(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156969
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】シングル緯編地
(51)【国際特許分類】
D04B 1/00 20060101AFI20221006BHJP
D04B 1/18 20060101ALI20221006BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20221006BHJP
A41D 31/04 20190101ALI20221006BHJP
A41D 31/18 20190101ALI20221006BHJP
【FI】
D04B1/00 A
D04B1/18
A41D31/00 502C
A41D31/00 503B
A41D31/00 503E
A41D31/04 F
A41D31/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060928
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】加島 徳人
【テーマコード(参考)】
4L002
【Fターム(参考)】
4L002AA05
4L002AA06
4L002AA07
4L002AB02
4L002AB04
4L002AC01
4L002AC07
4L002BA00
4L002BA01
4L002BA04
4L002BA05
4L002BB02
4L002DA01
4L002EA00
4L002EA05
4L002EA06
4L002FA01
(57)【要約】
【課題】破裂強度に優れ、かつ、肌触りや着用中の動きやすさといった着用感に優れたシングル緯編地の提供。
【解決手段】第一の糸と第二の糸とを含むコースを少なくとも含み、該コースは、該第一の糸と該第二の糸とが引き揃ったニードルループと、該第一の糸と該第二の糸とが引き揃っていないシンカーループとを有し、該第一の糸と該第二の糸とが引き揃っていないシンカーループにおいて、該第一の糸及び該第二の糸のいずれか一方がウェルト組織であり、他方がタック組織である、シングル緯編地。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の糸と第二の糸とを含むコースを少なくとも含み、該コースは、該第一の糸と該第二の糸とが引き揃ったニードルループと、該第一の糸と該第二の糸とが引き揃っていないシンカーループとを有し、該第一の糸と該第二の糸とが引き揃っていないシンカーループにおいて、該第一の糸及び該第二の糸のいずれか一方がウェルト組織であり、他方がタック組織である、シングル緯編地。
【請求項2】
前記第一の糸及び前記第二の糸の内の少なくとも1つが弾性糸である、請求項1に記載のシングル緯編地。
【請求項3】
編地全体のシンカーループ数に対する前記第一の糸と第二の糸が引き揃っていないシンカーループ数の割合が25%以上である、請求項1又は2に記載のシングル緯編地。
【請求項4】
前記第一の糸及び前記第二の糸が、ニット組織と、タック組織又はウェルト組織とを編地緯方向へ交互に繰り返している、請求項1~3のいずれか1項に記載のシングル緯編地。
【請求項5】
第三の糸を更に含み、該第三の糸と、前記第一の糸又は前記第二の糸とがプレーティングしている、請求項1~4のいずれか1項に記載のシングル緯編地。
【請求項6】
前記第一の糸と第二の糸とが引き揃っていないシンカーループの内、ウェルト組織を編成する糸の糸長が300mm/100w以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のシングル緯編地。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のシングル緯編地を含む、衣料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シングル緯編地に関する。
【背景技術】
【0002】
より快適な衣服を求める市場の要求は年々高まっており、軽量で肌当たりに優れる風合いの良い肌着が求められている。市場ニーズに応えるため、衣服向け繊維の細繊度化や織機、編機のハイゲージ化によって快適な衣服が提供されてきた。
しかしながら、糸を細くすることで布地の強度が低下するため、細い糸を使用した布地は実着用での耐久性が問題となる場合がある。
以下の特許文献1には、表面層側がタック編目、裏面層側がニット編目を形成しているリブ糸を有する、破裂強度の高いダブル丸編地が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるようなダブル丸編地は、肉厚となりやすく、また、破裂強度を優先して伸縮性のない糸のみで編成を行うとストレッチ性が不足し、実着用時に動きにくいという問題があった。
かかる従来技術の水準に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、破裂強度に優れ、かつ、肌触りや着用中の動きやすさといった着用感に優れたシングル緯編地を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、以下の構成を有するシングル編地が上記課題を解決しうることを予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0006】
