(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156973
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】剃刀、剃刀ヘッド、及び剃刀ヘッドの取付体
(51)【国際特許分類】
B26B 21/14 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B26B21/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060935
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001454
【氏名又は名称】株式会社貝印刃物開発センター
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100137947
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 貴文
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健吾
(57)【要約】
【課題】取付体に着脱可能な剃刀ヘッドを有する剃刀であって、好適な首振り機能を有しつつ、環境にも配慮した剃刀を提供する。
【解決手段】剃刀ヘッドと、前記剃刀ヘッドを着脱可能に連結する連結孔を有する、前記剃刀ヘッドの取付体と、を備える剃刀であって、前記剃刀ヘッドは、刃体を保持する刃組付体と、前記連結孔に挿入される接続部と、を備え、前記連結孔は、前記接続部が挿入される貫通孔であって、前記連結孔への前記接続部の挿入方向に直交する面における前記連結孔の断面は、前記剃刀ヘッドが保持する刃体の延設方向である横方向の長さよりも、前記刃体の延設方向に直交する縦方向の長さの方が大きく形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
剃刀ヘッドを着脱可能に連結する連結孔を有する剃刀ヘッドの取付体であって、
前記連結孔は、前記剃刀ヘッドの接続部が挿入される貫通孔であって、
前記連結孔への前記接続部の挿入方向に直交する面における前記連結孔の断面は、前記剃刀ヘッドが保持する刃体の延設方向である横方向の長さよりも、前記刃体の延設方向に直交する縦方向の長さの方が大きく形成される、
剃刀ヘッドの取付体。
【請求項2】
前記連結孔は、前記剃刀ヘッドと前記取付体とが連結された状態のときに、前記連結孔から前記剃刀ヘッドを離脱させる際に操作される操作部が前記連結孔の前記刃体側とは逆側の開口部から突出するよう形成されている、
請求項1に記載の剃刀ヘッドの取付体。
【請求項3】
前記連結孔は、前記操作部の操作によって前記連結孔に前記剃刀ヘッドを係止し得る係止状態と前記連結孔から前記剃刀ヘッドの係止を解除し得る非係止状態とで状態変化する係脱部を係止し得る、前記取付体の外縁面から一段窪んだ段差面を備える、
請求項2に記載の剃刀ヘッドの取付体。
【請求項4】
前記連結孔は、前記外縁面と前記段差面とを接続する接続面を有するとともに、前記刃体の延設方向において、前記係脱部の前記接続面と対向する部分の全体を覆うよう形成される、
請求項3に記載の剃刀ヘッドの取付体。
【請求項5】
下端に設けられた、棒状部材と連結するための連結機構をさらに備える、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の剃刀ヘッドの取付体。
【請求項6】
剃刀ヘッドと、前記剃刀ヘッドを着脱可能に連結する連結孔を有する、前記剃刀ヘッドの取付体と、を備える剃刀であって、
前記剃刀ヘッドは、
刃体を保持する刃組付体と、
前記連結孔に挿入される接続部と、を備え、
前記連結孔は、前記接続部が挿入される貫通孔であって、
前記連結孔への前記接続部の挿入方向に直交する面における前記連結孔の断面は、前記剃刀ヘッドが保持する刃体の延設方向である横方向の長さよりも、前記刃体の延設方向に直交する縦方向の長さの方が大きく形成される、
剃刀。
【請求項7】
前記接続部は、前記刃体の露出側の反対側に設けられた操作部であって、前記連結孔から前記剃刀ヘッドを離脱させる際に操作される操作部を備え、
前記連結孔は、前記剃刀ヘッドと前記取付体とが連結された状態のときに、前記操作部が前記連結孔の前記刃体側とは逆側の開口部から突出するよう形成されている、
請求項6に記載の剃刀。
【請求項8】
前記接続部は、前記操作部の操作によって、前記連結孔に前記剃刀ヘッドを係止し得る係止状態と前記連結孔から前記剃刀ヘッドの係止を解除し得る非係止状態とで状態変化する係脱部をさらに備え、
前記連結孔は、前記係脱部を係止し得る、前記取付体の外縁面から一段窪んだ段差面を備える、
請求項7に記載の剃刀。
【請求項9】
前記接続部は、
前記刃体の露出側の反対側に延び、前記取付体により保持される案内部と、
前記刃体の露出側の反対側に延びる片持ち梁状ばねと、をさらに備え、
前記操作部は、前記片持ち梁状ばねの自由端側に設けられる、
請求項8に記載の剃刀。
【請求項10】
前記片持ち梁状ばねは、前記刃組付体の下端よりも下側に設けられる、
請求項9に記載の剃刀。
【請求項11】
前記連結孔は、前記外縁面と前記段差面とを接続する接続面を有するとともに、前記刃体の延設方向において、前記係脱部の前記接続面と対向する部分の全体を覆うよう形成される、
請求項8から10のいずれか1項に記載の剃刀。
【請求項12】
前記取付体は、下端に設けられた、棒状部材と連結するための連結機構をさらに備える、
請求項6から請求項11のいずれか1項に記載の剃刀。
【請求項13】
前記剃刀ヘッドは、前記刃体の露出側の反対側に設けられた弾性支持体をさらに備え、
前記弾性支持体は、
前記刃組付体と前記接続部とを接続する連結部と、
前記連結部から前記刃体の延設方向に沿った左右方向に延びて設けられ、端部が前記刃組付体に連結された一対の可撓部と、を有する、
請求項6から12のいずれか1項に記載の剃刀。
【請求項14】
剃刀ヘッドの取付体の連結孔に着脱自在に連結される剃刀ヘッドであって、
刃体を保持する刃組付体と、
前記連結孔に挿入される接続部と、を備え、
前記接続部は、前記刃体の露出側の反対側に設けられた操作部であって、前記連結孔から前記剃刀ヘッドを離脱させる際に操作される操作部を有し、
前記操作部は、前記刃体の延設方向である横方向の長さよりも、前記刃体の延設方向に直交する縦方向の長さの方が大きく形成される、
剃刀ヘッド。
【請求項15】
前記操作部は、前記剃刀ヘッドと前記取付体とが連結された状態のときに、前記連結孔の前記刃体側とは逆側の開口部から突出する、
請求項14に記載の剃刀ヘッド。
【請求項16】
前記接続部は、前記操作部の操作によって、前記連結孔に前記剃刀ヘッドを係止し得る係止状態と前記連結孔から前記剃刀ヘッドの係止を解除し得る非係止状態とで状態変化する係脱部をさらに備える、
請求項14または15に記載の剃刀ヘッド。
【請求項17】
前記接続部は、
前記刃体の露出側の反対側に延び、前記取付体により保持される案内部と、
前記刃体の露出側の反対側に延びる片持ち梁状ばねと、をさらに備え、
前記操作部は、前記片持ち梁状ばねの自由端側に設けられる、
請求項16に記載の剃刀ヘッド。
【請求項18】
前記片持ち梁状ばねは、前記刃組付体の下端よりも下側に設けられる、
請求項17に記載の剃刀ヘッド。
【請求項19】
前記刃体の露出側の反対側に設けられた弾性支持体をさらに備え、
前記弾性支持体は、
前記刃組付体と前記接続部とを接続する連結部と、
