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▶ 住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157055
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】害虫防除組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 53/08 20060101AFI20221006BHJP
   A01N 25/06 20060101ALI20221006BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20221006BHJP
   A01P 17/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
A01N53/08 125
A01N25/06
A01P7/04
A01P17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061064
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】390000527
【氏名又は名称】住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】杉目 康広
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AC01
4H011AC06
4H011BA01
4H011BB15
4H011BC01
4H011BC09
4H011DA21
4H011DB05
4H011DE15
4H011DF03
(57)【要約】
【課題】長期に亘り害虫防除効果を発揮する害虫防除組成物を提供することを課題とする。。
【解決手段】ペルメトリン、ブメトリゾールおよびパラフィン系飽和炭化水素を含む害虫防除組成物。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペルメトリン、ブメトリゾールおよびパラフィン系飽和炭化水素を含む害虫防除組成物。
【請求項2】
さらにビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケートおよびメチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケートの混合物を含む請求項1に記載の害虫防除組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のいずれか1項に記載の害虫防除組成物および噴射剤を含有するエアゾール剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫防除組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
クモ類やハチ類などの不快害虫を防除するため、例えば、クモ類が通りそうな場所、ハチ類が寄り付きそうな場所に予め害虫防除組成物を処理しておき、当該害虫防除組成物によって害虫を防除し、延いては害虫の営巣を防止することが行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-26522号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当該害虫防除組成物においては、より長期間の防除効果を有することが求められていた。そこで本発明は、さらに長期に亘り害虫防除効果を発揮する害虫防除組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、かかる課題を解決すべく鋭意検討した結果本発明に至った。すなわち本発明は、
[1]ペルメトリン、ブメトリゾールおよびパラフィン系飽和炭化水素を含む害虫防除組成物。
[2]さらにビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケートおよびメチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケートの混合物を含む上記の害虫防除組成物。
[3]上記害虫防除組成物及び噴射剤を含有するエアゾール剤。
を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の害虫防除剤によれば、長期に亘り害虫を防除することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の害虫防除組成物に使用されるペルメトリンの含有量は、通常、組成物全体量あたり0.01~6.0重量%である。
【0008】
本発明の害虫防除組成物に使用されるブメトリゾールの含有量は、通常、前記ペルメトリンの重量に対して1~15重量%程度である。
【0009】
本発明の害虫防除組成物に使用されるパラフィン系飽和炭化水素としては、ノルマルパラフィン系飽和炭化水素、イソパラフィン系飽和炭化水素などが挙げられる。このうち、炭素数8-17が主成分であるノルマルパラフィン系飽和炭化水素またはイソパラフィン系飽和炭化水素が好ましい。
【0010】
前記ノルマルパラフィン系飽和炭化水素としては、例えば、ネオチオゾール(中央化成株式会社製、炭素数12-15)、カクタスノルマルパラフィンN-10(JXTGエネルギー株式会社製、炭素数10)、カクタスノルマルパラフィンN-12(JXTGエネルギー株式会社製、炭素数12)、カクタスノルマルパラフィンN-13(JXTGエネルギー株式会社製、炭素数13)、カクタスノルマルパラフィンN-14(JXTGエネルギー株式会社製、炭素数14)等が挙げられ、一方、前記イソパラフィン系飽和炭化水素としては、例えば、市販のIPソルベント1620(出光石油株式会社製、炭素数9-12)、IPクリーンLX(出光石油株式会社製、炭素数8-13)、IPソルベント2028(出光石油株式会社製、炭素数12-16)、アイソパーE(エクソンモービル社製、炭素数8-10)、アイソパーG(エクソンモービル社製、炭素数9-11)、アイソパーH(エクソンモービル社製、炭素数10-12)、アイソパーL(エクソンモービル社製、炭素数10-14)、アイソパーM(エクソンモービル社製、炭素数11-17)等が挙げられる。これらパラフィン系飽和炭化水素は、単独で使用しても2種類以上を混合して使用してもよい。
