(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157023
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】トリガー式噴出器及びトリガー式噴出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B65D47/34 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061020
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084DB12
3E084JA20
3E084LD22
(57)【要約】
【課題】所望の位置に対して内容物の噴出操作と櫛入れ動作とを片手で行うことが可能な、トリガー式噴出器及びトリガー式噴出器容器を提供する。
【解決手段】トリガー式噴出器1は、容器本体9の口部9aに装着可能な装着部2と、装着部2に取り付けられているとともに容器本体9の内側に配置可能なポンプ3と、ポンプ3に対して回転可能に取り付けられているとともにその牽曳及び解除の繰り返しによって当該ポンプ3を駆動させるトリガー4と、トリガー4の側壁41よりも外側に配置されているとともに当該側壁41に対して回転可能に取り付けられており、先端部63が櫛歯状に構成されている櫛歯状レバー6と、を有している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に装着可能な装着部と、
前記装着部に取り付けられているとともに前記容器本体の内側に配置可能なポンプと、
前記ポンプに対して回転可能に取り付けられているとともにその牽曳及び解除の繰り返しによって当該ポンプを駆動させるトリガーと、
前記トリガーの側壁よりも外側に配置されているとともに当該トリガーの側壁に対して回転可能に取り付けられており、先端部が櫛歯状に構成されている櫛歯状レバーと、を有している、トリガー式噴出器。
【請求項2】
前記櫛歯状レバーは、前記櫛歯状レバー及び前記トリガーのいずれか一方に設けられた軸を前記櫛歯状レバー及び前記トリガーの他方に設けられた軸穴に合わせることによって、前記トリガーの側壁に対して回転可能に取り付けられており、
前記軸及び前記軸穴のいずれか一方の周面の、前記櫛歯状レバーの回転方向の少なくとも1か所に凸部が形成されており、前記軸及び前記軸穴の他方の周面の、前記櫛歯状レバーの回転方向の少なくとも1か所に前記凸部が合わさるとともに当該凸部が乗り越え可能な凹部が形成されている、請求項1に記載されたトリガー式噴出器。
【請求項3】
前記トリガーの側壁及び前記櫛歯状レバーの側壁のいずれか一方の、前記軸穴の前記凹部よりも外側の位置に、前記凹部の形状に沿った輪郭を有した貫通溝が形成されている、請求項2に記載されたトリガー式噴出器。
【請求項4】
前記櫛歯状レバーは、接触によってトリガーの牽曳を規制する牽曳規制部を有している、請求項1~3のいずれか1項に記載されたトリガー式噴出器。
【請求項5】
前記櫛歯状レバーは、前記トリガーの側壁に対して回転可能に取り付けられている2つの側壁と、当該櫛状レバーの前記2つの側壁に連なっているとともに前記トリガーの前壁よりも前側に配置されている前壁と、を有しており、
前記前壁の先端部が前記櫛歯状に構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載されたトリガー式噴出器。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載されたトリガー式噴出器と、前記トリガー式噴出器が装着される口部を有する容器本体と、を有している、トリガー式噴出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式噴出器及びトリガー式噴出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトリガー式噴出器には、押圧ヘッドの上下動によってポンプを駆動させる吐出器であって、前記押圧ヘッドの上下動をトリガーの牽曳及びその解除の繰り返しによって行わせるものがある(例えば、特許文献1参照。)