前記連結部から前記刃体の延設方向に沿った左右方向に延びて設けられ、端部が前記刃組付体に連結された一対の可撓部と、を有する、
請求項14から18のいずれか1項に記載の剃刀ヘッド。
【請求項20】
刃体を保持する剃刀ヘッドに連結される剃刀ヘッドの取付体であって、
前記取付体のために形成されたものではない棒状部材と連結するための連結機構を備える、
剃刀ヘッドの取付体。
【請求項21】
前記連結機構は、前記棒状部材を挟持する挟持部を有する、
請求項20に記載の剃刀ヘッドの取付体。
【請求項22】
前記連結機構は、前記棒状部材が挿入される挿入孔を有する、
請求項20に記載の剃刀ヘッドの取付体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、剃刀、剃刀ヘッド、及び剃刀ヘッドの取付体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物を大切に使い、ごみを減らすリデュース(Reduce)、使える物を繰り返し使用するリユース(Reuse)、及びごみを資源として再び利用するリサイクル(Recycle)の3つのR(アール)を総称した3Rが提唱されている。また、国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)における17の目標の中には、持続可能な生産消費形態を確保することが挙げられており、廃棄物の発生を大幅に削減することなどが求められている。このような状況のもと、剃刀の分野においても、環境に配慮した、3Rを満足する剃刀の開発を推進することが求められる。
【0003】
ところで、特許文献1には、ホルダに対して替刃を着脱可能に連結することができる替刃着脱式剃刀に関する発明が開示されている。特許文献2には、刃体を組み付けた剃刀ヘッドがホルダの頭部に対し弾性に抗して首振りし得る首振り式剃刀が開示されている。特許文献3~7には、柄に対して首振りをするよう構成された剃刀ヘッドに関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-77178号公報
【特許文献2】特開2019-22601号公報
【特許文献3】特許第6600762号公報
【特許文献4】特許第6619534号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2014/0116211号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2015/0158192号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2013/0312272号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の剃刀は、環境への配慮と、使用者が快適に使用できる観点との双方を十分に考慮したものとなっているとはいい難い部分もあった。上記の従来の剃刀ヘッドを備えた剃刀では、首振り機能を有することで比較的好適な性能を有するものがあるが、機能的な改善の余地があった。また、環境への配慮が十分であるとは言えない部分があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決可能な剃刀を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、次のような手段を提供する。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記する場合があるが、本発明の各構成要素はこれらの具体的な構成に限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0008】
本発明の一の手段は、
剃刀ヘッド(3)を着脱可能に連結する連結孔(25)を有する剃刀ヘッドの取付体(2)であって、
前記連結孔は、前記剃刀ヘッドの接続部が挿入される貫通孔であって、
前記連結孔への前記接続部の挿入方向に直交する面における前記連結孔の断面は、前記剃刀ヘッドが保持する刃体の延設方向である横方向の長さよりも、前記刃体の延設方向に直交する縦方向の長さの方が大きく形成される、
剃刀ヘッドの取付体である。
【0009】
従来、剃刀ヘッドを着脱可能に連結する取付体(把持部を含む)は、剃刀ヘッドが刃体の延設方向である横方向に長い形状となるため、必然的に横方向に長い連結孔を有する構成となっていた。しかし、取付体の連結孔が横方向に長い場合、取付体の当該部分も横方向に長くなるため、取付体(把持部)が延びる方向を軸として剃刀ヘッドが回動(傾動)して首振り動作をする際に、取付体が剃刀ヘッドの回動の妨げとなることがあった。上記構成では、取付体の連結孔を、敢えて横方向よりも縦方向に長い形状としているため、取付体が延びる方向を軸として剃刀ヘッドが回動(傾動)して首振り動作をする際に、取付体が剃刀ヘッドの回動の妨げとなることを防止することができる。
【0010】
また、上記構成では、取付体の連結孔を比較的単純な構成にできることから、取付体の全体を単純な構成にすることができる。例えば、取付体を金属のみまたは樹脂のみなどの単一部材で形成したとしても十分な着脱性能を達成することができる。そのため、採用する材料によって、破損しづらく長期間の使用ができたり、使用後にリサイクルしやすく資源を有効活用できたりするといった特徴を有する取付体にすることができる。さらに、取付体の設計図、または取付体を3Dプリンタで製造するためのデータを公開または配布すると、取付体が単純な構成であるため、資源の無駄を省いた自主製作の取付体を個人でも比較的容易に製造することが可能である。さらには、把持部が必ずしも剃刀専用のものである必要がないので、例えば、長柄剃刀または爪切りのてこ部分などに取付体を連結させるだけで剃刀として機能する構成にすることも可能である。
【0011】
上記剃刀ヘッドの取付体において、好ましくは、
前記連結孔は、前記剃刀ヘッドと前記取付体とが連結された状態のときに、前記連結孔から前記剃刀ヘッドを離脱させる際に操作される操作部(65)が前記連結孔の前記刃体側とは逆側の開口部から突出するよう形成されている。
【0012】
上記構成の取付体では、操作部が連結孔の刃体側とは逆側に突出するため、使用者が操作部を操作して取付体から剃刀ヘッドを容易に離脱させることができる。また、連結孔が縦方向に長い形状であるため、操作部も縦方向に長い形状にすることができる。このように操作部が縦方向に長い形状では、操作部が横方向に長い形状と比較して、剃刀を把持する手の人差し指または親指で操作部を操作する際、その指の延びる方向と縦長の操作部の縦方向が、共に剃刀の把持部の延びる方向と同じになり、使用者が操作しやすくなる。また、取付体(把持部)を把持して人差し指または親指等で操作部を操作する際、操作部に使用者の力が伝わりやすい形状となるため、より軽い力で、取付体から剃刀ヘッドを離脱させることが可能となる。
【0013】
上記剃刀ヘッドの取付体において、好ましくは、
前記連結孔は、前記操作部の操作によって前記連結孔に前記剃刀ヘッドを係止し得る係止状態と前記連結孔から前記剃刀ヘッドの係止を解除し得る非係止状態とで状態変化する係脱部(64)を係止し得る、前記取付体の外縁面から一段窪んだ段差面(23)を備える。
【0014】
