(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156930
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】色チャート作成プログラム、色チャート作成方法、および色チャート作成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/525 20060101AFI20221006BHJP
H04N 1/60 20060101ALI20221006BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B41J2/525
H04N1/60 300
H04N1/60 160
G06T1/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060874
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100213687
【弁理士】
【氏名又は名称】平松 大輝
(72)【発明者】
【氏名】森川 彰太
(72)【発明者】
【氏名】梅津 翼
(72)【発明者】
【氏名】奥津 育美
【テーマコード(参考)】
2C262
5B057
5C079
【Fターム(参考)】
2C262AA02
2C262AB11
2C262BA02
2C262BA16
2C262BA19
2C262BC19
2C262EA13
2C262FA13
2C262GA52
5B057AA11
5B057BA23
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE17
5B057CE18
5B057CH07
5B057DA15
5B057DA16
5C079HB01
5C079HB03
5C079HB06
5C079HB08
5C079HB12
5C079KA15
5C079LB01
5C079MA10
5C079MA20
5C079NA03
5C079PA03
(57)【要約】
【課題】印刷設定の変更前後の色チャートの違いを容易に把握できる色チャート作成プログラム、色チャート作成方法、および色チャート作成装置を提供する。
【解決手段】色チャート作成装置は制御部を備える。制御部は、指定色を取得する取得処理を行う。制御部は、色チャートを作成する色チャート作成処理を行う。色チャートには、取得処理によって取得された指定色に基づく色パッチが複数配置される。色パッチは、プリンタの印刷設定に基づく色域内の色を有する。色チャート作成処理において、制御部はプリンタの第一印刷設定に基づく第一色チャート51と、プリンタの第二印刷設定に基づく第二色チャート61とを作成する。第二印刷設定は第一印刷設定とは異なる印刷設定である。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
指定色を取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって取得された前記指定色に基づく色パッチであって、プリンタの印刷設定に基づく色域内の色を有する前記色パッチが複数配置された色チャートを作成するステップであって、前記プリンタの第一印刷設定に基づく前記色チャートである第一色チャートと、前記第一印刷設定とは異なる前記プリンタの第二印刷設定に基づく前記色チャートである第二色チャートとを作成する色チャート作成ステップと
を実行させる色チャート作成プログラム。
【請求項2】
前記色チャート作成ステップは、前記プリンタの制御に関する印刷制御設定、前記プリンタによる印刷が行われる印刷媒体に関する印刷媒体設定、および前記プリンタによる印刷で使用されるインクに関するインク設定の少なくともいずれかが前記第一印刷設定とは異なる前記第二印刷設定に基づく前記第二色チャートを作成する
ことを特徴とする請求項1に記載の色チャート作成プログラム。
【請求項3】
前記色チャート作成ステップは、前記プリンタによるカラーインクの塗布よりも前に行われる前処理、および前記プリンタによるカラーインクの塗布よりも後に行われる後処理の少なくとも一方の処理条件が前記第一印刷設定とは異なる前記第二印刷設定に基づく前記第二色チャートを作成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の色チャート作成プログラム。
【請求項4】
前記色チャート作成ステップは、前記第一印刷設定に基づく前記色域を規定する彩度、明度、および色相の少なくともいずれかの範囲において前記第一色チャートを構成する複数の前記色パッチの色の位置を示す第一俯瞰図と、前記第二印刷設定に基づく前記色域を規定する彩度、明度、および色相の少なくともいずれかの範囲において前記第二色チャートを構成する複数の前記色パッチの色の位置を示す第二俯瞰図とをさらに作成する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の色チャート作成プログラム。
【請求項5】
前記色チャート作成ステップは、前記第一色チャートまたは前記第二色チャートを構成する複数の前記色パッチの中に、明度を固定した場合の彩度の第一限界色および彩度を固定した場合の明度の第二限界色の少なくともいずれかがある場合、前記第一限界色および前記第二限界色を示す限界表示をさらに作成する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の色チャート作成プログラム。
【請求項6】
前記コンピュータに、
前記色チャート作成ステップによって前記第一色チャートおよび前記第二色チャートが作成されるたびに、前記取得ステップで取得された前記指定色に基づく基準色に関する情報を記憶する記憶ステップを実行させ、
前記色チャート作成ステップは、前記基準色の前記色パッチを含む前記第一色チャートおよび前記第二色チャートを作成し、且つ前記記憶ステップによって記憶された前記情報に基づいて前記基準色に関する履歴をさらに作成する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の色チャート作成プログラム。
【請求項7】
前記コンピュータに、
前記色チャート作成ステップによって作成された前記第二色チャートを構成する前記複数の色パッチのうち選択された前記色パッチの色を前記指定色として印刷データを作成する印刷データ作成ステップを実行させることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の色チャート作成プログラム。
【請求項8】
指定色を取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって取得された前記指定色に基づく色パッチであって、プリンタの印刷設定に基づく色域内の色を有する前記色パッチが複数配置された色チャートを作成するステップであって、前記プリンタの第一印刷設定に基づく前記色チャートである第一色チャートと、前記第一印刷設定とは異なる前記プリンタの第二印刷設定に基づく前記色チャートである第二色チャートとを作成する色チャート作成ステップと
を備えたことを特徴とする色チャート作成方法。
【請求項9】
制御部を備え、
前記制御部は、
指定色を取得する取得処理と、
前記取得処理によって取得された前記指定色に基づく色パッチであって、プリンタの印刷設定に基づく色域内の色を有する前記色パッチが複数配置された色チャートを作成する処理であって、前記プリンタの第一印刷設定に基づく前記色チャートである第一色チャートと、前記第一印刷設定とは異なる前記プリンタの第二印刷設定に基づく前記色チャートである第二色チャートとを作成する色チャート作成処理と
を備えたことを特徴とする色チャート作成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色チャート作成プログラム、色チャート作成方法、および色チャート作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の色チャート作成方法では、プリンタは指定色を取得し、取得した指定色がプリンタの色域内に存在するかを判断する。プリンタは判断結果に応じて色パッチの色を変化させて、色チャートを作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記色チャート作成方法において、例えばプリンタの印刷設定が変更されることで、プリンタの色域が変わる場合がある。この場合、上記判断結果が変わり、色チャートが変わる可能性がある。上記色チャート作成方法では、印刷設定の変更によって色チャートが変わる場合、ユーザは、印刷設定の変更前後の色チャートの違いが分かりにくかった。
【0005】
本発明の目的は、印刷設定の変更前後の色チャートの違いを容易に把握できる色チャート作成プログラム、色チャート作成方法、および色チャート作成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係る色チャート作成プログラムは、コンピュータに、指定色を取得する取得ステップと、前記取得ステップによって取得された前記指定色に基づく色パッチであって、プリンタの印刷設定に基づく色域内の色を有する前記色パッチが複数配置された色チャートを作成するステップであって、前記プリンタの第一印刷設定に基づく前記色チャートである第一色チャートと、前記第一印刷設定とは異なる前記プリンタの第二印刷設定に基づく前記色チャートである第二色チャートとを作成する色チャート作成ステップとを実行させる。
【0007】
上記態様によれば、色チャート作成プログラムは色チャート作成ステップにおいて第一色チャートと第二色チャートの両方を作成する。このため、プリンタの印刷設定が第一印刷設定から第二印刷設定に変わった場合、ユーザは色チャートが第一色チャートから第二色チャートに変わることを容易に把握できる。よって、ユーザは、印刷設定の変更前後の色チャートの違いを容易に把握できる。
【0008】
前記色チャート作成ステップは、前記プリンタの制御に関する印刷制御設定、前記プリンタによる印刷が行われる印刷媒体に関する印刷媒体設定、および前記プリンタによる印刷で使用されるインクに関するインク設定の少なくともいずれかが前記第一印刷設定とは異なる前記第二印刷設定に基づく前記第二色チャートを作成してもよい。
【0009】
印刷制御設定、印刷媒体設定、およびインク設定は、それぞれ、印刷設定に基づく色域の大きさおよび形状に影響する可能性がある。第二印刷設定は、印刷制御設定、印刷媒体設定、およびインク設定の少なくともいずれかが第一印刷設定とは異なる。よって、色チャート作成プログラムは、互いに異なる第一色チャートと第二色チャートを作成しやすい。
【0010】
前記色チャート作成ステップは、前記プリンタによるカラーインクの塗布よりも前に行われる前処理、および前記プリンタによるカラーインクの塗布よりも後に行われる後処理の少なくとも一方の処理条件が前記第一印刷設定とは異なる前記第二印刷設定に基づく前記第二色チャートを作成してもよい。
【0011】
前処理と後処理の処理条件は、それぞれ、印刷設定に基づく色域の大きさおよび形状に影響する可能性がある。第二印刷設定は、前処理および後処理の少なくとも一方の処理条件が第一印刷設定とは異なる。よって、色チャート作成プログラムは、互いに異なる第一色チャートと第二色チャートを作成しやすい。
【0012】
前記色チャート作成ステップは、前記第一印刷設定に基づく前記色域を規定する彩度、明度、および色相の少なくともいずれかの範囲において前記第一色チャートを構成する複数の前記色パッチの色の位置を示す第一俯瞰図と、前記第二印刷設定に基づく前記色域を規定する彩度、明度、および色相の少なくともいずれかの範囲において前記第二色チャートを構成する複数の前記色パッチの色の位置を示す第二俯瞰図とをさらに作成してもよい。
【0013】
ユーザは彩度、明度、および色相の少なくともいずれかの範囲における色パッチの色の位置を、俯瞰図によって容易に把握できる。
【0014】
前記色チャート作成ステップは、前記第一色チャートまたは前記第二色チャートを構成する複数の前記色パッチの中に、明度を固定した場合の彩度の第一限界色および彩度を固定した場合の明度の第二限界色の少なくともいずれかがある場合、前記第一限界色および前記第二限界色を示す限界表示をさらに作成してもよい。
【0015】
ユーザは第一限界色または第二限界色を、限界表示によって容易に把握できる。
【0016】
前記色チャート作成プログラムは、前記コンピュータに、前記色チャート作成ステップによって前記第一色チャートおよび前記第二色チャートが作成されるたびに、前記取得ステップで取得された前記指定色に基づく基準色に関する情報を記憶する記憶ステップを実行させ、前記色チャート作成ステップは、前記基準色の前記色パッチを含む前記第一色チャートおよび前記第二色チャートを作成し、且つ前記記憶ステップによって記憶された前記情報に基づいて前記基準色に関する履歴をさらに作成してもよい。
【0017】
