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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157138
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】荷役車両及び荷役システム
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B66F9/24 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061198
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183222
【氏名又は名称】住友ナコ フォ-クリフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏志
(72)【発明者】
【氏名】日南 敦史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄士
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333FA04
3F333FD14
3F333FE05
(57)【要約】
【課題】荷を容易に幅寄せして積み込むことができる荷役車両及び荷役システムを提供する。
【解決手段】荷を保持するフォーク(104)を横移動可能な荷役車両(100)である。荷役車両(100)は、フォーク(104)を横移動させる際にフォーク(104)が保持する運搬物(K、F)と当該運搬物の横方向に位置する物体(K0)との距離又は接触を検出する検出器(121)と、検出器(121)の検出結果に基づいてフォーク(104)の横移動を停止又は停止支援を行う制御部(122)とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークを横移動可能な荷役車両であって、
前記フォークを横移動させる際に前記フォークが保持する運搬物と当該運搬物の横方向に位置する物体との距離又は接触を検出する検出器と、
前記検出器の検出結果に基づいて前記フォークの横移動を停止又は停止支援を行う制御部と、
を備える荷役車両。
【請求項2】
前記検出器は、前記フォークが保持する運搬物と当該運搬物の周囲を撮影又は走査する、
請求項1記載の荷役車両。
【請求項3】
前記制御部は、前記検出器が撮影又は走査した物体の動きの有無に基づいて前記接触を判定する、
請求項2記載の荷役車両。
【請求項4】
前記検出器は、前記フォークの横移動に伴って移動しない部位に取り付けられる、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の荷役車両。
【請求項5】
前記検出器は、接触によりオン又はオフするスイッチである、
請求項1記載の荷役車両。
【請求項6】
前記検出器は、荷を載せることが可能で前記フォークが挿入されるパレット、前記フォーク、又は、前記フォークを横方向にスライド可能に支持する機構部に設けられている、
請求項1又は請求項5に記載の荷役車両。
【請求項7】
前記フォークを車体に対して横方向に移動可能なフォーク駆動機構を備える請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の荷役車両。
【請求項8】
路面に対して走行する車体を備え、
前記車体の横方向の移動により前記フォークが横移動する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載に荷役車両。
【請求項9】
前記フォークの横移動を操作するための横移動操作部を備え、
前記制御部は、前記距離又は前記接触の検出に基づいて、前記横移動操作部の操作を無効とする、あるいは、前記横移動操作部の操作を停止させるための報知を行う、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の荷役車両。
【請求項10】
フォークを横移動可能な荷役車両と、
前記フォークを横移動させる際に前記フォークが保持する運搬物と当該運搬物の横方向に位置する物体との距離又は接触を検出する検出器と、
前記検出器の検出結果に基づいて前記フォークの横移動を停止又停止支援を行う制御部と、
