(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157133
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】表示灯
(51)【国際特許分類】
F21V 3/02 20060101AFI20221006BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20221006BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20221006BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20221006BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221006BHJP
【FI】
F21V3/02
F21V3/00 550
F21V5/04 650
F21S2/00 663
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061191
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】堀越 哲也
(57)【要約】 (修正有)
【課題】発光表示部を薄型化することができると共に、側方からの視認性を良くすることができる表示灯を提供する。
【解決手段】発光素子を光源として発光する発光表示部2を備えた表示灯1であって、前記発光表示部2は、発光素子の光の出射面である前面部2aaが凹面として形成されると共に、発光素子の光の入射面である裏面部2abが環状で同心状の配列の起伏部2abaを有するものとして形成されることを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を光源として発光する発光表示部を備えた表示灯であって、
前記発光表示部は、発光素子の光の出射面である前面部が凹面として形成されると共に、発光素子からの光の入射面である裏面部が環状で同心状の配列の起伏部を有するものとして形成されることを特徴とする表示灯。
【請求項2】
前記裏面部の起伏部は、入射する光を外周側に屈折させる形状を有することを特徴とする請求項1に記載の表示灯。
【請求項3】
前記裏面部の起伏部は、複数の環状の段部、凹部又は凸部によって形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示灯。
【請求項4】
前記裏面部は、凸面として形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示灯。
【請求項5】
前記裏面部の起伏部は、半径方向に階段状に連続することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種防災設備の位置表示用の表示灯に関する。
【背景技術】
【0002】
非常警報設備、自動火災報知設備、消火栓設備等の各種防災設備には、位置表示用の表示灯が設けられる。表示灯は、発光素子を光源として発光する発光表示部(「グローブ」等と称される)を備える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示灯は、トンネル(道路トンネル等)用の消火栓設備にも設けられる。具体的には、車道脇(監査路上等)等に設置される消火栓箱や消火器箱等に設けられる。
【0005】
ここで、シールド工法によって施工されるトンネルには、側壁に各種機器の埋込設置用のいわゆる「箱抜き」を設けることができない。そのようなトンネルに設置される消火栓箱や消火器箱等には、露出設置となるものの場合、機器の薄型化の要求がある。
【0006】
表示灯は、従来、発光表示部が前方に大きく突出して設けられている。機器の薄型化をする場合、その発光表示部を薄型化することが考えられる。しかしながら、発光表示部を薄型化すると、側方からの視認性が悪くなることがある。実際に表示灯が機器に設置されて使用する場合、例えばトンネル内ならば、車で通行したり監査路等を歩行したりする上で、機器に取り付けられた表示灯を視認することとなるため、表示灯を真正面ではなく、斜めや側方から視認することが多い。よって、側方からの視認性の向上が求められる。
【0007】
この発明は、前記の事情に鑑み、発光表示部を薄型化することができると共に、側方からの視認性を良くすることができる表示灯を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、発光素子を光源として発光する発光表示部を備えた表示灯であって、前記発光表示部は、発光素子の光の出射面である前面部が凹面として形成されると共に、発光素子の光の入射面である裏面部が環状で同心状の配列の起伏部を有するものとして形成されることを特徴とする表示灯、である。
【0009】
