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特開2022-157129警備システム、サーバ、警備装置及び作業ロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157129
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】警備システム、サーバ、警備装置及び作業ロボット
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20221006BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G08B25/04 E
A47L9/28 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061184
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】長澤 一樹
(72)【発明者】
【氏名】杉本 芳幸
(72)【発明者】
【氏名】山下 大吾
【テーマコード(参考)】
3B057
5C087
【Fターム(参考)】
3B057DE02
5C087AA02
5C087AA03
5C087BB02
5C087BB20
5C087DD04
5C087DD05
5C087DD49
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF16
5C087GG59
(57)【要約】
【課題】作業ロボットの制御をより適切に行うことが可能な警備システム、サーバ、警備装置及び作業ロボットを提供する。
【解決手段】警備システム1は、自律移動可能で、所定の作業を実施する作業ロボット30と、監視対象の監視を行い、且つ、操作者の操作に応じて複数の警備モードを切り替えて設定する設定手段231を有する警備装置20と、作業ロボット30の作業実施に関する時間条件を満たすか否かを判定する判定手段と、時間条件の判定結果及び設定された警備モードの種類に応じて、作業ロボット30の作業実施の制御を行う制御手段132と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律移動可能で、所定の作業を実施する作業ロボットと、
監視対象の監視を行い、且つ、操作者の操作に応じて複数の警備モードを切り替えて設定する設定手段を有する警備装置と、を有する警備システムであって、
前記作業ロボットの作業実施に関する時間条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記時間条件の判定結果及び前記設定された警備モードの種類に応じて、前記作業ロボットの作業実施の制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする警備システム。
【請求項2】
前記複数の警備モードは、防犯センサによる監視対象の監視を行う警備セットモード、及び、前記防犯センサによる監視を行わない警備解除モードを含み、
前記制御手段は、前記時間条件を満たし、且つ、前記警備モードが前記警備セットモードである場合に、前記作業ロボットに対して前記所定の作業を開始するように制御する、
請求項1に記載の警備システム。
【請求項3】
前記設定手段は、前記作業ロボットの作業エリアに対応する警備区画ごとに警備モードを設定し、
前記判定手段は、前記作業エリアごとに前記時間条件を判定し、
前記制御手段は、前記時間条件を満たすと判定された前記作業エリアに対応する警備区画について前記警備モードを参照し、前記警備セットモードが設定されている場合に前記作業を開始するように制御する、
請求項2に記載の警備システム。
【請求項4】
前記時間条件は、現在時刻が、前記作業ロボットの作業を許容する時間帯内にあることである、請求項1~3の何れか一項に記載の警備システム。
【請求項5】
前記時間条件は、現在時刻が、前記作業ロボットの作業を許容する時間帯内にあることであり、
前記作業ロボットの作業を許容する時間帯内は、前記警備セットモードから前記警備解除モードへの切替を禁止する警備解除禁止時間帯内である、請求項2又は3に記載の警備システム。
【請求項6】
さらに、予定される作業に要する作業所要時間を記憶する記憶手段を有し、
前記制御手段は、前記作業ロボットの作業を許容する時間帯の残存時間が、未実施の作業に要する作業所要時間以下となる場合、前記設定された警備モードの種類によらず、前記作業ロボットに対して当該作業を開始するように制御する、請求項1~5の何れか一項に記載の警備システム。
【請求項7】
前記判定手段は、前記作業ロボットの作業の終了条件を満たすか否かを判定し、
前記制御手段は、前記終了条件を満たすと判定された場合、前記所定の作業を実施している作業ロボットに対して当該作業を終了するように制御し、
前記終了条件は、前記作業ロボットが前記所定の作業を実施中に前記設定手段により前記警備モードが前記警備解除モードに設定された場合である、
請求項2又は3に記載の警備システム。
【請求項8】
前記設定手段により設定を行う操作者の属性を取得する取得手段を更に有し、
前記制御手段は、前記属性が所定の属性の場合には、前記設定手段により前記警備モードが前記警備解除モードに設定されても、前記終了条件を満足しないものと判定する、
請求項7に記載の警備システム。
【請求項9】
前記制御手段は、前記設定手段により前記警備モードが前記警備解除モードに設定されても、前記警備解除モードに設定された時刻が所定の時間帯内にある場合には、前記終了条件を満足しないものと判定する、
請求項7又は8に記載の警備システム。
【請求項10】
自律移動可能で、所定の作業を実施する作業ロボット、及び、監視対象の監視を行い、且つ、操作者の操作に応じて複数の警備モードを切り替えて設定する設定手段を有する警備装置と通信可能に接続されたサーバであって、
前記作業ロボットの作業の実施に関する時間条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記時間条件の判定結果及び前記設定された警備モードの種類に応じて、前記作業ロボットの作業実施の制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とするサーバ。
【請求項11】
自律移動可能で所定の作業を実施する作業ロボットと通信可能に接続された警備装置であって、
監視対象の監視を行い、且つ、操作者の操作に応じて複数の警備モードを切り替えて設定する設定手段と、
前記作業ロボットの作業実施に関する時間条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記時間条件の判定結果及び前記設定された警備モードの種類に応じて、前記作業ロボットの作業実施の制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする警備装置。
【請求項12】
監視対象の監視を行い、且つ、操作者の操作に応じて複数の警備モードを切り替えて設定する設定手段を有する警備装置と通信可能に接続された、自律移動可能で、所定の作業を実施する作業ロボットであって、
