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特開2022-156970車載中継装置、車載システム、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156970
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】車載中継装置、車載システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/61 20180101AFI20221006BHJP
   G06F 9/06 20060101ALI20221006BHJP
   G06F 21/44 20130101ALI20221006BHJP
【FI】
G06F8/61
G06F9/06
G06F21/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060930
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】浦山 博史
(72)【発明者】
【氏名】呉 ダルマワン
(72)【発明者】
【氏名】大津 智弘
(72)【発明者】
【氏名】菊地 慶剛
(72)【発明者】
【氏名】萩原 剛志
(72)【発明者】
【氏名】前田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】泉 達也
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐輔
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376AA06
5B376AB06
5B376AD29
5B376GA08
(57)【要約】
【課題】車載機器に対する認証が必要である際に、車内ネットワークを介した通信を早期に開始することができる車載中継装置等を提供する。
【解決手段】車載中継装置は、車両に搭載される複数の車載機器と、車載機器の認証を行う認証装置とに接続され、複数の車載機器の間の通信を中継する車載中継装置であって、通信の中継を制御する制御部を備え、制御部は、車載中継装置に接続される車載機器の認証が完了する前に、車載機器、及び認証装置の間において認証のための認証通信データを中継し、認証通信データの中継と並行して、認証装置、及び車載機器と、車内ネットワークの設定のための設定データを送受信し、認証装置から、送信した設定データに応じた車内ネットワークの設定情報を取得し、認証の完了後、取得した設定情報に基づく中継を開始する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される複数の車載機器と、該車載機器の認証を行う認証装置とに接続され、複数の前記車載機器の間の通信を中継する車載中継装置であって、
通信の中継を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記車載中継装置に接続される前記車載機器の認証が完了する前に、前記車載機器、及び前記認証装置の間において前記認証のための認証通信データを中継し、
前記認証通信データの中継と並行して、前記車載機器、及び前記認証装置と、車内ネットワークの設定のための設定データを送受信し、
前記認証装置から、送信した前記設定データに応じた前記車内ネットワークの設定情報を取得し、
前記認証の完了後、取得した前記設定情報に基づく中継を開始する
車載中継装置。
【請求項2】
前記設定データは、通信を行うための宛先情報、及び前記車載機器が機能の提供を開始するためのサービス解決用情報の少なくとも一方を含み、
前記制御部は、
前記認証が完了する前に、取得した前記車載機器の宛先情報及び前記サービス解決用情報の少なくとも一方と、前記車載中継装置の宛先情報とを前記認証装置へ出力する
請求項1に記載の車載中継装置。
【請求項3】
前記車載機器は、予め前記車両に搭載される既存の車載機器と、該既存の車載機器が前記車両に搭載される時点よりも後の時点にて前記車両に搭載される追加の車載機器とを含み、
前記認証は、前記追加の車載機器に対して行われる
請求項1又は請求項2に記載の車載中継装置。
【請求項4】
前記認証装置と前記車載機器との間に介在して、設けられる
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車載中継装置。
【請求項5】
前記認証装置と、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車載中継装置とを含む車載システムであって、
前記車載中継装置は、前記車載機器の前記認証が完了する前に、前記認証装置へ前記設定データを出力し、
前記認証装置は、
前記車載中継装置から出力される前記設定データを受信し、
受信した前記設定データに応じた前記設定情報を前記車載中継装置へ出力する
車載システム。
【請求項6】
車両に搭載される複数の車載機器と、該車載機器の認証を行う認証装置とに接続され、複数の前記車載機器の間の通信を中継する車載中継装置が行う情報処理方法であって、
前記車載中継装置に接続される前記車載機器の認証が完了する前に、前記車載機器、及び前記認証装置の間において前記認証のための認証通信データを中継し、
前記認証通信データの中継と並行して、前記車載機器、及び前記認証装置と、車内ネットワークの設定のための設定データを送受信し、
前記認証装置から、送信した前記設定データに応じた前記車内ネットワークの設定情報を取得し、
前記認証の完了後、取得した前記設定情報に基づく中継を開始する
情報処理方法。
【請求項7】
車両に搭載される複数の車載機器と、該車載機器の認証を行う認証装置とに接続され、複数の前記車載機器の間の通信を中継するコンピュータに処理を実行させるプログラムであって、
前記コンピュータに接続される前記車載機器の認証が完了する前に、前記車載機器、及び前記認証装置の間において前記認証のための認証通信データを中継し、
前記認証通信データの中継と並行して、前記車載機器、及び前記認証装置と、車内ネットワークの設定のための設定データを送受信し、
前記認証装置から、送信した前記設定データに応じた前記車内ネットワークの設定情報を取得し、
前記認証の完了後、取得した前記設定情報に基づく中継を開始する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載中継装置、車載システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、エンジン制御等のパワー・トレーン系、及びエアコン制御等のボディ系等の装置、及び当該装置を制御するための複数の車載ECU(Electronic Control Unit)を含む車載機器と、車載機器間の通信を中継する中継装置とを含む複数の車載装置が搭載されている。複数の車載装置が接続されることによって、車両において、車載装置をノードとする車内ネットワークが構成される(例えば特許文献1)。複数の車載装置は、車内ネットワークを介して通信を行う。特許文献1の中継装置は、接続された車載機器に対する認証を行い、認証の完了後に車載機器の通信を中継する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-47992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の中継装置には、車載機器に対する認証が必要である際に、車内ネットワークを介した通信を早期に開始する点についての考慮がなされていない。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、車載機器に対する認証が必要である際に、車内ネットワークを介した通信を早期に開始することができる車載中継装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車載中継装置は、車両に搭載される複数の車載機器と、該車載機器の認証を行う認証装置とに接続され、複数の前記車載機器の間の通信を中継する車載中継装置であって、通信の中継を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記車載中継装置に接続される前記車載機器の認証が完了する前に、前記車載機器、及び前記認証装置の間において前記認証のための認証通信データを中継し、前記認証通信データの中継と並行して、前記車載機器、及び前記認証装置と、車内ネットワークの設定のための設定データを送受信し、前記認証装置から、送信した前記設定データに応じた前記車内ネットワークの設定情報を取得し、前記認証の完了後、取得した前記設定情報に基づく中継を開始する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、車載機器に対する認証が必要である際に、車内ネットワークを介した通信を早期に開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る車載システムの構成を例示する模式図である。
図2】車載ECUの構成を例示するブロック図である。
図3】宛先情報群の内容例を示す概念図である。
図4】車載機器の認証、及び車内ネットワークの設定の一態様を示すシーケンス図である。
図5】第2中継装置の制御部が行う車載機器の認証、及び車内ネットワークの設定に係る処理を例示するメインルーチンのフローチャートである。
図6】設定変更処理のサブルーチンに係る第2中継装置の制御部の処理手順を例示するフローチャートである。
図7】受信処理及び中継処理のサブルーチンに係る第2中継装置の制御部の処理手順を例示するフローチャートである。
図8】第1中継装置の制御部が行う車内ネットワークの設定に係る処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0010】
(1)本開示の一態様に係る車載中継装置は、車両に搭載される複数の車載機器と、該車載機器の認証を行う認証装置とに接続され、複数の前記車載機器の間の通信を中継する車載中継装置であって、通信の中継を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記車載中継装置に接続される前記車載機器の認証が完了する前に、前記車載機器、及び前記認証装置の間において前記認証のための認証通信データを中継し、前記認証通信データの中継と並行して、前記車載機器、及び前記認証装置と、車内ネットワークの設定のための設定データを送受信し、前記認証装置から、送信した前記設定データに応じた前記車内ネットワークの設定情報を取得し、前記認証の完了後、取得した前記設定情報に基づく中継を開始する。
【0011】
