(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157185
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】高周波モジュール及び通信装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/00 20060101AFI20221006BHJP
H04B 1/38 20150101ALI20221006BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20221006BHJP
H01L 25/065 20060101ALI20221006BHJP
H01L 25/10 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H01L23/00 C
H04B1/38
H01L23/28 F
H01L25/08 H
H01L25/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061275
(22)【出願日】2021-03-31
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 基嗣
【テーマコード(参考)】
4M109
5K011
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA03
4M109BA04
4M109EA02
4M109EB11
4M109EE07
5K011AA12
5K011AA16
5K011DA01
5K011JA01
5K011KA13
5K011KA18
(57)【要約】
【課題】金属電極層に亀裂が生じることを抑制する。
【解決手段】高周波モジュール1は、実装基板2と、電子部品3と、樹脂層81と、金属電極層83と、を備える。電子部品3は、実装基板2の第1主面21に配置されている。樹脂層81は、実装基板2の第1主面21に配置されており、電子部品3の外周面33の少なくとも一部を覆っている。金属電極層83は、少なくとも樹脂層81を覆っている。電子部品3における実装基板2側とは反対側の主面31の少なくとも一部は、金属電極層83に接している。実装基板2の厚さ方向D1からの平面視における電子部品3の外縁30の少なくとも一部は、金属電極層83から離れている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1主面及び第2主面を有する実装基板と、
前記実装基板の前記第1主面に配置されている電子部品と、
前記実装基板の前記第1主面に配置されており、前記電子部品の外周面の少なくとも一部を覆っている樹脂層と、
少なくとも前記樹脂層を覆っている金属電極層と、を備え、
前記電子部品における前記実装基板側とは反対側の主面の少なくとも一部は、前記金属電極層に接しており、
前記実装基板の前記厚さ方向からの平面視における前記電子部品の外縁の少なくとも一部は、前記金属電極層から離れている、
高周波モジュール。
【請求項2】
互いに対向する第1主面及び第2主面を有する実装基板と、
前記実装基板の前記第1主面に配置されている電子部品と、
前記電子部品における前記実装基板側とは反対側の主面に配置されている金属部材と、
前記実装基板の前記第1主面に配置されており、前記電子部品の外周面の少なくとも一部及び前記金属部材の外周面の少なくとも一部を覆っている樹脂層と、
少なくとも前記樹脂層を覆っている金属電極層と、を備え、
前記金属部材における前記実装基板側とは反対側の主面の少なくとも一部は、前記金属電極層に接しており、
前記実装基板の前記厚さ方向からの平面視における前記電子部品の外縁の少なくとも一部は、前記金属電極層から離れている、
高周波モジュール。
【請求項3】
前記電子部品の前記外縁は、全周にわたって前記金属電極層から離れている、
請求項1又は2に記載の高周波モジュール。
【請求項4】
前記実装基板の前記第1主面に配置されており、前記電子部品としての第1電子部品とは異なる第2電子部品を更に備え、
前記第1電子部品の熱伝導率は、前記樹脂層の熱伝導率よりも高く、
前記実装基板の前記厚さ方向である第1方向に交差し、かつ、前記第1電子部品と前記第2電子部品とが並ぶ方向である第2方向において、
前記外縁のうち前記第2電子部品側の第1部分は、前記金属電極層から離れており、
前記外縁のうち前記第2電子部品側とは反対側の第2部分は、前記金属電極層に接している、
請求項1又は2に記載の高周波モジュール。
【請求項5】
前記第2電子部品における前記実装基板側とは反対側の主面は、前記金属電極層から離れている、
請求項4に記載の高周波モジュール。
【請求項6】
前記第2電子部品は、受信信号が通る信号経路に設けられている受信フィルタ又はローノイズアンプである、
請求項4又は5に記載の高周波モジュール。
【請求項7】
前記第1電子部品を複数備え、
前記複数の第1電子部品は、前記第1方向及び前記第2方向の両方に直交する第3方向に沿って並んでいる、
請求項4~6のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項8】
前記実装基板の前記第1主面に配置されており、前記第1電子部品及び前記第2電子部品とは異なる第3電子部品を更に備え、
前記実装基板の前記厚さ方向からの平面視で、前記第2電子部品と前記第3電子部品との間に前記第1電子部品が位置している、
請求項4~7のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項9】