を備える荷役システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役車両及び荷役システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、油圧によりフォークリフトのフォークを横移動させるサイドシフト装置が示されている。さらに、特許文献1には、荷積みの際、サイドシフト装置を駆動する油圧を監視し、油圧がリリーフ圧に達したときにフォークの横移動を停止させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-138819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
荷を保持したフォークを横移動させて荷積みを行うことで、幅寄せして荷を積み込むことができる。しかしながら、特許文献1のようにサイドシフト装置を駆動する油圧を監視しても、荷を幅寄せして積み込む作業を補助することは難しい。なぜならば、サイドシフト装置を駆動する油圧からは、荷が隣接物体を大きな圧力で押し込んだか否かの状態を判別できるのみで、荷が隣接物体に接触したか否かを判別することはできないからである。
【0005】
本発明は、荷を容易に幅寄せして積み込むことができる荷役車両及び荷役システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る荷役車両は、
荷を保持するフォークを横移動可能な荷役車両であって、
前記フォークを横移動させる際に前記フォークが保持する運搬物と当該運搬物の横方向に位置する物体との距離又は接触を検出する検出器と、
前記検出器の検出結果に基づいて前記フォークの横移動を停止又は停止支援を行う制御部と、
を備える。
【0007】
本発明に係る荷役システムは、
荷を保持するフォークを横移動可能な荷役車両と、
前記フォークを横移動させる際に前記フォークが保持する運搬物と当該運搬物の横方向に位置する物体との距離又は接触を検出する検出器と、
前記検出器の検出結果に基づいて前記フォークの横移動を停止又は停止支援を行う制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、荷を容易に幅寄せして積み込むことができる荷役車両及び荷役システムを提供できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る荷役車両を示す図で、(A)は概略側面図、(B)はフォーク支持部の概略平面図である。
図2】荷の幅寄せ動作を説明する図であり、(A)は第1ステップを示し、(B)は第2ステップを示す。
図3】実施形態1の荷役車両及び荷役システムを説明する示す図であり、(A)は荷役車両の側面図、(B)は検出器の撮影範囲を示す図、(C)は検出器の配置の変形例を示す図である。
図4】実施形態1の荷役車両及び荷役システムの制御系の構成を示すブロック図である。
図5】制御部が実行する幅寄せ支援処理を示すフローチャートである。
図6】幅寄せ支援処理を説明する図であり、(A)は接触前、(B)は接触直後、(C)は接触後に横移動が継続したときの第1例、(D)は接触後に横移動が継続したときの第2例を示す。
図7】実施形態2の荷役車両に採用される接触を検知するための構成を説明する図であり、(A)は検出器が設けられたパレットの斜視図、(B)は荷の幅寄せ動作の第1ステップを示す図、(C)は荷の幅寄せ動作の第2ステップを示す図である。
図8】実施形態3の荷役車両に採用される接触を検知するための構成を説明する図であり、(A)はフォークに含まれる1つの爪を示す平面図、(B)は(A)の矢印A-A線断面図、(C)は荷の幅寄せ動作を示す図である。
図9】実施形態4の荷役車両に採用される接触を検知するための構成を説明する図であり、(A)はサイドシフト部を示す平面図、(B)は荷の幅寄せ動作の第1ステップを示す図、(C)は荷の幅寄せ動作の第2ステップを示す図である。
図10】フォークを横移動させる別形態を示す図であり、(A)は荷の幅寄せ動作の第1ステップを示し、(B)は荷の幅寄せ動作の第2ステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る荷役車両を示す図で、(A)は概略側面図、(B)はフォーク支持部の概略平面図である。本実施形態の荷役車両100は、荷の搬送、荷の昇降及び荷の受渡しが可能な重機であり、屋内及び屋外を問わず、軌条等を用いずに路上を走行できるフォークリフトなどの荷役自動車である。荷役車両100は、運転者により運転される構成であるが、自動走行及び自動荷役を行う構成であってもよい。
【0012】
荷役車両100は、前後に車輪101が取り付けられた車体102と、運転手が着座する運転席103と、車体102の前方に延びる左右一対の爪を有するフォーク104と、フォーク104の背後に位置するバックレスト105と、車体102に対してフォーク104を動かすフォーク駆動機構110とを備える。運転席103には、車体102の走行運転操作を行う走行操作部106aと、フォーク104の運転操作を行うフォーク操作部106bと、運転の支援報知を行う支援報知部107とが設けられている。フォーク操作部106bは、本発明に係る横移動操作部の一例に相当する。図1において、支援報知部107はランプであるが、画像出力が可能な表示器であってもよいし、音声出力が可能なスピーカであってもよい。
