(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156958
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】患者モニタリングシステム及びナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
G16H 80/00 20180101AFI20221006BHJP
H04M 3/42 20060101ALI20221006BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20221006BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20221006BHJP
A61G 12/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G16H80/00
H04M3/42 P
H04M11/00 302
H04M9/00 D
A61G12/00 Z
A61G12/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060908
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】峰田 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】牧田 舞
(72)【発明者】
【氏名】楠 浩和
【テーマコード(参考)】
4C341
5K038
5K201
5L099
【Fターム(参考)】
4C341LL10
4C341LL30
5K038AA06
5K038BB01
5K038DD18
5K038DD21
5K038GG02
5K038GG03
5K038GG04
5K038GG05
5K201BA19
5K201CA04
5K201CA07
5K201CC02
5K201CC04
5K201CC10
5K201DC04
5K201DC05
5K201EC06
5K201ED09
5K201EF03
5K201EF04
5L099AA21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】看護師が巡回しなくても、また、患者が病室に居なくても患者のモニタリングが可能なシステムを提供する。
【解決手段】患者モニタリングシステムにおいて、自走ロボット6は、モニタリング対象の顔情報を記憶する対象者情報記憶部63、カメラ61、顔認証部62、通話部65、患者音声を文字変換する文字変換部66、外部と無線通信する自走ロボット通信部72、病院内の地図情報を記憶する地図情報記憶部64、そして自身の位置を認識してモニタリングを制御する自走ロボットCPU71を有する自走ロボット6と、モニタリング情報を蓄積する患者管理サーバとを有する。自走ロボットCPUは、自走ロボットを病院の所定エリアを移動させ、途中でカメラが撮像した人物が、対象者情記憶部に登録された患者であり、且つ、所定の条件を満たしている場合はモニタリングを実施し、取得した撮像画像及び文言情報を患者管理サーバに送信して蓄積させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モニタリング対象の患者の顔情報を記憶する対象者情報記憶部、患者を撮像するカメラ、顔認証する顔認証部、患者と会話するための通話部、患者音声を文字変換する文字変換部、外部と無線通信する通信部、病院内の適宜位置に設置されて位置信号を発信する位置情報発信機からの発信情報を元に自身の位置を認識する位置認識部、病院内の地図情報を記憶する地図情報記憶部、そしてモニタリングを制御するモニタリング制御部を有して、患者のモニタリングを実施する自走ロボットと、
前記自走ロボットと通信して、実施したモニタリング情報を蓄積する患者管理サーバと、を有し、
前記モニタリング制御部は、前記自走ロボットを病院内で移動させ、途中で前記カメラが撮像した人物が、前記対象者情報記憶部に登録された患者であると前記顔認証部が判断し、且つ所定の条件を満たしていたらモニタリングを実施し、
前記通話部から所定のメッセージを報音して、その応答内容をモニタリング情報として前記患者管理サーバに送信して蓄積させることを特徴とする患者モニタリングシステム。
【請求項2】
モニタリング間隔を管理する時間管理部を有し、