前記電子部品は、送信信号が通る信号経路に設けられている送信フィルタ、送受信フィルタ又はパワーアンプである、
請求項1~8のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項10】
前記電子部品は、前記実装基板の前記厚さ方向からの平面視における前記外縁を含む外周部分の少なくとも一部に、前記外縁に近づくにつれて前記金属電極層から離れる向きに傾斜する傾斜面を有する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の高周波モジュールと、
前記高周波モジュールに接続されている信号処理回路と、を備える、
通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に高周波モジュール及び通信装置に関し、より詳細には、実装基板を備える高周波モジュール、及び高周波モジュールを備える通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モジュール基板(実装基板)と、モジュール基板の実装面上に実装された電子部品と、電子部品の側面(外周面)を被覆するようにモジュール基板の実装面上に設けられた樹脂層と、を備えるモジュール(高周波モジュール)が記載されている。特許文献1に記載のモジュールでは、電子部品及び樹脂層それぞれの上面の少なくとも一部に金属膜(金属電極層)が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のモジュールでは、例えば、外力又は熱がモジュールに加わることによって電子部品の側面と樹脂層との間で剥離が生じる場合がある。そして、この剥離によって、金属膜に亀裂が生じる場合がある。
【0005】
本発明の目的は、金属電極層に亀裂が生じることを抑制することが可能な高周波モジュール及び通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る高周波モジュールは、実装基板と、電子部品と、樹脂層と、金属電極層と、を備える。前記実装基板は、互いに対向する第1主面及び第2主面を有する。前記電子部品は、前記実装基板の前記第1主面に配置されている。前記樹脂層は、前記実装基板の前記第1主面に配置されており、前記電子部品の外周面の少なくとも一部を覆っている。前記金属電極層は、少なくとも前記樹脂層を覆っている。前記電子部品における前記実装基板側とは反対側の主面の少なくとも一部は、前記金属電極層に接している。前記実装基板の前記厚さ方向からの平面視における前記電子部品の外縁の少なくとも一部は、前記金属電極層から離れている。
【0007】
本発明の別の一態様に係る高周波モジュールは、実装基板と、電子部品と、金属部材と、樹脂層と、金属電極層と、を備える。前記実装基板は、互いに対向する第1主面及び第2主面を有する。前記電子部品は、前記実装基板の前記第1主面に配置されている。前記金属部材は、前記電子部品における前記実装基板側とは反対側の主面に配置されている。前記樹脂層は、前記実装基板の前記第1主面に配置されており、前記電子部品の外周面の少なくとも一部及び前記金属部材の外周面の少なくとも一部を覆っている。前記金属電極層は、少なくとも前記樹脂層を覆っている。前記金属部材における前記実装基板側とは反対側の主面の少なくとも一部は、前記金属電極層に接している。前記実装基板の前記厚さ方向からの平面視における前記電子部品の外縁の少なくとも一部は、前記金属電極層から離れている。
【0008】
本発明の一態様に係る通信装置は、前記高周波モジュールと、信号処理回路と、を備える。前記信号処理回路は、前記高周波モジュールに接続されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る高周波モジュール及び通信装置によれば、金属電極層に亀裂が生じることを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る高周波モジュールの断面図である。
【
図2】
図2は、同上の高周波モジュールの別の断面図である。
【
図3】
図3は、同上の高周波モジュールの平面図である。
【
図4】
図4は、同上の高周波モジュールの下面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る通信装置の概略図である。
【
図6】
図6は、実施形態1の変形例1に係る高周波モジュールの断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態1の変形例2に係る高周波モジュールの断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態2に係る高周波モジュールの断面図である。
【
図9】
図9は、同上の高周波モジュールの平面図である。
【
図10】
図10は、実施形態2に係る通信装置の概略図である。
【
図11】
図11は、実施形態2の変形例に係る高周波モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態1,2に係る高周波モジュール及び通信装置について、図面を参照して説明する。下記の実施形態等において参照する
図1~
図4、
図6~
図9及び
図11は、いずれも模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0012】
(実施形態1)
(1)高周波モジュール
実施形態1に係る高周波モジュール1の構成について、図面を参照して説明する。
【0013】
高周波モジュール1は、
