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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156963
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】プログラム、方法、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/18 20200101AFI20221006BHJP
   G06F 113/14 20200101ALN20221006BHJP
【FI】
G06F30/18
G06F113:14
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060917
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】520294930
【氏名又は名称】株式会社PlantStream
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大北 尚永
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀生
(72)【発明者】
【氏名】愛徳 誓太郎
(72)【発明者】
【氏名】坂井 文明
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA03
5B146DG01
(57)【要約】
【課題】プラント設計をするための仮想空間上に、任意の座標を指定することができるシステムを提供する。
【解決手段】本開示のプログラムは、プロセッサを備えるコンピュータによって実行され、自動および手動により配管をルーティングするプログラムであって、プログラムは、プロセッサに、プラントを設計するための仮想空間において、プラントを構成する複数の機器同士を、互いに接続するようにルーティングされる配管ラインに対して指定座標の入力を受け付けるステップと、入力された前記指定座標を境界として、前記配管ラインに対して複数の識別情報を付与するステップと、を実行させる。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備えるコンピュータによって実行され、自動および手動により配管をルーティングするプログラムであって、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
プラントを設計するための仮想空間において、プラントを構成する複数の機器同士を、互いに接続するようにルーティングされる配管ラインに対して指定座標の入力を受け付けるステップと、
入力された前記指定座標を境界として、前記配管ラインに対して複数の識別情報を付与するステップと、を実行させる、プログラム。
【請求項2】
前記プログラムは、前記プロセッサに、さらに、
前記付与した前記識別情報ごとに、前記ユーザから前記配管ラインに関する属性の入力を受け付けるステップを実行させる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記属性として、前記プラントを設計するための圧力、温度、流体などの群のうち、少なくとも1つから選択される設計値と、前記プラントを構成するパイプ、接手、フランジ、バルブからなる資材群のうち、少なくとも一つの資材と、を特定のグループとして定義した設計グループの入力を受け付ける、請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記配管は、前記プラントを構成するパイプ、接手、フランジ、バルブからなる資材群のうち、少なくとも一つの資材で構成されており、
指定座標の入力を受け付けるステップにおいて、
前記資材同士の接続部が、前記境界の位置の候補として設定される、請求項1から3のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記指定座標の入力を受け付けるステップにおいて、
前記プラントを構成する前記機器に予め前記配管が配置されたオブジェクトを構成する資材に対して、前記指定座標の入力を受け付ける、請求項1から4のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記指定座標の入力を受け付けるステップにおいて、
前記識別情報に基づいて、前記識別情報が異なる複数の前記配管ライン同士を、それぞれ異なる色で表示する、請求項1から5のいずれかに記載のプログラム。
【請求項7】
プロセッサを備えるコンピュータによって実行され、自動および手動により配管をルーティングするプログラムであって、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
プラントを設計するための仮想空間に、始点に関する情報を有する機器に対応する第1のオブジェクトと、終点の関する情報を有する機器に対応する第2のオブジェクトと、を配置する操作をユーザから受け付けるステップと、
前記仮想空間において、指定座標の入力を受け付けるステップと、
前記指定座標により定義されるパスポイントを経由しながら、前記始点および前記終点をつなぐように、配管のルーティングを行うステップと、を実行させるプログラム。
【請求項8】
プロセッサを備えるコンピュータによって実行される方法であって、
前記方法は、前記プロセッサが、
プラントを設計するための仮想空間において、プラントを構成する複数の機器同士を、互いに接続するようにルーティングされる配管ラインに関する指定座標の入力を受け付けるステップと、
入力された前記指定座標を境界として、前記配管ラインに対して複数の識別情報を付与するステップと、を実行する方法
【請求項9】
制御部を備えるシステムであって、
前記制御部が、
プラントを設計するための仮想空間において、プラントを構成する複数の機器同士を、互いに接続するようにルーティングされる配管ラインに関する指定座標の入力を受け付ける手段と、
入力された前記指定座標を境界として、前記配管ラインに対して複数の識別情報を付与する手段と、を備えるシステム。
【請求項10】
プロセッサを備えるコンピュータによって実行され、自動および手動により配管をルーティングする方法であって、
前記方法は、前記プロセッサが、
プラントを設計するための仮想空間に、始点に関する情報を有する機器に対応する第1のオブジェクトと、終点の関する情報を有する機器に対応する第2のオブジェクトと、を配置する操作をユーザから受け付けるステップと、
前記仮想空間において、指定座標の入力を受け付けるステップと、
前記指定座標により定義されるパスポイントを経由しながら、前記始点および前記終点をつなぐように、配管のルーティングを行うステップと、を実行する方法。
【請求項11】
制御部を備えるシステムであって、
前記制御部が、
プラントを設計するための仮想空間に、始点に関する情報を有する機器に対応する第1のオブジェクトと、終点の関する情報を有する機器に対応する第2のオブジェクトと、を配置する操作をユーザから受け付ける手段と、
前記仮想空間において、指定座標の入力を受け付ける手段と、
前記指定座標により定義されるパスポイントを経由しながら、前記始点および前記終点をつなぐように、配管のルーティングを行う手段と、を備えるシステム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラント内における配管経路を生成するための技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、複数の機器等の障害物が配置されるプラント内における配管経路を生成するため、コンピュータ装置によって実行される配管経路の生成方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-219988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プラント設計をするための仮想空間において、ルーティングされた配管ラインに対して、配管の属性に関する情報を入力する際に、配管ラインにおける特定の資材を境界にして、異なる属性を入力したいという課題があった。
また、配管をルーティングする際に、空間上の任意の座標を指定して、当該座標を配管が経由するように識別したいという課題があった。