本態様にあたっては、車載中継装置は、車載機器、及び認証装置と接続される。車載中継装置は、車載機器間の通信を中継する。また車載中継装置は、車載機器及び認証装置の間の通信を中継する。認証装置は、車載機器の認証を行う。車載機器の認証が完了する前において、車載中継装置が備える制御部は、認証通信データを中継する。更に制御部は、認証通信データの中継と並行して、車載機器及び認証装置と設定データを送受信する。認証通信データの中継において制御部は、認証通信データを車載機器から認証装置へ中継する。また制御部は、認証通信データを認証装置から車載機器へ中継する。言い換えると制御部は、車載機器及び認証装置と認証通信データを送受信する。例えば、設定データの送受信において制御部は、車載中継装置と接続された車載機器から送信される設定データを受信する。また制御部は、認証装置へ設定データを送信する。制御部は、車載機器及び認証装置の一方から送信される設定データを、車載機器及び認証装置の他方へ中継してもよい。言い換えると認証通信データの送受信は、設定データの中継を含んでもよい。認証装置は、車載中継装置から送信された設定データを取得し、取得した設定データに応じた車内ネットワークの設定情報を車載中継装置へ送信する。車載中継装置が備える制御部は、認証装置から送信された設定情報を取得する。車載機器に対する認証の完了後、制御部は、取得した設定情報に基づく中継を開始する。言い換えると制御部は、取得した設定情報を車載中継装置(自装置)に適用する。このようにすることで、設定情報に基づく車内ネットワークを介した通信が開始される。車載中継装置が備える制御部は、車載機器の認証が完了する前に、認証通信データの中継と、設定データの送受信とを並行して行うので、認証の完了後に設定データを認証装置へ送信する場合に比べて早く、認証装置から設定情報を取得することができる。従って車載中継装置は、認証の完了後に設定データを認証装置へ送信する場合に比べて早く、車内ネットワークを介した通信を開始することができる。なお認証通信データの中継は、車載中継装置が備える制御部が認証通信データを送受信する複数のシーケンスを含む。制御部が認証通信データの中継と並行して、設定データを送受信することは、上記の複数のシーケンスが実行される期間と、設定データの送受信が実行される期間とが重なることを意味する。
【0012】
(2)本開示の一態様に係る車載中継装置は、前記設定データは、通信を行うための宛先情報、及び前記車載機器が機能の提供を開始するためのサービス解決用情報の少なくとも一方を含み、前記制御部は、前記認証が完了する前に、取得した前記車載機器の宛先情報及び前記サービス解決用情報の少なくとも一方と、前記車載中継装置の宛先情報とを前記認証装置へ出力する。
【0013】
本態様にあたっては、車載中継装置の制御部は、車載中継装置に接続された車載機器から当該車載機器の宛先情報とサービス解決用情報との少なくとも一方を、車載機器の認証が完了する前に取得する。例えば宛先情報は、IPアドレス及びMACアドレス等のアドレスを含む。また宛先情報は、車載機器との接続のために車載中継装置に設けられた接続ポートのうち、車載機器が接続された接続ポートのポート番号を含む。サービス解決用情報は、車載機器が機能の提供(サービス)を開始するための情報である。例えばサービス解決用情報は、車載機器を制御するためのデバイスドライバを含む。サービス解決用情報は、車載機器から送信される。制御部は、取得した車載機器の宛先情報及びサービス解決用情報の少なくとも一方と、車載中継装置の宛先情報とを、車載機器の認証が完了する前に認証装置へ出力する。例えば制御部は、車載機器の宛先情報及び車載中継装置の宛先情報を含む宛先情報群と、車載機器から取得したサービス解決用情報とを認証装置へ出力する。サービス解決用情報は、車載中継装置によって車載機器から認証装置へ中継される。制御部が車載中継装置の宛先情報と、車載中継装置に接続された車載機器の宛先情報、及びサービス解決用情報の少なくとも一方とを個別に認証装置へ出力する場合に比べて、認証装置及び車載中継装置の間における通信の頻度を少なくすることができる。
【0014】
(3)本開示の一態様に係る車載中継装置は、前記車載機器は、予め前記車両に搭載される既存の車載機器と、該既存の車載機器が前記車両に搭載される時点よりも後の時点にて前記車両に搭載される追加の車載機器とを含み、前記認証は、前記追加の車載機器に対して行われる。
【0015】
本態様にあたっては、車両には既存の車載機器が搭載されている。既存の車載機器は、車載中継装置と接続されている。車両に追加の車載機器が搭載される際、追加の車載機器は、車載中継装置と接続される。例えば車載中継装置の制御部は、車載中継装置(自装置)に追加の車載機器が接続された際、認証装置と通信し、認証装置に追加の車載機器の認証を行わせる。車載機器の認証が完了する前において、車載中継装置の制御部は上述のように認証通信データを中継する。また車載中継装置の制御部は認証通信データの中継と並行して、追加の車載機器、及び既存の車載機器に関する設定データと、車載中継装置に関する設定データとを認証装置へ出力する。車載中継装置の制御部は認証装置から、追加の車載機器をノードとして含む車内ネットワークの設定情報を取得する。追加の車載機器が車両に搭載される際に、当該追加の車載機器をノードとして含む車内ネットワークを構成することができる。車載中継装置は、車載中継装置に追加の車載機器が接続された際、認証の完了後に設定データを認証装置へ出力する場合に比べて早く、追加の車載機器をノードとして含む車内ネットワークを介した通信を開始することができる。
【0016】
(4)本開示の一態様に係る車載中継装置は、前記認証装置と前記車載機器との間に介在して、設けられる。
【0017】
本態様にあたっては、車載中継装置は認証装置と車載機器との間に介在して設けられるので、認証装置を中心とするスター状のネットワークトポロジーを形成する車内ネットワークを構成することができる。また、認証装置を頂点とするカスケード状のネットワークトポロジーを形成する車内ネットワークを構成することができる。
【0018】
(5)本開示の一態様に係る車載システムは、前記認証装置と、前記車載中継装置とを含む車載システムであって、前記車載中継装置は、前記車載機器の前記認証が完了する前に、前記認証装置へ前記設定データを出力し、前記認証装置は、前記車載中継装置から出力される前記設定データを受信し、受信した前記設定データに応じた前記設定情報を前記車載中継装置へ出力する。
【0019】
本態様にあたっては、認証装置、及び車載中継装置は接続される。例えば車載中継装置には複数の車載機器が接続される。車載中継装置は、複数の車載機器の間の通信を中継する。また車載中継装置は、車載機器と認証装置との間の通信を中継する。認証装置は、車載機器の認証を行う。車載中継装置は、車載機器の認証が完了する前に、設定データを認証装置へ出力する。認証装置は、車載中継装置から出力された設定データを受信する。認証装置は、受信した設定データに応じた設定情報を車載中継装置へ出力する。詳しくは、認証装置は受信した設定データに基づき、認証装置、車載中継装置、及び車載機器をノードとして含む車内ネットワークの設定情報を生成する。認証装置は、生成した設定情報を車載中継装置へ出力する。車載中継装置は、出力された設定情報を取得する。認証装置、及び車載中継装置は、生成された設定情報に基づき、車内ネットワークを介して通信の中継を行う。認証装置は、認証の完了後に車載中継装置が設定データを認証装置へ送信する場合に比べて早く、設定情報を生成することができる。従って認証装置、及び車載中継装置は、認証の完了後に設定データが認証装置へ送信される場合に比べて早く、車内ネットワークを介した通信を開始することができる。
【0020】
(6)本開示の一態様に係る情報処理方法は、車両に搭載される複数の車載機器と、該車載機器の認証を行う認証装置とに接続され、複数の前記車載機器の間の通信を中継する車載中継装置が行う情報処理方法であって、前記車載中継装置に接続される前記車載機器の認証が完了する前に、前記車載機器、及び前記認証装置の間において前記認証のための認証通信データを中継し、前記認証通信データの中継と並行して、前記車載機器、及び前記認証装置と、車内ネットワークの設定のための設定データを送受信し、前記認証装置から、送信した前記設定データに応じた前記車内ネットワークの設定情報を取得し、前記認証の完了後、取得した前記設定情報に基づく中継を開始する。
【0021】
本態様にあたっては、態様(1)と同様に、認証の完了後に設定データを認証装置へ送信する場合に比べて早く、車内ネットワークを介した通信を開始することができる。
【0022】
(7)本開示の一態様に係るプログラムは、車両に搭載される複数の車載機器と、該車載機器の認証を行う認証装置とに接続され、複数の前記車載機器の間の通信を中継するコンピュータに処理を実行させるプログラムであって、前記コンピュータに接続される前記車載機器の認証が完了する前に、前記車載機器、及び前記認証装置の間において前記認証のための認証通信データを中継し、前記認証通信データの中継と並行して、前記車載機器、及び前記認証装置と、車内ネットワークの設定のための設定データを送受信し、前記認証装置から、送信した前記設定データに応じた前記車内ネットワークの設定情報を取得し、前記認証の完了後、取得した前記設定情報に基づく中継を開始する処理をコンピュータに実行させる。
【0023】
本態様にあたっては、コンピュータを、本開示の一態様の車載中継装置として機能させることができる。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示をその実施形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。本開示の実施形態に係る車載中継装置を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0025】
(実施形態1)
以下、実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る車載システムSの構成を例示する模式図である。車載システムSは、車両Cに搭載される複数の車載ECU2を含む。複数の車載ECU2のうち、少なくとも一部の車載ECU2には車載機器3が接続される。図1において車両Cには3つの車載ECU2が搭載されているが、車両Cに搭載される車載ECU2の個数は3つに限定されない。
【0026】
例えば複数の車載ECU2は、車両Cの全体を制御する統合的な車載ECU2(統合ECU)、及び当該統合的な車載ECU2と通信可能に接続され、車載機器3と直接、接続される個別的な車載ECU2(個別ECU)を含むものであってもよい。統合的な車載ECU2は、図示しない車外通信装置を介して、インターネット等の外部ネットワークに接続される図示しない外部サーバと、通信可能に接続されるものであってもよい。
【0027】
図1において、統合的な車載ECU2と、複数の個別的な車載ECU2とは、スター状のネットワークトポロジーを形成する車内ネットワーク4によって通信可能に接続される。当該統合的な車載ECU2は、スター状のネットワークトポロジーの中心に位置して設けられている。ネットワークトポロジーは、カスケード状のネットワークトポロジーでもよい。例えばカスケード状のネットワークトポロジーの頂点には統合的な車載ECU2が設けられる。車載システムSにおけるネットワークトポロジーは上記の例に限定されない。車載システムSは、隣接する個々の個別的な車載ECU2同士が接続され、ループ状のネットワークトポロジーを構成し、双方向通信を可能として冗長化を図る構成であってもよい。
【0028】
車載ECU2は、通信を中継するゲートウェイ又はイーサネットスイッチ等の中継装置としても機能する。中継装置は、車載機器3の認証を行い、複数の車載機器3の間の通信を中継する第1中継装置21を含む。また中継装置は、車載機器3及び第1中継装置21と接続され、複数の車載機器3の間の通信を中継する第2中継装置22を含む。本実施形態において、統合的な車載ECU2は、第1中継装置21として機能する。第1中継装置21は、認証装置に相当する。個別的な車載ECU2は、第2中継装置22として機能する。第2中継装置22は、車載中継装置に相当する。
【0029】
個別的な車載ECU2は、車両Cにおける各エリアに配置され、複数の車載機器3と接続される。個別的な車載ECU2は、接続される車載機器3と信号又はデータを送受信する。また個別的な車載ECU2は、統合的な車載ECU2と通信を行う。個別的な車載ECU2は、上述のように第2中継装置22として機能し、当該個別的な車載ECU2に接続される複数の車載機器3間の通信、又は車載機器3と統合的な車載ECU2を含む他の車載ECU2との通信を中継する。個別的な車載ECU2は、通信の中継に加え、図示しない蓄電装置から出力された電力を分配及び中継し、自ECUに接続される車載機器3に供給する電力分配装置としても機能してよい。
【0030】
