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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157099
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】実験台
(51)【国際特許分類】
   B01L 9/02 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B01L9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061134
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000114891
【氏名又は名称】ヤマト科学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中田 正仁
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 智之
(72)【発明者】
【氏名】中村 陽雄
【テーマコード(参考)】
4G057
【Fターム(参考)】
4G057AE02
4G057AE03
(57)【要約】
【課題】作業中に作業テーブル面上にこぼれた液体(ダレ液)を確実に回収でき、電源タップなどが配される収納ボックス内へのダレ液の浸入を容易に回避できるようにする。
【解決手段】実施形態に係る実験台は、作業が行われる作業机の作業テーブル面SFの奥端部側に配置され、電源タップなどが配される収納ボックス81と、作業テーブル面SFと収納ボックス81との間に設けられたダレ液回収溝85と、作業テーブル面SF側のダレ液回収溝85との間に一定の隙間86を有して、ダレ液回収溝85の上面を被覆する溝カバー87と、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業が行われる作業テーブルと、
前記作業テーブルの端部に配置され、電源タップなどが配される収納ボックスと、
前記作業テーブルと前記収納ボックスとの間に設けられた液体回収溝と、
前記作業テーブル側の前記液体回収溝との間に一定の隙間を有して、前記液体回収溝の上面を被覆するカバー部材と、
を具備したことを特徴とする実験台。
【請求項2】
前記カバー部材は、上方に円弧状に湾曲した形状とされていることを特徴とする請求項1に記載の実験台。
【請求項3】
前記カバー部材は、ゴム製のパッキンにより形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の実験台。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記液体回収溝に対して着脱自在な構成とされていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の実験台。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記収納ボックスを開閉する蓋体とともに着脱可能な構成とされていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の実験台。
【請求項6】
前記液体回収溝には、回収された液体を溜めるための回収タンクが接続されていることを特徴とする請求項1に記載の実験台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の実験や検査などが行われる実験台に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、実験や検査などを行う施設においては、実験台を用いて、各種の実験や検査などが行われる。
【0003】
該実験台には、電気コードやチューブなどが通される開口部を備えた案内部材が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そのため、この種の実験台においては、漏電などの危険を回避するために案内部材の開口部への液体の進入を防止する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-196138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の実験台は、天板上にこぼれた液体(ダレ液)が少量の場合には案内部材の開口部へのダレ液の進入を防止できるものの、ダレ液が多量の場合には、開口部への進入を防止できないという課題