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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157060
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】眼底撮影装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/14 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
A61B3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061078
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】芳野 雅幸
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA09
4C316AA13
4C316AB11
4C316AB16
4C316FA08
4C316FA18
4C316FB21
4C316FB24
4C316FY05
(57)【要約】
【課題】 フォーカス状態が良好な眼底画像を取得できる眼底撮影装置を提供する。
【解決手段】 被検眼の眼底画像を撮影するための撮影光学系と、撮影光学系における視度補正量を調整可能な視度補正部と、視度補正部を制御し、撮影光学系に設けられた受光素子からの信号に基づいて眼底画像を取得する撮影制御手段であって、撮影実行時に、視度補正部を制御して視度補正量を変更することでフォーカス状態を変更し、フォーカス状態が異なる複数の眼底画像を取得する撮影制御手段と、フォーカス状態を変更することによって生じる、複数の眼底画像の、画像状態の差を低減する画像状態補正手段と、を備える眼底撮影装置。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼の眼底画像を撮影するための撮影光学系と、
前記撮影光学系における視度補正量を調整可能な視度補正部と、
前記視度補正部を制御し、前記撮影光学系に設けられた受光素子からの信号に基づいて眼底画像を取得する撮影制御手段であって、
撮影実行時に、前記視度補正部を制御して視度補正量を変更することでフォーカス状態を変更し、フォーカス状態が異なる複数の眼底画像を取得する撮影制御手段と、
前記フォーカス状態を変更することによって生じる、前記複数の眼底画像の、画像状態の差を低減する画像状態補正手段と、を備える眼底撮影装置。
【請求項2】
被検眼の眼底へ照明光を照射する照射光学系と、前記照明光の眼底反射光を受光する受光素子を有する受光光学系と、を備える撮影光学系と、
前記照射光学系における視度補正量である照射側補正量と、前記受光光学系における視度補正量である受光側補正量と、をそれぞれ独立に調整可能な視度補正部と、
前記視度補正部を制御し、前記受光素子からの信号に基づいて眼底画像を取得する撮影制御手段であって、撮影実行前に、前記視度補正部を制御して前記照射側補正量及び受光側補正量の調整を行い、撮影実行時には、前記視度補正部を制御して前記照射側補正量を一定とした状態で、前記受光側補正量を変更することでフォーカス状態を変更し、フォーカス状態が異なる複数の眼底画像を取得する撮影制御手段を備える眼底撮影装置。
【請求項3】
前記複数の眼底画像を用いて演算処理を行い、処理画像を取得する、画像処理手段を備える請求項1または2に記載の眼底撮影装置。
【請求項4】
前記画像処理手段は、複数の各眼底画像の眼底部位におけるフォーカス状態を評価し、その評価結果に基づいて前記複数の画像を合成することで前記処理画像を取得する、請求項3に記載の眼底撮影装置。
【請求項5】
前記画像処理手段は、前記複数の各眼底画像の各画像におけるフォーカス状態を評価し、その評価結果に基づいて前記複数の眼底画像のいずれかを選択して処理画像として取得する、請求項3または4に記載の眼底撮影装置。
【請求項6】
フォーカス状態を検出するフォーカス状態検出手段を備え、
前記撮影制御手段は撮影実行前に前記フォーカス状態検出手段の検出結果に基づいて前記視度補正部を制御して前記照射側補正量及び前記受光側補正量の調整を行い、撮影実行時には前記指標検出手段の検出結果に基づく前記受光側補正量状態を基準にして前記受光側補正量を変更するように前記視度補正部を制御する、請求項2から5のいずれかに記載の眼底撮影装置。
【請求項7】
前記フォーカス状態検出手段は、フォーカス指標を眼底に投影する指標投影手段と、眼底に投影された前記フォーカス指標を検出する指標検出手段と、を備える、請求項6に記載の眼底撮影装置。
【請求項8】
被検眼の屈折度数情報を取得する屈折度数取得手段を備え、
前記撮影制御手段は、前記屈折度数情報に基づき、複数の眼底画像を取得するときの前記受光側補正量の調整範囲を変化させるように前記視度補正部を制御する、請求項2から7のいずれかに記載の眼底撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被検眼の眼底画像を得るための眼底撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検眼の眼底を撮影する眼底撮影装置には、被検眼の眼底に焦点を合わせるための視度補正部が設けられている。例えば、視度補正部に備えられたフォーカシングレンズが光軸方向に移動されることで、焦点の位置が被検眼の眼底に調整される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-212240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、眼底は湾曲しており、またその形状には個人差がある。このため、眼底撮影装置が、撮影範囲の中心部に対して焦点位置の調整を行ったとしても、撮影範囲の周辺部については焦点がズレている可能性がある。この場合、取得される眼底画像の中心部と周辺部とでフォーカス状態に差が生じてしまう問題がある。
【0005】
本開示は、従来技術の問題点を鑑みて、フォーカス状態が良好な眼底画像を取得できる眼底撮影装置を提供すること、を技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様に係る眼底撮影装置は、被検眼の眼底画像を撮影するための撮影光学系と、前記撮影光学系における視度補正量を調整可能な視度補正部と、前記視度補正部を制御し、前記撮影光学系に設けられた受光素子からの信号に基づいて眼底画像を取得する撮影制御手段であって、撮影実行時に、前記視度補正部を制御して視度補正量を変更することでフォーカス状態を変更し、フォーカス状態が異なる複数の眼底画像を取得する撮影制御手段と、前記フォーカス状態を変更することによって生じる、前記複数の眼底画像の、画像状態の差を低減する画像状態補正手段と、を備える。
本開示の第2態様に係る眼底撮影装置は、被検眼の眼底へ照明光を照射する照射光学系と、前記照明光の眼底反射光を受光する受光素子を有する受光光学系と、を備える撮影光学系と、前記照射光学系における視度補正量である照射側補正量と、前記受光光学系における視度補正量である受光側補正量と、をそれぞれ独立に調整可能な視度補正部と、前記視度補正部を制御し、前記受光素子からの信号に基づいて眼底画像を取得する撮影制御手段であって、撮影実行前に、前記視度補正部を制御して前記照射側補正量及び受光側補正量の調整を行い、撮影実行時には、前記視度補正部を制御して前記照射側補正量を一定とした状態で、前記受光側補正量を変更することでフォーカス状態を変更し、フォーカス状態が異なる複数の眼底画像を取得する撮影制御手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】眼底撮影装置の外観構成図である。