ユーザは例えば過去の基準色と現在の色チャートの各色パッチの色を比較できる。よって、ユーザは過去の基準色と現在の色チャートの各色パッチの色の違いを容易に把握できる。
【0018】
前記色チャート作成プログラムは、前記コンピュータに、前記色チャート作成ステップによって作成された前記第二色チャートを構成する前記複数の色パッチのうち選択された前記色パッチの色を前記指定色として印刷データを作成する印刷データ作成ステップを実行させてもよい。
【0019】
印刷データが、第二色チャートを構成する複数の色パッチのうち選択された色パッチの色を指定色として作成される。このため、色チャート作成プログラムは、印刷データに基づいて印刷が行われた場合に、印刷色が指定色から遠くなることを抑制できる。
【0020】
本発明の第二態様に係る色チャート作成方法は、指定色を取得する取得ステップと、前記取得ステップによって取得された前記指定色に基づく色パッチであって、プリンタの印刷設定に基づく色域内の色を有する前記色パッチが複数配置された色チャートを作成するステップであって、前記プリンタの第一印刷設定に基づく前記色チャートである第一色チャートと、前記第一印刷設定とは異なる前記プリンタの第二印刷設定に基づく前記色チャートである第二色チャートとを作成する色チャート作成ステップとを備えたことを特徴とする。
【0021】
第二態様は第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0022】
本発明の第三態様に係る色チャート作成装置は、制御部を備え、前記制御部は、指定色を取得する取得処理と、前記取得処理によって取得された前記指定色に基づく色パッチであって、プリンタの印刷設定に基づく色域内の色を有する前記色パッチが複数配置された色チャートを作成する処理であって、前記プリンタの第一印刷設定に基づく前記色チャートである第一色チャートと、前記第一印刷設定とは異なる前記プリンタの第二印刷設定に基づく前記色チャートである第二色チャートとを作成する色チャート作成処理とを備えたことを特徴とする。
【0023】
第三態様は第一態様と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図8】印刷媒体Mに印刷された色チャート100の一例を示す図である。
【
図10】第二色チャート表示領域60の一例を示す図である。
【
図13】印刷データ作成処理のフローチャートである。
【
図15】第一色チャート表示領域50Aの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面を参照して、本発明の一実施形態に係るプリンタ1を説明する。
図1に示すプリンタ1は、後述する操作部28に対する入力操作に応じて、印刷する色を設定できる。プリンタ1は、設定された色に基づいて印刷データを作成する。プリンタ1は、作成した印刷データに基づいて印刷媒体に印刷を行う。印刷媒体は布帛、紙等であり、例えばTシャツである。
【0026】
以下では、互いに直交する上下方向、主走査方向、および副走査方向を使用する。白(W)のインクを「白インク」という。黒(K)、イエロー(Y)、シアン(C)、およびマゼンタ(M)のインクを総称する場合、「カラーインク」という。白インクとカラーインクとを総称する場合、「インク」という。
【0027】
プリンタ1は、例えばインクジェットプリンタであり、プラテン3、キャリッジ4、前処理ヘッド5、下地ヘッド6、カラーヘッド7、および後処理ヘッド8を備える。プラテン3は副走査駆動部22の駆動によって副走査方向に移動可能であり、印刷媒体を支持する。キャリッジ4はプラテン3の上方に設けられ、主走査駆動部21の駆動によって主走査方向に移動可能である。
【0028】
前処理ヘッド5、下地ヘッド6、カラーヘッド7、および後処理ヘッド8は、キャリッジ4に搭載される。前処理ヘッド5は、ヘッド駆動部23の駆動によってプラテン3上の印刷媒体に前処理剤を吐出する。前処理剤は下地液の一種であり、例えばベースコート剤である。前処理剤は後述の第二前処理の前に印刷媒体に塗布され、印刷媒体への下地の定着およびカラーインクの発色を向上させる。以下では、プリンタ1が印刷媒体に前処理剤を塗布する処理を「第一前処理」という。
【0029】
下地ヘッド6は、ヘッド駆動部24の駆動によってプラテン3上の印刷媒体に下地インクを吐出する。下地インクは下地液の一種であり、カラーインクの発色を向上させるため、後述の印刷処理の前に下地を印刷媒体に形成する。下地インクは特定の色のインクに限定されないが、例えば白インクである。以下では、プリンタ1が下地インクにより下地を印刷媒体に形成する処理を「第二前処理」という。なお、白インクは後述の印刷処理においても使用されてよい。
【0030】
カラーヘッド7は、ヘッド駆動部25の駆動によってプラテン3上の印刷媒体にカラーインクを吐出する。カラーインクは、印刷媒体に直接または下地の上に吐出されて印刷媒体に印刷画像を形成する。以下では、プリンタ1がカラーインクにより印刷画像を印刷媒体に印刷する処理を「印刷処理」という。
【0031】
後処理ヘッド8は、ヘッド駆動部26の駆動によってプラテン3上の印刷媒体に後処理剤を吐出する。後処理剤はコーティング剤であり、印刷処理の後に印刷画像上に塗布される。後処理剤は印刷画像を保護し、印刷画像の光沢性を向上させる。前処理剤および後処理剤は例えばカチオン系高分子、多価金属塩を含む水溶液である。以下では、プリンタ1が印刷媒体に後処理剤を塗布する処理を「後処理」という。
【0032】
上記プリンタ1の構成によれば、プリンタ1はキャリッジ4を主走査方向に搬送し、プラテン3を副走査方向に搬送することで、各ヘッドをプラテン3上の印刷媒体に対して主走査方向と副走査方向に相対移動させる。プリンタ1は各ヘッドをプラテン3上の印刷媒体に対して主走査方向と副走査方向に相対移動させながら、各ヘッドから前処理剤、下地インク、カラーインク、または後処理剤を吐出することで、第一前処理、第二前処理、印刷処理、または後処理を行う。
【0033】
プリンタ1は制御基板10を備える。制御基板10にはCPU11、ROM12、RAM13、およびフラッシュメモリ14が設けられる。CPU11はROM12、RAM13、およびフラッシュメモリ14と電気的に接続し、プリンタ1の制御を司る。ROM12は、CPU11がプリンタ1の動作を制御するための制御プログラム、各種プログラムの実行時にCPU11が必要な情報等を記憶する。RAM13は、制御プログラムで用いられる各種データ等を一時的に記憶する。フラッシュメモリ14は、不揮発性であり、後述の印刷設定、色域テーブル、印刷媒体に印刷を行うための印刷データ等を記憶する。
【0034】
CPU11には主走査駆動部21、副走査駆動部22、ヘッド駆動部23~26、ディスプレイ27、および操作部28が電気的に接続される。主走査駆動部21、副走査駆動部22、ヘッド駆動部23~26はCPU11による制御によって駆動する。
【0035】
ディスプレイ27はCPU11による制御によって各種情報を表示し、例えば後述の色設定画面30(
図4、
図5参照)を表示する。操作部28はタッチパネル、キーボード等である。操作部28はユーザによって操作され、操作に応じた信号をCPU11に出力する。ユーザは操作部28を操作することで、例えば色設定を行うための色設定指示および印刷を開始するための印刷指示をプリンタ1に入力できる。
【0036】
印刷設定の例を説明する。印刷設定はプリンタ1の印刷に関する設定である。本実施形態の印刷設定は印刷制御設定と印刷媒体設定とインク設定の三種類に分類される。印刷制御設定はプリンタ1の制御に関する。プリンタ1は印刷制御設定に基づいて印刷を制御する。
【0037】
印刷制御設定は、例えば印刷画像の解像度、第一前処理の処理条件、第二前処理の処理条件、後処理の処理条件、印刷方向、画質調整値、インタレース、印刷時間、黒インクの濃度、プリンタ1の機種、プリンタ1内の温度、プリンタ1内の湿度、プリンタ1内の照明環境、プリンタ1による印刷コスト、および出力プロファイルの各設定を含む。例えば印刷画像の解像度はカラーインクを吐出する場合の解像度である。
【0038】
プリンタ1は第一前処理の処理条件として、例えば第一前処理を行うか否かを設定できる。第一前処理を行う場合には、プリンタ1は第一前処理の処理条件として、例えば第一前処理の方法、前処理剤の量、および前処理剤の濃度を設定できる。さらに、プリンタ1は前処理剤を吐出する場合の解像度を設定してもよい。
【0039】
プリンタ1は第二前処理の処理条件として、例えば第二前処理を行うか否かを設定できる。第二前処理を行う場合には、プリンタ1は例えば下地インクの量、下地インクの色の種類を設定できる。さらに、プリンタ1は下地インクを吐出する場合の解像度を設定してもよい。プリンタ1は後処理の処理条件として、例えば後処理を行うか否かを設定できる。後処理を行う場合には、プリンタ1は後処理の処理条件として、例えば後処理の方法、後処理剤の量、および後処理剤の濃度を設定できる。さらに、プリンタ1は後処理剤を吐出する場合の解像度を設定してもよい。
【0040】
印刷媒体設定はプリンタ1による印刷が行われる印刷媒体に関する。プリンタ1による印刷では、印刷媒体設定に基づく印刷媒体が使用される。印刷媒体設定は、例えば印刷媒体の色と印刷媒体の材質の各設定を含む。
【0041】
インク設定はプリンタ1による印刷で使用されるインクに関する。プリンタ1による印刷では、インク設定に基づくインクが使用される。インク設定は、例えば印刷処理で使用されるインクの色の種類とインクの量の各設定を含む。
【0042】
本実施形態では、プリンタ1による印刷時間は例えば印刷処理の開始から終了までの時間に加え、第一前処理、第二前処理、後処理にかかる時間も含む。プリンタ1は、例えば第一前処理、第二前処理、後処理の一部または全部を行わないように印刷設定を変更することで、プリンタ1による印刷時間を短縮化できる。
【0043】
プリンタ1による印刷コストは例えば印刷処理にかかるコストに加え、第一前処理、第二前処理、後処理にかかるコストも含む。コストは例えば前処理剤、インク、後処理剤等の消耗品にかかるコストと各処理でかかる消費電力のコストを含む。プリンタ1は前処理剤の量、下地インクの量、後処理剤の量を減らすように印刷設定を変更することで、プリンタ1による印刷コストを低減できる。
【0044】
プリンタ1の色域を説明する。プリンタ1の色域はプリンタ1が印刷再現可能な色範囲であり、プリンタ1の印刷設定の変更に伴って変化する場合がある。なお、「色域の変化」とは、色域の形状が変化する場合、色域の大きさが変化する場合の両方を含む。以下では、プリンタ1の色域を「印刷設定に基づく色域」という。印刷設定に基づく色域は、例えばLCh色空間において、明度(L)、彩度(C)、色相(h)で規定される。
【0045】
例えば、印刷設定に基づく色域は、印刷制御設定が変更されると、明度、彩度、色相の一部または全部において、広がり、または狭まる場合がある。より具体的には、第一前処理が行われる場合には、カラーインクの発色が向上するので、第一前処理が行われない場合に比べて明度、彩度、色相が広がりやすい。第一前処理において前処理剤の量が増えると色相は広がる。第二前処理が行われる場合には、カラーインクの発色が向上するので、第二前処理が行われない場合に比べて明度、彩度、色相が広がりやすい。第二前処理において下地インクの量が増えると明度、彩度、色相が広がりやすい。後処理が行われる場合には、光沢性が上がる分、後処理が行われない場合に比べて明度が上がりやすい。後処理において後処理剤の量が増えると明度は上がりやすい。
【0046】
印刷設定に基づく色域は、印刷媒体設定が変更されると、明度、彩度、色相の一部または全部において、広がり、または狭まる場合がある。より具体的には、発色性の比較的高い印刷媒体が使用される場合には、発色性の比較的低い印刷媒体が使用される場合に比べて明度、彩度、色相が広がりやすい。
【0047】
印刷設定に基づく色域は、インク設定が変更されると、明度、彩度、色相の一部または全部において、広がり、または狭まる場合がある。より具体的には、インクの色の種類が増えると、明度、彩度、色相が広がりやすい。
【0048】
図2~
図10を参照し、メイン処理を説明する。例えばユーザは
図1に示す操作部28を操作し、色設定指示をプリンタ1に入力する。色設定指示が入力されると、CPU11は、ROM12から制御プログラムを読み出して動作することで、メイン処理を実行する。
【0049】
図2に示すように、メイン処理が開始されると、CPU11は、
図4、
図5に示す色設定画面30を
図1に示すディスプレイ27に表示する(S10)。ユーザは
図1に示す操作部28を操作し、色設定画面30において色設定を行う。
【0050】
図4、
図5に示すように、色設定画面30の上部には印刷設定選択領域31が設けられる。印刷設定選択領域31はプリンタ1の印刷設定の選択肢を示し、例えば下地設定選択領域311と解像度選択領域312を含む。
【0051】