図5に示すように、例えば、通信装置9に用いられる。通信装置9は、例えば、スマートフォンのような携帯電話である。なお、通信装置9は、携帯電話であることに限定されず、例えば、スマートウォッチのようなウェアラブル端末等であってもよい。高周波モジュール1は、例えば、4G(第4世代移動通信)規格、5G(第5世代移動通信)規格等に対応可能なモジュールである。4G規格は、例えば、3GPP(Third Generation Partnership Project) LTE(Long Term Evolution)規格である。5G規格は、例えば、5G NR(New Radio)である。高周波モジュール1は、例えば、キャリアアグリゲーション及びデュアルコネクティビティに対応可能なモジュールである。
【0014】
通信装置9は、複数の通信バンドの通信を行う。より詳細には、通信装置9は、複数の通信バンドの送信信号の送信、及び、複数の通信バンドの受信信号の受信を行う。
【0015】
複数の通信バンドの送信信号及び受信信号の一部は、FDD(Frequency Division Duplex)の信号である。なお、複数の通信バンドの送信信号及び受信信号は、FDDの信号に限定されず、TDD(Time Division Duplex)の信号であってもよい。FDDは、無線通信における送信と受信とに異なる周波数帯域を割り当てて、送信及び受信を行う無線通信技術である。TDDは、無線通信における送信と受信とに同一の周波数帯域を割り当てて、送信と受信とを時間ごとに切り替えて行う無線通信技術である。
【0016】
(2)高周波モジュールの回路構成
以下、実施形態1に係る高周波モジュール1の回路構成について、
図5を参照して説明する。
【0017】
実施形態1に係る高周波モジュール1は、
図5に示すように、パワーアンプ11と、複数(図示例では3つ)の送信フィルタ121~123と、複数(図示例では3つ)の受信フィルタ131~133と、ローノイズアンプ14と、出力整合回路15と、入力整合回路16と、第1スイッチ17と、第2スイッチ18と、第3スイッチ19と、を備える。また、高周波モジュール1は、複数(図示例では4つ)の外部接続端子10を更に備える。
【0018】
(2.1)パワーアンプ
図5に示すパワーアンプ11は、送信信号を増幅する増幅器である。パワーアンプ11は、後述のアンテナ端子101と信号入力端子102とを結ぶ送信経路T1のうち信号入力端子102と送信フィルタ121~123との間に設けられている。パワーアンプ11は、入力端子(図示せず)及び出力端子(図示せず)を有する。パワーアンプ11の入力端子は、信号入力端子102を介して外部回路(例えば、信号処理回路92)に接続される。パワーアンプ11の出力端子は、送信フィルタ121~123に接続されている。パワーアンプ11は、例えば、コントローラ20によって制御される。なお、パワーアンプ11は、直接又は間接的に、送信フィルタ121~123に接続されていればよい。
図5の例では、パワーアンプ11は、出力整合回路15を介して送信フィルタ121~123に接続されている。
【0019】
(2.2)送信フィルタ
図5に示す複数の送信フィルタ121~123は、互いに異なる通信バンドの送信信号を通過させるフィルタである。複数の送信フィルタ121~123は、送信経路T1のうちパワーアンプ11と第1スイッチ17との間に設けられている。複数の送信フィルタ121~123は、パワーアンプ11で増幅された高周波信号のうち、対応する通信バンドの送信帯域の送信信号を通過させる。
【0020】
(2.3)受信フィルタ
図5に示す複数の受信フィルタ131~133は、互いに異なる通信バンドの受信信号を通過させるフィルタである。複数の受信フィルタ131~133は、後述のアンテナ端子101と信号出力端子103とを結ぶ受信経路R1のうち第1スイッチ17とローノイズアンプ14との間に設けられている。複数の受信フィルタ131~133は、アンテナ端子101から入力された高周波信号のうち、対応する通信バンドの受信帯域の受信信号を通過させる。
【0021】
(2.4)ローノイズアンプ
図5に示すローノイズアンプ14は、受信信号を低雑音で増幅する増幅器である。ローノイズアンプ14は、受信経路R1のうち受信フィルタ131~133と信号出力端子103との間に設けられている。ローノイズアンプ14は、入力端子(図示せず)及び出力端子(図示せず)を有する。ローノイズアンプ14の入力端子は、入力整合回路16に接続されている。ローノイズアンプ14の出力端子は、信号出力端子103を介して外部回路(例えば、信号処理回路92)に接続される。
【0022】
(2.5)出力整合回路
出力整合回路15は、
図5に示すように、送信経路T1のうちパワーアンプ11と送信フィルタ121~123との間に設けられている。出力整合回路15は、パワーアンプ11と送信フィルタ121~123とのインピーダンス整合をとるための回路である。
【0023】
(2.6)入力整合回路
入力整合回路16は、
図5に示すように、受信経路R1のうち受信フィルタ131~133とローノイズアンプ14との間に設けられている。入力整合回路16は、受信フィルタ131~133とローノイズアンプ14とのインピーダンス整合をとるための回路である。
【0024】
(2.7)第1スイッチ
図5に示す第1スイッチ17は、複数の送信フィルタ121~123の中からアンテナ端子101に接続される送信フィルタを切り替える。また、第1スイッチ17は、複数の受信フィルタ131~133の中からアンテナ端子101に接続される受信フィルタを切り替える。第1スイッチ17は、アンテナ91に接続させる経路を切り替えるためのスイッチである。第1スイッチ17は、共通端子171と、複数(図示例では3つ)の選択端子172~174と、を有する。共通端子171は、アンテナ端子101に接続されている。複数の選択端子172~174のうち選択端子172は、送信フィルタ121及び受信フィルタ131に接続されている。また、複数の選択端子172~174のうち選択端子173は、送信フィルタ122及び受信フィルタ132に接続されている。また、複数の選択端子172~174のうち選択端子174は、送信フィルタ123及び受信フィルタ133に接続されている。