剃刀ヘッドを着脱可能に連結する取付体(把持部を含む)は、剃刀ヘッドを係止して連結する部位が手及び肌に近接するため、取付体から不意に剃刀ヘッドが脱落してしまう場合がある。これに対して、上記構成の取付体では、係脱部を係止し得る段差面が取付体の外縁面から一段窪んだ構成としている。そのため、係脱部が連結孔に覆われて露出しない構成となり、操作部に使用者の手または肌が不意に接触したとしても、係脱部の動きは連結孔の内側で規制され、係脱部の係止が解除されてしまうことを防止することができる。これによって、剃刀ヘッドの片持ち梁状ばね及び操作部等の構成により剃刀ヘッドの着脱操作を容易にしつつ、不意に剃刀ヘッドが脱落することを防止可能な剃刀を提供することができる。
【0015】
上記剃刀ヘッドの取付体において、好ましくは、
前記連結孔は、前記外縁面と前記段差面とを接続する接続面を有するとともに、前記刃体の延設方向において、前記係脱部の前記接続面と対向する部分の全体を覆うよう形成される。
【0016】
上記構成の取付体によれば、係脱部の側方を連結孔により覆った構成となるため、使用者が使用中に不意に操作部に触れた場合でも、係脱部が移動することで係止が解除されて剃刀ヘッドが脱落してしまうことを、より効果的に防止することが可能となる。
【0017】
上記剃刀ヘッドの取付体において、好ましくは、
下端に設けられた、棒状部材(72)と連結するための連結機構(71、73)をさらに備える。
【0018】
上記構成の取付体によれば、剃刀専用の把持部に代えて、他の棒状部材を把持部として利用することが可能となる。例えば、棒状部材として、使い古した箸、歯ブラシ、筆記用具、または木などを利用することができる。このような使い古された棒状部材を取付体とともに利用すると、使用者の身の回りにあるものを剃刀の把持部として利用することが可能となる。これによって、剃刀専用の把持部を作る必要がなくなり、資源の使用を抑えることが可能となる。
【0019】
本発明の一の手段は、
剃刀ヘッド(3)と、前記剃刀ヘッドを着脱可能に連結する連結孔(25)を有する、前記剃刀ヘッドの取付体(2)と、を備える剃刀(1)であって、
前記剃刀ヘッド(3)は、
刃体(41)を保持する刃組付体(4)と、
前記連結孔に挿入される接続部(6)と、を備え、
前記連結孔は、前記接続部が挿入される貫通孔であって、
前記連結孔への前記接続部の挿入方向に直交する面における前記連結孔の断面は、前記剃刀ヘッドが保持する刃体の延設方向である横方向の長さよりも、前記刃体の延設方向に直交する縦方向の長さの方が大きく形成される、
剃刀である。
【0020】
上記構成の剃刀では、取付体の連結孔を、敢えて横方向よりも縦方向に長い形状としているため、取付体が延びる方向を軸として剃刀ヘッドが回動(傾動)して首振り動作をする際に、取付体が剃刀ヘッドの回動の妨げとなることを防止することができる。
【0021】
また、上記構成では、取付体の連結孔を比較的単純な構成にできることから、取付体の全体を単純な構成にすることができる。例えば、取付体を金属のみまたは樹脂のみなどの単一部材で形成したとしても十分な着脱性能を達成することができる。そのため、採用する材料によって、破損しづらく長期間の使用ができたり、使用後にリサイクルしやすく資源を有効活用できたりするといった特徴を有する取付体を備えた構成とすることができる。さらに、取付体の設計図、または取付体を3Dプリンタで製造するためのデータを公開または配布すると、取付体が単純な構成であるため、資源の無駄を省いた自主製作の取付体を個人でも比較的容易に製造することが可能である。さらには、把持部が必ずしも剃刀専用のものである必要がないので、例えば、長柄剃刀または爪切りのてこ部分などに取付体を連結させるだけで剃刀として機能する構成にすることも可能である。
【0022】
上記剃刀において、好ましくは、
前記接続部(6)は、前記刃体の露出側の反対側に設けられた操作部であって、前記連結孔から前記剃刀ヘッドを離脱させる際に操作される操作部(65)を備え、
前記連結孔は、前記剃刀ヘッドと前記取付体とが連結された状態のときに、前記操作部が前記連結孔の前記刃体側とは逆側の開口部から突出するよう形成されている。
【0023】
上記構成の剃刀では、操作部が連結孔の刃体側とは逆側に突出するため、使用者が操作部を操作して取付体から剃刀ヘッドを容易に離脱させることができる。また、連結孔が縦方向に長い形状であるため、操作部も縦方向に長い形状にすることができる。このように操作部が縦方向に長い形状では、操作部が横方向に長い形状と比較して、剃刀を把持する手の人差し指または親指で操作部を操作する際、その指の延びる方向と縦長の操作部の縦方向が、共に剃刀の把持部の延びる方向と同じになり、使用者が操作しやすくなる。また、取付体(把持部)を把持して人差し指または親指等で操作部を操作する際、操作部に使用者の力が伝わりやすい形状となるため、より軽い力で、取付体から剃刀ヘッドを離脱させることが可能となる。
【0024】
上記剃刀において、好ましくは、
前記接続部(6)は、前記操作部の操作によって、前記連結孔に前記剃刀ヘッドを係止し得る係止状態と前記連結孔から前記剃刀ヘッドの係止を解除し得る非係止状態とで状態変化する係脱部(64)をさらに備え、
前記連結孔は、前記係脱部を係止し得る、前記取付体の外縁面から一段窪んだ段差面(23)を備える。
【0025】
上記構成の剃刀では、係脱部を係止し得る段差面が取付体の外縁面から一段窪んだ構成としている。そのため、係脱部が連結孔に覆われて露出しない構成となり、操作部に使用者の手または肌が不意に接触したとしても、係脱部の動きは連結孔の内側で規制され、係脱部の係止が解除されてしまうことを防止することができる。これによって、剃刀ヘッドの片持ち梁状ばね及び操作部等の構成により剃刀ヘッドの着脱操作を容易にしつつ、不意に剃刀ヘッドが脱落することを防止可能な剃刀を提供することができる。
【0026】
上記剃刀において、好ましくは、
前記接続部(6)は、
前記刃体の露出側の反対側に延び、前記取付体により保持される案内部(62)と、
前記刃体の露出側の反対側に延びる片持ち梁状ばね(63)と、をさらに備え、
前記操作部は、前記片持ち梁状ばねの自由端側に設けられる。
【0027】
上記構成の剃刀では、接続部に片持ち梁状ばねを設けた構成としているため、ばねの弾性変形を利用して係脱部の係止状態を変化させることで取付体から剃刀ヘッドを着脱可能な構成を、比較的簡易に構成することができる。
【0028】
上記剃刀において、好ましくは、
前記片持ち梁状ばねは、前記刃組付体の下端よりも下側に設けられる。
【0029】
上記構成の剃刀によれば、操作部と片持ち梁状ばねとの連結部分と、操作部の上端との間の距離を長くすることができる。これにより、操作時の力点から支点までの距離をより長くすることができ、より軽い力で取付体に対する剃刀ヘッドの着脱を可能にすることができる。
【0030】
上記剃刀において、好ましくは、
前記連結孔は、前記外縁面と前記段差面とを接続する接続面を有するとともに、前記刃体の延設方向において、前記係脱部の前記接続面と対向する部分の全体を覆うよう形成される。
【0031】
上記構成の剃刀によれば、係脱部の側方を連結孔により覆った構成となるため、使用者が使用中に不意に操作部に触れた場合でも、係脱部が移動することで係止が解除されて剃刀ヘッドが脱落してしまうことを、より効果的に防止することが可能となる。
【0032】
上記剃刀において、好ましくは、
前記取付体は、下端に設けられた、棒状部材(72)と連結するための連結機構(71、73)をさらに備える。
【0033】
上記構成の剃刀によれば、剃刀専用の把持部に代えて、他の棒状部材を剃刀の把持部として利用することが可能となる。例えば、棒状部材として、使い古した箸、歯ブラシ、筆記用具、または木などを利用することができる。このような使い古された棒状部材を取付体とともに利用すると、使用者の身の回りにあるものを剃刀の把持部として利用することが可能となる。これによって、剃刀専用の把持部を作る必要がなくなり、資源の使用を抑えることが可能となる。