前記作業ロボットの作業実施に関する時間条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記時間条件の判定結果及び前記設定された警備モードの種類に応じて、前記作業ロボットの作業実施の制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする作業ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警備システム、サーバ、警備装置及び作業ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業ロボットの運転スケジュールに基づいて、作業ロボットに所定の動作を実行させるシステムが開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数のユーザの行動の内容を示すスケジュール情報に基づいて、室内を掃除するロボット掃除機の運転スケジュール情報を生成し、生成した運転スケジュール情報に基づいてロボット掃除機の運転動作を制御することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-217164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、作業ロボットが警備システムを導入する施設で利用される場合に、警備システムから得られる情報を基に作業ロボットの制御をより適切に行うことが求められている。
【0006】
本発明の目的は、作業ロボットの制御をより適切に行うことが可能な警備システム、サーバ、警備装置及び作業ロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するための本発明の一態様によれば、自律移動可能で、所定の作業を実施する作業ロボットと、監視対象の監視を行い、且つ、操作者の操作に応じて複数の警備モードを切り替えて設定する設定手段を有する警備装置と、を有する警備システムであって、作業ロボットの作業実施に関する時間条件を満たすか否かを判定する判定手段と、時間条件の判定結果及び設定された警備モードの種類に応じて、前記作業ロボットの作業実施の制御を行う制御手段とを有する警備システムを提供する。
【0008】
この警備システムにおいて、複数の警備モードは、防犯センサによる監視対象の監視を行う警備セットモード、及び、防犯センサによる監視を行わない警備解除モードを含み、制御手段は、時間条件を満たし、且つ、警備モードが警備セットモードである場合に、作業ロボットに対して所定の作業を開始するように制御する、ことが好ましい。
【0009】
この警備システムにおいて、設定手段は、作業ロボットの作業エリアに対応する警備区画ごとに警備モードを設定し、判定手段は、作業エリアごとに時間条件を判定し、制御手段は、時間条件を満たすと判定された作業エリアに対応する警備区画について警備モードを参照し、警備セットモードが設定されている場合に作業を開始するように制御する、ことが好ましい。
【0010】
この警備システムにおいて、時間条件は、現在時刻が、作業ロボットの作業を許容する時間帯内にあることである、ことが好ましい。
【0011】
この警備システムにおいて、時間条件は、現在時刻が、作業ロボットの作業を許容する時間帯内にあることであり、作業ロボットの作業を許容する時間帯内は、警備セットモードから警備解除モードへの切替を禁止する警備解除禁止時間帯内である、ことが好ましい。
【0012】
この警備システムは、さらに、予定される作業に要する作業所要時間を記憶する記憶手段を有し、制御手段は、作業ロボットの作業を許容する時間帯の残存時間が、未実施の作業に要する作業所要時間以下となる場合、設定された警備モードの種類によらず、作業ロボットに対して当該作業を開始するように制御する、ことが好ましい。
【0013】
この警備システムにおいて、判定手段は、作業ロボットの作業の終了条件を満たすか否かを判定し、制御手段は、終了条件を満たすと判定された場合、所定の作業を実施している作業ロボットに対して当該作業を終了するように制御し、終了条件は、作業ロボットが所定の作業を実施中に設定手段により警備モードが警備解除モードに設定された場合である、ことが好ましい。
【0014】
この警備システムにおいて、設定手段により設定を行う操作者の属性を取得する取得手段を更に有し、制御手段は、属性が所定の属性の場合には、設定手段により警備モードが警備解除モードに設定されても、終了条件を満足しないものと判定する、ことが好ましい。
【0015】
この警備システムにおいて、制御手段は、設定手段により警備モードが警備解除モードに設定されても、警備解除モードに設定された時刻が所定の時間帯内にある場合には、終了条件を満足しないものと判定する、ことが好ましい。
【0016】
本発明の他の態様によれば、自律移動可能で、所定の作業を実施する作業ロボット、及び、監視対象の監視を行い、且つ、操作者の操作に応じて複数の警備モードを切り替えて設定する設定手段を有する警備装置と通信可能に接続されたサーバであって、作業ロボットの作業の実施に関する時間条件を満たすか否かを判定する判定手段と、時間条件の判定結果及び設定された警備モードの種類に応じて、作業ロボットの作業実施の制御を行う制御手段と、を有するサーバを提供する。
【0017】
本発明の他の態様によれば、自律移動可能で、所定の作業を実施する作業ロボットと通信可能に接続された警備装置であって、監視対象の監視を行い、且つ、操作者の操作に応じて複数の警備モードを切り替えて設定する設定手段と、作業ロボットの作業実施に関する時間条件を満たすか否かを判定する判定手段と、時間条件の判定結果及び設定された警備モードの種類に応じて、作業ロボットの作業実施の制御を行う制御手段と、を有する警備装置を提供する。
【0018】
本発明の他の態様によれば、監視対象の監視を行い、且つ、操作者の操作に応じて複数の警備モードを切り替えて設定する設定手段を有する警備装置と通信可能に接続された、自律移動可能で、所定の作業を実施する作業ロボットであって、作業ロボットの作業実施に関する時間条件を満たすか否かを判定する判定手段と、時間条件の判定結果及び設定された警備モードの種類に応じて、作業ロボットの作業実施の制御を行う制御手段と、を有する作業ロボットを提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る警備システム、サーバ、警備装置及び作業ロボットは、作業ロボットの制御をより適切なタイミングで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る警備システムの概略構成を示す図である。
図2】作業エリアテーブル120の一例である。
図3】作業エリアの一例であるオフィスの平面図である。
図4】第1作業エリア111の平面図である。
図5】サーバ10による開始判定処理の一例を示すフローチャートである。
図6】サーバ10による作業エリア抽出処理の一例を示すフローチャートである。
図7】サーバ10による終了判定処理の一例を示すフローチャートである。
図8】他の警備システム2の構成を示す図である。