図2】眼底撮影装置の光学系を示す図である。
図3】視度補正光学系を説明する図である。
図4】走査部の一例について説明する図である。
図5】眼底撮影装置の制御系を示したブロック図である。
図6】眼底を撮影する場合に制御部が実行する制御を説明するフローチャート図である。
図7】撮影ごとにフォーカスが合う位置が変更されることを説明する図である。
図8】眼底画像を合成する方法の一例を説明する図である。
図9】眼底画像を合成する方法の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[概要]
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る眼底撮影装置の実施形態を説明する。
【0009】
眼底撮影装置(図1参照)は、撮影光学系(例えば、撮影光学系10。図2参照)と、撮影制御手段(例えば、制御部100)及び画像処理手段(例えば、制御部100)を少なくとも有する。
【0010】
<撮影光学系>
撮影光学系は、被検眼の眼底へ照明光を投受光して、眼底画像を撮影するために利用される。本実施形態において、撮影光学系は、照射光学系(例えば、照射光学系10a)、受光光学系(例えば、照射光学系10b)、および、視度補正部(例えば、視度補正光学系17、25。以下、視度補正光学系)を有する(図2図3(a)、図3(b)参照)。図2は撮影光学系を説明する図である。図3は視度補正光学系を説明する図である。
【0011】
照射光学系は、対物レンズを介して被検眼の眼底へ照明光を照射する。追加的に、照射光学系は、照明光を発する光源(照明光源)を有していてもよい。受光光学系は、照明光の眼底反射光を受光する受光素子(例えば、撮像素子28)を有する。受光素子からの信号は、画像処理部へ入力される。画像処理部では、受光素子からの信号に基づいて被検眼の眼底画像が取得(生成)される。なお、本開示では、眼底の正面画像を「眼底画像」と称する。
【0012】
照射光学系と受光光学系とは、光路結合部を共用していてもよい。光路結合部は、照明光の投光光路と眼底反射光の受光光路とを、結合および分離する。この場合、光路結合部によって形成される投光光路と受光光路との共通光路上に、対物レンズは配置される。
【0013】
撮影光学系は、眼底上で照明光をスキャンすることによって撮影を行う、走査型の光学系であってもよい。また、撮影光学系は、非走査型の光学系であってもよい。走査型の光学系の一例として、スポットスキャンタイプの光学系と、ラインスキャンタイプの光学系とが挙げられる。スポットスキャンタイプの光学系では、眼底上でスポット状の照明光が、二次元的にスキャンされる。ラインスキャンタイプの光学系では、ライン状の照明光が一方向にスキャンされる。ライン状の照明光は、例えば、眼底上で直線的にスキャンされてもよいし、眼底上で回転スキャンされてもよい。回転スキャンの場合、回転中心は、撮影光学系の光軸であってもよい。走査型の光学系では、点受光素子、ラインセンサ、二次元受光素子(撮影素子)等の中からいずれかを、受光素子として適宜採用し得る。また、非走査型の光学系の一例としては、一般的な眼底カメラの光学系等が挙げられる。
【0014】
<視度補正光学系>
視度補正光学系(図2図3(a),図3(b)参照)は、被検眼の屈折度数に応じて、撮影光学系の視度を補正するために利用される。本実施形態において、視度補正光学系は、照射光学系における視度補正量(以下、「照射側補正量」と称する)と受光光学系における視度補正量(以下、「受光側補正量」と称する)とを、それぞれ独立に調整可能にされている。
【0015】
視度補正光学系は、撮影光学系の2箇所以上に分かれて配置されていてもよい。この場合、視度補正光学系は、第1視度補正光学系と第2視度補正光学系とを有していてもよい。第1視度補正光学系における視度補正量と第2視度補正光学系における視度補正量とは独立に設定される。例えば、第1視度補正光学系は、照射光学系と受光光学系とのうち一方の光路上に配置されてもよく、この場合、第2視度補正光学系は、一方に対する他方の光路上、又は、照射光学系と受光光学系との共通光路上に配置されてもよい。
【0016】
本実施形態では、第1駆動部(第1ドライバ)と、第2駆動部(第2ドライバ)と、を有していてもよい。第1駆動部と第2駆動部とは、各々独立に、後述の撮影制御手段によって制御される。第1駆動部は、第1視度補正光学系に含まれる少なくとも1つの光学素子を駆動する。また、第2駆動部は、第2視度補正光学系に含まれる少なくとも1つの光学素子を駆動する。
【0017】
なお、共通光路に第2視度補正光学系が配置される場合、上記他方の光学系における視度補正量は、第1視度補正光学系における視度補正量と第2視度補正光学系における視度補正量との合計によって定められる。説明の便宜上、第1視度補正光学系と第2視度補正光学系とのうち、照射光学系の視度に影響する一方または両方を、「照射側補正光学系」と称し、受光光学系の視度に影響する一方または両方を、「受光側補正光学系」と称する場合がある。
【0018】
<フォーカス状態検出手段>
眼底撮影装置において、フォーカス状態を検出するためのフォーカス状態検出手段が備えられてもよい。検出されたフォーカス状態は、視度補正量を調整するために使用される(詳細は後述する)。
【0019】
例えば、撮影光学系において、眼底に対してフォーカスを合わせるために備えられた、指標投影手段(例えば、スプリット指標投影光学系50)と、指標検出手段(例えば、制御部100)がフォーカス検出手段として用いられてもよい。例えば、指標投影手段によって、スプリット指標が眼底に投影される(図2参照)。例えば、光源から発された赤外光が、プリズムで分離され、2つの指標像として眼底へ投影される。
【0020】
指標検出手段は、指標投影手段によって投影された指標を検出する。例えば、指標検出手段は、スプリット指標の、2つの指標像の位置関係に基づいて眼底に対するフォーカス状態を検出してもよい。
【0021】
また、フォーカス状態検出手段はこれに限定されない。例えば、フォーカス状態は、撮影光学系を介して取得される眼底画像に基づいて検出されてもよい。この場合、フォーカス状態は、眼底画像のコントラスト情報や空間周波数を解析することで検出されてもよい。また、フォーカス指標の指標像が映り込んだ眼底画像に基づいて、フォーカス状態が検出されてもよい。
【0022】
<撮影制御手段>
撮影制御手段は、撮影実行前に、視度補正光学系を制御して、受光素子からの信号に基づいて眼底画像を取得するために使用される。
【0023】
例えば、撮影制御手段は、撮影実行前に、視度補正光学系を制御して、照射側補正量及び受光側補正量の調整を行う(図3(a)参照)。例えば、撮影制御手段は、撮影実行前に、指標検出手段の検出結果に基づいて照射側補正量及び受光側補正量の調整を行う。
【0024】