下地設定選択領域311は第二前処理の処理条件の選択肢を示し、例えば「下地なし」の選択肢と「下地少量」の選択肢と「下地多量」の選択肢を示す。「下地なし」の選択肢は第二前処理を行わない設定を示す。「下地少量」の選択肢は第二前処理を行う設定を示し、且つ第二前処理で使用される下地インクの量が少量である設定を示す。「下地多量」の選択肢は第二前処理を行う設定を示し、且つ第二前処理で使用される下地インクの量が多量である設定を示す。少量と多量は特定の量に限定されないが、多量は少量よりも量が多い。
【0052】
解像度選択領域312は印刷画像の解像度の選択肢を示し、例えば「低解像度」の選択肢と「高解像度」の選択肢を示す。「低解像度」の選択肢は印刷画像を低解像度で印刷する設定を示す。「高解像度」の選択肢は印刷画像を高解像度で印刷する設定を示す。低解像度と高解像度は特定の解像度に限定されないが、高解像度は低解像度よりも解像度が高い。
【0053】
ユーザは操作部28を操作し、下地設定選択領域311において「下地なし」の選択肢と「下地少量」の選択肢と「下地多量」の選択肢のいずれかを選択する。ユーザは操作部28を操作し、解像度選択領域312において「低解像度」の選択肢と「高解像度」の選択肢のいずれかを選択する。以下では、下地設定選択領域311と解像度選択領域312において選択された印刷設定を「対象印刷設定」という。すなわち、対象印刷設定は、現在設定されている印刷設定である。
【0054】
図4は、一例として、下地設定選択領域311において「下地なし」の選択肢が選択され、解像度選択領域312において「低解像度」が選択された状態を示す。
図5は、一例として、下地設定選択領域311において「下地なし」の選択肢が選択され、解像度選択領域312において「高解像度」が選択された状態を示す。
【0055】
色設定画面30において、印刷設定選択領域31の下側には指定色入力領域32が設けられる。指定色入力領域32は指定色を示し、例えばLab入力領域321とRGB入力領域322と指定色対応アイコン323を含む。指定色はユーザによって指定される色である。
【0056】
Lab入力領域321は指定色としてLab値を示す。RGB入力領域322は指定色としてRGB値を示す。指定色対応アイコン323は、指定色として、入力されたLab値またはRGB値に応じた色を示す。
【0057】
ユーザは操作部28を操作し、色見本の色、RGB値、CMYK値、XYZ値、Luv値、LCh値、Lab値、ディスプレイ27の表示色、画像等を、指定色としてプリンタ1に入力する。本実施形態では、ユーザは操作部28を操作し、Lab入力領域321とRGB入力領域322のいずれかを選択する。ユーザは操作部28を操作し、Lab入力領域321においてLab値を指定色として入力し、またはRGB入力領域322においてRGB値を指定色として入力する。
【0058】
図4は、一例として、Lab入力領域321においてLab値(50,60,0)が入力された状態を示す。
図5は、一例として、Lab入力領域321においてLab値(50,20,0)が入力された状態を示す。
【0059】
色設定画面30において、指定色入力領域32の右側には入力色空間選択領域324が設けられる。入力色空間選択領域324はRGB色空間の種類を示し、例えば「sRGB」の選択肢と「Display P3」の選択肢を示す。指定色入力領域32において、指定色としてRGB入力領域322にRGB値が入力された場合、ユーザは操作部28を操作し、入力色空間選択領域324において、「sRGB」の選択肢と「Display P3」の選択肢のいずれかを選択する。指定色対応アイコン323は、入力色空間選択領域324で選択された色空間において、RGB入力領域322に入力されたRGB値に応じた色を示す。なお、指定色入力領域32において、指定色としてLab入力領域321にLab値が入力された場合、入力色空間選択領域324では「sRGB」の選択肢と「Display P3」の選択肢のいずれも選択されない。
【0060】
色設定画面30において、入力色空間選択領域324の上側には変換ボタン39が設けられる。ユーザは印刷設定選択領域31において印刷設定を選択し、指定色入力領域32において指定色を入力した後、操作部28を操作し、変換ボタン39を選択する。これにより、後述のS12以降の処理を実行するための変換指示がプリンタ1に入力される。
【0061】
なお、S10の処理の時点では、以下説明する近傍色表示領域33、色差表示領域34、判断結果表示領域35、代替印刷設定表示領域36、代替色表示領域37に対してユーザは入力操作、選択操作等を行ってない。つまり、S10の処理の時点では、以下説明する近傍色表示領域33、色差表示領域34、判断結果表示領域35、代替印刷設定表示領域36、代替色表示領域37には数値、文字等はまだ表示されていない。
【0062】
色設定画面30において、指定色入力領域32の下側には近傍色表示領域33が設けられる。近傍色表示領域33は後述の近傍色を示し、例えばLab表示領域331とRGB表示領域332とLab対応アイコン333とRGB対応アイコン334を含む。
【0063】
Lab表示領域331は近傍色としてLab値を示す。RGB表示領域332は近傍色としてRGB値を示す。Lab対応アイコン333は近傍色として、Lab表示領域331のLab値に応じた色を示す。RGB対応アイコン334は近傍色として、RGB表示領域332のRGB値に応じた色を示す。
【0064】
色設定画面30において、近傍色表示領域33の右側には表示色空間選択領域335が設けられる。表示色空間選択領域335はRGB色空間の種類を示し、例えば「sRGB」の選択肢と「Display P3」の選択肢を示す。ユーザは操作部28を操作し、表示色空間選択領域335において、「sRGB」の選択肢と「Display P3」の選択肢のいずれかを選択する。RGB対応アイコン334は、表示色空間選択領域335で選択された色空間において、RGB表示領域332のRGB値に応じた色を示す。
【0065】
色設定画面30において、近傍色表示領域33の下側には色差表示領域34が設けられる。色差表示領域34は指定色と近傍色の色差を示す。色差は、例えばΔEまたはΔE00である。
【0066】
色設定画面30において、色差表示領域34の右側には判断結果表示領域35が設けられる。判断結果表示領域35は指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内外のいずれに存在するかを示す。デバイス非依存色はデバイスの特性に依存しない色であり、Lab色空間、XYZ色空間、Luv色空間、LCh色空間等において表される。詳しくは後述するが、本実施形態では、指定色がデバイス非依存色に変換され、変換された指定色(指定色に基づくデバイス非依存色)が対象印刷設定に基づく対象色域内外のいずれに存在するか判断される。
【0067】
色設定画面30において、判断結果表示領域35の右下側には代替印刷設定表示領域36が設けられる。代替印刷設定表示領域36は、指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在しない場合には後述の第一代替印刷設定を示す。代替印刷設定表示領域36は、指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在する場合には後述の第二代替印刷設定を示す。
【0068】
色設定画面30において、代替印刷設定表示領域36の下側には代替色表示領域37が設けられる。代替色表示領域37は後述の第一代替色または第二代替色を示し、例えばRGB表示領域371とRGB対応アイコン372を含む。
【0069】
RGB表示領域371は第一代替色または第二代替色としてRGB値を示す。RGB対応アイコン372は表示色空間選択領域335で選択された色空間において、第一代替色または第二代替色として、RGB表示領域371のRGB値に応じた色を示す。
【0070】
図2に示すように、CPU11は、ユーザによる操作部28の操作によって変換ボタン39が選択されたかに基づいて、変換指示があるかを判断する(S11)。変換指示がない場合(S11:NO)、CPU11は変換指示があるまでS11の処理を繰り返す。変換指示があった場合(S11:YES)、CPU11は指定色入力領域32において入力された指定色を取得する(S12)。
図4の例では、CPU11は指定色としてLab値(50,60,0)を取得する。
図5の例では、CPU11は指定色としてLab値(50,20,0)を取得する。
【0071】
CPU11はLUTテーブル、プロファイル等に基づいて、指定色をデバイス非依存色に変換する(S13)。LUTテーブル、プロファイルは、フラッシュメモリ14に記憶され、指定色とデバイス非依存色の対応関係を示す。本実施形態では、一例として、CPU11は指定色をLab色空間の色に変換する。Lab色空間の色はデバイス非依存色の一種である。S13では、CPU11は、指定色を、デバイス非依存色としてXYZ色空間、Luv色空間、LCh色空間等の色に変換してもよい。
【0072】
例えば指定色としてRGB値がRGB入力領域322に入力されている場合には、CPU11はRGB値をLab値に変換する。例えば指定色としてLab値がLab入力領域321に入力されている場合には、CPU11はS13の処理をスキップしてもよい。以下では、S13によって指定色に基づいて変換されたデバイス非依存色、またはS12によって指定色として取得されたデバイス非依存色を「指定色に基づくデバイス非依存色」という。
【0073】
CPU11は印刷設定選択領域31において選択された対象印刷設定を取得する(S14)。
図4の例では、CPU11は対象印刷設定として「下地なし」と「低解像度」を取得する。
図5の例では、CPU11は対象印刷設定として「下地なし」と「高解像度」を取得する。
【0074】
CPU11は対象印刷設定に基づく対象色域を特定する(S15)。例えば、CPU11は、対象印刷設定に基づいてテーブルを参照し、対象印刷設定に基づく対象色域を特定する。一例として、CPU11は
図6に示す色域テーブルを参照する。
【0075】
図6に示すように、色域テーブルは印刷設定に基づく色域をプリンタ1の印刷設定と対応付けて定める。一例として、色域テーブルは、印刷制御設定の一種として印刷画像の解像度の設定(「低解像度」または「高解像度」)と下地インクの設定(「なし」、「少量」、または「多量」)のそれぞれの組み合わせについて、色域C1~色域C6を定める。色域テーブルは、デバイス非依存色空間で色域C1~C6を示す。本実施形態では、一例として、色域テーブルはLCh色空間で色域C1~C6を示す。
【0076】
例えば、印刷設定に基づく色域は「低解像度」よりも「高解像度」の方が大きい。このため、印刷設定に基づく色域は色域C1よりも色域C4の方が大きく、色域C2よりも色域C5の方が大きく、色域C3よりも色域C6の方が大きい。例えば、印刷設定に基づく色域は下地インクが「なし」の場合よりも下地インクが「少量」の場合の方が大きく、下地インクが「少量」の場合よりも下地インクが「多量」の場合の方が大きい。このため、印刷設定に基づく色域は色域C1、色域C2、色域C3の順に大きくなり、色域C4、色域C5、色域C6の順に大きくなる。
【0077】
図4の例では、CPU11は「下地なし」と「低解像度」に対応する色域C1(
図7参照)を、対象印刷設定に基づく対象色域として特定する。
図5の例では、CPU11は「下地なし」と「高解像度」に対応する色域C4(
図7参照)を、対象印刷設定に基づく対象色域として特定する。
【0078】
さらに、色域テーブルは各色域C1~C6に対応付けて印刷時間PT1~PT6と印刷コストPC1~PC6を定める。一例として、時間の長さは、印刷時間PT1、PT4、PT2、PT5、PT3、PT6の順に長くなる。一例として、コストの高さは、PC1、PC4、PC2、PC5、PC3、PC6の順に高くなる。
【0079】
図2に示すように、CPU11は近傍色を特定する(S16)。近傍色は対象印刷設定に基づく対象色域内の色であり、且つ明度、彩度、色相の一部または全部を固定しない状態で、指定色との距離が最も小さくなる色である。CPU11は近傍色を特定することで、近傍色と指定色との色差(ΔEまたはΔE00)を算出できる。近傍色には、例えば色差優先の近傍色、色相優先の近傍色、明度優先の近傍色、彩度優先の近傍色がある。
【0080】
色差優先の近傍色は、明度、彩度、色相の全部を固定しない状態で指定色との距離が最も小さくなる色である。色相優先の近傍色は、色相を固定した状態で、指定色との距離が最も小さくなる色である。明度優先の近傍色は、明度を固定した状態で、指定色との距離が最も小さくなる色である。彩度優先の近傍色は、彩度を固定した状態で、指定色との距離が最も小さくなる色である。CPU11は、明度、彩度、色相のうち固定しない要素を軸とする空間において、指定色に基づくデバイス非依存色から対象印刷設定に基づく対象色域までの距離が最も小さくなる点を、色差優先の近傍色として特定する。
【0081】
