(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157100
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ショベル
(51)【国際特許分類】
E02F 9/08 20060101AFI20221006BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20221006BHJP
F16N 11/08 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
E02F9/08 Z
E02F9/00 Z
F16N11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061136
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】関 琢磨
(57)【要約】
【課題】エンジンからの熱が供給モジュールに影響を与えるのを抑止する。
【解決手段】本発明の一態様に係るショベルは、ブームと、ブームを支持する上部旋回体と、上部旋回体に設けられる収納箱と、収納箱の内部に設置された、液体用の貯蔵容器を受け入れ可能なガイド部材と、ガイド部材の外周に沿って巻かれた状態で配置されるホースと、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームと、
前記ブームを支持する上部旋回体と、
前記上部旋回体に設けられる収納箱と、
前記収納箱の内部に設置された、液体用の貯蔵容器を受け入れ可能なガイド部材と、
前記ガイド部材の外周に沿って巻かれた状態で配置されるホースと、
を備えるショベル。
【請求項2】
前記巻かれた状態の外側から前記ホースを支持する支持部を有する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
前記支持部は、前記収納箱の内側の壁部である、
請求項2に記載のショベル。
【請求項4】
前記支持部は、前記ガイド部材の外周に取り付けられ、前記巻かれた状態の外側から前記ホースを支持するよう、折れ曲がった形状を有する支持部材である、
請求項2に記載のショベル。
【請求項5】
前記収納箱には、前記ホースが接続される給油ポンプが設けられ、
前記折れ曲がった形状を有する支持部材は、前記ガイド部材の外周のうち、前記給油ポンプ又は前記給油ポンプから外部のタンクに接続するタンク用ホースが設置された側に設けられている、
請求項4に記載のショベル。
【請求項6】
前記支持部は、複数設けられ、前記収納箱の内側の壁部と、前記ガイド部材の外周に取り付けられ、前記巻かれた状態の外側から前記ホースを支持するよう、折れ曲がった形状を有する支持部材と、を組み合わせている、
請求項2に記載のショベル。
【請求項7】
前記収納箱の底面の形状は、略長方形であって、
前記ガイド部材は、前記収納箱の2つの短辺のうちいずれか一方側に寄せて配置され、
前記支持部は、前記収納箱の短手方向に延びる2つの壁部のうち、前記ガイド部材が寄せられた側に存在する壁部である、
請求項6に記載のショベル。
【請求項8】
前記ガイド部材は、円柱形状の前記貯蔵容器を収納可能とする円筒形状であり、
前記ホースは、前記円筒形状の外周に沿って、円を描くよう1回又は複数回巻いて配置されている、
請求項1乃至7のいずれか一つに記載のショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
ショベルは、上部旋回体に、オペレータが搭乗するキャビンの他に、エンジン、排気ガス処理装置、燃料タンク等を搭載している。さらにショベルは、様々な環境で利用されるため、ショベルのメンテナンス等を行うための収納箱(例えば工具箱)が設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1に記載された技術においては、ホースリールを収納箱に格納する際に、上部床板より上の空間にグリースの貯蔵容器を設置し、当該上の空間と上部床板より下の空間とをホースリールを格納するための空間として用いている。このように引用文献1に記載された技術においては、ホースリールを格納するために鉛直方向には大きな空間を設けている。
【0005】
収納箱は、当該収納箱が搭載されるショベルのサイズの関係で、当該収納箱のサイズも制限されるため、収納対象に限りがある。
【0006】