例えば、撮影制御手段は、撮影実行時に、照射側補正量を一定とした状態で、受光側補正量を変更することでフォーカス状態を変更し、フォーカス状態が異なる複数の眼底画像を取得する(図3(b)参照)。これによれば、撮影範囲と、明るさの変化が抑えられた状態で複数の眼底画像が取得できる。このため、後述の画像処理手段の画像処理によって好適に処理画像が取得できる。
【0025】
なお、明るさの変化を抑える方法はこれに限定されない。例えば、撮影制御手段は照射側補正量に応じて撮影用の光源の光量を調整してもよい。例えば、撮影制御手段は照射側補正量に応じて受光素子の露光時間を変更してもよい。これによれば、複数の眼底画像の間に明るさの差が生じることを抑制できる。
【0026】
撮影制御手段は、撮影実行時において受光側補正量を段階的に調整してもよい。これによれば、より効率よくフォーカス状態が変更された眼底画像が取得できる。
【0027】
撮影制御手段は、被検眼の屈折度数に関する情報(以下、屈折度数情報)を取得してもよい。例えば、撮影制御手段は、指標検出手段の検出結果に基づいて、屈折度数情報を取得してもよい。撮影制御手段は、撮影実行時に、屈折度数情報に基づいて受光光学系の受光側補正量を調整してもよい。これによれば、被検眼ごとにフォーカス状態が調整され、より適切に眼底画像を取得できる。
【0028】
より詳細には、撮影制御手段は、受光光学系における視度補正量である受光側補正量を変化させつつ、フォーカス状態を検出して、所定のフォーカス状態となったときの受光側補正量の値を、屈折度数情報として取得してよい。但し、受光側補正量に限られるものではなく、受光側補正量(または、照射側補正量)を変化させるために駆動される駆動部における駆動量、駆動部によって変位される光学素子の位置情報、のいずれか等が、屈折度数情報として取得されてもよい。
【0029】
なお、必ずしも撮影制御手段が屈折度数情報を取得しなくてもよい。例えば、屈折度数情報を取得する屈折情報取得部が、眼底撮影装置とは別体の装置で設けられてもよい。その場合、屈折情報取得部に、予め測定された屈折度数情報が入力され、これにより屈折度数情報を取得する構成であってもよい。この場合、屈折度数情報取得部は、撮影制御手段と、別体の装置、外付け記憶媒体、ユーザインターフェイス、のいずれか等と眼科測定装置とを接続するためのポートと、を含んでいてもよい。別体の装置としては、例えば、自覚式、又は他覚式の屈折検査装置が挙げられる。外付け記憶媒体には、予め屈折度数情報が記憶されており、撮影制御手段は該記憶媒体から屈折度数情報を読み出すことで、該情報を取得してもよい。また、ユーザインターフェイスは屈折度数情報を手動で入力するために利用されてもよい。この場合、屈折度数情報は、検者による入力結果として取得されてもよい。
【0030】
撮影制御手段は、撮影実行時には、屈折度数情報に基づき、複数の眼底画像を取得するときの受光側補正量の調整範囲を変化させるように視度補正部を制御してもよい。これにより、眼底の湾曲度合に応じて各部位におけるフォーカス状態が良好な撮影画像を得ることができる。例えば、被検眼の近視の屈折度数が強くなるに従って受光側補正量の調整範囲が大きくされる。被検眼の近視の屈折度数が強くなるに従って眼底の湾曲度合も強くなる場合には、眼底の周辺部までフォーカスが合った撮影画像を得ることができる。
【0031】
例えば、撮影制御手段は、屈折度数情報に基づき、複数の眼底画像を撮影するか決定してもよい。例えば、予め定められた基準の屈折度数と、被検眼の屈折度数の差が一定以上であれば、撮影制御手段は複数枚の撮影を行う。これによれば、例えば、眼底の湾曲度合に基づいて複数枚撮影を行うかを決定できる。
【0032】
例えば、撮影制御手段は、撮影範囲の中心部のフォーカス状態と、撮影範囲の周辺部のフォーカス状態との間の差が一定値以下の場合に、複数の眼底画像の撮影を行わない。この場合、過剰に被検眼の眼底を複数枚撮影することを抑制できる。
【0033】
<画像処理手段>
画像処理手段は、撮影制御手段によって撮影された複数の眼底画像を用いて演算処理を行って、処理画像を取得する。
【0034】
例えば、画像処理手段は画像処理として、複数の眼底画像について、それぞれの画像上の眼底部位におけるフォーカス状態を評価する。そして、画像処理手段は、その評価結果に基づいて複数の画像を合成し、処理画像を取得する。例えば、画像処理手段は、複数の各眼底画像から評価の高い部位を切り出し、切り出した画像を合成して処理画像(例えば、1枚の処理画像)を取得する。これにより、眼底の中心部から周辺部にかけてフォーカス状態が良好な眼底画像が得られる。
【0035】
例えば、画像処理手段は、画像処理として、複数の眼底画像の各画像における、フォーカス状態を評価してもよい。その場合、画像処理手段は、評価結果に基づいて、複数の眼底画像からいずれかを選択して処理画像として取得する。例えば、画像処理手段は、画像全体の評価の平均値が高い眼底画像を処理画像(例えば、1枚の処理画像)として取得する。これにより、複数の眼底画像の中からフォーカス状態が良好な眼底画像が得られる。
【0036】
<画像状態補正手段>
例えば、眼底撮影装置は、撮影した複数の眼底画像に対して画像状態の補正を行う、画像状態補正手段を備えてもよい。本実施例において画像状態補正手段は、フォーカス状態を変更することで発生する、画像状態(例えば、明るさ、撮影範囲、撮影倍率、撮影画像の歪み、などの少なくとも1つ)の差を補正する。なお、本実施例において、画像状態の差とは、眼底画像上のフォーカスが合った眼底の部位の差を含まない。
【0037】
例えば、画像状態補正手段は、画像処理によって、撮影中心部にフォーカスが合った状態で撮影した眼底画像の画像状態を基準に、複数の眼底画像の画像状態を補正する。
【0038】
画像状態補正手段は、撮影された眼底画像に対する画像処理と、撮影実行時における撮影条件の調整と、のいずれかを行うことで、フォーカス状態を変更することで発生する画像の状態の差を打ち消す。
【0039】
例えば、一例として、画像状態補正手段によって、複数の眼底画像の間の明るさの差が低減される。その場合、例えば、画像状態補正手段は、画像処理によって、撮影中心部にフォーカスが合った状態で撮影した眼底画像の輝度分布を基準に、複数の眼底画像の輝度を調整する。
また、例えば画像状態補正手段は、撮影実行時における撮影条件の調整として、撮影用の光源の光量を調整して、撮影される眼底画像の明るさを調整してもよい。また、例えば画像状態補正手段は、撮影実行時における撮影条件の調整として、受光素子の露光時間を調整して、撮影される眼底画像の明るさを調整してもよい。
【0040】
[実施例]
眼底撮影装置1(以下、単に、「撮影装置1」と省略する)は、被検眼の眼底上で照明光をスリット状に形成し、眼底上でスリット状に形成された領域を走査し、照明光の眼底反射光を受光することで、眼底の正面画像を撮影する。
【0041】
<装置の外観>
図1を参照して、撮影装置1の外観構成を説明する。撮影装置1は、撮影ユニット3を有する。撮影ユニット3は、図2で示す光学系を主に備える。撮影装置1は、基台7、駆動部8、顔支持ユニット9、および、顔撮影カメラ110を有し、これらを用いて、被検眼Eと撮影ユニット3との位置関係を調整する。
【0042】
駆動部8は、基台7に対して左右方向(X方向)及び前後方向(Z方向であり、換言すれば、作動距離方向)に移動できる。また、駆動部8は、更に、撮影ユニット3を、駆動部8上で被検眼Eに対して3次元方向に移動させる。駆動部8には、予め定められた各可動方向に駆動部8または撮影ユニット3を移動させるためのアクチュエータを有しており、制御部80からの制御信号に基づいて駆動される。顔支持ユニット9は、被検者の顔を支持する。顔支持ユニット9は基台7に固定されている。