【0034】
上記剃刀において、好ましくは、
前記剃刀ヘッドは、前記刃体の露出側の反対側に設けられた弾性支持体(5)をさらに備え、
前記弾性支持体は、
前記刃組付体と前記接続部とを接続する連結部(5c)と、
前記連結部から前記刃体の延設方向に沿った左右方向に延びて設けられ、端部が前記刃組付体に連結された一対の可撓部(5b)と、を有する。
【0035】
上記構成の剃刀によれば、首振り機能が剃刀ヘッド側に設けられ、取付体には首振り機能を設ける必要がないため、首振り機能を備えた剃刀としつつも、取付体全体を比較的単純な構成にしやすくなる。そのため、取付体を単一材料として、破損しづらく長期間の使用できたり、使用後にリサイクルしやすく資源を有効活用できたりするといった特徴を有する取付体を備えた構成にしやすくなる。また、取付体の設計図、または取付体を3Dプリンタで製造するためのデータを公開または配布して、資源の無駄を省いた自主製作の取付体を個人でも比較的容易に製造しやすくなる。また、取付体が必ずしも剃刀専用のものである必要がないので、例えば、長柄剃刀または爪切りのてこ部分などに取付体を連結させるだけで剃刀として機能する構成にすることも容易になる。
【0036】
本発明の一の手段は、
剃刀ヘッドの取付体(2)の連結孔に着脱自在に連結される剃刀ヘッド(3)であって、
刃体(41)を保持する刃組付体(4)と、
前記連結孔に挿入される接続部(6)と、を備え、
前記接続部は、前記刃体の露出側の反対側に設けられた操作部であって、前記連結孔から前記剃刀ヘッドを離脱させる際に操作される操作部(65)を有し、
前記操作部は、前記刃体の延設方向である横方向の長さよりも、前記刃体の延設方向に直交する縦方向の長さの方が大きく形成される、
剃刀ヘッドである。
【0037】
上記構成の剃刀ヘッドでは、操作部を、敢えて横方向よりも縦方向に長い形状としている。これにより、操作部を挿入する取付体の連結孔も、横方向より縦方向に長い形状となるため、取付体が延びる方向を軸として剃刀ヘッドが回動(傾動)して首振り動作をする際に、取付体が剃刀ヘッドの回動の妨げとなることを防止することができる。
【0038】
また、上記構成の剃刀ヘッドを採用すると、取付体の連結孔を比較的単純な構成にできることから、取付体の全体を単純な構成にすることができる。例えば、取付体を金属のみまたは樹脂のみなどの単一部材で形成したとしても十分な着脱性能を達成することができる。そのため、採用する材料によって、破損しづらく長期間の使用ができたり、使用後にリサイクルしやすく資源を有効活用できたりするといった特徴を有する取付体にすることができる。さらに、取付体の設計図、または取付体を3Dプリンタで製造するためのデータを公開または配布すると、取付体が単純な構成であるため、資源の無駄を省いた自主製作の取付体を個人でも比較的容易に製造することが可能である。さらには、把持部が必ずしも剃刀専用のものである必要がないので、例えば、長柄剃刀または爪切りのてこ部分などに取付体を連結させるだけで剃刀として機能する構成にすることも可能である。
【0039】
上記剃刀ヘッドにおいて、好ましくは、
前記操作部は、前記剃刀ヘッドと前記取付体とが連結された状態のときに、前記連結孔の前記刃体側とは逆側の開口部から突出する。
【0040】
上記構成の剃刀ヘッドでは、操作部が連結孔の刃体側とは逆側に突出するため、使用者が操作部を操作して取付体から剃刀ヘッドを容易に離脱させることができる。また、操作部が縦方向に長い形状であるため、操作部が横方向に長い形状と比較して、剃刀を把持する手の人差し指または親指で操作部を操作する際、その指の延びる方向と縦長の操作部の縦方向が、共に剃刀の把持部の延びる方向と同じになり、使用者が操作しやすくなる。また、取付体(把持部)を把持して人差し指または親指等で操作部を操作する際、操作部に使用者の力が伝わりやすい形状となるため、より軽い力で、取付体から剃刀ヘッドを離脱させることが可能となる。
【0041】
上記剃刀ヘッドにおいて、好ましくは、
前記接続部は、前記操作部の操作によって、前記連結孔に前記剃刀ヘッドを係止し得る係止状態と前記連結孔から前記剃刀ヘッドの係止を解除し得る非係止状態とで状態変化する係脱部(64)をさらに備える。
【0042】
上記剃刀ヘッドにおいて、好ましくは、
前記接続部は、
前記刃体の露出側の反対側に延び、前記取付体により保持される案内部(62)と、
前記刃体の露出側の反対側に延びる片持ち梁状ばね(63)と、をさらに備え、
前記操作部は、前記片持ち梁状ばねの自由端側に設けられる。
【0043】
上記構成の剃刀ヘッドでは、接続部に片持ち梁状ばねを設けた構成としているため、ばねの弾性変形を利用して係脱部の係止状態を変化させることで取付体から剃刀ヘッドを着脱可能な構成を、比較的簡易に構成することができる。
【0044】
上記剃刀ヘッドにおいて、好ましくは、
前記片持ち梁状ばねは、前記刃組付体の下端よりも下側に設けられる。
【0045】
上記構成の剃刀によれば、操作部と片持ち梁状ばねとの連結部分と、操作部の上端との間の距離を長くすることができる。これにより、操作時の力点から支点までの距離をより長くすることができ、より軽い力で取付体に対する剃刀ヘッドの着脱を可能にすることができる。
【0046】
上記剃刀ヘッドにおいて、好ましくは、
前記刃体の露出側の反対側に設けられた弾性支持体(5)をさらに備え、
前記弾性支持体は、
前記刃組付体と前記接続部とを接続する連結部(5c)と、
前記連結部から前記刃体の延設方向に沿った左右方向に延びて設けられ、端部が前記刃組付体に連結された一対の可撓部(5b)と、を有する。
【0047】
上記構成の剃刀ヘッドによれば、首振り機能が剃刀ヘッド側に設けられ、取付体には首振り機能を設ける必要がないため、首振り機能を備えた剃刀としつつも、取付体全体を比較的単純な構成にしやすくなる。そのため、取付体を単一材料として、破損しづらく長期間の使用できたり、使用後にリサイクルしやすく資源を有効活用できたりするといった特徴を有する取付体を備えた構成にしやすくなる。また、取付体の設計図、または取付体を3Dプリンタで製造するためのデータを公開または配布して、資源の無駄を省いた自主製作の取付体を個人でも比較的容易に製造しやすくなる。また、取付体が必ずしも剃刀専用のものである必要がないので、例えば、長柄剃刀または爪切りのてこ部分などに取付体を連結させるだけで剃刀として機能する構成にすることも容易になる。
【0048】
本発明の一の手段は、
刃体を保持する剃刀ヘッドに連結される剃刀ヘッドの取付体(2)であって、
前記取付体のために形成されたものではない棒状部材と連結するための連結機構(71、73)を備える、
剃刀ヘッドの取付体である。
【0049】
上記構成の取付体では、剃刀または取付体専用に形成された把持部ではなく、例えば、使い古した箸、歯ブラシ、筆記用具、または木などの棒状部材を把持部に代えて利用することができる。このような使い古された棒状部材を取付体とともに利用すると、使用者の身の回りにあるものを剃刀の把持部として利用することが可能となる。これによって、剃刀専用の把持部を作る必要がなくなり、資源の使用を抑えることが可能となる。
【0050】
上記取付体の連結機構は、前記棒状部材を挟持する挟持部(71a)を有する構成としてもよい。このような連結機構を設けた構成では、比較的広い範囲の径の大きさを有する棒状部材を、把持部に代えて利用することが可能となる。