CPU11は各近傍色のいずれか一つまたは複数を特定してもよいが、一例として色差優先の近傍色を特定する。この場合、固定しない要素は明度、彩度、色相の三要素である。このため、CPU11は、明度、彩度、色相の三要素のそれぞれを軸とする三次元空間において、指定色から対象色域までの距離が最も小さくなる点を、色差優先の近傍色として特定する。
図4の例では、CPU11は色差優先の近傍色としてLab値(48.6,52.8,2.5)とRGB値(255,16,128)を特定する。
図5の例では、CPU11は色差優先の近傍色としてLab値(49.8,20.3,-0.4)とRGB値(148,77,92)を特定する。
【0082】
図2に示すように、CPU11は指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在するかを判断する(S17)。例えばCPU11は、指定色に基づくデバイス非依存色の色空間と、対象印刷設定に基づく対象色域の色空間とが同じ色空間になるように、指定色に基づくデバイス非依存色と対象印刷設定に基づく対象色域の一方または両方を変換する。この状態で、CPU11は、指定色に基づくデバイス非依存色の色値(座標値)がS15で特定した対象印刷設定に基づく対象色域内に存在するか否かに応じて、S17の判断を行う。指定色に基づくデバイス非依存色の色値(座標値)がS15で特定した対象印刷設定に基づく対象色域内に存在する場合、CPU11は指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在すると判断する。指定色に基づくデバイス非依存色の色値(座標値)がS15で特定した対象印刷設定に基づく対象色域内に存在しない場合、CPU11は指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在しないと判断する。
【0083】
上述したように、本実施形態の色域テーブルは印刷設定に基づく色域をLCh色空間で示す。このため、
図4の例では、CPU11は指定色としてLab値(50,60,0)をLCh値に変換し、変換後のLCh値が、対象色域として色域C1内に存在するかを判断する。
図5の例では、CPU11は指定色としてLab値(50,20,0)をLCh値に変換し、変換後のLCh値が、対象色域として色域C4内に存在するかを判断する。
【0084】
上述したように、印刷設定の変更によって印刷設定に基づく色域が変化する場合がある。例えば指定色に基づくデバイス非依存色が印刷設定に基づく色域内に存在しない場合には、印刷設定を変更して色域を変化させることで、プリンタ1は指定色に基づくデバイス非依存色を印刷設定に基づく色域に相対的に近づかせることができる可能性がある。一方で、例えば指定色に基づくデバイス非依存色が印刷設定に基づく色域内に存在する場合には、印刷設定を変更して色域を変化させても、指定色に基づくデバイス非依存色が印刷設定に基づく色域内に存在したままの場合がある。この場合、印刷設定の内容によっては、例えばプリンタ1は印刷コストを低減できたり、印刷時間を低減できたりする場合がある。したがって、以下説明するように、CPU11はS17での判断結果に応じて異なる印刷設定の表示処理を行う。
【0085】
図2に示すように、指定色に基づくデバイス非依存色が対象色域内に存在しない場合(S17:NO)、CPU11は第一代替印刷設定を特定する(S21)。第一代替印刷設定は対象印刷設定とは異なる印刷設定である。第一代替印刷設定は、指定色に基づくデバイス非依存色と第一代替印刷設定に基づく第一代替色域との間の距離が指定色に基づくデバイス非依存色と対象印刷設定に基づく対象色域との間の距離よりも小さくなる印刷設定である。なお、指定色に基づくデバイス非依存色と印刷設定に基づく色域との間の距離は、指定色に基づくデバイス非依存色が印刷設定に基づく色域内に存在する場合に「0」となる。本実施形態では、第一代替印刷設定は、指定色に基づくデバイス非依存色と対象印刷設定に基づく対象色域との間の距離が、「0」となる印刷設定である。すなわち、第一代替印刷設定は、指定色に基づくデバイス非依存色が第一代替印刷設定に基づく第一代替色域内に存在する印刷設定である。
【0086】
S21では、CPU11は、
図6に示す色域テーブルを参照し、色域C1~C6のうち対象色域以外の色域を特定する。CPU11は、特定した複数の色域のうち指定色に基づくデバイス非依存色が色域内に存在する色域を特定する。CPU11は、特定した色域に対応する印刷設定を、第一代替印刷設定として特定する(
図6参照)。
【0087】
図7は、Lab値(50,60,0)の変換後のLCh値を点A1として示す。点A1は色域C1内に存在せず、色域C4内に存在する。このため、
図4の例では、CPU11は、色域C4に対応する印刷設定(高解像度と下地インクなし)を、第一代替印刷設定として特定する。
【0088】
例えば指定色に基づくデバイス非依存色が色域内に存在する色域が複数ある場合がある。この場合、CPU11は優先設定に応じて複数の色域からいずれか一つを、第一代替印刷設定に基づく第一代替色域として特定する。例えばユーザは操作部28を操作し、印刷時間よりも印刷コストを優先するか、印刷コストよりも印刷時間を優先するか、のいずれかの優先設定をプリンタ1に設定する。優先設定はフラッシュメモリ14に記憶される。
【0089】
例えば印刷時間よりも印刷コストを優先する優先設定が設定されている場合、CPU11は
図6に示す色域テーブルの印刷コストの欄を参照し、複数の色域のうち最も長さが短い印刷時間に対応する色域を、第一代替印刷設定に基づく第一代替色域として特定する。
【0090】
例えば印刷コストよりも印刷時間を優先する優先設定が設定されている場合、CPU11は
図6に示す色域テーブルの印刷時間の欄を参照し、複数の色域のうち最も長さが短い印刷時間に対応する色域を、第一代替印刷設定に基づく第一代替色域として特定する。
【0091】
図2に示すように、CPU11はS16とS21での特定結果に基づいて色設定画面30の表示内容を更新する(S22)。S22が実行される時点では、対象印刷設定が印刷設定としてフラッシュメモリ14に記憶されている。
図4の例では、S22が実行される時点で、「下地なし」と「低解像度」が対象印刷設定として設定されている。S22において、CPU11はLab表示領域331にLab値(48.6,52.8,2.5)を表示し、Lab対応アイコン333に(48.6,52.8,2.5)に応じた色を表示する。CPU11はRGB表示領域332にRGB値(225,16,128)を表示し、RGB対応アイコン334に、sRGB色空間におけるRGB値(255,16,128)に応じた色を表示する。
【0092】
CPU11は指定色に基づくデバイス非依存色(50,60,0)と近傍色のLab値(48.6,52.8,2.5)との間の距離(7.7)を色差表示領域34に表示する。CPU11は、「色域外です。」を判断結果表示領域35に表示する。「色域外です。」はS17の判断結果が、指定色に基づくデバイス非依存色(50,60,0)が対象印刷設定に基づく対象色域(色域C1)内に存在しないことを示す。
【0093】
CPU11は「高解像度にすると再現可能です。」を代替印刷設定表示領域36に表示する。「高解像度にすると再現可能です。」は、低解像度(対象印刷設定)を高解像度(第一代替印刷設定)に変更することで、プリンタ1が指定色を、印刷設定に基づく色域内の色で再現できることを示す。つまり、印刷設定を対象印刷設定から第一代替印刷設定に変更することで、プリンタ1は印刷色を指定色に近づけることができる。
【0094】
CPU11はS21で特定した第一代替印刷設定を代替印刷設定表示領域36に表示する。このため、CPU11は
図4の例の他に、特定した第一代替印刷設定に応じて、例えば、第二前処理を行う設定、下地インクを対象印刷設定から増やす設定を代替印刷設定表示領域36に表示できる。
【0095】
CPU11はRGB表示領域371に第一代替色のRGB値(192,71,103)を表示する。第一代替色は印刷設定が第一代替印刷設定に変更された場合において、指定色をプリンタ1によって印刷するためのRGB値である。CPU11はRGB対応アイコン372にRGB値(192,71,103)に応じた色を表示する。
【0096】
図2に示すように、CPU11は印刷設定を対象印刷設定から第一代替印刷設定に変更する指示があったかを判断する(S23)。ユーザは、操作部28を操作し、印刷設定を対象印刷設定から第一代替印刷設定に変更する指示、および印刷設定を対象印刷設定から第一代替印刷設定に変更しない指示のいずれかをプリンタ1に入力する。
【0097】
印刷設定を対象印刷設定から第一代替印刷設定に変更しない指示があった場合(S23:NO)、CPU11は印刷設定を変更することなく処理を
図3に示すS41に移行する。印刷設定を対象印刷設定から第一代替印刷設定に変更する指示があった場合(S23:YES)、CPU11はフラッシュメモリ14において印刷設定を対象印刷設定から第一代替印刷設定に変更する(S24)。CPU11は処理を
図3に示すS41に移行する。
【0098】
指定色に基づくデバイス非依存色が対象色域内に存在する場合(S17:YES)、CPU11は第二代替印刷設定を特定する(S31)。第二代替印刷設定は対象印刷設定とは異なる印刷設定である。第二代替印刷設定は、指定色に基づくデバイス非依存色が第二代替印刷設定に基づく第二代替色域内に存在する印刷設定である。
【0099】
S31では、CPU11は、例えば
図6に示す色域テーブルを参照し、色域C1~C6のうち対象色域以外の色域を特定する。CPU11は、特定した複数の色域のうち指定色に基づくデバイス非依存色が色域内に存在する色域を特定する。CPU11は、特定した色域に対応する印刷設定を、第二代替印刷設定として特定する。
【0100】
図7は、Lab値(50,20,0)の変換後のLCh値を点A2として示す。点A2は色域C4内に存在し、且つ色域C1内にも存在する。このため、
図5の例では、CPU11は、色域C1に対応する印刷設定(低解像度と下地インクなし)を、第二代替印刷設定として特定する(
図6参照)。
【0101】
例えば指定色に基づくデバイス非依存色が色域内に存在する色域が複数ある場合がある。この場合、CPU11は優先設定に応じて複数の色域からいずれか一つを、第二代替印刷設定に基づく第二代替色域として特定する。例えば印刷時間よりも印刷コストを優先する優先設定が設定されている場合、CPU11は
図6に示す色域テーブルの印刷コストの欄を参照し、複数の色域のうち最も長さが短い印刷時間に対応する色域を、第二代替印刷設定に基づく第二代替色域として特定する。例えば印刷コストよりも印刷時間を優先する優先設定が設定されている場合、CPU11は
図6に示す色域テーブルの印刷時間の欄を参照し、複数の色域のうち最も長さが短い印刷時間に対応する色域を、第二代替印刷設定に基づく第二代替色域として特定する。
【0102】
図2に示すように、CPU11はS16とS31での特定結果に基づいて色設定画面30の表示内容を更新する(S32)。S32が実行される時点では、対象印刷設定が印刷設定としてフラッシュメモリ14に記憶されている。
図5の例では、S32が実行される時点で、「下地なし」と「高解像度」が対象印刷設定として設定されている。S32において、CPU11はLab表示領域331にLab値(49.8,20.3,-0.4)を表示し、Lab対応アイコン333に(49.8,20.3,-0.4)に応じた色を表示する。CPU11はRGB表示領域332にRGB値(148,77,92)を表示し、RGB対応アイコン334に、sRGB色空間におけるRGB値(148,77,92)に応じた色を表示する。
【0103】
CPU11は指定色に基づくデバイス非依存色(50,20,0)と近傍色のLab値(49.8,20.3,-0.4)との間の距離(0.54)を色差表示領域34に表示する。CPU11は、「色域内です。」を判断結果表示領域35に表示する。「色域内です。」はS17の判断結果が、指定色に基づくデバイス非依存色(50,20,0)が対象印刷設定に基づく対象色域(色域C4)内に存在することを示す。
【0104】
CPU11は「低解像度でも再現可能です。」を代替印刷設定表示領域36に表示する。「低解像度にすると再現可能です。」は、高解像度(対象印刷設定)を低解像度(第二代替印刷設定)に変更しても、プリンタ1が指定色を印刷設定に基づく色域内の色で再現できることを示す。つまり、印刷設定を対象印刷設定から第二代替印刷設定に変更しても、プリンタ1は印刷色が指定色から遠くなることを抑制できる。
【0105】
CPU11はS31で特定した第二代替印刷設定を代替印刷設定表示領域36に表示する。このため、CPU11は
図5の例の他に、特定した第二代替印刷設定に応じて、例えば、第二前処理を行わない設定、下地インクの量を対象印刷設定から減らす設定を代替印刷設定表示領域36に表示できる。
【0106】
CPU11はRGB表示領域371に第二代替色のRGB値(171,77,99)を表示する。第二代替色は印刷設定が第二代替印刷設定に変更された場合において、指定色をプリンタ1によって印刷するためのRGB値である。CPU11はRGB対応アイコン372にRGB値(171,77,99)に応じた色を表示する。