。こうした従来のトリガー式噴出器は、例えば、ヘアスプレーとして使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のトリガー式噴出器は、例えば、寝ぐせ直しに使用する場合、後頭部側などの目視し難い場所の所望の位置に対して内容物を噴霧することが困難である。その一方、本願発明者は、上記従来のトリガー式噴出器は、一方の手によって内容物を噴霧する一方、他方の手によって櫛入れをする必要があることを認識するに至った。
【0005】
本発明の解決課題は、所望の位置に対して内容物の噴出操作と櫛入れ動作とを、片手で行えないことにある。したがって、本発明の目的は、所望の位置に対して内容物の噴出操作と櫛入れ動作とを片手で行うことが可能な、トリガー式噴出器及びトリガー式噴出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るトリガー式噴出器は、容器本体の口部に装着可能な装着部と、前記装着部に取り付けられているとともに前記容器本体の内側に配置可能なポンプと、前記ポンプに対して回転可能に取り付けられているとともにその牽曳及び解除の繰り返しによって当該ポンプを駆動させるトリガーと、前記トリガーの側壁よりも外側に配置されているとともに当該トリガーの側壁に対して回転可能に取り付けられており、先端部が櫛歯状に構成されている櫛歯状レバーと、を有している。
【0007】
本発明に係るトリガー式噴出器において、前記櫛歯状レバーは、前記櫛歯状レバー及び前記トリガーのいずれか一方に設けられた軸を前記櫛歯状レバー及び前記トリガーの他方に設けられた軸穴に合わせることによって、前記トリガーの側壁に対して回転可能に取り付けられており、前記軸及び前記軸穴のいずれか一方の周面の、前記櫛歯状レバーの回転方向の少なくとも1か所に凸部が形成されており、前記軸及び前記軸穴の他方の周面の、前記櫛歯状レバーの回転方向の少なくとも1か所に前記凸部が合わさるとともに当該凸部が乗り越え可能な凹部が形成されているものとすることができる。
【0008】
本発明に係るトリガー式噴出器は、前記トリガーの側壁及び前記櫛歯状レバーの側壁のいずれか一方の、前記軸穴の前記凹部よりも外側の位置に、前記凹部の形状に沿った輪郭を有した貫通溝が形成されているものとすることができる。
【0009】
本発明に係るトリガー式噴出器において、前記櫛歯状レバーは、接触によってトリガーの牽曳を規制する牽曳規制部を有しているものとすることができる。
【0010】
本発明に係るトリガー式噴出器において、前記櫛歯状レバーは、前記トリガーの側壁に対して回転可能に取り付けられている2つの側壁と、当該櫛状レバーの前記2つの側壁に連なっているとともに前記トリガーの前壁よりも前側に配置されている前壁と、を有しており、前記前壁の先端部が前記櫛歯状に構成されているものとすることができる。
【0011】
本発明に係るトリガー式噴出容器は、上記いずれのトリガー式噴出器と、前記トリガー式噴出器が装着される口部を有する容器本体と、を有している。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所望の位置に対して内容物の噴出操作と櫛入れ動作とを片手で行うことが可能な、トリガー式噴出器及びトリガー式噴出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、トリガー式噴出容器の初期状態を、当該容器の中心線を含む断面で示す要部断面図である。
【
図2】
図1のトリガー式噴出容器のストッパ解除状態を、当該容器の中心線を含む断面で示す要部断面図である。
【
図3】
図1のトリガー式噴出容器の櫛入れ可能状態を、当該容器の中心線を含む断面で示す要部断面図である。
【
図4】
図3のトリガー式噴出容器の使用例を示す要部断面図である。
【
図5A】
図1のトリガー式噴出容器の、櫛歯状レバーの正面図である。
【
図5B】
図1のトリガー式噴出容器の、櫛歯状レバーの底面図である。
【
図6】
