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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157053
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】電気融着継手および融着システム
(51)【国際特許分類】
   F16L 47/03 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
F16L47/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061061
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 愛美子
(72)【発明者】
【氏名】北側 文夏
【テーマコード(参考)】
3H019
【Fターム(参考)】
3H019GA03
(57)【要約】
【課題】手間を減らし、簡易に融着機と接続することが可能な電気融着継手を提供することができる。
【解決手段】電気融着継手1では、ストッパ部22は、筒状部21の内面21aに内側に突出するように配置され、継手受口部23、24の内側に樹脂管11、12が挿入された際に樹脂管11,12の管端11a、12aの挿入位置を規制する。電熱線7は、継手受口部23、24およびストッパ部22に配置され、絶縁体に被膜されている。コネクタ取付部6は、電熱線7に通電を行う融着機8のコネクタ83が取り付けられる。コネクタ取付部6は、第1端子61と、第2端子62と、収納壁63と、有する。第1端子61は、電熱線7の両端のうち第1端7e1に接続されている。第2端子62は、電熱線の第1端7e1と反対側の第2端7e2に接続されている。収納壁63は、第1端子61と第2端子62を収納し、筒状部21から外側に向かって突出している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を含む管が内側に挿入可能な継手受口部を有する筒状部と、
前記筒状部の内面に内側に突出するように配置され、前記継手受口部の内側に前記管が挿入された際に前記管の管端の挿入位置を規制するストッパ部と、
前記継手受口部および前記ストッパ部に配置された電熱線と、
前記電熱線に通電を行う融着機のコネクタが取り付けられるコネクタ取付部と、を備え、
前記コネクタ取付部は、
前記電熱線の両端のうち第1端に接続された継手側第1端子と、
前記電熱線の前記第1端と反対側の第2端に接続された継手側第2端子と、
前記継手側第1端子と前記継手側第2端子を収納し、前記筒状部から外側に向かって突出した収納壁と、を有する、
電気融着継手。
【請求項2】
前記継手側第1端子および前記継手側第2端子は、
前記電熱線のうち前記継手受口部および前記ストッパ部に巻き回されて配置された電熱線部分における前記筒状部の軸に沿った方向の両端に対応する位置若しくは該位置よりも内側に配置されている、
請求項1に記載の電気融着継手。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電気融着継手と、
前記電気融着継手の前記コネクタ取付部に取り付けられる前記コネクタを有する前記融着機と、を備え、
前記コネクタは、前記継手側第1端子に接続される融着機側第1端子と、前記継手側第2端子に接続される融着機側第2端子を有する、
融着システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気融着継手および融着システムに関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂管や、樹脂層および金属補強層を有する金属補強複合管などの樹脂が用いられた管体どうしを接続する際に、電気融着継手が多用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示す電気融着継手は、管が挿入される継手受口部と、内周面から内側に突出し、管の挿入を規制するストッパ部と、継手受口部およびストッパ部に配置された電熱線と、を有している。電熱線の両端は、外側に向かって設けられた2つの端子に繋がっている。2つの端子の各々に、融着機のコネクタを接続して管を継手受口部に挿入した状態で、電熱線に通電を行うことによって電熱線が加熱し、管と電気融着継手が熱融着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-87286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す電気融着継手では、2つの端子に別々に融着機のコネクタを接続する必要があり、手間がかかっていた。
【0006】
本開示は、手間を減らし、簡易に融着機と接続することが可能な電気融着継手、および電気融着継手を用いた融着システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の開示にかかる電気融着継手は、筒状部と、ストッパ部と、電熱線と、コネクタ取付部と、を備える。筒状部は、熱可塑性樹脂を含む管が内側に挿入可能な継手受口部を有する。ストッパ部は、筒状部の内面に内側に突出するように配置され、継手受口部の内側に管が挿入された際に管の管端の挿入位置を規制する。電熱線は、継手受口部およびストッパ部に配置されている。コネクタ取付部は、電熱線に通電を行う融着機のコネクタが取り付けられる。コネクタ取付部は、継手側第1端子と、継手側第2端子と、収納壁と、有する。継手側第1端子は、電熱線の両端のうち第1端に接続されている。継手側第2端子は、電熱線の第1端と反対側の第2端に接続されている。収納壁は、継手側第1端子と継手側第2端子を収納し、筒状部の外側に向かって突出している。
【0008】
このように、電熱線に通電するための継手側第1端子と継手側第2端子が、1つのコネクタ取付部にまとめて収納されているため、電熱線に通電する融着機の2つの端子も1つのコネクタにまとめることができる。そのため、電熱線の両端の2つの端子と、融着機の2つの端子を同時に接続することができ、接続の手間を減らすことができる。