本発明の一態様は、収納箱内の収納効率を向上させる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るショベルは、ブームと、ブームを支持する上部旋回体と、上部旋回体に設けられる収納箱と、収納箱の内部に設置された、液体用の貯蔵容器を受け入れ可能なガイド部材と、ガイド部材の外周に沿って巻かれた状態で配置されるホースと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、収納箱内の収納効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るショベルの側面図である。
【
図2】
図2は、
図1のショベルの上部旋回体を概略的に示す上面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る排気ガス処理装置の構成例を示す概略図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る昇降設備の設置位置近傍を部分的に拡大して示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る工具箱の内部を示した斜視図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る工具箱の内部を示した上面図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係るペール缶固定用ブラケットの形状を示した斜視図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る、給油ポンプ、及び給油ホースを巻いた状態のペール缶固定用ブラケットを示した斜視図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係る工具箱の内部を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の又は対応する符号を付し、説明を省略することがある。また、図面は、特に指定しない限り、部材もしくは部品間の相対比を示すことを目的としない。従って、具体的な寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定することができる。
【0012】
また、以下で説明する実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述される全ての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るショベル100の側面図である。
図1に示すように、ショベル100は、下部走行体1、上部旋回体2、キャビン3、ブーム4、アーム5、およびバケット6を備える。
【0014】
上部旋回体2は、旋回機構(図示せず)を介して、下部走行体1に搭載される。キャビン3は、上部旋回体2の左側前部に設けられている。キャビン3は、内部に運転席が設けられている。ブーム4は、上部旋回体2の前部中央に回動可能に設けられている。アーム5は、ブーム4の先端部に回動可能に設けられている。バケット6は、エンドアタッチメントの一例であり、アーム5の先端部に回動可能に設けられている。
【0015】
図2は、
図1のショベル100の上部旋回体2を概略的に示す上面図である。
図2に示すように、上部旋回体2には、エンジンルーム7が形成されている。エンジンルーム7内には、ディーゼルエンジン8が設置されている。また、ディーゼルエンジン8の左側(Y軸正側)には、冷却ファン12が設置されている。また、冷却ファン12の左側(Y軸正側)には、ラジエータ等を含む熱交換機ユニット13が設置されている。
【0016】
また、ディーゼルエンジン8には、排気管9が接続されている。排気管9の下流側には、ディーゼルエンジン8から排出される排気ガス中の窒素酸化物(以下、NOxという)を浄化する排気ガス処理装置10が設置されている。
【0017】
本実施形態では、排気ガス処理装置10は、還元剤として尿素水を用いた尿素選択還元型のNOx処理装置である。排気ガス処理装置10は、排気管9に備えられた還元触媒(図示せず)の上流側に尿素水を噴射して排気ガス中のNOx(窒素酸化物)を還元し、この還元反応を還元触媒により促進してNOxを無害化する。
【0018】
上部旋回体2の右側且つエンジンルーム7の前側には、前側(X軸正方向側)から順に、工具箱21、尿素水タンク20、及び燃料タンク19が並べて設けられている。尿素水タンク20は、尿素水を蓄えるための容器である。この尿素水タンク20は、上部旋回体2のブーム4を挟んでキャビン3の反対側に配設されている。
【0019】
また、尿素水タンク20の前方(ブーム4の延出方向側、X軸正方向)には工具箱(収納箱)21が配設されており、また尿素水タンク20の後方(X軸負方向)には燃料タンク19が配設されている。燃料タンク19はディーゼルエンジン8の燃料が貯留されるタンクである。
【0020】
ところで、建設機械においてはメンテナンス等のために作業者が上部旋回体2のハウスカバー2a(