【0107】
CPU11は印刷設定を対象印刷設定から第二代替印刷設定に変更する指示があったかを判断する(S33)。ユーザは、操作部28を操作し、印刷設定を対象印刷設定から第二代替印刷設定に変更する指示、および印刷設定を対象印刷設定から第二代替印刷設定に変更しない指示のいずれかをプリンタ1に入力する。
【0108】
印刷設定を対象印刷設定から第二代替印刷設定に変更しない指示があった場合(S33:NO)、CPU11は印刷設定を変更することなく処理を
図3に示すS41に移行する。印刷設定を対象印刷設定から第二代替印刷設定に変更する指示があった場合(S33:YES)、CPU11はフラッシュメモリ14において印刷設定を対象印刷設定から第二代替印刷設定に変更する(S34)。CPU11は処理を
図3に示すS41に移行する。
図3に示すS41以降では、色チャート100を作成する処理が行われる。
【0109】
図8を参照し、色チャート100の一例を説明する。以下では、図面の左右方向、上下方向を、それぞれ、横方向、縦方向ともいう。第一代替印刷設定と第二代替印刷設定を総称する場合、「代替印刷設定」といい、第一代替色と第二代替色を総称する場合、「代替色」という。
【0110】
色チャート100は指定色に基づく色パッチ101が複数配置されることで構成される。色チャート100において、色パッチ101は横方向および縦方向の両方向に複数並び、または横方向に一列で複数並び、または縦方向に一列で複数並ぶ。
図8の例では、横方向に三つ色パッチ101が並び、縦方向に三つの色パッチ101が並び、合計九つの色パッチ101によって色チャート100が構成される。
【0111】
複数の色パッチ101は印刷設定に基づく色域内の色を有し、基準色パッチ101Aと周辺色パッチ101Bで構成される。基準色パッチ101Aは基準色を有する。
図8の例では、基準色はHSB値(16,148,217)である。基準色は例えば近傍色または代替色である。周辺色パッチ101Bは基準色の周辺色を有する。周辺色は基準色との間に所定間隔を有する色である。所定間隔は例えば後述のパッチ間隔である。
【0112】
図3に示すように、CPU11は基準色に関する情報をフラッシュメモリ14に記憶する(S41)。基準色に関する情報は、基準色の色値、日時、各設定値等である。CPU11は
図8に示す色チャート100の設定項目を取得する(S42)。例えば、CPU11は項目設定画面(図示略)をディスプレイ27に表示する。例えば、ユーザは操作部28を操作し、項目設定画面において色チャート100の設定項目をプリンタ1に入力する。CPU11は入力された色チャート100の設定項目を取得する。
【0113】
例えばフラッシュメモリ14には色チャート100の設定項目としてデフォルトの設定が記憶される。CPU11は色チャート100の設定項目としてフラッシュメモリ14からデフォルトの設定を取得してもよい。例えばフラッシュメモリ14には色チャート100の設定項目として、過去の設定が記憶される。CPU11は色チャート100の設定項目としてフラッシュメモリ14から過去の設定を取得してもよい。
【0114】
色チャート100の設定項目には、例えば「パッチサイズ」、「パッチ個数」、「パッチ色空間」、「変化軸」、「パッチ間隔」、「チャート群数」がある。パッチサイズは色パッチ101のサイズを示す。ユーザはパッチサイズとして例えば「大」、「中」、「小」のなかからいずれかを選択する。
【0115】
パッチ個数は色チャート100において色パッチ101が横方向に並ぶ個数(X個)と、色パッチ101が縦方向に並ぶ個数(Y個)を示す。ユーザはパッチ個数として例えば(X個×Y個)のXとYの数値を選択する。X、Yは、それぞれ、奇数、偶数のいずれでもよいが、例えば奇数とする。一例として、
図8は、パッチ個数(X個×Y個)として(3個×3個)が選択された場合を示す。
【0116】
パッチ色空間は、色チャート100において色パッチ101の色を横方向および縦方向に変化させる色空間を示す。ユーザはパッチ色空間として例えばHSB色空間とRGB色空間のいずれかを選択する。一例として、
図8は、パッチ色空間としてHSB色空間が選択された場合を示す。
【0117】
変化軸は、選択されたパッチ色空間において、各色パッチ101の色を横方向と縦方向に変化させる軸の種類を示す。例えばHSB色空間には、H値(色相)が変化する軸、S値(彩度)が変化する軸、B値(明度)が変化する軸の三つの軸がある。例えばRGB色空間には、R値が変化する軸、G値が変化する軸、B値が変化する軸の三つの軸がある。ユーザは変化軸として、横方向の軸と縦方向の軸の二つを、選択されたパッチ色空間に応じて選択する。一例として、
図8は、横方向の軸としてH値が変化する軸、縦方向の軸としてS値が変化する軸がそれぞれ選択された場合を示す。
【0118】
パッチ間隔は、選択された変化軸において、互いに隣り合う色パッチ101の色の間の数値差を示す。一例として、
図8は、パッチ間隔として「8」が選択された場合を示す。チャート群数は、1つの印刷媒体Mに印刷する色チャート100の個数を示す。一例として、
図8は、チャート群数として「2」が選択された場合を示す。すなわち、
図8の例では、色チャート100が縦方向に二つ並ぶ。以下では、
図8の例に示す設定項目が取得された場合を例として説明する。
【0119】
図3に示すように、CPU11は色チャート作成処理を行い(S43)、メイン処理を終了する。色チャート作成処理では、CPU11は取得した設定項目の内容で、色チャート100を作成する。例えば
図2に示すS23またはS33において、印刷設定を対象印刷設定から代替印刷設定に変更する指示がプリンタ1に入力された場合、CPU11は対象印刷設定に基づく色チャート100(以下、「第一色チャート51」という。)と、代替印刷設定に基づく色チャート100(以下、「第二色チャート61」という。)を作成する(
図9参照)。
【0120】
対象印刷設定に基づく第一色チャート51と代替印刷設定に基づく第二色チャート61では、互いに印刷設定が異なる。例えば、対象印刷設定に基づく第一色チャート51と代替印刷設定に基づく第二色チャート61では、印刷制御設定、印刷媒体設定、およびインク設定の少なくともいずれかが異なる。本実施形態では、対象印刷設定に基づく第一色チャート51と代替印刷設定に基づく第二色チャート61では、解像度と下地インクの一方または両方の設定が異なる。
【0121】
CPU11はS43によって作成された第一色チャート51と第二色チャート61に基づいて、
図9に示す表示271をディスプレイ27に表示し、表示271を示す画像を印刷媒体に印刷してもよいし、表示271をディスプレイ27に表示するのみでもよいし、表示271を示す画像を印刷媒体に印刷するのみでもよい。
【0122】
なお、
図2に示すS23またはS33において、印刷設定を対象印刷設定から代替印刷設定に変更しない指示がプリンタ1に入力された場合、CPU11は対象印刷設定に基づく第一色チャート51を作成する。この場合、代替印刷設定に基づく第二色チャート61が作成されない点が異なるだけなので、説明を省略する。すなわち、以下では、S23またはS33において、印刷設定を対象印刷設定から代替印刷設定に変更する指示がプリンタ1に入力された場合を前提とし、CPU11が対象印刷設定に基づく第一色チャート51と、代替印刷設定に基づく第二色チャート61を作成する場合を説明する。
【0123】
図9、
図10を参照し、表示271の例を説明する。
図9は、近傍色に基づく基準色のHSB値が(16,148,217)であり、代替色に基づく基準色のHSB値が(16,156,217)である場合の例である。
図9に示すように、表示271は第一色チャート表示領域50、第二色チャート表示領域60、履歴表示領域71、備考表示領域72を含む。第一色チャート表示領域50は表示271の上側半分に設けられる。
【0124】
第一色チャート表示領域50の背景色は、印刷媒体の色である。CPU11は対象印刷設定において、印刷媒体設定を参照し、印刷媒体の色を特定する。CPU11は特定した印刷媒体の色を第一色チャート表示領域50の背景色に設定する。
図9は、印刷媒体が白色の場合の第一色チャート表示領域50の例を示す。すなわち、
図9は、背景色が白色の場合の第一色チャート表示領域50の例を示す。例えば黒色の印刷媒体が対象印刷設定として設定されていれば、第一色チャート表示領域50の背景色は黒色に設定される(図示略)。
【0125】
第一色チャート表示領域50は第一色チャート51、基準色表示領域55、第一色相俯瞰
図56を含む。第一色チャート51は複数の色パッチ52によって構成される。
図9の例では、第一色チャート51は九つの色パッチ52によって構成される。複数の色パッチ52のそれぞれの下側には色値表示領域53が設けられる。色値表示領域53はパッチ色空間において、色パッチ52の色値を示す。
【0126】
基準色パッチ521は、近傍色に基づく基準色の色パッチ52である。
図9の例では、基準色パッチ521は、横方向と縦方向の中央に配置される。基準色値表示領域531は、基準色パッチ521の色値を示す色値表示領域53である。基準色値表示領域531は、他の色値表示領域53と識別可能に色値を表示する。
図9の例では、基準色値表示領域531は白抜きの数値によって色値を示し、他の色値表示領域53は、黒色の数値によって色値を示す。例えば印刷媒体が黒色の場合の例(図示略)では、基準色値表示領域531は黒抜きの数値によって色値を示し、他の色値表示領域53は、白色の数値によって色値を示す。
【0127】
基準色表示領域55は基準色アイコン551と基準色値表示領域552を含む。基準色アイコン551は近傍色に基づく基準色を示す。基準色値表示領域552は近傍色に基づく基準色の色値を示す。
図9の例では、基準色値表示領域552は白抜きの数値によって近傍色に基づく基準色の色値を示す。
【0128】
第一色相俯瞰
図56は色相
図561と位置表示562を含む。色相
図561は色相全体を円形で示す。位置表示562は色相全体の範囲において複数の色パッチ52の色相の位置を、一対または一本の線によって示す。
図9の例では、複数の色パッチ52の色相に幅があるので、位置表示562は色相全体の範囲において複数の色パッチ52の色相の範囲を、一対の線によって示す。例えば、複数の色パッチ52の色相の全部が同じ場合には、位置表示562は色相全体の範囲において複数の色パッチ52の位置を、一本の線によって示す。
【0129】
第二色チャート表示領域60は表示271の下側半分に設けられる。第二色チャート表示領域60の背景色は、印刷媒体の色である。CPU11は代替印刷設定において、印刷媒体設定を参照し、印刷媒体の色を特定する。CPU11は特定した印刷媒体の色を第二色チャート表示領域60の背景色に設定する。
図9は、印刷媒体が白色の場合の第二色チャート表示領域60の例を示す。すなわち、
図9は、背景色が白色の場合の第二色チャート表示領域60の例を示す。例えば黒色の印刷媒体が対象印刷設定として設定されていれば、第二色チャート表示領域60の背景色は黒色に設定される(図示略)。
【0130】
第二色チャート表示領域60の表示構成は第一色チャート表示領域50の表示構成と同じなので、説明を簡略化する。第二色チャート表示領域60は、第二色チャート61、基準色表示領域65、第二色相俯瞰
図66を含む。第二色チャート61は第一色チャート51に対応し、基準色表示領域65は基準色表示領域55に対応し、第二色相俯瞰
図66は第一色相俯瞰
図56に対応する。
【0131】
第二色チャート61は複数の色パッチ62によって構成される。色値表示領域63はパッチ色空間において、色パッチ62の色値を示す。基準色パッチ621は、代替色に基づく基準色の色パッチ62である。基準色値表示領域631は、基準色パッチ621の色値を示す色値表示領域63である。基準色値表示領域631は、他の色値表示領域63と識別可能に色値を表示する。
【0132】
基準色表示領域65は基準色アイコン651と基準色値表示領域652を含む。基準色アイコン651は代替色に基づく基準色を示す。基準色値表示領域652は代替色に基づく基準色の色値を示す。第二色相俯瞰
図66は色相
図661と位置表示662を含む。色相
図661は色相全体を円形で示す。位置表示662は色相全体の範囲において複数の色パッチ62の色相の位置を、一対または一本の線によって示す。
【0133】
第一色チャート表示領域50と第二色チャート表示領域60には、限界表示73が表示される場合がある。限界表示73は、第一限界色および第二限界色を示す。第一限界色は、明度を固定した場合の彩度の限界色である。第二限界色は、彩度を固定した場合の明度の限界色である。
【0134】
CPU11は第一色チャート51については、対象印刷設定に基づく対象色域を参照し、第一限界色と第二限界色を特定する。CPU11は複数の色パッチ52の中に第一限界色または第二限界色の色パッチ52があるかを判断する。CPU11は複数の色パッチ52の中に第一限界色と第二限界色の少なくともいずれかの色パッチ52がある場合、限界表示73を第一色チャート表示領域50に表示する。
