(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157148
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】セラミック電子部品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
H01G4/30 201L
H01G4/30 201K
H01G4/30 201D
H01G4/30 515
H01G4/30 513
H01G4/30 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061221
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】加藤 洋一
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AE04
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
(57)【要約】
【課題】 高絶縁抵抗および高静電容量を両立することができるセラミック電子部品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 セラミック電子部品は、複数の内部電極層と、セラミックを主成分とする3層以上の誘電体層とが交互に積層された積層構造を備え、前記3層以上の誘電体層は、Snを含み、前記3層以上の誘電体層のうち少なくとも2層の関係において、積層方向の中心側の誘電体層よりも前記積層方向の端側の誘電体層のSn濃度が低いことを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の内部電極層と、セラミックを主成分とする3層以上の誘電体層とが交互に積層された積層構造を備え、
前記3層以上の誘電体層は、Snを含み、
前記3層以上の誘電体層のうち少なくとも2層の関係において、積層方向の中心側の誘電体層よりも前記積層方向の端側の誘電体層のSn濃度が低いことを特徴とするセラミック電子部品。
【請求項2】
前記積層方向の中心の誘電体層から前記積層方向の最端の誘電体層までにおいて、前記最端の誘電体層のSn濃度が最も低いことを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項3】
前記積層方向の最端から中心側にかけての複数の誘電体層の各Sn濃度は、前記積層方向の中心側の残りの誘電体層の各Sn濃度よりも低いことを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項4】
前記積層方向の中心の誘電体層から前記積層方向の最端の誘電体層までの各誘電体層のSn濃度が、前記積層方向の中心の誘電体層から前記積層方向の最端の誘電体層にかけて段階的または徐々に大きくなることを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項5】
前記3層以上の各誘電体層のSn濃度について、最小のSn濃度と最大のSn濃度との比率が、2:3以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のセラミック電子部品。
【請求項6】
前記3層以上の誘電体層の主成分セラミックは、ペロブスカイト構造を有しており、
前記3層以上の各誘電体層のSn濃度について、最小のSn/Bサイト元素比率と最大のSn/Bサイト元素比率との差が、0.001以上であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のセラミック電子部品。
【請求項7】
前記3層以上の誘電体層の主成分セラミックは、チタン酸バリウムであり、
前記複数の内部電極層の主成分金属は、ニッケルであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のセラミック電子部品。
【請求項8】
前記3層以上の誘電体層の厚みは、5μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のセラミック電子部品。
【請求項9】
前記3層以上の誘電体層において、Sn濃度は、5at%以下であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のセラミック電子部品。
【請求項10】
前記3層以上の内部電極層において、Sn濃度は、0.1at%以上であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のセラミック電子部品。
【請求項11】
セラミック粉末とSn源とを含む誘電体グリーンシート上に、金属粉末を含む内部電極パターンを形成することによって積層単位を形成する工程と、
3層以上の前記積層単位を積層することによって積層体を形成する工程と、
前記積層体を焼成する工程と、を含み、