前記時間管理部が、モニタリングされない状態で第1の所定時間が経過した患者がいたら、当該患者を探し出してモニタリングを実施するよう前記モニタリング制御部に指示を出し、
前記モニタリング制御部は、前記指示に従って移動制御し、モニタリングを実施することを特徴とする請求項1記載の患者モニタリングシステム。
【請求項3】
前記時間管理部は、前記カメラが撮像している患者が、前回モニタリングしてから前記第1の所定時間より短い第2の所定時間が経過していない患者であったら、モニタリングを行わないよう前記モニタリング制御部に指示を出し、
前記モニタリング制御部は、前記指示に従って次の患者のモニタリングに進むことを特徴とする請求項2記載の患者モニタリングシステム。
【請求項4】
前記患者管理サーバは、取得した患者の文言情報から患者の異常を判断する文言判断部を有し、
前記文言判断部が異常発生と判断したら、所定の外部に通知することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の患者モニタリングシステム。
【請求項5】
前記自走ロボットは、バイタル情報取得部を有し、
前記モニタリング制御部は、会話中或いは会話後にモニタリング対象者のバイタル情報を取得して、前記患者管理サーバに送信することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の患者モニタリングシステム。
【請求項6】
前記患者管理サーバは、前記自走ロボットから送信されたバイタル情報と、同一患者の過去のモニタリングで得たバイタル情報とを比較して、異常発生の有無を判断するバイタル情報判断部を有し、
異常発生と判断したら、所定の外部に通知することを特徴とする請求項5記載の患者モニタリングシステム。
【請求項7】
患者が看護師を呼び出すためのナースコール子機と、当該ナースコール子機からの呼び出しに応答するためのナースコール親機と、看護師が携行して前記ナースコール子機からの呼び出しに応答するための携帯端末とを有するナースコールシステムであって、
請求項1乃至6の何れかに記載の患者モニタリングシステムを具備し、
前記患者モニタリングシステムの自走ロボットは、前記携帯端末の通信網を構成する基地局と通信を実施し、前記基地局を介して患者管理サーバと通信を実施することを特徴とするナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者へのモニタリングを行う患者モニタリングシステム及びナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院や施設において、患者の状況を確認する場合、看護師等が巡回して患者をモニタリングして状況を確認し、患者のバイタル情報を取得して記録した。巡回する際の記録に関しては自動化が進んでいるため、転記の煩わしさは減少したが、患者や入居者の居る場所に赴いて情報を得る必要がありその手間が非常に大きかった。
この巡回者の負担を軽減するために、病室まで出向くこと無く患者の情報を得ることができるナースコールシステムが提案されている。
例えば特許文献1では、看護師が携行する携帯端末により患者を撮像するカメラを操作でき、患者の状態を携帯端末に表示させてモニタリングすることができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の技術は、看護師が巡回しなくてもカメラの撮像映像から患者の様子を確認できた。
しかしながら、巡視監視操作がなされた時に患者がベッドに或いは病室に居なければ、カメラで患者を撮像できないため、状況を確認することができなかった。また、バイタル測定は、患者自身により行って頂くため、取得できない場合が発生した。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、看護師が巡回しなくても、また患者が病室に居なくても患者のモニタリングが可能なシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明に係る患者モニタリングシステムは、モニタリング対象の患者の顔情報を記憶する対象者情報記憶部、患者を撮像するカメラ、顔認証する顔認証部、患者と会話するための通話部、患者音声を文字変換する文字変換部、外部と無線通信する通信部、病院内の適宜位置に設置されて位置信号を発信する位置情報発信機からの発信情報を元に自身の位置を認識する位置認識部、病院内の地図情報を記憶する地図情報記憶部、そしてモニタリングを制御するモニタリング制御部を有して、患者のモニタリングを実施する自走ロボットと、自走ロボットと通信して、実施したモニタリング情報を蓄積する患者管理サーバと、を有し、モニタリング制御部は、自走ロボットを病院内で移動させ、途中でカメラが撮像した人物が、対象者情報記憶部に登録された患者であると顔認証部が判断し、且つ所定の条件を満たしていたらモニタリングを実施し、通話部から所定のメッセージを報音して、その応答内容をモニタリング情報として患者管理サーバに送信して蓄積させることを特徴とする。