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、作業中にこぼれた液体を確実に回収でき、電源タップなどが配される収納ボックス内へのダレ液の浸入を容易に回避可能な実験台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するため、本発明の一態様の実験台は、作業が行われる作業テーブルと、前記作業テーブルの端部に配置され、電源タップなどが配される収納ボックスと、前記作業テーブルと前記収納ボックスとの間に設けられた液体回収溝と、前記作業テーブル側の前記液体回収溝との間に一定の隙間を有して、前記液体回収溝の上面を被覆するカバー部材と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業中にこぼれた液体を確実に回収でき、電源タップなどが配される収納ボックス内へのダレ液の浸入を容易に回避可能な実験台を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る実験台の概略構成を示す斜視図である。
図2】一実施形態に係る実験台の正面図である。
図3】一実施形態に係る実験台の一側面図である。
図4図2のIV-IV線に沿う実験台の断面図である。
図5図1のV部付近の構造を示す要部の拡大図である。
図6図4のVI部付近の構造を示す要部の拡大図である。
図7図2のVII-VII線に沿う実験台の断面図である。
図8図7のVIII部付近の構造を示す要部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態について説明する。なお、実施形態において、図面は、発明の概要を模式的に示すものであって、実際のものとは異なるものであることに留意すべきである。
【0012】
<一実施形態>
図1は、一実施形態に係る実験台1の概略構成を示す斜視図であり、図2は、実験台1の正面図であり、図3は、実験台1を昇降式収納キャビネット(ダウンキャビネット)50側より示す一側面図である。図4は、図2のIV-IV線に沿う実験台1の断面図である。
【0013】
本実施形態に係る実験台1は、スイングタイプの昇降式収納キャビネット50を備えた実験台であって、ほぼ作業姿勢のまま、脚立などを用いずとも昇降式収納キャビネット50内に収納された器材の、使用者(作業者)による出し入れが可能な構造とされている。
【0014】
即ち、この実験台1は、例えば図1図4に示すように、使用者が実験や検査などの作業を行う作業テーブルとしての作業机10と、作業机10の上部後方に配置され、作業で使用する各種の器材を収納するための収納棚20と、を備えてなる構成とされている。収納棚20に収納される各種の器材としては、例えば、作業で使用する実験器具や検査機器または試薬といった薬品などがあげられる。
【0015】
ここでは、システムとして、収納棚20と、収納棚20の手前側に配置された作業机10と、からなる実験台1を、収納棚20の両側に作業机10が線対称となるように対面式に配置されてなる構造とするとともに、共有の流し台30を備えた場合を例示している。
【0016】
なお、収納棚20をセンタとする各実験台1は、作業机10と収納棚20とを備えた同一構造であるので、以下では、一方(例えば、手前側)の実験台1について主に説明する。
【0017】
実験台1において、作業机10は、例えば、複数(ここでは、4つ)の引き出し12と、引き出し12の下方に配置された移動式のサイドテーブル(キャビネットワゴン)14,15と、を備え、図示省略の椅子に腰かけた状態での作業が可能となっている。
【0018】
収納棚20は、例えば、左右(図示矢印X)方向に並べられた2つの堅牢なスチール製の棚フレーム(ブリッジ構造)40と、棚フレーム40の一方に配置された昇降式収納キャビネット50と、保管棚60と、棚フレーム40の他方に配置された格納棚70と、を有している。
【0019】
棚フレーム40は、一対の支柱であって、支持ピラー41に連結される連結ピラー(増設ピラー)42と、連結ピラー42間に架設された第1架設部43および第2架設部44と、から構成されている。
【0020】
ここで、支持ピラー41は、作業机10同士を接続しつつ、棚フレーム40の後付けによる収納棚20の増設を可能とするものである。即ち、支持ピラー41は、例えば、作業机10の後方(図示矢印Y方向)であり、作業テーブル面SFの奥端部側における左・右の両端部付近および中央部付近に、作業机10の垂直(図示矢印Z)方向のほぼ全長にわたって強固に取り付け固定されている。
【0021】
したがって、支持ピラー41に対して、例えば、収納棚20がガタついたりしないように連結ピラー42が強固に連結されることによって、堅牢な棚フレーム40による収納棚20の増設が容易に可能とされる。