【0009】
第2の開示にかかる電気融着継手は、第1の開示にかかる電気融着継手であって、継手側第1端子および継手側第2端子は、電熱線のうち継手受口部およびストッパ部に巻き回されて配置された電熱線部分における筒状部の軸に沿った方向の両端に対応する位置若しくは該位置よりも内側に配置されている。
【0010】
これにより、継手側第1端子および継手側第2端子を1つの収納壁で収納しやすくできる。
【0011】
また、継手側第1端子と継手側第2端子を、継手受口部およびストッパ部に巻き回されて配置された電熱線部分と接続しやすくなる。
第3の開示にかかる融着システムは、第1または第2の開示にかかる電気融着継手と、融着機と、を備える。融着機は、電気融着継手のコネクタ取付部に取り付けられるコネクタを有する。コネクタは、継手側第1端子に接続される融着機側第1端子と、継手側第2端子に接続される融着機側第2端子を有する。
【0012】
これにより、融着機のコネクタを、電気融着継手のコネクタ取付部に取り付けるだけで、電気融着継手の2つの端子と、融着機の2つの端子を同時に接続することができ、接続の手間を減らすことができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、手間を減らし、簡易に融着機と接続することが可能な電気融着継手、および電気融着継手を用いた融着システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示にかかる実施の形態における融着システムを示す外観図。
図2図1の電気融着継手を示す断面構成図。
図3図1の電気融着継手に樹脂管および樹脂管を挿入した状態を示す断面構成図。
図4図1の電気融着継手の上面図、(b)他の例の電気融着継手の上面図。
図5図1の融着機のコネクタの拡大図。
図6】本開示にかかる実施の形態の接続方法に用いられる治具を示す斜視図。
図7図6の治具に樹脂管、電気融着継手、および樹脂管を取り付けた状態を示す図。
図8】本開示にかかる実施の形態の接続方法を示すフロー図。
図9図7の電気融着継手に融着機のコネクタを取り付けた状態を示す図。
図10】融着後の電気融着継手と樹脂管を示す断面構成図。
図11】他の例の電気融着継手を示す断面構成図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本開示にかかる実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
<構成>
(融着システム10の概要)
図1は、本実施の形態の融着システム10の構成を示す図である。
【0017】
融着システム10は、電気融着継手1と、融着機8とを備える。電気融着継手1は、樹脂管11、12の間に配置される。融着機8は、電気融着継手1に通電を行って、電気融着継手1と樹脂管11、12を融着する。
【0018】
電気融着継手1は、樹脂管11および樹脂管12と融着され、樹脂管11と樹脂管12を接続する。図1に示す電気融着継手1と樹脂管11と樹脂管12によって配管構造100が構成される。
【0019】
樹脂管11、及び樹脂管12は、それぞれ熱可塑性樹脂で形成されている。具体的には、樹脂管11、及び樹脂管12は、ポリエチレンなどのポリオレフィンからなる。また、樹脂管11、12は、単層管であっても、多層管であってもよい。
樹脂管11及び樹脂管12には、内部に断面円形状の流路11f、12fが延びている。電気融着継手1には、内部に断面円形状の流路1fが延びている。樹脂管11と樹脂管12が電気融着継手1によって接続された状態では、樹脂管11と樹脂管12と電気融着継手1の各々の流路の軸線は、同一直線上に配置される。
【0020】
なお、電気融着継手1、樹脂管11、および樹脂管12の流路に対して、それぞれの軸線が延びる方向を軸線方向Aとする。また、電気融着継手1、樹脂管11、および樹脂管12において、それぞれの軸線に直交して近接・離間する方向を径方向Bとし、それぞれの軸線回りに回る方向を周方向Cとする。
【0021】
樹脂管11は軸線方向Aのうち電気融着継手1に対して矢印A1方向に相対移動して電気融着継手1に接続される。また、樹脂管12は軸線方向Aのうち電気融着継手1に対して矢印A2方向に相対移動して電気融着継手1に接続される。電気融着継手1に樹脂管11および樹脂管12が融着して接続された状態が、配管構造100を構成する。
【0022】
(電気融着継手1)
図2は、電気融着継手1の断面構成を示す図である。
【0023】
電気融着継手1は、図1及び図2に示すように、本体部2と、受口発熱部3、4と、ストッパ発熱部5と、コネクタ取付部6と、を有する。
【0024】
(本体部2)
本体部2は、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂で形成されており、図2に示すように、筒状部21と、ストッパ部22と、を有する。筒状部21は、筒状であって、継手受口部23と、継手受口部24と、連設部25と、を有する。継手受口部23の内側には、樹脂管11が挿入される。継手受口部24の内側には、樹脂管12が挿入される。
【0025】
本体部2で用いられる熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、230℃未満の融点のものが好ましい。具体的にはポリエチレンが挙げられる。
【0026】
図3は、電気融着継手1の継手受口部23の内側に樹脂管11を挿し込み、継手受口部24の内側に樹脂管12を挿し込んだ状態を示す断面構成図である。
【0027】
継手受口部23の内径は、樹脂管11の外径以上に形成されている。また、継手受口部24の内径は、樹脂管12の外径以上に形成されている。なお、樹脂管11の外径が継手受口部23の内径よりも大きい場合には、スクレーパ等で樹脂管11の外周を削ることによって樹脂管11を継手受口部23に挿入することができる。また、樹脂管12の外径が継手受口部24の内径よりも大きい場合には、スクレーパ等で樹脂管12の外周を削ることによって樹脂管12を継手受口部23に挿入することができる。