【0013】
フォーク駆動機構110は、フォーク104及びバックレスト105の昇降、前後傾斜角度の変更、並びに、横移動が可能である。「横移動」とは、フォーク104の各爪の長手方向に交差(例えば直交)する水平方向への移動を意味する。以下、当該方向を「横方向」と呼ぶ。
【0014】
特に限定されないが、フォーク駆動機構110は、車体102に対して前後の傾斜角が可変に取り付けられたベースマスト111と、ベースマスト111の前後傾斜角を変更する傾斜シリンダ116と、ベースマスト111に対して昇降可能に取り付けられた昇降マスト112と、昇降マスト112を昇降させる昇降シリンダ117(図1では省略、図4を参照)及び昇降チェーン113と、昇降マスト112に対して横方向にスライド可能に取り付けられた横移動ベース114と、横移動ベース114を昇降マスト112に対して横移動させる横移動シリンダ115と、を備える。横移動ベース114にはフォーク104及びバックレスト105が連結されている。
【0015】
上記構成の荷役車両100においては、路上において車体102が走行可能であり、また、フォーク駆動機構110によってフォーク104の前後傾斜角度の変更、昇降及び横移動が可能である。
【0016】
<荷の幅寄せ動作>
ここで、理想的な荷積み動作について説明する。図2は、荷の幅寄せ動作を説明する図であり、(A)は第1ステップを示し、(B)は第2ステップを示す。荷FはパレットK上に載せられて運搬される。パレットKとは、上部に荷Fを載せることのできる台であり、前後側面にフォーク104を挿入することができる穴が設けられている。荷役車両100は、フォーク104をパレットKに差し込み、フォーク104を上昇させることで、パケットKと共に荷Fを持ち上げることができる。また、荷Fを保持した荷役車両100は、フォーク104を降下させてパレットKを荷台Nに降ろし、車体102が後退することでフォーク104をパレットKから抜き抜くことで、荷FをパレットKごと荷台Nへ積み込むことができる。上記の場合、パレットK及び荷Fがフォーク104に保持される運搬物に相当する。
【0017】
荷Fを荷台Nに積み込む場合には、荷Fを幅寄せすることで隣接する2つの荷Fの間隔を詰めた方が、多くの荷Fを積み込むことができ、また、輸送中の荷Fの位置を安定させることができる。
【0018】
幅寄せ動作は、次のように行われる。まず、図2(A)に示すように、荷役車両100は、荷Fが載せられたパレットKを荷台Nの上方まで運搬する。このとき、パレットKは、隣接するパレットK0から横方向に離間し、かつ、パレットK0より高い位置に配置される。そして、フォーク駆動機構110の駆動によって、フォーク104が荷台Nより僅か上方の位置まで降下される。このとき、パレットKの下端が隣接するパレットK0の上端よりも低い位置に配置される。そして、この状態で、フォーク駆動機構110の駆動によってフォーク104が横移動する(図2(B))。そして、パレットKが隣接するパレットK0に接触したら、フォーク104の横移動を停止し、フォーク駆動機構110の駆動によりフォーク104が降下される。当該降下により、パレットKは、隣接するパレットK0と少ない摩擦で摺動しながら、荷台Nに降ろされる。そして、フォーク104がパレットKから抜き出されることで、荷F及びパレットKが幅寄せされて荷台Nに積み込まれる。
【0019】
上記のような幅寄せ動作においては、パレットKがパレットK0に接触した直後に、フォーク104の横移動が停止されるとよい。本実施形態の荷役車両100によれば、当該横移動の停止を、パレットK、K0の距離又は接触の検出に基づいて容易に行うことができる。続いて、上記の横移動の停止又はその停止支援を行うための構成及び動作について説明する。
【0020】
(実施形態1)
図3は、実施形態1の荷役車両及び荷役システムを説明する示す図であり、(A)は荷役装置の側面図、(B)は検出器の検出範囲を示す図、(C)は検出器の配置の変形例を示す図である。図4は、実施形態1の荷役車両及び荷役システムの制御系の構成を示すブロック図である。
【0021】
実施形態1の荷役車両100は、検出器121と、横移動の停止又はその停止支援を行う制御部122とを備える。荷役車両100のフォーク操作部106bは、フォーク駆動機構110の油圧回路118に操作信号を送る。油圧回路118は、操作信号に応じて油圧弁を切り替えることで、フォーク駆動機構110を駆動する。