図9】さらに他の警備システム3の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る警備システムについて図を参照しつつ説明する。ただし、本発明は図面又は以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る警備システムの概略構成を示す図である。図1に示すように、警備システム1は、サーバ10と、警備装置20と、作業ロボット30と、を有する。サーバ10は、警備センタ等に設置され、警備装置20及び作業ロボット30と通信可能に接続されて警備システム1全体を管理する。警備装置20は、サーバ10と通信接続され、例えば事務所、店舗、工場等の警備対象を警備する。ここで、警備対象は一または複数の警備区画により構成される。作業ロボット30は、アクセスポイント40を介してサーバ10と通信接続され、警備装置20が設置された警備対象内で作業を行う。また、警備装置20は、有線/無線通信を介して、警備操作部251、侵入センサ252、火災センサ253等の種々の機器及びセンサと接続される。図1において、警備装置20及び作業ロボット30は1つだけ示されるが、警備システム1は、複数の警備装置20及び/又は作業ロボット30を有してもよい。
【0023】
サーバ10は、インターネット等の広域通信網中のクラウドサーバ等である。サーバ10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。
【0024】
通信部11は、Ethernet(登録商標)、IEEE802.11等の有線/無線通信規格に準じる通信インタフェース回路を有し、LAN及びインターネット等の広域通信網を介して警備装置20及び作業ロボット30と通信接続して各種信号を送受信する。
【0025】
記憶部12は、ROM、RAM、EPROM等の半導体メモリ、磁気ディスク(HDD)等の磁気記憶媒体及び/又はDVD-RAM等の光記憶媒体等を有する。記憶部12は、サーバ10の動作を制御するため制御部13が実行するコンピュータプログラムのコード及び各種データを記憶する。コンピュータプログラムは、DVD-ROM等のコンピュータ読取可能な記憶媒体や通信回線を介して公知の方法で記憶部12にインストールされることができる。記憶部12は、作業エリアテーブル120を記憶する。記憶部12は、記憶手段の一例である。
【0026】
図2は、作業エリアテーブル120の一例である。作業エリアテーブル120には、複数の作業エリア毎に、作業時間情報、警備地図、作業エリアの最新状態等が互いに関連付けられて記憶される。
作業エリアは、作業ロボット30が作業を実施する領域を示す。
作業時間情報は、作業可能時間帯、警備解除禁止時間帯、出勤想定時刻、作業所要時間等を含む。作業可能時間帯は、作業ロボット30が作業を行うことが許容される時間帯を示す。警備解除禁止時間帯は、深夜帯などの利用者の入室が想定されない時間帯のような、警備対象である作業エリアにおいて警備セットモードから警備解除モードへの移行が禁止される時間帯を示す。警備セットモードと警備解除モードの詳細については後述する。出勤想定時刻は、作業エリアに最初の社員が出勤すると想定される時刻を示す。作業所要時間は、作業ロボット30が作業エリアで行う作業の所要時間を示す。すなわち、作業所要時間は、予定される作業に要する時間である。
警備地図は、警備装置20の警備対象かつ作業ロボット30の作業エリアである領域を表す地図である。
作業エリアの最新状態は、警備モード、設定時刻、操作者属性、作業状態等を含む。警備モードは、警備区画ごとに設定され、作業エリアに対応する警備区画において設定された警備モードを示す。ここで、作業エリアと警備区画の関係として、作業エリアと警備区画とが同一であってもよいし、複数の作業エリアが一つの警備区画として構成されていてもよい。本実施例では、作業エリアと警備区画とを同一のエリアとして説明する。設定時刻は、各作業エリアにおいて警備モードが設定された最新の時刻を示す。操作者属性は、各作業エリアにおいて警備モードを設定した警備装置20の操作者の属性を示す。属性には、清掃員等の作業ロボット30の作業に関連する属性と、警備員、一般の利用者等の作業ロボット30の作業に関連しない属性とが含まれる。作業状態は、各作業エリアにおける作業ロボット30の作業の状態を示す。作業状態には、未実施、実施中及び完了が含まれる。作業状態の初期値は、未実施である。
【0027】
制御部13は、CPU等のプロセッサとその周辺回路とを有し、当該プロセッサは、記憶部12に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによってサーバ10の動作を制御する。制御部13として、マルチプロセッサ、マルチコアプロセッサ等が用いられてもよい。また、制御部13として、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。
制御部13は、プロセッサ上で動作するプログラムの機能モジュールとして、取得手段131と、制御手段132と、を有する。
【0028】
警備装置20は、利用者又はサーバ10により指示された警備モードに従って、警備対象に設置された侵入センサ252等の機器によって、侵入、火災等の異常を監視して警備を行う情報処理装置である。警備装置20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、インタフェース部24と、を有する。警備装置20は、さらに、入退室操作端末250と、警備操作部251と、侵入センサ252と、火災センサ253と、を有する。入退室操作端末250、警備操作部251、侵入センサ252及び火災センサ253は、警備対象である作業エリア毎に配置される。1つの警備対象における警備操作部251、侵入センサ252及び/又は火災センサ253の数は、1つに限定されず、複数でもよい。
【0029】
警備システム1において、警備モードは、警備セットモードと、警備解除モードと、の少なくとも2種類のモードを含む。警備セットモードは、防犯センサ(侵入センサ252)による警備対象(監視対象)の監視を行うモードである。警備解除モードは、防犯センサによる警備対象の監視を行わないモードである。通常、警備解除モードは、利用者が警備対象にて活動している日中に利用され、警備セットモードは、利用者全員が警備対象から離れる夜間、休日などに利用される。また、警備モードの種類は上記の2種類に限られず、部分警備セットモードなど他の警備モードを有してもよい。部分警備セットモードは、例えば警備対象である建物の特定の部屋にユーザが存在し、別の部屋のみを監視したい場合など、警備対象を部分的に警戒する場合に利用されるモードである。このモードでは、侵入センサ252による監視は、ユーザが指定した警備対象の部分に存在する侵入センサ252のみによって行われる。
【0030】
通信部21は、Ethernet(登録商標)、IEEE802.11等の有線/無線通信規格に準じる通信インタフェース回路を有し、LANを介してインターネット等の広域通信網中のサーバ10と通信接続して各種情報を送受信する。
【0031】
記憶部22は、半導体メモリ、磁気記憶媒体及び/又は光記憶媒体等を有する。記憶部22は、警備装置20の動作を制御するのに制御部23が実行するコンピュータプログラムのコード及び各種データを記憶する。コンピュータプログラムは、DVD-ROM等のコンピュータ読取可能な記憶媒体や通信回線を介して公知の方法で記憶部22にインストールされることができる。
【0032】
制御部23は、CPU、マルチプロセッサ等のプロセッサとその周辺回路とを有し、当該プロセッサは、記憶部22に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって警備装置20の動作を制御する。制御部23として、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。
制御部23は、プロセッサ上で動作するプログラムの機能モジュールとして、設定手段231を有する。