【0025】
第1スイッチ17は、共通端子171と複数の選択端子172~174との接続状態を切り替える。第1スイッチ17は、例えば、信号処理回路92によって制御される。第1スイッチ17は、信号処理回路92のRF信号処理回路93からの制御信号に従って、共通端子171と複数の選択端子172~174の少なくとも1つとを電気的に接続させる。
【0026】
(2.8)第2スイッチ
図5に示す第2スイッチ18は、複数の送信フィルタ121~123の中からパワーアンプ11に接続される送信フィルタを切り替える。第2スイッチ18は、パワーアンプ11に接続させる経路を切り替えるためのスイッチである。第2スイッチ18は、共通端子181と、複数(図示例では3つ)の選択端子182~184と、を有する。共通端子181は、パワーアンプ11に接続されている。複数の選択端子182~184のうち選択端子182は、送信フィルタ121に接続されている。また、複数の選択端子182~184のうち選択端子183は、送信フィルタ122に接続されている。また、複数の選択端子182~184のうち選択端子184は、送信フィルタ123に接続されている。
【0027】
第2スイッチ18は、共通端子181と複数の選択端子182~184との接続状態を切り替える。第2スイッチ18は、例えば、信号処理回路92によって制御される。第2スイッチ18は、信号処理回路92のRF信号処理回路93からの制御信号に従って、共通端子181と複数の選択端子182~184の少なくとも1つとを電気的に接続させる。
【0028】
(2.9)第3スイッチ
図5に示す第3スイッチ19は、複数の受信フィルタ131~133の中からローノイズアンプ14に接続される受信フィルタを切り替える。第3スイッチ19は、ローノイズアンプ14に接続させる経路を切り替えるためのスイッチである。第3スイッチ19は、共通端子191と、複数(図示例では3つ)の選択端子192~194と、を有する。共通端子191は、ローノイズアンプ14に接続されている。複数の選択端子192~194のうち選択端子192は、受信フィルタ131に接続されている。また、複数の選択端子192~194のうち選択端子193は、受信フィルタ132に接続されている。また、複数の選択端子192~194のうち選択端子194は、受信フィルタ133に接続されている。
【0029】
第3スイッチ19は、共通端子191と複数の選択端子192~194との接続状態を切り替える。第3スイッチ19は、例えば、信号処理回路92によって制御される。第3スイッチ19は、信号処理回路92のRF信号処理回路93からの制御信号に従って、共通端子191と複数の選択端子192~194の少なくとも1つとを電気的に接続させる。
【0030】
(2.10)外部接続端子
複数の外部接続端子10は、
図5に示すように、外部回路(例えば、信号処理回路92)と電気的に接続させるための端子である。複数の外部接続端子10は、アンテナ端子101と、信号入力端子102と、信号出力端子103と、制御端子104と、グランド端子と、を含む。以下では、複数の外部接続端子10を、「複数の外部接続電極10」ともいう。
【0031】
アンテナ端子101は、アンテナ91に接続される。高周波モジュール1内において、アンテナ端子101は、第1スイッチ17に接続されている。また、アンテナ端子101は、第1スイッチ17を介して、複数の送信フィルタ121~123及び複数の受信フィルタ131~133に接続されている。
【0032】
信号入力端子102は、外部回路(例えば、信号処理回路92)からの送信信号を高周波モジュール1に入力するための端子である。高周波モジュール1内において、信号入力端子102は、パワーアンプ11に接続されている。
【0033】
信号出力端子103は、ローノイズアンプ14からの受信信号を外部回路(例えば、信号処理回路92)へ出力するための端子である。高周波モジュール1内において、信号出力端子103は、ローノイズアンプ14に接続されている。
【0034】
制御端子104は、外部回路(例えば、信号処理回路92)からの制御信号を高周波モジュール1に入力するための端子である。高周波モジュール1内において、制御端子104は、コントローラ20に接続されている。
【0035】
(3)高周波モジュールの構造
以下、実施形態1に係る高周波モジュール1の構造について、図面を参照して説明する。
【0036】
高周波モジュール1は、
図1~
図4に示すように、実装基板2と、複数(図示例では3つ)の第1電子部品3と、複数(図示例では2つ)の第2電子部品4と、第3電子部品5と、複数(図示例では5つ)の第4電子部品6と、第5電子部品7と、複数の外部接続電極10と、を備える。また、高周波モジュール1は、第1樹脂層81と、第2樹脂層82と、金属電極層83と、接続端子8と、を更に備える。
【0037】
高周波モジュール1は、外部基板(図示せず)に電気的に接続可能である。外部基板は、例えば、携帯電話及び通信機器等の通信装置9のマザー基板に相当する。なお、高周波モジュール1が外部基板に電気的に接続可能であるとは、高周波モジュール1が外部基板上に直接的に実装される場合だけでなく、高周波モジュール1が外部基板上に間接的に実装される場合も含む。なお、高周波モジュール1が外部基板上に間接的に実装される場合とは、高周波モジュール1が、外部基板上に実装された他の高周波モジュール上に実装される場合等である。