【0028】
連設部25は、図2に示すように継手受口部23と継手受口部24に連なっており、継手受口部23と継手受口部24を接続する。連設部25は、継手受口部23と継手受口部24の間を繋ぐ部分であり、後述するストッパ部22が径方向Bの内側に設けられている。
【0029】
(ストッパ部22)
ストッパ部22は、円環状部分である。ストッパ部22は、筒状部21の内面21aに周方向Cに沿って突条に全周にわたって形成されている。ストッパ部22も熱可塑性樹脂が含まれ、好ましくは筒状部21で用いられる熱可塑性樹脂と同一の樹脂で形成される。
【0030】
ストッパ部22は、筒状部21の内面21aから径方向の内側に向かって突出するように形成されている。また、ストッパ部22は、筒状部21の連設部25の径方向Bの内側に配置されている。なお、ストッパ部22は、筒状部21と一つの部材として形成されてもよいし、筒状部21と別部材として形成されてもよい。
【0031】
ストッパ部22は、第1側面22aと、第2側面22bと、周面22cとを有する。周面22cは、ストッパ部22の径方向内側の端面である。
【0032】
第1側面22aは、筒状部21の内面21aから径方向Bの内側に向かって軸線方向Aに対して略垂直に形成されている。第1側面22aは、ストッパ部22の継手受口部23側の側面である。
【0033】
第2側面22bは、筒状部21の内面21aから径方向Bの内側に向かって軸線方向Aに対して略垂直に形成されている。第2側面22bは、ストッパ部22の継手受口部24側の側面である。
【0034】
周面22cは、第1側面22aの径方向内側の端と、第2側面22bの径方向内側の端を繋ぐ。周面22cは、筒状部21の内面21aと概ね平行に形成されている。
【0035】
継手受口部23の内側に樹脂管11が挿入されると、図3に示すように、ストッパ部22の第1側面22aに樹脂管11の管端11aが接触し、管端11aの挿入位置が規制される。なお、第1側面22aに管端11aが接触するとは、第1側面22aに管端11aが直接接触する場合と、管端11aがストッパ発熱部5の電熱線7(後述する)を介して第1側面22aに間接的に接触する場合を含む。
【0036】
継手受口部24の内側に樹脂管12が挿入されると、図3に示すように、ストッパ部22の第2側面22bに樹脂管12の管端12aが接触し、管端12aの挿入位置が規制される。なお、第2側面22bに管端12aが接触するとは、第2側面22bに管端12aが直接接触する場合と、管端12aがストッパ発熱部5の電熱線7(後述する)を介して第2側面22bに間接的に接触する場合を含む。
【0037】
(受口発熱部3、4)
受口発熱部3は、継手受口部23に設けられている。受口発熱部4は、継手受口部24に設けられている。
【0038】
受口発熱部3、4および後述するストッパ発熱部5は、1本の電熱線7が巻き回されて形成されている。ここで、説明のために、電熱線7のうち受口発熱部3を形成する部分を電熱線部分7aとし、電熱線7のうち受口発熱部4を形成する部分を電熱線部分7cとし、電熱線7のうちストッパ発熱部5を形成する部分を電熱線部分7bとする。
【0039】
電熱線7は、例えば導線71と、絶縁皮膜72を有している。導線71は、例えばニクロム線、鉄クロム2種線,鉄クロム1種線,ニッケルクロム線などを用いることができる。導線71の線径は、例えば、φ0.3~0.8mmに設定することができる。φ0.3mm未満の場合、巻き線時の張力で伸長し抵抗値が不安定になるおそれがある。また、導線71の単位長さの抵抗値は、線径に応じて2~21Ω/m程度である。
【0040】
絶縁皮膜72は、導線の周囲を覆うように設けられている。絶縁皮膜72は、融点が230度以上である。これは、本実施の形態において熱可塑性樹脂が溶融する温度(例えばポリエチレンの場合、電熱線は220度まで加熱する)でも溶融しない温度に設定されている方が好ましい。絶縁皮膜72は、例えばフッ素系樹脂またはイミド系樹脂で形成することができるが、ポリイミド系樹脂で形成する方がより好ましい。例えば、導線71の厚みは0.1mm以上10mm以下に設定してもよい。なお、電熱線7は、絶縁皮膜72を有していなくてもよい。
【0041】
受口発熱部3は、図2に示すように筒状部21の一方の端である継手受口部23において内面21aに埋め込まれた電熱線部分7aを有している。
【0042】
受口発熱部3では、電熱線7は、内面21aに沿って周方向に2周巻き回されるように配置されている。受口発熱部3において、2周巻き回された電熱線部分7aは軸線方向Aにおいて隣接して配置されている。電熱線部分7aは、内面21aの近傍に配置されている。なお、電熱線部分7aは、一部が流路1f側に露出するように筒状部21に埋められていてもよいし、完全に埋設されていてもよい。
【0043】
受口発熱部4は、図2に示すように筒状部21の他方の端である継手受口部24において内面21aに埋め込まれた電熱線部分7cを有している。
【0044】
受口発熱部4では、電熱線7は、内面21aに沿って周方向に2周巻き回されるように配置されている。受口発熱部4において、2周巻き回された電熱線部分7cは軸線方向Aにおいて隣接して配置されている。電熱線部分7cは、内面21aの近傍に配置されている。なお、電熱線部分7cは、一部が流路1f側に露出するように筒状部21に埋められていてもよいし、完全に埋設されていてもよい。
【0045】
受口発熱部4は、受口発熱部3とストッパ部22を基準に左右対称に設けられている。図2に示すように、軸線方向Aにおいて、受口発熱部3はストッパ部22に隣り合うように配置されている。また、軸線方向Aにおいて、受口発熱部4はストッパ部22に隣り合うように配置されている。例えば、図2に示すように、第1側面22aを径方向Bに延ばした仮想面S1に、受口発熱部3のうち最もストッパ部22に近い電熱線部分7aが接するように、電熱線部分7aは配置されている。また、図2に示すように、第2側面22bを径方向Bに延ばした仮想面S2に、受口発熱部4のうち最もストッパ部22に近い電熱線部分7cが接するように電熱線部分7cは配置されている。