この構成によれば、自走ロボットが移動して患者をモニタリングし、患者が発した文言等の情報を入手するため、看護師が患者の元まで出かけて行きモニタリングしなくて済むし、患者が病室に居なくてもモニタリングを行うことができる。そして、取得した患者情報は患者管理サーバに蓄積されるため、看護師はこの情報を閲覧することで患者の状態を把握できる。よって、看護師に対して巡回する負担を軽減でき、緊急時の対処等に対してスムーズな対応が可能となる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、モニタリング間隔を管理する時間管理部を有し、時間管理部が、モニタリングされない状態で第1の所定時間が経過した患者がいたら、当該患者を探し出してモニタリングを実施するようモニタリング制御部に指示を出し、モニタリング制御部は、指示に従って移動制御し、モニタリングを実施することを特徴とする。
この構成によれば、モニタリングが成されないまま長時間が経過するような患者が発生しないよう自走ロボットが動作する。よって、患者に対して平等なモニタリングが可能であり、看護師が自走ロボットに指示を出すような必要がない。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の構成において、時間管理部は、カメラが撮像している患者が、前回モニタリングしてから第1の所定時間より短い第2の所定時間が経過していない患者であったら、モニタリングを行わないようモニタリング制御部に指示を出し、モニタリング制御部は、指示に従って次の患者のモニタリングに進むことを特徴とする。
この構成によれば、同一の患者に対してモニタリングが頻繁に実施されることが無く、患者の迷惑になることが無いし、不必要なモニタリングを防止できる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の構成において、患者管理サーバは、取得した患者の文言情報から患者の異常を判断する文言判断部を有し、文言判断部が異常発生と判断したら、所定の外部に通知することを特徴とする。
この構成によれば、モニタリングの際に患者が異常を訴えたら、それを認識して外部に通知することができる。よって、例えば看護師が携行する携帯端末等に通知することで、遅滞の無い対応が可能となる。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の構成において、自走ロボットは、バイタル情報取得部を有し、モニタリング制御部は、会話中或いは会話後にモニタリング対象者のバイタル情報を取得して、患者管理サーバに送信することを特徴とする。
この構成によれば、モニタリングで患者のバイタル情報を入手できるため、高い確度で患者の状態を管理できる。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載の構成において、患者管理サーバは、自走ロボットから送信されたバイタル情報と、同一患者の過去のモニタリングで得たバイタル情報とを比較して、異常発生の有無を判断するバイタル情報判断部を有し、異常発生と判断したら、所定の外部に通知することを特徴とする。
この構成によれば、現在と過去のバイタル情報を比較して、患者の異常発生を判断するため、精度の高い判断ができる。そして、異常発生と判断したら外部に通知するため、例えば看護師が携行する携帯端末等に通知することで、遅滞の無い対応が可能となる。
【0012】
請求項7の発明は、患者が看護師を呼び出すためのナースコール子機と、当該ナースコール子機からの呼び出しに応答するためのナースコール親機と、看護師が携行してナースコール子機からの呼び出しに応答するための携帯端末とを有するナースコールシステムであって、請求項1乃至6の何れかに記載の患者モニタリングシステムを具備し、患者モニタリングシステムの自走ロボットは、携帯端末の通信網を構成する基地局と通信を実施し、基地局を介して患者管理サーバと通信を実施することを特徴とする。