【0135】
CPU11は第二色チャート61については、代替印刷設定に基づく代替色域を参照し、第一限界色と第二限界色を特定する。同様に、CPU11は複数の色パッチ62の中に第一限界色と第二限界色の少なくともいずれかの色パッチ62がある場合、限界表示73を第二色チャート表示領域60に表示する。
【0136】
本実施形態では、限界表示73は枠731と表示732を含む。枠731は第一限界色または第二限界色の色パッチ52、62を囲む。表示732は例えば「MAX」であり、枠731に囲まれた色パッチ52、62の色が第一限界色または第二限界色であることを示す。
【0137】
図9の例では、第一限界色のS値(彩度)が「164」である場合を示す。したがって、枠731はHSB値(8,164,217)、(16,164,217)、(24,164,217)の三つの色パッチ62を囲む。
【0138】
基準色パッチ521、621は、
図9に示すように、複数の色パッチ52、62の横方向と縦方向の中央に配置される場合と、
図10に示すように、複数の色パッチ52、62の横方向と縦方向の中央に配置されない場合とがある。なお、
図10は、基準色パッチ621が複数の色パッチ62の横方向の中央且つ縦方向の最下部に配置された例であり、第二色チャート表示領域60を簡略化して図示する。
【0139】
以下では、複数の色パッチ52の横方向と縦方向の中央に配置される色パッチ52、または複数の色パッチ62の横方向と縦方向の中央に配置される色パッチ62を「中央色パッチ」という。
図9では、基準色パッチ521、621が、それぞれ、中央色パッチである。
図10では、(16,156,217)の色パッチ62が中央色パッチである。
【0140】
第一色チャート51、第二色チャート61において、中央色パッチの決定方法、つまり基準色パッチ521、621の配置位置の決定方法を説明する。例えば、CPU11は第一色チャート51については、対象印刷設定に基づく対象色域を特定する。CPU11は、基準色パッチ521の色値、パッチ個数、パッチ間隔に基づいて、基準色パッチ521を中央色パッチの位置に配置した場合に、他の色パッチ52の全部が対象印刷設定に基づく対象色域内の色となるかを判断する。
【0141】
例えば、CPU11は基準色パッチ521を中央色パッチとした場合の横軸下限色値、横軸上限色値、縦軸下限色値、および縦軸上限色値を算出する。横軸下限色値は、変化軸の横軸において、パッチ個数の「X」から「1」を引いた値の半分「(X-1)/2」とパッチ間隔とを乗じた値を、中央色パッチ(例えば基準色パッチ521)の色値から引いた値である。横軸上限色値は、変化軸の横軸において、パッチ個数の「X」から「1」を引いた値の半分「(X-1)/2」とパッチ間隔とを乗じた値を、中央色パッチの色値に足した値である。縦軸下限色値は、変化軸の縦軸において、パッチ個数の「Y」から「1」を引いた値の半分「(Y-1)/2」とパッチ間隔とを乗じた値を、中央色パッチの色値から引いた値である。縦軸上限色値は、変化軸の縦軸において、パッチ個数の「Y」から「1」を引いた半分「(Y-1)/2」とパッチ間隔とを乗じた値を、中央色パッチの色値に足した値である。
【0142】
基準色パッチ521を中央色パッチとした場合の横軸下限色値、横軸上限色値、縦軸下限色値、および縦軸上限色値の全部が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在する場合、CPU11は他の色パッチ52の全部が対象印刷設定に基づく対象色域内の色となると判断する。この場合、CPU11は基準色パッチ521を中央色パッチに決定する。
【0143】
基準色パッチ521を中央色パッチとした場合の横軸下限色値、横軸上限色値、縦軸下限色値、および縦軸上限色値の一部または全部が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在しない場合、CPU11は他の色パッチ52の全部が対象印刷設定に基づく対象色域内の色とならないと判断する。この場合、CPU11は他の色パッチ52の全部が対象印刷設定に基づく対象色域内の色となる位置まで、基準色パッチ521の配置位置を、中央色パッチの位置からずらす。
【0144】
例えば、CPU11は、横方向または縦方向において、基準色パッチ521を、対象印刷設定に基づく対象色域内の色とならないと判断した方向に一つ分、中央色パッチの位置からずらして配置する。CPU11は基準色パッチ521を中央色パッチからずらして配置した場合の横軸下限色値、横軸上限色値、縦軸下限色値、および縦軸上限色値を算出する。CPU11は、基準色パッチ521を中央色パッチからずらして配置した場合の横軸下限色値、横軸上限色値、縦軸下限色値、および縦軸上限色値の全部が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在するかを判断する。CPU11は、基準色パッチ521を中央色パッチからずらして配置した場合の横軸下限色値、横軸上限色値、縦軸下限色値、および縦軸上限色値の全部が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在するまで、これらの処理を繰り返し行う。基準色パッチ521を中央色パッチからずらして配置した場合の横軸下限色値、横軸上限色値、縦軸下限色値、および縦軸上限色値の全部が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在した場合、CPU11は、この場合に横方向と縦方向の中央に配置されている色パッチ62を、中央色パッチに決定する。
【0145】
第二色チャート61における基準色パッチ621の配置位置の決定方法は、第一色チャート51における基準色パッチ521の配置位置の決定方法と同様である。すなわち、CPU11は第二色チャート61については、代替印刷設定に基づく代替色域を特定する。他の色パッチ62の全部が代替印刷設定に基づく代替色域内の色となる場合、CPU11は基準色パッチ621を複数の色パッチ62の中央に配置する。他の色パッチ62の全部が代替印刷設定に基づく代替色域内の色とならない場合、CPU11は複数の色パッチ62の中央から、他の色パッチ62の全部が代替印刷設定に基づく代替色域内の色となる位置まで基準色パッチ621をずらして配置する。
【0146】
図10は、代替色に基づく基準色のHSB値が(16,164,217)であり、代替印刷設定に基づく代替色域において、彩度(S値)の最大値が「164」の場合の例である。この場合、仮に基準色パッチ621が中央色パッチにされると、パッチ個数の「Y」から「1」を引いた半分「(Y-1)/2」とパッチ間隔とを乗じた値は、{(3-1)/2}×8=「8」となる。このため、縦軸上限色値、すなわち最下部の色パッチ62の彩度(S値)は、「164」+「8」=「172」となる。したがって、縦軸上限色値「172」は彩度の最大値「164」を超える。
【0147】
この場合、対象印刷設定に基づく対象色域内の色とならないと判断した方向は、縦方向において正方向(
図10の下方向)である。したがって、基準色パッチ621が、中央色パッチの位置から縦方向において正方向(
図10の下方向)に一つ分、ずれて配置される。この場合、中央色パッチの彩度(S値)は、「164」-「8」=「156」となる。このため、縦軸上限色値、すなわち最下部の色パッチ62の彩度(S値)は、「164」となる。したがって、縦軸上限色値「164」は彩度の最大値「164」を超えない。
【0148】
このため、CPU11は(16,156,217)の色パッチ62を中央色パッチに決定し、基準色パッチ621を複数の色パッチ62の配置位置を複数の色パッチ62の最下部に決定する。このように、CPU11は他の色パッチ62の全部が代替印刷設定に基づく代替色域内の色となる位置まで、基準色パッチ621の配置位置を、中央色パッチの位置からずらす。
【0149】
図9に示すように、履歴表示領域71は表示271の上部において左右方向中央部に設けられ、基準色に関する履歴を表示する。CPU11は、
図3に示すS41で記憶された基準色に関する情報をフラッシュメモリ14から取得する。CPU11は取得した情報に基づく履歴表示を履歴表示領域71に行う。
【0150】
例えば、履歴表示領域71には履歴番号表示領域711、基準色アイコン712、基準色値表示領域713が設けられる。履歴番号表示領域711には、
図3に示すS41で記憶された順序が新しい順に番号が表示される。基準色アイコン712はS41でフラッシュメモリ14に記憶された基準色を示す。基準色値表示領域713は、S41でフラッシュメモリ14に記憶された基準色の色値を示す。履歴表示領域71には、S41でフラッシュメモリ14に記憶された基準色に対応する日付等が表示されてもよい。
【0151】
備考表示領域72は表示271の右上角部に設けられる。備考表示領域72には、色チャート100の設定項目の設定値、印刷設定の条件、色チャート作成日等が表示される。
図9の例では、色チャート作成日(2020年1月1日)と、印刷設定の条件(低解像度、下地なし)が備考表示領域72に表示される。
【0152】
図11を参照し、置換処理を説明する。
図2、
図3に示すメイン処理が終了した後、ユーザは操作部28を操作し、作成された第二色チャート61を構成する複数の色パッチ62のうち一つを選択する。色パッチ62の一つが選択された場合、CPU11は、ROM12から制御プログラムを読み出して動作することで、置換処理を実行する。
【0153】
置換処理が開始されると、CPU11は選択された色パッチ62の色を置換色として取得する(S71)。CPU11は代替色を対象色として取得する(S72)。CPU11は対象色に基づいて置換内容を記憶する(S73)。例えばCPU11は
図12に示す置換テーブルを作成する。CPU11は置換処理を終了する。
【0154】
図12に示すように、置換テーブルはLUTテーブルの一種であり、フラッシュメモリ14に記憶される。置換テーブルは対象色のRGB値と置換色のRGB値との対応関係を示す。置換テーブルには置換前記憶エリアと置換後記憶エリアが設けられる。置換前記憶エリアには対象色のRGB値が記憶される。置換後記憶エリアには置換色のRGB値が記憶される。置換テーブルは、対象色のRGB値を、対応する置換色のRGB値に変換するためにCPU11によって参照される。
【0155】
図11に示すS73では、CPU11はS71で取得した置換色のRGB値を置換後記憶エリアに記憶する。CPU11はS72で取得した対象色のRGB値を置換前記憶エリアに記憶する。
図12は、一例として、対象色のRGB値として(16,16,48)が置換前記憶エリアに記憶され、置換色のRGB値として(16,16,80)が置換後記憶エリアに記憶された場合を示す。
【0156】
図13を参照し、印刷データ作成処理を説明する。
図11に示す置換処理が終了した後、ユーザは操作部28を操作し、印刷データを作成するための画像データをプリンタ1に入力する。画像データがプリンタ1に入力された場合、CPU11は、ROM12から制御プログラムを読み出して動作することで、印刷データ作成処理を実行する。
【0157】
印刷データ作成処理が開始されると、CPU11は入力された画像データを取得する(S81)。CPU11はフラッシュメモリ14から
図12に示す置換テーブルを読み出す(S82)。CPU11は置換テーブルの中に画像データのRGB値が記憶されているかを判断する(S83)。置換テーブルの中に画像データのRGB値が記憶されていない場合(S83:NO)、CPU11は通常のLUTテーブルを参照する(S84)。置換テーブルの中に画像データのRGB値が記憶されている場合(S83:YES)、CPU11は置換テーブルを参照する(S85)。
【0158】
CPU11はS84またはS85で参照したテーブルによって、RGB値をCMYK値に変換する(S86)。例えば画像データのRGB値が(16,16,48)であれば、CPU11は
図12に示す置換テーブルを参照し、RGB値(16,16,48)に対応するRGB値(16,16,80)を特定する。CPU11はRGB値(16,16,80)をCMYK値に変換する。
【0159】
CPU11は画像データの全部の色のCMYK値への変換が完了したかを判断する(S87)。画像データの全部の色のCMYK値への変換が完了していない場合には(S87:NO)、CPU11は処理をS82に戻す。すなわち、CPU11は、S82を繰り返すことで、RGB値をCMYK値に変換する。これにより、CPU11は、第二色チャート61を構成する複数の色パッチ62のうち選択された色パッチ62の色を指定色として、印刷データを作成する。全部の色のCMYK値への変換が完了した場合には(S87:YES)、CPU11は変換後のCMYK値に基づくデータを印刷データとして、印刷データ作成処理を終了する。
【0160】