図1参照)上に乗る場合がある。このため上部旋回体2には、作業者がハウスカバー2a上に乗るための昇降設備30(
図2参照)が設けられている。
【0021】
図3は、第1の実施形態に係る排気ガス処理装置10の構成例を示す概略図である。本実施形態では、排気ガス処理装置10は、ディーゼルエンジン8から排出される排気ガスを浄化する。ディーゼルエンジン8は、エンジンコントロールモジュール(以下、「ECM」とする。)60により制御される。
【0022】
ディーゼルエンジン8からの排気ガスは、ターボチャージャ61を経た後にその下流の排気管9に至り、排気ガス処理装置10により浄化処理が行われた後、大気中に排出される。
【0023】
一方、エアクリーナ63を通じて吸気管64内に導入された吸入空気は、ターボチャージャ61及びインタークーラ65等を通過してディーゼルエンジン8に供給される。排気管9には、排気ガス中の粒子状物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ66と、排気ガス中のNOxを還元除去する選択還元触媒67とが直列に設けられている。
【0024】
選択還元触媒67は、液体還元剤の供給を受けて排気ガス中のNOxを連続的に還元除去する。本実施形態では取扱いの容易さから液体還元剤として尿素水(尿素水溶液)が用いられる。
【0025】
排気管9における選択還元触媒67の上流側には、選択還元触媒67に尿素水を供給するための尿素水噴射弁68が設けられている。尿素水噴射弁68は、尿素水供給ライン69を介して尿素水タンク20(液体還元剤用タンク)に接続されている。
【0026】
また、尿素水供給ライン69には尿素水供給ポンプ70が設けられ、尿素水タンク20と尿素水供給ポンプ70との間にはフィルタ71が設けられている。尿素水タンク20内に貯留された尿素水は、尿素水供給ポンプ70により尿素水噴射弁68に供給され、尿素水噴射弁68から排気管9における選択還元触媒67の上流位置に噴射される。
【0027】
尿素水噴射弁68から噴射された尿素水は、選択還元触媒67に供給される。供給された尿素水は、選択還元触媒67内において加水分解されてアンモニアを生成する。このアンモニアが選択還元触媒67内で排気ガスに含まれるNOxを還元し、これにより排気ガスの浄化が行われる。
【0028】
第1のNOxセンサ72は、尿素水噴射弁68の上流側に配設されている。また、第2のNOxセンサ73は、選択還元触媒67の下流側に配設されている。NOxセンサ72、73は、各々の配設位置における排気ガス内のNOx濃度を検出する。
【0029】
尿素水タンク20には尿素水残量センサ74が配設されている。この尿素水残量センサ74は、尿素水タンク20内の尿素水残量を検出する。
【0030】
上記したNOxセンサ72、73、尿素水残量センサ74、尿素水噴射弁68、及び尿素水供給ポンプ70は、排気ガスコントローラ75に接続されている。排気ガスコントローラ75は、NOxセンサ72、73で検出されるNOx濃度に基づき、尿素水噴射弁68及び尿素水供給ポンプ70により適正量の尿素水が噴射されるよう噴射量制御を行う。
【0031】
また、排気ガスコントローラ75は、尿素水残量センサ74から出力される尿素水残量に基づき、尿素水タンク20の全容積に対する尿素水残量の割合を算出する。本実施形態では、尿素水タンク20の全容積に対する尿素水残量の割合を尿素水残量比とする。例えば、尿素水残量比50%は、尿素水タンク20の容量の半分の尿素水が尿素水タンク20内に残存していることを示す。
【0032】
排気ガスコントローラ75は、通信手段によりディーゼルエンジン8の制御を行うECM60と接続されている。また、ECM60は通信手段によりショベルコントローラ76に接続されている。
【0033】
排気ガスコントローラ75が有している排気ガス処理装置10の各種情報は、ショベルコントローラ76が共有し得る構成となっている。なお、ECM60、排気ガスコントローラ75、ショベルコントローラ76はそれぞれCPU、RAM、ROM、入出力ポート、記憶装置等を含む。
【0034】
また、ショベルコントローラ76にはモニター77(表示装置)が接続されている。モニター77には、警告、運転条件表示等が表示される。
【0035】
また、排気ガス処理装置10は、尿素水タンク20及び尿素水供給ライン69の凍結を防止する凍結防止機構を有する。本実施例では、凍結防止機構は、配管80を通過するディーゼルエンジン8のエンジン冷却水を利用する。具体的には、ディーゼルエンジン8を冷却した直後のエンジン冷却水は比較的高い温度を維持しながら配管80の第1部分80aを通って第2部分80bに至る。第2部分80bは尿素水タンク20の外面に接する配管80の一部である。エンジン冷却水は第2部分80bを流れるときに尿素水タンク20及びその内部にある尿素水に熱を供給する。その後、エンジン冷却水は、尿素水供給ライン69に沿うように設置される配管80の第3部分80cを流れるときに尿素水供給ライン69及びその内部にある尿素水に熱を供給する。その後、熱の供給を終えて比較的低い温度となったエンジン冷却水は配管80の第4部分80dを通って熱交換機ユニット13(