【0046】
(ストッパ発熱部5)
ストッパ発熱部5は、ストッパ部22に設けられている。ストッパ発熱部5は、電熱線7のうち電熱線部分7bを有している。電熱線7は、軸線方向Aに沿って周方向Cに巻き回されるようにストッパ部22に設けられている。電熱線7は、本実施の形態では、ストッパ部22にたとえば4周巻き回されている。ストッパ部22において、4周巻き回された電熱線部分7bは、軸線方向Aにおいて全て隣接している。
【0047】
電熱線部分7bは、ストッパ部22に埋め込まれているが、一部が第1側面22a、第2側面22bまたは周面22cから流路1f側に露出するようにストッパ部22に埋められていてもよい。
【0048】
(コネクタ取付部6)
コネクタ取付部6には、融着機8のコネクタ83が取り付けられる。コネクタ取付部6は、図2に示すように、軸線方向Aにおいて筒状部21の中央部に配置されている。コネクタ取付部6は、筒状部21の外面21dから径方向の外側に向かって突出するように設けられている。図4(a)は、電気融着継手1の上面図である。
【0049】
コネクタ取付部6(ピン)は、第1端子61と、第2端子62と、収納壁63と、を有している。第1端子61および第2端子62は、金属で形成されている。収納壁63は、樹脂で形成されている。第1端子61および第2端子62は、電熱線7の両端に接続される。第1端子61と第2端子62は、筒状部21の軸線方向Aの中央近傍に軸線方向Aに沿って並んで配置されている。第1端子61は、端21b側に配置されており、第2端子62は、端21c側に配置されている。第1端子61は、図2に示すように、電熱線7の両端のうち端21b側の第1端7e1(電熱線部分7aの端21b側の端)に接続されている。第2端子62は、電熱線7の両端のうち端21c側の第2端7e2(電熱線部分7c側の端)に接続されている。
【0050】
収納壁63は、第1端子61と第2端子62の周囲を覆うように、筒状部21の外面21dから突出して形成されている。収納壁63は、第1端子61と第2端子の周囲をまとめて囲む側壁状に形成されている。本実施の形態では、図4(a)の上面視において、収納壁63は、第1端子61を囲む円環と第2端子62を囲む円環の一部が重なっているように形成されているが、これに限らなくてもよい。例えば、図4(b)に示す収納壁63´のように、第1端子61および第2端子62を囲む四角形状に形成されていてもよい。
【0051】
なお、本実施の形態の電気融着継手1では、電熱線7が軸線方向Aにおける中央寄りに配置されている。このため、電熱線7の両端に接続される第1端子61と第2端子62を1つの収納壁63にまとめて収納することができる。
【0052】
図2において、電熱線7のうち継手受口部23、24およびストッパ部22に巻き回されて配置された電熱線部分7a、7b、7cにおける筒状部21の軸線方向A(軸方向の一例)に沿った方向の両端が端7ae、7ceとして示されている。端7aeは、電熱線部分7aの端21b側の端である。端7ceは、電熱線部分7cの端21c側の端である。なお、電熱線部分7aは、端7aeから第1端7e1を介して第1端子61に繋がっている。電熱線部分7cは、端7ceから第2端7e2を介して第2端子62に繋がっている。
【0053】
軸線方向Aに沿った方向における端7aeと同じ位置が、位置P1として示されている。なお、位置P1は、端7aeの中心を通る位置で示されている。また、軸線方向Aに沿った方向における端7acと同じ位置が位置P2として示されている。位置P2は、端7acの中心を通る位置で示されている。
【0054】
本実施の形態では、軸線方向Aに対して垂直に配置されている第1端子61の中心軸61a(図2および図4(a)参照)は、軸線方向Aにおいて、位置P1よりも中央寄りの内側に配置されている。また、軸線方向Aに対して垂直に配置されている第2端子62の中心軸62a(図2および図4(a)参照)は、軸線方向Aにおいて、位置P2よりも中央寄りの内側に配置されている。
【0055】
このように、軸線方向Aにおいて、第1端子61および第2端子62を、それぞれの中心軸61a、62aが位置P1、P2よりも内側に位置するように本体部2に配置することによって、収納壁63によって、第1端子61および第2端子62を収納しやすくなる。なお、軸線方向Aにおいて、中心軸61aが位置P1上に位置し、中心軸62aが位置P2上に位置するように、第1端子61および第2端子62が本体部2に配置されていてもよい。
【0056】
なお、後述する融着機8のコネクタ83は、電気融着継手1の口径に関わらず共通である方が好ましいが、継手の口径が大きくなるほど電熱線7の径が大きくなる。そのため、使用する最大口径の第1端子61および第2端子62の位置に小口径の電気融着継手の第1端子61および第2端子62の位置も合わせる方が好ましい。このため、小口径の電気融着継手1の場合、軸線方向Aにおいて、中心軸61a、62aが位置P1、P2よりも外側に位置するように、第1端子61および第2端子62が本体部2に配置されていてもよい。
【0057】
(融着機8)
融着機8は、電気融着継手1に通電を行う。融着機8は、図1に示すように、本体81と、ケーブル82と、コネクタ83と、を有する。
【0058】
本体81は、電気融着継手1に通電を行う際に、オペレータによって操作される操作部等を有している。
【0059】
ケーブル82は、本体81に接続されている。ケーブル82の先端には、コネクタ83が配置されている。コネクタ83は、電気融着継手1のコネクタ取付部6に取り付け可能である。
【0060】