【0011】
本発明の害虫防除組成物は、さらにビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケートおよびメチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケートの混合物を使用しても良く、当該混合物としては、例えば、Tinuvin292(BASF社製)が挙げられる。
【0012】
前記ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケートおよびメチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケートの混合物は、通常、ペルメトリンの重量に対して1~15重量%程度含有する。
【0013】
本発明の害虫防除組成物には、ペルメトリン以外のピレスロイド系化合物を加えてもよい。
【0014】
前記ピレスロイド系化合物としては、シペルメトリン、フェノトリン、シフェノトリン、トラロメトリン、フェンプロパトリン、シフルトリン、エトフェンプロックス、アレスリン、デルタメトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、トランスフルトリン、モンフルオロトリン、エムペントリン、イミプロトリン、レスメトリン、フタルスリン、フラメトリン、プラレトリン等が挙げられる。
【0015】
本発明の害虫防除組成物の好ましい剤形は油剤である。
【0016】
本発明の害虫防除組成物は、さらに噴射剤を加えてエアゾール剤としてもよい。前記噴射剤としては液化石油ガス、ジメチルエーテル、炭酸ガス等が挙げられる。
【0017】
本発明の害虫防除組成物は、害虫が通りそうな場所や寄り付きそうな場所に予め処理することで、害虫を防除することが可能となる。例えば、住居の軒下、玄関、ベランダ、生垣、庭木に害虫防除組成物を予め処理しておくことで、害虫を防除できる。害虫種によっては、当該場所への営巣も防止できる。
なお、本発明の害虫防除組成物は、直接害虫に処理することでも防除できる。
【0018】
本発明の害虫防除組成物が防除対象とする害虫としては、ジョロウグモ、クロガケジグモ、セアカゴケグモ等のクモ類、フタモンアシナガバチ、セグロアシナガバチ、キイロスズメバチ、モンスズメバチ、コガタスズメバチ、オオスズメバチなどのハチ類、マルカメムシ、クサギカメムシ、チャバネアオカメムシ等のカメムシ類、アリ類、ガ類、ユスリカ類等が挙げられる。
【実施例0019】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例0020】
ペルメトリン 0.84gにブメトリゾール(VIOSORB550、共同薬品株式会社製) 0.112gを加え、さらにパラフィン系飽和炭化水素(IPソルベント2028、出光石油株式会社製)を総重量70gになるまで加えて混合し本発明の害虫防除組成物を得た(以下、本発明害虫防除用組成物-1と記す)。
【実施例0021】
ペルメトリン 0.84gにブメトリゾール(VIOSORB550、共同薬品株式会社製) 0.056gならびにビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケートおよびメチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケートの混合物(Tinuvin292、BASF社製) 0.056gを加え、さらにパラフィン系飽和炭化水素(IPソルベント2028、出光石油会社製)を総重量70gになるまで加えて混合し本発明の害虫防除組成物を得た(以下、本発明害虫防除用組成物-2と記す)。
【比較例1】
【0022】
ペルメトリン 0.84gに対しパラフィン系飽和炭化水素(IPソルベント2028、出光石油会社製)を総重量70gになるまで加えて混合し害虫防除組成物を得た(以下、比較組成物-1と記す)。
【比較例2】
【0023】
ペルメトリン 0.84gにオクタベンゾン(VIOSORB130、共同薬品株式会社製) 0.112gを加え、さらにパラフィン系飽和炭化水素(IPソルベント2028、出光石油会社製)を総重量70gになるまで加えて混合し害虫防除組成物を得た(以下、比較組成物-2と記す)。
【比較例3】
【0024】
ペルメトリン 0.84gにオクトリゾール(Sumisorb340、住化ケムテックス株式会社製) 0.112gを加え、さらにパラフィン系飽和炭化水素(IPソルベント2028、出光石油会社製)を総重量70gになるまで加えて混合し害虫防除組成物を得た(以下、比較組成物-3と記す)。
【0025】
夫々の害虫防除組成物をエアゾール容器に充填し、バルブを取り付けた後、液化石油ガス(0.35MPa)を70g充填してエアゾール剤を作成した(夫々、順に本発明エアゾール剤-1、2および比較エアゾール剤-1~3と記す)。
【0026】
[試験1]
屋外駐輪場の屋根に作られたクモの巣を取り除き、巣があった場所の中心域から直径30cmの範囲に本発明エアゾール剤-1および比較エアゾール剤-1~3を夫々2g噴霧した。前記のエアゾール剤を噴霧した場所へのクモの営巣の有無を、噴霧から6ヶ月後までの期間につき1ヶ月毎に確認した。結果を表1に記す。
【0027】
【表1】
【0028】
[試験2]
生垣に作られたジョロウグモの巣を取り除き、巣があった場所の中心域から周囲1平米に本発明エアゾール剤-1、2を夫々20g噴霧した。前記のエアゾール剤を噴霧した場所に対し噴霧から1ヶ月毎に捕獲していたジョロウグモを放し、3日後にクモの営巣の有無を確認した。試験は6ヶ月間実施した。結果を表2に記す。
【0029】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の害虫防除組成物を害虫が通りそうな場所や寄り付きそうな場所に予め処理することによって、長期に亘り害虫を防除することが可能である。