【0038】
(3.1)実装基板
実装基板2は、
図1に示すように、第1主面21及び第2主面22を有する。第1主面21及び第2主面22は、実装基板2の厚さ方向D1において互いに対向する。第2主面22は、高周波モジュール1が外部基板(図示せず)に設けられたときに外部基板と対向する。実装基板2は、第1主面21及び第2主面22のそれぞれに電子部品が実装された両面実装基板である。実施形態1では、実装基板2の厚さ方向D1が第1方向(以下、「第1方向D1」ともいう)である。
【0039】
実装基板2は、複数の誘電体層が積層された多層基板である。実装基板2は、複数の導電層と、複数のビア導体(貫通電極を含む)と、を有する。複数の導電層は、グランド電位のグランド層を含む。複数のビア導体は、第1主面21及び第2主面22のそれぞれに実装されている素子(上述の電子部品を含む)と実装基板2の導電層との電気的接続に用いられる。また、複数のビア導体は、第1主面21に実装されている素子と第2主面22に実装されている素子との電気的接続、及び、実装基板2の導電層と接続端子8との電気的接続に用いられる。
【0040】
実装基板2の第1主面21には、複数の第1電子部品3、複数の第2電子部品4、第3電子部品5及び複数の第4電子部品6が配置されている。実装基板2の第2主面22には、第5電子部品7が配置されている。さらに、実装基板2の第2主面22には、複数の接続端子8が配置されている。
【0041】
(3.2)第1電子部品
複数の第1電子部品3は、
図1~
図3に示すように、実装基板2の第1主面21に配置されている。
図1及び
図2の例では、各第1電子部品3は、実装基板2の第1主面21に実装されている。なお、各第1電子部品3において、第1電子部品3の一部が実装基板2の第1主面21に実装されており、第1電子部品3の残りが実装基板2に内装されていてもよい。要するに、各第1電子部品3は、実装基板2において第2主面22よりも第1主面21側に配置されており、かつ、第1主面21に実装されている部分を少なくとも有する。
【0042】
複数の第1電子部品3は、例えば、送信フィルタ121~123である。複数の送信フィルタ121~123の各々は、例えば、複数の直列腕共振子及び複数の並列腕共振子を含む弾性波フィルタである。弾性波フィルタは、例えば、弾性表面波を利用するSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタである。さらに、複数の送信フィルタ121~123の各々は、複数の直列腕共振子のいずれかと直列に接続されるインダクタ及びキャパシタの少なくとも一方を含んでもよいし、複数の並列腕共振子のいずれかと直列に接続されるインダクタ又はキャパシタを含んでもよい。
【0043】
(3.3)第2電子部品
複数の第2電子部品4は、
図1及び
図3に示すように、実装基板2の第1主面21に配置されている。
図1の例では、各第2電子部品4は、実装基板2の第1主面21に実装されている。なお、各第2電子部品4において、第2電子部品4の一部が実装基板2の第1主面21に実装されており、第2電子部品4の残りが実装基板2に内装されていてもよい。要するに、各第2電子部品4は、実装基板2において第2主面22よりも第1主面21側に配置されており、かつ、第1主面21に実装されている部分を少なくとも有する。
【0044】
複数の第2電子部品4は、例えば、受信フィルタ131,132,133である。複数の受信フィルタ131,132,133の各々は、例えば、複数の直列腕共振子及び複数の並列腕共振子を含む弾性波フィルタである。弾性波フィルタは、例えば、弾性表面波を利用するSAWフィルタである。さらに、複数の受信フィルタ131,132,133の各々は、複数の直列腕共振子のいずれかと直列に接続されるインダクタ及びキャパシタの少なくとも一方を含んでもよいし、複数の並列腕共振子のいずれかと直列に接続されるインダクタ又はキャパシタを含んでもよい。なお、
図1及び
図3では、受信フィルタ133の図示を省略している。
【0045】
(3.4)第3電子部品
第3電子部品5は、
図1及び
図3に示すように、実装基板2の第1主面21に配置されている。
図1の例では、第3電子部品5は、実装基板2の第1主面21に実装されている。なお、第3電子部品5において、第3電子部品5の一部が実装基板2の第1主面21に実装されており、第3電子部品5の残りが実装基板2に内装されていてもよい。要するに、第3電子部品5は、実装基板2において第2主面22よりも第1主面21側に配置されており、かつ、第1主面21に実装されている部分を少なくとも有する。第3電子部品5は、例えば、パワーアンプ11である。
【0046】
(3.5)第4電子部品
複数の第4電子部品6は、
図3に示すように、実装基板2の第1主面21に配置されている。
図3の例では、各第4電子部品6は、実装基板2の第1主面21に実装されている。なお、各第4電子部品6において、第4電子部品6の一部が実装基板2の第1主面21に実装されており、第4電子部品6の残りが実装基板2に内装されていてもよい。要するに、各第4電子部品6は、実装基板2において第2主面22よりも第1主面21側に配置されており、かつ、第1主面21に実装されている部分を少なくとも有する。複数の第4電子部品6の各々は、例えば、ローノイズアンプ14、入力整合回路16のインダクタ161~163、又はコントローラ20である。なお、
図3では、出力整合回路15のインダクタの図示を省略している。
【0047】
(3.6)第5電子部品
第5電子部品7は、
図1、