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]第一の糸と第二の糸とを含むコースを少なくとも含み、該コースは、該第一の糸と該第二の糸とが引き揃ったニードルループと、該第一の糸と該第二の糸とが引き揃っていないシンカーループとを有し、該第一の糸と該第二の糸とが引き揃っていないシンカーループにおいて、該第一の糸及び該第二の糸のいずれか一方がウェルト組織であり、他方がタック組織である、シングル緯編地。
[2]前記第一の糸及び前記第二の糸の内の少なくとも1つが弾性糸である、前記[1]に記載のシングル緯編地。
[3]編地全体のシンカーループ数に対する前記第一の糸と第二の糸が引き揃っていないシンカーループ数の割合が25%以上である、前記[1]又は[2]に記載のシングル緯編地。
[4]前記第一の糸及び前記第二の糸が、ニット組織と、タック組織又はウェルト組織とを編地緯方向へ交互に繰り返している、前記[1]~[3]のいずれかに記載のシングル緯編地。
[5]第三の糸を更に含み、該第三の糸と、前記第一の糸又は前記第二の糸とがプレーティングしている、前記[1]~[4]のいずれかに記載のシングル緯編地。
[6]前記第一の糸と第二の糸とが引き揃っていないシンカーループの内、ウェルト組織を編成する糸の糸長が300mm/100w以下である、前記[1]~[5]のいずれかに記載のシングル緯編地。
[7]前記[1]~[6]のいずれかに記載のシングル緯編地を含む、衣料。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るシングル緯編地は、破裂強度に優れ、かつ、肌触りや着用中の動きやすさといった着用感に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】経緯における編みかた(ニット)のループ状態の説明図である。
【
図2】経緯における編みかた(タック)のループ状態の説明図である。
【
図3】経緯における編みかた(ミス(ウェルト))のループ状態の説明図である。
【
図4】経緯におけるシングル編地の編地構造の説明図である。
【
図5】経緯におけるダブル編地の編地構造の説明図である。
【
図6】経緯におけるシンカーループ部の引き揃い状態の説明図である。
【
図7】経緯におけるシンカーループ部の引き揃い状態の説明図である。
【
図10】本実施形態の編組織の編方図の一例である。
【
図11】本実施形態の編組織の編方図の一例である。
【
図12】本実施形態の編組織の編方図の一例である。
【
図13】本実施形態の編組織の編方図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の緯編地は、第一の糸と第二の糸とを含むコースを少なくとも含み、該コースは、該第一の糸と該第二の糸とが引き揃ったニードルループと、該第一の糸と該第二の糸とが引き揃っていないシンカーループとを有し、該第一の糸と第二の糸とが引き揃っていないシンカーループにおいて、該第一の糸及び該第二の糸のいずれか一方がウェルト組織であり、他方がタック組織である、シングル緯編地である。
【0010】
本実施形態において、編目が編地緯(ヨコ)方向に連続する列をコース、編目が編地経(タテ)方向に連続する列がウェルである。
本実施形態において、シングル緯編地とは、
図4に示すように、主にニードルループ5から構成されるニードルループ面6と、主にシンカーループ7から構成されるシンカーループ面8とを、それぞれ1面ずつ有している編地のことであり、特に断りが無い限り、一列のニードルベッドから編成される緯編地のことを指す。
【0011】
ニードルループとは糸が編針に引き込まれて作られるループのことであり、ニードルループから構成される面のことをニードルループ面やテクニカルフェースと呼ぶ。
例えば、ニット組織においては、
図1中実線で示すように、編針の引き込みによって作られた編目がニードルループである(
図1参照)。また、タック組織においては、オールドループのニードルループと重なる部分をニードルループとする(
図2参照)。また、ミス(ウェルト)組織においては、糸が針にかかることが無いため、ニードルループは存在せず、同一コース中で隣り合うニードルループ間に渡る糸となるため、全てシンカーループとなる(
図3参照)。
【0012】
シンカーループとは、シンカー、又はニードルループを形成した針に対して対となる針床の針によって形成される、編地経方向(ウェール方向)に連続しないループのことであり、同一コース中で隣り合うニードルループ間に渡る糸からなるループのことである。このシンカーループから形成される面をシンカーループ面もしくはテクニカルバック呼ぶ。
例えば、ニット組織においては
図1中点線で示すように、同一コース中で隣り合うニードルループ間に渡る糸からなるループのことを指す(
図1参照)。また、タック組織においても同様であり、同一コース中で隣り合うニードルループ間に渡る糸からなるループのことを指す(
図2参照)。また、ミス(ウェルト)組織においては、糸が針にかかることが無いため、ニードルループは存在せず、同一コース中で隣り合うニードルループ間に渡る糸となるため、全てシンカーループとなる(
図3参照)。
【0013】
2列以上の針床を有する緯編機やダブル丸編機によって編成された編地であっても、片面の針床のみを用いて編成された編地や、編目を反対の針床に移す機構を用いて編成された、シンカーループがニードルループに被覆されていない構造の編地であれば、シングル緯編地となる。