この構成によれば、ナースコールシステムを使用して患者モニタリングシステムを構築することで、コストを抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、自走ロボットが移動して患者をモニタリングし、患者が発した文言等の情報を入手するため、看護師が患者の元まで出かけて行きモニタリングしなくて済むし、患者が病室に居なくてもモニタリングを行うことができる。そして、所得した患者情報は患者管理サーバに蓄積されるため、看護師はこの情報を閲覧することで患者の状態を把握できる。よって、看護師に対して巡回する負担を軽減でき、緊急時の対処等にスムーズに対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る患者モニタリングシステムの一例を示し、ナースコールシステムと一体化した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る患者モニタリングシステムの一例を示し、ナースコールシステムと一体化した構成を示している。
図1に示すように、ナースコールシステムは、ベッド毎に設置されて患者が看護師を呼び出すためのナースコール子機1、病室毎に設置された廊下灯2、ナースステーションに設置されてナースコール子機1による呼び出しを報知し、また看護師が応答するためのナースコール親機3、個々の看護師が呼び出しに応答するために携行する例えばスマートフォンから成る携帯端末4、機器間の通信を制御する制御機5、自走して移動して患者をモニタリングする自走ロボット6、携帯端末4及び自走ロボット6と制御機5とが通信するためのアクセスポイント等の基地局7、携帯端末4と基地局7との間の通信の制御に加えて、自走ロボット6と基地局7との間の通信を制御するIP-PBXから成る交換機8、自走ロボット6に位置情報を提供するIMES管理部11、モニタリングした情報を蓄積する患者管理サーバ9等を備えている。
そして、自走ロボット6、基地局7、IMES管理部11、患者管理サーバ9等が患者モニタリングシステムを構成している。
【0016】
IMES管理部11は、IMES(Indoor MEssaging System)技術を適用して自身の位置信号であるIMES信号を発信するIMES発信機12、個々のIMES発信機12の発信信号を管理するIMES管理装置13等により構成されている。IMES発信機12は、病院内の適宜位置、例えば、各病室、ナースステーション、廊下の適宜位置、談話室、トイレ等に設置されている。
【0017】
廊下灯2、ナースコール親機3、制御機5、交換機8、患者管理サーバ9は、HUB15を介してLAN配線L1により互いに接続されている。また、ナースコール子機1は病室毎に伝送線L2を介して廊下灯2に接続されている。一方、IMES発信機12とIMES管理装置13とは通信線L4で接続されている。
尚、通信線L4はLAN配線L1と一体としても良い。
【0018】
以下、主要機器を説明する。ナースコール子機1は、ベッド上に配置される呼出握りボタン1aと、壁面に設置されて呼出握りボタン1aが接続されるプレート子機1bとから成り、プレート子機1bにはマイク、スピーカを備えた通話部(図示せず)が組み込まれている。
【0019】
廊下灯2は、病室毎に設置されて病室の患者情報を表示する患者情報表示部2a、病室の患者からの呼出発生を表示する表示灯2bを有し、呼出信号を中継する
【0020】
ナースコール親機3は、患者情報の一覧を始め、各種情報を表示する第1表示部3a、ナースコール子機1から呼び出しを受けた際に呼出元情報を表示する第2表示部3b、通話するためのハンドセット3c等を備えている。
【0021】
図2は自走ロボット6のブロック図を示している。
図2に示すように、自走ロボット6は、患者を撮像するためのカメラ61、撮像画像から患者を判別する顔認証部62、モニタリング対象の患者を判別するための顔画像及び患者情報を記憶する対象者情報記憶部63、病院内の地図情報を記憶する地図情報記憶部64、患者と会話するためのマイク65a及びスピーカ65bを備えた通話部65、患者の音声を文字情報に変換する文字変換部66、体温データを取得するサーマルカメラ67、IMES発信機12の信号を受信する受信部68、移動するための脚部或いは車輪等の移動手段を駆動する駆動部69、蓄電池を備えた電源部70、自走ロボット6を制御する自走ロボットCPU71、基地局7を介して患者管理サーバ9と無線通信する自走ロボット通信部72等を備えている。
自走ロボットCPU71は、IMES発信機12の発信情報から自身の位置を認識し、移動を制御すると共にモニタリングを制御する。
【0022】