図2及び
図4に示すように、実装基板2の第2主面22に配置されている。
図1及び
図2の例では、第5電子部品7は、例えば、実装基板2の第2主面22に実装されている。なお、第5電子部品7の一部が実装基板2の第2主面22に配置されており、第5電子部品7の残りが実装基板2に内装されていてもよい。要するに、第5電子部品7は、実装基板2において第1主面21よりも第2主面22側に位置しており、かつ、第2主面22に実装されている部分を少なくとも有する。第5電子部品7は、例えば、第1スイッチ17、第2スイッチ18及び第3スイッチ19を含むICチップ50である。
【0048】
(3.7)接続端子
複数の接続端子8は、複数の外部接続電極10と実装基板2とを電気的に接続させるための端子である。
【0049】
複数の接続端子8は、
図1及び
図2に示すように、実装基板2の第2主面22に配置されている。複数の接続端子8は、実装基板2の第2主面22上に設けられた柱状(例えば、円柱状)の電極である。複数の接続端子8の材料は、例えば、金属(例えば、銅、銅合金等)である。複数の接続端子8の各々は、実装基板2の厚さ方向D1において、実装基板2の第2主面22に接合されている基端部と、基端部とは反対側の先端部と、を有する。複数の接続端子8の各々の先端部は、例えば、金めっき層を含んでいてもよい。
【0050】
(3.8)外部接続電極
複数の外部接続電極10は、実装基板2と外部基板(図示せず)とを電気的に接続させるための端子である。
【0051】
複数の外部接続電極10は、
図1及び
図2に示すように、複数の接続端子8の先端部に接合されている。複数の外部接続電極10は、複数の接続端子8の先端部に設けられた柱状(例えば、角柱状)の電極である。複数の外部接続電極10の材料は、例えば、金属(例えば、銅、銅合金等)である。複数の外部接続電極10の各々は、実装基板2の厚さ方向D1において、接続端子8の先端部に接合されている基端部と、基端部とは反対側の先端部と、を有する。複数の外部接続電極10の各々の先端部は、例えば、金めっき層を含んでいてもよい。
【0052】
(3.9)第1樹脂層
第1樹脂層81は、
図1及び
図2に示すように、実装基板2の第1主面21に配置されている。第1樹脂層81は、複数の第1電子部品3、複数の第2電子部品4、第3電子部品5及び複数の第4電子部品6を覆っている。ここで、第1樹脂層81は、複数の第1電子部品3の各々の外周面33と、複数の第2電子部品4の各々の外周面43と、第3電子部品5の外周面53と、複数の第4電子部品6の各々の外周面と、を覆っている。また、第1樹脂層81は、複数の第2電子部品4の各々における実装基板2側とは反対側の主面41と、第3電子部品5における実装基板2側とは反対側の主面51と、複数の第4電子部品6の各々における実装基板2側とは反対側の主面を覆っている。複数の第1電子部品3の各々の外周面33は、第1電子部品3において、実装基板2側とは反対側の主面31と実装基板2側の主面32とをつないでいる4つの側面を含む。複数の第2電子部品4の各々の外周面43は、第2電子部品4において、実装基板2側とは反対側の主面41と実装基板2側の主面42とをつないでいる4つの側面を含む。第3電子部品5の外周面53は、第3電子部品5において、実装基板2側とは反対側の主面51と実装基板2側の主面52とをつないでいる4つの側面を含む。複数の第4電子部品6の各々の外周面は、第4電子部品6において、実装基板2側とは反対側の主面と実装基板2側の主面とをつないでいる4つの側面を含む。第1樹脂層81は、樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を含む。第1樹脂層81は、樹脂の他にフィラーを含んでいてもよい。
【0053】
(3.10)第2樹脂層
第2樹脂層82は、
図1及び
図2に示すように、実装基板2の第2主面22に配置されている。第2樹脂層82は、第5電子部品7及び複数の接続端子8を覆っている。ここで、第2樹脂層82は、第5電子部品7の外周面と、第5電子部品7における実装基板2側とは反対側の主面と、複数の接続端子8の各々の外周面と、を覆っている。第5電子部品7の外周面は、第5電子部品7において、実装基板2側とは反対側の主面と実装基板2側の主面とをつないでいる4つの側面を含む。第2樹脂層82は、樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を含む。第2樹脂層82は、樹脂の他にフィラーを含んでいてもよい。第2樹脂層82の材料は、第1樹脂層81の材料と同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
【0054】
(3.11)金属電極層
金属電極層83は、
図1及び
図2に示すように、第1樹脂層81を覆っている。金属電極層83は、導電性を有する。高周波モジュール1では、金属電極層83は、高周波モジュール1の内外の電磁シールドを目的として設けられているシールド層である。金属電極層83は、複数の金属層を積層した多層構造を有しているが、これに限らず、1つの金属層であってもよい。金属層は、1又は複数種の金属を含む。金属電極層83は、複数の金属層を積層した多層構造を有する場合、例えば、第1ステンレス鋼層と、第1ステンレス鋼層上のCu層と、Cu層上の第2ステンレス鋼層と、を含む。第1ステンレス鋼層及び第2ステンレス鋼層の各々の材料は、FeとNiとCrとを含む合金である。また、金属電極層83は、1つの金属層の場合、例えば、Cu層である。金属電極層83は、第1樹脂層81における実装基板2側とは反対側の主面と、第1樹脂層81の外周面と、実装基板2の外周面と、第2樹脂層82の外周面と、を覆っている。また、金属電極層83は、複数の第1電子部品3の各々における実装基板2側とは反対側の主面31を覆っている。金属電極層83は、実装基板2の有するグランド層の外周面の少なくとも一部と接触している。これにより、金属電極層83の電位をグランド層の電位と同じにすることができる。