図1のトリガー式噴出容器の、トリガーの側壁の内側を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、トリガー式噴出器及びトリガー式噴出容器について説明をする。
【0015】
図1中、符号100は、本発明の一実施形態に係るトリガー式噴出容器である。トリガー式噴出容器100は、本発明の一実施形態に係るトリガー式噴出器1と、トリガー式噴出器1が装着される口部9aを有する容器本体9と、を有している。トリガー式噴出容器100は、例えば、整髪料、ヘアウォータ(寝ぐせ直し液)などの内容物Cを、液状若しくは泡状に噴出、又は、霧状に噴霧させることができる。本実施形態では、内容物Cを霧状に噴霧することができる。
【0016】
本実施形態において、容器本体9は、口部9aと、口部9aに連なるネック部9bと、ネック部9bに連なる肩部9cと、肩部9cに連なる胴部9dと、胴部9dに連なる底部(図示省略)とを有し、当該底部によって胴部9dは閉じられている。容器本体9の内側には、内容物Cを収納するための収納空間S9が形成されている。収納空間S9は、口部9aの内側に形成された開口A9を通して外界に通じている。容器本体9は、例えば、樹脂製のブロー成型ボトルが挙げられる。ただし、容器本体9は、その内側に口部9aの開口A9を通して通じる収納空間S9が形成されているものであれば、その形状、構造、材質などは限定されない。例えば、容器本体9は、本実施形態のような単層容器に替えて、内層と外層とを有する二重容器(例えば、いわゆるデラミ容器)とすることができる。
【0017】
以下の説明において、中心線Оは、トリガー式噴出器1の中心線である。本実施形態では、中心線Оは、トリガー式噴出容器100の中心線と同軸である。また、以下の説明において、「上」とは、容器本体9の口部9aの側を意味することを含む。また、以下の説明において、「下」とは、容器本体9の底部の側を意味することを含む。さらに、以下の説明において、「前」とは、トリガー式噴出器1の噴出口が指向する方向をいう。また、以下の説明において、「後」とは、中心線Оを挟んでトリガー式噴出器1の噴出口が指向する方向と反対の方向をいう。さらに、「幅」とは、上下方向及び前後方向に対して直交する方向をいう。
【0018】
トリガー式噴出器1は、容器本体9の口部9aに装着可能な装着部2と、装着部2に取り付けられているとともに容器本体9の内側に配置可能なポンプ3と、ポンプ3に対して回転可能に取り付けられているとともにその牽曳及び解除の繰り返しによって当該ポンプ3を駆動させるトリガー4と、トリガー4の側壁41よりも外側に配置されているとともに当該トリガー4の側壁41に対して回転可能に取り付けられており、先端部63が櫛歯状に構成されている櫛歯状レバー6と、を有している。
【0019】
本実施形態において、装着部2は、筒状の装着部である。装着部2は、容器本体9の口部9aを取り囲み、当該口部9aの外周に対して取外し可能に装着されている。本実施形態では、装着部2は、容器本体9の口部9aに対してねじ付けられている。これによって、装着部2は、口部9aに対して取外し可能に装着されている。ただし、装着部2は、ねじ以外の方法によって、口部9aに対して取外し可能に装着されることができる。
【0020】
また、本実施形態において、ポンプ3は、ステム36を動作させることによってポンプ動作を生起させることができる。
【0021】
本実施形態において、ポンプ3は、シリンダ31、逆止弁32、コイルばね33、ピストンガイド34、ピストン35、ステム36及びポンプカバー37を有している。
【0022】
シリンダ31は、容器本体9の口部9aに形成された開口A9に挿入させることができる。本実施形態において、シリンダ31は、中心線Оに沿って延在している。シリンダ31の内部には、下側開口A1が形成されている。下側開口A1は、シリンダ31の内部を容器本体20の収納空間S9に通じさせる。
【0023】
逆止弁32は、シリンダ31に形成された下側開口A1を開放可能に閉じている。逆止弁32は、内容物Cの流れが下側開口A1を通してシリンダ31の内部に導入される方向のときに下側開口A1を開く方向に動作し、シリンダ31の内部に導入された内容物Cが下側開口A1を通して排出される方向のときに下側開口A1を閉じる方向に動作する。本実施形態において、逆止弁32は、ボール弁である。ただし、逆止弁32は、ボール弁に限定されるものではない。