【0033】
インタフェース部24は、例えばUSB等のシリアルバス規格に準じるインタフェース回路を有し、入退室操作端末250、警備操作部251、侵入センサ252及び火災センサ253と通信接続して各種信号を送受信する。なお、インタフェース部24は、シリアルバス規格に準じるインタフェース回路の代わりに、Ethernet(登録商標)、IEEE802.11、Bluetooth(登録商標)等の有線/無線通信規格に準じるインタフェース回路を有してもよい。
【0034】
入退室操作端末250は、警備対象の出入口等に設置され、利用者が警備対象への入室又は警備対象からの退室を要請する操作端末である。入退室操作端末250は、利用者のID、認証コード、指紋/顔/声等の生体情報等の認証情報を入力する、カードリーダ、カメラ、マイク、タッチパネル等の入力部(図示せず)を有する。また、入退室操作端末250は、入退室規制部(図示せず)と、扉開閉部(図示せず)とを有する。入退室規制部は、警備対象への入室又は警備対象からの退室を規制するために出入口の扉等に設置され、警備装置20から送信される解錠/施錠信号に従って解錠/施錠される電気錠等である。扉開閉部は、警備装置20から送信される扉開閉信号に従って警備対象の出入口の扉を開閉する自動開閉装置等である。
【0035】
警備操作部251は、タッチパネル、ボタン等のユーザ入出力インタフェースを有し、警備装置の操作者は、警備装置20に対して警備モードの切替等の操作を行う。警備操作部251は警備対象に備え付けられたものであるが、操作者が所持する携帯端末として構成されてもよい。また、警備操作部251は、操作者の識別情報の入力部(図示せず)を有する。入力部は、例えばカードリーダであり、操作者が保持するIC(Integrated Circuit)カードに記憶された識別情報を読み取って、警備装置20に入力する。識別情報は、操作者を識別する利用者IDと、操作者の属性とを有する。
【0036】
侵入センサ252は、リードスイッチ及びマグネット等により警備対象の扉や窓等の開閉を検知するセンサ、熱源としての人体が発する熱を検知するセンサ等の、警備対象内に侵入した侵入者を検知するためのセンサである。侵入センサ252は、侵入者を検知すると、侵入が発生したことを示す異常検知信号を生成する。
火災センサ253は、火災発生に伴う熱や煙を検知するセンサであり、火災発生を検知すると、火災が発生したことを示す異常検知信号を生成する。
【0037】
侵入センサ252及び火災センサ253は、生成した異常検知信号を、インタフェース部24を介して制御部23に出力する。なお、侵入センサ252及び火災センサ253の監視領域は、警備地図123に基づいてサーバ10により事前に設定される。
【0038】
作業ロボット30は、警備対象内で清掃、運搬、点検等の所定の作業を実施する自律移動可能なロボットである。作業ロボット30は、通信部31と、位置検出部32と、走行部33と、作業部34と、電源部35と、記憶部36と、制御部37と、を有する。ここでは、作業ロボット30が掃除ロボットである場合について説明する。
【0039】
通信部31は、IEEE802.11等の無線通信規格に準じる通信インタフェース回路を有し、アクセスポイント40及びインターネット等の広域通信網を介してサーバ10と通信接続して各種情報を送受信する。
【0040】
位置検出部32は、Lidar、カメラ、超音波センサ、赤外線センサ等の入力機器の少なくとも1つを有する。位置検出部32は、入力されたレーザー光、画像等を用いて、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)等の手法により、現在位置及び障害物の位置を検出し、環境地図361を生成する。
【0041】
走行部33は、駆動輪及び走行用モータを有し、走行用モータの回転速度を変えることにより、作業ロボット30を多様な速度で前後左右に自在に移動させる。走行部33は、走行を安定させスムーズにするために補助輪等を更に有してもよい。
作業部34は、清掃、運搬、点検等の作業を行う。作業ロボット30が掃除ロボットである場合、作業部34は、埃を吸い込むための吸引ユニット、床面を拭き取るための拭き取りユニット等を有し、床面の清掃作業を行う。走行部33及び作業部34は、作業ロボット30が自律移動しながら作業を行うための動作機構である。
【0042】
電源部35は、作業ロボット30の各部に電力を供給するための蓄電池等である。
【0043】
記憶部36は、半導体メモリ、磁気記憶媒体及び/又は光記憶媒体等を有する。記憶部36は、作業ロボット30の動作を制御するのに制御部37が実行するコンピュータプログラムのコード及び各種データを記憶する。コンピュータプログラムは、DVD-ROM等のコンピュータ読取可能な記憶媒体や通信回線を介して公知の方法で記憶部36にインストールされてもよい。
記憶部36は、作業エリア内の壁や設備等の固定された障害物と台車や箱等の移動可能な障害物とを含む障害物の位置を有する環境地図361を記憶する。環境地図361は、さらに、各作業エリアの位置を、作業エリアの識別情報と関連付けて記憶する。
【0044】
制御部37は、CPU、MPU等のプロセッサとその周辺回路とを有し、当該プロセッサは、記憶部36に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって作業ロボット30の動作を制御する。制御部37として、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。
制御部37は、プロセッサ上で動作するプログラムの機能モジュールとして、動作制御手段371を有する。
【0045】
図3は、作業エリアの一例であるオフィスの平面図である。図3に示すように、オフィス100のフロア101は、作業ロボット30の作業エリアである。フロア101は、第1作業エリア111、第2作業エリア112、第3作業エリア113及び共用作業エリア114に分割されている。第1作業エリア111、第2作業エリア112及び第3作業エリア113は、それぞれ警備システム1による警備対象でもある。第1作業エリア111、第2作業エリア112、第3作業エリア113と共用作業エリア114との間の出入口には、それぞれ第1扉431、第2扉432及び第3扉433が設けられる。第1扉431、第2扉432及び第3扉433は、入退室操作端末250の入退室規制部によって解錠/施錠され、扉開閉部によって開扉/閉扉される。
フロア101には、さらに、アクセスポイント(AP)40、ホームポジション(HP)460、他の階の作業エリアに移動可能なエレベータ(EV)480が設けられる。ホームポジション460には、作業ロボット30の電源部35を充電するための充電器(図示せず)が配置され、作業ロボット30は、作業を行わないときはホームポジション460で待機する。
【0046】
図4は、第1作業エリア111の平面図である。図4に示すように、第1作業エリア111には、パーティション440及び窓470が設けられる。また、第1作業エリア111の各所には、警備操作部251、侵入センサ252及び火災センサ253等の異常を検知する種々の機器が1又は複数設置される。
【0047】
パーティション440は、第1作業エリア111の利用者の座席の周囲に配置された衝立である。窓470は、第1作業エリア111と屋外との間に配置され、侵入センサ252によって窓470から第1作業エリア111への侵入者の有無が監視される。
【0048】