【0055】
(4)高周波モジュールの各構成要素の詳細構造
(4.1)実装基板
図1~
図4に示す実装基板2は、例えば、複数の誘電体層及び複数の導電層を含む多層基板である。複数の誘電体層及び複数の導電層は、実装基板2の厚さ方向D1において積層されている。複数の導電層は、層ごとに定められた所定パターンに形成されている。複数の導電層の各々は、実装基板2の厚さ方向D1に直交する一平面内において1つ又は複数の導体部を含む。各導電層の材料は、例えば、銅である。複数の導電層は、グランド層を含む。高周波モジュール1では、複数の外部グランド端子とグランド層とが、実装基板2の有するビア導体等を介して電気的に接続されている。実装基板2は、例えば、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)基板である。実装基板2は、LTCC基板に限らず、例えば、プリント配線板、HTCC(High Temperature Co-fired Ceramics)基板、樹脂多層基板であってもよい。
【0056】
また、実装基板2は、LTCC基板に限らず、例えば、配線構造体であってもよい。配線構造体は、例えば、多層構造体である。多層構造体は、少なくとも1つの絶縁層と、少なくとも1つの導電層とを含む。絶縁層は、所定パターンに形成されている。絶縁層が複数の場合は、複数の絶縁層は、層ごとに定められた所定パターンに形成されている。導電層は、絶縁層の所定パターンとは異なる所定パターンに形成されている。導電層が複数の場合は、複数の導電層は、層ごとに定められた所定パターンに形成されている。導電層は、1つ又は複数の再配線部を含んでもよい。配線構造体では、多層構造体の厚さ方向において互いに対向する2つの面のうち第1面が実装基板2の第1主面21であり、第2面が実装基板2の第2主面22である。配線構造体は、例えば、インタポーザであってもよい。インタポーザは、シリコン基板を用いたインタポーザであってもよいし、多層で構成された基板であってもよい。
【0057】
実装基板2の第1主面21及び第2主面22は、実装基板2の厚さ方向D1において離れており、厚さ方向D1に交差する。実装基板2における第1主面21は、例えば、実装基板2の厚さ方向D1に直交しているが、例えば、厚さ方向D1に直交しない面として導体部の側面等を含んでいてもよい。また、実装基板2における第2主面22は、例えば、実装基板2の厚さ方向D1に直交しているが、例えば、厚さ方向D1に直交しない面として、導体部の側面等を含んでいてもよい。また、実装基板2の第1主面21及び第2主面22は、微細な凹凸又は凹部又は凸部が形成されていてもよい。
【0058】
(4.2)フィルタ
図5に示す複数の送信フィルタ121~123及び複数の受信フィルタ131~133の詳細な構造について説明する。以下の説明では、送信フィルタ121~123及び受信フィルタ131~133を区別せずにフィルタとする。
【0059】
フィルタは、1チップのフィルタである。ここにおいて、フィルタでは、例えば、複数の直列腕共振子及び複数の並列腕共振子の各々が弾性波共振子により構成されている。この場合、フィルタは、例えば、基板と、圧電体層と、複数のIDT電極(Interdigital Transducer)と、を備える。基板は、第1面及び第2面を有する。圧電体層は、基板の第1面に設けられている。圧電体層は、低音速膜上に設けられている。複数のIDT電極は、圧電体層上に設けられている。ここにおいて、低音速膜は、基板上に直接的又は間接的に設けられている。また、圧電体層は、低音速膜上に直接的又は間接的に設けられている。低音速膜では、圧電体層を伝搬するバルク波の音速よりも、伝搬するバルク波の音速が低速である。基板では、圧電体層を伝搬する弾性波の音速よりも、伝搬するバルク波の音速が高速である。圧電体層の材料は、例えば、リチウムタンタレートである。低音速膜の材料は、例えば、酸化ケイ素である。基板は、例えば、シリコン基板である。
【0060】
圧電体層は、例えば、リチウムタンタレート、リチウムニオベイト、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、又は、チタン酸ジルコン酸鉛のいずれかにより形成されていればよい。また、低音速膜は、酸化ケイ素、ガラス、酸窒化ケイ素、酸化タンタル、酸化ケイ素にフッ素又は炭素又はホウ素を加えた化合物からなる群から選択される少なくとも1種の材料を含んでいればよい。また、基板は、シリコン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、サファイア、リチウムタンタレート、リチウムニオベイト、水晶、アルミナ、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト、マグネシア及びダイヤモンドからなる群から選択される少なくとも1種の材料を含んでいればよい。
【0061】