例えば、
図5に示すように、スムース編みやダンボールニットといった編地は編地の表裏がニードルループ5a、5bのみで構成された編地であり、シンカーループ7はダイアル針で形成されたニードルループ5aと、シリンダ針で形成されたニードルループ5bの間に挟まれる構造となり、シンカーループ7が面を形成することは無いため、ダブル丸編地となる。
【0014】
本実施形態のシングル緯編地は、第一の糸と第二の糸を含むコースを少なくとも含む。前記第一の糸、及び第二の糸は、それぞれ異なった種類の糸であっても、同一の糸であってもよい。
前記第一の糸と第二の糸を含むコースは、該第一の糸と該第二の糸とが引き揃ったニードルループを有する。本実施形態において、「糸が引き揃う」とは、第一の糸と第二の糸が同一の編組織を形成していることを指す。
例えば、引き揃え編のように、2本以上の糸を同一の編針に供してニットループを編成する場合、それらの糸は同一の編組織を形成していることとなり、引き揃って編目を形成していることとなる。
【0015】
引き揃ったニードルループを形成する方法は、引き揃え編のように第一の糸と第二の糸を同一糸道から編針に供する方法や、第一の糸、第二の糸それぞれ別々の給糸口から同一編針へ供する方法など、どのような方法でもよく、同一の編組織を形成すればよい。
前記第一の糸と第二の糸を含むコースは、該第一の糸と該第二の糸とが引き揃っていないシンカーループとを有する。
シンカーループが引き揃っていない状態の例として、以下2つの状態が挙げられる。
(1)同一コースを形成する第一の糸のシンカーループと第二の糸のシンカーループとが編地平面内で離れていて重なり合っていない状態(
図6の1b(ウェルト)と2b(タック)の状態);及び
(2)第一の糸のシンカーループ及び第二の糸のシンカーループのいずれか一方のシンカーループが、もう片方のシンカーループに対して、シンカーループ面の上方に突出しており、それぞれのシンカーループ同士が重なり合っていない状態(
図7の1b(ウェルト)と2b(ウェルト)の状態、前コースは省略)。
【0016】
本実施形態のシングル緯編地は、前記第一の糸と第二の糸とが引き揃っていないシンカーループにおいて、該第一の糸及び該第二の糸のいずれか一方がウェルト組織であり、他方がタック組織である(
図6参照)。
【0017】
第一の糸及び第二の糸のいずれか一方がウェルト組織であり、他方がタック組織であるシングル緯編地を編成するためには、例えば、編組織に合わせて給糸角度が変更可能なフィンガー付きの編機を用いて第一の糸と第二の糸の糸道に大きな角度差をつけることや、第一の糸がウェルトを形成する編針で、第二の糸がタック組織を形成するようカムを選定する、パイル編み用のシンカーを用いて糸の高さを二段に分ける、それぞれの糸の張力差を大きくして糸道を分離するといった工夫を適宜行えばよい。
【0018】
本実施形態のシングル緯編地は、上述の編構造を有することで、荷重がかかり編地が伸長され粗密になった際も、ニードルループ間に存在する糸面積が大きくなり、細い糸を使用した際にも実用に十分耐えうる破裂強度を得ることが可能となる。
【0019】
本実施形態のシングル緯編地に使用される糸は、特に限定されるものではないが、衣服向けとしては天然繊維、合成繊維、及び再生セルロース繊維が好適である。
天然繊維としては、綿、麻、絹、羊毛等が挙げられる。また、合成繊維としては、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド繊維、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン繊維等が挙げられ、これらのブライト糸、セミダル糸、フルダル糸等任意に選択できる。また、再生セルロース繊維としては、レーヨンやキュプラ、リヨセル等が挙げられ、また、後述する合成繊維との複合糸の形態であってもよい。
また、繊維の断面形状も、丸型、楕円型、W型、繭型、中空糸等任意な断面形状であることができる。また、繊維の形態についても特に限定されず、原糸であっても、仮撚等の捲縮糸であってもよい。
【0020】
本実施形態のシングル緯編地には、複合糸を用いてもよい。複合糸の形態は特に限定されず、インターレースによる複合や合撚による複合など、用途に合わせた複合方法を選択すればよい。セルロース繊維と合成繊維との複合糸を用いる場合、その繊度としては19~90デシテックス(dtex)の繊度とすることが好ましく、これにより、薄手で着用感に優れた編地を得ることができる。弾性糸と合成繊維又は天然繊維との複合糸であるシングルカバードヤーン(SCY)やダブルカバードヤーン(DCY)を用いる場合、弾性糸と複合する糸との総繊度が30~100dtexであることが好ましく、編地製造の容易さの観点からは40~80dtexであることがより好ましい。
【0021】
本実施形態のシングル緯編地においては、第一の糸、第二の糸いずれかが伸縮性を有する糸であることが好ましく、より好ましくはタック組織を形成する糸が伸縮性を有することが好ましい。尚、「伸縮性を有する糸」とは、JIS-L-1013-8.11-A法 にて測定した際の伸縮率(DRY)が20%以上の糸のことをいい、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上である。伸縮性を有する糸としては、ヒートセットやサイドバイサイド構造、偏心鞘芯構造により捲縮を与えた糸、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリウレタン弾性糸等の弾性糸といった糸が挙げられる。本実施形態のシングル緯編地は、伸縮性を有する糸を含むことで、糸の伸縮によってストレッチ性が付与されるのみならず、シンカーループが収縮することで肌面の平滑性を向上させ、着用時の肌当たりに優れた編地を得やすい。