図5は、コネクタ83の拡大図である。コネクタ83は、基台部84と、第1端子85と、第2端子86と、を有する。基台部84には、ケーブル82が接続されている。第1端子85と第2端子86は、外形が略円柱形状であり、基台部84に、並んで配置されている。また、第1端子85と第2端子86は、基台部84から同一方向に向かって突出している。第1端子85は、筒状の外壁部85aと、外壁部85aの内側に配置された挿入部85bとを有する。コネクタ83をコネクタ取付部6に取り付けた際には、挿入部85bの内側には、第1端子61が挿入される。第2端子86は、筒状の外壁部86aと、外壁部86aの内側に配置された挿入部86bとを有する。コネクタ83をコネクタ取付部6に取り付けた際には、挿入部86bの内側には、第2端子62が挿入される。また、コネクタ83をコネクタ取付部6に取り付けた際には、外壁部85a、86aは、収納壁63の内側に挿入される。
【0061】
なお、例えば、電気融着継手1に、その径に応じてタグ等が付属しており、本体81が、タグを読み込むリーダ等を備えていてもよい。これにより、本体81は、電気融着継手1の径に応じて、予め設定された通電時間を自動で設定することができる。これらの動作を実行する場合、本体81は、プロセッサと、記憶装置を含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)である。或いは、プロセッサは、CPUと異なるプロセッサであってもよい。プロセッサは、プログラムに従って通電を制御するための処理を実行する。記憶装置は、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリおよびRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含む。記憶装置は、ハードディスク、あるいはSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含んでいてもよい。記憶装置は、非一時的な(non-transitory)コンピュータで読み取り可能な記録媒体の一例である。記憶装置は、電気融着継手1に通電を行うためのプログラムおよびデータを記憶している。
【0062】
<治具200>
次に、本開示にかかる実施の形態の接続方法に用いる治具200について説明する。治具200に樹脂管11、電気融着継手1および樹脂管12が配置される。図6は、治具200を示す図である。図7は、樹脂管11、電気融着継手1、および樹脂管12を治具200に取り付けた状態を示す図である。
【0063】
治具200は、第1クランプ部210と、第2クランプ部220と、軸部230と、押圧部240と、規制部250と、台座260と、を備える。
【0064】
(台座260)
台座260は、板状の部材である。台座260は、その上面側に配置された第1クランプ部210、第2クランプ部220、軸部230、押圧部240、および規制部250を支持する。
【0065】
(第1クランプ部210)
第1クランプ部210は、樹脂管11を挟み込んで固定する。第1クランプ部210は、下側クランプ部211と、上側クランプ部212と、ヒンジ部213と、締結部214と、軸受け部215と、を有する。下側クランプ部211は、上面に半円形状の凹部211aが形成された部材である。本実施の形態では、下側クランプ部211は、上面に半円形状の凹部が形成された概略直方体形状の部材である。
【0066】
軸受け部215は、下側クランプ部211に設けられている。軸受け部215は、下側クランプ部211に形成された貫通孔に挿入されている。軸受け部215は、凹部211aよりも下側に配置されている。軸受け部215の内側に、後述する軸部230が挿通される。軸受け部215の軸方向は、凹部211aの中心軸と平行に配置されている。これにより、第1クランプ部210は、軸部230に沿って移動することができる。樹脂管11、樹脂管12および電気融着継手1を治具に配置した状態では、軸受け部215の軸方向は、軸線方向Aと平行である。
【0067】
上側クランプ部212は、半円形状の凹部212aが形成された部材である。本実施の形態では、上側クランプ部212は、所定の一面に半円形状の凹部212aが形成された概略直方体形状の部材である。
上側クランプ部212と下側クランプ部211は、それらに形成された凹部212aおよび凹部211aで樹脂管11の外周を挟み込むことができる。樹脂管11を挟み込んだ状態において凹部212aと凹部211aの中心軸は概ね一致する。また、樹脂管11を挟み込んだ状態において、この中心軸は上述した軸線方向Aと一致する。
【0068】
ヒンジ部213は、下側クランプ部211と上側クランプ部212の端同士を回動可能に連結する。ヒンジ部213を中心にして下側クランプ部211に対して上側クランプ部212が回動可能に構成されている。上側クランプ部212は、ヒンジ部213を中心にして回転した際に、その凹部212aが下側クランプ部211の凹部211aと対向するようにヒンジ部213を介して下側クランプ部211に取り付けられている。
【0069】
ヒンジ部213を中心に、下側クランプ部211と上側クランプ部212の間が開いた状態で、樹脂管11が下側クランプ部211の凹部211aに沿って配置される。その後、上側クランプ部212がヒンジ部213を中心に回動し、樹脂管11が凹部212aに嵌るように配置される。
【0070】
締結部214は、いわゆるスナップ錠である。締結部214は、錠本体214aと、突起214bと、を有する。締結部214は、下側クランプ部211および上側クランプ部212の凹部211a、212aを挟んでヒンジ部213とは反対側に設けられている。錠本体214aは、下側クランプ部211の側面に配置されている、突起214bは、上側クランプ部212の側面に配置されている。錠本体214aは、レバー214cと、環状部214dと、を有する。上側クランプ部212を下側クランプ部211の上側に回動した状態で、環状部214dを突起214bに引っ掛けてレバー214cを下側に倒すことによって、下側クランプ部211に対して上側クランプ部212を閉じた状態で締結することができる。
【0071】
(第2クランプ部220)
第2クランプ部220は、樹脂管12を挟み込んで固定する。第2クランプ部220は、樹脂管12の中心軸が樹脂管11の中心軸と一致するように樹脂管12を固定する。