図3は患者管理サーバ9のブロック図である。
図3に示すように、患者管理サーバ9は、自走ロボット6が行った患者のモニタリング情報を記憶するモニタリング情報記憶部91、患者の顔画像、氏名、病室、ベッド番号等の患者の基本データが保存されている患者データ保存部92、患者と会話した文言から患者の異常を判断する文言情報を記憶する判断文言記憶部93、患者管理サーバ9を制御する患者管理サーバCPU95、自走ロボット6及び外部と通信する患者管理サーバ通信IF96等を備えている。
そして、患者管理サーバCPU95は、文言情報から患者の異常を判断する文言判断部、バイタル情報から患者の異常を判断するバイタル情報判断部、モニタリング間隔を管理する時間管理部としての機能を備えている。
【0023】
上記の如く構成されたナースコールシステム及び患者モニタリングシステムの動作は以下のようである。但し、ナースコール子機1からの呼び出しが成されたら、ナースコール親機3及び携帯端末4が呼出動作し、応答操作したナースコール親機3或いは携帯端末4とナースコール子機1との間で通話路が形成される動作は、従来と同様であるため説明を省略し、ここでは自走ロボット6のモニタリング動作を中心に説明する。
自走ロボット6は、自走ロボットCPU71の制御により決められた時間帯において病棟等の病院の特定のエリア或いは病院全体を移動する。このとき、自走ロボットCPU71は、地図情報記憶部64が記憶する病院内の地図情報と、受信部68が受信したIMES発信機12の位置情報とから自身の現在地を認識し、予め決められたルートに沿って移動するよう駆動部69を制御する。
【0024】
この移動の過程でカメラ61の画角に人物が入ったら、その人物の顔を撮像してモニタリング対象の患者であるか顔認証部62が判断する。モニタリング対象の患者であったら、モニタリング制御に入る。
具体的に、移動の過程で例えば談話室において患者が見舞者とくつろいでいる場面に遭遇したら、カメラ61の撮像映像から人物の存在が認識される。このとき、顔認証部62が、カメラ61が撮像している複数の顔画像と対象者情報記憶部63の顔画像情報とを比較して、一致する顔画像があったらモニタリング対象の患者の存在を認識し、モニタリング制御に入る。
モニタリング制御に入ったら、まず判別した患者が、モニタリングを実施すべき患者であるか更に判断し、そうであったら、モニタリングを開始する。
【0025】
このとき、モニタリングが必要な患者とそうでない患者の判別は以下のように成される。自走ロボットCPU71は、モニタリング対象の患者が目の前にいることを認識したら、その患者が、今モニタリングすべき患者かどうか患者管理サーバ9に問い合わせを行う。
【0026】
問合せを受けた患者管理サーバ9では、患者管理サーバCPU95が、対象の患者が最後にモニタリングされた日時情報を、患者データ保存部92から読み取り、判定する。
患者データ保存部92には、最後にモニタリングを行った時間が記録されており、前回のモニタリングから第2の所定時間である一定の時間(例えば12時間)が経過していなければ、モニタリング不可の指示を出す。一方、一定時間以上が経過した患者であったらモニタリング可の指示を出す。
よって、この問合せの結果、モニタリング可の指示を受けたら、モニタリングを開始する。
【0027】
モニタリング可の指示を受けて開始したモニタリングは、次のように実施される。最初に、例えば「○○さんですね。モニタリングをはじめます」のメッセージがスピーカ65bから報音され、モニタリング対象の患者であることを確認した後、今からモニタリングすることが伝えられる。
次に、患者の体調を確認するために、例えば「お加減はいかがですか」のメッセージが報音され、患者の状態確認を実施する。この問いに対して患者から発せられた音声がマイク65aで集音され、文字変換部66により文字情報に変換されて患者管理サーバ9に送信される。
【0028】
また、その間に入手した患者の撮像映像(撮像画像)が、患者管理サーバ9に送信され保存される。更に、サーマルカメラ67が会話中或いは会話後に起動してバイタル情報である体温が計測され、同様に送信されて保存される。
こうして、モニタリング情報として、患者の撮像映像、患者が応答した文言情報、体温データが患者管理サーバ9に送信され、モニタリング情報記憶部91に保存される。同時にモニタリングした日時が患者データ保存部92に、モニタリングした患者情報に紐付けされて記録される。
【0029】
また、患者が自走ロボット6の問いに対して、応答した言葉が、「少し熱がある」、「頭が痛い」等である場合、患者管理サーバCPU95が言葉の中の特定の文言を認識し、異常発生と判断して看護師に通知する。