車載機器3は例えば、ドア開閉装置、及びモータ装置等のアクチュエータ30と、LiDAR(Light Detection and Ranging)、ライトセンサ、CMOSカメラ、及び赤外線センサ等の各種センサ31とを含む。車載機器3は上記の例に限定されず、ドアSW(スイッチ)、及びランプSW等のスイッチでもよく、ランプでもよい。車載機器3は、予め車両Cに搭載される既存の車載機器3と、当該既存の車載機器3が車両Cに搭載される時点よりも後の時点にて車両Cに搭載される追加の車載機器3とを含む。例えば追加の車載機器3は、プラグアンドプレイに対応している。なお既存の車載機器3が車両Cに搭載される時点は、例えば車両Cが製造される時点である。
【0031】
統合的な車載ECU2は、例えばヴィークルコンピュータ等の中央制御装置である。統合的な車載ECU2は、個別的な車載ECU2等の他の車載ECU2を介して中継された車載機器3からのデータに基づき、個々の車載機器3への制御信号を生成及び出力する。統合的な車載ECU2は、他の車載ECU2から出力される要求信号等の情報又はデータに基づき、当該要求信号の対象となるアクチュエータ30を制御するための制御信号を生成し、生成した制御信号を他の車載ECU2に出力する。
【0032】
上述のように統合的な車載ECU2は、第1中継装置21としても機能する。図1において第1中継装置21には、第2中継装置22として機能する車載ECU2が2つ接続されている。第1中継装置21は、2つの第2中継装置22の間の通信を中継する。また第1中継装置21は、異なる第2中継装置22に接続された車載機器3の間の通信を中継する。詳しくは、第1中継装置21は、一方の第2中継装置22に接続された車載機器3と、他方の第2中継装置22に接続された車載機器3との間の通信を中継する。なお第1中継装置21に接続される第2中継装置22の個数は2つに限定されない。例えば、第1中継装置21に3つ以上の第2中継装置22が接続されてもよい。
【0033】
本実施形態において車載システムSは、統合的な車載ECU2及び個別的な車載ECU2によって構成されるが、車載システムSは、統合的な車載ECU2及び個別的な車載ECU2による構成に限定されない。例えば車載システムSは、車載ECU2とは別個に設けられたCAN(Controller Area Network)ゲートウェイ又はイーサネットスイッチ等の中継装置によってピアツーピアに接続された複数の車載ECU2によって構成されるものであってもよい。
【0034】
図2は、車載ECU2の構成を例示するブロック図である。車載ECU2は、制御部200、記憶部201及び車内通信部202を備える。制御部200は、CPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理装置、CPU又はMPUと中継処理を行うイーサネットスイッチIC(Integrated Circuit)との組み合わせ、あるいは、演算処理機能を備えたイーサネットスイッチIC等によって構成される。制御部200は、記憶部201に予め記憶された制御プログラムP及びデータを読み出して実行することにより、種々の制御処理及び演算処理等を行うようにしてある。例えば制御部200は、シングルコアのシングルCPU、シングルコアのマルチCPU、マルチコアのシングルCPU、及びマルチコアのマルチCPUを含む。制御部200は、CPU等のソフトウェア処理を行うソフトウェア処理部のみに限定されず、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はSoC(System on a Chip)等のハードウェア処理にて種々の制御処理及び演算処理等を行うハードウェア処理部を含むものであってもよい。
【0035】
記憶部201は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリ素子又は、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子によって構成される。記憶部201は、上記の揮発性のメモリ素子及び不揮発性のメモリ素子等の記憶デバイスの組み合わせにより構成されてもよい。記憶部201には、制御プログラムP及び処理時に参照するデータが予め記憶してある。制御プログラムPは、プログラムに相当する。
【0036】
なお記憶部201に記憶された制御プログラムPは、車載ECU2が読み取り可能な記録媒体1から読み出された制御プログラムPを記憶したものであってもよい。また記憶部201に記憶された制御プログラムPは、車載ECU2が図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから制御プログラムPをダウンロードし、記憶部201に記憶させたものであってもよい。
【0037】
車内通信部202は、例えばCAN(Controller Area Network)又はイーサネット(Ethernet/登録商標)の通信プロトコルを用いた入出力インターフェイスである。制御部200は、車内通信部202を介して車内ネットワーク4に接続されている他の車載ECU2と相互に通信する。例えば車載ECU2は、複数の車内通信部202を備えていてもよい。複数の車内通信部202それぞれは、車内ネットワーク4を介して他の車載ECU2と接続される。
【0038】
以下、第1中継装置21として機能する車載ECU2の制御部200、記憶部201、及び車内通信部202を、第1中継装置21の制御部200、第1中継装置21の記憶部201、及び第1中継装置21の車内通信部202とも称する。以下、第2中継装置22として機能する車載ECU2の制御部200、記憶部201、及び車内通信部202を、第2中継装置22の制御部200、第2中継装置22の記憶部201、及び第2中継装置22の車内通信部202とも称する。
【0039】
例えば、第2中継装置22として機能する車載ECU2は、車載機器3と通信するための図示しない入出力インターフェイスを備えている。車載機器3と通信するための入出力インターフェイスには、例えばシリアルケーブルを介して車載機器3が接続される。
【0040】
例えば、車載ECU2は、他の車載ECU2又は車載機器3との接続のための図示しない接続ポートを備える。接続ポートは、車内通信部202に含まれてもよく、車載機器3と通信するための入出力インターフェイスに含まれてもよい。例えば接続ポートは、既存の車載機器3との接続のための既存接続ポートと、追加の車載機器3との接続のための追加接続ポートとを含む。追加接続ポートは、例えばUSB(Universal Serial Bus)の規格に対応している。既存接続ポートがUSBの規格に対応していてもよい。なお接続ポートは、USB以外の規格に対応していてもよい。即ち接続ポートが対応している規格はUSBの規格に限定されない。
【0041】
車内ネットワーク4においては、イーサネットケーブル、CANバス、又はシリアルケーブル等の通信線を介して車載ECU2、及び車載機器3を含む車載装置が接続される。本実施形態においては、車内ネットワーク4を介した通信にイーサネットの通信プロトコルが用いられる例を説明するが、車内ネットワーク4を介した通信に用いられる通信プロトコルはイーサネットに限定されず、例えばCAN又はLIN(Local Interconnect Network)でもよい。
【0042】
例えば、車両Cに追加の車載機器3が搭載される際、当該追加の車載機器3は、第2中継装置22の追加接続ポートに接続される。追加の車載機器3が接続された際、第2中継装置22の制御部200は、第1中継装置21と通信し、第1中継装置21の制御部200に上記の追加の車載機器3に対する認証を行う。言い換えると第1中継装置21の制御部200は、車両Cに新たに搭載される車載機器3の認証を行う。例えば車載機器3に対する認証は、車載機器3の情報、例えばMACアドレス及びシリアル番号を第1中継装置21の記憶部201に記憶させることを含む。以下、2つの第2中継装置22のうち、一方の第2中継装置22に追加の車載機器3が接続される例を説明する。この例において他方の第2中継装置22には、既存の車載機器3が接続されている。
【0043】
例えば第2中継装置22の制御部200は、当該第2中継装置22(自装置)の追加接続ポートに車載機器3が接続された際、接続された車載機器3に対する認証が必要であると判断する。認証の要否を判断する方法は、追加接続ポートへの接続に基づく判断に限定されない。例えば、認証が不要である車載機器3の情報が、車両Cに搭載された少なくとも1つの車載ECU2の記憶部201に予め記憶してあってもよい。第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22に接続された車載機器3の情報が、認証が不要である車載機器3の情報に含まれていない場合に、上記の接続された車載機器3に対する認証が必要と判断してもよい。認証が不要である車載機器3は、例えば車両Cを製造するメーカーによって予め検査及び認証の少なくとも一方が行われている車載機器3を含む。本実施形態において、認証が不要である車載機器3は、既存の車載機器3である。認証が必要である車載機器3は、追加の車載機器3である。
【0044】
車載機器3の認証において、第2中継装置22の制御部200は、第1中継装置21と車載機器3との間において、認証のための通信データである認証通信データを中継する。詳しくは第2中継装置22の制御部200は、当該第2中継装置22に接続された追加の車載機器3から認証通信データを受信(取得)し、受信した認証通信データを第1中継装置21へ中継(送信)する。また第2中継装置22の制御部200は、認証通信データを第1中継装置21から受信し、受信した認証通信データを接続された追加の車載機器3へ中継する。認証通信データは、認証のための情報である認証用情報であり、例えば認証のための通信フレームである認証フレームを含む。
【0045】
第1中継装置21の制御部200は、第2中継装置22から中継される認証通信データを受信する。また第1中継装置21の制御部200は、第2中継装置22を介して追加の車載機器3へ認証通信データを送信する。第1中継装置21は、車両Cに搭載される車載機器3の認証を管理する認証サーバとして機能する。例えば第1中継装置21の制御部200は、車載機器3の認証の完了後、車載機器3の認証が完了した旨を示す情報を第2中継装置22へ出力し、車載機器3の認証が完了した旨を第2中継装置22に通知する。
【0046】
第1中継装置21及び追加の車載機器3の間において第2中継装置22を介した認証通信データの送受信は、第1中継装置21による追加の車載機器3の認証が完了するまで繰り返し行われる。言い換えると第2中継装置22が行う認証通信データの中継は、認証が完了するまで繰り返し行われる。従って第2中継装置22が行う認証通信データの中継には、第2中継装置が認証通信データを送受信する複数のシーケンスが含まれる。なお認証通信データの中継は、認証が完了する前に行われる。認証が完了する前とは、例えば認証が開始される時点から認証が完了する時点までの期間を含む。
【0047】
例えば、接続された車載機器3の認証が完了する前であることを示す認証前フラグが、第2中継装置22の記憶部201に記憶されている。認証前フラグは、オン状態及びオフ状態を含む。認証前フラグがオン状態である場合、認証は完了していない。即ち認証は完了前である。オン状態である認証前フラグは、接続された車載機器3の認証が完了していないことを示す。認証前フラグがオフ状態である場合、認証は完了している。オフ状態である認証前フラグは、接続された車載機器3の認証が完了していることを示す。第2中継装置22に複数の車載機器3が接続されている場合、認証前フラグは、第2中継装置22に接続された複数の車載機器3それぞれに対して設けられていてもよい。
【0048】