【0072】
第2クランプ部220は、下側クランプ部221と、上側クランプ部222と、ヒンジ部223と、締結部224と、を有する。下側クランプ部221は、上面に半円形状の凹部221aが形成された部材である。本実施の形態では、下側クランプ部221は、上面に半円形状の凹部が形成された概略直方体形状の部材である。下側クランプ部211は、ブラケット270を介して台座260に固定されている。
【0073】
上側クランプ部222は、半円形状の凹部222aが形成された部材である。本実施の形態では、上側クランプ部222は、所定の一面に半円形状の凹部222aが形成された概略直方体形状の部材である。
上側クランプ部222と下側クランプ部221は、それらに形成された凹部222aおよび凹部221aで樹脂管12の外周を挟み込むことができる。樹脂管12を挟み込んだ状態において凹部222aと凹部221aの中心軸は概ね一致する。また、樹脂管12を挟み込んだ状態において、この中心軸は上述した軸線方向Aと一致する。
【0074】
ヒンジ部223は、下側クランプ部221と上側クランプ部222の端同士を回動可能に連結する。ヒンジ部223を中心にして下側クランプ部221に対して上側クランプ部222が回動可能に構成されている。上側クランプ部222は、ヒンジ部223を中心にして回転した際に、その凹部222aが下側クランプ部221の凹部221aと対向するようにヒンジ部223を介して下側クランプ部221に取り付けられている。
【0075】
ヒンジ部223を中心に、下側クランプ部221と上側クランプ部222の間が開いた状態で、樹脂管12が下側クランプ部221の凹部221aに沿って配置される。その後、上側クランプ部222がヒンジ部223を中心に回動し、樹脂管12が凹部222aに嵌るように配置される。
【0076】
締結部224は、いわゆるスナップ錠である。締結部224は、錠本体224aと、突起224bと、を有する。締結部224は、下側クランプ部221および上側クランプ部222の凹部221a、222aを挟んでヒンジ部223とは反対側に設けられている。錠本体224aは、下側クランプ部221の側面に配置されている、突起224bは、上側クランプ部222の側面に配置されている。錠本体224aは、レバー224cと、環状部224dと、を有する。上側クランプ部222を下側クランプ部221の上側に回動した状態で、環状部224dを突起224bに引っ掛けてレバー224cを下側に倒すことによって、下側クランプ部221に対して上側クランプ部222を閉じた状態で締結することができる。
【0077】
樹脂管11と樹脂管12を電気融着継手1に挿入した状態で、第1クランプ部210で樹脂管11を挟み、第2クランプ部220で樹脂管12を挟むことによって、治具200に樹脂管11と樹脂管12と電気融着継手1を配置することができる。
【0078】
(軸部230)
軸部230は、台座260に支持されている。軸部230は、第1クランプ部210の凹部211aおよび凹部212aの中心軸と平行に配置されている。軸部230は、第2クランプ部220の凹部221aおよび凹部222aの中心軸と平行に配置されている。また、軸部230は、第1クランプ部210に固定された樹脂管11および第2クランプ部220に固定された樹脂管12の中心軸と平行に配置されている。軸部230は、上述した軸線方向Aに沿って配置されている。
【0079】
軸部230は、第2クランプ部220から第1クランプ部210側に向かって伸びている。軸部230には、第1クランプ部210が、軸部230に沿って移動可能に取り付けられている。軸部230は、下側クランプ部221から下側クランプ部211に亘って配置されている。第1クランプ部210の下側クランプ部211の凹部211aよりも下方の部分に軸受け部215が配置されており、軸受け部215に軸部230が挿通されている。
【0080】
(押圧部240)
押圧部240は、第1クランプ部210を第2クランプ部220側に向けて軸部230に沿って押圧する。押圧部240は、バネ241と、ナット242と、を有する。
【0081】
第1クランプ部210の第2クランプ部220とは反対側の軸部230の周囲にバネ241が配置されている。
【0082】
ナット242は、バネ241の第1クランプ部210とは反対側の軸部230に配置されている。軸部230の第2クランプ部220とは反対側の端の周囲には、雄ネジ形状が形成されており、ナット242の内側に形成された雌ネジ形状と螺合している。ナット242は、回転させることによって軸部230に沿って移動可能である。
【0083】
バネ241は、ナット242と第1クランプ部210の間に配置されている。ナット242が軸部230と螺合して、軸部230における位置が固定されているため、バネ241は、第1クランプ部210に対して第2クランプ部220に向かう荷重を付加する。荷重は、例えば1~50kgfの範囲で設定でき、3~20kgfの範囲がより好ましい。また、樹脂管11、12および電気融着継手1を治具200に配置した状態で、ナット242を回転させて第1クランプ部210に近づけるとバネ241が圧縮されるため、第1クランプ部210にかかる荷重を増やすことができる。一方、ナット242を回転させて第1クランプ部210から遠ざけるとバネ241は伸長するため、第1クランプ部210にかかる荷重を少なくすることができる。
【0084】
なお、図7に示すように、治具200に樹脂管11と樹脂管12と電気融着継手1を配置した状態で第1クランプ部210に押圧部240によって荷重をかけることによって、樹脂管11の管端11aと樹脂管12の管端12aに、ストッパ部22に押し付けられるように荷重が付与される。
【0085】
(規制部250)
規制部250は、第1クランプ部210が押圧部240によって第2クランプ部220側に移動しすぎることを規制する。
【0086】
規制部250は、第1クランプ部210と第2クランプ部220の間に配置されている。
【0087】