【0024】
コイルばね33は、シリンダ31の内部に配置されている。コイルばね33は、シリンダ31に対してピストンガイド34を弾性支持している。
【0025】
ピストンガイド34は、シリンダ31の内部に配置されている。ピストンガイド34は、ピストン35を貫通している。ピストンガイド34の内部には、内部通路R1が形成されている。内部通路R1は、ピストンガイド34の上端に開放されている。また、ピストンガイド34の側壁には、内部通路R1に通じる開口A2が形成されている。開口A2は、内部通路R1をシリンダ31の内部に通じさせる。さらに、ピストンガイド34は、ピストン35を摺動可能に支持している。これによって、シリンダ31の内部には、シリンダ31とともに、逆止弁32、ピストンガイド34及びピストン35によって区画されたポンプ室S3が形成されている。
【0026】
ピストン35は、シリンダ31の内部に配置されている。ピストン35は、シリンダ31の内周面とピストンガイド34の外周面とを封止している。ピストン35は、シリンダ31の内周面に摺動させることができる。これによって、ピストンガイド34に形成された開口A2は、ピストン35のスライドによって、ポンプ室S3に通じさせることができる。
【0027】
ステム36は、内部通路R2を有している。内部通路R2は、ステム36の内部を中心線Оに沿って貫通している。内部通路R2は、ピストンガイド34に形成された内部通路R1に通じている。ステム36の下端部は、ピストン35に対して接触している。また、ステム36の下端部内周面は、ピストン35の内周部の外周面に対して摺動させることができる。
【0028】
ポンプカバー37は、シリンダ31の上端部に固定されている。ポンプカバー37は、シリンダ31の上側開口を覆っている。本実施形態では、ポンプカバー37の内側には、ステム36が貫通する開口が形成されている。これによって、ステム36は、ポンプカバー37に形成された開口を通して外界に突出している。
【0029】
ポンプ3によれば、ステム36を押し下げると、コイルばね33の付勢力(弾性力)に抗してピストン35を押し下げることができる。また、ポンプ3によれば、ステム36の押し下げを解除すると、ピストン35は、コイルばね33の復元力(弾性力)によって、ピストン35の位置を初期位置に復帰させることができる。これによって、ポンプ3は、ステム36の押下げと当該押下げの解除を繰り返すことによって、ポンプ動作を生起させることができる。
【0030】
なお、本実施形態では、ピストンガイド34とステム36との間には、空間が形成されている。さらに、本実施形態では、ピストンガイド34の側壁には、内部通路R1に通じる開口A4が形成されている。開口A4は、内部通路R1を前記空間に通じさせる。これによって、開口A4は、ピストンガイド34とピストン35との間、並びにピストンガイド34とステム36との間の空気が滞留することを防止している。また、本実施形態では、ポンプ3は、シール部材38を有している。本実施形態では、シール部材38は、シリンダ31に固定されている。シール部材38は、トリガー式噴出器1を容器本体9の口部9aに取り付けたとき、シリンダ31と容器本体9の口部9aとの間を密封する。
【0031】
さらに、本実施形態では、トリガー式噴出器1は、押圧ヘッド5を有している。押圧ヘッド5は、ポンプ3のステム36に取り付けられているとともに噴出口A3を有している。押圧ヘッド5には、内部通路R3が形成されている。内部通路R3は、噴出口A3を通してステム36に形成された内部通路R2を外界に通じさせる。
【0032】
本実施形態では、押圧ヘッド5は、押圧部5aとノズル部5bとを有している。ノズル部5bには、ノズルエレメント5cと、ノズルチップ5dとが収納されている。ノズルエレメント5cの外周面には、内部通路R2の一部を構成する複数の流路溝G1が形成されている。ノズルチップ5dの内周面には、複数のスピン溝G2が形成されている。スピン溝G2は、流路溝G1に通じている。さらに、本実施形態では、噴出口A3は、ノズルチップ5dに形成されている。複数のスピン溝G2は、噴出口A3を通して外界に通じている。これによって、本実施形態では、噴出口A3を通して霧状の内容物Cを噴出させることができる。