警備地図123は、第1作業エリア111、第2作業エリア112及び第3作業エリア113のそれぞれを表す第1警備地図、第2警備地図及び第3警備地図を含む。警備地図123には、各警備対象の形状、侵入センサ252及び火災センサ253等のセンサにより検知される位置等が示される。
一般地図124は、共用作業エリア114を表す第1一般地図を含む。一般地図124には、警備対象以外の作業エリアの形状が示される。
警備地図123及び一般地図124には、ホームポジション460の位置、パーティション440等の固定された障害物の位置等がさらに示される。警備地図123及び一般地図124は、環境地図361と共通の座標を有し、上述した形状及び各位置は、環境地図361内のある点を原点とする2次元座標で示される。座標は、緯度及び経度等でもよい。
【0049】
図5は、サーバ10による開始判定処理の一例を示すフローチャートである。この動作フローは、予めサーバ10の記憶部12に記憶されているプログラムに基づいて、主にサーバ10の制御部13により、サーバ10の各要素と協働して実行される。また、この動作フローは、所定時刻になったときに開始される。
【0050】
開始判定処理及び後述する終了判定処理と並行して、警備装置20の設定手段231は、操作者の操作に応じて複数の警備モードを切り替えて、警備対象である作業エリアに設定する。また、設定手段231は、警備モードが切り替えられた作業エリア、切替後の警備モード及び警備モードを切り替えるときに入力された操作者の識別情報を示す警備状態信号を、通信部21を介してサーバ10に出力する。
サーバ10の取得手段131は、通信部11を介して警備装置20から警備状態信号を受信した場合、警備状態信号が示す作業エリア及び警備モードを取得し、作業エリアテーブル120において、その作業エリアと関連付けられた警備モード及び設定時刻に、取得した警備モード及び警備状態信号の受信時刻を設定する。また、取得手段131は、警備状態信号が示す識別情報から操作者の属性を取得し、作業エリアテーブル120において、その作業エリアと関連付けられた操作者属性に、取得した操作者の属性を設定する。
【0051】
また、開始判定処理及び後述する終了判定処理と並行して、作業ロボット30の動作制御手段371は、現在位置信号及び作業状態信号を、それぞれ通信部31を介してサーバ10に出力する。
現在位置信号は、作業ロボット30の現在位置を示す信号である。動作制御手段371は、位置検出部32が検出した現在位置に基づいて現在位置信号を生成し、生成した現在位置信号を所定の間隔(例えば1分間隔)で通信部31を介してサーバ10に出力する。
サーバ10の取得手段131は、通信部11を介して作業ロボット30から現在位置信号を受信した場合、現在位置信号が示す作業ロボット30の現在位置を取得し、記憶部12に記憶する。記憶部12に記憶される作業ロボット30の現在位置の初期値は、ホームポジション460の位置である。
作業状態信号は、作業ロボット30が作業を実施する作業エリア及びその作業エリアにおける作業の状態を含む。動作制御手段371は、作業開始時に状態が実施中を示す作業状態信号を、作業完了時に状態が完了を示す作業状態信号を、それぞれ通信部31を介してサーバ10に出力する。
サーバ10の取得手段131は、通信部11を介して作業ロボット30から作業状態信号を受信した場合、作業エリアテーブル120において、作業状態信号に含まれる作業エリアに関連付けられた作業状態を更新する。取得手段131は、作業状態信号に含まれる状態が実施中を示す場合、その作業エリアと関連付けられた作業状態を実施中に設定し、作業状態信号に含まれる状態が完了を示す場合、その作業エリアに関連付けられた状態を完了に設定する。
【0052】
最初に、制御手段132は、作業ロボット30が作業を実施中か否かを判定する(ステップS11)。ステップS11の処理は、例えば1分毎など、所定の間隔で実行される。制御手段132は、作業エリアテーブル120において、各作業エリアと関連付けられた何れかの作業状態が実施中に設定されている場合、作業ロボット30がその作業エリアで作業を実施中と判定する。制御手段132は、作業エリアテーブル120において、全ての作業状態が実施中に設定されていない場合、作業ロボット30が作業を実施中でないと判定する。
作業ロボット30が作業を実施中の場合(ステップS11-Y)、制御手段132は、待機する。
作業ロボット30が作業を実施中でない場合(ステップS11-N)、取得手段131は、現在時刻を取得する(ステップS12)。現在時刻は、作業ロボット30の作業実施に関する時間条件を満たすか否かを判定するための情報の一例である。
【0053】
次に、制御手段132は、作業エリアテーブル120に設定された作業エリア毎に作業エリア抽出処理を実行して、現時点で作業開始可能な作業エリアを抽出する。(ステップS13)。作業エリア抽出処理の詳細については、後述する。ステップS13の処理を行う制御手段132は、判定手段の一例である。
次に、制御手段132は、作業エリア抽出処理において作業開始可能な作業エリアが抽出されたか否かを判定する(ステップS14)。
【0054】
作業エリア抽出処理において作業開始可能な作業エリアが抽出された場合(ステップS14-Y)、制御手段132は、抽出された作業エリアの中から、作業を開始する作業エリアを決定する(ステップS15)。制御手段132は、抽出された作業エリアが1つの場合、その作業エリアの作業を開始することを決定する。制御手段132は、抽出された作業エリアが2つ以上の場合、作業ロボット30の現在位置及び作業地図122に基づいて、例えば、作業ロボット30の現在位置から最も近い作業エリアを選択したり、それぞれの作業エリアの作業可能時間帯と作業所要時間とを考慮して、いずれの作業エリアにおいても作業可能時間帯に作業が完了するように先に作業する作業エリアを選択したりして、選択した作業エリアの作業を開始することを決定する。
次に、制御手段132は、決定した作業エリアの作業を開始するように、開始制御を実行する(ステップS16)。
制御手段132は、開始制御として、作業エリアの扉を解錠及び開扉するための命令信号を、通信部11を介して警備装置20に出力する。警備装置20の設定手段231は、通信部21を介してサーバ10から命令信号を受信すると、入退室操作端末250を介して入退室規制部及び扉開閉部に扉を解錠及び開扉させる。これにより、作業ロボット30が現在位置から作業エリア内に移動することを可能にする。また、制御手段132は、開始制御として、決定した作業エリアの識別情報を含み、作業ロボット30が作業を開始するための制御信号を生成し、通信部11を介して作業ロボット30に出力する。
なお、制御手段132は、自発的に作業エリアの扉を解錠及び開扉することに代えて、制御信号を受信し作業扉の近傍に移動した作業ロボット30から出力される要求に応じて、作業エリアの扉を解錠及び開扉してもよい。
作業ロボット30の動作制御手段371は、通信部31を介してサーバ10から作業を開始するための制御信号を受信すると、受信した制御信号に応じて、識別情報に対応した作業エリアに作業ロボット30を移動させる。動作制御手段371は、環境地図361に基づいて障害物を回避しながら走行部33を制御して作業ロボット30を走行させ、作業部34を制御して作業ロボット30に所定の作業を実施させる。動作制御手段371は、作業ロボット30が所定の作業を完了すると、作業終了を示す作業状態信号を、通信部31を介してサーバ10に出力し、作業ロボット30を、作業状態信号を出力した位置で待機させる。動作制御手段371は、他に作業開始可能な作業エリアが存在しない場合、作業状態信号を出力した後に、走行部33を制御して作業ロボット30をホームポジション460に帰還させ、他に作業開始可能な作業エリアが存在する場合は当該作業エリア内に移動させる。