【0022】
制御部122は、フォーク操作部106bと油圧回路118との間に割り込んで、フォーク104を横移動させる操作を無効にすることができる。操作の無効は、例えば信号処理回路123により、横移動の操作信号を遮断、又は、横移動の操作信号を停止の信号に差し替えることで実現される。さらに、制御部122は、支援報知部107にフォーク104の横移動の操作を停止させるための報知出力を行わせることができる。
【0023】
検出器121は、図3(B)に示すように、フォーク104が保持するパレットK及び荷Fとその周辺を含む検出範囲Wを撮影するデジタルカメラである。検出範囲Wは、パレットKの前後方向における中央部を通り、パレットKの幅よりも広い帯状の範囲である。検出範囲Wには、フォーク104が露出する範囲が含まれないように設定されるとよい。検出器121の検出情報は、制御部122へ送られる。
【0024】
なお、検出器121は、検出範囲Wよりも広い範囲の撮影を行う一方、制御部122が検出範囲Wの検出結果(撮影データ)を抽出して、当該検出結果を後述する判定処理に使用する構成としてもよい。
【0025】
検出器121は、ベースマスト111などフォーク104が横移動する際に停止している部位に取り付けられる。検出器121は、当該部位にステー等を介して取り付けられてもよい。
【0026】
図5は、制御部が実行する幅寄せ支援処理を示すフローチャートである。図6は、幅寄せ支援処理を説明する図であり、(A)は接触前、(B)は接触直後、(C)は接触後に横移動が継続したときの第1例、(D)は接触後に横移動が継続したときの第2例を示す。
【0027】
幅寄せ支援処理では、制御部122は、検出器121の検出範囲Wの動きの有無に基づいて、パレットKが隣のパレットK0に接触したことを判定する。図6(A)~図6(D)において、検出器121に対して相対的に移動している物体を網掛けで示している。図6(A)に示すように、フォーク104の横移動に伴ってパレットK及び荷Fが横移動していると、検出範囲Wの中に移動物体と静止物体とが含まれる。一方、パレットKが隣のパレットK0に接触すると、図6(B)に示すように、検出範囲Wの中はすべて静止物体となる。このとき、フォーク104の横移動が停止していなくても、フォーク104がパレットKの穴の中でスライドすることで、パレットK及び荷Fも静止物体となる。
【0028】
さらに、図6(C)に示すように、パレットKの接触後にフォーク104の横移動が継続すると、パレットKが横のパレットK0を介して荷台Nを押し込み、移動させることで、検出範囲Wの中はすべて移動物体となる。ここでは、荷台Nは搬送車両(トラック等)の荷台を想定している。フォーク104の横移動の力は大きく、停車している搬送車両を動かすことができる。あるいは、図6(D)に示すように、パレットKの接触後にフォーク104の横移動が継続すると、パレットKと横のパレットK0とが荷台Nに対してスライドする。したがって、検出範囲Wの中には移動物体と静止物体とが含まれ、かつ、荷役中のパレットK以外のものが移動物体に含まれる。ここでは、荷台Nが固定置台又は床などの固定物である場合、あるいは、横につならる1つ又は複数のパレットK0が荷台Nの奥まで詰められておらず、荷台Nに対して横のパレットK0が摺動する場合を想定している。
【0029】
図5の幅寄せ支援処理は、荷台Nの所定位置(隣接するパレットK0から横方向に少し離れた位置)に荷Fを保持したパレットKを搬送した段階で開始される。当該段階になると、制御部122は、まず、パレットKを荷台Nから少し浮いた位置まで、フォーク104を降下させる(ステップS1~S3)。少し浮いた位置とは、隣のパレットK0の上端よりも、パレットKの下端が低くなり、かつ、パレットKが荷台Nから離間した位置を意味する。
【0030】
次に、制御部122は、フォーク104を隣りのパレットK0に近づく方向へ横移動させる(ステップS4)。そして、制御部122は、検出器121の検出情報から動体検知を行う(ステップS5)。すなわち、ステップS5では、制御部122は、検出範囲Wにおいて輸送中のパレットK(荷Fを含む)のみが動体であるか、あるいは、それ以外であるかを識別する。当該識別の処理は、制御部122が、検出範囲Wにおいて輸送中のパレットKが位置する範囲と、それ以外の物が位置する範囲とを識別し、かつ、検出範囲Wの複数フレームの検出情報を比較して、各範囲の被検出物が動いているか静止しているかを検知することで実現される。
【0031】
そして、制御部122は、動体が輸送中のパレットKの範囲のみであれば、処理をステップS4に戻す(ステップS6)。一方、ステップS6の判別結果がNOであれば、制御部122は、処理をステップS7に進める
【0032】