【0033】
トリガー4は、ポンプ3に対して回転可能に取り付けられている。本実施形態では、トリガー4は、ポンプカバー37に設けられた支持部39に対して回転可能に取り付けられている。
図1中、符号L1は、トリガー4の回転中心軸である。
【0034】
トリガー4は、例えば、支持部39及びトリガー4のいずれか一方に設けられた軸を支持部39及びトリガー4の他方に設けられた軸穴に合わせることによって、支持部39の側壁に対して回転可能に取り付けることができる。
【0035】
本実施形態では、トリガー4は、2つの側壁41と、前壁42及び上壁43とを有している。2つの側壁41は、幅方向に間隔を置いて配置されている。前壁42は、2つの側壁41に連なっている。上壁43もまた、2つの側壁41に連なっている。本実施形態では、押圧ヘッド5のノズル部5bは、前壁42と上壁43との間に形成された開口を通して外界に突出している。
【0036】
また、本実施形態では、支持部39は、2つの側壁39aと、当該2つの側壁39aに連なる後壁39bとを有している。2つの側壁39aは、幅方向に間隔を置いて配置されている。本実施形態では、トリガー4の側壁41は、支持部39の側壁39aよりも幅方向外側に配置されている。トリガー4は、支持部39の側壁39の幅方向外面に設けられた軸をトリガー4の側壁41に設けられた軸穴(貫通穴)に合わせることによって、支持部39に対して回転可能に取り付けられている。
【0037】
使用者は、トリガー4の前壁42に指を引掛けることによって、トリガー4を牽曳することができる。上壁43は、トリガー4の牽曳によって、押圧ヘッド5の押圧部5aを押し下げる。トリガー4は、例えば、押圧ヘッド5の押圧部5aの側壁に対して回転可能に支持されることによって、トリガー4の牽曳のよって、押圧ヘッド5の押圧部5aを押し下げることができる。また、トリガー4は、その牽曳を解除することによって、コイルばね33の弾性力(復元力)によって、ステム36ともに初期の位置に復帰させることができる。
【0038】
さらに、本実施形態では、トリガー式噴出器1は、押圧ヘッド5の押下げを規制するストッパ7を有している。ストッパ7は、ポンプカバー37に対して回転可能に取り付けられている。
図1中、符号L2は、ストッパ7の回転中心軸である。本実施形態では、ポンプカバー37の支持部39に対して回転可能に取り付けられている。
【0039】
図1は、トリガー式噴出器1の初期状態である。
図1に示すように、ストッパ7は、トリガー式噴出器1の初期状態において、押圧ヘッド5の下側から上側に向かって起立している。これによって、ストッパ7の上端部は、押圧ヘッド5を押し下げたとき、当該押圧ヘッド5と接触し、当該押圧ヘッド5の押下げを規制する。
図2は、トリガー式噴出器1のストッパ解除状態である。
図2に示すように、ストッパ7の上端部は、ポンプカバー37に対して回転させることによって、押圧ヘッド5よりも後側に移動する。これによって、ストッパ7の上端部は、押圧ヘッド5を押し下げたとき、当該押圧ヘッド5の押下げを規制することなく、当該押圧ヘッド5の押下げが可能となる。
【0040】
櫛歯状レバー6は、櫛歯状レバー6及びトリガー4のいずれか一方に設けられた軸11を櫛歯状レバー6及びトリガー4の他方に設けられた軸穴12に合わせることによって、トリガー4の側壁41に対して回転可能に取り付けられている。また、軸11及び軸穴12のいずれか一方の周面の、櫛歯状レバー6の回転方向の少なくとも1か所に凸部13が形成されている。また、軸11及び軸穴12の他方の周面の、櫛歯状レバー6の回転方向の少なくとも1か所に凸部13が合わさるとともに当該凸部13が乗り越え可能な凹部14が形成されている。この場合、櫛歯状レバー6は、凸部13と凹部14とを合わせること(嵌合させること)によって所望の位置に固定させることができる。