焼成前の前記誘電体グリーンシートのうち少なくとも2層において、積層方向の中心側の誘電体グリーンシートよりも前記積層方向の端側の誘電体グリーンシートにおいて、主成分セラミックに対するSn濃度を低くしておくことを特徴とするセラミック電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック電子部品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品は、内部電極層が誘電体層を挟んで積層された構造を有している。内部電極層に挟まれた誘電体層領域の強誘電特性により、セラミック電子部品は大きな静電容量密度を得ることができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内部電極層に含まれる金属は、焼成の過程で誘電体層の主成分セラミックの中に拡散して固溶することがある。内部電極層に含まれる金属が誘電体層の主成分セラミックに固溶すると、誘電体層の主成分セラミックに酸素欠陥が形成され、誘電体層の絶縁性が低下し、セラミック電子部品の寿命が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、誘電体層の主成分セラミックに対してSnを固溶させることで、内部電極層の主成分金属が誘電体層の主成分セラミックに固溶することを抑制し、誘電体層の絶縁性を高めることができ、寿命を長くすることができる。
【0006】
しかしながら、Snは誘電体層の焼結を促進し、内部電極層に対しては球状化を促進する作用を有する。したがって、Sn添加により誘電体層の絶縁性を高めることができる一方で、内部電極層の球状化に起因する積層構造の乱れにより静電容量が低下する問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、高絶縁抵抗および高静電容量を両立することができるセラミック電子部品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るセラミック電子部品は、複数の内部電極層と、セラミックを主成分とする3層以上の誘電体層とが交互に積層された積層構造を備え、前記3層以上の誘電体層は、Snを含み、前記3層以上の誘電体層のうち少なくとも2層の関係において、積層方向の中心側の誘電体層よりも前記積層方向の端側の誘電体層のSn濃度が低いことを特徴とする。
【0009】
上記セラミック電子部品において、前記積層方向の中心の誘電体層から前記積層方向の最端の誘電体層までにおいて、前記最端の誘電体層のSn濃度が最も低くてもよい。
【0010】
上記セラミック電子部品において、前記積層方向の最端から中心側にかけての複数の誘電体層の各Sn濃度は、前記積層方向の中心側の残りの誘電体層の各Sn濃度よりも低くてもよい。
【0011】
上記セラミック電子部品において、前記積層方向の中心の誘電体層から前記積層方向の最端の誘電体層までの各誘電体層のSn濃度が、前記積層方向の中心の誘電体層から前記積層方向の最端の誘電体層にかけて段階的または徐々に大きくなっていてもよい。
【0012】
上記セラミック電子部品において、前記3層以上の各誘電体層のSn濃度について、最小のSn濃度と最大のSn濃度との比率が、2:3以下であってもよい。
【0013】
上記セラミック電子部品において、前記3層以上の誘電体層の主成分セラミックは、ペロブスカイト構造を有しており、前記3層以上の各誘電体層のSn濃度について、最小のSn/Bサイト元素比率と最大のSn/Bサイト元素比率との差が、0.001以上であってもよい。
【0014】
上記セラミック電子部品において、前記3層以上の誘電体層の主成分セラミックは、チタン酸バリウムであり、前記複数の内部電極層の主成分金属は、ニッケルであってもよい。
【0015】
上記セラミック電子部品において、前記3層以上の誘電体層の厚みは、5μm以下であってもよい。
【0016】
上記セラミック電子部品において、前記3層以上の誘電体層において、Sn濃度は、5at%以下であってもよい。
【0017】
上記セラミック電子部品において、前記3層以上の内部電極層において、Sn濃度は、0.1at%以上であってもよい。
【0018】
本発明に係るセラミック電子部品の製造方法は、セラミック粉末とSn源とを含む誘電体グリーンシート上に、金属粉末を含む内部電極パターンを形成することによって積層単位を形成する工程と、3層以上の前記積層単位を積層することによって積層体を形成する工程と、前記積層体を焼成する工程と、を含み、焼成前の前記誘電体グリーンシートのうち少なくとも2層において、積層方向の中心側の誘電体グリーンシートよりも前記積層方向の端側の誘電体グリーンシートにおいて、主成分セラミックに対するSn濃度を低くしておくことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、高絶縁抵抗および高静電容量を両立することができるセラミック電子部品およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】積層セラミックコンデンサの部分断面斜視図である。