このように、プラント設計をするための仮想空間上に、任意の座標を指定するための機能が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のプログラムは、プロセッサを備えるコンピュータによって実行され、自動および手動により配管をルーティングするプログラムであって、プログラムは、プロセッサに、プラントを設計するための仮想空間において、プラントを構成する複数の機器同士を、互いに接続するようにルーティングされる配管ラインに対して指定座標の入力を受け付けるステップを実行させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、プラント設計をするための仮想空間上に、任意の座標を指定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のシステムの全体の構成を示す図である。
図2】本発明のシステムを構成する端末装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図3】本発明のシステムを構成するサーバの機能的な構成を示す図である。
図4】サーバが記憶する資材データベースのデータ構造の一例を示す図である。
図5】サーバが記憶する機器データベースのデータ構造の一例を示す図である。
図6】サーバが記憶する機器位置情報データベースのデータ構造の一例を示す図である。
図7】サーバが記憶する設計空間データベースのデータ構造の一例を示す図である。
図8】サーバが記憶する機器位置情報データベースのデータ構造の一例を示す図である。
図9】サーバが記憶する配管ライン情報データベースのデータ構造の一例を示す図である。
図10】本発明のシステムにおけるラインブレイク処理のフローを説明する図である。
図11】本発明のシステムにおけるパスポイントを用いたルーティング処理のフローを説明する図である。
図12】本発明のシステムにおけるマニュアルルーティングを併用したルーティング処理のフローを説明する図である。
図13】本発明のシステムにおける第1の画面例を説明する図である。
図14】本発明のシステムにおける第2の画面例を説明する図である。
図15】ブロックパターンを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0010】
<1.概要>
以下、本開示を実施するための、プラント設計における配管・ケーブルルーティングシステムの概要について説明する。この配管・ケーブルルーティングシステムは、LNG(Liquefied Natural Gas:液化天然ガス)プラントや石油化学プラントのように、化学反応による様々な生産工程を経由して化学製品を製造するための設備群に対して電力供給用のケーブル、および各種通信用のケーブルの設計を行うためのシステムである。
プラントに配置される設備とは、LNGプラントを例に説明すると、液化処理の対象である原料ガス中に含まれる酸性ガス(HS、CO、有機硫黄等)を除去する酸性ガス除去設備、除去された酸性ガスから単体硫黄を回収する硫黄回収設備、原料ガス中に含まれる水分を除去する水分除去設備、原料ガスの冷却や液化に用いられる冷媒(混合冷媒、プロパン冷媒等)の圧縮設備等が含まれる。ここで、プラントの設備とは、そのプラントの目的に応じて敷設された装置群や機器群のことをいう。
【0011】
このようなプラントを設計するためには、例えば、以下のような工程が含まれる。まず、プラント内の各設備、ポンプや熱交換器等の各種機器、各種配管を通すための架構(配管ラック)の配置、主要な配管のルートを決定し、プラントのレイアウトを設計してプロットプランと呼ばれる配置図を作成する。次に、プラント全体の機能要件に基づき、プラントにて使用される原料の受け入れから製品出荷までのプロセスユニット(一連の製造工程)を詳細に策定し、プロセスごとに物質/熱収支計算を行い、プロセスフローダイアグラム(PFD)と呼ばれるプロセスフローを作成する。さらに、PFDに基づき、シミュレーションを繰り返してプロセス計算を修正し、プラント内の各機器を通す配管および各種ケーブルのレイアウトが決定(配管ルーティング)され、配管計装図(P&ID(Piping and Instrument Diagram))の作成が行われる。本開示に係る配管ルーティングシステム1(以下、単にシステム1という)は、このような各工程において、プラント全体及び各設備における機器およびケーブル等のレイアウト設計を行い、プロセスフロー作成、配管ルーティング、P&ID等を支援するための3DCADシステムである。
【0012】
本開示では、上記に説明したような、プラント設計における配管・ケーブルルーティングシステムのうち、特にプロセス配管またはそれに付随する機器類のルーティング、配置などを実施するシステムにおいて、配管をルーティングする仮想空間上に任意の座標位置を指定し、その後の各種の処理のために指定した当該座標を利用するシステムについて説明する。
【0013】
<第1の実施の形態>
以下、システム1について説明する。以下の説明では、例えば、端末装置10がサーバ20へアクセスすることにより、サーバ20が、端末装置10で画面を生成するための情報を応答する。端末装置10は、サーバ20から受信した情報に基づいて画面を生成し表示する。
【0014】
<2.システム1の全体構成>
図1は、システム1の全体の構成を示す図である。図1に示すように、システム1は、複数の端末装置(図1では、端末装置10A及び端末装置10Bを示している。以下、総称して「端末装置10」という)と、サーバ20とを含む。端末装置10とサーバ20とは、ネットワーク80を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク80は、有線または無線ネットワークにより構成される。
【0015】
端末装置10は、各ユーザが操作する装置である。ここで、ユーザとは、端末装置10を使用してプラント設計を行う者をいう。端末装置10は、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPCなどにより実現される。この他、端末装置10は、例えば移動体通信システムに対応したタブレット端末や、スマートフォン等の携帯端末であるとしてもよい。
【0016】
端末装置10は、ネットワーク80を介してサーバ20と通信可能に接続される。図1に端末装置10Bとして示すように、端末装置10は、通信IF(Interface)12と、入力装置13と、出力装置14と、メモリ15と、記憶部16と、プロセッサ19とを備える。
【0017】
通信IF12は、端末装置10が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。
入力装置13は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置(例えば、キーボードや、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス等)である。
【0018】
出力装置14は、ユーザに対し情報を提示するための出力装置(ディスプレイ、スピーカ等)である。
メモリ15は、プログラム、及び、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0019】
記憶部16は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。
プロセッサ19は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路などにより構成される。
【0020】
サーバ20は、各ユーザの情報、各種機器および各種ケーブルの情報、及び、設計を行った仮想空間(設計途中のものも含む)の情報を管理する装置である。
サーバ20は、ユーザに対して、プラント設計をするための仮想空間内に配置する機器の種類、配置位置、配管およびケーブルのルーティングを行う指示等の入力を受け付ける。
【0021】
具体的には、例えばプラント設計をするための仮想空間内の視点(仮想カメラ)を設定し、ユーザの指示により配置された各種機器、ルーティングされた配管およびケーブルについて、仮想カメラの設定に基づきレンダリングを行い、端末装置10へ表示させる。
サーバ20は、入力された各種機器の種類、配置位置に基づいて、各種機器を仮想空間に配置し、ユーザからの指示に基づいて配管及びケーブルのルートを決定して、仮想空間上で配管およびケーブルのルーティングを行い、ユーザの端末に表示させる。
【0022】
サーバ20は、ネットワーク80に接続されたコンピュータである。サーバ20は、通信IF22と、入出力IF23と、メモリ25と、ストレージ26と、プロセッサ29とを備える。