ステップS7に処理が移行すると、制御部122は、フォーク104の横移動を停止させる(ステップS7)。そして、制御部122は、パレットKが荷台Nに載るまで、フォーク104を降下させ(ステップS8、S9)、荷台NにパレットKが降りたら、幅寄せ支援処理を終了する。
【0033】
上記の幅寄せ支援処理により、荷Fを搭載したパレットKを幅寄せした状態で荷台Nに積み込んでいくことが実現される。
【0034】
なお、制御部122が実行する幅寄せ支援処理は、ステップS5~S7の処理のみとし、ステップS1~S4、S8、S9の処理は、運転手が行ってもよい。この場合、ステップS7の横移動の停止は、運転手のフォーク操作部106bの操作に基づく横移動の信号を制御部122が無効にすることで実現される。
【0035】
また、ステップS7の処理は、支援報知部107の報知出力(フォーク104の横移動の操作を停止させるための報知出力)の処理に置き換わってもよい。そして、制御部122は、ステップS5~S6と、上記のように置き換わったステップS7の処理とを実行するようにしてもよい。この場合、運転手は、支援報知部107の報知出力(停止ランプの点灯など)に基づいて、フォーク104の横移動を停止させればよい。このような構成によれば、フォーク104の操作に熟練を有さない運転手であっても、荷Fを搭載したパレットKを容易に幅寄せした状態で荷台Nに積み込んでいくことができる。また、荷FによってパレットKの側方端部が運転手から見えにくい場合でも、容易に幅寄せした状態で荷台Nに荷F及びパレットKを積み込んでいくことができる。
【0036】
以上のように、実施形態1の荷役車両100によれば、フォーク104が横移動する際、検出器121がフォーク104が保持するパレットKと隣接するパレットK0との接触を検出可能な検出結果(撮影画像)を取得し、制御部122が当該検出結果からパレットK、K0の接触を判定することで、フォーク104の横移動を停止又はその停止支援を行う。したがって、容易に幅寄せを行って荷Fを荷台Nに積み込むことができる。幅寄せにより、少ない隙間で荷Fを積み込むことができ、荷Fの積込量を増すことができる。
【0037】
さらに、実施形態1の荷役車両100によれば、検出器121はフォーク104が保持する運搬物(パレットK及び荷F)とその周囲を撮影し、制御部122は撮影対象の動きの有無に基づいて接触を判定する。このような構成及び判定法により、高い信頼性をもってパレットK、K0の接触を検出できる。
【0038】
さらに、実施形態1の荷役車両100によれば、検出器121はフォーク104の横移動に伴って移動しない部位(ベースマスト111)に取り付けられる。したがって、制御部122は、検出器121の検出結果(撮影データ)のうち、一部が動体で一部が静止であるか、あるいは、全てが静止又は全てが動体であるかを判別することで、パレットK、K0の接触の有無を判定できる。よって、接触の判定処理を単純化できる。
【0039】
なお、実施形態1において、検出器121は、一次元又は二次元の範囲を走査するLiDAR(Light Detection and Ranging)などのセンサであってもよい。一次元の範囲を走査する場合、検出範囲は、パレットKの前後方向における中央部を通り、パレットKよりも幅広の線状の範囲であってもよい。
【0040】
また、実施形態1においては、制御部122が、検出範囲Wの動きの有無に基づいて、パレットKが隣のパレットK0に接触したことを判定した。しかし、制御部122は、例えばパレットK、K0の距離を検出器121の検出結果から計算し、距離が閾値以下となった場合に、パレットKが隣のパレットK0に接触したと判定するようにしてもよい。
【0041】
また、検出器121は、図3(C)に示すように、荷役車両100から離れた建屋天井201などに取り付けられていてもよい。この場合、検出器121の検出結果の情報は、無線信号又は有線信号を介して荷役車両100の制御部122に送られればよい。また、検出器121の検出結果の情報に基づきパレットKとパレットK0との接触を判定する処理は、荷役車両100に搭載された制御部122の代わりに、荷役車両100から離れて配置された管理装置210が行ってもよい。この場合、管理装置210は、無線信号又は有線信号を介してフォーク駆動機構110を制御することで、図5の幅寄せ支援処理を実行すればよい。当該構成においては、荷役車両100と、建屋天井201に取り付けられた検出器121と、管理装置210とが、本願発明に係る荷役システムの一例に相当する。
【0042】
(実施形態2)
図7は、実施形態2の荷役車両に採用される接触を検知するための構成を説明する図であり、(A)は検出器が設けられたパレットの斜視図、(B)は荷の幅寄せ動作の第1ステップを示す図、(C)は荷の幅寄せ動作の第2ステップを示す図である。
