ、CPU2012によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2000に読み取られ、プログラムと上記様々なタイプのハードウエアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ2000の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0084】
例えば、コンピュータ2000及び外部デバイス間で通信が実行される場合、CPU2012は、RAM2014にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2022に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2022は、CPU2012の制御下、RAM2014及びフラッシュメモリ2024のような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取った送信データをネットワークに送信し、ネットワークから受信された受信データを、記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0085】
また、CPU2012は、フラッシュメモリ2024等のような記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM2014に読み取られるようにし、RAM2014上のデータに対し様々な種類の処理を実行してよい。CPU2012は次に、処理されたデータを記録媒体にライトバックする。
【0086】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理にかけられてよい。CPU2012は、RAM2014から読み取られたデータに対し、本明細書に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々な種類のオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々な種類の処理を実行してよく、結果をRAM2014にライトバックする。また、CPU2012は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2012は、第1の属性の属性値が指定されている、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0087】
上で説明したプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ2000上又はコンピュータ2000近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能である。コンピュータ可読記憶媒体に格納されたプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2000に提供してよい。
【0088】
コンピュータ2000にインストールされ、コンピュータ2000を制御装置100として機能させるプログラムは、CPU2012等に働きかけて、コンピュータ2000を、制御装置100の各部としてそれぞれ機能させてよい。これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ2000に読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段である制御装置100の各部として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ2000の使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の制御装置100が構築される。
【0089】
様々な実施形態が、ブロック図等を参照して説明された。ブロック図において各ブロックは、(1)オペレーションが実行されるプロセスの段階又は(2)オペレーションを実行する役割を持つ装置の各部を表わしてよい。特定の段階及び各部が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウエア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、及び他の論理オペレーション、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウエア回路を含んでよい。
【0090】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、処理手順又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段をもたらすべく実行され得る命令を含む製品の少なくとも一部を構成する。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0091】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0092】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ又はプログラマブル回路に対し、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、説明された処理手順又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段をもたらすべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0093】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0094】
例えば、車両20および制御装置100はそれぞれ、
図2および
図3に示した機能ブロック以外の1又は複数の機能ブロックを備えてよい。
【0095】
例えば、車両20は、第1ユニット36等を3組以上備えてもよく、すなわち、直列で接続された3つ以上のモータを備えてもよく、更に追加的に、並列で接続された1又は複数のモータを備えてもよい。なお、これらのユニットは、制御装置100によって個別に制御され得る。
【0096】
例えば、制御装置100を備える移動体としては、車両20のような四輪自動車の他に、二輪車、三輪車などの他の自動車の他、鞍乗型車両、船舶など、モータ駆動する任意のものであってもよい。また、移動体は、人を乗せる輸送機器に限らず、移動可能な任意の機器、例えば無人で動作する機器であってよい。
【0097】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0098】
10 道路
20 車両
22 プロペラシャフト
24 リアドライブシャフト
26 デファレンシャルギア
28 後輪
30 第1モータ
35 第1インバータ
36 第1ユニット
40 第2モータ
45 第2インバータ
46 第2ユニット
50 バッテリ
60 検知部
70 車両内ネットワーク
100 制御装置
101 取得部
103 トルク制御部
1000 制御システム
1010 コアECU
1020 TCU
1021 AD/ADAS ECU
1022 情報系ECU
1023 エリアECU
1024 エリアECU
1030 駆動系機器
1031 快適系機器
1032 アラーム系機器
1033 視界系機器
1034 先進安全系機器
1035 防盗系機器
1036 灯体系機器
1037 ドア系機器
1038 ドライブポジション系機器
1039 開閉系機器
1040 センサ機器
1041 情報系機器
1080 通信ネットワーク
1081 通信ネットワーク
1082 通信ネットワーク
1084 通信ネットワーク
1085 通信ネットワーク
2000 コンピュータ
2010 ホストコントローラ
2012 CPU
2014 RAM
2020 入力/出力コントローラ
2022 通信インタフェース
2024 フラッシュメモリ
2026 ROM
2040 入力/出力チップ