【0043】
顔撮影カメラ110は、撮影ユニット3に対する位置関係が一定となるように、筐体6に固定されている。顔撮影カメラ110は、被検者の顔を撮影する。制御部100は、撮影された顔画像から被検眼Eの位置を特定し、駆動部8を駆動制御することで、特定した被検眼Eの位置に対して撮影ユニット3を位置合わせする。
【0044】
また、撮影装置1は、モニタ120を更に有している。モニタ120には、眼底観察像、眼底撮影像、前眼部観察像等が表示される。
【0045】
<光学系>
次に、図2を参照して、撮影装置1の光学系を説明する。撮影装置1は、撮影光学系(眼底撮影光学系)10と、前眼部観察光学系40と、を有している。これらの光学系は、撮影ユニット3に設けられている。
【0046】
図2において、被検眼の瞳と共役な位置には撮影光軸上に『△』を、眼底共役位置には撮影光軸上に『×』を付して、それぞれ示す。
【0047】
撮影光学系10は、照射光学系10aと、受光光学系10bと、を有する。実施例において、照射光学系10aは、光源ユニット11、レンズ13、スリット状部材15a、レンズ17a,17b、ミラー18、穴開きミラー20、および、対物レンズ22を有する。受光光学系10bは、対物レンズ22、穴開きミラー20、レンズ25a,25b、スリット状部材15b、および、撮像素子28を有する。なお、穴開きミラー20は、照射光学系10aと受光光学系10bとの光路を結合する光路結合部である。穴開きミラー20は、光源からの照明光を、被検眼E側へ反射し、被検眼Eからの眼底反射光のうち、開口を通過した一部を、撮像素子側へ通過させる。穴開きミラー20に代えて、種々のビームスプリッターを用いることができる。例えば、穴開きミラー20に代えて、穴開きミラー20と透光部と反射部が逆転したミラーが光路結合部として用いられてもよい。但し、この場合、ミラーの反射側に受光光学系10bの独立光路が置かれ、ミラーの透過側に照射光学系10aの独立光路が置かれる。また、穴開きミラー、および、その代替手段としてのミラーは、それぞれ、ハーフミラーと遮光部との組み合わせに、更に置き換えることができる。
【0048】
本実施例において、光源ユニット11は、波長帯が異なる複数種類の光源を有している。例えば、光源ユニット11は、可視光源11a,11bと、赤外光源11c,11dとを有する。このように、本実施例の光源ユニット11には、波長毎に光源が2つずつ設けられている。同じ波長の2つの光源は、瞳共役面上において、撮影光軸Lから離れて配置される。2つの光源は、図2における走査方向であるX方向に沿って並べられており、撮影光軸Lに関して軸対称に配置される。図2に示すように、2つの光源の外周形状は、走査方向に比べて、走査方向と交差する方向が長い矩形形状であってもよい。
【0049】
2つの光源からの光は、レンズ13を通過して、スリット状部材15に照射される。本実施例において、スリット状部材15aは、Y方向に沿って細長く形成された透光部(開口)を持つ。これにより、眼底共役面において、照明光がスリット状に形成される(眼底上でスリット状に照明された領域を、符号Bとして図示する)。
【0050】
図2において、スリット状部材15aは、透光部が撮影光軸LをX方向に横切るようにして、駆動部15c(図5参照)によって変位される。これにより、本実施例における照明光の走査が実現される。なお、本実施例では、受光系側でも、スリット状部材15bによる走査が行われる。本実施例では、投光側と受光側のスリット状部材は、1つの駆動部(アクチュエータ)によって、連動して駆動される。
【0051】
照射光学系10aでは、各光源の像が、レンズ13から対物レンズ22までの光学系によってリレーされて、瞳共役面上で結像される。つまり、瞳共役面上において、走査方向に関して分離した位置に、2つの光源の像が形成される。このようにして、本実施例では、瞳共役面上における2つの投光領域P1,P2は、2つの光源の像として形成される。
【0052】
また、スリット状部材15aを通過したスリット状の光は、レンズ17aから対物レンズ22までの光学系によってリレーされて、眼底Er上に結像する。これにより、眼底Er上で照明光がスリット状に形成される。照明光は、眼底Er上で反射され、瞳孔Epから取り出される。
【0053】
ここで、穴開きミラー20の開口は、被検眼の瞳と共役なので、眼底画像の撮影に利用される眼底反射光は、被検眼の瞳上において穴開きミラー開口の像(瞳像)を通過する一部に制限される。このように、被検眼の瞳上における開口の像が、本実施例における受光領域Rとなる。受光領域Rは、2つの投光領域P1,P2(2つの光源の像)に挟まれて形成される。また、各像の結像倍率、開口の径、2つの光源の配置間隔が適宜設定された結果として、受光領域Rと、2つの投光領域P1,P2とは、瞳上において互いに重ならないように形成される。これにより、フレアーの発生が良好に軽減される。
【0054】
対物レンズ22および穴開きミラー20の開口を通過した眼底反射光は、レンズ25a,25bを介して、眼底共役位置に、眼底Erのスリット状領域を結像する。このとき、結像の位置にスリット状部材15bの透光部が配置されていることで、有害光が除去される。
【0055】
撮像素子28は、眼底共役位置に配置されている。本実施例では、スリット状部材15bと撮像素子28の間にリレー系27が設けられており、これにより、スリット状部材15bと撮像素子28との双方が、眼底共役位置で配置される。その結果、有害光の除去と、結像との両方が、良好に行われる。これに代えて、撮像素子28とスリット状部材15bとの間のリレー系27を省略し、両者を近接配置してもよい。本実施例では、撮像素子28として、2次元的な受光面を持つデバイスが用いられている。例えば、CMOS、二次元CCD等であってもよい。撮像素子28には、スリット状部材15bの透光部で結像した、眼底Erのスリット状領域の像が投影される。撮像素子28は、赤外光および可視光の両方に感度を持つ。
【0056】
本実施例では、スリット状の照明光が眼底Er上で走査されるに従って、撮像素子28の走査線毎に、眼底Er上の走査位置の像(スリット状の像)が順次投影される。このように、撮像素子には、時分割で走査範囲の全体像が投影される。結果として、走査範囲の全体像として、眼底Erの正面画像が撮像される。
【0057】
なお、実施例において受光系における走査部は、メカニカルにスリットを走査するデバイスであったが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、受光光学系側の走査部は、電子的にスリットを走査するデバイスであってもよい。一例として、撮像素子28がCMOSである場合、CMOSのローリングシャッター機能によって、スリットの走査が実現されてもよい。この場合、撮像面上で露光される領域を、投光系における走査部と同期して変位させることで、有害光を除去しつつ、効率良く撮影できる。また、液晶シャッター等を、電子的にスリットを走査する走査部として用いることもできる。
【0058】