【0051】
上記取付体の連結機構は、前記棒状部材が挿入される挿入孔を有する構成としてもよい。このような連結機構を設けた構成では、簡易な構成で、剃刀専用のものではない棒状部材を、剃刀の把持部に代えて利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、実施形態の剃刀を裏側から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態の剃刀をおもて側から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態の剃刀の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態の剃刀の分解断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態の剃刀の首振り状態の断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態の取付体の連結孔をおもて側から見た斜視図である。
【
図9】
図9は、変形例の取付体の連結孔をおもて側から見た斜視図である。
【
図10】
図10は、変形例の剃刀をおもて側から見た斜視図である。
【
図11】
図11は、変形例の剃刀をおもて側から見た斜視図である。
【
図12】
図12は、変形例の剃刀を模式的に示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明の一形態の剃刀は、剃刀ヘッドと取付体との連結機構に特徴を有しており、取付体に対する剃刀ヘッドの着脱操作を容易にしつつ、不意に剃刀ヘッドが脱落することを防止可能な構成としている。また、取付体全体を単純な構成にしても十分な着脱性能を達成することができるため、破損しづらい、及びリサイクルしやすい、などの特徴を有する取付体とすることができる。
【0054】
本発明の剃刀について、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態及び変形例はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0055】
本明細書の各図面には、x軸、y軸及びz軸を示している。首振りしていない状態において、刃組付体の刃体が延設された方向に延びる軸を「y軸」と定義し、このときの刃体の肌接触面に平行な方向に延びる軸を「x軸」と定義する。これらの「x軸」及び「y軸」の双方に垂直な方向に延びる軸を「z軸」と定義する。x軸、y軸およびz軸は、左手系の3次元の直交座標を形成する。x軸の矢印方向をx軸+側、矢印とは逆方向をx軸-側と呼ぶことがあり、その他の軸についても同様である。z軸+側及びz軸-側を、それぞれ「裏側」及び「おもて側」と呼ぶことがある。y軸+側及びy軸-側を、それぞれ「右側」及び「左側」と呼ぶことがある。x軸+側及びx軸-側を、それぞれ「上側」及び「下側」と呼ぶことがある。また、x軸方向を縦方向と呼ぶことがある。y軸方向を横方向と呼ぶことがある。z軸方向を厚み方向と呼ぶことがある。
【0056】
<1.実施形態>
図1は、本実施形態の剃刀1を裏側から見た斜視図である。
図2は、剃刀1をおもて側から見た斜視図である。
図3は、剃刀1の分解斜視図である。
図4は、剃刀1の側面図である。
図5は、剃刀1の断面図である。
図6は、剃刀1の分解断面図である。
図7は、剃刀ヘッドが最も傾斜するよう首振りした状態の、剃刀1の断面図である。
図8は、取付体の連結孔をおもて側から見た斜視図である。
【0057】
図1などに示されるように、剃刀1は、取付体2及び剃刀ヘッド3を含んで構成される。本明細書では、剃刀ヘッド3を取り付けるための連結孔25を有する構成を「取付体」と称するが、これは剃刀1が利用される際に使用者によって把持される把持部、及び把持部に取り付け可能な取り付け部材などを含む。実施形態では、取付体2が把持部である構成を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。
【0058】
<取付体2>
取付体2は、剃刀ヘッド3を着脱可能に連結する連結孔25を有する。連結孔25は、裏側に開口部25aを有し、おもて側に開口部25bを有する貫通孔である。連結孔25は、横方向よりも縦方向のほうが長く形成される。本実施形態の取付体2は、使用者が剃刀1を使用する際に把持する把持部となるものであって、x軸に沿って所定の傾斜を有して延設される。x軸に対する取付体2の傾斜角は、0~30°程度であるが、これに限定されるものではない。取付体2は、例えばABS樹脂などの硬質樹脂の単一材料で形成されるが、これに限定されるものではなく、硬質樹脂以外の、金属、木、竹、または圧縮固化された紙などの材料を用いてもよい。また、取付体2は必ずしも単一部材で形成されていなくてもよい。
【0059】
取付体2は、連結孔25の内部に、接続面22、段差面23、孔内下面24、及び突部2aを有する。段差面23は、取付体2の外縁面21から一段窪んだ、xy平面に沿って形成された面である。接続面22は、外縁面21と段差面23とを接続する、yz平面に沿って形成された面である。孔内下面24は、連結孔25の下側に形成された面である。
図5などに示されるように、孔内下面24は、片持ち梁状ばね63の下面に当接する部分と、当該部分からおもて側に向かうにしたがって下側に向かって傾斜した傾斜面とを有する。当該傾斜面は、剃刀ヘッド3に取付体2を連結させようと連結孔25に案内部62、片持ち梁状ばね63、係脱部64、及び操作部65を挿入させる際に、係脱部64の下端64aが当接する部分である。連結孔25は、孔内下面24がこのように傾斜面となっているため、おもて側から裏側に向かって縦方向に先細りの形状となっている。
【0060】
突部2aは、連結孔25のz軸+側の面からz軸-側の面に向かって突出するよう、y軸方向に対向する位置に一対形成される。突部2aは、取付体2に剃刀ヘッド3を連結させた状態のときに、剃刀ヘッド3の右板部62b及び左板部62cの裏側端面6aと対向する。本実施形態では、突部2aは右板部62b及び左板部62cの裏側端面6aと当接しない構成としているが、当接する構成としてもよい。
【0061】
なお、取付体2は、把持部ではなく、把持部として機能する棒状部材に連結可能な部材であってもよい。この場合、取付体2は、棒状部材に連結するための連結機構を有してよい。連結機構は、例えば、棒状部材を挟持するものであってもよいし、棒状部材の棒状部分を挿入可能な挿入孔を有するキャップ状のものであってもよいし、それ以外のものであってもよい。例えば、棒状部材として、使い古した箸、歯ブラシ、筆記用具、または木などを利用することができる。このような使い古された棒状部材を取付体2とともに利用すると、剃刀のための把持部を新たに作らず、使用者の身の回りにあるものを剃刀の把持部として利用することが可能となる。このような使い古された棒状部材を利用することで、剃刀専用の把持部を作る必要がなく、資源の使用を抑えることが可能となる。
【0062】
<剃刀ヘッド3>
図6などに示されるように、剃刀ヘッド3は刃組付体4、弾性支持体5、及び接続部6を含んで構成される。
【0063】
<刃組付体4>
刃組付体4は、5枚の刃体41と、これらの刃体41を保持する枠体42を含んで構成される。刃体41は、y軸に沿って延設される。刃体41は、おもて側の端面が刃先となっておもて側に露出している。複数の刃体41の刃先を含む面が、使用者の肌に接触する肌接触面となる。刃体41は、おもて側に向かって付勢されており、使用者の肌に過度な圧力がかかることを抑制している。刃体41の数は任意の変更可能である。