【
図4】(a)および(b)はSn濃度を例示する図である。
【
図6】積層セラミックコンデンサの製造方法のフローを例示する図である。
【
図7】(a)および(b)は積層工程を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。
【0022】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る積層セラミックコンデンサ100の部分断面斜視図である。
図2は、
図1のA-A線断面図である。
図3は、
図1のB-B線断面図である。
図1~
図3で例示するように、積層セラミックコンデンサ100は、略直方体形状を有する積層チップ10と、積層チップ10のいずれかの対向する2端面に設けられた外部電極20a,20bとを備える。なお、積層チップ10の当該2端面以外の4面のうち、積層方向の上面および下面以外の2面を側面と称する。外部電極20a,20bは、積層チップ10の積層方向の上面、下面および2側面に延在している。ただし、外部電極20a,20bは、互いに離間している。
【0023】
積層チップ10は、誘電体として機能するセラミック材料を含む誘電体層11と、卑金属材料を含む3層以上の内部電極層12とが、交互に積層された構成を有する。各内部電極層12の端縁は、積層チップ10の外部電極20aが設けられた端面と、外部電極20bが設けられた端面とに、交互に露出している。それにより、各内部電極層12は、外部電極20aと外部電極20bとに、交互に導通している。その結果、積層セラミックコンデンサ100は、複数の誘電体層11が内部電極層12を介して積層された構成を有する。また、誘電体層11と内部電極層12との積層体において、積層方向の最外層には内部電極層12が配置され、当該積層体の上面および下面は、カバー層13によって覆われている。カバー層13は、セラミック材料を主成分とする。例えば、カバー層13の材料は、誘電体層11とセラミック材料の主成分が同じである。
【0024】
積層セラミックコンデンサ100のサイズは、例えば、長さ0.25mm、幅0.125mm、高さ0.125mmであり、または長さ0.4mm、幅0.2mm、高さ0.2mm、または長さ0.6mm、幅0.3mm、高さ0.3mmであり、または長さ1.0mm、幅0.5mm、高さ0.5mmであり、または長さ3.2mm、幅1.6mm、高さ1.6mmであり、または長さ4.5mm、幅3.2mm、高さ2.5mmであるが、これらのサイズに限定されるものではない。
【0025】
内部電極層12は、Ni(ニッケル),Cu(銅),Sn(スズ)等の卑金属を主成分とする。内部電極層12として、Pt(白金),Pd(パラジウム),Ag(銀),Au(金)などの貴金属やこれらを含む合金を用いてもよい。
【0026】
誘電体層11は、例えば、一般式ABO3で表されるペロブスカイト構造を有するセラミック材料を主成分とする。なお、当該ペロブスカイト構造は、化学量論組成から外れたABO3-αを含む。例えば、当該セラミック材料として、BaTiO3(チタン酸バリウム),CaZrO3(ジルコン酸カルシウム),CaTiO3(チタン酸カルシウム),SrTiO3(チタン酸ストロンチウム),ペロブスカイト構造を形成するBa1-x-yCaxSryTi1-zZrzO3(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1)等を用いることができる。1層あたりの誘電体層11の厚みは、例えば、0.05μm以上5μm以下であり、または0.1μm以上3μm以下であり、または0.2μm以上1μm以下である。
【0027】
図2で例示するように、外部電極20aに接続された内部電極層12と外部電極20bに接続された内部電極層12とが対向する領域は、積層セラミックコンデンサ100において電気容量を生じる領域である。そこで、当該電気容量を生じる領域を、容量領域14と称する。すなわち、容量領域14は、異なる外部電極に接続された隣接する内部電極層12同士が対向する領域である。
【0028】
外部電極20aに接続された内部電極層12同士が、外部電極20bに接続された内部電極層12を介さずに対向する領域を、エンドマージン15と称する。また、外部電極20bに接続された内部電極層12同士が、外部電極20aに接続された内部電極層12を介さずに対向する領域も、エンドマージン15である。すなわち、エンドマージン15は、同じ外部電極に接続された内部電極層12が異なる外部電極に接続された内部電極層12を介さずに対向する領域である。エンドマージン15は、電気容量を生じない領域である。
【0029】
図3で例示するように、積層チップ10において、積層チップ10の2側面から内部電極層12に至るまでの領域をサイドマージン16と称する。すなわち、サイドマージン16は、上記積層構造において積層された複数の内部電極層12が2側面側に延びた端部を覆うように設けられた領域である。サイドマージン16も、電気容量を生じない領域である。