規制部250は、固定部251と、当接部252とを有している。固定部251は、台座260に固定されている。当接部252は、固定部251から上方に延びた部分であり、軸部230に周囲に配置されている。第1クランプ部210の軸受け部215が当接部252に当接することによって、それ以上第1クランプ部210が第2クランプ部220側に移動することを規制することができる。
【0088】
<接続方法>
次に、上述した治具200を用いた接続方法について説明する。図8は、本実施の形態の接続方法を示すフロー図である。
【0089】
はじめに、ステップS1において、樹脂管11および樹脂管12が電気融着継手1に挿入される。図3に示すように、ストッパ部22によって樹脂管11の管端11aの相対的な移動が規制されるまで、電気融着継手1の継手受口部23の内側に樹脂管11が挿入される。次に、ストッパ部22によって樹脂管12の管端12aの相対的な移動が規制されるまで、電気融着継手1の継手受口部24の内側に樹脂管12が挿入される。電気融着継手1に樹脂管11および樹脂管12が差し込まれた状態が図3に示されている。なお、ステップS1の前に、樹脂管11、12の小口面(ストッパ部22との対向面)をスクレープして電気融着継手1に挿入すると、融着の強度が向上するのでより好ましい。
【0090】
この状態で、ステップS2(配置ステップの一例)において、図7に示すように、第1クランプ部210によって樹脂管11を挟み込んで固定し、第2クランプ部220によって樹脂管12を挟み込んで固定し、治具200に樹脂管11、電気融着継手1および樹脂管12が配置される。
【0091】
樹脂管11、電気融着継手1および樹脂管12を治具200に固定することによって、ステップS3(加圧ステップの一例)において、押圧部240の付勢力によって第1クランプ部210に第2クランプ部220に向かって荷重が付与される。第1クランプ部210の第2クランプ部220に向かう荷重の付与により、樹脂管11の管端11aがストッパ部22の第1側面22aに押し付けられ、樹脂管12の管端12aがストッパ部22の第2側面22bに押し付けられる。
【0092】
次に、ステップS4(加熱ステップの一例)において、加圧された状態において、図9に示すように、コネクタ取付部6に融着機8のコネクタ83が取り付けられる。ここで、第1端子61および第2端子62が1つの収納壁63に収納されており、第1端子85および第2端子86が1つのコネクタ83に配置されている。このため、第1端子61と第1端子85の接続と、第2端子62と第2端子86の接続を同時に行うことができる。
【0093】
詳細には、コネクタ83の第1端子85の挿入部85bにコネクタ取付部6の第1端子61が挿入されるとともに、コネクタ83の第2端子86の挿入部86bに、コネクタ取付部6の第2端子62が挿入される。また、第1端子85の外壁部85aと第2端子86の外壁部86aが、コネクタ取付部6の収納壁63の内側に入り込む。
【0094】
そして、オペレータが本体81の操作部を操作することによって、電熱線7に通電が行われる。
【0095】
この通電による電熱線7の発熱によってストッパ発熱部5が発熱してストッパ部22と樹脂管11の管端11aおよび樹脂管12の管端12aが溶融し、管端11aおよび管端12aがストッパ部22に接合する。
【0096】
また、受口発熱部3、4が発熱して、継手受口部23、24の内面と、樹脂管11、12の外面が溶融し、継手受口部23、24の内面と樹脂管11、12の外面が接合する。
【0097】
なお、通電によってストッパ部22が溶けて軸線方向Aの幅が小さくなり付与される荷重が小さくなるため、ナット242を第2クランプ部220側に向かって移動させることによって、バネ241による第1クランプ部210に掛ける荷重を確保することができる。なお、荷重は、管端11a、12aが溶けても変化しないことが望ましいが、変化してもよい。
【0098】
通電時の電熱線温度は本体部2を溶融させる温度であればよく、ポリオレフィンの場合は220度以下が好ましい。
【0099】
次に、ステップS5(冷却ステップの一例)において、溶融された樹脂管11、電気融着継手1および樹脂管12の冷却が所定時間行われる。なお、ステップS5が終了するまで押圧部240による荷重の付与を継続する方が好ましい。
【0100】
図10は、樹脂管11、電気融着継手1および樹脂管12が溶融して接続された状態を示す図である。図9に示すように、ストッパ部22が溶融し、樹脂管11、12よって押されて狭まり、樹脂管11と樹脂管12の間を埋めて、ビードRが形成される。
【0101】
<配管構造100の超純水用途>
本開示にかかる実施の形態の配管構造100は、例えば超純水の輸送に用いることができる。具体的には、本開示にかかる実施の形態の超純水用の配管構造100は、超純水製造装置内の配管、超純水製造装置からユースポイントに超純水を輸送する配管、及びユースポイントからの超純水返送用配管等として用いることができる。
【0102】
超純水とは、極度に純度の高い水であり、例えば半導体素子などの電子機器の洗浄に好適に用いられるものである。超純水のグレードを表すための指標は多々あるが、この実施形態では、超純水の電気抵抗率は18.2MΩ・cm以上であり、TOCは50ppb以下である。
【0103】
本開示にかかる実施の形態の配管構造100は、超純水に対する要求水質が特に厳格な、原子力発電用水配管、若しくは、医薬品の製造工程、半導体素子又は液晶、より好ましくは半導体素子の製造工程における洗浄などの湿式処理工程で用いられる超純水の輸送配管であることが好ましい。当該半導体素子としても、より高い集積度を有するものが好ましく、具体的には、最小線幅65nm以下の半導体素子の製造工程で用いられることがより好ましい。半導体製造に使用される超純水の品質等に関する規格としては、例えばSEMI F75が挙げられる。
【0104】
また、本発開示にかかる実施の形態の配管構造100はポリエチレン系樹脂層を有しているため、施工性に優れる。たとえば、比較的低温で、EF(電気融着)接合といった融着施工を容易に行うことができる。
【0105】
<特徴等>