【0041】
図2を参照すれば、本実施形態では、軸11は、櫛歯状レバー6の側壁61の幅方向内面に設けられている。本実施形態では、軸11は、側壁61の幅方向内面から突出している丸棒(円柱)形状の軸である。また、本実施形態では、軸穴12は、トリガー4の側壁41に設けられている。本実施形態では、軸穴12は、側壁41を貫通している丸穴形状の軸穴である。本実施形態では、櫛歯状レバー6は、軸11をトリガー4に設けられた軸穴12に嵌合させることによって、トリガー4の側壁41に対して回転可能に取りを付けられている。
【0042】
【0043】
例えば、
図5Aを参照すれば、本実施形態では、櫛歯状レバー6は、2つの側壁61と、前壁62と、を有している。2つの側壁61は、幅方向に間隔を置いて配置されている。
図2を参照すれば、櫛歯状レバー6の側壁61は、トリガー4の側壁41に対して当該側壁41よりも幅方向外側の位置で回転可能に取り付けられている。また、本実施形態では、櫛歯状レバー6の前壁62は、2つの側壁61に連なっているとともにトリガー4の前壁42よりも前側に配置されている。また、本実施形態では、櫛歯状レバー6の先端部63が櫛歯状に構成されている。本実施形態では、先端部63は、幅方向に間隔を置いて配置された複数の櫛歯63aによって構成されている。
図5Bを参照すれば、本実施形態では、前壁62は、前側に突出している湾曲形状である。また、本実施形態では、先端部63は、幅方向に間隔を置いて配置された5つの櫛歯63aによって構成されている。本実施形態では、櫛歯状レバー6の前壁62は、2つの側壁61に架け渡されている。この場合、櫛歯状レバー6の剛性を高めることができる。
【0044】
図5Cを参照すれば、本実施形態では、1つの凸部13が軸11の外周面の周方向の1か所に形成されている。本実施形態では、凸部13は、上側に向かって突出している。また、本実施形態では、凸部13は、
図5Cに示すように側面視において、円弧形状を有している。
【0045】
図6は、トリガー4の側壁41の幅方向内側を示す拡大図である。本実施形態では、2つの凹部14a、14bが軸穴12の内周面の周方向の2か所に形成されている。本実施形態では、凹部14a及び14bはそれぞれ、
図6に示すように側面視において、円弧形状を有している。また、本実施形態では、凹部14aは、
図6に示すように、上側に向かって凹んでいる。また、本実施形態では、凹部14bは、後側に向かって凹んでいる。凸部13は、櫛歯状レバー6をトリガー4に対して回転させたとき、凹部14a及び14bのそれぞれと合わさるとともに当該凹部14a及び14bのそれぞれを乗り越え可能である。本実施形態では、凸部13が凹部14aと合わさったとき、例えば、
図2に示すように、櫛歯状レバー6はトリガー4の側壁41及び前壁42を覆い、当該櫛歯状レバー6の先端部63は、トリガー4の先端部と整列する。また、本実施形態では、凸部13が凹部14bと合わさったとき、櫛歯状レバー6の先端部63は、例えば、
図3に示すように、トリガー4によりも前側に突出する。本実施形態では、凸部13が凹部14bと合わさったとき、櫛歯状レバー6の先端部63は、押圧ヘッド5の噴出口A3よりも上側に位置している。これによって、櫛歯状レバー6は、櫛歯状レバー6の収納位置と、櫛歯状レバー6の使用位置との、所望の位置にロックさせることができる。
【0046】
また、本実施形態では、櫛歯状レバー6は、接触によってトリガー4の牽曳を規制する牽曳規制部64を有している。この場合、内容物Cの噴出量を軽減させることができる。
【0047】
図3を参照すれば、本実施形態では、牽曳規制部64は、櫛歯状レバー6の後側部分である。本実施形態では、牽曳規制部64は、軸穴12よりも後側の、櫛歯状レバー6の後側部分である。本実施形態では、櫛歯状レバー6を前側に突出させた状態で、トリガー4を後側に牽曳すると、牽曳規制部64は、ポンプ3のポンプカバー37に接触する。例えば、
図3を参照すれば、牽曳規制部64は、側面視において櫛歯状レバー6の後側部分の輪郭形状を形作る、櫛歯状レバー6の後側部分の端縁とすることができる。これによって、本実施形態では、トリガー4の牽曳を規制することができる。この場合、トリガー4の牽曳量(ストローク量)が抑えられることによって、内容物Cの噴出量を軽減させることができる。