【0030】
積層チップ10は、粉末状の材料で形成された各層を積層して焼成することで得ることができる。しかしながら、内部電極層12の主成分金属は、焼成の過程で誘電体層11の主成分セラミックの中に固溶することがある。例えば、内部電極層12にNiが含まれていると、焼成の過程でNiの一部が酸化し、イオン化したNiが誘電体層11の主成分セラミックに固溶する。内部電極層12の主成分金属が誘電体層11の主成分セラミックに固溶すると、誘電体層11の主成分セラミックに酸素欠陥が形成され、誘電体層11の絶縁性が低下し、積層セラミックコンデンサ100の寿命が低下するおそれがある。
【0031】
そこで、誘電体層11の主成分セラミックに対してSnを固溶させることで、内部電極層12の主成分金属が誘電体層11の主成分セラミックに固溶することを抑制し、誘電体層11の絶縁性を高めることができ、積層セラミックコンデンサ100の寿命を長くすることができる。
【0032】
しかしながら、Snは誘電体層11の焼結を促進し、内部電極層12に対しては球状化を促進する作用を有する。したがって、Sn添加により誘電体層11の絶縁性を高めることができる一方で、内部電極層12の球状化に起因する積層構造の乱れにより積層セラミックコンデンサ100の静電容量が低下する問題が生じる。特に、焼成前の積層チップに対して焼成炉の熱が外側から内側に伝わるために、熱勾配が生じやすい。例えば、100℃/min以上の高速昇温では熱勾配が顕著になりやすい。熱勾配が生じると、外側の焼結が内側の焼結よりも進みやすくなるため、外側の内部電極層の球状化が生じやすくなる。また、焼結を阻害する、バインダの残炭物質は外側から順にガス化して焼成炉雰囲気へと抜けていくため、外側の焼結が内側の焼結よりも進みやすくなる。特に最外層の内部電極層で焼結促進が顕著となりやすい。そこで、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ100は、高絶縁抵抗および高静電容量を両立することができる構成を有している。
【0033】
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ100において、各誘電体層11は、Snを含んでいる。例えば、各誘電体層11の主成分セラミックにSnが固溶している。それにより、焼成の過程で内部電極層12の主成分金属が誘電体層11の主成分セラミックに固溶することが抑制される。その結果、誘電体層11の絶縁性を高めることができ、積層セラミックコンデンサ100の寿命を長くすることができる。次に、3層以上の誘電体層11のうち少なくとも2層の関係において、積層方向の中心側の誘電体層11よりも積層方向の端側の誘電体層11のSn濃度が低くなっている。積層方向の中心側の誘電体層11では寿命向上効果が効果的に得られるとともに、積層方向の端側の誘電体層11では内部電極層12の球状化が抑制され、連続率低下が効果的に抑制されて積層構造の乱れが抑制され、静電容量向上効果が効果的に得られる。以上のことから、高絶縁性および高静電容量を両立することができるようになる。なお、誘電体層11の積層数が偶数であれば、積層方向の中央の誘電体層とは、積層方向の中央の2層の誘電体層のことである。誘電体層11の積層数が奇数であれば、積層方向の中央の誘電体層とは、積層方向の中央の1層の誘電体層のことである。
【0034】
例えば、
図4(a)で例示するように、積層方向の中心の誘電体層11から積層方向の最端の誘電体層11までにおいて、当該最端の誘電体層11のSn濃度が最も低くなっていることが好ましい。この構成では、焼結抑制の効果が顕著に得られる。なお、
図4(a)において、積層方向の最端の誘電体層11を黒く描くことで、当該最端の誘電体層11のSn濃度が最も低くなっていることを表している。
【0035】
例えば、
図4(b)で例示するように、積層方向の最端から中心側にかけての複数層の誘電体層11(外層領域の誘電体層11)の各Sn濃度が、積層方向の中心側の残りの誘電体層11(中心領域の誘電体層11)の各Sn濃度よりも低くなっていることが好ましい。例えば、合計400層の誘電体層11が積層される場合に、積層方向中心の200層の誘電体層11においてSn濃度が高くなっており、積層方向の両端の各100層の誘電体層11においてSn濃度が低くなっている。この構成では、焼結抑制の効果が顕著に得られる。なお、
図4(b)において、Sn濃度が低くなっている誘電体層11を黒く描いてある。
【0036】
図4(b)の構成において、Sn濃度が低くなっている外層領域が狭すぎると、焼結抑制の効果が十分に得られないおそれがある。したがって、外層領域の範囲に下限を設けることが好ましい。例えば、外層領域は、全誘電体層11のうち、積層方向の上下端から中心側にかけて、0%を上回り、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。
【0037】