【0055】
作業エリア抽出処理において作業開始可能な作業エリアが抽出されなかった場合(ステップS14-N)、制御手段132は、ステップS15及びS16の処理を実行せずに、ステップS17へ処理を移行させる。
【0056】
次に、制御手段132は、作業エリアテーブル120において作業状態が未実施である作業エリアが残っているか否かを判定する(ステップS17)。作業状態が未実施である作業エリアが残っている場合(ステップS17-Y)、制御手段132は、処理をステップS11に戻す。一方、作業状態が未実施である作業エリアが残っていない場合(ステップS17-N)、制御手段132は、一連の処理を終了する。以上により、一連の処理の説明を終了する。
【0057】
図6は、サーバ10による作業エリア抽出処理の一例を示すフローチャートである。作業エリア抽出処理は、図5のステップS13において、作業エリア毎に実行される。
最初に、制御手段132は、作業エリアテーブル120において、対象の作業エリアに関連付けられた作業状態が未実施に設定されているか否かを判定する(ステップS21)。
作業状態が未実施に設定されていない場合(ステップS21-Y)、制御手段132は、対象の作業エリアを作業開始可能な作業エリアとして抽出せず(ステップS27)、一連の処理を終了する。
作業状態が未実施に設定されている場合(ステップS21-N)、制御手段132は、現在時刻が、作業時間情報121に示される作業可能時間帯内にあるか否かを判定する(ステップS22)。現在時刻が作業可能時間帯内にあることは、時間条件の一例である。ここで、警備解除禁止時間帯を作業可能時間帯として設定してもよい。
【0058】
現在時刻が作業可能時間帯内にない場合(ステップS22-N)、制御手段132は、対象の作業エリアを作業開始可能な作業エリアとして抽出せず(ステップS27)、一連の処理を終了する。
現在時刻が作業可能時間帯内にある場合(ステップS22-Y)、制御手段132は、作業エリアテーブル120において対象の作業エリアと関連付けて設定された警備モードが、警備セットモードか否かを判定する(ステップS23)。
【0059】
警備モードが警備セットモードである場合(ステップS23-Y)、制御手段132は、警備装置20が警備セットモードに設定されてから所定時間経過しているか否かを判定する(ステップS24)。制御手段132は、警備装置20が警備セットモードに設定された時刻として作業エリアテーブル120において対象の作業エリアと関連付けて設定された設定時刻を用いて、この判定を実行する。所定時間は、例えば利用者が食事に出かける場合等に、一時的に警備セットモードに設定される時間(例えば30分)等に設定する。
【0060】
警備セットモードに設定されてから所定時間経過している場合(ステップS24-Y)、制御手段132は、対象の作業エリアを作業開始可能な作業エリアとして抽出し(ステップS26)、一連の処理を終了する。
警備モードが警備セットモードでない場合(ステップS23-N)、又は、警備セットモードに設定されてから所定時間経過していない場合(ステップS24-N)、制御手段132は、現在時刻から作業時間情報121に示される出勤想定時刻までの時間が作業時間情報121に示される所要時間未満か否かを判定する(ステップS25)。現在時刻から作業時間情報121に示される出勤想定時刻までの時間は、作業ロボット30の作業を許容する時間帯の残存時間の一例である。
【0061】
出勤想定時刻までの時間が所要時間未満の場合(ステップS25-Y)、制御手段132は、対象の作業エリアを作業開始可能な作業エリアとして抽出し(ステップS26)、一連の処理を終了する。
出勤想定時刻までの時間が所要時間以上である場合(ステップS25-N)、制御手段132は、対象の作業エリアを作業開始可能な作業エリアとして抽出せず(ステップS27)、一連の処理を終了する。以上により、一連の処理の説明を終了する。
【0062】
このように、制御手段132は、作業ロボット30の作業実施に関する時間条件を判定し、時間条件及び設定された警備モードの種類に応じて、作業ロボット30作業実施の制御を行う。警備モードの種類から警備対象内に利用者がいるか否かを推定できるため、警備システム1は、利用者の在室状況に応じて作業ロボット30の動作を制御することができる。
特に、制御手段132は、警備装置20が警備セットモードである場合に、作業ロボット30に対して所定の作業を開始するように制御する。警備装置20が警備セットモードに設定された場合、警備対象内に利用者がいないと想定される。このため、警備システム1は、利用者がいる場所で作業ロボット30が作業を行えなかったり、作業ロボット30の動作が利用者の邪魔になったりする可能性が低い状態で、作業ロボット30に作業を実施させることができる。
【0063】
また、制御手段132は、現在時刻が、作業ロボット30が作業可能な時間帯内にあることを開始条件として、作業ロボット30の作業実施の制御を行う。これにより、警備システム1は、作業を実施することが許容されていない時間帯に作業ロボット30に作業を開始させることを防止できる。
また、制御手段132は、現在時刻が作業可能時間帯内であることとして、警備解除禁止時間帯内にあることを時間条件として、作業ロボット30の制御を行う。警備解除禁止時間帯は、警備対象において警備セットモードから警備解除モードへの移行が禁止される時間帯であるため、利用者は、この時間帯に警備対象に存在しないと想定される。これにより、警備システム1は、利用者がいる場所で作業ロボット30が作業を行えなかったり、作業ロボット30の動作が利用者の邪魔になったりする可能性が低い状態で、作業ロボット30に作業を実施させることができる。
【0064】
また、制御手段132は、警備装置20が警備セットモードでない場合でも、出勤想定時刻までの時間が作業の所要時間未満であれば、作業ロボット30に作業を開始させる。警備装置20が警備セットモードになることを作業ロボット30の作業を開始する条件とすると、警備対象の利用者が徹夜で仕事をする場合等に、作業ロボット30は、作業を実施できない可能性がある。出勤想定時刻までの時間が所要時間未満であれば作業ロボット30に作業を開始させることにより、警備システム1は、作業ロボット30に確実に作業を実施させることができる。
【0065】
また、制御手段132は、警備装置20が警備セットモードに設定されてから所定時間経過していることを時間条件として、作業ロボット30の作業実施の制御を行う。
この場合、警備システム1は、警備装置20が警備セットモードに設定されてから所定時間が経過するまでは作業ロボット30の作業を開始しない。これにより、警備システム1は、利用者が一時的に警備対象を離れ、短時間で警備対象に戻るときに、利用者がいる場所で作業ロボット30が作業を行えなかったり、作業ロボット30の動作が利用者の邪魔になったりする可能性を低くすることができる。
【0066】
なお、制御手段132は、警備装置20が警備セットモードの場合(ステップS23-Y)、警備セットモードに設定されてから所定時間経過したか否かを判定することなく、対象の作業エリアを作業開始可能な作業エリアとして抽出してもよい(ステップS26)。