【0048】
本実施形態では、トリガー4の側壁41及び櫛歯状レバー6の側壁61のいずれか一方の、軸穴12の凹部14よりも外側の位置に、凹部14の形状に沿った輪郭を有した貫通溝16が形成されている。この場合、櫛歯状レバー6を回動するとき、凹部14との合わせ及び乗り越えの移動をスムーズにすることができる。
【0049】
図6を参照すれば、本実施形態では、貫通溝16は、トリガー4の側壁41に形成されている。貫通溝16は、軸穴12の凹部14よりも外側の位置に、凹部14a及び凹部14b並びに凹部14a及び凹部14bの間の軸穴12の形状に沿った輪郭を有している。これによって、軸穴12と貫通溝16との間には、凹部14a、軸穴12及び凹部14bの形状に沿った帯状部45が形成される。この場合、櫛歯状レバー6を回動するとき、帯状部45が弾性変形することによって、凹部14aと凹部14bの移動をスムーズにすることができる。
【0050】
ここで、トリガー式噴出容器100の使用例について説明する。なお、以下の説明は、内容物Cとしてヘアウォータを噴霧する場合を例としている。
【0051】
図1に示すように、トリガー式噴出容器100の初期状態は、ストッパ7によってトリガー4の牽曳が規制されている。このため、使用者は、トリガー4を牽曳することによって内容物Cを噴出させることができない。
【0052】
使用者が内容物Cを噴出させようとするときは、
図2に示すように。ストッパ7を回転させることによって、当該ストッパを解除する。これによって、トリガー4の牽曳が可能になる。本実施形態では、櫛歯状レバー6は、トリガー4よりも前側に配置されているため、櫛歯状レバー6は、トリガー4の牽曳を妨げない。したがって、本実施形態では、
図2に示すように、櫛歯状レバー6を下ろしたまま、通常と同じように、トリガー4の牽曳及び解除を繰り返すことによって、内容物Cを噴出口A3から噴霧させることができる。このとき、凸部13が凹部14aと嵌合している。
【0053】
これに対し、後ろ髪のくせ毛(寝ぐせ)をピンポイントで直したい場合には、
図3に示すように、櫛歯状レバー6を回転させて凸部13が凹部14bと嵌合するまで当該櫛歯状レバー6を引き上げる。本実施形態では、櫛歯状レバー6の先端部63は、櫛歯状になっている。このため、本実施形態によれば、
図4に示すように、後ろ髪のくせ毛を櫛歯状レバー6の先端部63で押さえながら、又は、すきながら、トリガー4の牽曳及び解除を繰り返すことによって、内容物Cをくせ毛の部分にめがけて内容物Cを噴霧させることができる。したがって、本実施形態では、所望の位置に対して内容物Cの噴出操作と櫛入れ動作とを片手で行うことが可能となる。
【0054】
また、本実施形態によれば、トリガー4から引き上げられた櫛歯状レバー6は、噴霧先の狙いを付けるためのガイドとなる。このため、使用者は、トリガー式噴出容器100を後ろ髪にまわして噴霧するときに、噴霧の方向が定まらなくなるといった状況を回避することができる。また、これによって、内容物Cを無駄なく所望の位置に噴霧させることができる。即ち、本実施形態によれば、少量の内容物Cをより簡便に所望の位置に噴霧させることができる。
【0055】
特に、本実施形態では、櫛歯状レバー6を引き上げることによって、櫛歯状レバー6は、牽曳規制部65とポンプカバー37との接触によってトリガー4の牽曳を規制することができる。これによって、内容物Cをより無駄なく噴霧させることができる。
【0056】
使用後は、
図2に示すように、櫛歯状レバー6を下ろせば、トリガー式噴出容器100を従来のトリガー式噴出容器とほとんど変わらない大きさにすることができる。そして、ストッパ7を回転させることによって、
図1の初期状態に戻すことができる。
【0057】
本実施形態では、櫛歯状レバー6を上げ下げは、凸部13と凹部14との嵌合(合わせ)によってロックさせることができる。また、凸部13と凹部14との嵌合及びその解除(乗り越え)は、貫通溝16が形成されていることによってスムーズに行うことができる。