一方、Sn濃度が低くなっている外層領域が広すぎると、寿命向上の効果が十分に得られないおそれがある。したがって、外層領域の範囲に上限を設けることが好ましい。例えば、外層領域は、全誘電体層11のうち、積層方向の上下端から中心側にかけて、40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。
【0038】
例えば、
図5で例示するように、積層方向の中心の誘電体層11から積層方向の最端の誘電体層11に至るまでの各誘電体層11のSn濃度が、積層方向の中心の内部電極層12から最端の内部電極層12にかけて段階的にまたは徐々に小さくなっていることが好ましい。この構成では、積層方向の端側の誘電体層11のSn濃度が低くなることから、焼結抑制の効果が顕著に得られる。また、積層方向の中央側の誘電体層11のSn濃度が高くなることから、寿命向上の効果が顕著に得られる。なお、「徐々に小さくなる」とは、連続的に減少(単調減少)することを含むとともに、積層方向の中心の誘電体層11から最端の誘電体層11に向かって複数のサンプル点でSn濃度を測定した場合に上下を繰り返しつつ全体として減少することを含む。
【0039】
各内部電極層12の厚みは、例えば、0.01μm以上5μm以下であり、または0.05μm以上3μm以下であり、または0.1μm以上1μm以下である。例えば、内部電極層12の厚みが1μm以下であると、焼成時の断裂によって連続率が低下しやすいため、本実施形態に係る構成の効果が顕著に発揮されるようになる。積層セラミックコンデンサ100において、内部電極層12の積層数は、例えば、10から5000であり、50から4000であり、100から3000である。
【0040】
各誘電体層11のSn濃度が大きすぎると、各内部電極層12の球状化が進み、積層セラミックコンデンサ100の静電容量が低下するおそれがある。そこで、各誘電体層11のSn濃度に上限を設けることが好ましい。例えば、各誘電体層11のSn濃度は、5at%以下であることが好ましく、3at%以下であることがより好ましく、2at%以下であることがさらに好ましい。なお、Snのat%とは、主成分セラミックを100at%とした場合のSnの原子数比率のことである。誘電体層11の主成分セラミックがペロブスカイト構造を有している場合には、Snのat%とは、当該主成分セラミックのBサイト元素を100at%とした場合のSnの原子数比率のことである。
【0041】
一方、各誘電体層11のSn濃度が小さすぎると、内部電極層12に含まれる金属成分の誘電体層11への拡散を十分に抑制できないおそれがある。そこで、各Sn濃度に下限を設けることが好ましい。例えば、各誘電体層11の各Sn濃度は、0.1at%以上であることが好ましく、0.5at%以上であることがより好ましく、1at%以上であることがさらに好ましい。
【0042】
例えば、各誘電体層11のSn濃度について、最小のSn濃度と最大のSn濃度との比率が、2:3以下であることが好ましく、1:3以下であることがより好ましく、1:5以下であることがさらに好ましい。また、各誘電体層11のSn濃度について、最小のSn/Bサイト元素比率と最大のSn/Bサイト元素比率との差が、0.001以上であることが好ましく、0.005以上であることがより好ましく、0.01以上であることがさらに好ましい。
【0043】
続いて、積層セラミックコンデンサ100の製造方法について説明する。
図6は、積層セラミックコンデンサ100の製造方法のフローを例示する図である。
【0044】
(原料粉末作製工程)
まず、誘電体層11を形成するための誘電体材料を用意する。誘電体層11に含まれるAサイト元素およびBサイト元素は、通常はABO3の粒子の焼結体の形で誘電体層11に含まれる。例えば、BaTiO3は、ペロブスカイト構造を有する正方晶化合物であって、高い誘電率を示す。このBaTiO3は、一般的に、二酸化チタンなどのチタン原料と炭酸バリウムなどのバリウム原料とを反応させてチタン酸バリウムを合成することで得ることができる。誘電体層11の主成分セラミックの合成方法としては、従来種々の方法が知られており、例えば固相法、ゾル-ゲル法、水熱法等が知られている。本実施形態においては、これらのいずれも採用することができる。
【0045】
得られたセラミック粉末に、目的に応じて所定の添加化合物を添加する。添加化合物としては、スズ(Sn)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、希土類元素(イットリウム(Y)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホロミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)およびイッテルビウム(Yb))の酸化物、または、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、リチウム(Li)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)もしくはケイ素(Si)を含む酸化物、または、コバルト、ニッケル、リチウム、ホウ素、ナトリウム、カリウムもしくはケイ素を含むガラスが挙げられる。