車内ネットワーク4では、例えば車内ネットワーク4を構成する任意の車載機器3が他の車載機器3及び車載ECU2の少なくとも一方との間でサービス通信データの送受信を行えるようにするため、第1中継装置21及び第2中継装置22の少なくとも一方に対して車内ネットワーク4の設定を行う仕組みが導入される。詳しくは、認証が完了する前において第2中継装置22の制御部200は、上述の認証通信データの中継と並行して、第1中継装置21及び追加の車載機器3と後述の車内ネットワーク4の設定に関する通信データの送受信を行う。例えば第2中継装置22の制御部200は、第1中継装置21又は追加の車載機器3から送信される車内ネットワーク4の設定に関する通信データを受信する。また第2中継装置22の制御部200は、第1中継装置21又は追加の車載機器3へ車内ネットワーク4の設定に関する通信データを送信する。なお第2中継装置22の制御部200が認証通信データの中継と並行して、車内ネットワーク4の設定に関する通信データの送受信を並行して行うことは、認証通信データの中継に関する上述の複数のシーケンスが実行される期間と、車内ネットワーク4の設定に関する通信データの送受信が実行される期間とが重なることを意味する。
【0049】
認証が完了する前において第2中継装置22の制御部200は、認証通信データ及び車内ネットワーク4の設定に関する通信データ以外の通信データの中継及び送受信を、認証を要する車載機器3と行わない。即ち、認証が完了する前において第2中継装置22の制御部200は、認証を要する車載機器3との通信を制限する。なお認証を要する車載機器3は、追加の車載機器3である。例えば、第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22(自装置)に設けられた接続ポートのうち、追加接続ポートに対してフィルタを設定することによって、第2中継装置22に接続された認証を要する車載機器3との通信を制限する。接続ポートにおけるフィルタの設定には、例えばアクセスコントロールリスト(ACL/Access Control List)等が用いられる。
【0050】
第2中継装置22は、上記のフィルタの設定によって、第2中継装置22に接続された追加の車載機器3が送信元又は送信先である認証通信データ、及び車内ネットワーク4の設定に関する通信データを通過させる。第2中継装置22は、上記のフィルタの設定によって、第2中継装置22に接続された追加の車載機器3が送信元又は送信先の通信データであって、認証通信データ、及び車内ネットワーク4の設定に関する通信データ以外の通信データを通過させない。なお通信データの通過は、通信データの送信、受信及び中継を含む。
【0051】
認証が不要である車載機器3、例えば既存の車載機器3が第2中継装置22に接続されている場合、第2中継装置22の制御部200は、既存の車載機器3との通信を制限しない。第2中継装置22は、第2中継装置22に接続された既存の車載機器3が送信元又は送信先の通信データを通過させる。即ち第2中継装置22は、第2中継装置22に接続された既存の車載機器3が送信元又は送信先の通信データを中継及び送受信する。
【0052】
車内ネットワーク4の設定に関する通信データは、車内ネットワーク4の設定のための通信データである。車内ネットワーク4の設定に関する通信データは、設定データに相当する。車内ネットワーク4の設定に関する通信データは、アドレス解決に関する情報であるアドレス解決用情報を含む。アドレス解決は、第1中継装置21,第2中継装置22、又は車載機器3のMACアドレスの特定を含む。またアドレス解決は、追加の車載機器3に対するIPアドレス等のアドレスの付与を含む。アドレスの付与は、アドレスの割り当てとも称される。
【0053】
例えば、第2中継装置22がアドレスの発行及び付与を行うDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバとして機能する場合を考える。追加の車載機器3は、第2中継装置22と接続された後、アドレスの付与を要求する旨を示すアドレス要求を第2中継装置22へ出力する。第2中継装置22の制御部200は、追加の車載機器3から出力されたアドレス要求を取得し、追加の車載機器3に付与するアドレスを発行する。第2中継装置22の制御部200は、発行したアドレスを追加の車載機器3へ送信する。追加の車載機器3にIPアドレスが付与される。言い換えるとアドレス解決が完了する。このとき、アドレス要求、及び発行されたアドレスは、アドレス解決用情報に含まれる。また、第2中継装置22と車載機器3とが通信を行う上で互いのMACアドレスが不明である場合に、ARP(Address Resolution Protocol)等によるMACアドレスの解決が行われる場合がある。このように、アドレス解決用情報には、車載機器3のMACアドレスを特定するための情報が含まれてもよい。なお第1中継装置21がDHCPサーバとして機能してもよい。
【0054】
車内ネットワーク4の設定に関する通信データは、アドレス解決用情報に加えて、宛先情報、宛先情報群、及びサービス解決用情報を含む。サービスは、車載機器3が機能を提供することであり、例えばアクチュエータ30の駆動、及びセンサ31による検出を含む。サービス解決は、車載機器3が機能の提供を開始するための準備を含む。サービス解決用情報は、車載機器3が機能の提供(サービス)を開始するための情報である。サービス解決用情報は、車載機器3から送信される。サービス解決用情報は、例えば車載機器3を制御するためのデバイスドライバを含む。サービス解決が完了した際、車載機器3は機能の提供を開始できる状態になる。
【0055】
ノードは車内ネットワーク4を構成する各車載装置を含む。本実施形態においては、第1中継装置21、第2中継装置22、及び車載機器3がノードに含まれる。宛先情報は、各ノードと通信を行うための情報である。例えば宛先情報は、イーサネットスイッチ番号、ノードが接続された接続ポートの物理ポート番号、ノードのMACアドレス、ノードのIPアドレス、及びノードのシリアル番号を含む。宛先情報は、いわゆるノード情報である。
【0056】
第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22に接続された車載機器3から当該車載機器3の宛先情報を取得する。詳しくは、第2中継装置22に既存の車載機器3が接続されている場合、第2中継装置22の制御部200は、接続されている既存の車載機器3の宛先情報を取得する。第2中継装置22に追加の車載機器3が接続されている場合、第2中継装置22の制御部200は、接続されている追加の車載機器3の宛先情報を取得する。第2中継装置22に既存の車載機器3及び追加の車載機器3が接続されている場合、第2中継装置22の制御部200は、接続されている既存の車載機器3及び追加の車載機器3の宛先情報を取得する。
【0057】
第2中継装置22の制御部200は、取得した車載機器3の宛先情報と、第2中継装置22(自装置)の宛先情報とを含む宛先情報群を生成する。宛先情報群は、車内ネットワーク4を構成するための情報であり、宛先情報に基づき生成される。例えば宛先情報群には、複数の宛先情報が含まれる。
【0058】
図3は、宛先情報群の内容例を示す概念図である。例えば宛先情報群には、宛先情報がノードごとに格納される。図3の宛先情報群には、ノード(車載ECU2及び車載機器3)の装置名、接続するイーサネットスイッチ番号、当該イーサネットスイッチの物理ポート番号、当該ノードのMACアドレス、IPアドレス、及びシリアル番号が関連付けられて格納されている。詳しくは図3の宛先情報群は、装置名列、イーサネットスイッチ番号列、物理ポート番号列、MACアドレス列、IPアドレス列、及びシリアル番号列を含む。上記のイーサネットスイッチICがイーサネットスイッチに相当する。本実施形態においてイーサネットスイッチICは制御部200に含まれているが、イーサネットスイッチICは、制御部200に含まれていなくてもよい。例えば、制御部200を構成するCPU又はMPUと、イーサネットスイッチIC(イーサネットスイッチ)とが個別に設けられていてもよい。この場合、制御部200はイーサネットスイッチIC(イーサネットスイッチ)に中継処理を行わせる。
【0059】
図3の宛先情報群において、装置名列には、第2中継装置22、アクチュエータ30、及びセンサ31の3つの車載装置の装置名が格納される。イーサネットスイッチ番号列には、第2中継装置22(第2中継装置22の制御部200)、アクチュエータ30、及びセンサ31それぞれが接続するイーサネットスイッチ番号が格納される。物理ポート番号列には、第2中継装置22(第2中継装置22の制御部200)が接続された上記のイーサネットスイッチの接続ポート、アクチュエータ30が接続された上記のイーサネットスイッチの接続ポート、及びセンサ31が接続された上記のイーサネットスイッチの接続ポートそれぞれの物理ポート番号が格納される。
【0060】
MACアドレス列には、第2中継装置22(第2中継装置22の制御部200)、アクチュエータ30、及びセンサ31それぞれに割り当てられたMACアドレスが格納されている。IPアドレス列には、第2中継装置22、アクチュエータ30、及びセンサ31それぞれに割り当てられたIPアドレスが格納されている。シリアル番号列には、第2中継装置22、アクチュエータ30、及びセンサ31それぞれのシリアル番号が格納されている。
【0061】
第2中継装置22の制御部200は、取得した車載機器3の宛先情報と、第2中継装置22の宛先情報とに基づき生成した宛先情報群を、第1中継装置21へ出力する。なお車載機器3の宛先情報の取得と、宛先情報群の生成及び出力とは、上述の認証が完了する前に行われる。また、第2中継装置22の制御部200は、車載機器3から送信されるサービス解決用情報を第1中継装置21へ中継する。サービス解決用情報の中継は、上述の認証が完了する前に行われる。
【0062】
第1中継装置21の制御部200は、第2中継装置22から出力される宛先情報群及びサービス解決用情報を取得する。第1中継装置21の制御部200は、取得した宛先情報群及びサービス解決用情報に基づき、車内ネットワーク4の設定を示す設定情報を生成する。生成された設定情報は、第1中継装置21、第2中継装置22、既存の車載機器3、及び追加の車載機器それぞれをノードとして含む車内ネットワーク4の設定を示す。例えば設定情報は、第1中継装置21及び第2中継装置22において、車内ネットワーク4を介した通信及び当該通信の中継を行うにあたり用いられる経路情報と、当該通信の優先制御に関する情報との少なくとも一方を含む。経路情報は、いわゆるルーティングテーブルである。
【0063】
第1中継装置21には、複数の第2中継装置22が接続されている。第1中継装置21の制御部200は、これら複数の第2中継装置22それぞれから出力される宛先情報群それぞれを取得する。宛先情報群には、個々の第2中継装置22の車内通信部202と、当該車内通信部202に接続される車載機器3との関連付けに関する情報が含まれている。また、第1中継装置21の制御部200は、第1中継装置21の車内通信部202と、当該車内通信部202に接続される個々の第2中継装置22との関連付けに関する情報を含む宛先情報群を生成する。第1中継装置21の制御部200によって生成される宛先情報群は、例えば第1中継装置21の宛先情報、及び第1中継装置21に接続される第2中継装置22の宛先情報を含む。なお以降の説明において第1中継装置21の制御部200による宛先情報群の生成についての記載は省略してある。
【0064】