【0043】
実施形態2では、図7(A)に示すように、パレットKの側部に、接触センサ131が設けられ、荷役車両100には接触センサ131の受信器132が設けられる。側部とは、フォーク104の長手方向を前後方向、フォーク104の長手方向と直交し水平な方向を側方としたときの、側方部分を意味する。接触センサ131は、本発明に係る検出器の一例に相当する。
【0044】
接触センサ131は、接触によりオン又はオフするスイッチであり、無線により接触の検知信号を送信する。接触センサ131は、接触のエネルギーを電力に変換して検知信号を送信する、無電源式のセンサであってもよい。
【0045】
受信器132は、無線の検知信号を受信し、当該検知信号を制御部122に送る。
【0046】
制御部122は、接触センサ131の検知信号に基づき、フォーク駆動機構110の横移動の操作信号を無効化することで、フォーク104の横移動を停止する。あるいは、制御部122は、接触センサ131の検知信号に基づき、支援報知部107から横移動を停止させる報知出力を行う。
【0047】
このような構成によれば、図7(B)及び図7(C)に示すように、荷Fを搭載したパレットKの幅寄せ動作中、パレットKが隣のパレットK0に接触する際、接触センサ131から検知信号が受信器132を介して制御部122に送られる。そして、当該検知信号に基づき制御部122がフォーク104の横移動を停止、又は、支援報知部107から横移動の停止を支援する報知出力を行わせる。
【0048】
なお、図7(C)では、パレットKと隣りのパレットK0との間に隙間を有するように見えるが、薄型の接触センサ131が利用されることで、あるいは、パレットKからの膨出量が小さくなるように、パレットKの側部に接触センサ131が埋め込まれることで、接触センサ131が接触を検知した際に、パレットKと隣りのパレットK0とを接触させることができる。
【0049】
実施形態2の構成及び動作によれば、自動運転される荷役車両100であれば、荷Fを搭載したパレットKを容易に幅寄せした状態で荷台Nに積み込んでいくことができる。また、運転手が荷役車両100を運転する場合には、熟練を有さない運転手であっても、荷Fを搭載したパレットKを容易に幅寄せした状態で荷台Nに積み込んでいくことができる。また、荷FによってパレットKの側方端部が運転手から見えにくい場合でも、容易に幅寄せした状態で荷台Nに荷F及びパレットKを積み込んでいくことができる。
【0050】
(実施形態3)
図8は、実施形態3の荷役車両に採用される接触を検知するための構成を説明する図であり、(A)はフォークに含まれる1つの爪を示す平面図、(B)は(A)の矢印A-A線断面図、(C)は荷の幅寄せ動作を示す図である。
【0051】
実施形態3のフォーク104は、各爪104Aと、上部フレーム141と、上部フレーム141と爪104Aとの間に介在する付勢部品(コイルばね等)142と、上部フレーム141の横方向のスライドを検出する接触センサ143とが設けられている。接触センサ143は、本発明に係る検出器の一例に相当する。
【0052】
上部フレーム141は、爪104Aの上側のパレットKが載る範囲に渡って設けられ、横移動可能に爪104Aに支持される。付勢部品142は、上部フレーム141が爪104Aに対して横方向にスライドしたときに、上部フレーム141を元の位置に戻すように付勢する。接触センサ143は、接触によりオン又はオフされるスイッチであり、無線又は有線により制御部122へ検知信号を出力する。接触センサ143は、例えば、爪104Aの側面に対向して上部フレーム141の内側部に取り付けられてもよいし、上部フレーム141の内側面に対向して爪104Aの側部に取り付けられてもよい。ここでは、フォーク104の長手方向を前後方向、フォーク104の長手方向に直交する水平方向(横方向)を側方としている。
【0053】
制御部122は、接触センサ143の検知信号に基づき、フォーク駆動機構110の横移動の操作信号を無効化することで、フォーク104の横移動を停止する。あるいは、制御部122は、接触センサ131の検知信号に基づき、支援報知部107から横移動を停止させる報知出力を行う。
【0054】
このような構成によれば、図8(C)に示すように、フォーク104が荷Fを載せたパレットKを持ち上げた状態で横移動する際、パレットKが隣のパレットK0に接触すると、上部フレーム141が爪104Aに対して横方向にスライドし、当該スライドを接触センサ143が検知する。そして、接触センサ143から検知信号が制御部122に送られる。すると、当該検知信号に基づき制御部122がフォーク104の横移動を停止、又は、支援報知部107から横移動の停止を支援する報知出力を行う。そして、フォーク104の横移動が停止したら、フォーク104が降下されて荷F及びパレットKが荷台Nに積み込まれる。