【0064】
枠体42は、ABS樹脂などの硬質樹脂で形成されるが、これに限定されるものではない。本実施形態の枠体42は、複数の部材が連結されることで形成される。ただし、枠体42は単一部材で形成されてもよい。枠体42は、おもて側が解放された開口部が形成されており、当該開口部から刃体41の刃先が露出する。枠体42の裏側には、裏側に向かって延びる規制部43が設けられる。規制部43は、刃組付体4の一定以上の傾動を規制する。
【0065】
<弾性支持体5>
弾性支持体5は、軟性樹脂またはゴムなどの可撓性を有する材料で形成され、連結部5c、可撓部5b、及び一対の左右連結部5dを含んで構成される。弾性支持体5は、刃組付体4の裏側に設けられる。弾性支持体5の連結部5cは、刃組付体4の中央部の裏側に位置し、刃組付体4と連結される。連結部5cからは、左右に向かって一対の可撓部5bが延びている。一対の可撓部5bは、左右連結部5dで枠体42に連結される。左右連結部5dは、枠体42に固定され、連結部5cは枠体42に対して主にxz面において傾動可能に連結される。弾性支持体5の可撓部5bが撓むことで、取付体2に対して刃組付体4が傾動可能となり、これによって刃体41の肌接触面が傾動することで、剃刀1が首振り機能を果たすことができる。
【0066】
弾性支持体5の上側の端面である上端部5aは、おもて側に向かうにつれて下側に傾斜する傾斜面となっている。傾斜した刃組付体4は、弾性支持体5の上端部5aと当接することで傾動が規制される。すなわち、弾性支持体5の上端部5aは、刃組付体4の一定以上の傾動を規制する傾動規制機構となる。
図7に示されるように、弾性支持体5の上端部5aの傾斜面は、刃組付体4と当接した際に、刃組付体4の当接面42aと面接触する傾斜角を有する。
【0067】
<接続部6>
接続部6は、主体部61、案内部62、片持ち梁状ばね63、係脱部64、操作部65、及び板状部66を含んで構成される。案内部62、片持ち梁状ばね63、係脱部64、及び操作部65は、取付体2に剃刀ヘッド3が連結されるときに連結孔25に挿入される。接続部6は、ABS樹脂などの硬質樹脂で形成される。接続部6は、好ましくは単一部材で形成されるが、少なくとも片持ち梁状ばね63及び係脱部64は弾性変形可能に形成される。
【0068】
主体部61は、接続部6のうち、上側かつおもて側に位置する部分であって、弾性支持体5に連結されるとともに、案内部62に連結される。案内部62は、主体部61の下側に位置し、裏側に向かって延びる。案内部62及び片持ち梁状ばね63は、それぞれのおもて側の端部が、取付体2のおもて側の縁部26よりもおもて側に突出しないよう設けられる。つまり、接続部6では、主体部61以外の構成が、取付体2のおもて側の縁部26よりもおもて側に突出しない。
【0069】
案内部62は、上板部62a、右板部62b、及び左板部62cを含んで構成される。案内部62は、上板部62a、右板部62b、及び左板部62cによって、xy平面における断面がU字状に形成される。案内部62のおもて側部分は、裏側部分よりも下方向に延びるよう形成される。本実施形態の案内部62の裏側は解放された形状となっているが、底面を有する形状としてもよい。ただし、案内部62の裏側が解放された形状にすると、操作部65に対向する位置に底面が存在しないことで、操作部65が大きく弾性変形することが可能となるため、取付体2に対する剃刀ヘッド3の着脱を行いやすくなる場合がある。案内部62の上板部62a、右板部62b、及び左板部62cは、それぞれ連結孔25の内側の面に対向し、場合によっては当接する。取付体2に対して剃刀ヘッド3がx軸方向またはy軸方向に移動しようとする際には、案内部62が連結孔25の内側の面に当接することで、移動が規制される。また、取付体2に対して剃刀ヘッド3がz軸を軸とするxy平面で回動しようとする際にも同様に、案内部62が連結孔25の内側の面に当接することで回動が規制される。
【0070】
板状部66は、案内部62の右板部62b及び左板部62cからそれぞれ右方向及び左方向に突出して一対形成される。板状部66のおもて側の面は、右板部62b及び左板部62cのおもて側の端面とともにxy平面に平行な平面をなす。板状部66の裏側の面である裏側面66aは、取付体2のおもて側の縁部26から裏側に一段窪んだおもて側段差面26aに対向する。取付体2に剃刀ヘッド3を連結させた状態では、板状部66の裏側面66aとおもて側段差面26aとが当接する。裏側面66aとおもて側段差面26aとが当接することで、取付体2に対する剃刀ヘッド3のz軸方向の移動が規制され、z軸方向においてがたつきなく安定的に取付体2と剃刀ヘッド3とが連結される。
【0071】
なお、本実施形態の構成では、上記のように板状部66が取付体2にz軸方向で当接することで取付体2に対する剃刀ヘッド3のz軸方向の移動を規制する構成としていたが、取付体2と剃刀ヘッド3とが別の部分でz軸方向において当接する構成としてもよい。
【0072】
片持ち梁状ばね63は、上下方向(x軸方向)では刃組付体4の下端より下側に設けられ、おもて側の端部からの一部が右板部62bと左板部62cとの間に架設される。片持ち梁状ばね63は、裏側に向かって延びるよう形成される。片持ち梁状ばね63のおもて側の端部は固定端となり、裏側の端部は自由端となる。片持ち梁状ばね63の自由端である裏側の端部には、上下方向に延びる操作部65が設けられる。操作部65の下側には、係脱部64が設けられる。係脱部64の下側の面は、接続面22に対向しており、連結孔25の裏側の開口部25aから裏側に突出しないよう設けられている。すなわち、係脱部64の下端64aは、その側面(y軸方向の面)が取付体2により覆われる。
【0073】
操作部65の裏側の面は、上側に向かうにしたがって裏側に向かうよう湾曲しており、その上側の端部近傍が押圧面65aとなる。操作部65は、少なくとも押圧面65aの部分が連結孔25の裏側に露出する。操作部65は、横方向よりも縦方向が長く形成される。
【0074】
<取付体2と剃刀ヘッド3との着脱操作>
図5に示すような連結孔25に接続部6が挿入され係止された係止状態において、使用者が押圧面65aをz軸-側に向かって押圧すると、操作部65及び片持ち梁状ばね63が弾性変形し、押圧面65aがz軸-側に移動するとともに、係脱部64の下端64aがz軸+側に傾斜しつつx軸+側に移動する。これによって係脱部64がx軸方向で段差面23よりもx軸+側(上側)にずれた状態となり、係脱部64が段差面23をz軸-側(おもて側)に乗り越えることで、片持ち梁状ばね63及び係脱部64の係止状態が解除される非係止状態となる。
【0075】
一方、
図6に示すような連結孔25から剃刀ヘッド3の接続部6が離脱した非係止状態において、剃刀ヘッド3を取付体2に連結させる際には、使用者によって、剃刀ヘッド3の案内部62、片持ち梁状ばね63、係脱部64、及び操作部65が連結孔25に挿入される。このとき、係脱部64の下端64aは孔内下面24の傾斜面に当接し、案内部62の上板部62aは孔内上面27に当接し、片持ち梁状ばね63がx軸+側(上側)に向かって撓むとともに係脱部64がx軸+側に移動する。さらに片持ち梁状ばね63及び係脱部64などがz軸+側(裏側)に挿入され、係脱部64が段差面23をz軸+側(裏側)に乗り越えて移動すると、x軸+側(上側)に向かって撓んでいた片持ち梁状ばね63が付勢力によってx軸-側(下側)に移動するとともに、係脱部64もx軸-側(下側)に移動する。これにより、係脱部64及び片持ち梁状ばね63が段差面23に係止された係止状態となる。これにより、