また、制御手段132は、警備装置20が警備セットモードでない場合(ステップS23-N)、出勤想定時刻までの時間を判定することなく、対象の作業エリアを作業開始可能な作業エリアとして抽出しなくてもよい(ステップS27)。
また、制御手段132は、ステップS25の処理で、作業時間情報121に示される出勤想定時刻までの時間に代えて、作業時間情報121に示される作業可能時間帯の終期までの時間を用いてもよい。
【0067】
また、作業エリアが複数の階に存在する場合、制御手段132は、図5のステップS15において作業エリアを決定する際に、作業ロボット30が存在する階と同一の階に存在する作業フロアを他の階に存在する作業フロアより優先的に選択してもよい。
【0068】
図7は、サーバ10による終了判定処理の一例を示すフローチャートである。この動作フローは、予めサーバ10の記憶部12に記憶されているプログラムに基づいて、主にサーバ10の制御部13により、サーバ10の各要素と協働して実行される。この動作フローは、開始判定処理において作業を開始するように作業ロボット30を制御した作業エリアについて実行され、制御手段132が作業ロボット30に作業を開始するための制御信号を出力したときに開始される。
【0069】
最初に、制御手段132は、作業エリアテーブル120において、対象の作業エリアに関連付けられた作業状態が完了に設定されているか否かを判定する(ステップS31)。対象の作業エリアに関連付けられた作業状態が完了に設定されている場合(ステップS31-Y)、制御手段132は、作業ロボット30が作業対象の作業エリアにおいて所定の作業をすべて実行し、作業を自発的に完了したと判定し、一連の処理を終了する。
対象の作業エリアに関連付けられた作業状態が完了に設定されていない場合(ステップS31-N)、制御手段132は、取得した警備モードが警備解除モードか否かを判定する(ステップS32)。作業ロボット30が所定の作業を実施中に警備装置20の設定手段231により警備モードが警備解除モードに設定されることは、終了条件の一例である。
【0070】
警備モードが警備解除モードでない場合(ステップS32-N)、制御手段132は、作業ロボット30の作業をまだ終了しないことを決定し(ステップS37)、処理をステップS31に進める。
警備モードが警備解除モードである場合(ステップS32-Y)、制御手段132は、作業エリアテーブル120において対象の作業エリアと関連付けて設定された操作者の属性が、所定の属性であるか否かを判定する(ステップS33)。所定の属性は、作業ロボット30の作業に関連する属性である。作業ロボットが掃除ロボットである場合、所定の属性は、清掃員等である。
【0071】
操作者の属性が所定の属性である場合(ステップS33-Y)、制御手段132は、終了条件を満足しないものと判定して作業ロボット30の作業をまだ終了しないことを決定し(ステップS37)、処理をステップS31に戻す。
操作者の属性が所定の属性でない場合(ステップS33-N)、制御手段132は、警備解除モードに設定された時刻が所定の時間帯内にあるか否かを判定する(ステップS34)。所定の時間帯は、警備対象の利用者が少ないと想定される時間帯であり、例えば、深夜から早朝にかけての時間帯、出勤時間帯から所定時間以上離れた時間帯、警備セットモードに設定されると通常想定されている時間帯等である。制御手段132は、警備装置20が警備解除モードに設定された時刻として作業エリアテーブル120において対象の作業エリアと関連付けて設定された設定時刻を用いて、この判定を実行する。
【0072】
警備解除モードに設定された時刻が所定の時間帯内にある場合(ステップS34-Y)、制御手段132は、終了条件を満足しないものと判定して作業ロボット30の作業をまだ終了しないことを決定し(ステップS37)、処理をステップS31に戻す。
警備解除モードに設定された時刻が所定の時間帯内にない場合(ステップS37-N)、制御手段132は、作業ロボット30の作業を終了することを決定する(ステップS35)。次に、制御手段132は、作業ロボット30の終了制御を実行し(ステップS36)、一連の処理を終了する。制御手段132は、作業ロボット30の終了制御として、作業ロボット30の作業を終了するための制御信号を生成し、通信部11を介して作業ロボット30に出力する。
作業ロボット30の動作制御手段371は、通信部31を介してサーバ10から作業を終了するための制御信号を受信すると、受信した制御信号に応じて作業ロボット30の作業を終了する。次に、動作制御手段371は、作業終了を示す作業状態信号を、通信部31を介してサーバ10に出力し、作業ロボット30を、作業状態信号を出力した位置で待機させる。動作制御手段371は、作業状態信号を出力した後に、走行部33を制御して作業ロボット30をホームポジション460に帰還させてもよい。以上により、一連の処理の説明を終了する。
【0073】
このように、制御手段132は、作業ロボット30の作業の終了条件を判定するための情報を取得し、終了条件に応じて、作業ロボット30に対して所定の作業を終了するように制御する。これにより、警備システム1は、作業ロボット30が所定の作業を完了する前に作業を終了すべき状態になった場合に、作業ロボット30の作業を強制的に終了させることができる。
【0074】
また、制御手段132は、作業ロボット30が所定の作業を実施中に警備装置20の設定手段231により警備モードが警備解除モードに設定されたことを終了条件として、作業ロボット30の作業を終了させる。警備装置20が警備解除モードに設定された場合、警備対象内に利用者が入ると想定されるため、警備システム1は、作業ロボット30の作業を終了することにより、作業ロボット30の動作が利用者の邪魔になることを防止することができる。
また、制御手段132は、警備解除モードに設定した操作者の属性が所定の属性の場合には、設定手段231により警備モードが警備解除モードに設定されても、作業ロボット30の作業を終了させない。この場合、作業ロボット30は作業を継続するため、警備システム1は、警備解除モードに設定した清掃員等の操作者が作業ロボット30と協力して作業を行うことを可能とする。
また、制御手段132は、設定手段231により警備モードが警備解除モードに設定されても、警備解除モードに設定された時刻が所定の時間帯内にある場合には、作業ロボット30の作業を終了させない。所定の時間帯は、警備対象の利用者が少ないと想定される時間帯であるため、この時間帯に作業ロボット30が作業を継続しても、警備対象の利用者は少ない可能性が高い。このため、警備システム1は、利用者がいる場所で作業ロボット30が作業を行えなかったり、作業ロボット30の動作が利用者の邪魔になったりする可能性が低い状態で、作業ロボット30に作業を継続させることができる。
【0075】
なお、制御手段132は、警備モードが警備解除モードである場合(ステップS32-Y)、操作者の属性が所定の属性か否かを判定することなく、警備解除モードに設定された時刻が所定の時間帯か否かを判定してもよい(ステップS34)。
また、制御手段132は、操作者の属性が所定の属性でない場合(ステップS33-N)、警備解除モードに設定された時刻が所定の時間帯内か否かを判定することなく、作業ロボット30の作業を終了することを決定してもよい(ステップS35)。
また、制御手段132は、警備モードが警備解除モードである場合(ステップS32-Y)、ステップS33及びS34の処理を実行することなく、作業ロボット30の作業を終了することを決定してもよい(ステップS35)。