【0022】
本実施形態に係る実験台1は、最初から収納棚20を備えてなる場合に限らず、例えば、対面式に配置する作業机10の相互間に予め支持ピラー41を取り付けておくことによって、後に収納棚20を追加して、システム化することを容易に可能とする。
【0023】
なお、収納棚20は、予めユニット化して表裏一体の共通構造とすることにより、各実験台1の使用者による、それぞれの作業机10側からの利用が可能となっている。もちろん、作業性を考慮して、各実験台1で異なるように収納棚20を構成することも可能である。
【0024】
また、棚フレーム40は、複数個を左右(図示矢印X)方向に並べて配置する場合に限らず、例えば、単体からなるものであっても良い。
【0025】
収納棚20において、格納棚70は、例えば右側の棚フレーム40の、第1架設部43と第2架設部44との間を上下および左右に4分割(2段×2列)するように配置されている。格納棚70は、両実験台1での兼用が可能なように連通されており、出し入れ口となる各開口部には落下防止用のガード70aが設けられている。
【0026】
昇降式収納キャビネット50としては、例えばリンク機構を介して、左側の棚フレーム40の、第1架設部43の下方に3個の昇降棚51が設けられている。各昇降棚51は、実験台1の使用者によって昇降ハンドル52が操作されることにより、適宜、保管棚60を避けるようにして前方に引き出されて作業テーブル面SFの近くまで降下されるようになっている。
【0027】
これにより、使用者は、椅子に腰かけたままの状態(姿勢)で、手元近くまで昇降式収納キャビネット50の昇降棚51を引き寄せることが可能となる。その結果、昇降棚51内に収納された器材の出し入れが容易に可能となり、作業効率が格段に向上される。
【0028】
なお、各昇降棚51は、例えば、上下2段に分割されていて、出し入れ口には落下防止用のガード51aがそれぞれ設けられている。
【0029】
保管棚60は、例えば左側の棚フレーム40の、第2架設部44の前面部(正面側)にほぼ同一幅で設けられている。保管棚60の上面で、かつ、平坦な、各種の器材を保管可能な保管部61が、第2架設部44の上面とほぼ同一高さとなるように、例えば、連結ピラー42の前面部に固定されている。
【0030】
保管部61には、例えば図5および図6に示すように、出し入れ口側(前端部分)に落下防止用の可動式ガード62が設けられている。可動式ガード62は、例えばクリックヒンジ(図示していない)によって、使用者が器材を出し入れする際に手などで所定のガード位置より押し下げることが容易に可能となっている。押し下げられた可動式ガード62は、ガード位置に自動的に復帰するようになっている。
【0031】
なお、図5は、図1のV部付近の拡大図であり、ここでは昇降棚51を引き出していない状態を示している。図6は、図4のVI部付近の拡大図である。図中に矢印で示すように、可動式ガード62は、その位置を可変させることができるので、器材が保管部61から誤って落下するのを抑制しつつ、器材の出し入れがより容易に可能となる。
【0032】
保管棚60の下面には、例えば図1図3に示すように、使用中の器材などを一時的に保持(保管・収納)させるための保持具90を取り付けることが可能となっている。保持具90は、保管棚60の下面に取り付ける以外に、例えば右側の棚フレーム40の、第2架設部44などに取り付けるようにすることも可能である。
【0033】
作業机10の作業テーブル面SFの後方における、棚フレーム40の連結ピラー42間には、例えば図7および図8に示すように、図示していない電源タップやガスバーナなどが格納された収納ボックス(案内部材)81が設けられている。収納ボックス81は、常時、手動により開閉可能な蓋部(蓋体)82によって覆われている。
【0034】
作業テーブル面SFの奥端部側の、例えば収納ボックス81との間には、図8に示すように、蓋部82に近接して、作業テーブル面SF上にこぼれた液体(ダレ液)などを回収するダレ液回収溝(液体回収溝)85が配設されている。ダレ液回収溝85は、ダレ液が収納ボックス81内に浸入するのを防ぐためのもので、例えば、作業テーブル面SFの奥側に左右方向(X方向)に沿って配設された、上方へ開口された15mm幅程度の矩形状の溝である。
【0035】
ダレ液回収溝85には、例えば、作業テーブル面SF側に回収口となる若干の隙間86を一様に有して、ダレ液回収溝85の上面開口部分を覆う溝カバー(ゴム製パッキンなどのカバー部材)87が設けられている。溝カバー87は、例えば、上方に円弧状に湾曲した断面形状を有している。
【0036】