【0023】
<3.端末装置10の構成>
図2は、システム1を構成する端末装置10の機能的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、端末装置10は、複数のアンテナ(アンテナ111、アンテナ112)と、各アンテナに対応する無線通信部(第1無線通信部121、第2無線通信部122)と、操作受付部130(キーボード131及びディスプレイ132を含む)と、音声処理部140と、マイク141と、スピーカ142と、カメラ150と、記憶部160と、制御部170とを含む。
【0024】
第1無線通信部121は、受信信号を制御部170へ与える。
【0025】
操作受付部130は、ユーザの入力操作を受け付けるための機構を有し、具体的には、操作受付部130は、キーボード131と、ディスプレイ132とを含む。
【0026】
記憶部160は、例えばフラッシュメモリ等により構成され、端末装置10が使用するデータ及びプログラムを記憶する。記憶部160は、ユーザ情報161を記憶する。
【0027】
ユーザ情報161は、端末装置10を使用してシステム1の機能であるプラント設計を行うユーザの情報である。ユーザ情報としては、ユーザを識別する情報(ユーザID)、ユーザの名称、ユーザが所属している企業等の組織情報等が含まれる。
【0028】
制御部170は、記憶部160に記憶されるプログラムを読み込んで、プログラムに含まれる命令を実行することにより、端末装置10の動作を制御する。制御部170は、例えば予め端末装置10にインストールされているアプリケーションプログラムである。制御部170は、プログラムに従って動作することにより、入力操作受付部171と、送受信部172と、データ処理部173と、通知制御部174としての機能を発揮する。
【0029】
入力操作受付部171は、キーボード131等の入力装置に対するユーザの入力操作を受け付ける処理を行う。
【0030】
送受信部172は、端末装置10が、サーバ20等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。
【0031】
データ処理部173は、端末装置10が入力を受け付けたデータに対し、プログラムに従って演算を行い、演算結果をメモリ等に出力する処理を行う。
【0032】
通知制御部174は、ユーザに対し情報を提示する処理を行う。通知制御部174は、表示画像をディスプレイ132に表示させる処理、音声をスピーカ142に出力させる処理、振動をカメラ150に発生させる処理等を行う。
【0033】
<4.サーバ20の機能的な構成>
図3は、システム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。図3に示すように、サーバ20は、通信部201と、記憶部202と、制御部203としての機能を発揮する。
【0034】
通信部201は、サーバ20が外部の装置と通信するための処理を行う。
【0035】
記憶部202は、サーバ20が使用するデータ及びプログラムを記憶する。記憶部202は、資材データベース2021、機器データベース2022、設計空間データベース2023、機器位置情報データベース2024、配管ライン情報データベース2025等を記憶している。
【0036】
資材データベース2021は、システム1においてプラント設計をするための仮想空間に配置される、各種資材に関する情報を保持するためのデータベースである。各種資材とは、プラントを構成するパイプ、接手、フランジ、バルブ等を含む。当該データベースの詳細は後述する。
【0037】
機器データベース2022は、システム1においてプラント設計をするための仮想空間に配置される、各種機器に関する情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0038】
設計空間データベース2023は、ユーザが設計を行った仮想空間の情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0039】
機器位置情報データベース2024は、3次元空間上に配置された各種機器について、それぞれの始点および終点も含めた位置に関する情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0040】
配管ライン情報データベース2025は、仮想空間上で機器同士をつなぐように接続された配管ラインに関する情報を保持するためのデータベースである。配管ラインとは、機器同士が一群の資材によりルーティングされて形成される配管経路を指す。当該データベースの詳細は後述する。
【0041】
制御部203は、サーバ20のプロセッサがプログラムに従って処理を行うことにより、各種モジュールとして受信制御モジュール2031、送信制御モジュール2032、入力受付モジュール2033、配置モジュール2034、編集入力受付モジュール2035、パラメータ入力受付モジュール2036、編集表示モジュール2037、およびルーティングモジュール2038、座標指定モジュール2039としての機能を発揮する。
【0042】
受信制御モジュール2031は、サーバ20が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0043】
送信制御モジュール2032は、サーバ20が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。
【0044】
入力受付モジュール2033は、システム1を使用してプラント設計を行うための仮想空間に、各種配管、ケーブル、機器等を配置する位置を指定する操作、これら機器等の種類を指定する操作等をユーザから受け付ける処理を制御する。
ユーザが端末装置10を使用してプラント設計を行うとき、端末装置10は、ディスプレイ132において、プラント設計を行う実際の敷地を模した仮想空間を表示させる。その後、ユーザは、ディスプレイ132の画面上で所定の操作をすることにより、仮想空間内に配置する各種配管、ケーブル、機器等の種類、及び仮想空間内の配置位置を入力する。入力受付モジュール2033は、入力された各種配管、ケーブル、機器等の種類、及び仮想空間内の配置位置の情報を受け付ける。入力受付モジュール2033はまた、配管ラインに対して指定座標の入力を受け付ける。指定座標の詳細については後述する。
【0045】
入力受付モジュール2033において、ディスプレイ132の画面上において所定の操作を受け付けることとして、例えば、複数のパターンの各種配管、ケーブル、機器等の一覧を表示することが含まれる。入力受付モジュール2033は、当該画面上に表示される複数のパターンの各種配管、ケーブル、機器等の一覧から所望の種類をクリック等することにより選択する操作を受け付けることを行う。入力受付モジュール2033は、画面上に表示される仮想空間の所望の箇所の指定をクリック等により受け付けて配置位置を選択する操作を受け付ける(すなわち、仮想空間において、これら機器等に対応するオブジェクトを配置する位置を指定する操作を受け付ける)。また、所定の操作の他の例としては、画面上に表示される各種配管、ケーブル、機器等の外観を示す画像の一覧から所望の画像を選択してドラッグし、画面上に表示される仮想空間の所望の箇所まで移動させることにより配置位置を選択する操作等がある。なお、各種配管、ケーブル、機器等の配置をするための入力操作は、これらに限られない。
【0046】
配置モジュール2034は、入力受付モジュール2033で受け付けた各種配管、ケーブル、機器等の種類、及び仮想空間内の配置位置の情報に基づき、仮想空間に配置して表示させる処理を制御する。端末装置10において、ユーザの端末装置10への所定の操作を受け付けることにより、仮想空間内に配置する各種配管、ケーブル、機器等の種類、及び仮想空間内の配置位置の情報を受け付ける。配置モジュール2034は、それらの情報に基づき、端末装置10のディスプレイ132に表示されている仮想空間に、当該各種配管、ケーブル、機器等を、ユーザによって入力された配置位置に配置し、端末装置10のディスプレイ132に表示させる。
【0047】
編集入力受付モジュール2035は、各種配管、ケーブル、機器等の編集を行う入力操作を、ユーザから受け付ける処理を制御する。端末装置10において、ユーザから、端末装置10のディスプレイ132に表示されている各種配管、ケーブル、機器等に対して、各種調整を行うための編集情報を入力する操作を受け付ける。編集入力受付モジュール2035は、入力された各種配管、ケーブル、機器等の編集情報を受け付ける。編集入力受付モジュール2035は、各種配管、ケーブル、機器等の編集をする操作として、例えば配管、ケーブル、機器等の種類、形状、サイズ、数量、位置のいずれか1つまたは複数に対応した編集をする操作を受け付ける。