図5に示すような係止状態となり、取付体2と剃刀ヘッド3とが連結された状態となる。
【0076】
<取付体2に対する刃組付体4の首振り動作>
本実施形態の剃刀1では、既に説明したように、取付体2に対して刃組付体4が傾動する首振り動作が可能である。刃組付体4は、刃体41の肌接触面が当接する面に対して平行になるよう、弾性支持体5の可撓部5bが弾性変形しようとする。刃組付体4の傾動角の範囲は、規制部43と主体部61との当接面、及び弾性支持体5の上端部5aと枠体42との当接面42aによって決定される。
図5に示すように、刃組付体4は、規制部43と主体部61とが当接すると、これ以上、刃組付体4の上端が下側に、すなわち
図5における反時計回り方向に傾動することが規制される。
図7に示すように、刃組付体4は、枠体42の裏側の当接面42aと弾性支持体5の上端部5aとが当接すると、これ以上刃組付体4の下端が上側に、すなわち
図7における時計回り方向に傾動することが規制される。
【0077】
<2.変形例>
上記実施形態で説明した剃刀1、及び剃刀1を構成する取付体2及び剃刀ヘッド3は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に構成を変更することができる。以下、本発明の実施形態の変形例についていくつか説明する。
【0078】
<変形例1>
取付体2は、実施形態のような連結孔25を有する構成に変えて、
図9に示すような連結孔25mを有する取付体2mとしてもよい。
【0079】
取付体2mは、取付体2の突部2aに代えて、面部2bを有する。面部2bは、連結孔25mのz軸+側の面からz軸-側に一段突出した面状の部分である。面部2bは、y軸方向において対向する位置に設けられる。面部2bは、取付体2mに剃刀ヘッド3を連結させた状態のときに、剃刀ヘッド3の右板部62b及び左板部62cの裏側端面6aと面接触してもよい。
【0080】
<変形例2>
実施形態の剃刀1は、
図10に示す変形例のような構成とすることができる。
【0081】
図10に示す剃刀1mは、実施形態の取付体2に代えて取付体2nを備える。取付体2nは、他の棒状部材72を把持することで当該棒状部材72と着脱可能に連結される連結クリップ71を有する。連結クリップ71は、取付体2nの下端に設けられる。連結クリップ71は、力点となる操作部71cを操作することで、ばねによって閉じ方向に付勢された一対の挟持部71aが開閉可能になっており、これにより挟持部71aの下端71bに棒状部材72を挟持可能に構成される。棒状部材72は挟持部71aにより挟持可能な径を有するものであれば任意の部材を用いることができる。なお、挟持部71aの上端は、下端71bに合わせて開閉する。
【0082】
<変形例3>
実施形態の剃刀1は、
図11に示す変形例のような構成とすることができる。
【0083】
図11に示す剃刀1nは、実施形態の取付体2に代えて取付体2oを備える。取付体2oは、他の棒状部材72を挿入することで当該棒状部材72と着脱可能に連結される連結キャップ73を有する。連結キャップ73は、下端に挿入孔73bを有する円筒状の部材であり、下端から上側に向かって形成されたスリット73aを有する。下端の挿入孔73bには、棒状部材72が挿入される。連結キャップ73の挿入孔73bの内径は、連結することが想定される棒状部材72の径によって任意に変更可能であるが、例えば、鉛筆の径に合わせた大きさであってもよい。連結キャップ73の挿入孔73bの内径は、上側に向かうにしたがって小さくなっていてもよい。連結キャップ73の下端の挿入孔73bから棒状部材72が挿入されることで、取付体2oと棒状部材72とが連結される。連結キャップ73は、スリット73aを有することで、挿入孔73bの内径よりやや大きな径を有する棒状部材72を挿入し連結することが可能である。なお、スリット73aは連結キャップ73の必須の構成ではなく、スリット73aを設けない構成としてもよい。
【0084】
なお、棒状部材と連結するための連結機構は、上記変形例2及び3のようなものに限定されるものではなく、他の構成のものを採用してもよい。例えば、磁石、面ファスナー、螺合、またはバンドによる巻付け等の構成を、連結機構として採用してもよい。
【0085】
なお、変形例2及び3の剃刀1m及び1nは、取付体2n及び2oが剃刀ヘッド3を着脱可能ではなく、着脱不能に連結されていてもよい。すなわち、取付体2n及び2oは、剃刀ヘッド3と一体に形成されてもよい。
【0086】
<変形例4>
実施形態の剃刀1は、
図12に示す変形例のような構成とすることができる。
【0087】
図12に示す剃刀1oは、剃刀ヘッド3m及び取付体2pを備える。剃刀ヘッド3mは、接続部6に代えた接続部6mを有する。接続部6mは、その上端及び下端の近傍に配置された磁石67a及び67bを有する。取付体2pは、全体が強磁性体の金属等で形成され、連結孔25nを有する。取付体2pに剃刀ヘッド3mを連結させる際には、取付体2pの連結孔25nに剃刀ヘッド3mの操作部65mを挿入し、磁石67a及び67bと取付体2pとが接触した状態にすることで、取付体2pと磁石67a及び67bとが吸着して連結される。取付体2pから剃刀ヘッド3mを離脱させる際には、使用者が操作部65mの端部を取付体2pと磁石67a及び67bの吸着力以上の力で押圧することで取付体2pから磁石67a及び67bが離れる。
【0088】
なお、上記変形例4において、取付体2pは、磁石67a及び67bと対向する部分のみが強磁性体の金属等で形成され、それ以外の部分は別の材質で形成されてもよい。また、磁石67a及び67bと対向する部分に、それぞれ磁石67a及び67bと吸着する磁石を設けた構成としてもよい。また、取付体2pが磁石を備え、接続部6mが磁石67a及び67bに代えて強磁性体の金属部分等を設けた構成としてもよい。この場合、接続部6mは、その全体が強磁性体で形成されてもよい。
【0089】
また、実施形態の剃刀ヘッド3は、弾性支持体5を有し、首振り機能を有するものであったが、剃刀ヘッド3は必ずしも首振り機能を有さないものであってもよい。
【0090】
実施形態の連結孔25は、刃組付体4の下端よりも下側においておもて側に案内部62及び片持ち梁状ばね63が露出しないよう、おもて側に案内部62及び片持ち梁状ばね63の側面(y軸方向の面)を覆うよう形成されてもよい。
【0091】
実施形態の取付体2は、把持部として機能するものであるが、取付体2は、別の部材に取り付けることで当該部材とともに把持部として機能するものあってもよい。
【0092】
実施形態の取付体2は、3Dプリンタ用の3Dデータを用いて、3Dプリンタにより成形されてもよい。この場合、3Dプリンタによる取付体2の成形は、例えば、入力され記憶された3Dプリンタ用のデータに基づいて取付体2を形成するための液状の樹脂等の材料を吐出する工程と、吐出した材料を凝固させる工程によって行われる。本発明は、このような実施形態に記載の取付体2を成形するための3Dプリンタ用の設計データ、当該設計データを保存した記録媒体、及び取付体2を成形する方法を含む。
【0093】
なお、実施形態及び変形例で説明した剃刀はあくまで一構成例であって、本発明の範囲はこれらの実施形態及び変形例に留まらず、同様の技術思想に基づいて当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【0094】
<3.本発明の特徴>