【0055】
実施形態3の構成及び動作によれば、自動運転される荷役車両100であれば、荷Fを搭載したパレットKを容易に幅寄せした状態で荷台Nに積み込んでいくことができる。また、運転手が荷役車両100を運転する場合には、熟練を有さない運転手であっても、荷Fを搭載したパレットKを容易に幅寄せした状態で荷台Nに積み込んでいくことができる。また、荷FによってパレットKの側方端部が運転手から見えにくい場合でも、容易に幅寄せした状態で荷台Nに荷F及びパレットKを積み込んでいくことができる。
【0056】
(実施形態4)
図9は、実施形態4の荷役車両を説明する図であり、(A)はサイドシフト部を示す平面図、(B)は荷の幅寄せ動作の第1ステップを示す図、(C)は荷の幅寄せ動作の第2ステップを示す図である。
【0057】
実施形態4では、フォーク104と一体化されているフォークベース104Bが、横方向にスライド可能に横移動ベース114に支持されている。横移動ベース114は、前述したように、昇降マスト112に対して横方向にスライド可能に取り付けられ、横移動シリンダ115の駆動により横移動される。フォークベース104Bにはバックレスト105が連結されていてもよい。フォークベース104B及び横移動ベース114が、本発明に係る「フォークを横方向にスライド可能に支持する機構部」の一例に相当する。
【0058】
さらに、実施形態4の荷役車両100には、横移動ベース114とフォークベース104Bとの間に介在する付勢部品(コイルばね等)151と、フォークベース104Bの横方向のスライドを検出する接触センサ152とが設けられている。接触センサ152は、本発明に係る検出器の一例に相当する。
【0059】
付勢部品151は、フォークベース104Bが横移動ベース114に対して横方向にスライドしたときに、フォークベース104Bを元の位置に戻すように付勢する。接触センサ152は、接触によりオン又はオフされるスイッチであり、無線又は有線により制御部122へ検知信号を出力する。接触センサ152は、例えば、横移動ベース114の側面に対向してフォークベース104Bの内側部に取り付けられてもよいし、フォークベース104Bの内側面に対向して横移動ベース114の側部に取り付けられてもよい。ここで、フォーク104の長手方向を前後方向、フォーク104の長手方向に直交する水平方向(横方向)を側方としている。
【0060】
制御部122は、接触センサ152の検知信号に基づき、フォーク駆動機構110の横移動の操作信号を無効化することで、フォーク104の横移動を停止する。あるいは、制御部122は、接触センサ131の検知信号に基づき、支援報知部107から横移動を停止させる報知出力を行う。
【0061】
このような構成によれば、図9(B)及び図9(C)に示すように、フォーク104が荷Fを載せたパレットKを持ち上げた状態で横移動する際、パレットKが隣のパレットK0に接触すると、フォークベース104Bが停止する一方、横移動ベース114が横移動を続ける。したがって、横移動ベース114がフォークベース104Bに対して相対的に横方向にスライドし、当該スライドを接触センサ152が検知する。そして、接触センサ152から検知信号が制御部122に送られる。すると、当該検知信号に基づき制御部122がフォーク104の横移動を停止、又は、支援報知部107から横移動の停止を支援する報知出力を行う。そして、フォーク104の横移動が停止したら、フォーク104が降下されて荷F及びパレットKが荷台Nに積み込まれる。
【0062】
実施形態4の構成及び動作によれば、自動運転される荷役車両100であれば、荷Fを搭載したパレットKを容易に幅寄せした状態で荷台Nに積み込んでいくことができる。また、運転手が荷役車両100を運転する場合には、熟練を有さない運転手であっても、荷Fを搭載したパレットKを容易に幅寄せした状態で荷台Nに積み込んでいくことができる。また、荷FによってパレットKの側方端部が運転手から見えにくい場合でも、容易に幅寄せした状態で荷台Nに荷F及びパレットKを積み込んでいくことができる。
【0063】
以上のように、実施形態2~4の荷役車両100によれば、フォーク104が横移動する際、接触センサ131、143、152が、フォーク104が保持するパレットKと隣接するパレットK0との接触を検出する。そして、制御部122が当該検出結果に基づきフォーク104の横移動を停止又はその停止支援を行う。したがって、容易に幅寄せを行って荷Fを荷台Nに積み込むことができる。幅寄せにより、少ない隙間で荷Fを積み込むことができ、荷Fの積込量を増すことができる。
【0064】