具体的に、患者管理サーバ9の判断文言記憶部93には、異常を判断するための文言、例えば「熱」、「痛い」、「怠い」等が記憶されており、患者管理サーバCPU95が患者の発した言葉からそのような文言を判別して、異常発生と判断する。異常発生と判断したら、例えば、看護師が携行する携帯端末4に通知され、例えば「○○号室の、△△さんが異常を訴えています」の文言が携帯端末4に表示される。
【0030】
更に、計測した体温データは、モニタリング情報記憶部91に蓄積されている過去の情報と比較されて判断される。
患者管理サーバCPU95は、モニタリングにより得た患者の体温データを過去の体温データと比較して規定値以上の差異があったら同様に異常発生と判断する。異常発生と判断したら、文言での判断と同様に看護師が携行する携帯端末4に通知され、例えば「○○号室の、△△さんにバイタル異常が考えられます」の文言が携帯端末4に表示される。
【0031】
ここで、モニタリングするために、自走ロボット6が特定の患者を探し出す場合があり、その場合を説明する。
患者管理サーバCPU95は、上述したように、モニタリングの間隔を管理しているが、最後のモニタリングが成されてから第1の所定時間である一定の時間(例えば、24時間)が経過しても新たなモニタリングが行われない患者がいる場合、自走ロボット6に対してその患者を捜索してモニタリングする優先指示を出す。
この優先指示を受けた自走ロボット6は、対象の患者を探し出してモニタリングするための移動を開始する。この捜索動作は見つけるまで一定時間実施される。
【0032】
このように、自走ロボット6が移動して患者をモニタリングし、患者が発した文言、患者の撮像画像を入手するため、看護師が患者の元まで出かけて行きモニタリングしなくて済むし、患者が病室に居なくてもモニタリングを行うことができる。そして、取得した患者情報は患者管理サーバ9に蓄積されるため、看護師はこの情報を閲覧することで患者の状態を把握できる。よって、看護師に対して巡回する負担を軽減でき、緊急時の対処等に対してスムーズな応が可能となる。
また、モニタリングが成されない患者がいたら、自走ロボット6がその患者を探し出してモニタリングする動作を実施するため、患者に対して平等なモニタリングが可能であり、看護師が自走ロボットに指示を出すような必要がない。
更に、短時間で再度のモニタリングが実施されるのを防止するため、患者の迷惑になることが無いし、不必要なモニタリングを防止できる。
加えて、モニタリングの際に患者が異常を訴えたら、それを認識して患者管理サーバ9が看護師が携行する携帯端末に通知するため、遅滞の無い対応が可能となる。
更に、モニタリングの際にバイタル情報を入手できるため、高い確度で患者の状態を管理できる。
また、現在と過去のバイタル情報を比較して、患者の異常発生を判断するため、精度の高い判断ができる。そして、異常発生と判断したら外部に通知するため、例えば看護師が携行する携帯端末等に通知することで、遅滞の無い対応が可能となる。
そして、ナースコールシステムの一部を使用して患者モニタリングシステムを構築でき、コストを抑制できる。
【0033】
尚、上記実施形態は、患者モニタリングシステムとナースコールシステムとを一体化した構成を示したが、別体として構築しても良い。
また、バイタル情報として体温を計測しているが、更に心拍計測センサ、血圧計測部を備えて、脈拍、血圧を合わせて計測しても良い。
また、自走ロボット6と看護師の携帯端末4との間で通信を可能として、携帯端末4の所定の操作により、自走ロボット6を介してモニタリング中の患者と通話を可能としても良い。
【符号の説明】
【0034】
1・・ナースコール子機、3・・ナースコール親機、4・・携帯端末、5・・制御機、6・・自走ロボット、7・・基地局、8・・交換機、9・・患者管理サーバ、11・・IMES管理部、12・・IMES発信機(位置情報発信機)、13・・IMES管理装置、61・・カメラ、62・・顔認証部、63・・対象者情報記憶部、64・・地図情報記憶部、65・・通話部、66・・文字変換部、67・・サーマルカメラ(バイタル情報取得部)、68・・受信部、69・・駆動部、71・・自走ロボットCPU(モニタリング制御部、位置認識部)、72・・自走ロボット通信部(通信部)、91・・モニタリング情報記憶部、92・・患者データ保存部、93・・判断文言記憶部、95・・患者管理サーバCPU(文言判断部、バイタル情報判断部、時間管理部)、96・・患者管理サーバ通信IF。