撮影光学系10は、視度補正部を有している。本実施例では、照射光学系10aの独立光路、受光光学系10bの独立光路、のそれぞれに視度補正部(視度補正光学系17,25)が設けられている。以下では、便宜上、照射側の視度補正光学系を照射側補正光学系17と称し、受光側の視度補正光学系を受光側補正光学系25と称する。本実施例の照射側補正光学系17は、レンズ17a,レンズ17bおよび駆動部17c(図5参照)を含む。また、本実施例の受光側補正光学系25は、レンズ25a、レンズ25b、および、駆動部25c(図5参照)を含む。照射側補正光学系17においてはレンズ17aとレンズ17bとの間隔が、受光側補正光学系25においては、レンズ25aとレンズ25bとの間隔が変更される。これにより照射光学系10aと受光光学系10bとの各々において視度補正が行われる。
【0059】
照射光学系10aの駆動部17cと、受光光学系10bの駆動部25cとは、独立に駆動可能である。その結果、本実施例では、図3(b)に示すように、照射光学系10aにおける視度補正量である照射側補正量と、受光光学系10bにおける視度補正量である受光側補正量とを、それぞれ独立に設定できる。
【0060】
本実施例において、照射側補正光学系17と、受光側補正光学系25と、の各々は、テレセントリック光学系を含む。各々のテレセントリック光学系は、視度補正量が変化しても像側の領域における像高さを維持する。これにより、眼底上における照射光学系のスリット開口と受光光学系のスリット開口との位置関係を、照射側補正量と受光側補正量とのバランスに関わらず一定に保つことができる。このため、眼底上における照射光学系のスリット開口と受光光学系のスリット開口とを、照射側補正量と受光側補正量とのバランスに関わらず常に一致させることができる。また、視度補正量の変化に応じた画像サイズの変化を抑制できる。
【0061】
図2に示すように、更に、撮影光学系10は、フォーカス指標投影光学系の1例として、スプリット指標投影光学系50を有する。スプリット指標投影光学系50は、2つのスプリット指標を眼底に投影する。スプリット指標は、フォーカス状態の検出に利用される。また、本実施例では、フォーカス状態の検出結果から、被検眼Eの屈折度数が取得される。
【0062】
スプリット指標投影光学系50は、例えば、光源51(赤外光源)と、指標板52と、偏角プリズム53とを少なくとも有していてもよい。本実施例において、指標板52は、受光光学系10bにおける撮像面と対応する位置へ配置されている。同様に、各々のスリット状部材15a,15bとも対応する位置へ配置される。詳細には、照射側および受光側の視度補正量が0Dである場合に、正視眼(0D眼)の眼底と略共役な位置に、指標板52は配置される。偏角プリズム53は、指標板52よりも被検眼側において、指標板52に近接して配置される。
【0063】
指標板52は、例えば、スリット光を指標として形成する。偏角プリズム53は、指標板52を介した指標光束を分離し、スプリット指標を形成する。分離されたスプリット指標は、照射側補正光学系17から対物レンズ22までを介して、被検眼の眼底へ投影される。このため、スプリット指標は、眼底画像(例えば、眼底観察画像)に映り込む。
【0064】
指標板52が眼底共役位置からズレている場合は、眼底上で2つのスプリット指標は分離しており、指標板52が眼底共役位置に配置される場合は、2つのスプリット指標は一致される。共役関係は、偏角プリズム53と被検眼Erとの間に配置される照射側補正光学系17によって調整される。そこで、本実施例では、照射側補正量と受光側視補正量とを一致させつつ眼底Erにフォーカスが合わせられる。このとき、スプリット指標の分離状態が、フォーカス状態を示す。2つのスプリット指標が合致されるように、照射側および受光側の視度補正量が各々調整されることによって、撮像面とスリット状部材15a,15bとの各々が、眼底と共役な位置関係となる。
【0065】
撮像面とスリット状部材15a,15bとの各々が眼底と共役な位置関係であるときの視度補正量から、被検眼Eの屈折度数を導くことができる。そこで、本実施例において、更に、レンズ17aとレンズ17bとの間隔、または、レンズ25aとレンズ25bとの間隔のうちいずれかを読み出すエンコーダ(図示を省略する)を有していてもよく、エンコーダからの信号に基づいて、被検眼Eの屈折度数が取得されてもよい。
【0066】
なお、走査部は、例えば、図4に示すようなオプティカルチョッパーであってもよい。オプティカルチョッパーは、外周に複数のスリットが形成されたホイール持ち、ホイールを回転させることで、高速にスリットをスキャンできる。
【0067】
ここで、図2では、照射光学系10aの光源ユニット11からミラー18までと、受光光学系10bの穴開きミラー20から撮像素子28までとが、X方向に並列されているが、例えば、穴開きミラー20とミラー18との向きを、図示した状態から90°回転させ、両者をY方向に並列させることによって、オプティカルチョッパーを走査部として適用可能になる。この場合、図4に示すように、ホイールの上端と下端との2箇所で、照射光学系10aの光軸と受光光学系10bの光軸とをそれぞれ横切らせることで、1体のオプティカルチョッパーで、投光系および受光系の走査を、容易に同期させることができる。
【0068】
<前眼部観察光学系>
次いで、前眼部観察光学系40を説明する。前眼部観察光学系40は、対物レンズ22とダイクロイックミラー43と、を撮影光学系10と共用する。前眼部観察光学系40は、更に、光源41、ハーフミラー45、撮像素子47等を含む。撮像素子47は、二次元撮像素子であり、例えば瞳孔Epと光学的に共役な位置に配置される。前眼部観察光学系40は、赤外光で前眼部を照明し、前眼部の正面画像を撮影する。
【0069】
なお、図2に示した前眼部観察光学系40は一例に過ぎず、他の光学系とは独立した光路で前眼部を撮像してもよい。
【0070】
<制御系>
次に、図5を参照して、撮影装置1の制御系を説明する。本実施例では、制御部100によって、撮影装置1の各部の制御が行われる。また、便宜上、撮影装置1で得られた各種画像の画像処理についても、制御部100によって行われるものとする。換言すれば、本実施例では、制御部100が、画像処理部を兼用している。
【0071】
制御部100は、各部の制御処理と、演算処理とを行う電子回路を有する処理装置(プロセッサ)である。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリ等で実現される。制御部100は、記憶部101と、バス等を介して電気的に接続されている。
【0072】
記憶部101には、各種の制御プログラムおよび固定データ等が格納される。また、記憶部101には、一時データ等が記憶されてもよい。
【0073】
撮影装置1による撮影画像は、記憶部101に記憶されていてもよい。但し、必ずしもこれに限られるものではなく、外部の記憶装置(例えば、LANおよびWANで制御部100に接続される記憶装置)へ撮影画像が記憶されてもよい。
【0074】
また、制御部100は、駆動部8、光源11a~11d、駆動部15c、駆動部17c、駆動部25c、撮像素子28、光源41、撮像素子47、光源51、入力インターフェイス110、およびモニタ120等の各部とも電気的に接続されている。
【0075】
また、制御部100は、入力インターフェイス110(操作入力部)から出力される操作信号に基づいて、上記の各部材を制御する。入力インターフェイス110は、検者の操作を受け付ける操作入力部である。例えば、マウスおよびキーボード等であってもよい。
【0076】
[動作]
次に、図6のフローチャートを用いて、撮影動作を説明する。
【0077】