以上説明したように、本実施形態では、CPU11は、指定色を取得する(S12)。CPU11は、色チャート100を作成する(S43)。色チャート100は、色パッチ101が複数配置されて構成される。色パッチ101はプリンタ1の印刷設定に基づく色域内の色を有し、S12によって取得された指定色に基づく。CPU11は、S43において、プリンタ1の対象印刷設定に基づく第一色チャート51と、プリンタ1の代替印刷設定に基づく第二色チャート61とを作成する(S43)。代替印刷設定は、対象印刷設定とは異なる印刷設定である。
【0161】
上記態様によれば、プリンタ1はS43において第一色チャート51と第二色チャート61の両方を作成する。このため、プリンタ1の印刷設定が対象印刷設定から代替印刷設定に変わった場合、ユーザは色チャート100が第一色チャート51から第二色チャート61に変わることを容易に把握できる。よって、ユーザは、印刷設定の変更前後の色チャート100の違いを容易に把握できる。
【0162】
CPU11は、S43において、第二色チャート61を作成する。第二色チャート61は、印刷制御設定、印刷媒体設定、およびインク設定の少なくともいずれかが対象印刷設定とは異なる代替印刷設定に基づく。印刷制御設定は、プリンタ1の制御に関する。印刷媒体設定は、プリンタ1による印刷が行われる印刷媒体に関する。インク設定は、プリンタ1による印刷で使用されるインクに関する。
【0163】
印刷制御設定、印刷媒体設定、およびインク設定は、それぞれ、印刷設定に基づく色域の大きさおよび形状に影響する可能性がある。代替印刷設定は、印刷制御設定、印刷媒体設定、およびインク設定の少なくともいずれかが対象印刷設定とは異なる。よって、プリンタ1は、互いに異なる第一色チャート51と第二色チャート61を作成しやすい。
【0164】
CPU11は、S43において、第二色チャート61を作成する。第二色チャート61は、前処理および後処理の少なくとも一方の処理条件が対象印刷設定とは異なる代替印刷設定に基づく。前処理は、プリンタ1によるカラーインクの塗布よりも前に行われる。後処理は、プリンタ1によるカラーインクの塗布よりも後に行われる。
【0165】
前処理と後処理の処理条件は、それぞれ、印刷設定に基づく色域の大きさおよび形状に影響する可能性がある。代替印刷設定は、前処理および後処理の少なくとも一方の処理条件が対象印刷設定とは異なる。よって、プリンタ1は、互いに異なる第一色チャート51と第二色チャート61を作成しやすい。
【0166】
CPU11は、S43において、第一色相俯瞰
図56と、第二色相俯瞰
図66とをさらに作成する。第一色相俯瞰
図56は、対象印刷設定に基づく対象色域を規定する色相の範囲において、第一色チャート51を構成する複数の色パッチ52の色の位置を示す。第二色相俯瞰
図66は代替印刷設定に基づく代替色域を規定する色相の範囲において、第二色チャート61を構成する複数の色パッチ62の色の位置を示す
【0167】
ユーザは色相の範囲における色パッチ52、62の色の位置を、第一色相俯瞰
図56、第二色相俯瞰
図66によって容易に把握できる。
【0168】
CPU11は、S43において、第一色チャート51または第二色チャート61を構成する複数の色パッチ52、62の中に、第一限界色および第二限界色の少なくともいずれかがある場合、限界表示73をさらに作成する。第一限界色は、明度を固定した場合の彩度の限界色である。第二限界色は、彩度を固定した場合の明度の限界色である。限界表示73は、第一限界色および第二限界色を示す。
【0169】
ユーザは第一限界色または第二限界色を、限界表示73によって容易に把握できる。
【0170】
CPU11は、S43によって第一色チャート51および第二色チャート61が作成されるたびに、S12で取得された指定色に基づく基準色に関する情報を記憶する(S41)。CPU11は、S43において、基準色の色パッチを含む第一色チャート51および第二色チャート61を作成し、且つS41によって記憶された情報に基づいて基準色に関する履歴をさらに作成する。
【0171】
ユーザは例えば過去の基準色と現在の色チャート100の各色パッチ101の色を比較できる。よって、ユーザは過去の基準色と現在の色チャート100の各色パッチ101の色の違いを容易に把握できる。
【0172】
CPU11は、S43によって作成された第二色チャート61を構成する複数の色パッチ62のうち指定された色パッチ62の色を指定色として印刷データを作成する(S86)。
【0173】
印刷データが、第二色チャート61を構成する複数の色パッチ62のうち指定された色パッチ62の色を指定色として作成される。このため、プリンタ1は、印刷データに基づいて印刷が行われた場合に、印刷色が指定色から遠くなることを抑制できる。
【0174】
上記実施形態において、CPU11が本発明の「コンピュータ」と「制御部」に相当する。
図2のS12が本発明の「取得ステップ」に相当する。対象印刷設定が本発明の「第一印刷設定」に相当する。第一色チャート51が本発明の「第一色チャート」に相当する。代替印刷設定が本発明の「第二印刷設定」に相当する。第二色チャート61が本発明の「第二色チャート」に相当する。
図3のS43が本発明の「色チャート作成ステップ」に相当する。
【0175】
第一色相俯瞰
図56が本発明の「第一俯瞰図」に相当する。第二色相俯瞰
図66が本発明の「第二俯瞰図」に相当する。限界表示73が本発明の「限界表示」に相当する。
図3のS42が本発明の「記憶ステップ」に相当する。
図13のS86の処理が本発明の「印刷データ作成ステップ」に相当する。
図2のS12の処理が本発明の「取得処理」に相当する。
図3のS43の処理が本発明の「色チャート作成処理」に相当する。プリンタ1が本発明の「色チャート作成装置」に相当する。
【0176】
本発明は上記実施形態から種々変更できる。以下説明する各種変形例は、矛盾が生じない限り、それぞれ組み合わせ可能である。例えば、上記実施形態において、プリンタ1はインクジェットプリンタとは異なるタイプでもよく、レーザプリンタ、テーププリンタ等でもよい。前処理ヘッド5、下地ヘッド6、カラーヘッド7、および後処理ヘッド8の一部または全部はラインヘッドであってもよい。
【0177】
上記実施形態において、第一前処理を行うための装置(例えば前処理ヘッド5を備えた装置)、第二前処理を行うための装置(例えば下地ヘッド6を備えた装置)、および後処理を行うための装置(例えば後処理ヘッド8を備えた装置)の一部または全部はプリンタ1とは別体であってもよい。
【0178】
第一前処理はプリンタ1による印刷媒体への前処理剤の塗布に代えて、または加えて熱処理を含んでもい。後処理はプリンタ1による印刷媒体への後処理剤の塗布に代えて、または加えて熱処理を含んでもい。熱処理では、印刷媒体が加熱される。これにより、例えば第一前処理では印刷媒体から余分な水分が蒸発して印刷媒体が乾燥し、後処理では印刷媒体に塗布された前処理剤、インク、後処理剤等が硬化する。
【0179】
上述したように、各種ヘッドがラインヘッドである場合、第一前処理、第二前処理、および後処理を行うための装置がプリンタと別体である場合、および第一前処理、第二前処理、および後処理に加熱処理を含む場合は、これらに関する設定も印刷制御設定等、印刷設定に含まれる。
【0180】
上記実施形態では、プリンタ1がメイン処理、置換処理、印刷データ作成処理の全部を実行した。これに対し、色チャート作成装置として、プリンタ1とは異なる装置がメイン処理の一部または全部、置換処理の一部または全部、印刷データ作成処理の一部または全部を実行してもよい。色チャート作成装置は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)、タブレット端末、およびスマートフォンであり、プリンタ1と有線または無線で相互に通信する。色チャート作成装置がメイン処理の全部を実行する場合、色チャート作成装置は印刷データをプリンタ1に送信する。プリンタ1は色チャート作成装置から受信した印刷データに基づいて印刷を行う。
【0181】
上記実施形態において、色設定画面30の構成は適宜変更できる。例えば色設定画面30において印刷設定選択領域31は下地設定選択領域311と解像度選択領域312に代えて、または加えて、前処理設定選択領域、後処理設定選択領域等を含んでもよい。
【0182】
前処理設定選択領域は第一前処理の処理条件の選択肢を示し、例えば「前処理なし」の選択肢と「前処理剤少量」の選択肢と「前処理剤多量」の選択肢を示す。「前処理なし」の選択肢は第一前処理を行わない設定を示す。「前処理剤少量」の選択肢は第一前処理を行う設定を示し、且つ第一前処理で使用される前処理剤の量が少量である設定を示す。「前処理剤多量」の選択肢は第一前処理を行う設定を示し、且つ第一前処理で使用される前処理剤の量が多量である設定を示す。後処理設定選択領域は、同様に、後処理の処理条件の選択肢を示す。
【0183】
上記実施形態において、対象印刷設定に基づく対象色域の特定方法(S15)は、特定の方法に限定されない。CPU11は例えば対象印刷設定に基づいて、計算式によって対象印刷設定に基づく対象色域を特定してもよい。計算式はROM12またはフラッシュメモリ14に記憶され、印刷制御設定、印刷媒体設定、およびインク設定の一部または全部の内容を変数とする。CPU11は例えば対象印刷設定として設定されている印刷制御設定、印刷媒体設定、およびインク設定の内容に応じた値を計算式の変数に代入することで、対象印刷設定に基づく対象色域を特定する。
【0184】
上記実施形態では、色域テーブルは印刷制御設定の一種として解像度の設定と下地インクの設定の組み合わせに対応付けて、印刷設定に基づく色域C1~C6を定める。これに対し、色域テーブルは他の印刷制御設定、印刷媒体設定、インク設定の各設定の一部または全部に対応付けて、印刷設定に基づく色域を定めてもよい。つまり、CPU11は対象印刷設定として印刷制御設定、印刷媒体設定、インク設定の一部または全部に基づいて、指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在するかを判断してもよい。例えば、色域テーブルは下地インクの設定に代えてまたは加えて後処理の処理条件の設定に対応付けて、印刷設定に基づく色域を定めてもよい。つまり、CPU11は対象印刷設定として下地インクの設定に代えてまたは加えて後処理の処理条件の設定に基づいて、指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在するかを判断してもよい。CPU11は対象印刷設定として印刷制御設定、印刷媒体設定、インク設定以外の印刷設定に基づいて、指定色に基づくデバイス非依存色が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在するかを判断してもよい。
【0185】
上記実施形態において、CPU11は、S22において、S21で特定した第一代替印刷設定を代替印刷設定表示領域36に表示できる。例えば、CPU11は代替印刷設定表示領域36に、第一前処理を行う設定、前処理剤の量を増やす設定を表示してもよい。CPU11は一度打ちから二度打ちへの変更等、印刷処理で使用されるインクの量を増やす設定を表示してもよい。CPU11は双方向印刷から片方向印刷に変更する設定を表示してもよい。CPU11は無変換プロファイルの設定を表示してもよい。これらの場合、第一代替印刷設定に基づく第一代替色域は対象印刷設定に基づく対象色域よりも大きくなりやすい。例えば、インクの量、前処理剤の量が増えると、指定色に基づくデバイス非依存色と印刷設定に基づく色域との間の距離が小さくなりやすい。よって、プリンタ1は、前処理剤の量を増やす設定を表示することで、印刷色が指定色に近づく印刷設定の選択肢をユーザに提示できる。
【0186】
上記実施形態において、CPU11は、S32において、S31で特定した第二代替印刷設定を代替印刷設定表示領域36に表示できる。例えば、CPU11は代替印刷設定表示領域36に、第一前処理を行わない設定、前処理剤の量を減らす設定を表示してもよい。CPU11は二度打ちから一度打ちへの変更等、印刷処理で使用されるインクの量を減らす設定を表示してもよい。CPU11は片方向印刷から双方向印刷に変更する設定を表示してもよい。CPU11はインクの量を減らすことができるプロファイルの設定を表示してもよい。これらの場合、第二代替印刷設定は対象印刷設定よりも印刷時間の短縮化しまたは印刷コストを低減できる。例えば、インクの量、前処理剤の量が減ると、その分、印刷コストが低下する。よって、プリンタ1は、印刷色が指定色から遠くなることを抑制しつつ、対象印刷設定の他に、印刷コストを低減可能な第二代替印刷設定の選択肢をユーザに提示できる。
【0187】
上記実施形態において、CPU11は色差優先の近傍色、色相優先の近傍色、明度優先の近傍色、彩度優先の近傍色の複数を特定し、特定した全部の近傍色を近傍色表示領域33に表示してもよい。この場合、ユーザは操作部28を操作し、各近傍色からいずれかを選択すればよい。
【0188】
CPU11は近傍色の表示態様を適宜変更できる。例えばCPU11はS22またはS32において、