この発明において、前記裏面部の起伏部は、入射する光を外周側に屈折させる形状を有するものとすることができる。また、前記裏面部の起伏部は、複数の環状の段部、凹部又は凸部によって形成されるものとすることができる。また、前記裏面部は、凸面として形成されるものとすることができる。また、前記裏面部の起伏部は、半径方向に階段状に連続するものとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明においては、発光表示部の前面部を凹面とすることにより、発光表示部を薄型化することができると共に、前面部から光を拡散して出射させることができる。また、発光表示部の裏面部を環状で同心の配列の起伏部を有するものとすることにより、裏面部から入射する光を外周側に屈折させ、前面部から拡散して出射する光を増やすことができるので、側面視における輝度を向上させることができる。
【0011】
したがって、この発明によれば、発光表示部を薄型化することができると共に、側方からの視認性を良くすることができる表示灯が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の表示灯の実施形態の一例を示したものであり、発光表示部の部分の、光の出射側である前面側を示した正面図である。
【
図2】同上の発光表示部の部分の、光の入射側である裏面側を示した背面図である。
【
図5】同上の発光表示部が本体(発光素子等を内蔵)に取り付けられている状態の、表示灯全体を示した斜視図である。
【
図6】同上の表示灯が設けられる防災機器の一例を示したものであり、トンネル用消火栓箱の、表示灯が設けられる前面側を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の表示灯の実施形態の一例について、
図1乃至6を参照しながら説明する。なお、この発明の表示等は、非常警報設備、自動火災報知設備、消火栓設備等の各種防災設備の位置表示用の表示灯として用いることができるものである。
【0014】
ここで、この発明の表示灯を説明するのに用いている「前」、「後」、「裏」等の位置や方向を示す語は、表示灯が設置されている状態における位置や方向に従って用いているものである。
【0015】
[基本構成]
表示灯1は、
図5に示したように、発光表示部2と、発光表示部2が前部に取り付けられる本体3を備える。各種防災機器等に取り付けられて、常時、発光表示部2が本体3の内部に設けられるLED素子等の発光素子(図示省略)を光源として、例えば赤色に発光し、その位置を表示するものとして設けられる。
【0016】
[発光表示部]
・透光部
発光表示部2は、
図1乃至4に示したように、正面視円形状の透光部2aを有する。透光部2aは、前方に面する前面部2aaが発光素子の光の出射面として機能し、後方(本体3側)に面する裏面部2abが発光素子の光の入射面として機能する。すなわち、発光表示部2は、図示の例の場合、正面視円形状の透光部2aが本体3内部の発光素子を光源として赤色に発光する。
【0017】
透光部2aは、後記で詳細に説明するが、光の出射面側の前面部2aaが凹面で、入射面側の裏面部2abが環状で同心の配列の起伏部2abaを有する凹レンズとして機能する。
【0018】
なお、図示の例の場合、発光表示部2は、透光部2aの外周側に鍔部2bと周壁部2cが設けられるものとしている。鍔部2bは、表示灯1の取付時において取付面の裏面と接し、発光表示部2の外周部と取付面とを面一にするものとして機能し、周壁部2cは、本体3との螺合部として機能する。発光表示部2に前面パネル4が装着されている状態で、鍔部2bの部分が前面パネル4によって覆われて、透光部2aの部分のみが外部に露出するものとしている。図示の例においては、外部に露出する透光部2aの部分のみが透光性を有していればよいことになるので、その部分のみが透光性材料(透明の合成樹脂等)から形成されるものとすることもできるが、前記の鍔部2bと周壁部2cを含む全体が透光性材料から形成されるものとすることもできる。
【0019】
・前面部(出射面)
発光表示部2は、発光素子の光の出射面である透光部2aの前面部2aaが前方に突出しない凹面として形成される。前面部2aaは、より詳細には、透光部2aの中心軸回りの回転対称の凹曲面として形成される。
【0020】
・裏面部(入射面)
また、発光表示部2は、発光素子の光の入射面である透光部2aの裏面部2abが後方に突出する凸面であって、環状で同心の配列の起伏部2abaを有するものとして形成される。
【0021】
・凹状の前面部と、起伏部を有する裏面部による利点
表示灯1においては、透光部2aの前面部2aaを凹面として形成されるものとすることにより、発光表示部2を薄型化することができると共に、前面部2aaから光を拡散して出射させることができる。また、透光部2aの裏面部2abを環状で同心の配列の起伏部2abaを有するものとすることにより、裏面部2abから入射する光を透光部2aの外周側に屈折させることができ、前面部2aaから拡散して出射する光を増やすことができる。つまり、表示灯1によれば、発光表示部2を薄型化することができると共に、側方からの視認性を良くすることができる。
【0022】
・裏面部の形状の具体例
・・凸状の裏面部
裏面部2abは、より詳細には、図示の例の場合、透光部2aの中心軸回りで、前面部2aaの凹曲面と同じ曲率の凸曲面に沿う凸面であって、前記の起伏部2abaを表面に有する凸面として形成される。これにより、透光部2aの板厚を略均一なものとすることができる。