図2参照。)に至る。このようにして、凍結防止機構は、エンジン冷却水を利用して尿素水タンク20及び尿素水供給ライン69に熱を供給し、尿素水タンク20及び尿素水供給ライン69の凍結を防止する。
【0036】
図4は、昇降設備30の設置位置近傍を部分的に拡大して示す斜視図である。昇降設備30は、第1昇降部30Aと第2昇降部30Bとを有している。第2昇降部30Bは、昇降設備30の最下段に位置している。この第2昇降部30Bは金属製であり、旋回フレーム14に固定されている。また第2昇降部30Bは、旋回フレーム14の前端部から前方(X軸正方向)に突出した構成となっている。
【0037】
第1昇降部30Aは、作業者が昇降するステップとして機能すると共に、尿素水タンク20の上部を覆うカバー、及び工具箱21の一部としても機能する。また、第1昇降部30Aは、後述するように旋回フレーム14及び燃料タンク19等に固定される。また、燃料タンク19は、旋回フレーム14に強固に固定されている。
【0038】
中蹴込板部49は、下踏板部44と、上踏板部45との間に配設されている。中蹴込板部49は、外側板部40、及び上踏板部45に対して開閉可能なドアとして構成されている。なお、本実施形態ではドアは横開きとなるように構成される。
【0039】
中蹴込板部49は、尿素水タンク20の(図示しない)給液口と対向する位置に配設されている。よって尿素水タンク20の給液口は、中蹴込板部49を開くことにより外部に露出した状態となる。
【0040】
本実施形態に係る昇降設備30は、第1昇降部30Aに2段の踏板部44、45を設け、第2昇降部30Bを含めて合計で3段の踏板部を設けた構成とする。なお、燃料タンク19の高さが、100mm~200mm程度低い場合には、踏板部45を設けなくともよい。また、第1昇降部30Aに設ける踏板部の配設数は、2段に限定されるものではない。
【0041】
また各踏板部44、45及び、燃料タンク19の天板部19aには、作業者が昇降設備30を昇降する際に滑らないよう、第1~第3の滑り止め36、37、38が配設されている。第1の滑り止め36は下踏板部44に配設され、第3の滑り止め38は天板部19aに配設される。
【0042】
図4に示すように、上部旋回体2の旋回フレーム14の前方には左右一対のブーム取り付け用の支持ブラケット17(左側のみ図示)が立設されている。ブーム4を軸承するブームフートピン(図示せず)は、この支持ブラケット17に形成された穴172に抜き差しされる。また支持ブラケット17の側部には、燃料タンク19、尿素水タンク20、工具箱21、及び昇降設備30等が配置される。
【0043】
なお、上部旋回体2の昇降設備30が配設された位置の外側には、作業者が昇降設備3
0を昇降する際に把持する手摺24が設けられている。
【0044】
下蹴込板部48は、下踏板部44の下部に配設されている。この下蹴込板部48、外側板部40、内側板部41、及び下踏板部44は、第1昇降部30Aを旋回フレーム14及び燃料タンク19に固定した状態において内部に空間部を形成する。当該空間部は、下踏板部44が蓋として機能することで、風雨をしのげる収容部(収納箱)として機能する。この収容部は、工具を収納可能に形成されるため、工具箱21とも称する。工具箱21は、例えばメンテナンス時に必要とする工具類等が収納される。
【0045】
工具箱21は、昇降設備30に設けられているため、作業者が昇降可能とするためには予め定められた容量より大きくすることは難しい。一方で、工具箱21には、メンテナンスに必要な工具等を複数収納することが求められている。
【0046】
従来から、工具箱(収納箱の一例)に収納される物品としては、例えば、給脂用のグリースの貯蔵容器や、燃料タンクに燃料を供給するための給油ポンプを載せる場合がある。
【0047】
従来のショベルにおいては、種類に応じて収納箱の容量が限定されるため、グリースの貯蔵容器と、給油ポンプ用のホースと、を収納できない場合も存在している。そこで、本実施形態の工具箱21は、以下に示す構成を備えることで、効率的な収納を実現している。
【0048】
図5は、本実施形態の工具箱21の内部を示した斜視図である。
図6は、本実施形態の工具箱21の内部を示した上面図である。
図6に示されるように、工具箱21は、内壁221Aと内壁221Bとの間の長さ(工具箱21内部のX軸方向の長さ)が、内壁221Cと内壁221Dとの間の長さ(工具箱21内部のY軸方向の長さ)より短い形状とする。なお、本実施形態で示した工具箱21の形状、及びサイズは一例として示したもので、他の形状、及びサイズであってよい。