【0048】
編集入力受付モジュール2035は、ユーザによる各種配管、ケーブル、機器等の編集を行う入力操作として、例えば、各種機器に設定されているパラメータを編集する入力操作を受け付ける。編集入力受付モジュール2035は、ユーザによる入力操作の他の例として、ディスプレイ132に表示されている各種機器をドラッグ等することで大きさや長さ等を編集する入力操作を受け付けて、その大きさや長さに対応する数値を、当該機器のパラメータへの入力値として受け付ける。
【0049】
パラメータ入力受付モジュール2036は、各種配管、ケーブル、機器等のルーティングを行う際の各種のパラメータの入力を受け付ける処理を制御する。各種のパラメータとは、配管、ケーブル、機器等の種類、接続する機器の種類、これらを配置するためのオブジェクトの数量、サイズ、配置、およびルーティングする配管ラインの運転条件に関する情報等を含む。各種のパラメータについての詳細については後述する。ユーザは、配管、ケーブル、機器等のルーティングを行う際に、端末装置10を操作して、各種のパラメータを入力する。
【0050】
編集表示モジュール2037は、編集入力受付モジュール2035で受け付けた各種配管、ケーブル、機器等の編集情報に基づき、各種配管、ケーブル、機器等の表示態様を変更して仮想空間に表示させる処理を制御する。
編集表示モジュール2037は、編集入力受付モジュール2035が受け付けた各種の情報に基づき、端末装置10のディスプレイ132に表示されている仮想空間において、当該各種配管、ケーブル、機器等の表示態様を変更する。
編集表示モジュール2037は、例えばユーザから受け付けた配管の長さや機器との接続角度に合わせて、仮想空間上のオブジェクトの外観を変更し、端末装置10のディスプレイ132に表示させる。
【0051】
ルーティングモジュール2038は、システム1を使用して設計を行うプラントに配置する配管およびケーブルにより、機器同士を接続する処理(ルーティング処理)を制御する。ルーティングモジュール2038は、仮想空間内に配置されている各種配管、ケーブル、機器等に関連付けて行う指示操作をユーザから受け付け、当該指示操作に基づきルーティングを行う。プラントに配置する配管とは、例えば、プラント内において原料ガスを輸送するための配管、原料ガスから除去成分を吸収させるための吸収液を輸送するための配管、プラントにおいて生成された生成物を取り出すための配管、生成物の生成に伴って発生した排出ガスを輸送するための配管等である。これら配管は、液体や気体の流体を流すために配置される。
また、プラントに配置するケーブルとは、電力を各種機器に供給する電力ケーブル、および各種機器同士の通信に用いる通信ケーブルを含む。
【0052】
入力受付モジュール2033は、ルーティングの開始位置と終了位置とを指定する操作と、ルーティングを開始する操作と、をユーザから受け付ける。ユーザは、例えば端末装置10のディスプレイ132に表示されている画面上で、仮想空間に配置されている各種配管、ケーブル、機器等の所定の箇所を、ルーティングの開始位置または終了位置として指定する。
当該所定の箇所としては、例えば、機器の付設配管の端点などがある。機器の付設配管とは、機器を表すオブジェクトにおいて、予め設けられている配管であり、ルーティングの基準(始点又は終点)となる構造物を指す。
入力受付モジュール2033は、ユーザから、ルーティングの指示をする操作(例えば、画面上の所定のボタン押下)を受け付ける。ルーティングモジュール2038は、ユーザからのルーティングの指示を受け付けたことに応答して、ケーブルのオートルーティング(自動ルーティング)を行う。
【0053】
ルーティングモジュール2038は、オートルーティングを行う際、所定の条件により配管およびケーブルのルーティングの方向を定め、既存の各種配管、ケーブル、機器等を避けるようなアルゴリズムによりオートルーティングを行う。また、ルーティングモジュール2038は、ユーザから入力されたパラメータ、またはあらかじめ設定されたパラメータにより指定された配管径や材質等に適合した配管を用いてルーティングを行い、流す流体に最適な配管径や材質の配管をレコメンドする構成にしてもよい。
【0054】
なお、ルーティングモジュール2038は、ユーザが仮想空間上で行う詳細な入力情報に基づいて、配管、ケーブル、機器等のルーティングを、ユーザの手動の操作により行ってもよい(マニュアルルーティング)。
このように、ルーティングモジュール2038は、入力された各種のパラメータを用いた演算によるオートルーティングと、ユーザの手動の操作によるマニュアルルーティングと、をユーザの操作により切り替えて、配管ラインのルーティングを行う。
【0055】
座標指定モジュール2039は、ユーザが入力した指定座標に対して、機能的役割を付与する。座標指定モジュール2039が指定座標に対して付与する機能的役割としては、以下の2つが挙げられる。
・ラインブレイク処理における境界としての役割
・オートルーティング処理におけるパスポイントとしての役割
以下、これらについて詳述する。
【0056】
まず、ラインブレイク処理について説明する。
ラインブレイク処理とは、1つの配管ラインに対して、ある基準を境界として異なる属性情報を付与するために、属性情報の管理上、2つの配管ラインとして分割して扱う機能を指す。属性情報とは、配管を構成する資材の属性を識別するための情報である。資材の属性には、設計値(設計圧力、設計温度)が含まれる。
【0057】
プラント設計において、配管ライン上に減圧弁が介在する場合、機器が介在する場合、T字管が介在する場合などに、その前後で必要となる資材の仕様(レーティング)が異なることがある。資材の仕様は、運転条件による設計圧力、設計温度等により設定される。このような資材の仕様は、P&ID図面に規定されているとともに、配管ラインに採用される資材は、サービスクラスとして定義されている。
【0058】
サービスクラスとは、プラント内の配管を構成する資材を、設計圧力・温度、使用流体などで分類した指標である。言い換えれば、サービスクラスとは、配管ラインおよび資材の属性情報であり、プラントを設計するための圧力、温度、流体などの群のうち、少なくとも1つから選択される設計値、あるいは、設計値とプラントを構成するパイプ、接手、フランジ、バルブからなる資材群のうち、少なくとも一つの資材とを特定のグループとして定義した設計グループを指す。
【0059】
システム1では、資材をその設計仕様によりサービスクラスに分類し、サービスクラスごとに使用する配管資材(パイプ・フランジ・バルブ・継手など)のタイプ、材質、肉厚などを規定している。サービスクラスで資材を分類することにより、ラインごとに使用する配管部品の仕様を決めることができる。また、サービスクラスで資材を分類することで、図面に記述する労力を省力化することができる。
【0060】
具体的には、サービスクラスは、配管ラインを構成する各資材(パイプ・フランジ・バルブ・エルボ・継手)ごとに設定されている。
各サービスクラスには、それぞれ、材料、肉厚、耐圧、耐熱などがそれぞれ設定されている。
【0061】
そして、P&ID図面には、配管ラインを識別する識別情報(配管ラインNo)に対応して、当該配管ラインを構成する資材として適切なサービスクラスが指定されている。また、保温・保冷、設計温度、設計圧力の境界になる部分にもサービスクラスの境界が発生する。このサービスクラスについては、機器と機器を繋ぐ配管ラインの途中で変更されていることもある。
【0062】
例えば、従来のマニュアルルーティングシステムでは、仮想空間上にオブジェクトの配置を積み上げて作成していたので、一つのサービスクラスに含まれる箇所まで構築された際に、該当する箇所にサービスクラスの付与が行われていた。
【0063】
一方、システム1では、自動ルーティング処理により機器と機器とをつなぐ配管ラインを自動でルーティングするので、その後に、P&ID図面に沿って、配管ラインを分割して、該当するサービスクラスを割り振る必要がある。
なお、サービスクラスが付与された3Dモデルは、その後アイソメ図として出力され、材質等により検査手法がことなるため、サービスクラス毎(配管ラインNo毎)に工事図面として出力される。
【0064】
このため、システム1では、ラインブレイク処理を行うための境界として、ユーザが指定した指定座標を基準として、属性情報の割り振りを行う機能が備えられている。