【0046】
例えば、セラミック原料粉末に添加化合物を含む化合物を湿式混合し、乾燥および粉砕してセラミック材料を調製する。例えば、上記のようにして得られたセラミック材料について、必要に応じて粉砕処理して粒径を調節し、あるいは分級処理と組み合わせることで粒径を整えてもよい。以上の工程により、誘電体材料が得られる。
【0047】
(積層工程)
次に、得られた誘電体材料に、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂等のバインダと、エタノール、トルエン等の有機溶剤と、可塑剤とを加えて湿式混合する。得られたスラリを使用して、例えばダイコータ法やドクターブレード法により、基材51上に誘電体グリーンシート52を塗工して乾燥させる。基材51は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムである。
【0048】
次に、
図7(a)で例示するように、誘電体グリーンシート52上に、内部電極パターン53を成膜する。
図7(a)では、一例として、誘電体グリーンシート52上に4層の内部電極パターン53が所定の間隔を空けて成膜されている。成膜手法は、特に限定されるものではないが、例えば、内部電極層12の主成分金属を含む電極ペーストを用いる。または、内部電極層12の主成分金属のターゲットを用いたスパッタなどの真空成膜などを用いてもよい。内部電極パターン53が成膜された誘電体グリーンシート52を、積層単位とする。
【0049】
次に、誘電体グリーンシート52を基材51から剥がしつつ、
図7(b)で例示するように、積層単位を3層以上積層する。この場合において、各誘電体グリーンシートのうち少なくとも2層において、積層方向の中心側の誘電体グリーンシートよりも積層方向の端側の誘電体グリーンシートにおいて、主成分セラミックに対するSn濃度を低くしておく。
図4(a)~
図5のSn濃度分布が得られるように、各誘電体グリーンシートのSn濃度を調整しておいてもよい。
【0050】
次に、積層単位が積層されることで得られた積層体の上下にカバーシートを所定数(例えば2~10層)だけ積層して熱圧着させ、所定チップ寸法(例えば1.0mm×0.5mm)にカットする。
図7(b)の例では、点線に沿ってカットする。カバーシートは、誘電体グリーンシート52と同じ成分であってもよく、添加化合物が異なっていてもよい。
【0051】
(焼成工程)
このようにして得られたセラミック積層体を、N2雰囲気で脱バインダ処理した後に外部電極20a,20bの下地層となる金属ペーストをディップ法で塗布し、酸素分圧10-5~10-8atmの還元雰囲気中で1100~1300℃で10分~2時間焼成する。このようにして、積層セラミックコンデンサ100が得られる。
【0052】
(再酸化処理工程)
その後、N2ガス雰囲気中で600℃~1000℃で再酸化処理を行ってもよい。
【0053】
(めっき処理工程)
その後、めっき処理により、外部電極20a,20bに、Cu,Ni,Sn等の金属コーティングを行ってもよい。
【0054】
本実施形態に係る製造方法によれば、積層方向の中央の誘電体層11から積層方向の最端の誘電体層11に至るまでの範囲の少なくとも2層の関係において、Sn濃度の低い誘電体層11が、Sn濃度の高い誘電体層11よりも積層方向の端側に配置されるようになる。それにより、積層セラミックコンデンサ100の高絶縁性および高静電容量を両立することができる。
【0055】
なお、上記各実施形態においては、セラミック電子部品の一例として積層セラミックコンデンサについて説明したが、それに限られない。例えば、バリスタやサーミスタなどの、他の電子部品を用いてもよい。
【実施例0056】
以下、実施形態に係る積層セラミックコンデンサを作製し、特性について調べた。
【0057】
(実施例1)
チタン酸バリウム粉末に対して添加物を添加し、ボールミルで十分に湿式混合粉砕して誘電体材料を得た。誘電体材料に有機バインダとしてブチラール系、溶剤としてトルエン、エチルアルコールを加えてドクターブレード法にてPETの基材上に誘電体グリーンシートを塗工した。次に、誘電体グリーンシート上に、Ni粉末を含むペーストを用いて内部電極パターンを成膜した。
【0058】
次に、誘電体グリーンシートを基材から剥がしつつ、積層単位を積層した。積層数は400とした。次に、積層単位が積層されることで得られた積層体の上下にカバーシートを所定数だけ積層して熱圧着した。その後、所定チップ寸法(1.0mm×0.5mm×0.5mm)にカットした。積層方向中央の200層(中央領域)の誘電体グリーンシートにおいては、Tiに対するSnの配合量を0.50at%とした。積層方向の上側の100層(外層)の誘電体グリーンシートおよび積層方向の下側の100層(外層)の誘電体グリーンシートにおいては、Tiに対するSnの配合量を0.25at%とした。