【0049】
図5及び
図6に示されるように、工具箱21の内部には、給油ポンプ120が設けられている。給油ポンプ120は、タンク用ホース122の第1端122Aと接続している。タンク用ホース122の第2端(
図6では不可視)は、燃料タンク19に接続されている。また、給油ポンプ120は、給油ホース121の第1端121Aに接続されている。給油ホース121の第2端121Bは、特に接続されておらず、工具箱21に収容されている。
【0050】
給油ポンプ120は、給油ホース121の第2端から液体(燃料)を吸い上げ、吸い上げた液体を、給油ホース121の第1端121Aからタンク用ホース122の第1端122Aに供給する。そして、給油ポンプ120は、タンク用ホース122の第1端122Aから供給された液体を、タンク用ホース122の第2端から燃料タンク19に排出する。つまり、給油ホース121の第2端を、ショベル100の外部に設置されたドラム缶に挿入した場合に、給油ポンプ120は、ドラム缶に収納されている燃料を、燃料タンク19に供給できる。
【0051】
本実施形態のペール缶固定用ブラケット101(ガイド部材の一例)は、工具箱21の内部の床板に固定された状態で設置される。ペール缶固定用ブラケット101は、工具箱21の床板から、鉛直方向(Z軸方向)に突出した円筒形状であって、ペール缶固定用ブラケット101内の円柱状空間の内径は、少なくとも工具箱21に収納する円柱形状のペール缶(液体用の貯蔵容器の一例)110の外径より大きい。これにより、ペール缶固定用ブラケット101は、円柱形状のペール缶110を受け入れ可能となる。
【0052】
ペール缶(貯蔵容器の一例)110は、液体、半固体、又は半流動体(以下、「液体等」とする。)の貯蔵容器であって、本実施形態ではショベル100に給脂するためのグリースを貯留している貯蔵容器とする。
【0053】
本実施形態に係るペール缶110は、円柱形状であって、ペール缶固定用ブラケット101の内側に収納される。
【0054】
ペール缶としては、例えば鋼製ペールが考えられる。ペール缶のサイズは、任意のサイズでよく、例えば日本産業規格において"鋼製ペール"として予め定められたサイズでもよい。
【0055】
本実施形態は、グリースを貯留しているペール缶を、貯蔵容器の例として搭載しているが、貯留する液体等の種類をグリースに制限するものではなく、他の液体等であってもよい。また、本実施形態に係るペール缶は、液体等の収納用の貯蔵容器であって、円柱形状の場合について説明するが、円柱形状に制限するものではなく、例えば、直方体形状等であってもよい。この場合、ペール缶固定用ブラケット101は、貯蔵容器を受け入れ可能な形状であって、給油ホース121を巻くことが可能な形状であればよい。
【0056】
給油ホース121(ホースの一例)は、ペール缶固定用ブラケット101の外周に沿って巻かれた状態で配置される。給油ホース121の直径は、特に制限されるものではなく、給油ポンプ120の能力に応じて決定される。
【0057】
図5に示されるように、給油ホース121は、ペール缶固定用ブラケット101の外周方向には1層巻きであって、鉛直方向に重ねるように巻かれた状態で配置する。これにより、工具箱21の底面において、給油ホース121が占める面積の増大を抑制できる。なお、本実施形態は、給油ホース121の巻き方の一例を示したものであって、例えば、2層巻きなどの他の巻き方をしてもよい。
【0058】
また、工具箱21には、給油ホース121を設置ガイドするためのスペース・構造を設けてもよいが、ペール缶(例えば、ペール缶110)は比較的専有面積が多く、配置余裕がない可能性がある。そこで、ペール缶固定用ブラケット101と、工具箱21の壁と、の間で隙間(デッドスペース)が生じそうであれば、当該隙間(デッドスペース)を給油ホース121の設置に利用できれば良い。そこで、本実施形態の工具箱21は、以下の構成を備えている。
【0059】
本実施形態においては、給油ホース121がペール缶固定用ブラケット101に沿って巻かれた状態を維持するために、給油ホース121を外側から支持するのが好ましい。そこで、本実施形態では、給油ホース121を外側から支持する支持部材として、工具箱21の内壁(壁部の一例)221A、221Bと、ペール缶固定用ブラケット101に設けられた給油ホース固定用ブラケット102A、102Bと、を用いる。なお、本実施形態で示す内壁221A、221B、及び給油ホース固定用ブラケット102A、102Bは、支持部材の一例として示したものであって、他の支持部材を用いてもよい。当該支持部材を用いることで、給油ホース121の巻かれた状態の安定性が向上する。