そして、座標指定モジュール2039は、指定座標を境界として、配管ラインに対して複数の識別情報を付与する。
【0065】
次に、オートルーティング処理に用いるパスポイント(経由点)について説明する。
パスポイントとは、オートルーティング処理において経由点として定義される座標を指す。
オートルーティング処理では、設定された始点と終点とを最短経路で繋ぐように、自動でルーティングが行われる。一方、機器の周囲に配置された構造物の制約や、配管ラインに要求される経路的要求から、所定の箇所を経由してルーティング経路が設定されることが必要なことがある。
【0066】
このため、システム1ではユーザが指定した指定座標を経由点(パスポイント)として定義し、このパスポイントを経由しながら、始点と終点とをつなぐ最短の経路をルーティングする機能が備わっている。パスポイントは、仮想空間における任意の位置に設定することができる。例えば、パスポイントは、特定の機器や配管ライン上に設定してもよいし、配管ライン上ではない任意の座標に設定することもできる。パスポイントは、座標位置と大きさと向きに関する情報を保持している。大きさとは、経由する配管の径に関する情報である、向きとは、始点から接続される「入口」、および終点に向けて接続される「出口」の情報である。
このように、システム1では、パスポイントを用いたオートルーティング処理として、ユーザが指定座標を入力する機能が備えられている。
【0067】
本実施形態では、上記のようにサーバ20で、各種配管、ケーブル、機器等について、その種類及び配置位置の入力を受け付けること、当該配管、ケーブル、機器等について編集する操作を受け付けること、ルーティングの指示に基づきルーティングを行うこと等を行う構成としているが、このような構成に限られない。
例えば、上記の機能の一部またはすべてについて、端末装置10で入力を受け付けて端末装置10内で処理を行い、端末装置10のディスプレイ132に表示させる構成としてもよい。このような構成にするため、ユーザは、端末装置10を介してサーバ20へアクセスし、サーバ20が提供するプログラムを端末装置10へインストールさせ、端末装置10内で処理を行う構成にしてもよい。この場合、サーバ20の機能として、入力受付モジュール2033、配置モジュール2034、編集入力受付モジュール2035、パラメータ入力受付モジュール2036、編集表示モジュール2037、またはルーティングモジュール2038の一部またはすべてを備えなくてもよい。
【0068】
<5.データ構造>
図4は、サーバ20が記憶する資材データベース2021のデータ構造の一例を示す図である。資材データベース2021には、配管として用いられる資材の候補に関する情報が格納されている。
【0069】
図4に示すように、資材データベース2021のレコードのそれぞれは、項目「資材ID」、項目「種別」、項目「サービスクラス」、項目「材質」、項目「仕様mm」、項目「耐熱性」、項目「耐圧性」、項目「耐食性」、項目「管内摩擦係数」等を含む。
【0070】
項目「資材ID」は、システム1にて仮想空間に配置可能な各種配管の種類を識別する情報である。
【0071】
項目「種別」は、資材IDに対応する資材の種類を区別する情報である。種別としては、例えばパイプ(直管)、エルボ、フランジ等が含まれる。
【0072】
項目「サービスクラス」は、その資材が該当するサービスクラスのグループを区別する情報である。
【0073】
項目「材質」は、資材IDに対応する資材の材質を示す情報である。資材の材質としては、SUS304やSUS316等が挙げられる。
【0074】
項目「仕様」は、資材IDに対応する資材の寸法に関する情報である。例えばパイプの場合には外形および内径の情報が含まれる。エルボの場合には、仕様としてさらに曲げ角度が含まれる。なお、項目「仕様」にはその他の寸法に関する情報が含まれてもよい。
【0075】
項目「耐熱性」は、資材IDに対応する資材の耐熱性に関する情報である。
【0076】
項目「耐圧性」は、資材IDに対応する資材においての耐圧性に関する情報である。耐圧性とは、内部を流下する流体の圧力として、資材の強度により許容できる範囲を指す。
【0077】
項目「耐食性」は、各種配管の耐食性を示す情報である。例えば、配管ID「P001」の配管の耐食性は「AA」であることを示す。
【0078】
項目「管内摩擦係数」は、各種配管の管内摩擦係数を示す情報である。例えば、配管ID「P001」の配管の管内摩擦係数は「◆◆」であることを示す。
【0079】
サーバ20は、配管をルーティングする際、配管内を通す物質の物性と、資材データベース2021に保持されている配管の情報とを参照することで、最適な配管を用いたルーティングを実施する。例えば、粘度の高い物質を流すときには、摩擦係数の小さい配管を特定し、酸性の物質を流すときには、当該物質に耐食性を持つ配管を特定し、ルーティングしてもよい。
【0080】
図5は、サーバ20が記憶する機器データベース2022のデータ構造の一例を示す図である。機器データベース2022には、仮想空間に配置される機器の候補に関する情報が格納されている。
【0081】
図5に示すように、機器データベース2022のレコードのそれぞれは、項目「機器ID」と、項目「機器名称」と、項目「BIMモデルデータ」等を含む。
【0082】
項目「機器ID」は、システム1にて仮想空間に配置可能な各種機器の種類を識別する情報である。
【0083】
項目「機器名称」は、各種機器単体の種類を示す名称であり、例えば、ポンプ、熱交換器、フィルタ、バルブ、ラックのような種類を示す名称の情報が格納されている。また、ポンプや熱交換器の場合、エンド-トップ型等のポンプの型式、多管式のような熱交換器の種類を示す情報も格納されている。なお、機器を示す名称は、所定の規格等により指定された記号でもよく、メーカにより指定された型番等でもよい。
【0084】
項目「BIMモデルデータ」は、システム1にて仮想空間に配置するモデルデータのデータ名(ファイル名)を示す情報であり、3DCADシステムで使用されるモデルデータである。サーバ20が提供する3DCADシステムでは、3次元仮想空間を構築し、3次元仮想空間上に機器の形状を表現するモデリングを行う。また、仮想空間内の視点(仮想カメラ)を設定し、これらの機器について、仮想カメラの設定に基づきレンダリングを行う。当該項目「BIMモデルデータ」に格納されるモデルデータは、実際の機器について、所定の仮想カメラによる視点でレンダリングするためのモデルデータである。
【0085】
ここで、図6を用いてシステム1で扱う機器の種類を説明する。
図6に示すように、システム1では、ポンプ、コンプレッサー、タワー、ジャンクションボックス等の各種の機器が使用される。これらは、機器の種類時に応じて、仮想空間における決められた設置区画に配置される。
【0086】
図7は、サーバ20が記憶する設計空間データベース2023のデータ構造の一例を示す図である。設計空間データベース2023には、プラントシステムが設計される仮想空間に配置された各種の機器や配管等の配置に関する情報が含まれている。
【0087】
図7に示すように、設計空間データベース2023のレコードのそれぞれは、項目「空間ID」と、項目「ユーザID」と、項目「空間内設計情報」等を含む。
【0088】
項目「空間ID」は、システム1にてユーザが設計した仮想空間の情報それぞれを識別する情報である。
【0089】
項目「ユーザID」は、システム1を使用するユーザそれぞれを識別する情報である。なお、項目「ユーザID」には、複数のユーザを識別する情報が格納されてもよい。これは、複数のユーザにより1の仮想空間が設計されて共有されることを可能にするためであり、後述する項目「空間内設計情報」の情報が、ユーザごとに紐づけて格納されてもよい。
【0090】
項目「空間内設計情報」は、システム1にてユーザが仮想空間に配置した各種の機器、およびルーティングを行った配管ラインに関する情報であり、具体的には、項目「相対座標」と、項目「配置物」と、項目「詳細情報(パラメータ)」等を含む。
【0091】
項目「相対座標」は、仮想空間に配置した機器又は配管の、仮想空間における相対位置を示す情報であり、例えば、仮想空間内における3次元座標の座標データが格納されている。相対座標は、例えば、機器の基準となる位置(例えば中心となる位置、6方向いずれかの端点)の、仮想空間をXYZ座標で表現した場合の相対座標であるが、この方式に限られない。
【0092】
項目「配置物」は、仮想空間に配置した機器または配管を示す情報であり、機器データベース2022の項目「機器ID」に対応している。
【0093】