第1中継装置21の制御部200は、生成した宛先情報群に含まれる関連付けに関する情報と、第2中継装置22から取得した宛先情報群に含まれる関連付けに関する情報とのイーサネットスイッチ番号及び物理ポート番号に基づき、車載機器3それぞれが、どの第2中継装置22における車内通信部202に接続されているかを抽出する。第1中継装置21の制御部200は、車内ネットワーク4におけるノードに相当する車載機器3の個数と、当該車載機器3が直接接続される第2中継装置22の通信部を特定し、第2中継装置22と車載機器3との接続関係に基づく経路情報を導出する。第1中継装置21の制御部200は、車載機器3のシリアル番号等の当該車載機器3の仕様型式に関する属性情報、及び車載機器3のサービス解決用情報に基づき、車内ネットワーク4の所要経路と、各経路の所要帯域幅又は所要スループット量に応じた通信優先度等に関する設定値を導出する。第1中継装置21の制御部200は、導出したこれら経路情報及び設定値により、車内ネットワーク4の設定を示す設定情報を生成する。第1中継装置21の制御部200は、生成した設定情報を第1中継装置21の記憶部201に記憶する。
【0065】
第1中継装置21の制御部200は、今回取得した宛先情報群及び車載機器3のサービス解決用情報に基づき、前回使用した設定情報、又は初期値として用意された設定情報を更新することにより、今回使用する設定情報を生成するものであってもよい。例えば、車内ネットワーク4の利用形態に応じた複数の設定情報が予め用意されており、制御部200は、今回取得した宛先情報群に応じて、複数の設定情報から、いずれかの設定情報を選択することにより、今回使用する設定情報を生成するものであってもよい。すなわち、設定情報の生成は、宛先情報群及び車載機器3のサービス解決用情報に基づき一から生成することに加え、既にある設定情報の更新、及び予め用意された複数の設定情報うちのいずれかの設定情報を選択することを含む。
【0066】
例えば第1中継装置21の制御部200は、設定情報の生成において、取得した宛先情報群を第1中継装置21と通信可能に接続される図示しない外部サーバへ送信してもよい。外部サーバは、第1中継装置21から送信された宛先情報群に応じた設定情報を第1中継装置21へ送信する。第1中継装置21の制御部200は、外部サーバから送信された設定情報を取得する。
【0067】
第1中継装置21の制御部200は、生成した設定情報を第2中継装置22へ出力する。第1中継装置21の制御部200による設定情報の生成及び出力は、例えば認証が完了する前に行われる。第2中継装置22の制御部200は、認証が完了する前に、第1中継装置21から出力された設定情報を取得する。第2中継装置22の制御部200は、設定情報の取得後、認証が完了するまで待機する。第2中継装置22の制御部200は、認証の完了後、取得した設定情報を第2中継装置22に適用する。例えば第2中継装置22の制御部200は、第1中継装置21から取得した設定情報には追加の車載機器3との通信の制限を解除するフィルタの設定が含まれるが通信の制限を解除するフィルタの設定以外にも経路や通信の優先制御に関する設定も含まれるため、取得した上記の設定情報に基づき、第2中継装置22の接続ポートにおける上記のフィルタの設定を変更する。言い換えると第2中継装置22の制御部200は取得した設定情報に基づきフィルタを設定する。例えば第2中継装置22におけるフィルタの設定の変更によって、第2中継装置22の制御部200は、追加の車載機器3との通信の制限を解除する。なお第2中継装置22の制御部200は、認証が完了した後に、予め第2中継装置22の制御部200に設定されている条件に従い車載機器3との通信の制限を解除するフィルタの設定を行ってもよい。
【0068】
第2中継装置22の制御部200は設定情報を第2中継装置22に適用することによって、設定情報に基づく車内ネットワーク4を車両Cにおいて設定する。詳しくは車両Cにおいて第1中継装置21、第2中継装置22,既存の車載機器3,及び追加の車載機器3それぞれをノードとして含む車内ネットワーク4が設定される。上記の設定情報が車内ネットワーク4に反映される。第2中継装置22の制御部200は、車内ネットワーク4の設定が完了した後、車内ネットワーク4の設定が完了した旨を示す設定完了情報を、第1中継装置21へ出力する。
【0069】
第2中継装置22の制御部200は、認証の完了後に、取得した設定情報に基づく中継を開始する。言い換えると第2中継装置22の制御部200は、認証の完了後に、取得した設定情報に基づく通信を行う。例えば上記の車内ネットワーク4の設定後、第2中継装置22における追加の車載機器3との通信の制限は上述のように解除されるので、第2中継装置22と接続された追加の車載機器3が送信元又は送信先の通信データは、制限されずに第2中継装置22を通過する。
【0070】
例えば第2中継装置22の制御部200は、認証の完了後、車載機器3から送信されるサービス通信データを受信する。また第2中継装置22の制御部200は、認証の完了後、車載機器3へサービス通信データを送信する。サービス通信データは、車載機器3が機能を提供するための通信データであり、アクチュエータ30を駆動させるための駆動信号、及びセンサ31の検出値等のサービスに関する情報を含む。
【0071】
例えば、第2中継装置22に既存の車載機器3と追加の車載機器3とが接続されている場合、第2中継装置22は、上記の車内ネットワーク4の設定後、既存の車載機器3が送信元又は送信先の通信データと、追加の車載機器3が送信元又は送信先の通信データとを通過させる。
【0072】
第2中継装置22の制御部200は、認証の完了後においても、車載機器3の宛先情報を取得し、取得した車載機器3の宛先情報に基づき生成した宛先情報群を、第1中継装置21へ出力してもよい。第1中継装置21の制御部200は、第2中継装置22から出力される宛先情報群を取得する。第1中継装置21の制御部200は、取得した宛先情報群が更新されている場合、取得した宛先情報群に基づき新たな設定情報を生成する。第1中継装置21の制御部200は、生成した新たな設定情報を第2中継装置22へ出力する。第2中継装置22の制御部200は、第1中継装置21から出力された新たな設定情報を取得し、当該新たな設定情報に基づき通信を行う。認証の完了後に宛先情報が変更された場合であっても、変更された宛先情報に応じた車内ネットワーク4を設定することができる。
【0073】
図4は、車載機器3の認証、及び車内ネットワーク4の設定の一態様を示すシーケンス図である。図4において車載機器3の認証に係る処理、及び車内ネットワーク4の設定に係る処理について、第1中継装置21、第2中継装置22、及び車載機器3を含むシーケンス図を用いて説明する。
【0074】
図4の例においては、2つの第2中継装置22のうち、一方の第2中継装置22に追加の車載機器3が接続される。2つの第2中継装置22のうち、他方の第2中継装置22に既存の車載機器3が接続される。図4において、一方の第2中継装置22は第2中継装置22と示してある。他方の第2中継装置22は、車載機器3の認証を行わない第2中継装置22と示してある。図4においては説明を簡便にするために、追加の車載機器3が1つにまとめて示してある。既存の車載機器3の図示は省略してある。以下、ステップをSと省略する。
【0075】
例えば、車両Cに設けられた図示しないIG(イグニッション)スイッチが停止状態である際に、追加の車載機器3が第2中継装置22に接続される。IGスイッチが停止状態から起動状態に遷移した際、第1中継装置21、第2中継装置22、及び車載機器3は起動する。
【0076】
第2中継装置22には追加の車載機器3が接続されているので、第2中継装置22は上述のように、認証を要する車載機器3と接続されていると判断する。追加の車載機器3の認証が開始される。第2中継装置22は、接続ポートに追加の車載機器3に対する認証のためのフィルタを設定する(S11)。詳しくは、第2中継装置22は追加の車載機器3が送信元又は送信先である認証通信データ、及び車内ネットワーク4の設定に関する通信データの2つの種類の通信データを通過させ、当該2つの種類の通信データ以外の通信データを通過させないように、接続ポートにフィルタの設定を行う。追加の車載機器3との通信は上述のように制限される。
【0077】
追加の車載機器3は、当該追加の車載機器3の認証のために、認証通信データを第2中継装置22へ出力する(S12)。第2中継装置22は、追加の車載機器3から出力された認証通信データを取得し、取得した認証通信データを第1中継装置21へ中継する(S13)。第1中継装置21は、中継された認証通信データを取得し、取得した認証通信データに基づき認証のための各種処理を行う。また第1中継装置21は、認証通信データを第2中継装置22へ出力する(S14)。例えば第1中継装置21が出力する認証通信データは、追加の車載機器3から出力された認証通信データに対する応答のための通信データを含む。第2中継装置22は、第1中継装置21から出力された認証通信データを取得し、取得した認証通信データを追加の車載機器3へ中継する(S15)。
【0078】
認証が完了するまで、第1中継装置21と追加の車載機器3との間において、第2中継装置22を介した認証通信データの送受信が繰り返される。言い換えると第2中継装置22は、認証が完了するまで第1中継装置21と追加の車載機器3との間において、認証通信データを中継する。
【0079】
車載機器3の認証を行わない第2中継装置22は、車載機器3の認証を行わない第2中継装置22の宛先情報と、車載機器3の認証を行わない第2中継装置22に接続された既存の車載機器3の宛先情報とを含む宛先情報群を、第1中継装置21へ出力する(S16)。また車載機器3の認証を行わない第2中継装置22は、車載機器3の認証を行わない第2中継装置22に接続された既存の車載機器3から送信されたサービス解決用情報を、第1中継装置21へ出力する(S17)。第1中継装置21は、車載機器3の認証を行わない第2中継装置22から出力された宛先情報群、及びサービス解決用情報を取得する。
【0080】
追加の車載機器3は、当該追加の車載機器3の認証の完了後に第2中継装置22へアドレス解決用情報を出力する(S18)。例えば追加の車載機器3は、アドレス要求を第2中継装置22へ出力する。第2中継装置22は、追加の車載機器3から出力されるアドレス解決用情報を取得する。第2中継装置22は、追加の車載機器3へアドレス解決用情報を出力する(S19)。例えば第2中継装置22が出力するアドレス解決用情報は、追加の車載機器3から出力されたアドレス解決用情報に対する応答のための通信データを含む。例えば第2中継装置22は、追加の車載機器3に対して発行するアドレスを、追加の車載機器3へ出力する。
【0081】
追加の車載機器3は、第2中継装置22へ当該追加の車載機器3の宛先情報、いわゆる自ノード情報を出力する(S20)。また追加の車載機器3は、第2中継装置22へサービス解決用情報を出力する(S21)。
【0082】
第2中継装置22は、追加の車載機器3から出力される当該追加の車載機器3の宛先情報、及びサービス解決用情報を取得する。第2中継装置22は、取得したサービス解決用情報を第1中継装置21へ中継する(S22)。また第2中継装置22は、取得した追加の車載機器3の宛先情報と、第2中継装置22の宛先情報とを含む宛先情報群を生成する(S23)。言い換えると第2中継装置22は、取得した追加の車載機器3の宛先情報と、第2中継装置22の宛先情報とに基づき宛先情報群を生成する。第2中継装置22は、生成した宛先情報群を第1中継装置21へ出力する(S24)。
【0083】
第1中継装置21は、第2中継装置22から出力された宛先情報群を取得する。第1中継装置21は、取得した宛先情報群に基づき設定情報を生成する(S25)。詳しくは、第1中継装置21は、第2中継装置22から取得した宛先情報群及びサービス解決用情報と、車載機器3の認証を行わない第2中継装置22から取得した宛先情報群及びサービス解決用情報とに基づき設定情報を生成する。言い換えると第1中継装置21は、2つの宛先情報群及びサービス解決用情報に基づき車内ネットワーク4の設定に関する検討を行う。例えば第1中継装置21は、当該第1中継装置21の記憶部201に予め記憶された複数の設定情報のうち、取得した宛先情報群及びサービス解決用情報に応じた設定情報を選択する。第1中継装置21は、生成した設定情報を、追加の車載機器3と接続された第2中継装置22へ出力する(S26)。第1中継装置21は、生成した設定情報を、追加の車載機器3と接続された第2中継装置22と、車載機器3の認証を行わない第2中継装置22とへ出力してもよい。