【0060】
X軸方向に延びる工具箱21の短辺は、ペール缶固定用ブラケット101の外周に給油ホース121を巻くことが可能な長さを有している。つまり、工具箱21の短辺の長さは、少なくともペール缶固定用ブラケット101の直径に、給油ホース121の直径の2倍分を加算した長さより長くなる。また、工具箱21の短辺に沿って延びる内壁221A、221Bが、巻かれた状態の給油ホース121を外側から支持する。このため、工具箱21の短辺の長さは、ペール缶固定用ブラケット101の円筒形状である本体部の直径に、給油ホース121の直径の2倍の長さと、数cm程度の余裕(間隔)と、を加算した長さとする。なお、余裕(間隔)の長さは、一例として示したものであって、内壁221A、221Bで支持された状態で巻かれた給油ホース121を取り出し可能であればよい。本実施形態においては、内壁221A、221Bが、巻かれた状態の給油ホース121を外側から支持することで、別途支持部材を設けずとも、給油ホース121の巻かれた状態の安定性が向上する。
【0061】
図7は、ペール缶固定用ブラケット101の形状の一例を示した斜視図である。
図7に示されるように、ペール缶固定用ブラケット101の本体部101Cは、円筒形状に設けられている。また、ペール缶固定用ブラケット101には、本体部101Cにおける、工具箱21の底面に接する端部から、外側方向に延伸している2つの延伸板部101A、101Bが設けられている。
【0062】
延伸板部101A、101Bは、それぞれネジ穴103A、103Bが設けられている。本実施形態では、締結部材(例えばネジ)がネジ穴103A、103Bを介して工具箱21の底面に締結されることで、ペール缶固定用ブラケット101が工具箱21内に固定される。
【0063】
ペール缶固定用ブラケット101の本体部101Cの外周から、第1給油ホース固定用ブラケット102A、及び第2給油ホース固定用ブラケット102Bが設けられている。
【0064】
第1給油ホース固定用ブラケット102A、及び第2給油ホース固定用ブラケット102Bは、本体部101Cに溶接にて接続されている。
【0065】
第1給油ホース固定用ブラケット102A(支持部材の一例)は、本体部101Cの外側の溶接された箇所から略水平方向外側に延伸し、給油ホース121の直径より長い長さだけ延伸した位置で折部1021Aを有し、折部1021Aから鉛直上方向に延伸している。折部1021Aから鉛直上方向に延伸している部分の長さは、少なくとも給油ホース121の直径の2倍より長い。このように、第1給油ホース固定用ブラケット102Aは、折部1021Aで折れ曲がった形状(L字形状)を有することで、少なくとも鉛直上方向に2巻きされた給油ホース121を支持できる。なお、溶接された箇所から折部1021Aまでの具体的な長さは、給油ホース121の直径に数mm~数cmの余裕(間隔)を加算した長さとする。
【0066】
第2給油ホース固定用ブラケット102B(支持部材の一例)は、本体部101Cの外側の溶接された箇所から略水平方向に外側に延伸し、給油ホース121の直径より長い長さだけ延伸した位置で折部1021Bを有し、折部1021Bから鉛直上方向に延伸している。折部1021Bから鉛直上方向に延伸している部分の長さは、少なくとも給油ホース121の直径の2倍より長い。このように、第2給油ホース固定用ブラケット102Bは、折部1021Bで折れた形状(L字形状)を有することで、少なくとも鉛直上方向に2巻きされた給油ホース121を支持できる。なお、溶接された箇所から折部1021Bまでの具体的な長さは、給油ホース121の直径に数mm~数cmの余裕(間隔)を加算した長さとする。
【0067】
図7に示されるように、第1給油ホース固定用ブラケット102A、及び第2給油ホース固定用ブラケット102Bの位置は、本体部101Cの円筒形状の外周において、互いに反対側になるように(円筒形状の中心点を基準に互いに略180度だけ間隔を空けた配置になるように)設けられている。つまり、当該ペール缶固定用ブラケット101を工具箱21に設置した場合に、Y軸方向については、第1給油ホース固定用ブラケット102A、及び第2給油ホース固定用ブラケット102Bを用いて、巻かれた状態の給油ホース121を支持する。本実施形態においては、ペール缶固定用ブラケット101に第1給油ホース固定用ブラケット102A、及び第2給油ホース固定用ブラケット102Bが、直接接続されているため、別途支持部材を設けた場合と比べて、工具箱21内の設置が容易となる。
【0068】
図8は、給油ポンプ120と、給油ホース121を巻いた状態のペール缶固定用ブラケット101とを示した斜視図である。
図8に示されるように、給油ポンプ120は、給油ポンプの底面部120Bから鉛直方向に突出している固定部材120Aによって工具箱21の内壁221Bに固定される。