【0022】
伸縮糸を有する糸として、弾性糸が特に好ましい。ここで弾性糸とは、最大伸度100%以上の繊維を指す。弾性糸のポリマーや紡糸方法には特に限定されず、ポリウレタン系、ポリエーテルエステル系の弾性糸を使用することができ、例えば、ポリウレタン系弾性糸では、乾式紡糸又は溶融紡糸したものが使用できる。弾性糸は、染色加工時のプレセット工程の通常処理温度である180℃近辺で伸縮性を損なわないことが好ましい。また、弾性糸が特殊ポリマーや無機物等の粉体を含有することにより、高セット性、消臭性、抗菌性の機能性を有する弾性糸も使用可能である。弾性糸の繊度は9~80dtexであることが好ましく、編地製造の容易さの観点からは15~60dtexであることがより好ましい。
【0023】
従来の編地においては、ポリウレタン弾性糸は破裂強度向上への寄与率は小さいが、本実施形態の編地においては、第一の糸と第二の糸が重ならないシンカーループ部において、荷重を支える糸面積が大きくなるため、第一の糸と第二の糸のいずれかの糸を弾性糸にした場合、該ポリウレタン弾性糸が破裂強度の向上に寄与することができる。
【0024】
本実施形態のシングル緯編地は、破裂強度向上の観点から、編地全体のシンカーループ数に対する引き揃っていないシンカーループ数の割合が25%以上であることが好ましい。より好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは100%である。
【0025】
編地全体のシンカーループ数に対する引き揃っていないシンカーループ数の割合を25%以上に調節するためには、ジャカード編機の場合は1針単位での組織を設計すればよく、ジャカード編機でない場合は1完全組織のコース数やウェル数を増減させればよい。尚、1完全組織とは、編地を構成する編組織の最小の繰り返し単位のことを指す。
【0026】
本実施形態の緯編地は、肌当たりをより優しくする観点から、第一の糸及び第二の糸が、ニット組織と、タック組織又はウェルト組織とを編地緯(ヨコ、コース)方向へ交互に繰り返していることが好ましい。「第一の糸及び第二の糸が、ニット組織と、タック組織又はウェルト組織とを編地緯方向へ交互に繰り返している」とは、例えば、
図8のように、同一コースにて第一の糸1がニット組織、ウェルト組織、ニット組織、ウェルト組織…と編地緯方向へ繰り返して編成されており、第二の糸2がニット組織、タック組織、ニット組織、タック組織…と編地緯方向へ繰り返して編成されていることを指す。この時、ニードルループ1a及び2aでは第一の糸と第二の糸が引き揃ってニット組織を形成しており、シンカーループ1b及び2bにおいては第一の糸がウェルトループ、第二の糸がタックループを形成するため、シンカーループにおいては第一の糸1と第二の糸2が引き揃わない構造となる。
【0027】
ニット、タックの配列は、バット長の異なる針を複数用いる方法や、ジャカードによる選針等、編機や使用するカムに応じて適宜変更することで調整可能である。
【0028】
本実施形態のシングル緯編地は、機能性付与、破裂強度向上の観点から、第三の糸を更に含むことができ、該第三の糸と第一の糸もしくは第二の糸とがプレーティングしていてもよい。
また、第四の糸を更に含むことができ、第一の糸と第二の糸のいずれか一方が第三の糸とプレーティングしており、かつ、第一の糸及び第二の糸のうち、第三の糸とプレーティングしていない方の糸と、前記第四の糸とがプレーティングしていてもよい。
尚、プレーティングは添糸編とも呼ばれるが、これは複数本の糸をそれぞれ編針へ給糸し、同一の編針にてそれぞれの糸を同一組織で編立するものであり、糸の給糸条件によって編地表面に露出する糸を選択することが可能である。
【0029】
本実施形態のシングル緯編地を編成するために使用される編機は特に限定されない。また、編機のゲージについては任意に選択可能であるが、28~60ゲージ程度の編機の使用が好ましい。28ゲージ以上であれば、針のサイズが十分に小さいため、細繊度の糸を用いることで小さな編目からなる編地を編成可能であり、編地表面が平滑で肌触りがよく、審美性の良い編地を得やすい。また、60ゲージ以下であれば、ループサイズが小さくなりすぎることを防ぎ、着用時にストレスを感じることのない適切なストレッチ性を付与することがしやすい。
【0030】
本実施形態のシングル緯編地は、JIS-L1096-8.18.3-A法(ミューレン形法)による破裂強度が200kPa以上であることが好ましく、より好ましくは250kPa以上、さらに好ましくは300kPa以上である。破裂強度が200kPa以上であればインナーウェアなどとした際も実着用時に生地が破れにくい耐久性に優れた編地となる。本実施形態の緯編地は、シンカーループ部において第一の糸と第二の糸とが引き揃わない部分を含むコースの割合を増加させることで、破裂強度を向上させることが可能であり、目的に応じて適宜該コースの割合を増減させることができる。
【0031】