【0084】
第2中継装置22は、第1中継装置21から出力された設定情報を取得し、認証の完了を待つ。詳しくは、第2中継装置22は、当該第2中継装置22に接続された全ての追加の車載機器3における認証の完了を待つ。第2中継装置22は、認証が完了するまで、認証通信データの中継を行う。例えば、追加の車載機器3は、認証通信データを第2中継装置22へ出力する(S27)。第2中継装置22は、追加の車載機器3から出力された認証通信データを取得し、取得した認証通信データを第1中継装置21へ中継する(S28)。第1中継装置21は、認証通信データを第2中継装置22へ出力する(S29)。第2中継装置22は、第1中継装置21から出力された認証通信データを取得し、取得した認証通信データを追加の車載機器3へ中継する(S30)。
【0085】
第1中継装置21と追加の車載機器3との間において、第2中継装置を介して認証通信データが送受信されることによって、追加の車載機器3の認証が完了する。認証の完了後、第2中継装置22は、第1中継装置21から取得した設定情報を第2中継装置(自装置)に適用することによって、車両Cに、追加の車載機器3がノードとして追加された車内ネットワーク4を設定する(S31)。第2中継装置22による設定情報の適用は、第2中継装置が当該第2中継装置の接続ポートにおけるフィルタの設定を、設定情報に応じた設定に変更することを含むため、追加の車載機器3との通信の制限は解除される。なお図4においては、車内ネットワーク4は、車内NW(Network)と記載してある。
【0086】
第2中継装置は、車内ネットワーク4の設定が完了した旨を示す設定完了信号を第1中継装置21へ出力し(S32)、車内ネットワーク4の設定が完了した旨を第1中継装置21に通知する。
【0087】
追加の車載機器3との通信の制限は解除されたので、第2中継装置は、サービス通信データを追加の車載機器3へ出力する(S33)。また第2中継装置は、追加の車載機器3から出力されるサービス通信データを受信する。第2中継装置は、第1中継装置21から出力されたサービス通信データを追加の車載機器3へ中継してもよく、追加の車載機器3から出力されたサービス通信データを第1中継装置21へ中継してもよい。
【0088】
上述のように第2中継装置は、認証の完了後、第1中継装置21から取得した設定情報に基づく車内ネットワーク4を介して通信を行う。即ち第2中継装置は、第1中継装置21から取得した設定情報に基づく通信を、認証の完了後に行う。第2中継装置は、認証通信データ及び車内ネットワーク4の設定に関する通信データに加えて、追加の車載機器3が送信元又は送信先であって、認証通信データ及び車内ネットワーク4の設定に関する通信データ以外の通信データ、例えばサービス通信データの中継及び送受信を行う。
【0089】
認証が開始される時点から認証が完了する時点までの間に、認証通信データは複数回、送受信される。認証が開始される時点から認証が完了する時点までの間において、アドレス解決が完了するまでにアドレス解決用情報が複数回、送受信されてもよい。例えばアドレス解決は、認証が開始される時点から認証が完了する時点までの間に完了する。認証が開始される時点から認証が完了する時点までの間において、宛先情報、宛先情報群、及びサービス解決用情報の少なくとも1つが複数回、送受信されてもよい。例えば認証が開始される時点から認証が完了する時点までの間において、サービス解決が完了するまでにサービス解決用情報が複数回、送受信されてもよい。例えばサービス解決は、認証が開始される時点から認証が完了する時点までの間に完了する。
【0090】
例えば、認証の完了後において、車載機器3は定期的に、例えば一定の周期にて宛先情報を出力する。認証の完了後において、第2中継装置22は、定期的に出力される宛先情報を取得するごとに、取得した宛先情報及び第2中継装置22の宛先情報を含む宛先情報群を第1中継装置21へ出力する。言い換えると第2中継装置22は、定期的に宛先情報群を第1中継装置21へ出力する。第2中継装置22は、定期的に出力される宛先情報を取得し、取得した宛先情報が前回に取得した宛先情報から変化している場合に、取得した宛先情報及び第2中継装置22の宛先情報を含む宛先情報群を第1中継装置21へ出力してもよい。なお、認証の完了前において、車載機器3が定期的に宛先情報を出力してもよい。認証の完了前において、第2中継装置22が定期的に宛先情報群を出力してもよい。
【0091】
第1中継装置21は、認証の完了後においても第2中継装置22から出力される宛先情報群を取得し、取得した宛先情報群に基づき設定情報を生成する。第1中継装置21は生成した設定情報を第2中継装置22へ出力する。第2中継装置22は第1中継装置21から出力された設定情報を適用する。認証の完了後において宛先情報が変化した場合であっても、変化した宛先情報に応じた車内ネットワーク4を設定することができる。
【0092】
図5は、第2中継装置22の制御部200が行う車載機器3の認証、及び車内ネットワーク4の設定に係る処理を例示するメインルーチンのフローチャートである。図6は、設定変更処理のサブルーチンに係る第2中継装置22の制御部200の処理手順を例示するフローチャートである。図7は、受信処理及び中継処理のサブルーチンに係る第2中継装置22の制御部200の処理手順を例示するフローチャートである。例えば第2中継装置22の制御部200は、車両CのIGスイッチが停止状態から起動状態に遷移した際、以下の処理を行う。
【0093】
図5は第2中継装置22の制御部200が行う車載機器3の認証、及び車内ネットワーク4の設定に係る処理を示す。まず、図5及び図6を用いて第2中継装置22の制御部200が行う設定変更処理のサブルーチンに係る処理について説明する。図5に示すように第2中継装置22の制御部200は、設定変更処理のサブルーチンを呼び出して実行する(S41)。図6に示すように第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22(自装置)が起動しているか否かを判定する(S411)。例えば第2中継装置22の制御部200は、設定変更処理のサブルーチンを実行するにあたって確認的に、第2中継装置22が起動しているか否かを判定する。第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22が起動していない場合(S411:NO)、再度S411の処理を行うべくループ処理を行う。当該ループ処理を行うにあたって、第2中継装置22の制御部200は所定時間の待機処理を実行してもよい。
【0094】
第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22が起動している場合(S411:YES)、第2中継装置22が送信先である通信データを受信する(S412)。例えば第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22が送信先でない通信データは受信しない、又は破棄する。
【0095】
第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22に接続された車載機器3に対する認証の要否を特定する(S413)。言い換えると第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22に接続された車載機器3に対する認証の要否を判断する。例えば第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22と第2中継装置22に接続された車載機器3との間において実行される平易な通信トランザクションに基づき、車載機器3に対する認証の要否を特定する。上記の平易な通信トランザクションは、予め規定されている。
【0096】
第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22に接続された車載機器3から出力される当該車載機器3の登録情報を取得(受信)し、取得した車載機器3の登録情報に基づき、車載機器3に対する認証の要否を特定してもよい。登録情報は、第2中継装置22に登録される情報であり、例えば車載機器3のIDナンバー等の識別子、MACアドレス、及びIPアドレスを含む。例えば車載機器3の認証が完了した際、当該車載機器3の登録情報は登録される。例えば登録情報の登録は、第2中継装置22の記憶部201に登録情報が記憶されることである。第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22に接続された車載機器3から取得した登録情報と同一の登録情報が第2中継装置22に登録されている際、認証が不要であると特定する。第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22に接続された車載機器3から取得した登録情報と同一の登録情報が第2中継装置22に登録されていない際、認証が必要であると特定する。
【0097】
第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22に接続された車載機器3に対する認証が必要であるか否かを判定する(S414)。車載機器3に対する認証が必要である場合(S414:YES)、第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22の接続ポートに対して、認証通信データと、車内ネットワーク4の設定に関する通信データとを通過させるフィルタの設定を実施する(S415)。言い換えると第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22の接続ポートに対して、認証が必要な車載機器3との通信を制限するためのフィルタを設定する。車載機器3に対する認証が必要である場合は、車載機器3に対する認証が完了していない場合を含む。第2中継装置22の制御部200は、メインルーチンへリターンする。なお、図6において車内ネットワーク4は、車内NWと記載してある。図7も同様である。
【0098】
車載機器3に対する認証が必要でない場合(S414:NO)、第2中継装置22の制御部200は、第1中継装置21から車内ネットワーク4に対して適用されていない最新の設定情報を取得しているか否かを判定する(S416)。詳しくは第2中継装置22の制御部200は、第1中継装置21から取得した設定情報のうち、最も新しく取得した設定情報が車内ネットワーク4に対して適用されていないか否かを判定する。例えば、第1中継装置21から第2中継装置22へ車内ネットワーク4に対して適用されていない最新の設定情報が送信される際、設定の変更を要求する設定変更要求が第1中継装置21から第2中継装置22へ送信される。第2中継装置22の制御部200は、第1中継装置21から送信される設定変更要求を取得した際、車内ネットワーク4に対して適用されていない最新の設定情報を取得したと判定する。なお、車載機器3に対する認証が必要でない場合には、車載機器3に対する認証が完了している場合を含む。
【0099】
第2中継装置22の制御部200は、適用されていない最新の設定情報を取得していない場合(S416:NO)、即ち最も新しく取得された設定情報が車内ネットワーク4に対して適用されている場合、再度S416の処理を行うべくループ処理を行う。当該ループ処理を行うにあたって、第2中継装置22の制御部200は、所定時間の待機処理を実行してもよい。
【0100】