【0069】
本実施形態のペール缶固定用ブラケット101の本体部101Cは、円柱形状のペール缶110を受け入れ可能とする円筒形状である。給油ホース121は、本体部101Cの円筒形状の外周に沿って、円を描くように鉛直方向に2回巻いた状態で固定される。これにより、給油ホース121の収納が容易になる。
【0070】
図8に示されるように、ペール缶固定用ブラケット101の本体部101Cの高さは、少なくとも給油ホース121を2巻き可能な高さを有する。換言すれば、給油ホース121は、給油ポンプ120から、ショベル100の外部に配置されたドラム缶等まで到達可能な長さ(例えば2m弱)を有し、本体部101Cは、当該給油ホース121を全て巻くことが可能な程度の高さを有する。なお、本実施形態は、本体部101Cに給油ホース121を巻く数を制限するものではなく、1回又は3回以上巻いた状態で固定してもよい。
【0071】
さらに、ペール缶固定用ブラケット101の本体部101Cは、ペール缶110が跳ねた場合でも本体部101Cから外れない程度の高さを有する。換言すれば、本体部101Cの高さは、"工具箱21内部の高さ"から"ペール缶110の高さ"を差し引いた高さより高く設定される。
【0072】
図6で示されるように、第1給油ホース固定用ブラケット102A及び第2給油ホース固定用ブラケット102Bは、巻かれた状態の給油ホース121を、Y軸方向(工具箱21の長手方向)において外側から支持している。
【0073】
さらに、内壁221A及び内壁221Bは、巻かれた状態の給油ホース121を、X軸方向(工具箱21の短手方向)において外側から支持している。
【0074】
つまり、本実施形態のように、工具箱21の底面の形状が略長方形である場合に、X軸方向(工具箱21の短手方向)において内壁221A及び内壁221Bが給油ホース121を支持し、Y軸方向(工具箱21の長手方向)において第1給油ホース固定用ブラケット102A及び第2給油ホース固定用ブラケット102Bが給油ホース121を支持している。このように、給油ホース121の支持部として、内壁221A及び内壁221Bと、第1給油ホース固定用ブラケット102A及び第2給油ホース固定用ブラケット102Bと、を組み合わせることで、給油ホース121は略90度ごとに支持されている(支持部が存在している)ことになり、給油ホース121の巻かれた状態を安定して維持できる。
【0075】
また、
図6に示されるように、第2給油ホース固定用ブラケット102Bは、ペール缶固定用ブラケット101の外周のうち、給油ポンプ120及びタンク用ホース122が設置された側に設けられている。第2給油ホース固定用ブラケット102Bを設けたことで、給油ホース121が、給油ポンプ120及びタンク用ホース122側に移動するのを抑制している。これにより、工具箱21内が煩雑になるのを抑制し、利便性を向上できる。
【0076】
本実施形態においては、巻かれた状態の給油ホース121を支持する支持部として、内壁221A、221Bと、給油ホース固定用ブラケット102A、102Bと、を用いた例について説明した。しかしながら、本実施形態は、内壁221A、221B、及び給油ホース固定用ブラケット102A、102Bと、の両方を用いる態様に制限するものではなく、例えば、内壁221A、221Bと、給油ホース固定用ブラケット102A、102Bと、のうちいずれか一方のみで支持してもよい。例えば、工具箱21の長辺に沿って給油ホース固定用ブラケットを設けてもよい。
【0077】
また、本実施形態の工具箱21に収納される工具等は、上述した工具等に制限するものではなく、上述した配置によって空いた領域に、様々な工具等を格納してもよい。格納する工具としては、例えば、ペール缶110に収納されているグリースを利用するためのグリース用の(例えば注射器型の)注入器などが考えられる。さらに、工具箱21は、収納箱の一例として示したものであって、給油ホース121やペール缶110等を格納できるケースであれば、上述されたもの以外のものであってもよい。
【0078】
また、ペール缶固定用ブラケット101の本体部101Cの形状は、
図7に示すような円筒形状に制限するものではなく、円筒形状の部分に鉛直方向に切れ込みが入っていてもよいし、工具箱21の底面に接する端部の形状が円ではなく、楕円や、半円、中心角が略270度程度の円弧であってもよい。例えば、中心角が略270度程度の円弧の場合には、ペール缶110がずれないよう支持すると共に、円形の場合に比べてブラケット用の材料を節約できる。