撮影装置1は、被検者の顔が顔支持部9に対して配置され、顔検出カメラ110の撮影範囲に含まれることによって、自動的に撮影動作がスタートしてもよい。
【0078】
まず、顔検出カメラ110と前眼部観察光学系40とによる撮影が並行して行われるようになり(S1)、両者の撮影結果を用いたアライメント調整が実行される(S2)。
【0079】
詳細には、制御部100は、顔画像に含まれる左右眼の一方の位置を検出し、その位置情報に基づいて駆動部8を駆動させる。これにより、前眼部観察が可能な位置まで、撮影ユニット4の位置を調整する。
【0080】
次に、前眼部正面画像に基づいて、アライメント基準位置が設定され、設定されたアライメント基準位置へとアライメントが誘導される。本実施例では、前眼部正面画像に基づいて被検眼Eと撮影ユニット3との位置関係が、制御部100によって調整される。本実施例において、制御部100は撮像素子47からの信号に基づいて、前眼部観察像における瞳孔中心と、画像中心(本実施例では、撮影光軸Lの位置)とが略一致する位置関係を目標とする第1基準位置が、設定される。そして、第1基準位置からのアライメントずれを検出し、アライメントずれが解消される方向へと撮影ユニット4を上下左右方向へ移動させる。このとき、例えば、前眼部観察画像上における瞳孔中心と撮影光軸とのズレ量に基づいて第1基準位置とのアライメントずれが検出されてもよい。また、眼底撮影装置1が、例えば、角膜頂点にアライメント指標を投影するアライメント投影光学系を有している場合、アライメント指標と撮影光軸とのズレ量に基づいてアライメントずれが検出されてもよい。
【0081】
また、制御部100は、瞳孔Epに前眼部観察画像のフォーカスが合うように撮影ユニット4を前後方向へ移動させる。これにより、装置から被検眼までの距離が、所定の作動距離に調整される。
【0082】
このように、本実施例では、S2のアライメント調整の結果として、被検眼と撮影ユニット4との位置関係が、被検眼の瞳上における受光領域Rの中心(つまり、撮影光軸)が瞳孔中心と一致するような位置(本実施例における第1基準位置)へと調整される。
【0083】
次に、制御部100は、眼底観察画像の撮影および表示を開始する(S3)。詳細には、制御部100は、光源11c,11dを同時に点灯させると共に、駆動部15cの駆動を開始させ、眼底Er上の所定の範囲で、スリット状の照明光が、繰り返し走査される。所定回数(少なくとも1回)の走査毎に、撮像素子28から出力される信号に基づいて、略リアルタイムに撮影された眼底画像が、眼底観察画像として、随時生成される。制御部100は、眼底観察画像を、略リアルタイムな動画像として、モニタ120へ表示させてもよい。
【0084】
次に、眼底観察画像に基づいて、照射光学系および受光光学系におけるフォーカス状態が調整される(S4)。本実施例では、アライメント完了後、視度補正光学系を駆動してフォーカス調整が行われる。このとき、本実施例では、照射側補正光学系17と、受光側補正光学系25との、両方が駆動される。
【0085】
フォーカス調整処理において、制御部100は、まず、光源51を点灯することにより、眼底に対してスプリット指標の投影を開始する。制御部100は、照射側補正量と受光側補正量とを一致させつつ補正量を変化させることで眼底Erにフォーカスを合わせる。また、制御部100は、補正量が変化する毎に、スプリット指標の分離状態を眼底観察画像から検出し、スプリット指標が合致するまで、照射側補正量と受光側補正量とを調整する。本実施例において、この調整によって設定された照射側補正量を第1の照射側補正量とし、受光側補正量を第1の受光側補正量とする。
このような調整の結果として、撮像面とスリット状部材15a,15bとの各々が、眼底と共役な位置関係となる。
【0086】
また、本実施例では、スプリット指標が合致したときの視度補正量が、屈折度数情報として、制御部100によって取得される(S5)。なお、屈折度数情報を取得する方法はこれに限定されない。例えば、制御部100は眼底観察画像に基づいて、撮影範囲の中心部にフォーカスが合った場合の視度補正量と、撮影範囲の周辺部にフォーカスが合った場合の視度補正量を求めてもよい。この場合、フォーカスが合っているかを判定するために、眼底観察画像に対して、コントラスト情報や、空間周波数の解析を行ってもよい。これによれば、撮影範囲の中心部と撮影範囲の周辺部におけるフォーカスのズレが、視度補正量に対応して求められるため、被検眼の屈折度数情報が求められる。
【0087】
次いで、眼底画像が複数枚撮影される(S6)。この場合における動作について、図6のフローチャート図を用いて説明する。なお、このとき、観察用の光源11c、11dからの発光を停止し、その後、撮影用の光源11a、11bを点灯させてもよい。この場合、光源11a、11bから照射される可視光に基づいて眼底の撮影画像が撮影の結果として取得される。
【0088】
本実施例において、制御部100は、照射側補正光学系17の照射側補正量を一定とした状態で、フォーカス指標の検出結果に基づくフォーカス位置を基準に、受光側補正光学系25を駆動し、受光側補正量を段階的に変更して撮影を行う。例えば、制御部100は、受光側補正量の変更を行い(S61)、撮影を行う(S62)動作を、所定の枚数の眼底画像を撮影するまで繰り返す。これにより、制御部100は、フォーカス状態が異なる複数の眼底画像を得る。
【0089】
まず、フォーカス状態の調整(S4)が完了した際のフォーカス状態で、眼底画像を撮影する。言い換えれば、照射側補正量が第1の照射側補正量で、かつ受光側補正量が第1の受光側補正量であるフォーカス状態で撮影を行う。これによって取得された眼底画像を、第1眼底画像F1と称する。
【0090】
例えば、被検眼Eについて、眼底Erの湾曲が受光光学系の設計の湾曲よりも強い場合(例えば、被検眼が軸性近視の場合)、撮影範囲の中心部から周辺部へ離れるにしたがって、フォーカスが合う位置は眼底Erに対して奥側にズレていく。すなわち、眼底画像F1は、撮影範囲の中心部にフォーカスが合い、撮影範囲の中心部から周辺部へ離れるに従いフォーカスのズレが大きくなる画像となる場合がある。この場合、撮影範囲の中心部と撮影範囲の周辺部との間でフォーカス状態に差が生じた眼底画像が得られる。
【0091】
これに対応するため、本実施例では、制御部100は、フォーカス指標の検出結果に基づくフォーカス位置を基準に、受光側補正光学系25を駆動し、受光側補正量を変更して撮影を行う。これにより、制御部100は、同じ撮影範囲で、異なる位置にフォーカスが合った複数の眼底画像を得る。本実施例において、制御部100が4枚の眼底画像を得る場合を説明する。もちろん、撮影する眼底画像の枚数はこれに限定されない。
【0092】
例えば、撮影を行うたびに、フォーカス位置を、前眼部の方向に移動させるように、制御部100はレンズ25bを駆動させる。これにより、眼底Erの湾曲が強い場合、撮影を繰り返す度に、眼底画像上のフォーカスが合う位置は撮影範囲の中心部から周辺部の方向に移動していく。
【0093】
例えば、制御部100がフォーカス位置を移動させる制御の具体例について、図7を用いつつ以下に説明する。なお、本実施例ではフォーカス位置を移動させるためにレンズ25bを駆動させるため、レンズ25bを駆動させる制御について説明する。
【0094】