第2中継装置22の制御部200は、適用されていない最新の設定情報を取得している場合(S416:YES)、即ち最も新しく取得された設定情報が車内ネットワーク4に対して適用されていない場合、以下の処理を行う。第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22の接続ポートに対して、認証通信データと、車内ネットワーク4の設定に関する通信データと、サービス通信データとを通過させるフィルタの設定を実施する(S417)。具体的には、第2中継装置22の制御部200が、適用されていない最新の設定情報を適用(設定)することで実現してもよい。言い換えると第2中継装置22の制御部200は、取得した最新の設定情報を実施してもよい。上記の設定情報には、車内ネットワーク4の設定に関する通信データと、サービス通信データとを通過させるフィルタの設定が含まれるため、第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22の接続ポートに対して、車載機器3との通信を制限しないフィルタの設定を実施することになる。第2中継装置22の制御部200は、メインルーチンへリターンする。
【0101】
図5に示すように第2中継装置22の制御部200は、処理を終了する。第2中継装置22の制御部200は、処理を終了する代わりに、再度S41の処理を行ってもよい。第2中継装置22の制御部200は、所定時間の待機処理を行った後に、再度S41の処理を行ってもよい。
【0102】
図5を用いて第2中継装置22の制御部200が行う宛先情報に係る処理について説明する。第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22に接続された車載機器3から当該車載機器3の宛先情報を取得する(S51)と、第2中継装置22の制御部200は、取得した宛先情報と、第2中継装置22の宛先情報とを含む宛先情報群を生成する(S52)。次に、第2中継装置22の制御部200は、生成した宛先情報群を第1中継装置21へ出力し(S53)、処理を終了する。第2中継装置22の制御部200は、処理を終了する代わりに、再度S51の処理を行ってもよい。第2中継装置22の制御部200は、所定時間の待機処理を行った後に、再度S51の処理を行ってもよい。例えば第2中継装置22の制御部200は再度S51の処理を行うことによって、定期的に、宛先情報の取得と、宛先情報群の生成及び出力とを行う。
【0103】
図5及び図7を用いて第2中継装置22の制御部200が行う受信処理及び中継処理のサブルーチンに係る処理について説明する。図5に示すように第2中継装置22の制御部200は、受信処理及び中継処理のサブルーチンを呼び出して実行する(S61)。図7に示すように第2中継装置22の制御部200は、通信データを受信したか否かを判定する(S611)。通信データは、イーサフレーム等の通信フレームを含む。第2中継装置22の制御部200は、通信データを受信していない場合(S611:NO)、再度S611の処理を行うべくループ処理を行う。当該ループ処理を行うにあたって、第2中継装置22の制御部200は、所定時間の待機処理を実行してもよい。
【0104】
第2中継装置22の制御部200は、通信データを受信した場合(S611:YES)、受信した通信データの種類を特定する(S612)。言い換えると第2中継装置22の制御部200は、受信した通信データの種類を確認する。例えば第2中継装置22の制御部200は、受信した通信フレームのEthertypeを特定する。第2中継装置22の制御部200は、受信した通信データの種類が認証通信データであるか否かを判定する(S613)。
【0105】
通信データの種類が認証通信データである場合(S613:YES)、第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22に接続された車載機器3の認証が完了しているか否かを判定する(S614)。例えば第2中継装置22の制御部200は、第1中継装置21から出力される車載機器3の認証が完了した旨を示す情報を取得している際、認証が完了していると判定する。第2中継装置22の制御部200は、認証が完了した旨を示す情報を取得していない際、認証が完了していないと判定する。例えば第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22に接続された車載機器3の上述の登録情報が第2中継装置22の記憶部201に記憶されている際、認証が完了していると判定してもよい。また第2中継装置22の制御部200は、上記の登録情報が第2中継装置22の記憶部201に記憶されていない際、認証が完了していないと判定してもよい。
【0106】
認証が完了していない場合(S614:NO)、第2中継装置22の制御部200は、後述のS616の処理を行う。認証が完了している場合(S614:YES)、第2中継装置22の制御部200は、認証前フラグをオフ状態に設定する(S615)。第2中継装置22の制御部200は、例えばMACアドレステーブルを参照することによって、受信した通信データの中継の可否を特定し(S616)、受信した通信データを中継可能であるか否かを判定する(S617)。言い換えると第2中継装置22の制御部200は、通信データの中継の可否を確認し、通信データを中継可能であるか否かを判定する。
【0107】
例えば、MACアドレステーブルは、第2中継装置22の記憶部201に記憶されている。MACアドレステーブルには、車両Cに搭載された第1中継装置21、第2中継装置22及び車載機器3を含む車載装置のうち、少なくも一部の車載装置のMACアドレスが格納される。またMACアドレステーブルには、第2中継装置22において他の車載装置と接続されている接続ポートのポート番号が格納される。
【0108】
例えば、第2中継装置22の制御部200は、受信した通信データを中継するための情報がMACアドレステーブルに格納されている際、受信した通信データを中継可能であると特定する。また第2中継装置22の制御部200は、中継するための情報がMACアドレステーブルに格納されていない際、受信した通信データを中継可能でないと特定する。例えば通信データを中継するための情報は、送信先情報、及び送信元情報を含む。例えば送信先情報は、通信データの送信先又は中継先の車載装置のMACアドレス、及び当該送信先又は中継先の車載装置と接続された接続ポートのポート番号を含む。例えば送信元情報は、通信データの送信元の車載装置のMACアドレス、及び当該送信元の車載装置と接続された接続ポートのポート番号を含む。
【0109】
第2中継装置22の制御部200は、受信した通信データを中継可能である場合(S617:YES)、即ち受信した通信データの送信先情報及び送信元情報の両方がMACアドレステーブルに格納されている場合、受信した通信データを中継する(S618)。言い換えると第2中継装置22の制御部200は、受信した通信データを転送する。第2中継装置22の制御部200は、メインルーチンへリターンする。
【0110】
第2中継装置22の制御部200は、受信した通信データを中継可能でない場合(S617:NO)、即ち受信した通信データの送信先情報及び送信元情報の両方がMACアドレステーブルに格納されていない場合、受信した通信データを破棄する(S619)。第2中継装置22の制御部200は、メインルーチンへリターンする。
【0111】
通信データの種類が認証通信データでない場合(S613:NO)、第2中継装置22の制御部200は、受信した通信データの種類が車内ネットワーク4の設定に関する通信データであるか否かを判定する(S620)。通信データの種類が車内ネットワーク4の設定に関する通信データである場合(S620:YES)、第2中継装置22の制御部200は、認証前フラグをオン状態に設定し(S621)、S616の処理を行う。
【0112】
通信データの種類が車内ネットワーク4の設定に関する通信データでない場合(S620:NO)、第2中継装置22の制御部200は、S619の処理を行う。通信データの種類が車内ネットワーク4の設定に関する通信データでない場合、第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22に接続された車載機器3の認証が完了しているか否かを判定してもよい。認証が完了している際、第2中継装置22の制御部200は、S616の処理を行う。認証が完了していない際、第2中継装置22の制御部200は、S619の処理を行う。
【0113】
図5に示すように、メインルーチンへリターンした第2中継装置22の制御部200は、処理を終了する。第2中継装置22の制御部200は、処理を終了する代わりに、再度S61の処理を行ってもよい。第2中継装置22の制御部200は、所定時間の待機処理を行った後に、再度S61の処理を行ってもよい。
【0114】
図5を用いて第2中継装置22の制御部200が行うサービス通信データに係る処理について説明する。第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22と接続された車載機器3へサービス通信データを出力する(S71)。詳しくは、認証が完了する前においては上述のようにフィルタの設定によって車載機器3との通信が制限されるので、認証が完了する前においてサービス通信データは出力されない。認証の完了後にサービス通信データは出力される。
【0115】
第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22と接続された車載機器3の認証が完了しているか否かを判定し、判定結果に応じてS71の処理を行ってもよい。認証が完了していない際、第2中継装置22の制御部200は、再度上記の判定を行うべくループ処理を行う。認証が完了している際、第2中継装置22の制御部200は、S71の処理を行う。なお車載機器3の認証が完了しているか否かの判定は、例えば認証前フラグに基づき行われてもよい。例えば第2中継装置22に複数の車載機器3が接続されている場合、第2中継装置22の制御部200は、接続された複数の車載機器3それぞれに対して上記の判定とS71の処理を行う。
【0116】
第2中継装置22の制御部200は、処理を終了する。第2中継装置22の制御部200は、処理を終了する代わりに、再度S71の処理を行ってもよい。第2中継装置22の制御部200は、所定時間の待機処理を行った後に、再度S71の処理を行ってもよい。
【0117】
第2中継装置22の制御部200は、S41の処理と、S51、S52及びS53の処理と、S61の処理と、S71の処理とを、並行して行う。
【0118】
図8は、第1中継装置21の制御部200が行う車内ネットワーク4の設定に係る処理を例示するフローチャートである。例えば第1中継装置21の制御部200は、車両CのIGスイッチが停止状態から起動状態に遷移した際、以下の処理を行う。
【0119】
第1中継装置21の制御部200は、第2中継装置22から出力される宛先情報群又はサービス解決用情報を取得(受信)する(S91)。詳しくは、第1中継装置21の制御部200は、第2中継装置22から出力される宛先情報群及びサービス解決用情報の少なくとも一方を取得する。従って、第1中継装置21の制御部200は宛先情報群及びサービス解決用情報の両方を取得してもよい。第1中継装置21の制御部200は、宛先情報群及びサービス解決用情報に加えて、これらの情報以外の車内ネットワーク4の設定に関する通信データを取得してもよい。
【0120】
第1中継装置21の制御部200は、取得した宛先情報群又はサービス解決用情報が更新されているか否かを判定する(S92)。例えば、第1中継装置21の制御部200は、第2中継装置22から定期的に出力される宛先情報群及びサービス解決用情報を取得する。第1中継装置21の制御部200は、最も新しく取得した宛先情報群及びサービス解決用情報と、当該宛先情報群及び当該サービス解決用情報の1つ前に取得した宛先情報群及びサービス解決用情報とのそれぞれを比較する。最も新しく取得された宛先情報群又はサービス解決用情報が1つ前に取得された宛先情報群又はサービス解決用情報から変更されている際、第1中継装置21の制御部200は、宛先情報群又はサービス解決用情報が更新されていると判定する。