【0059】
このようにして得られたセラミック積層体を、N2雰囲気で脱バインダ処理した後に外部電極の下地層となる金属ペーストをディップ法で塗布し、還元雰囲気下で焼成した。
【0060】
焼成後において、積層方向中央の200層(中央領域)の誘電体層においては、Tiの原子濃度に対するSn原子濃度の比率である原子濃度比率が0.004であった。積層方向の上側の100層(外層)の誘電体層および積層方向の下側の100層(外層)の誘電体層においては、Tiに対するSnの原子濃度比率が0.001であった。Tiに対するSnの元素濃度比率については、チップの中央付近をスライサーでカットし、その断面をイオンミリング装置によって清浄断面となるまで研磨した。そのチップ断面において着目領域のレーザアブレーションICP質量分析を行い、元素の定量を実施した。加熱レーザーのスポット径は3μmである。
【0061】
(実施例2)
実施例2では、積層方向中央の200層(中央領域)の誘電体グリーンシートにおいては、Tiに対するSnの配合量を1.00at%とした。積層方向の上側の100層(外層)の誘電体グリーンシートおよび積層方向の下側の100層(外層)の誘電体グリーンシートにおいては、Tiに対するSnの配合量を0.50at%とした。その他の条件は、実施例1と同様とした。
【0062】
焼成後において、積層方向中央の200層(中央領域)の誘電体層においては、Tiに対するSnの原子濃度比率が0.009であった。積層方向の上側の100層(外層)の誘電体層および積層方向の下側の100層(外層)の誘電体層においては、Tiに対するSnの原子濃度比率が0.004であった。
【0063】
(実施例3)
実施例3では、積層方向中央の200層(中央領域)の誘電体グリーンシートにおいては、Tiに対するSnの配合量を2.00at%とした。積層方向の上側の100層(外層)の誘電体グリーンシートおよび積層方向の下側の100層(外層)の誘電体グリーンシートにおいては、Tiに対するSnの配合量を1.00at%とした。その他の条件は、実施例1と同様とした。
【0064】
焼成後において、積層方向中央の200層(中央領域)の誘電体層においては、Tiに対するSnの原子濃度比率が0.019であった。積層方向の上側の100層(外層)の誘電体層および積層方向の下側の100層(外層)の誘電体層においては、Tiに対するSnの原子濃度比率が0.010であった。
【0065】
(実施例4)
実施例4では、積層方向中央の200層(中央領域)の誘電体グリーンシートにおいては、Tiに対するSnの配合量を2.00at%とした。積層方向の上側の100層(外層)の誘電体グリーンシートおよび積層方向の下側の100層(外層)の誘電体グリーンシートにおいては、Tiに対するSnの配合量を1.50at%とした。その他の条件は、実施例1と同様とした。
【0066】
焼成後において、積層方向中央の200層(中央領域)の誘電体層においては、Tiに対するSnの原子濃度比率が0.020であった。積層方向の上側の100層(外層)の誘電体層および積層方向の下側の100層(外層)の誘電体層においては、Tiに対するSnの原子濃度比率が0.016であった。
【0067】
(比較例1)
比較例1では、積層方向中央の200層(中央領域)の誘電体グリーンシートにおいては、Tiに対するSnの配合量を0.00at%とした。積層方向の上側の100層(外層)の誘電体グリーンシートおよび積層方向の下側の100層(外層)の誘電体グリーンシートにおいては、Tiに対するSnの配合量を0.00at%とした。すなわち、いずれの誘電体グリーンシートにもSnを添加しなかった。その他の条件は、実施例1と同様とした。
【0068】
焼成後において、積層方向中央の200層(中央領域)の誘電体層においては、Tiに対するSnの原子濃度比率が0.000であった。積層方向の上側の100層(外層)の誘電体層および積層方向の下側の100層(外層)の誘電体層においては、Tiに対するSnの原子濃度比率が0.000であった。
【0069】
(比較例2)
比較例2では、積層方向中央の200層(中央領域)の誘電体グリーンシートにおいては、Tiに対するSnの配合量を0.50at%とした。積層方向の上側の100層(外層)の誘電体グリーンシートおよび積層方向の下側の100層(外層)の誘電体グリーンシートにおいては、Tiに対するSnの配合量を1.00at%とした。その他の条件は、実施例1と同様とした。
【0070】
焼成後において、積層方向中央の200層(中央領域)の誘電体層においては、Tiに対するSnの原子濃度比率が0.005であった。積層方向の上側の100層(外層)の誘電体層および積層方向の下側の100層(外層)の誘電体層においては、Tiに対するSnの原子濃度比率が0.010であった。
【0071】
(比較例3)
比較例3では、積層方向中央の200層(中央領域)の誘電体グリーンシートにおいては、Tiに対するSnの配合量を1.00at%とした。積層方向の上側の100層(外層)の誘電体グリーンシートおよび積層方向の下側の100層(外層)の誘電体グリーンシートにおいては、Tiに対するSnの配合量を1.00at%とした。その他の条件は、実施例1と同様とした。