さらに、実施形態2~4の荷役車両100によれば、フォーク104が保持した運搬物(パレットK)と隣接するパレットK0との接触を検出する検出器として、接触センサ131、143、152を用いている。したがって、外乱の影響が少なく信頼性の高い接触の検出が可能である。
【0065】
また、実施形態2の荷役車両100によれば、パレットKに接触センサ131が設けられるので、接触センサ131によりパレットK、K0の接触を直接的に検出でき、既存の荷役車両からの改変が少なく、低いコストで接触検出を行うことができる。
【0066】
また、実施形態3の荷役車両100によれば、フォーク104に接触センサ143が設けられるので、既存の荷役車両から少ない改変のみで、ゆえに少ないコストで接触検出を行うことができる。
【0067】
また、実施形態4の荷役車両100によれば、接触センサ152がフォークベース104B及び横移動ベース114を有する機構部に設けられる。当該構成によれば、接触センサ152から車体102に搭載される制御部122までの配線の取り回しを容易にできる。
【0068】
<横移動の別形態>
図10は、フォークを横移動させる別形態を示す図である。前述した実施形態1から実施形態4においては、フォーク駆動機構110の駆動によりフォーク104が横移動する形態を示した。しかし、荷Fを幅寄せする際のフォーク104の横移動は、フォーク駆動機構110の駆動でなく、図10に示すように、車体102の駆動によって実現されてもよい。
【0069】
一つの例として、荷役車両100は、4つの車輪101の車軸を鉛直軸を中心に回動可能な構成が採用されてもよい。当該構成によれば、図10(A)に示すように、荷台Nに向かって荷役車両100が進行した後、図10(B)に示すように、車輪101の車軸を90度回転し、さらに車輪101が駆動されることで、車体102ごとフォーク104を横移動させることができる。
【0070】
あるいは、荷役車両100は、車体102を横方向に走行可能な第2の走行機構(車輪又はクローラなど)と、第2の走行機構を路面に降下可能な機構とを有する構成が採用されてもよい。当該構成によれば、荷台Nに向かって荷役車両100が進行した後、第2の走行機構が路面に降下し、第2の走行機構が駆動することで、車体102ごとフォーク104を横移動させることができる。
【0071】
その他、車体102が車体上部と車体下部とに分割され、車体上部が車体下部に対して横方向にスライド駆動可能な構成が採用されてもよい。この構成でも、車体上部のスライド駆動によりフォーク104を横移動させることができる。
【0072】
さらに、上記のような構成が採用された場合、フォーク駆動機構110はフォーク104を横移動させる構成を持たなくてもよい。この場合、実施形態4に示した横移動ベース114は、昇降マスト112又は昇降マスト112に連結された任意の部材に置き換えられる。また、上記のような構成が採用された場合、実施形態1の検出器121は、図3(C)のように荷役車両100から離れた固定物に設けることで、前述した図5の幅寄せ支援処理を同様に適用することができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、荷役車両100が搬送車両(トラック等)の荷台Nに荷Fを積み込む例を一例として説明した。しかし、荷役車両100が荷Fを積み込む先は、例えば施設の長い棚、据え付けの長い棚など、複数の荷が横に並んで配置されるスペース、あるいは、荷が何かの横に並んで配置されるスペースであれば、本発明を適用して同様の効果が得られる。また、実施形態2~4に示した接触センサは、様々な近接センサに変更されてもよい。近接センサが適用される場合、近接センサは接触センサよりも奥まった位置に配置されればよく、そうすることで、接触センサが検出した検出対象の接触を、当該検出対象の近接として同様に検出することができる。その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0074】
100 荷役車両
101 車輪
102 車体
104 フォーク
104A 爪
105 バックレスト
106b フォーク操作部
107 支援報知部
110 フォーク駆動機構
111 ベースマスト
112 昇降マスト
114 横移動ベース(機構部)
115 横移動シリンダ
118 油圧回路
121 検出器
122 制御部
131 接触センサ
132 受信器
141 上部フレーム
142 付勢部品
143 接触センサ
151 付勢部品
152 接触センサ
104B フォークベース(機構部)
W 検出範囲
F 荷(運搬物)
K、K0 パレット(運搬物)
N 荷台
201 建屋天井
210 管理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10