項目「詳細情報(パラメータ)」は、仮想空間に配置した機器又は配管を編集した際の編集情報、ルーティングを行った配管の情報であり、例えば、機器の編集パラメータが格納されている。機器の編集パラメータとは、数量やサイズに関する情報である。
【0094】
サーバ20の入力受付モジュール2033は、各ユーザから機器の配置情報を受け付けることに伴って、設計空間データベース2023にレコードを追加し、更新する。編集入力受付モジュール2035は、各ユーザから機器の編集パラメータ情報を受け付けることに伴って、設計空間データベース2023にレコードを追加し、更新する。ルーティングモジュール2038は、配管ルーティングの処理を行うことに伴って、設計空間データベース2023にレコードを追加し、更新する。
【0095】
図8は、サーバ20が記憶する機器位置情報データベース2024のデータ構造の一例を示す図である。機器位置情報データベース2024には、仮想空間に配置された各種の機器に紐づく位置に関する情報が含まれている。
【0096】
図8は、機器位置情報データベース2024のデータ構造の一例を示す図である。図10に示すように、機器位置情報DBは、項目「機器ID」と、項目「機器の種類」と、項目「位置座標」と、項目「始点名称」と、項目「始点座標」と、項目「終点名称」と、項目「終点座標」と、を含む。
【0097】
項目「機器ID」は、3次元空間上に配置された機器を識別する情報である。
【0098】
項目「機器の種類」は、機器IDに相当する機器の種類を示す情報です。
【0099】
項目「位置座標」は、機器IDに相当する機器の3次元空間における位置座標を示す情報である。
【0100】
項目「始点名称」は、機器IDに相当する機器における始点の名称を示す情報である。始点の名称には、始点を識別するための識別番号が含まれる。始点としては、例えば機器に予め設けられている付設配管が挙げられる。
【0101】
項目「始点座標」は、機器IDに相当する機器における始点の3次元空間における位置座標を示す情報である。
【0102】
項目「終点名称」は、機器IDに相当する機器における終点の名称を示す情報である。終点の名称には、終点を識別するための識別番号が含まれる。
【0103】
項目「終点座標」は、機器IDに相当する機器における終点の3次元空間における位置座標を示す情報である。終点としては、例えば機器に予め設けられている付設配管が挙げられる。
【0104】
図9に示すように、配管ライン情報データベース2025のレコードのそれぞれは、項目「配管ラインNo」、項目「始点ID」、項目「終点ID」、項目「パスポイント」、項目「サービスクラス」等を含む。
【0105】
項目「配管ラインNo」は、既にルーティングされた配管のルートを識別するための情報である。
【0106】
項目「始点ID」は、配管ルートの始点を識別するための情報である。
【0107】
項目「終点ID」は、配管ルートの終点を識別するための情報である。
【0108】
項目「パスポイント」は、ルーティングに対して設定されたパスポイントの座標を示す情報である。パスポイントが使用されていない場合は、空欄となる。
【0109】
項目「サービスクラス」は、その配管ラインに要求されるサービスクラスのグループを区別する情報である。項目「サービスクラス」は、配管ラインNoの文字列に含まれる形で記憶されてもよい。
【0110】
<6.ラインブレイク処理における動作>
図10は、本実施形態におけるシステム1によるラインブレイク処理について説明する。この処理は、ルーティングした配管ラインを分割し、異なる識別情報を付与するための処理である。
【0111】
図10に示すように、ステップS110において、端末装置10の制御部170は、ユーザから、プラントを設計するための空間において、プラントを構成する複数の機器の種類、および配置位置を入力する。
ステップS110の後に、サーバ20は、機器の種類、および配置位置の入力を受け付ける(ステップS120)。これにより、仮想空間上に配置された機器を示すオブジェクトは指定された位置に配置される。
【0112】
ステップS120の後に、端末装置10の制御部170は、ユーザから、オートルーティングの指示を行う(ステップS111)。具体的には、ユーザは、ルーティングの始点および終点を指定し、ルーティングに用いる配管の運転条件を入力する。運転条件には、サービスクラスが含まれる。
【0113】
ステップS120の後に、サーバ20のルーティングモジュール2038は、オートルーティングを実行する(S121)。具他的には、ルーティングモジュール2038は、指定された始点および終点を特定し、配管の運転条件に適合する資材を用いて、最短となる経路上に配管をルーティングする。ルーティングモジュール2038がルーティングした新たな配管ラインは、配管ライン情報データベース2025に新たなレコードとして記憶される。この際、少なくとも、予め設定された規則に沿って作成された配管ラインNoと、始点および終点に関する情報と、指定されたサービスクラスに関する情報が新たなレコードとして記憶される。
【0114】
ステップS120の後に、ユーザは、端末装置10を操作して、ラインモードを選択する。ラインモードとは、ルーティングされた配管ラインの属性を編集するモードを指す。具体的には、ラインモードでは、配管ラインを分割して、それぞれ異なる属性情報を付与可能にする配管ライン分割操作と、複数の資材を一つの配管ラインとして統合する配管ライン統合操作を含んでいる。
ユーザは、配管ラインのうち、分割する配管ラインを選択する(ステップS112)。なお、分割する配管ラインを選択した後に、ラインモードを選択してもよい。
【0115】
サーバ20の座標指定モジュール2039は、ラインモードの指定、および分割する配管ラインの指示を受け付け、選択されたパイプに候補部を表示する(ステップS122)。具体的には、座標指定モジュール2039は、配管ラインを構成する資材同士の接続部を、境界の位置の候補として設定し、候補部を複数表示する。例えば、座標指定モジュール2039は、フランジとエルボとの接続部、直管とフランジとの接続部を候補部として表示する。すなわち、座標指定モジュール2039は、ユーザがもとの配管ラインとは異なる識別情報を入力するために、配管ラインを分割するための境界の候補を複数特定する。
【0116】
ステップS122の後に、ユーザが表示された候補部のうち、配管ラインを分割する候補部を選択する(ステップS113)。すなわち、図14に示す画面例において、複数表示された候補部DSから、実際にライン分割を行う分割面を選択する。この分割面を選択する処理により、ラインブレイクする基準となる指定座標が入力される。
【0117】
ステップS113の後に、座標指定モジュール2039が、選択された候補部で配管を分割する(ステップS123)。具体的には、座標指定モジュール2039は、選択された候補部を基準にして、当該配管ラインの属性情報に基づいて、暫定的かつ新たな配管ラインNoを付与する。暫定的かつ新たな配管ラインNoは、配管ライン情報データベース2025に新たなレコードとして記憶される。この際、他の属性情報については、分割前の配管ラインの属性情報を引き継ぐこととなる。
この際、識別情報である配管ラインNoに基づいて、識別情報が異なる複数の配管ライン同士を、それぞれ異なる色で表示させてもよい。
【0118】
ステップS123の後に、ユーザは、新たに設定された配管ラインの属性情報を入力する(ステップS114)。具体的には、ユーザは、配管ラインの属性情報のうち、サービスクラスに関する情報や配管ラインNoを含む編集情報を入力する。
【0119】
ステップS114の後に、入力受付モジュール2033は、入力された編集情報に基づいて、新たに設定された配管ラインの属性情報を書き換える。すなわち、暫定的に付与された配管ラインNoは、ユーザからの入力により配管ライン情報データベース2025において更新される。また、その後に入力されたその他の属性情報も配管ライン情報データベース2025において新たに更新される。
これにより、ルーティングされた配管ラインに対して、異なる属性情報を備えた二つの配管ラインが設定されることとなる。
【0120】
<7.パスポイントを利用したルーティング処理の動作>
図11は、本実施形態におけるシステム1によるパスポイントを利用したルーティング処理の動作について説明する。この処理では、指定座標をパスポイントとして使用し、オートルーティングが一度行われた配管ラインに対して、その一部を改変するための処理を行う。
【0121】
図11に示すように、サーバ20のルーティングモジュール2038がオートルーティングを実行する処理(ステップS121)までは、図10と同様であり、その説明を省略する。