本実施形態のシングル緯編地のシンカーループ面の、トリニティラボ社製の静・動摩擦測定機トライボマスターType:TL201Tsを用いて測定される動摩擦係数μKは、0超0.450以下であることが好ましく、より好ましくは0.400以下、さらに好ましくは0.350以下である。動摩擦係数μKは小さいほど編地を衣服として着用した際の肌と衣服の接触抵抗が小さいことを表し、シンカーループ面の動摩擦係数μKが0.450以下であれば、シンカーループ面を肌側に配置して縫製した衣服を着用し肌と触れた際、肌と衣服の摩擦を感じにくい肌当たりに優れた編地となる。本実施形態の緯編地は、シンカーループ部において、第一の糸と第二の糸とが引き揃わないシンカーループ数を増加させることで、シンカーループ面の平滑性を向上させることが可能であり、目的に応じて適宜該シンカーループの割合を増減させることができる。さらに、糸の伸縮性を高めることや弾性糸を用いることでシンカーループ面の平滑性を高めることができる。
【0032】
本実施形態のシングル緯編地の、編地経方向の14.7N荷重時の伸長率は120%以上であることが好ましく、150%以上であることがより好ましい。また、本実施形態のシングル緯編地の、編地緯方向の14.7N荷重時の伸長率は80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。経方向、緯方向に十分な伸長率がある編地を用いた衣服であれば、衣服が人の動きを阻害することが無いため、動作快適性に優れた衣服とすることができる。本実施形態の緯編地においては、ゲージの選定や糸長の変更で経及び緯方向の伸長率を調整することが可能であり、目的に応じて適宜調整することができる。
【0033】
本実施形態のシングル緯編地の、編地経方向の伸長回復率は80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。本実施形態のシングル緯編地の、編地緯方向の伸長回復率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。経方向、緯方向に十分な伸長回復率がある編地を用いた衣服であれば、繰り返し着用した後であっても衣服が形態を保つことができ、製品寿命を延ばすことにつながる。本実施形態の緯編地においては、ゲージの選定や糸長の変更で調整する他、弾性糸の混率を5.0%以上、好ましくは10%以上含むことで伸長回復率を高めることが可能である。
【0034】
本実施形態のシングル緯編地は、1コース中における100ウェル当たりの糸の長さ(ループ長)は、肌面平滑性の観点から、引き揃っていないシンカーループのうち、ウェルト組織を編成する糸の糸長が300mm/100w以下であることが好ましく、より好ましくは250mm/100wであり、さらに好ましくは200mm/100w以下である。300mm/100w以下であることによって、シンカーループが編地表面に凸になることが無く、シンカーループ面の平滑性を維持することが可能となり、着用感に優れた編地を得ることができる。ループ長を調節するためには、度目や糸送り量の調整の他、針床の間隔を変更する手段などで適宜調整することが可能である。
コース中にウェルト組織が含まれるかを確認する方法は特に限定されず、編地の解編や編地の観察等により確認することが可能である。
【0035】
本実施形態のシングル緯編地の目付は、70g/m2~250g/m2であることが好ましく、70g/m2~190g/m2がより好ましい。目付が70g/m2以上であれば、衣服とした時の破裂強度が向上し、実着用上の問題が起きにくい編地となる。また、目付が190g/m2以下であれば、編地が厚くなりすぎることがないため、柔らかい風合いの編地が得られ、肌着としての着用に適した編地となる。
【0036】
本実施形態のシングル緯編地の厚みは、0.30mm~1.00mmであることが好ましく、0.40mm~0.90mmであることがより好ましい。厚みが0.30mm以上であれば、着用時の透けや強度に問題が起こりにくく、また、1.00mm以下であれば、十分に薄いため、肌着に使用した場合、蒸れにくく、肌当たりが良く、風合いの良い編地がとなる。
【0037】
本実施形態の緯編地は、染色加工されていてもよい。染色仕上げ方法としては、通常の染色仕上工程が使用でき、使用する繊維素材に応じた染色条件とし、使用する染色機も液流染色機、ウインス染色機、パドル染色機などの任意の使用が可能である。また、吸水性や柔軟性を向上させる加工剤を使用することができる。柔軟剤としては、シリコン系やウレタン系、エステル系の柔軟剤を用いることができ、濃度としては求められる編地の風合いに応じて適宜選択すればよいが、0.1%owf~2.0%owfの範囲であれば、編目間の摩擦が低減されることによりソフトストレッチ性と回復性を付与することが可能である。
【実施例0038】
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。無論、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
以下、実施例等で用いた特性値の測定法を示す。尚、測定に用いる編地は、衣料から切り出された編地であるが、本発明は衣料となっていない編地をも包含し、用途は衣料に限られるものではない。
【0039】
(1)編地全体のシンカーループ数に対する引き揃っていないシンカーループ数の割合(%)
本実施形態の緯編地において、編地全体のシンカーループ数に対する引き揃っていないシンカーループの割合は、編地全体のシンカーループ数と第一の糸と第二の糸が引き揃っていないシンカーループ数を、編地を構成する編目組織の最小繰り返し単位である1完全組織を編地中任意の場所から選び、目視にてシンカーループの総数と、第一の糸と第二の糸が引き揃っていないシンカーループの数を計測し、後者を前者で除して算出した。