【0058】
上述のとおり、本実施形態によれば、所望の位置に対して内容物Cの噴出操作と櫛入れ動作とを片手で行うことが可能な、トリガー式噴出器1及びトリガー式噴出容器100を提供することができる。
【0059】
なお、
図1を参照すれば、本実施形態では、トリガー式噴出器1は、正倒立両用アダプタ8と、パイプPとを有している。正倒立両用アダプタ8は、外筒8aと、内筒8bと、逆止弁8cとを有している。外筒8aには、ポンプ3のシリンダ31に通じる開口A5が形成されている。内筒8bは、外筒8aの内側に配置されている。内筒8bには、パイプPが接続されている。また、内筒8bには、パイプPに形成された内部通路R4に通じる開口A6と、開口A6を外筒8aと内筒8bとの間の流路に通じさせる開口A7と、開口A6,A7を内筒8bの内部に通じさせる開口A8とが形成されている。逆止弁8cは、内容物Cの流れが開口A8を通して内筒8bの内部に導入される方向のときに開口A8を開く方向に動作し、内筒8bの内部に導入された内容物Cが開口A8を通して排出される方向のときに開口A8を閉じる方向に動作する。本実施形態において、逆止弁8cは、ボール弁である。ただし、逆止弁8cは、ボール弁に限定されるものではない。
【0060】
トリガー式噴出容器100が正立姿勢(
図1に示すようにトリガー式噴出器1が上に位置している姿勢)のとき、逆止弁8cは開口A8を閉じ、内容物Cは、パイプPに形成された内部通路R4からポンプ3のシリンダ31に導入される。また、トリガー式噴出容器100が倒立姿勢(
図1とは反対にトリガー式噴出器1が下に位置している姿勢)のとき、逆止弁8cは開口A8を開き、内容物Cは、開口A5からポンプ3のシリンダ31に導入される。本実施形態のように、パイプPが正倒立両用アダプタ8を介してポンプ3に接続されている場合、トリガー式噴出容器100が倒立姿勢のときにも、内容物Cを噴霧させることができる。ただし、本発明によれば、パイプPは、正倒立両用アダプタ8を省略することによって、ポンプ3に直結させることができる。
【0061】
以上、本発明の様々な実施形態に係る、球状物用容器について説明したが、本発明は、上記各実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で、様々に変更することができる。例えば、本実施形態では、内容物Cの噴出口A3からの噴出形態は、霧状であるが、液状(ストレート、シャワーを含む)とすることができる。また、本実施形態において、トリガー式噴出器1は、トリガー4の牽曳及び解除の繰り返しによってステム36を動作させるものであるが、本発明によれば、シリンダ31及びピストン35を前後方向に配置し、トリガー4の牽曳及び解除の繰り返しによってピストン35を直接動作させるものにも適用させることもできる。また、押圧ヘッド5の噴出口A3は、例えば、トリガー4のレイアウトに応じて、ノズル部5bを省略することによって、押圧部5aに設けることができる。また、櫛歯状レバーの先端部63は、前壁62に対して別体に構成することができる。また。櫛歯状レバーの先端部63は、例示的な櫛歯状の構造として、ブラシなどを採用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1:トリガー式噴出器, 2:装着部, 3:ポンプ, 31:シリンダ, 32:逆止弁, 33:コイルばね, 34:ピストンガイド, 35:ピストン, 36:ステム, 37:ポンプカバー, 38:シール部材, 39:支持部, 39a:支持部の側壁, 39b:支持部の後壁, 4:トリガー, 41:トリガーの側壁, 42:トリガーの前壁, 43:トリガーの上壁, 5:押圧ヘッド, 5a:押圧部, 5b:ノズル部, 6:櫛歯状レバー, 61:櫛歯状レバーの側壁, 62:櫛歯状レバーの前壁, 63:先端部, 64:牽曳規制部, 7:ストッパ, 8:正倒立両用アダプタ, 9:容器本体, 9a:口部, 9b:ネック部, 9c:肩部, 9d:胴部, 11:軸、 12:軸穴, 13:凸部, 14:凹部, 16:貫通溝, 100:トリガー式噴出容器, P:パイプ, О:トリガー式噴出容器の中心線