【0122】
ステップS121の後に、ユーザは、端末装置10を操作して、配管ラインの一部の資材を指定して削除する指示を入力する(ステップS211)。具体的には、ユーザは、ルーティングされた配管ラインのうち、改変したい部分に該当する資材を選択して削除の指示を入力する。
【0123】
ステップS211の後に、サーバ20のルーティングモジュール2038は、指定された資材を削除する(ステップS221)。具体的には、ルーティングモジュール2038は、仮想空間上で指定された資材を削除して、非表示の状態とする。
【0124】
ステップS221の後に、ユーザは端末装置10を操作して、パスポイントを設定する(ステップS212)。具体的には、パスポイントに相当するアイコンを仮想空間上の任意の位置に配置する。このパスポイントの配置により、パスポイントが設定される指定座標が入力される。この際、パスポイントに関する情報が、配管ライン情報データベース2025に記憶される。
【0125】
ステップS212の後に、サーバ20の座標指定モジュール2039は、仮想空間上の指定された位置にパスポイントを表示する(ステップS222)。
【0126】
ステップS222の後に、ユーザは端末装置10を操作して、終始点を再設定する(ステップS213)。具体的には、ユーザは、始点および終点に相当するインジケータを選択し、始点およびとして設定する位置をクリックすることで、始点に相当するインジケータが3次元空間に表示される。
【0127】
始点および終点に相当するインジケータには、方向に関する情報が含まれている。インジケータは方向に関する情報を含み、方向を示す矢印で示される。インジケータにおける方向の情報とは、「入口」又は「出口」の区別を行う情報である。インジケータは、ユーザの操作により、矢印の向きを変更可能となっている。
【0128】
例えば、ステップS211において、資材が削除されたことで現れた切断部に、インジケータが表示される。インジケータの矢印が切断部から配管ラインの外側(資材がない方向)に向いている場合には、当該インジケータは始点(出口)として認識される。一方、インジケータの矢印が、切断部から配管ラインの内側(資材がある方向)に向いている場合には、当該インジケータは終点(入口)として認識される。
インジケータは2つで1組を構成し、一方の向きを変更すると、他方の向きが自動的に一方と逆向きとなるように設定される。このインジケータの向きを変更することで、始点および終点の設定を行うことができる。
【0129】
ステップS213の後に、入力受付モジュール2033は、始点および終点の位置を受け付ける(ステップS223)。具体的には、ステップS213において設定されたインジケータの位置、およびインジケータの向きから、始点および終点の位置を把握する。
【0130】
ステップS223の後に、ユーザは、端末装置10を操作して、オートルーティングを行う指示を入力する(ステップS214)。
【0131】
ステップS214の後に、サーバ20のルーティングモジュール2038は、オートルーティングを実行する。具体的には、ルーティングモジュール2038は、インジケータにより設定された始点および終点の位置を特定し、更に経由点としてパスポイントの位置を特定する。そして、始点からパスポイントを経由して終点に至る最短のルートを新たな配管ラインが通るルートとしてルーティングを行う。これにより、パスポイントを用いたルーティング処理を行うことができる。
【0132】
<8.マニュアルルーティングを併用したルーティング処理の動作>
図12は、本実施形態におけるシステム1によるマニュアルルーティング(手動ルーティング)を併用したルーティング処理の動作について説明する。この処理では、オートルーティングが一度行われた配管ラインに対して、マニュアル操作によりその一部を改変するための処理を行う。
【0133】
図12に示すように、サーバ20のルーティングモジュール2038がオートルーティングを実行する処理(ステップS121)までは、図10と同様であり、その説明を省略する。
【0134】
図12に示すオートルーティング処理(ステップS121)の後に、ユーザは端末装置10を操作して削除する配管ラインを構成する資材を選択する(ステップS310)。具体的には、ユーザはオートマニュアルによりルーティングされた配管ラインのうち、改変したい部分を指定して、削除する指示を入力する。
【0135】
ステップS310の後に、サーバ20のルーティングモジュール2038は、指定された資材を削除する(ステップS320)。具体的には、ルーティングモジュール2038は、既にルーティングされた配管ラインのうち、ユーザが指定した資材を仮想空間上から非表示とする処理を行う。これにより、配管ラインの一部が欠落した状態となる。
【0136】
ステップS320の後に、ユーザは端末装置10を操作して、配管ラインのうち、資材を削除した部分に、新たな資材を配置する(ステップS311:マニュアルルーティング処理)。具体的には、ユーザは、まず、新たな資材を配置する位置を仮想空間上で選択し、新たに配置する資材の種類を選択する。この際、ユーザは、例えば資材がエルボである場合には、その角度を指定する等のように詳細な仕様を選択することもできる。
【0137】
ステップS311の後に、サーバのルーティングモジュール2038は、配置された資材を仮想空間上に配置して表示する(ステップS321)。具体的には、ユーザがマニュアル操作により選択して配置した資材に相当するオブジェクトを、配管ラインのうち、資材に削除された部分に表示する。
ユーザは、このマニュアル操作を複数回繰り返し、所望する配管ラインを構築する。
【0138】
ユーザが所望する配管ラインが構築されると、ユーザは、配管ラインの属性情報を入力する(ステップS312)。具体的には、ユーザは複数の資材を同時に選択し、一つの配管ラインとするライン統合操作を入力する。これにより、複数の資材で構築された配管ラインが、一つの属性情報で管理されるようになる。そしてユーザは、該当する属性情報を入力する。
【0139】
ステップS312の後に、編集入力受付モジュールは、入力された属性情報により、配管ラインの属性情報を更新する(ステップS322)。これにより、マニュアル操作により構築された複数の資材で構成される配管ラインに対して、一つの属性情報が設定された状態となる。以上でマニュアルルーティングを併用したルーティング処理が終了する。
【0140】
なお、上記の説明では、オートルーティング処理(ステップS121)を行った後に、ルーティングされた配管ラインに対して、その一部を削除してマニュアルルーティング処理を行うことで改変する例を示したが、この限りではない。すなわち、先にマニュアルルーティング処理を行ったうえで、その後にオートルーティング処理を行ってもよい。
また、オートルーティング処理とマニュアルルーティング処理は、必要な回数に応じて、何度でも繰り返して行ってもよい。
【0141】
<9.画面例>
次に、システム1の画面例について説明する。
図13は、ラインブレイク処理を行う際の画面例の一例である。
図示の例では、図13Aおよび図13Bに示すように、指定した配管ラインに対して、バルブの挿入が行われている。この操作は、図10における処理フローのステップS111の後に行われる。システム1では、このように他の資材を配管ラインに挿入する機能を有している。
【0142】
図13Aに示す画面例では、新たな資材としてのバルブを選択する直管Pを選択する。これにより、図13Bに示すように、直管Pに新たなバルブVが挿入される。新たな資材は任意の数量挿入することができる。図示の例では、2つのバルブVが追加挿入されている。
【0143】
そして、この後に、ステップS112として、挿入された資材を含む配管ラインが、分割するラインとして選択される。
すなわち、システム1は、配管のうち、一つの資材で構成された部分の途中に、配管を構成する資材を新たに追加する操作を受け付け、追加された資材の境界面にあらたに候補面を設定する機能を有している。
【0144】
図14は、ラインブレイク処理における候補部を表示する画面例の一例である。
図14に示すように、図10におけるステップS112において、分割するラインとして選択されると、当該ラインにおいて、資材の接続部が境界の候補部(DL)として強調表示される。候補部は、仮想空間上では面として定義される。図示の例では、資材の接続部が全て強調表示されている。
【0145】
<10.変形例>
以下に、本システムの変形例について説明する。