例えば、制御部100は、受光側補正量を変更して、フォーカス位置を一定量毎に変更する。すなわち、制御部100は、レンズ25bを一定量ずつ手前側に移動させ、次いで撮影を行う、という制御を繰り返す。例えば眼底画像を4枚撮影する場合、制御部100はレンズ25bを、予め定められた駆動範囲の1/3ずつ移動させてもよい。
【0095】
具体的には、制御部100は、まずフォーカス指標の検出結果に基づく基準のフォーカス位置で、第1の眼底画像F1(図7(a)参照)を撮影する。次いで、レンズ25bを駆動範囲の1/3だけ移動させて、第2の眼底画像F2(図7(b)参照)を撮影する。次いで、レンズ25bを駆動範囲の1/3だけ移動させて、第3の眼底画像F3(図7(c)参照)を撮影する。そして、レンズ25bを駆動範囲の1/3だけ移動させて、第4の眼底画像F4(図7(d)参照)を撮影する。なお、この駆動方法は一例であり、必ずしも同じ駆動量でレンズ25bの駆動を繰り返す必要はない。
【0096】
なお、複数の眼底画像を取得するときのレンズ25bの駆動範囲(受光側補正量の調整範囲)は、S5で取得した被検眼の屈折度数情報に基づいて定められてもよい。例えば、被検眼が屈折度数の強い近視(軸性近視)であるほど、眼底Erの湾曲は強くなり、撮影範囲の周辺部におけるフォーカスのズレは大きくなる。このため、制御部100は被検眼の湾曲が強いほど、撮影範囲の周辺部に対してフォーカスが合うように調整するために、より大きくレンズ25bの位置を変更する。このように、制御部100は屈折度数情報に基づいて、眼底Erの湾曲の強さを考慮し、眼底Erの湾曲が強いほどレンズ25bの駆動範囲を大きくするように調整する。
【0097】
なお、複数の眼底画像を取得するときのレンズ25bの駆動範囲は、撮影の実行に掛かる時間に基づいて決定されてもよい。例えば、制御部100は、複数の眼底の撮影を予め定められた時間内に終わらせるように制御を行う。予め定められた時間とは、例えば、可視の照明光によって被検眼の縮瞳が生じないように設定された時間である(例えば、0.5秒)。例えば、制御部は、撮影実行に掛かる時間と、撮影する枚数と、に基づいて、レンズ25bを駆動させる時間(すなわち、レンズ25bの駆動範囲)を定めてもよい。
【0098】
また、本実施例ではレンズ25bの駆動範囲を調整する場合を説明したが、制御部100は、被検眼の屈折度数情報に基づいて撮影枚数を設定してもよい。この場合、撮影枚数を増やすと、より細かくフォーカスが合った範囲が変更された眼底画像を取得できる。
【0099】
例えば、制御部100は、複数の眼底画像の撮影(S6)の際に、照射側補正量を第1の照射側補正量に保つ。これにより、複数の眼底画像の間の明るさに差が生じることが低減されるため、後述の画像処理時に好適に眼底画像を取得できる。
【0100】
複数の眼底画像が撮影されると、制御部100は画像処理を行う(S7)。例えば、制御部100は、第1眼底画像F1に対して処理を行って、画像の鮮明度(画質)を評価する評価値を求める。例えば、制御部100は、第1眼底画像F1についてコントラスト検出を行い、コントラストが高い領域には高い評価値を付し、コントラストが低い領域には低い評価値を付す。なお、コントラスト検出は評価値を求めるための一例である。例えば、評価値は画像の空間周波数に基づいて定められる値でもよい。
【0101】
ここで、フォーカスが合っている位置ほど画像の鮮明度(画質)は上昇することから、画像の鮮明度を評価することで、フォーカス状態(すなわちフォーカスのズレ量)を評価することができる。すなわち、評価値が高い領域はフォーカスのズレ量が小さい。その一方で評価値が低い領域は、フォーカスのズレ量が大きい。
【0102】
本実施例において、複数の眼底画像を撮影する際に照射光学系17による照射側補正量を一定としているため、眼底画像それぞれの明るさの差が少ない。このため、制御部100は複数の眼底画像に対して評価値を付す際に、画像ごとの明るさの差を考慮しなくてもよい。
【0103】
次いで、制御部100は、第1眼底画像F1と同様にして、取得した複数の眼底画像それぞれについて、画像処理を行うことで評価値を付す。
【0104】
その後、制御部100は、取得した複数の眼底画像を、付した評価値に基づいて合成することで処理画像SFを得る。
【0105】
合成方法の一例について、図8を用いて説明する。例えば、被検眼に乱視成分が含まれないとする。例えば、制御部100は、撮影された複数の眼底画像について、評価値が高い部分を組み合わせて一枚の画像を生成する。この場合、例えば、図8のように、第1眼底画像F1からは、他の眼底画像よりも評価値が高かった領域G1が切り出される。同様に、第2眼底画像F2からは領域G2が切り出される。第3眼底画像F3からは領域G3が切り出される。第4眼底画像F4からは領域G4が切り出される。その後、切り出された領域G1からG4が合成されて、処理画像SFが形成される。
【0106】
なお、被検眼に乱視成分が含まれる場合、例えば、図9に示すように、4枚の各画像から楕円領域が切り出されることで、処理画像SFが得られる。
【0107】
これによれば、第1眼底画像から第4眼底画像それぞれにおいて、フォーカスが合った部分を組み合わせた、眼底画像が取得できる。このため、撮影領域の中心部と周辺部との間でフォーカス状態の差が少ない画像を得ることができる。
【0108】
また、合成方法はこれに限定されない。例えば、合成方法は、評価値に基づいて重みづけを行って複数枚の画像を加算することでもよい。具体的には、例えば、評価値を求めた領域ごとに、各画像の評価値の比をとり、その比にしたがって画像を加算することで合成画像を生成してもよい。
【0109】
なお、画像処理によって取得する処理画像SFは1枚とは限らない。例えば、制御部100は、複数枚の処理画像SFを画像処理の結果として取得してもよい。
【0110】
例えば、制御部100は、合成に用いる眼底画像の組み合わせを変更することで、複数枚の処理画像SFを取得してもよい。その場合の一例を説明する。例えば、制御部100は、第1眼底画像F1、第2眼底画像F2及び第3眼底画像F3を合成して第1の処理画像SF1を取得する。また、制御部100は、第2眼底画像F2、第3眼底画像F3及び第4眼底画像F4を合成して第2の処理画像SF2を取得する。
【0111】
例えば、複数の処理画像を取得する場合において、制御部100は、取得した複数枚の処理画像SFをモニタ120に表示させ、検者に画像を選択させてもよい。
【0112】
[変容例]
例えば、本実施例において、フォーカス調整のため赤外光源11c、11dを用いてフォーカス指標を投影し、その一方で可視光源11a、11bを用いて撮影する。ここで、赤外光は可視光よりも眼底Erの組織の深部に達することから、赤外光のフォーカスが合う位置は、可視光のフォーカスが合う位置よりも、眼底Erの奥側である。このため、フォーカス指標を用いてフォーカスを合わせても、撮影時にはフォーカスがズレている場合がある。具体例として、フォーカス指標を用いてフォーカス状態を調整した位置から、フォーカス位置を手前に動かした複数の状態で撮影が行われることにより、撮影範囲の中心部にフォーカスが合った眼底画像が得られる。
【0113】
また、この場合、被検眼の屈折度数情報に基づいてフォーカス状態を調整する範囲を変更したとして、撮影を行う範囲内にフォーカスが合わない位置が生じる可能性がある。
【0114】
この場合を考慮して、制御部100はフォーカス状態が調整される範囲(実施例におけるレンズ25bの駆動範囲)を手前方向に余分に設定してもよい。
【0115】