【0040】
(2)目付(g/m2)
編地の目付を、JIS-L-1096の標準状態における単位面積当たりの質量A法(JIS法)に準じて測定する。
【0041】
(3)厚み(厚さ)(mm)
編地の厚みを、PEACOCK社製編地用厚み計にて、編地の任意の位置3か所を測定し、3か所の平均値を算出する。
【0042】
(4)編目密度
ウェル数:編地緯方向(コース方向)1インチにおけるニードルループの数を計測する。メッシュ部を含む編地の場合、編地組織によってはニードルループの数がコースごとに異なる場合があるが、この場合、最もニードルループの数が多いコースのニードルループの数をウェル数とし、単位はウェル/インチ(w/inch(2.54cm))とする。
コース数:編地経方向(ウェル方向)1インチにおけるニードルループの数を計測する。メッシュ部を含む編地の場合、編地組織によってはニードルループの数がウェルごとに異なる場合があるが、この場合、最もニードルループの数が多いウェルのニードルループの数をウェル数とし、単位はコース/インチ(c/inch)とする。
【0043】
(5)各コースにおける糸長(mm/100ウェル)
上記編地密度の測定方法で計測した編地100ウェル分の範囲を裁断する。編地の任意の1完全組織において、該1完全組織の全コースについて、解編し、それぞれの糸を抜き出し、20℃65%の標準環境にて、以下方法によって糸長の測定を行う。
伸度100%未満の糸:解編して得られた非弾性糸の片端を固定して吊り下げ、反対側の端に以下に示す糸種に応じた所定の荷重をかけ、30秒後の長さを測定する。単位はmm/100wとして表記している。尚、非弾性糸と弾性糸の複合糸については、本方法により糸長を測定する。
<糸種による荷重>
合成繊維の伸縮かさ高糸、非弾性糸と弾性糸の複合糸:8.82mN/dtex
その他非弾性糸:2.94mN/dtex
弾性糸:解編して得られた弾性糸の片端を固定して吊り下げ、該弾性糸がほぼ直線状になっていることを確認し、その状態での長さを測定する。単位はmm/100wとして表記している。
【0044】
(6)重量混率(%)
編地の任意の1完全組織において、該1完全組織の全コースについて、それぞれのコース中における100ウェル分の範囲を裁断し20℃65%の環境にて生地重量を測定する。その後、解編し、それぞれの糸を抜き出し、20℃65%の標準環境にて、糸重量を測定し、各繊維の糸重量を解編前の編地重量で除し、百分率として測定する。
【0045】
(7)破裂強度(kPa)
JIS-L1096-8.18.3-A法(ミューレン形法)によって破裂強度を測定し、単位はkPaとする。以下、詳細な手順を説明する。(株)大栄科学精機製作所製、ミューレン型破裂強度試験機を用いて測定する。巾150mm×長さ150mmの試験片を5枚作製する。環状円平面の、中央に30mm±0.3mmの開口部を有する、上部締付板および下部締付板の間にサンプルを無伸張状態で設置し、上下締付板と下部締付板で挟み込み固定する。下部締付板の下に設置されたゴム隔膜を加圧し、ゴム隔膜がサンプルを突き破る強さ(kPa)を記録する。生地を締付板から取り外し、破断時のゴム隔膜のみの強さ(kPa)を記録する。ゴム隔膜は鉱物質の充てん剤を含まない厚さ0.84~0.89mmの純ゴム質製のゴムを使用する。
ゴム隔膜がサンプルを突き破る強さ(kPa)から破断時のゴム隔膜のみの強さ(kPa)を引いた値をサンプルの破裂強度kPaとする。1枚につきに1回測定し、5枚を測定した平均値を算出し、破裂強度(kPa)とする。
【0046】
(8)伸長率(%)および伸長回復率(%)
JIS-L1096-8.16.2-B-1法(定荷重法)によって、編地経方向(ウェル方向)、緯方向(コース方向)それぞれの伸張率および回復率を測定する。
荷重は14.7N、荷重を付加する時間は1時間、除荷重後の回復時間を1時間として試験を行った。試験片は 巾60mm×長さ300mmの大きさで作製し、固定端から200mmの部位に線を引き、荷重後、除荷重後の固定端~線の距離を実測し、伸張量を測定することで伸張率、回復率を測定する。
【0047】
(9)シンカーループ面の動摩擦係数μK
編地のシンカーループ面の動摩擦係数μKは、トリニティラボ社製の静・動摩擦測定機トライボマスターType:TL201Tsを使用して測定する。
シングル編地の場合はシンカーループ面を測定し、ダブル編地の場合はダイアル面を測定する。
測定する際、摩擦子:パターンなしタイプ/接触面11mm×15mm、測定荷重:3.75g、摩擦速度30mm/秒、摩擦距離100mmの条件にて、3回往復する。編始め方向から編終わり方向(往路)に摩擦を開始し、100mm摩擦した後、摩擦方向が反転し、編終わり方向から編始め方向(復路)を摩擦する。この動作を3回繰り返し、各回の往路の動摩擦係数μK、並びに、各回の復路の動摩擦係数μKを測定し、各回の往路復路それぞれの平均値を算出する。以下の式:
シンカーループ面の動摩擦係数μK = (往路の動摩擦係数μK+復路の動摩擦係数μK)/2
により、シンカーループ面の動摩擦係数μKを求めた。
【0048】
(10)糸の伸縮率(%)
本実施形態に使用する糸の伸縮性はJIS-L-1013-8.11-A法 にて測定する。編地の任意の1完全組織において、巾30センチ以上となるよう切り出し、該1完全組織の全コースについて、解編し、それぞれの糸を抜き出し、20℃65%RHの標準環境下で、測定を行う。