【0076】
以上説明してきたように、本発明に係るサーバ10は、作業ロボット30の作業実施に関する時間条件を判定するための情報を取得し、時間条件及び設定された警備モードの種類に応じて作業ロボットの作業実施の制御を行う。警備モードから警備対象の利用者の在室状況を推定できるため、警備システム1は、利用者の在室状況に応じて作業ロボット30の動作を制御し、作業ロボット30の制御をより適切に行うことができる。
例えば、職場で作業ロボット30を動作させるとき、職場の利用者は、急な残業等により職場に残って仕事をすることがある。このとき、当初に生成した運転スケジュールに基づいて作業ロボット30が作業を実施すると、作業場所に利用者がいるため、利用者がいる場所で作業ロボット30が作業を行えなかったり、作業ロボット30の動作が利用者の邪魔になったりする可能性がある。警備システム1は、利用者の在室状況に応じて作業ロボット30の動作を制御することができるため、これらの可能性が低い状態で、作業ロボット30に作業を実施させることができる。
【0077】
なお、警備システム1は、クラウドコンピューティングの形態でサービスを提供できるように、ネットワーク上に複数のサーバ10を分散して配置し、各サーバ10が協働して、図5に示した各処理を分担してもよい。特に、警備システム1は、警備装置20を管理するサーバ10と、作業ロボット30を制御するサーバ10とを別個に設けて、各サーバ10が相互に連携して警備装置20及び作業ロボット30を管理してもよい。
【0078】
上記実施形態では、警備システム1は、サーバ10、警備装置20及び作業ロボット30を有する。さらに、警備装置20と作業ロボット30との間に通信接続されたサーバ10が、警備装置20から受信した警備状態信号等に基づいて制御信号を生成し、生成した制御信号を作業ロボット30に出力して作業ロボット30を制御する。しかしながら、警備装置20と作業ロボット30とは、直接通信接続され、サーバ10を介さずに警備状態信号、制御信号等を送受信してもよい。この場合、上記実施形態のサーバ10における制御信号の生成等に関する機能の全部を、警備装置20又は作業ロボット30が実現してもよく、一部の機能を警備装置20が実現し、他の機能を作業ロボット30が実現してもよい。
【0079】
図8は、本発明の他の実施形態に係る警備システム2の構成を示す図である。上記実施形態の警備システム1と対応する構成要素には同じ名前を使用し、以下では、上記実施形態の警備システム1と異なる点を中心に説明する。
本実施形態において、警備システム2は、互いに無線で通信接続される警備装置20-2と作業ロボット30-2とを有し、上記実施形態におけるサーバ10の制御信号に関する機能を、警備装置20-2が全て実現する。
【0080】
警備装置20-2の通信部21-2と作業ロボット30-2の通信部31-2とは、IEEE802.11、Bluetooth(登録商標)、特定小電力無線等の互いに対応する近距離無線通信規格に準じた通信インタフェース回路を有する。通信部21-2及び通信部31-2は、警備装置20-2と作業ロボット30-2との間を通信接続して各種信号を送受信する。
警備装置20-2の記憶部22-2は、作業エリアテーブル220-2を記憶する。
警備装置20-2の制御部23-2は、設定手段231-2に加えて、取得手段232-2及び制御手段233-2を有する。
【0081】
警備システム2では、警備装置20-2の設定手段231-2は、警備状態信号をサーバ10に出力する代わりに、入力された識別情報及び切換後の警備モードを取得手段232-2に通知する。また、取得手段232-2は、警備状態信号を受信することに代えて、通知された識別情報及び警備モードを用いて、操作者の属性及び警備モードを取得する。
即ち、警備システム2では、警備装置20-2が、警備モードの切替の操作を監視し、時間条件及び設定された警備モードの種類に応じて、作業ロボット30-2の作業実施を制御するための制御信号を生成し出力することによって、作業ロボット30-2を制御する。
【0082】
警備システム2は、警備システム1と同様に、警備モードから警備対象の利用者の在室状況を推定できるため、利用者の在室状況に応じて作業ロボット30-2の動作を制御することができる。
【0083】
図9は、本発明のさらに他の実施形態に係る警備システム3の構成を示す図である。本実施形態において、警備システム3は、警備システム2と同様に、互いに無線で通信接続される警備装置20-3と作業ロボット30-3とを有する。本実施形態では、上記実施形態におけるサーバ10の制御信号に関する機能を、作業ロボット30-3が全て実現する。
【0084】
警備装置20-3の通信部21-3と作業ロボット30-3の通信部31-3とは、互いに対応する近距離無線通信規格に準じた通信インタフェース回路を有する。通信部21-3及び通信部31-3は、警備装置20-3と作業ロボット30-3との間を通信接続して各種信号を送受信する。
作業ロボット30-3の記憶部36-3は、環境地図361-3に加えて、作業エリアテーブル362-3を記憶する。
作業ロボット30の制御部37-3は、動作制御手段371-3に加えて、取得手段372-3及び制御手段373-3を有する。
【0085】
警備システム3では、作業ロボット30-3の動作制御手段371-3は、作業状態信号をサーバ10に出力する代わりに、作業ロボット30-3の作業状態を取得手段372-3に通知する。また、取得手段372-3は、作業状態信号を受信し、作業状態信号が示す作業エリアの作業状態を取得することに代えて、通知された作業エリアの作業状態を取得する。
また、作業ロボット30-3の動作制御手段371-3は、現在位置信号をサーバ10に出力する代わりに、作業ロボット30-3の現在位置を取得手段372-3に通知する。また、取得手段372-3は、現在位置信号を受信し、現在位置信号が示す作業ロボット30-3の現在位置を取得することに代えて、通知された現在位置を取得する。
また、図5に示す動作フローにおいて、作業ロボット30-3の制御手段373-3は、作業ロボット30-3の開始制御(ステップS16)として、作業ロボット30-3の作業の開始を動作制御手段371-3に指示する。動作制御手段371-3は、制御手段373-3からの指示に応じて、作業ロボット30-3の作業を開始する。
また、図7に示す動作フローにおいて、制御手段373-3は、作業ロボット30-3の終了制御(ステップS36)として、作業ロボット30の作業の終了を動作制御手段371-3に指示する。動作制御手段371-3は、制御手段373-3からの指示に応じて、作業ロボット30-3の作業を終了する。
【0086】
警備システム3は、警備システム1と同様に、警備モードから警備対象の利用者の在室状況を推定できるため、利用者の在室状況に応じて作業ロボット30-3の動作を制御することができる。
【0087】
以上のように、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0088】
1、2、3 警備システム、10 サーバ、12、22-2、36-3 記憶部(記憶手段)、20、20-2、20-3 警備装置、30、30-2、30-3 作業ロボット、131、232-2、372-3 取得手段、132、233-2、373-3 制御手段(判定手段)、231、231-2、231-3 設定手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9