例えば、本実施例において画像処理として複数の眼底画像から合成して処理画像SFを取得する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、制御部100は、画像処理として、撮影した複数の眼底画像から所定の枚数の画像を選択的に処理画像SFとして取得してもよい。
【0116】
画像を選択する方法の一例について説明する。
【0117】
例えば、制御部100は、複数の眼底画像それぞれに対して、画像全体の評価値の平均値を求める。また、複数の眼底画像それぞれに対して、撮影範囲の中心部の評価値を求める。例えば、制御部100は、撮影範囲の中心部の評価値が一定以上である画像のうち、画像全体の評価値の平均値が最も高い眼底画像を選択的に処理画像SFとして取得する。なお、画像を選択する方法はこの例に限定されない。
【0118】
また、例えば、制御部100は、撮影した複数の眼底画像をモニタ120に表示し、検者に選択させてもよい。その場合、制御部100は、検者が選択した眼底画像を、処理画像SFとしてもよい。
【0119】
また、画像処理として、画像の選択と、合成とが行われてもよい。例えば、複数の眼底画像が選択された場合、それらを合成して処理画像としてもよい。その場合の一例について説明する。例えば、制御部100は、評価値が一定以上の領域を持つ眼底画像を選択的に合成してもよい。これによれば、評価値が低い画像を合成することによる画質の低下が抑制される。もちろん、画像の選択方法はこれに限定されない。
【0120】
本実施例において、フォーカス状態の調整を行うことでフォーカスが合わせられる位置と、撮影範囲の中心と、は必ずしも一致していなくてもよい。
【0121】
本実施例において、第1眼底画像F1を取得した際に、画像処理を行い、撮影範囲の中心部と、撮影範囲の中心部以外の領域(撮影範囲の周辺部)に対して評価値を求めてもよい。例えば、撮影範囲の中心部と、撮影範囲の周辺部とで、評価値の差が一定以上であった場合に、複数の眼底画像を撮影して、合成処理を行ってもよい。また、撮影範囲の周辺部とで、評価値の差が一定以下の場合は、第1眼底画像F1を処理画像SFとして取得してもよい。これによれば、撮影範囲の中心部と、撮影範囲の周辺部との間でフォーカス状態の差が小さい場合に、複数の眼底画像を撮影することを抑制できるため、撮影時間を短縮できる。また、可視光での撮影における被検眼の負担が少ない。
【0122】
例えば制御部は、被検眼Eの屈折度数情報に基づいて、複数枚の撮影を実行するか否かを決定してもよい。
【0123】
前述の通り、被検眼Eの湾曲と、設計の湾曲とのズレが大きくなるほど、撮影範囲の中心部と周辺部とのフォーカス状態のズレは大きくなる。
【0124】
例えば、制御部100は予め基準となる屈折度数を基準度数(例えば、0D)として設定しておき、被検眼Eの屈折度数と基準度数との差が、所定の度数(例えば、±1D)以上である場合に複数の眼底画像の撮影を行ってもよい。また、例えば、制御部100は被検眼Eの屈折度数と基準度数との差が所定の度数(例えば、±1D)未満である場合には、複数の眼底画像の撮影は行わず、スプリット指標に基づいてフォーカス状態を調整した眼底画像を撮影してもよい。
【0125】
これによれば、撮影範囲の中心部と、撮影範囲の周辺部との間でフォーカス状態の差が小さい場合に、複数の眼底画像を撮影することを抑制できるため、撮影時間を短縮できる。また、眼底画像を可視光での撮影における被検眼の負担が少ない。
【0126】
フォーカス状態を変更して撮影を行うことで、複数の眼底画像の間の画像状態の差が生じる。この画像状態の差を補正する、画像状態補正手段が眼底撮影装置1に備えられていてもよい。例えば、画像状態補正手段と制御部100は兼用される。
【0127】
画像状態とは、例えば、画像の明るさ、画像の歪み、画像の撮影範囲、画像の倍率といった、画像の差である。もちろん、画像状態とはこれらに限定されない。なお、画像状態の差とは、眼底画像上の、フォーカスが合った眼底の部位の差を含まない。
【0128】
例えば、画像状態補正手段(制御部100)は、画像状態の差を補正するために、撮影された画像に対する画像処理と、撮影実行時の撮影条件の調整と、の少なくとも一方を行う。
【0129】
例えば、制御部100は、画像処理として、フォーカス状態が調整されたフォーカス位置(実施例における、フォーカス指標に基づくフォーカス位置)で撮影した画像を基準に、画像状態の差が低減されるように処理を行う。
【0130】
例えば、制御部100は、撮影実行時の撮影条件の調整として、フォーカス状態が調整されたフォーカス位置(実施例における、フォーカス指標に基づくフォーカス位置)で撮影した画像を基準に、画像状態の差が低減されるように、撮影条件の調整を行う。
【0131】
画像状態の補正の一例として、画像状態補正手段によって複数の眼底画像の明るさの差が補正される場合について説明する。
【0132】
例えば、制御部100は、取得された明るさの異なる複数の眼底画像に対して画像処理を行うことで、複数の眼底画像の間の明るさの差を低減させる。
【0133】
例えば、制御部100は、フォーカス状態が調整されたフォーカス位置(実施例における、フォーカス指標に基づくフォーカス位置)で撮影した画像の輝度分布Aを求める。その後、制御部100は、求めた輝度分布Aと同じ輝度分布となるように、各眼底画像に対して画像処理を行って、輝度を調整する。これによれば、複数の眼底画像の間の明るさの差が低減される。なお、画像処理の方法はこれに限定されない。
【0134】
また、例えば制御部100は、撮影条件を調整して、複数の眼底画像の間の明るさの差を低減させる。本実施例において、制御部100(画像状態補正手段)は照射側補正量を一定として複数の画像を撮影する方法を記載したが、これに限定されない。例えば、照射側補正光学系17と、受光側補正光学系25が兼用される場合、受光側補正量を変更すると、照射側補正量もそれに従って変更される。このように、照射側補正量を一定としないで、複数枚の画像の撮影を行う場合であっても、明るさを調整可能な方法の一例を説明する。
【0135】
例えば、制御部100は、フォーカス状態が調整されたフォーカス位置(実施例における、フォーカス指標に基づくフォーカス位置)で撮影を行った際の画像状態を基準に、撮影条件を調整する。例えば、制御部100は光源11a、11bの光量を変更することで、眼底画像の明るさを調整して、複数の眼底画像の間に明るさの差が生じることを抑制してもよい。例えば、制御部100は、照射光学系10aのフォーカスがズレることによって発生する、眼底画像の明るさの変化が打ち消されるように光源11a、11bの光量を変更してもよい。
【0136】
また、例えば、制御部100は照射光学系10aのフォーカスがズレることによって発生する、眼底画像の明るさの変化が打ち消されるように撮像素子28の露光時間を変更してもよい。
【0137】
以上に説明した撮影条件の調節方法は一例であり、これに限定されない。
【0138】
このように、画像状態補正手段(制御部100)は、画像処理と、撮影条件の調整と、の少なくとも一方を行うことで、複数の眼底画像の間の画像状態の差を低減させる。
【符号の説明】
【0139】
1 眼底撮影装置
17 照射側補正光学系
25 受光側補正光学系
50 スプリット指標投影光学系
100 制御部
図1
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図9