これにより、溝カバー87を超えてダレ液が収納ボックス81側に進行するのを抑制しつつ、隙間86を介して、ダレ液をダレ液回収溝85にて確実に回収できるようになる。したがって、実験や検査などの作業中に、作業テーブル面SFに誤って液体をこぼしたとしても、そのダレ液が収納ボックス81内に浸入し、収納ボックス81中に配されている電源タップなどが漏電するのを回避可能となる。
【0037】
また、溝カバー87をゴム製のパッキンにより形成するようにした場合には、形状(湾曲度合い)の変更や隙間86の調整が容易であり、落下物に対する衝撃吸収の効果も期待できる。
【0038】
また、溝カバー87を設けたことにより、ダレ液回収溝85内に器材や筆記具などが落下するのを未然に防止できる。
【0039】
特に、溝カバー87をダレ液回収溝85に対して着脱自在な構成とした場合には、ダレ液回収溝85内の清掃などを行う際にも好適となる。よって、こぼした液体が有害な薬品の場合であっても、こぼれた薬品の全てを直ちに回収・清掃することが可能であり、高い安全性を確保できる。
【0040】
なお、ダレ液回収溝85は、例えば、蓋部82とともに着脱可能な構成とすることも可能である。これにより、蓋部82を取り外すことに伴って、ダレ液回収溝85の取り出しが可能となるため、修理などのメンテナンス性をも向上できる。
【0041】
流し台30は、実験や検査などで使用した器材を洗浄するためのもので、蛇口31やシンク33のほか、例えば、使用した薬品などを回収する回収装置35などを備えている。また、流し台30は、水撥ね防止用のつい立36を備えている。
【0042】
流し台30の背面側で、各実験台1との間には、例えば、ダレ液回収溝85で回収したダレ液を溜める回収タンク88やドレインパイプ89を備えたユニット装置37が配設されている。回収タンク88は、排液のために、ユニット装置37に対して容易に着脱可能な構成とすることが望ましい。
【0043】
なお、このユニット装置37内には、例えば、流し台30のための上下水用の配管などを設けることも可能である。
【0044】
実験台1の作業テーブル面SFと流し台30の上面とユニット装置37の上面は、作業性を考慮して、同一高さになるようにするのが望ましい。
【0045】
上記したように、本実施形態によれば、作業中に作業テーブル面SF上にこぼれた液体を確実に回収でき、電源タップなどが配される収納ボックス81内へのダレ液の浸入を容易に回避可能となる。
【0046】
即ち、作業テーブル面SFと電源タップなどが配される収納ボックス81との間に、溝カバー87を備えたダレ液回収溝85を設けるようにしている。これにより、溝カバー87を超えてダレ液が収納ボックス81側に進行するのを抑制しつつ、作業テーブル面SF上にこぼれた液体を的確に回収できるようになる。したがって、まとまった量の液体がこぼれた場合にも、収納ボックス81内へのダレ液の浸入を防止でき、内部に配された電源タップなどが漏電するのを回避することが可能となる。
【0047】
特に、隙間86を設けることによってダレ液だけを容易に回収し得、使用中の器材などが誤って落下するのを防止できるとともに、溝カバー87を着脱自在とすることで、溝内の清掃などを容易に実行可能となる。
【0048】
なお、ダレ液回収溝85は、蓋部82側に設ける場合に限らず、作業テーブル面SFの奥端部に配設する構成としても良い。
【0049】
また、回収タンク88は、ユニット装置37内に設ける場合に限らず、ダレ液回収溝85に沿う収納ボックス81の下方に配置することも可能である。
【0050】
また、本実施形態に係る実験台のダレ液回収溝85は、ダレ液のみでなく、洗浄液や消毒液なども回収可能であり、さらに言えば、粉体などを回収することも可能である。
【0051】
<他の実施形態>
以上、実施形態を例示して本発明の一態様について説明したが、一例であり、特許請求の範囲に記載される発明の範囲は、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更できるものである。
【0052】
即ち、実験台1としては、企業や大学などの実験施設や研究施設、専門の検査機関など、用途に応じて適宜適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 実験台
10 作業机(作業テーブル)
20 収納棚
40 棚フレーム
50 昇降式収納キャビネット
81 収納ボックス
82 蓋部(蓋体)
85 ダレ液回収溝(液体回収溝)
86 隙間
87 溝カバー(カバー部材)
88 回収タンク
89 ドレインパイプ
SF 作業テーブル面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8