【0079】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、工具箱21の底面の形状が略長方形である場合に、給油ホース121を、X軸方向(工具箱21の短手方向)において内壁221A及び内壁221Bで支持し、Y軸方向(工具箱21の長手方向)において第1給油ホース固定用ブラケット102A及び第2給油ホース固定用ブラケット102Bで支持する例について説明した。しかしながら、第1の実施形態は、給油ホース121の支持態様を限定するものではない。例えば、Y軸方向(工具箱21の長手方向)において給油ホース121を内壁で支持してもよい。そこで第2の実施形態では、Y軸方向(工具箱21の長手方向)においても給油ホース121を内壁で支持する場合について説明する。
【0080】
図9は、第2の実施形態に係る工具箱21の内部を示した斜視図である。
図9に示される例では、第1の実施形態と同様に、工具箱21は、内壁221A、221BのY軸方向の長さが、内壁221C、221DのX軸方向の長さより長い形状とする。
【0081】
図9に示される例では、ペール缶固定用ブラケット201は、2つの延伸板部101A、101B(
図9では不可視)と、第2給油ホース固定用ブラケット102Bと、を備えている。ペール缶固定用ブラケット201は、第1の実施形態に係るペール缶固定用ブラケット101と比べて、第1給油ホース固定用ブラケット102Aが設けられていない点で異なる。
【0082】
本実施形態に係るペール缶固定用ブラケット201は、第1の実施形態のペール缶固定用ブラケット101と比べて、工具箱21内のY軸正方向側(工具箱21の短辺のうちいずれか一方側の一例)に寄せて配置されている。ペール缶固定用ブラケット201と、内壁221Dとの間の距離は、少なくとも給油ホース121の直径より長く、給油ホース121の直径に、数mm~数cm程度の余裕(間隔)を加算した長さとする。これにより、工具箱21内のY軸正方向側の内壁221Dが、支持部材として機能する。
【0083】
したがって、ペール缶固定用ブラケット201に給油ホース121を巻いた場合に、Y軸方向(長手方向)に延びる内壁221A、221Bと、X軸方向(短手方向)に延びる2つの内壁の一方であるペール缶固定用ブラケット201が寄せられた側に存在する内壁221Dとが、給油ホース121を外側から支持できる。
【0084】
本実施形態においては、ペール缶固定用ブラケット201に巻かれた状態の給油ホース121を、第2給油ホース固定用ブラケット102Bと、内壁221A、221B、221D(壁部の一例)の各々と、で支持している。換言すれば、短手方向に延びる2つの内壁の一方においては、給油固定用ブラケットを設けずとも、巻かれた状態の給油ホース121の安定した状態を維持できる。これにより第1の実施形態と同様の効果を奏すると共に、給油固定用ブラケットが1つでよいため製作コストを低減できる。
【0085】
上述した実施形態では、X軸方向の外側及びY軸方向の外側から、ペール缶固定用ブラケット201に巻かれた状態の給油ホース121を支持する手法について説明したが、ペール缶固定用ブラケット201に巻かれた状態を維持できるのであれば他の手法が用いられてもよく、XY平面上のいずれの方向から、任意の支持部材で支持してもよい。例えば、ペール缶固定用ブラケット201の円筒形状の中心点を基準に、給油ポンプ120が存在する方向の外側から、L字状に延びる給油ホース固定用ブラケットで給油ホース121を支持してもよい。これにより、給油ポンプ120側に給油ホース121が移動することを抑制できる。
【0086】
また、上述した実施形態では支持部として、内壁、及びペール缶固定用ブラケットからL字状に延びる給油ホース固定用ブラケットを用いた例について説明したが、巻かれた状態の給油ホース121を支持可能な支持部材であればよく、例えば、工具箱21の底面から鉛直方向に延びる給油ホース固定用ブラケット(支持部材)で、X軸方向又はY軸方向の外側から支持してもよい。
【0087】
上述した実施形態においては、工具箱21に、ペール缶を内部に格納するためのペール缶固定用ブラケット101、201の外周に沿って巻かれた状態で給油ホース121を格納するため、工具箱21の収納効率を向上させることができる。
【0088】
以上、本発明に係る射出成形機の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0089】
100 ショベル
1 下部走行体
2 上部旋回体
3 キャビン
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
8 ディーゼルエンジン
9 排気管
10 排気ガス処理装置
12 冷却ファン
13 熱交換機ユニット
19 燃料タンク
20 尿素水タンク
21 工具箱
101 ペール缶固定用ブラケット
102A 第1給油ホース固定用ブラケット
102B 第2給油ホース固定用ブラケット
110 ペール缶
120 給油ポンプ
121 給油ホース
122 タンク用ホース
221A、221B、221C、221D 内壁