【0049】
(11)着用感(着用快適性)
実施例、比較例により得られた編地で上半身用の半袖インナーを縫製し、モニターに着用させ、前記半袖インナーの上からワイシャツを着用する。初夏における通勤を想定し、28℃50%RH環境下で、着用後5分間椅子に座って静止した後、トレッドミルを使用し、4.5km/hrの速度で20分間歩行した。インナー着用から歩行終了までの着用感を、[項目1:着用中の動きやすさ]と[項目2:肌触り]の2項目について、それぞれ、以下評価基準のもと5点満点で主観評価した。10名のモニターによって試験を実施し、2項目の点数を平均した値を評価結果とした。平均値は小数点第二位以下を四捨五入し、小数点第一位まで求めた。平均点4.0以上は着用性又は快適性に優れると判断した。
【0050】
[項目1:着用中の動きやすさ]
締め付け感、動作追随性の観点から着心地を5点満点で評価した。
5点:非常に快適である
4点:快適である
3点:特に違和感はない
2点:不快である
1点:非常に不快である。
【0051】
[項目2:肌触り]
着用中の肌との擦れ度合い、手に取った際の生地風合いの観点から着心地を5点満点で評価した。
5点:非常に快適である
4点:快適である
3点:特に違和感はない
2点:不快である
1点:非常に不快である。
【0052】
以下の実施例、比較例、および表において、各種糸を下記のように表記する。
ナイロン:Ny
ポリエステル:Es
ポリトリメチレンテレフタレート:PTT
綿:Co
キュプラ:Cu
ポリウレタン弾性糸:Pu
また、フィラメント数の単位をfと表記する。
尚、特に断りがない限り、ポリウレタン弾性糸はベアを使用している。
【0053】
[実施例1]
40ゲージのシングル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、
図9の編方図で編地を編成し、生機を得た。
第一の糸:Es 33dtex36f DTY
第二の糸:Pu 44dtex
前記生機を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って、編地を作製した。評価結果を以下の表1、2に示す。
【0054】
[実施例2]
糸使いを以下の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして編地を作製した。
第一の糸:Ny 33dtex24f Woolly
第二の糸:Pu 22dtex
評価結果を以下の表1、2に示す。
【0055】
[実施例3]
糸使いを以下の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして編地を作製した。
第一の糸:Es 33dtex36f DTY
第二の糸:Cu 33dtex24f
評価結果を以下の表1に示す。
【0056】
[実施例4]
糸使いを以下の通りに変更した以外は、実施例1と同様に編地を作製した。
第一の糸:Es 33dtex36f DTY
第二の糸:PTT 33dtex12f
評価結果を以下の表1、2に示す。
【0057】
[実施例5]
糸使いを以下の通りに変更した以外は、実施例1と同様に編地を作製した。
第一の糸:Es 33dtex36f DTY
第二の糸:Ny 8dtex5f x Pu 17dtex SCY
評価結果を以下の表1、2に示す。
【0058】
[実施例6]
糸使いを以下の通りに変更した以外は、実施例1と同様に編地を作製した。
第一の糸:Pu 44dtex
第二の糸:Pu 44dtex
評価結果を以下の表1に示す。
【0059】
[実施例7]
糸使いを以下の通りに変更し、第一の糸と第三の糸とをプレーティングして編成したこと以外は、実施例1と同様に編地を作製した。
第一の糸:Es 50dtex72f
第二の糸:Pu 22dtex
第三の糸:Pu 22dtex
評価結果を以下の表1、2に示す。
【0060】
[実施例8]
40ゲージのシングル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、
図10の編方図で編地を編成し、生機を得た。本実施例においては、第一の糸と第二の糸は同一コースにて編立されており、第三の糸と第四の糸は、前記第一の糸と第二の糸とを含むコースとは別のコースで編成した。また、第三の糸と第四の糸は引き揃えて編立した。
第一の糸:Es 33dtex36f DTY
第二の糸:Pu 22dtex
第三の糸:Es 33dtex36f DTY
第四の糸:Pu 22dtex
前記生機を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って。編地を作製した。評価結果を以下の表1、2に示す。
【0061】
[実施例9]
編方図を
図11に変更したこと以外は、実施例8と同様にして編地を作製した。評価結果を以下の表1、2に示す。
【0062】
[実施例10]
第四の糸を用いないこと以外は、実施例9と同様にして編地を編成した。評価結果を以下の表1、2に示す。
【0063】
[実施例11]
編方図を
図12に変更した以外は、実施例8と同様にして編地を作製した。評価結果を以下の表1、2に示す。
【0064】
[実施例12]
糸使いを以下の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして編地を作製した。
第一の糸:Cu 84dtex36f
第二の糸:Pu 10dtex
評価結果を以下の表1、2に示す。