本実施の形態の電気融着継手1は、筒状部21と、ストッパ部22と、電熱線7と、コネクタ取付部6と、を備える。筒状部21は、熱可塑性樹脂を含む樹脂管11、12(管の一例)が内側に挿入可能な継手受口部23、24を有する。ストッパ部22は、筒状部21の内面21aに内側に突出するように配置され、継手受口部23、24の内側に樹脂管11、12が挿入された際に樹脂管11,12の管端11a、12aの挿入位置を規制する。電熱線7は、継手受口部23、24およびストッパ部22に配置され、絶縁体に被膜されている。コネクタ取付部6は、電熱線7に通電を行う融着機8のコネクタ83が取り付けられる。コネクタ取付部6は、第1端子61(継手側第1端子の一例)と、第2端子62(継手側第2端子の一例)と、収納壁63と、有する。第1端子61は、電熱線7の両端のうち第1端7e1に接続されている。第2端子62は、電熱線の第1端7e1と反対側の第2端7e2に接続されている。収納壁63は、第1端子61と第2端子62を収納し、筒状部21の外側に向かって突出している。
【0106】
このように、電熱線7に通電するための第1端子61と第2端子62が、1つのコネクタ取付部6がまとめて収納しているため、電熱線7に通電する融着機8の2つの第1端子85および第2端子86も1つのコネクタ83にまとめることができる。そのため、電熱線7の両端に接続された2つの端子61、62と、融着機8の2つの端子85、86を同時に接続することができ、接続の手間を減らすことができる。
【0107】
本実施の形態の電気融着継手1では、第1端子61および第2端子62は、電熱線7のうち継手受口部23、24およびストッパ部22に巻き回されて配置された電熱線部分7a、7b、7cにおける筒状部21の軸線方向A(軸方向の一例)に沿った両端7ae、7ceに対応する位置P1,P2若しくは該位置P1,P2よりも内側に配置されている。
【0108】
これにより、第1端子61および第2端子62を1つの収納壁63で収納しやすくすることができる。
【0109】
また、第1端子61と第2端子62を、継手受口部23、24およびストッパ部22に巻き回されて配置された電熱線部分7a、7b、7cと接続しやすくなる。
【0110】
本実施の形態の融着システム10は、電気融着継手1と、融着機8と、を備える。融着機8は、電気融着継手1のコネクタ取付部6に取り付けられるコネクタ83を有する。コネクタ83は、第1端子61に接続される第1端子85(融着機側第1端子の一例)と、第2端子62に接続される第2端子86(融着機側第2端子の一例)を有する。
【0111】
これにより、融着機8のコネクタ83を、電気融着継手1のコネクタ取付部6に取り付けるだけで、電気融着継手1の2つの端子61、62と、融着機8の2つの端子85、86を同時に接続することができ、接続の手間を減らすことができる。
【0112】
<他の実施の形態>
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0113】
(A)
上記実施の形態では、ストッパ発熱部5において1本の電熱線7が隣と接触するように4周巻き回されているが、これに限られるものではなく、3周以下または5周以上であってもよい。また、1本に限らず、2本以上の電熱線7を巻き回してストッパ発熱部5を形成してもよい。ストッパ発熱部5において、電熱線部分7aは全部または一部が隣と接触しないように巻き回されていてもよい。
【0114】
(B)
上記実施の形態では、受口発熱部3、4の各々において1本の電熱線7が隣と接触するように2周巻き回されているが、これに限られるものではなく、1周若しくは3周以上であってもよい。また、1本に限らず、2本以上の電熱線7を巻き回して受口発熱部3、4を形成してもよい。受口発熱部3、4の各々において電熱線部分7a、7cは、全部または一部が隣と接触しないように巻き回されていてもよい。また、受口発熱部3と受口発熱部4は左右対称でなくてもよい。
【0115】
(C)
上記実施の形態では、軸線方向Aにおいて、ストッパ部22の隣に受口発熱部3、4が配置されているが、図11の電気融着継手201に示すように、ストッパ部22から受口発熱部3、4までの間に間隔Lが設けられていてもよい。しかしながら、第1端子61および第2端子62を中央に並べて配置するためには、間隔が狭い方がより好ましい。
【0116】
(D)
上記実施の形態では、第1クランプ部210に対して荷重を付加する押圧部として、バネ241およびナット242が用いられているが、これに限らなくてもよく、モータやシリンダ等であってもよい。また、管端11a、12aをストッパ部22に押し付けることは、第1クランプ部210への荷重の付加または移動量のいずれによるものであってもよい。
【0117】
(E)
上記実施の形態では、樹脂管11と樹脂管12は同じ径であるため電気融着継手1は同径継手であるが、樹脂管11、12の径が異なっており、電気融着継手1が異径継手であってもよい。
【0118】
(F)
上記実施の形態では、軸線方向Aに沿って視た場合、ストッパ部22の外径は円形状であるが、円に限らなくても良く、多角形状であってもよい。
【0119】
(G)
上記実施の形態では、電気融着継手1の流路はいずれも直線状に形成されているが、流路が曲がっているエルボ継手であってもよい。
【0120】
(H)
上記実施の形態では、受口発熱部3、4およびストッパ発熱部5に通電する前から押圧部240によって電気融着継手1に樹脂管11と樹脂管12を加圧しているが、通電した後、通電中の途中から加圧を行ってもよい。
【符号の説明】
【0121】
1 :電気融着継手
6 :コネクタ取付部
7 :電熱線
7e1 :第1端
7e2 :第2端
8 :融着機
10 :融着システム
11 :樹脂管
11a :管端
12 :樹脂管
12a :管端
21 :筒状部
21a :内面
22 :ストッパ部
23 :継手受口部
24 :継手受口部
61 :第1端子
62 :第2端子
63 :収納壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11