図15は、ブロックパターン901を示す図である。ブロックパターンとは、プラントを構成する機器に予め配管が配置されたオブジェクトを構成する資材である。図示のブロックパターン901は、構成する資材として、機器902(熱交換器)、配管903、配管904、計器905、計器906等から構成されている。ブロックパターンは、図示の例に限られず、どのような構成であってもよい。
システム1では、ブロックパターンに対しても、指定座標の入力を受け付ける。このため、ブロックパターン901を構成する資材である機器902(熱交換器)、配管903、配管904、計器905、計器906それぞれの接続部が、ラインブレイクの境界の候補となりえる。
【0146】
また、上記実施形態では、配管ルーティングに対してラインブレイク処理およびパスポイントを用いたルーティング処理を適用する例を説明したが、これに限られない。例えば、ケーブルトレイのルーティングにおいて、ラインブレイク処理およびパスポイントを用いたルーティング処理を適用してもよい。
【0147】
<11.小括>
以上説明したように、本実施形態に係るオートルーティングシステムでは、サーバ20の入力受付モジュール2033が、配管ラインに対して指定座標の入力を受け付ける。
このため、プラント設計をするための仮想空間上に、任意の座標を指定することができる。
【0148】
また、入力された指定座標を境界として、配管ラインに対して複数の識別情報を付与するステップを実行させる。このため、指定座標を基準にラインブレイクを行って、既にルーティングされた配管を複数のグループに分けて、それぞれに異なる識別情報を付与することができる。
【0149】
また、付与した識別情報ごとに、ユーザから配管ラインに関するサービスクラスの入力を受け付けるステップを実行させる。このため、ラインブレイクにより分割した配管ラインに、P&ID図面に沿ったサービスクラスを付与することができる。
【0150】
また、指定座標の入力を受け付けるステップにおいて、資材同士の接続部が、境界の位置の候補として設定される。このため、ラインブレイクの基準となる資材の接続部を自動で検出することができる。
【0151】
また、指定座標の入力を受け付けるステップにおいて、ブロックパターンを構成する資材材に対して、指定座標の入力を受け付ける。このため予めモデリングされたブロックパターンに対しても、P&ID図面に沿って、属性情報の入力を行うことができる。
【0152】
また、指定座標の入力を受け付けるステップにおいて、識別情報に基づいて、識別情報が異なる複数の配管ライン同士を、それぞれ異なる色で表示する場合には、ユーザが識別番号の違いを明確に判別することができる。
【0153】
また、システム1は、指定座標により定義されるパスポイントを経由するように、始点および終点をつなぐように、配管のルーティングを行う。このため、指定座標をパスポイントして用いることで、オートルーティングの自由度を確保することができる。
【0154】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換及び変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態及び変形例ならびに省略、置換及び変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【0155】
<12.付記>
以上の各実施形態で説明した事項を、以下に付記する。
【0156】
(付記1)
プロセッサを備えるコンピュータによって実行され、自動および手動により配管をルーティングするプログラムであって、
プログラムは、プロセッサに、
プラントを設計するための仮想空間において、プラントを構成する複数の機器同士を、互いに接続するようにルーティングされる配管ラインに対して指定座標の入力を受け付けるステップと、
入力された指定座標を境界として、配管ラインに対して複数の識別情報を付与するステップと、を実行させる、プログラム。
【0157】
(付記2)
プログラムは、プロセッサに、さらに、
付与した識別情報ごとに、ユーザから配管ラインに関する属性の入力を受け付けるステップを実行させる、(付記1)に記載のプログラム。
【0158】
(付記3)
属性として、プラントを設計するための圧力、温度、流体などの群のうち、少なくとも1つから選択される設計値、あるいは、設計値とプラントを構成するパイプ、接手、フランジ、バルブからなる資材群のうち、少なくとも一つの資材とを特定のグループとして定義した設計グループの入力を受け付ける、(付記2)に記載のプログラム。
【0159】
(付記4)
配管は、プラントを構成するパイプ、接手、フランジ、バルブからなる資材群のうち、少なくとも一つの資材で構成されており、
指定座標の入力を受け付けるステップにおいて、
資材同士の接続部が、境界の位置の候補として設定される、(付記1)から(付記3)のいずれかに記載のプログラム。
【0160】
(付記5)
指定座標の入力を受け付けるステップにおいて、
プラントを構成する機器に予め配管が配置されたオブジェクトを構成する資材に対して、指定座標の入力を受け付ける、(付記1)から(付記4)のいずれかに記載のプログラム。
【0161】
(付記6)
指定座標の入力を受け付けるステップにおいて、
識別情報に基づいて、識別情報が異なる複数の配管ライン同士を、それぞれ異なる色で表示する、(付記1)から(付記5)のいずれかに記載のプログラム。
【0162】
(付記7)
プロセッサを備えるコンピュータによって実行され、自動および手動により配管をルーティングするプログラムであって、
プログラムは、プロセッサに、
プラントを設定するための仮想空間に、始点に関する情報を有する機器に対応する第1のオブジェクトと、終点の関する情報を有する機器に対応する第2のオブジェクトと、を配置する操作をユーザから受け付けるステップと、
仮想空間において、指定座標の入力を受け付けるステップと、
指定座標により定義されるパスポイントを経由しながら、始点および終点をつなぐように、配管のルーティングステップと、を実行させるプログラム。
【0163】
(付記8)
プロセッサを備えるコンピュータによって実行される方法であって、
方法は、プロセッサが、
プラントを設計するための仮想空間において、プラントを構成する複数の機器同士を、互いに接続するようにルーティングされる配管ラインに関する指定座標の入力を受け付けるステップと、
入力された指定座標を境界として、配管ラインに対して複数の識別情報を付与するステップと、を実行する方法
を実行するプログラム。
【0164】
(付記9)
制御部を備えるシステムであって、
制御部が、
プラントを設計するための仮想空間において、プラントを構成する複数の機器同士を、互いに接続するようにルーティングされる配管ラインに関する指定座標の入力を受け付ける手段と、
入力された前記指定座標を境界として、前記配管ラインに対して複数の識別情報を付与する手段と、を備えるシステム。
【0165】
(付記10)
プロセッサを備えるコンピュータによって実行され、自動および手動により配管をルーティングする方法であって、
前記方法は、前記プロセッサが、
プラントを設計するための仮想空間に、始点に関する情報を有する機器に対応する第1のオブジェクトと、終点の関する情報を有する機器に対応する第2のオブジェクトと、を配置する操作をユーザから受け付けるステップと、
前記仮想空間において、指定座標の入力を受け付けるステップと、
前記指定座標により定義されるパスポイントを経由しながら、前記始点および前記終点をつなぐように、配管のルーティングを行うステップと、を実行する方法
【0166】
(付記11)
制御部を備えるシステムであって、
前記制御部が、
プラントを設計するための仮想空間に、始点に関する情報を有する機器に対応する第1のオブジェクトと、終点の関する情報を有する機器に対応する第2のオブジェクトと、を配置する操作をユーザから受け付ける手段と、
前記仮想空間において、指定座標の入力を受け付ける手段と、
前記指定座標により定義されるパスポイントを経由しながら、前記始点および前記終点をつなぐように、配管のルーティングを行う手段と、を備える方法。
【符号の説明】
【0167】
1 システム
10 端末装置
20 サーバ、
80 ネットワーク
130 操作受付部
161 ユーザ情報
22 通信IF
23 入出力IF
25 メモリ
26 ストレージ
29 プロセッサ
201 通信部
202 記憶部
203 制御部
301 通信部
302 記憶部
303 制御部

図1
図2
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