図14に示す色域グラフを色設定画面30に表示してもよい。
図14に示すように、色域グラフはLab色空間において対象印刷設定に基づく対象色域を色域CBとして示す。色域グラフは指定色に基づくデバイス非依存色を点B1として示す。色域グラフは近傍色のLab値を点B2として示す。ユーザは色域グラフを見ることで指定色と近傍色の色差を視覚的に確認できる。CPU11は近傍色としてCMYK値等を表示してもよい。
【0189】
CPU11は近傍色を、色の名称を所定の色空間の値に変換するためのカラーライブラリに記憶してもよい。カラーライブラリは例えばフラッシュメモリ14に設けられる。この場合、ユーザは近傍色をカラーライブラリから容易に指定できる。
【0190】
上記実施形態では、一つの色が指定色として指定された場合の例を説明した。これに対し、CPU11がS12で画像を取得し、取得した画像にプロファイルが指定されている場合がある。この場合、CPU11は、S12において、画像全体をスキャンし、スキャンした画像の全部の色を指定色として取得してもよい。CPU11は、S13において指定色として取得した全部の色を、指定色に基づくデバイス非依存色として変換し、S17において、指定色に基づくデバイス非依存色の全部が対象印刷媒体に基づく対象色域内に存在するかを判断してもよい。
【0191】
指定色に基づくデバイス非依存色の一部または全部が対象印刷媒体に基づく対象色域内に存在しない場合、CPU11はS21を実行する。この場合、CPU11は例えば指定色に基づくデバイス非依存色の全部が第一代替印刷設定に基づく第一代替色域内に存在することとなる第一代替印刷設定を特定してもよい。CPU11は例えば第一代替印刷設定に基づく第一代替色域内に存在する指定色に基づくデバイス非依存色の種類数が対象印刷設定に基づく対象色域内に存在する指定色に基づくデバイス非依存色の種類数よりも多くなる第一代替印刷設定を特定してもよい。
【0192】
指定色に基づくデバイス非依存色の全部が対象印刷媒体に基づく対象色域内に存在する場合、CPU11はS31を実行する。この場合、CPU11は例えば指定色に基づくデバイス非依存色の全部が第二代替印刷設定に基づく第二代替色域内に存在する第二代替印刷設定を特定してもよい。
【0193】
上記実施形態では、操作部28が操作されることで、CPU11は指定色を取得した。これに対し、例えばユーザは外部機器を操作し、通信によって外部機器から指定色をプリンタ1に入力してもよい。外部機器は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)、タブレット端末、およびスマートフォンであり、プリンタ1と有線または無線で相互に通信する。
【0194】
上記実施形態では、優先設定は、印刷時間よりも印刷コストを優先するか、印刷コストよりも印刷時間を優先するかを示す。これに対し、優先設定は、印刷制御設定、印刷媒体設定、インク設定の優先度を示してもよいし、より詳細に、解像度の設定よりも下地インクの設定を優先するか、下地インクの設定よりも解像度の設定を優先するか等を示してもよい。指定色に基づくデバイス非依存色が色域内に存在する色域が複数ある場合、S21において、CPU11は複数の色域に対応する印刷設定のうち優先度が高い印刷設定を、第一代替印刷設定として特定する。
図4の例において、対象印刷設定に基づく対象色域が色域C1であり、指定色に基づくデバイス非依存色が色域内に存在する色域として、色域C3と色域C4が特定される場合がある。色域C1から色域C3に変更される場合には、解像度の設定は「低解像度」で変わらず、下地インクの設定が「なし」から「多量」に変わる。色域C1から色域C4に変更される場合には、解像度の設定は「低解像度」から「高解像度」に変わり、下地インクの設定は「なし」で変わらない。この場合、下地インクの設定よりも解像度の設定を優先する優先設定が設定されていれば、CPU11は色域C1を第一代替印刷設定に基づく第一代替色域として特定する。
【0195】
上記実施形態において、S21では、指定色に基づくデバイス非依存色と対象印刷設定に基づく対象色域との間の距離が「0」となる第一代替印刷設定が存在しない場合がある。この場合、CPU11は各色域C1~C6のうち指定色に基づくデバイス非依存色から色域までの距離が最も小さい色域を、第一代替印刷設定に基づく第一代替色域として特定してもよい。またはCPU11は例えば代替印刷設定表示領域36において、第一代替印刷設定が存在しない旨を表示してもよい。第一代替印刷設定が存在しない旨は例えば「他の印刷設定でも再現不可能です。」である。
【0196】
上記実施形態では、指定色に基づくデバイス非依存色が色域内に存在する色域が複数ある場合、S21において、CPU11は複数の色域からいずれか一つを、第一代替印刷設定に基づく第一代替色域として特定する。これに対し、CPU11は複数の色域の全部を第一代替印刷設定に基づく第一代替色域として特定してもよい。この場合、CPU11はS22において、複数の第一代替印刷設定を代替印刷設定表示領域36に表示してもよい。
【0197】
表示271の表示構成は上記実施形態に限定されない。
図15を参照し、第一色チャート表示領域50の変形例として、第一色チャート表示領域50Aを説明する。なお、第二色チャート表示領域60も第一色チャート表示領域50Aと同様に変更できる。第一色チャート表示領域50Aは第一色チャート51を含む。第一色チャート51のパッチ色空間はHSB色空間である。横軸が色相(H)であり、縦軸が彩度(S)である。
図15中の「H」「S」「B」は、それぞれ、色相、彩度、明度を示す。
【0198】
【0199】
色相俯瞰
図56Aは色相
図561Aと位置表示562Aを含む。色相
図561Aは色相全体を横方向に延びる棒状に示す。
図15の第一色チャート51では、横軸が色相(H)を示す。つまり、色相
図561Aが延びる方向と第一色チャート51の色相の軸が延びる方向はいずれも横方向で一致する。位置表示562Aは色相全体の範囲において複数の色パッチ52の色相の位置を示す。
図15の例では、位置表示562Aは色相
図561Aにおいて色相の値(H)が「251」から「259」の範囲を示す。
【0200】
彩度俯瞰
図56Bは彩度
図561Bと位置表示562Bを含む。彩度
図561Bは彩度全体を縦方向に延びる棒状に示す。
図15の第一色チャート51では、縦軸が彩度(S)を示す。つまり、彩度
図561Bが延びる方向と第一色チャート51の彩度の軸が延びる方向はいずれも縦方向で一致する。位置表示562Bは彩度の全体範囲において複数の色パッチ52の彩度の位置を示す。
図15の例では、位置表示562Bは彩度
図561Bにおいて彩度の値(S)が「140」から「156」の範囲を示す。
【0201】
明度俯瞰
図56Cは明度
図561Cと位置表示562Cを含む。明度
図561Cは明度全体を縦方向に延びる棒状に示す。位置表示562Cは明度全体の範囲において複数の色パッチ52の明度の位置を示す。
図15の例では、位置表示562Cは明度
図561Cにおいて明度の値(B)が「28」の一点であることを示す。
【0202】
色相/彩度俯瞰
図56Dは色相/彩度
図561Dと位置表示562Dを含む。色相/彩度
図561Dは色相全体を横軸とし、且つ彩度全体を縦軸とした二次元平面図を示す。
図15の第一色チャート51では、横軸が色相(H)を示し、縦軸が彩度(S)を示す。つまり、色相/彩度
図561Bの色相を示す軸が延びる方向と第一色チャート51の色相を示す軸が延びる方向はいずれも横方向で一致する。色相/彩度
図561Bの彩度を示す軸が延びる方向と第一色チャート51の彩度を示す軸が延びる方向はいずれも縦方向で一致する。位置表示562Dは色相と彩度全体の範囲において複数の色パッチ52の色相と彩度の位置を示す。
図15の例では、位置表示562Dは色相/彩度
図561Dにおいて色相の値(H)が「251」から「259」の範囲を示し、且つ彩度の値(S)が「140」から「156」の範囲を示す。
【0203】
彩度/明度俯瞰
図56Eは彩度/明度
図561Eと位置表示562Eを含む。彩度/明度
図561Eは彩度全体を横軸とし、且つ明度全体を縦軸とした二次元平面図を示す。位置表示562Eは彩度と明度全体の範囲において複数の色パッチ52の彩度と明度の位置を示す。
図15の例では、位置表示562Eは彩度/明度
図561Eにおいて彩度の値(S)が140から156の範囲を示し、明度の値(B)が「28」の一点であることを示す。
【0204】
色相/明度俯瞰
図56Fは色相/明度
図561Fと位置表示562Fを含む。色相/明度
図561Fは色相全体を横軸とし、且つ明度全体を縦軸とした二次元平面図を示す。
図15の第一色チャート51では、横軸が色相(H)を示す。つまり、色相/明度
図561Fの色相を示す軸が延びる方向と第一色チャート51の色相を示す軸が延びる方向はいずれも横方向で一致する。位置表示562Fは色相と明度全体の範囲において複数の色パッチ52の色相と明度の位置を示す。
図15の例では、位置表示562Fは色相/明度
図561Fにおいて色相の値(H)が「251」から「259」の範囲を示し、且つ明度の値(B)が「28」の一点であることを示す。
【0205】
【0206】
図16を参照し、表示271の変形例として、表示272を説明する。表示272は範囲表示59、69を含む点が表示271の表示構成と異なる。範囲表示59は第一色チャート51において、複数の色パッチ52の一部または全部を囲む。範囲表示69は第二色チャート61において、複数の色パッチ62の一部または全部を囲む。範囲表示59が囲む色パッチ52の色の範囲と、範囲表示69が囲む色パッチ62の色の範囲は互いに同じ範囲である。すなわち、範囲表示59、69は、互いに、第一色チャート51における色の範囲と、第二色チャート61における色の範囲の関係を示す。例えば、範囲表示59は第二色チャート61において範囲表示69が示す色の範囲が、第一色チャート51においていずれの色の範囲に該当するかを示す。範囲表示69は第一色チャート51において範囲表示59が示す色の範囲が、第二色チャート61においていずれの色の範囲に該当するかを示す。
【0207】
図16の例では、第一色チャート51のパッチ間隔は「4」であり、第二色チャート61のパッチ間隔は「2」である。近傍色に基づく基準色と代替色に基づく基準色のいずれも色値(12,152,20)である。範囲表示59は第一色チャート51において、色値(8,148,20)、(16,148,20)、(16,156,20)、(8,156,20)の四点の色パッチ52を囲む。範囲表示69は第二色チャート61において、色値(8,148,20)、(16,148,20)、(16,156,20)、(8,156,20)の四点の色パッチ62を囲む。CPU11は、第一色チャート51と第二色チャート61で同一の色の範囲があるかを判断する。同一の色の範囲がある場合、CPU11は範囲表示59、69を表示する。
【0208】
上記実施形態では、S13で指定色がデバイス非依存色に変換された。これに対し、デバイス依存色に変換されてもよいし、変換されなくてもよい。RGB値はデバイス依存色の一例である。
【0209】
上記実施形態において、CPU11はメイン処理において、少なくともS12とS43を実行すればよい。すなわち、CPU11は対象印刷設定に基づく第一色チャートと、代替印刷設定に基づく第二色チャートの少なくとも二つを作成できればよい。
【0210】
上記実施形態では、CPU11は印刷設定に基づく色域を参照し、第一限界色と第二限界色を特定する。これに対し、第一限界色と第二限界色は、印刷設定に基づく色域を考慮せず、数値の上限と下限によって定めされてもよい。
【0211】
上記実施形態において、プリンタ1には、色チャート100の設定項目として、「パッチサイズ」、「パッチ個数」、「パッチ色空間」、「変化軸」、「パッチ間隔」、「チャート群数」の一部だけが設けられていてもよいし、これら以外の設定項目が設けられていてもよい。各設定項目の内容は上記実施形態に限定されない。例えばパッチ色空間はHSB色空間とRGB色空間に限定されない。
【0212】
CPU11の代わりに、マイクロコンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が、プロセッサとして用いられてもよい。メイン処理、置換処理、および印刷データ作成処理は、それぞれ、複数のプロセッサによって分散処理されてもよい。ROM12、フラッシュメモリ14等の非一時的な記憶媒体は、情報を記憶する期間に関わらず、情報を留めておくことが可能な記憶媒体であればよい。非一時的な記憶媒体は、一時的な記憶媒体(例えば、伝送される信号)を含まなくてもよい。制御プログラムは、例えば、図示外のネットワークに接続されたサーバからダウンロードされて(すなわち、伝送信号として送信され)、ROM12またはフラッシュメモリ14に記憶されてもよい。この場合、制御プログラムは、サーバに備えられたHDD等の非一時的な記憶媒体に保存されていればよい。
【符号の説明】
【0213】
1 プリンタ
11 CPU