【0072】
焼成後において、積層方向中央の200層(中央領域)の誘電体層においては、Tiに対するSnの原子濃度比率が0.009であった。積層方向の上側の100層(外層)の誘電体層および積層方向の下側の100層(外層)の誘電体層においては、Tiに対するSnの原子濃度比率が0.010であった。
【0073】
(比較例4)
比較例4では、積層方向中央の200層(中央領域)の誘電体グリーンシートにおいては、Tiに対するSnの配合量を1.00at%とした。積層方向の上側の100層(外層)の誘電体グリーンシートおよび積層方向の下側の100層(外層)の誘電体グリーンシートにおいては、Tiに対するSnの配合量を2.00at%とした。その他の条件は、実施例1と同様とした。
【0074】
焼成後において、積層方向中央の200層(中央領域)の誘電体層においては、Tiに対するSnの原子濃度比率が0.011であった。積層方向の上側の100層(外層)の誘電体層および積層方向の下側の100層(外層)の誘電体層においては、Tiに対するSnの原子濃度比率が0.018であった。
【0075】
(比較例5)
比較例5では、積層方向中央の200層(中央領域)の誘電体グリーンシートにおいては、Tiに対するSnの配合量を2.00at%とした。積層方向の上側の100層(外層)の誘電体グリーンシートおよび積層方向の下側の100層(外層)の誘電体グリーンシートにおいては、Tiに対するSnの配合量を2.00at%とした。その他の条件は、実施例1と同様とした。
【0076】
焼成後において、積層方向中央の200層(中央領域)の誘電体層においては、Tiに対するSnの原子濃度比率が0.020であった。積層方向の上側の100層(外層)の誘電体層および積層方向の下側の100層(外層)の誘電体層においては、Tiに対するSnの原子濃度比率が0.020であった。
【0077】
(比較例6)
比較例6では、積層方向中央の200層(中央領域)の誘電体グリーンシートにおいては、Tiに対するSnの配合量を2.00at%とした。積層方向の上側の100層(外層)の誘電体グリーンシートおよび積層方向の下側の100層(外層)の誘電体グリーンシートにおいては、Tiに対するSnの配合量を4.00at%とした。その他の条件は、実施例1と同様とした。
【0078】
焼成後において、積層方向中央の200層(中央領域)の誘電体層においては、Tiに対するSnの原子濃度比率が0.021であった。積層方向の上側の100層(外層)の誘電体層および積層方向の下側の100層(外層)の誘電体層においては、Tiに対するSnの原子濃度比率が0.037であった。
【0079】
実施例1~4および比較例1~6のそれぞれについて、寿命(50%値)を測定した。測定手法は、120℃の恒温槽でDC8Vを印加して電流値が2mAを超えた時点を各チップの寿命として計測した。各100個について計測した。
【0080】
実施例1~4および比較例1~6のそれぞれについて、静電容量を測定した。測定手法は、LCRメーターを用いて120Hz、0.5Vrmsで測定を実施した。測定は、150℃の恒温槽で1時間保持したのち、室温に戻してから24時間後に実施した。
【0081】
実施例1~4および比較例1~6のそれぞれについて、積層方向の中央領域における内部電極層の連続率を測定し、外層の内部電極層の連続を測定した。測定手法は、チップの中央付近をスライサーでカットし、その断面をイオンミリング装置によって清浄断面となるまで研磨した。そのチップ断面において着目領域をSEMによって撮像し、各電極層における電極の長さの合計を、SEM像の幅で割った値を連続率として算出した。なお、SEMは、5k倍で場所を積層面内方向にずらして3カ所ずつ撮像し、また、n数は5として15枚のSEM像における平均値を採用した。
【0082】
各測定結果を表1に示す。Snを添加していない比較例1の結果に対して、寿命が10%以上向上し、かつ容量低下率が10%以内であれば合格「〇」と判定した。比較例2~6では、比較例1よりも寿命が向上した。これは、誘電体層にSnを添加したからであると考えられる。しかしながら、比較例2~6では、比較例1に対して容量低下率が10%を超え、不合格「×」と判定された。これは、中央領域のSn添加量よりも外層のSn添加濃度を大きくしたことで外側の内部電極層の球状化が進み、積層構造の乱れが大きくなったからであると考えられる。これらに対して、実施例1~4では、比較例1よりも寿命が向上し、かつ容量低下率が10%以内となり、合格「〇」と判定された。これは、中央領域のSn添加量よりも外層のSn添加濃度を小さくしたことで外側の内部電極層の球状化が抑制されたからであると考えられる。なお、比較例1は、十分な寿命が得られなかったため、不合格「×」と判定した。
【表1】
【0083】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。