【0121】
宛先情報群又はサービス解決用情報が更新されていない場合(S92:NO)、第1中継装置21の制御部200は、S91の処理を行う。宛先情報群又はサービス解決用情報が更新されている場合(S92:YES)、第1中継装置21の制御部200は、取得した宛先情報群及びサービス解決用情報に基づき設定情報を生成する(S93)。なお第1中継装置21の制御部200は、第1中継装置21が起動した際、S92の処理を省略してS93を行ってもよい。言い換えると第1中継装置21の制御部200は、第1中継装置21が起動した際、宛先情報群又はサービス解決用情報の更新の有無に関わらず、S93の処理を行ってもよい。
【0122】
例えば第1中継装置21の制御部200は、設定情報の生成において、第1中継装置21の記憶部201に予め記憶された複数の設定情報のうち、1つの設定情報を宛先情報群に基づき選択する。第1中継装置21の制御部200は、設定情報の生成において、宛先情報群を第1中継装置21と通信可能に接続される図示しない外部サーバへ送信し、送信した宛先情報群に基づく設定情報を外部サーバから取得してもよい。
【0123】
第1中継装置21の制御部200は、生成した設定情報を最新の設定情報として、第1中継装置21の記憶部201に記憶する(S94)。言い換えると第1中継装置21の制御部200は、最新の設定情報を保持する。最新の設定情報は、車内ネットワーク4に適用すべき設定情報である。
【0124】
第1中継装置21の制御部200は、第1中継装置21の記憶部201に最新の設定情報として記憶してある設定情報を第2中継装置22へ出力する(S95)。また第1中継装置21の制御部200は、設定変更要求を第2中継装置22へ出力する(S96)。例えば第1中継装置21の制御部200は、設定変更要求を付与した設定情報を第2中継装置22へ出力してもよい。第1中継装置21の制御部200は、処理を終了する。第1中継装置21の制御部200は、処理を終了する代わりに、再度S91の処理を行ってもよい。第1中継装置21の制御部200は、所定時間の待機処理を行った後に、再度S91の処理を行ってもよい。
【0125】
本実施形態において、第2中継装置22は、複数の車載機器3の間の通信、又は車載機器3と第1中継装置21との間の通信を中継する。第1中継装置21は、複数の車載機器3の間の通信を中継する。また第1中継装置21は、車載機器3の認証を行う。車載機器3の認証が完了する前において、第2中継装置22の制御部200は、認証通信データの中継と、車内ネットワーク4の設定に関する通信データの送受信とを並行して行う。第1中継装置21の制御部200は、第2中継装置22から送信される車内ネットワーク4の設定に関する通信データを取得し、取得した車内ネットワーク4の設定に関する通信データに基づく設定情報を生成する。第1中継装置21の制御部200は、生成した設定情報を第2中継装置22へ送信する。第2中継装置22の制御部200は、第1中継装置21から送信された設定情報を取得する。車載機器3に対する認証の完了後、第2中継装置22の制御部200は、取得した設定情報に基づく中継を開始する。言い換えると第2中継装置22の制御部200は、取得した設定情報を第2中継装置22に適用する。設定情報に基づく車内ネットワーク4を介した通信が開始される。第2中継装置22の制御部200は、車載機器3の認証が完了する前に、認証通信データの中継と、車内ネットワーク4の設定に関する通信データの送受信とを並行して行うので、認証の完了後に車内ネットワーク4の設定に関する通信データを第1中継装置21へ送信する場合に比べて、早く設定情報を取得することができる。従って、車載機器3の認証が必要である際に第2中継装置22は、認証の完了後に車内ネットワーク4の設定に関する通信データを第1中継装置21へ送信する場合に比べて早く、車内ネットワーク4を介した通信を開始することができる。
【0126】
第1中継装置21の制御部200は、第2中継装置22と同様に、生成された設定情報に基づく車内ネットワーク4を介して通信の中継を行う。第1中継装置21は、第2中継装置22が認証の完了後に車内ネットワーク4の設定に関する通信データを第1中継装置21へ送信する場合に比べて早く、設定情報を生成することができる。従って車載システムSにおいて第1中継装置21は、認証の完了後に車内ネットワーク4の設定に関する通信データが第1中継装置21へ送信される場合に比べて早く、車内ネットワーク4を介した通信を開始することができる。
【0127】
第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22に接続された車載機器3から当該車載機器3の宛先情報とサービス解決用情報との少なくとも一方を、車載機器3の認証が完了する前に取得する。第2中継装置22の制御部200は、取得した宛先情報及びサービス解決用情報の少なくとも一方と、第2中継装置22の宛先情報とを、車載機器3の認証が完了する前に第1中継装置21へ出力する。例えば第2中継装置22の制御部200は、取得した宛先情報と第2中継装置22の宛先情報とを含む宛先情報群と、取得したサービス解決用情報とを、車載機器3の認証が完了する前に第1中継装置21へ出力する。例えば、第2中継装置に複数の車載機器3が接続されている場合、宛先情報群は、第2中継装置の宛先情報と、第2中継装置に接続された複数の車載機器3それぞれの宛先情報とを含む。第2中継装置22の制御部200が当該第2中継装置22の宛先情報と、第2中継装置22に接続された車載機器3の宛先情報及びサービス解決用情報の少なくとも一方とを個別に第1中継装置21へ出力する場合に比べて、第1中継装置21及び第2中継装置22の間における通信の頻度を少なくすることができる。
【0128】
車両Cには既存の車載機器3が搭載されている。既存の車載機器3は、第2中継装置22と接続されている。車両Cに追加の車載機器3が搭載される際、追加の車載機器3は、第2中継装置22と接続される。例えば第2中継装置22の制御部200は、第2中継装置22に追加の車載機器3が接続された際、第1中継装置21と通信し、第1中継装置21に追加の車載機器3の認証を行わせる。認証が完了する前に第2中継装置22の制御部200は、接続された追加の車載機器3及び既存の車載機器3の車内ネットワーク4の設定に関する通信データと、第2中継装置22の車内ネットワーク4の設定に関する通信データとを第1中継装置21へ出力する。第2中継装置22の制御部200は第1中継装置21から、追加の車載機器3をノードとして含む車内ネットワーク4の設定情報を取得する。追加の車載機器3が車両Cに搭載される際に、当該追加の車載機器3をノードとして含む車内ネットワーク4を構成することができる。第2中継装置22は、第2中継装置22に追加の車載機器3が接続された際、認証の完了後に車内ネットワーク4の設定に関する通信データを第1中継装置21へ出力する場合に比べて早く、追加の車載機器3をノードとして含む車内ネットワーク4を介した通信を開始することができる。
【0129】
例えば第2中継装置22の制御部200は、車載機器3の認証を第1中継装置21に開始させた時点から所定時間が経過した場合であって、車載機器3の認証が完了していない場合、再度、第1中継装置21に車載機器3の認証を要求してもよい。上記の場合、第2中継装置22の制御部200は、所定時間が経過した場合に認証が完了していない車載機器3と接続された接続ポートに当該車載機器3との通信を行わないようにフィルタを設定し、上記の車載機器3が接続された接続ポート以外の接続ポートに設定情報に基づくフィルタの設定を行ってもよい。例えば所定時間は、予め第2中継装置22の記憶部201に記憶してある。
【0130】
第2中継装置22は第1中継装置21と車載機器3との間に介在して設けられるので、車両Cにおいて、第1中継装置21を中心とするスター状のネットワークトポロジーを形成する車内ネットワーク4を構成することができる。また、第1中継装置21を頂点とするカスケード状のネットワークトポロジーを形成する車内ネットワーク4を構成することができる。
【0131】
本実施形態において追加の車載機器3は、IGスイッチが停止状態である際に第2中継装置22に接続されるが、追加の車載機器3は、IGスイッチが起動状態である際に第2中継装置22に接続されてもよい。
【0132】
本実施形態においては追加の車載機器3に対して認証が行われるが、既存の車載機器3に対して認証が行われてもよい。本実施形態においては第1中継装置21が車載機器3の認証を行うが、車載システムSは、第1中継装置21及び第2中継装置22が協同して車載機器3の認証を行う構成であってもよい。
【0133】
第1中継装置21又は第2中継装置22として機能しない車載ECU2が、第1中継装置21の代わりに、車載機器3の認証を行ってもよい。即ち、車載機器3の認証を行うが、通信の中継を行わない車載機器3が、車載システムSに含まれてもよい。例えば、第2中継装置22として機能する車載ECU2と、認証を行う車載ECU2とが車両Cに搭載されている場合、第2中継装置22は、車載機器3の認証を行う車載ECU2と通信可能に接続される。第2中継装置22同士は、通信可能に接続される。第2中継装置22は、接続された他の第2中継装置22を介して、第2中継装置22に接続された車載機器3と他の第2中継装置22に接続された車載機器3との間の通信を中継する。この場合、認証を行う車載ECU2は認証装置に相当する。
【0134】
第2中継装置22は、第1中継装置21として機能してもよい。言い換えると、第2中継装置22が車載機器3の認証を行ってもよい。第1中継装置21は、第2中継装置22として機能してもよい。この場合の第1中継装置21には、例えば複数の車載機器3が第2中継装置22を介さずに直接、接続されている。第1中継装置21は、第1中継装置21に直接接続された複数の車載機器3の間の通信を中継する。また第1中継装置21は、第2中継装置22を介して、第1中継装置21に直接接続された車載機器3と第2中継装置22に接続された車載機器3との間の通信を中継する。
【0135】
第1中継装置21又は第2中継装置22に、第1中継装置21として機能する車載ECU2、及び第2中継装置22として機能する車載ECU2以外の車載ECU2が接続されてもよい。この場合、第1中継装置21として機能する車載ECU2、及び第2中継装置22として機能する車載ECU2以外の車載ECU2は、車載機器3に含まれる。
【0136】
本実施形態において車載システムSは、第1中継装置21として機能する車載ECU2及び第2中継装置22として機能する車載ECU2を含む複数の車載ECU2と、車載機器3とを含むが、車載システムSの構成は上記の例に限定されない。車載システムSは、複数の車載ECU2及び車載機器3に加えて、車載ECU2同士、又は車載ECU2と車載機器3とを接続し、車載ECU2同士、又は車載ECU2と車載機器3との間の通信を中継する中継装置を含んでもよい。この場合、当該中継装置には、第1中継装置21及び第2中継装置22が含まれる。車載ECU2、車載機器3、及び中継装置をノードとする車内ネットワーク4が構成される。上記の場合、車載ECU2は中継装置に接続される車載機器3に含まれる。
【0137】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0138】
C 車両
P 制御プログラム
S 車載システム
1 記録媒体
2 車載ECU
21 第1中継装置(認証装置)
22 第2中継装置(車載中継装置)
200 制御部
201 記憶部
202 車内通信部
3 車載機器
30 アクチュエータ
31 センサ
4 車内ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8