以上、実施形態を例示して説明した本発明は、以下のような特徴を有する。以下の説明では、便宜的に実施形態において説明した「剃刀1」及び「取付体2」などを引用した説明とする部分があるが、実施形態の剃刀1及び取付体2に限定するものではなく、変形例の剃刀1m~1o、及び取付体2m~2pなどを含むものである。剃刀1及び取付体2以外の構成についても同様に、実施形態の構成に限定し変形例の構成を排除するものではない。
【0095】
従来、剃刀ヘッドを着脱可能に連結する取付体(把持部を含む)は、剃刀ヘッドが刃体の延設方向である横方向に長い形状となるため、必然的に横方向に長い連結孔を有する構成となっていた。しかし、取付体の連結孔が横方向に長い場合、取付体の当該部分も横方向に長くなるため、取付体(把持部)が延びる方向を軸として剃刀ヘッドが回動(傾動)して首振り動作をする際に、取付体が剃刀ヘッドの回動の妨げとなることがあった。実施形態の構成では、取付体2の連結孔25を、敢えて横方向よりも縦方向に長い形状としているため、取付体2が延びる方向を軸として剃刀ヘッド3が回動(傾動)して首振り動作をする際に、取付体2が剃刀ヘッド3の回動の妨げとなることを防止することができる。
【0096】
また、剃刀1では、操作部65が連結孔25の刃体41側とは逆側に突出するため、使用者が操作部65を操作して取付体2から剃刀ヘッド3を容易に離脱させることができる。また、連結孔25が縦方向に長い形状であるため、操作部65も縦方向に長い形状にすることができる。このように操作部65が縦方向に長い形状では、操作部65が横方向に長い形状と比較して、剃刀1を把持する手の人差し指または親指で操作部65を操作する際、その指の延びる方向と縦長の操作部65の縦方向とが、共に剃刀1の把持部の延びる方向と同じになり、使用者が操作しやすくなる。また、取付体2(把持部)を把持して人差し指または親指等で操作部65を操作する際、操作部65に使用者の力が伝わりやすい形状となるため、より軽い力で、取付体2から剃刀ヘッド3を離脱させることが可能となる。
【0097】
従来の、剃刀ヘッドを着脱可能に連結する取付体(把持部を含む)を有する剃刀では、剃刀ヘッドを係止して連結する部位が手及び肌に近接するため、取付体から不意に剃刀ヘッドが脱落してしまう場合がある。これに対して、本発明の剃刀1では、係脱部64を係止し得る段差面23が取付体2の外縁面21から一段窪んだ連結孔25の内側に設けられた構成としている。そのため、係脱部64が連結孔25から露出しない構成となり、操作部65に使用者の手または肌が不意に接触したとしても、係脱部64の動きは連結孔25の内側で規制され、係脱部64の係止が解除されてしまうことを防止することができる。これによって、剃刀ヘッド3の片持ち梁状ばね63及び操作部65等の構成により剃刀ヘッド3の着脱操作を容易にしつつ、不意に剃刀ヘッド3が脱落することを防止可能な剃刀1を提供することができる。
【0098】
また、剃刀1では、連結孔25は、横方向(y軸方向)において、係脱部64の接続面22と対向する部分の全体を覆うよう形成される。この構成により、係脱部64の側方を連結孔25により覆った構成となるため、使用者が使用中に不意に操作部65に触れた場合でも、係脱部64が移動することで係止が解除されて剃刀ヘッド3が脱落してしまうことを、より効果的に防止することが可能となる。
【0099】
また、剃刀1の変形例では、取付体2の下端に、棒状部材72と連結するための連結機構をさらに備える構成とすることができる。このような剃刀1によれば、剃刀専用の把持部に代えて、他の棒状部材を把持部として利用することが可能となる。例えば、棒状部材72として、使い古した箸、歯ブラシ、筆記用具、または木などを利用することができる。このような使い古された棒状部材72を取付体2とともに利用すると、使用者の身の回りにあるものを剃刀の把持部として利用することが可能となる。これによって、剃刀専用の把持部を作る必要がなくなり、資源の使用を抑えることが可能となる。
【0100】
また、剃刀1は、案内部62及び片持ち梁状ばね63を備え、操作部65が片持ち梁状ばね63の自由端側に設けられた構成としている。この構成により、片持ち梁状ばね63の弾性変形を利用して係脱部64の係止状態を変化させることで取付体2から剃刀ヘッド3を着脱可能な構成を、比較的簡易に構成することができる。
【0101】
また、剃刀1では、片持ち梁状ばね63が刃組付体4の下端よりも下側に設けられる。この構成により、操作部65と片持ち梁状ばね63との連結部分と、操作部65の押圧面65aとの間の距離を長くすることができるため、操作時の力点から支点までの距離をより長くすることができ、より軽い力で取付体2に対する剃刀ヘッド3の着脱を可能にすることができる。
【0102】
また、剃刀1では、剃刀ヘッド3は、連結部5cと一対の可撓部5bとを有する弾性支持体5を備えている。この構成により、首振り機能が剃刀ヘッド3側に設けられ、取付体2には首振り機能を設ける必要がないため、首振り機能を備えた剃刀としつつも、取付体2の全体を比較的単純な構成にしやすくなる。そのため、取付体2を単一材料として、破損しづらく長期間の使用できたり、使用後にリサイクルしやすく資源を有効活用できたりするといった特徴を有する取付体2を備えた構成にしやすくなる。また、取付体2の設計図、または取付体2を3Dプリンタで製造するためのデータを公開または配布して、資源の無駄を省いた自主製作の取付体2を個人でも比較的容易に製造しやすくなる。また、取付体2が必ずしも剃刀専用のものである必要がないので、例えば、長柄剃刀または爪切りのてこ部分などに取付体2を設けるだけで剃刀として機能する構成にすることも容易になる。
【0103】
また、変形例2及び3の剃刀または取付体は、剃刀または取付体のための専用品として形成されたものではない棒状部材72と連結するための連結機構を備える構成としている。このような構成により、例えば、使い古した箸、歯ブラシ、筆記用具、または木などの棒状部材を把持部に代えて利用可能な剃刀となる。このような使い古された棒状部材を取付体とともに利用すると、使用者の身の回りにあるものを剃刀の把持部として利用することが可能となる。これによって、剃刀専用の把持部を作る必要がなくなり、資源の使用を抑えることが可能となる。
【0104】
例えば、変形例2のような取付体2nでは、連結クリップ71のように挟持部71aを設けた構成とすることで、比較的広い範囲の径の大きさを有する棒状部材を、把持部に代えて利用することが可能となる。
【0105】
例えば、変形例3のような取付体2oでは、連結キャップ73のように挿入孔73bを設けた構成とすることで、簡易な構成で、剃刀専用のものではない棒状部材を、剃刀の把持部に代えて利用することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の剃刀は、環境保護に貢献する剃刀などとして好適に適用される。
【符号の説明】
【0107】
1、1m、1n、1o…剃刀
2、2m、2n、2o、2p…取付体
21…外縁面
22…接続面
23…段差面
24…孔内下面
25、25m、25n…連結孔
26…縁部
26a…おもて側段差面
27…孔内上面
3、3m…剃刀ヘッド
4…刃組付体
41…刃体
42…枠体
42a…当接面
43…規制部
5…弾性支持体
5a…上端部
5b…可撓部
5c…連結部
5d…左右連結部
6、6m…接続部
61…主体部
62…案内部
62a…上板部
62b…右板部
62c…左板部
63…片持ち梁状ばね
64…係脱部
65、65m…操作部
65a…押圧面
66…板状部
67a、67b…磁石
71…連結クリップ
72…棒状部材
73…連結キャップ