【0065】
[実施例13]
編方図を
図13に変更した以外は、実施例2と同様にして編地を作製した。
評価結果を以下の表1、2に示す。
【0066】
[実施例14]
24ゲージのシングル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、
図9の編方図で編地を編成し、生機を得た。
第一の糸:Es 33dtex36f DTY
第二の糸:Pu 44dtex
前記生機を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って、編地を作製した。評価結果を以下の表1、2に示す。
【0067】
[実施例15]
28ゲージのシングル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、
図9の編方図で編地を編成し、生機を得た。
第一の糸:Es 33dtex36f DTY
第二の糸:Pu 44dtex
前記生機を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って、編地を作製した。評価結果を以下の表1、2に示す。
【0068】
[比較例1]
40ゲージのシングル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、
図14の編方図で編地を編成し、生機を得た。尚、第一の糸と第二の糸とを引き揃えて使用した。
第一の糸:Es 33dtex36f DTY
第二の糸:Pu 44dtex
前記生機を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って編地を作製した。評価結果を以下の表3、4に示す。
【0069】
[比較例2]
熱セット時の張力を変えて密度を変更したこと以外は、比較例1と同様にして編地を作製した。評価結果を以下の表3、4に示す。
【0070】
[比較例3]
編方図を
図15に変更した以外は、比較例1と同様にして編地を作製した。評価結果を以下の表3、4に示す。
【0071】
[比較例4]
糸使いを以下の通りに変更した以外は、比較例1と同様にして編地を作製した。
第一の糸:Es 33dtex36f DTY
第二の糸:Cu 33dtex24f
評価結果を以下の表3、4に示す。
【0072】
[比較例5]
糸使いを以下の通りに変更した以外は、比較例1と同様にして編地を作製した。
第一の糸:Pu 44dtex
第二の糸:Pu 44dtex
評価結果を以下の表3、4に示す。
【0073】
[比較例6]
32ゲージのシングル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、
図16の編方図で編地を編成し、生機を得た。第一の糸と第二の糸は同一コースにて編成されているが、パイル編用のシンカーを用いることで、第二の糸のシンカーループをシンカーループ面の上方に大きく突出するようにし、第一の糸のシンカーループと引き揃わない構造とした。
第一の糸:Es 84dtex36f DTY
第二の糸:Co 40/1
前記生機を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って編地を作製した。評価結果を以下の表3、4に示す。
【0074】
[比較例7]
36ゲージのスパイラル編が可能なシングル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、
図17の編方図で編地を編成し、生機を得た。第一の糸と第二の糸は同一コースにて編成されているが、スパイラル編とすることで第二の糸のシンカーループが第一の糸のシンカーループと引き揃わない構造とした。
第一の糸:Es 33dtex36f DTY
第二の糸:Pu 22dtex
前記生機を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って編地を作製した。評価結果を以下の表3、4に示す。
【0075】
[比較例8]
28ゲージのシングル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、
図18の編方図で編地を編成し、生機を得た。第一の糸、第二の糸、第三の糸はそれぞれ別のコースで編立した。また第四の糸は第一の糸に引き揃えて編立した。
第一の糸:Co 24/1
第二の糸:Co 24/1
第三の糸:Es 110dtex72f DTY
第四の糸:Pu 44dtex
前記生機を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って編地を作製した。評価結果を以下の表3、4に示す。
【0076】
[比較例9]
32ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、
図19の編方図で編地を編成し、生機を得た。第一の糸、第二の糸、第三の糸、第四の糸はそれぞれ別のコースで編立した。
第一の糸:Es 110dtex48f DTY
第二の糸:Es 33dtex12f DTY
第三の糸:Es 84dtex36f DTY
第四の糸:Es 56dtex24f DTY
前記生機を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って編地を作製した。評価結果を以下の表3、4に示す。
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】