【0023】
・・起伏部の階段状の形状
透光部2aの裏面部2abにおける起伏部2abaとしては、入射する発光素子の光を透光部2aの外周側に屈折させることができるものであれば、複数の環状の段部、凹部又は凸部(それらの組み合わせを含む)等種々の形状のものすることができる。ただし、図示の例の場合、
図4に示したように、複数の環状の段部からなるものとしており、裏面部2abを凸面としていることと相まって、半径方向に平面部分が段差部分を介して階段状に連続する形状のものとしている。このような階段状に連続する形状のものとすることにより、裏面部2abを凸面とし、透光部2aの板厚が略均一になるものとしていても、裏面部2abから入射する発光素子の光をより多く透光部2aの外周側に屈折させることができ、前面部2aaから拡散して出射する光をより増やすことができる。すなわち、側方からの視認性をより良くすることができる。
【0024】
・・列幅の変化
また、図示の例の場合、
図2及び4に示したように、各段部間の列幅が中心側から外周側に向けて短くなるものとしている。これは、裏面部2abを凸面とし、透光部2aの板厚を略均一になるものとしていても、透光部2a全体の輝度の差が過度にならないようにすることを目的としたものであるが、側方に拡散する光をより増やすために、逆に、各段部間の列幅を中心側から外周側に向けて長くなるものとしてもよい。そのようにすることで、裏面部2abから入射する発光素子の光をより多く透光部2aの外周側に屈折させることができ、前面部2aaから拡散して出射する光をより増やすことができる。すなわち、側方からの視認性をより良くすることができる。すなわち、側方からの視認性をより良くすることができる。
【0025】
・・中央凹面部
さらに、図示の例の場合、
図4に示したように、全体的には凸面として形成される裏面部2abの中央に小さな凹面部2abbが設けられるものとしている。その中央凹面部2abbは、より詳細には、透光部2aの中心軸回りの回転対称の凹曲面として形成されるものとしている。これにより、中央凹面部2abaのある部分については、表裏を凹面とすることができ、その部分を透過して出射する光の拡散効果を向上させることができる。
【0026】
[発光素子の配置]
発光表示部2の発光の光源となる発光素子の配置については、図示は省略するが、例えば、発光素子としてLED素子を用いる場合、本体3の内部において、透光部2と同程度の大きさの円形状のLED基板を透光部2の内方に同心の配置で設けて、その基板上に複数のLED素子を全体的に均等な配置で設けることが考えられる。そのようにすることにより、発光表示部2の透光部2aを全体的に発光させることができ、全体的に視認性の良いものとすることができつつ、前記の通り、側方からの視認性も良いものとすることができる。
【0027】
また、これも図示は省略するが、例えば、前記の基板上の複数のLED素子の配置を均等なものとするのに代えて、左右側部側に多く偏在する配置にしたり、各LED素子の発光面が前方の左右側方側に斜めに向かう配置にしたりすることが考えられる。そのようにすることにより、発光表示部2の透光部2aを左右側方に向けて特に明るく発光させることができ、側方からの視認性をより良くすることができる。
【0028】
[表示灯の取り付け対象の具体例]
図6は、トンネル用の消火栓設備の消火栓箱10を示したものである。表示灯1は、そのような消火栓箱10の表示灯として用いることができるものである。
【0029】
消火栓箱10は、消火用ホース等を内蔵し、前面側が車道側に面する向きで車道脇(監査路上等)に設置される。表示灯1は、消火栓箱10の筐体前面に発光表示部2の透光部2aが外部に露出する状態で取り付けられて設けられる。
【0030】
このようなトンネル用の消火栓箱10において、表示灯1が薄型化をすることができると共に、側方からの視認性を良くすることができることは、機器の薄型化の要求に加え、表示灯1が斜め方向や側方から視認されることが多い点から、側方からの視認性を良くする必要があることに鑑みれば、特に有利といえる。これはトンネル用の消火器箱に表示灯1を設ける場合においても同様である。
【0031】
[構成の変更例]
以上、この発明の実施形態について、
図1乃至6を参照しつつ説明したが、具体的な構成は、上記の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれるものである。
【0032】
例えば、透光部2aの裏面部2abは、凸面とするのに代えて、平面としてもよいし、凹面としてもよい。ただし、凸面とした方が、板厚を薄くすることができ、光量が減少するのを防いだり、成形を容易にしたりすることができる点では有利といえる。なお、凸面としていても、前記のような平面部分が階段状に連続する形状の起伏部2abaを有するものとすれば、前記の通り、光をより拡散させることは可能である。
【符号の説明】
【0033】
1:表示灯 2:発光表示部 2a:透光部 2aa:前面部(凹面)
2ab:裏面部(凸面) 2aba:起伏部(階段状)
2abb:中央凹面部 2b:鍔部 2c:周壁部 2d:周壁部 3:本体
4:前面パネル 10:消火栓箱(トンネル用)