フィルタは、例えば、スペーサ層と、カバー部材と、を更に備える。スペーサ層及びカバー部材は、基板の第1面に設けられている。スペーサ層は、基板の厚さ方向からの平面視で、複数のIDT電極を囲んでいる。基板の厚さ方向からの平面視で、スペーサ層は枠状(矩形枠状)である。スペーサ層は、電気絶縁性を有する。スペーサ層の材料は、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド等の合成樹脂である。カバー部材は、平板状である。基板の厚さ方向からの平面視で、カバー部材は、長方形状であるが、これに限らず、例えば、正方形状であってもよい。フィルタでは、基板の厚さ方向からの平面視で、カバー部材の外形サイズと、スペーサ層の外形サイズと、カバー部材の外形サイズとが略同じである。カバー部材は、基板の厚さ方向において基板に対向するようにスペーサ層に配置されている。カバー部材は、基板の厚さ方向において複数のIDT電極と重複し、かつ、基板の厚さ方向において複数のIDT電極から離れている。カバー部材は、電気絶縁性を有する。カバー部材の材料は、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド等の合成樹脂である。フィルタは、基板とスペーサ層とカバー部材とで囲まれた空間を有する。フィルタでは、空間には、気体が入っている。気体は、例えば、空気、不活性ガス(例えば、窒素ガス)等である。複数の端子は、カバー部材から露出している。複数の端子の各々は、例えば、バンプである。各バンプは、例えば、はんだバンプである。各バンプは、はんだバンプに限らず、例えば、金バンプであってもよい。
【0062】
フィルタは、例えば、低音速膜と圧電体層との間に介在する密着層を含んでいてもよい。密着層は、例えば、樹脂(エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂)からなる。また、フィルタは、低音速膜と圧電体層との間、圧電体層上、又は低音速膜下のいずれかに誘電体膜を備えていてもよい。
【0063】
また、フィルタは、例えば、基板と低音速膜との間に介在する高音速膜を備えていてもよい。ここにおいて、高音速膜は、基板上に直接的又は間接的に設けられている。低音速膜は、高音速膜上に直接的又は間接的に設けられている。圧電体層は、低音速膜上に直接的又は間接的に設けられている。高音速膜では、圧電体層を伝搬する弾性波の音速よりも、伝搬するバルク波の音速が高速である。低音速膜では、圧電体層を伝搬するバルク波の音速よりも、伝搬するバルク波の音速が低速である。
【0064】
高音速膜は、ダイヤモンドライクカーボン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリコン、サファイア、リチウムタンタレート、リチウムニオベイト、水晶等の圧電体、アルミナ、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト等の各種セラミック、マグネシア、ダイヤモンド、又は、上記各材料を主成分とする材料、上記各材料の混合物を主成分とする材料からなる。
【0065】
高音速膜の厚さに関しては、弾性波を圧電体層及び低音速膜に閉じ込める機能を高音速膜が有するため、高音速膜の厚さは厚いほど望ましい。
【0066】
複数の直列腕共振子及び複数の並列腕共振子の各々は、上記の弾性波共振子に限らず、例えば、SAW共振子又はBAW(Bulk Acoustic Wave)共振子であってもよい。ここにおいて、SAW共振子は、例えば、圧電体基板と、圧電体基板上に設けられているIDT電極と、を含む。フィルタは、複数の直列腕共振子及び複数の並列腕共振子の各々をSAW共振子により構成する場合、1つの圧電体基板上に、複数の直列腕共振子に一対一に対応する複数のIDT電極と、複数の並列腕共振子に一対一に対応する複数のIDT電極と、を有している。圧電体基板は、例えば、リチウムタンタレート基板、リチウムニオベイト基板等である。
【0067】
(4.3)パワーアンプ
図5に示すパワーアンプ11は、例えば、基板と増幅機能部とを備える1チップのICである。基板は、互いに対向する第1面及び第2面を有する。基板は、例えば、ガリウム砒素基板である。増幅機能部は、基板の第1面に形成された少なくとも1つのトランジスタを含む。増幅機能部は、所定の周波数帯域の送信信号を増幅する機能を有する機能部である。トランジスタは、例えば、HBT(Heterojunction Bipolar Transistor)である。パワーアンプ11では、電源回路(図示せず)からの電源電圧がHBTのコレクタ-エミッタ間に印加される。パワーアンプ11は、増幅機能部に加えて、例えば、直流カット用のキャパシタを含んでいてもよい。パワーアンプ11は、例えば、基板の第1面が実装基板2の第1主面21側となるように実装基板2の第1主面21にフリップチップ実装されている。実装基板2の厚さ方向D1からの平面視で、パワーアンプ11の外周形状は、四角形状である。
【0068】
(4.4)ローノイズアンプ
図5に示すローノイズアンプ14は、例えば、基板と増幅機能部とを備える1チップのICである。基板は、互いに対向する第1面及び第2面を有する。基板は、例えば、シリコン基板である。増幅機能部は、基板の第1面に形成されている。増幅機能部は、所定の周波数帯域の受信信号を増幅する機能を有する機能部である。ローノイズアンプ14は、例えば、基板の第1面が実装基板2の第1主面21側となるように実装基板2の第1主面21にフリップチップ実装されている。実装基板2の厚さ方向D1からの平面視で、ローノイズアンプ14の外周形状は、四角形状である。
【0069】
(4.5)コントローラ
コントローラ20は、例えば、基板と回路部とを備える1チップのICである。基板は、互いに対向する第1面及び第2面を有する。基板は、例えば、シリコン基板である。回路部は、信号処理回路92からの制御信号に応じてパワーアンプ11を制御する制御回路を含む。コントローラ20は、例えば、基板の第1面が実装基板2の第1主面21側となるように実装基板2の第1主面21にフリップチップ実装されている。実装基板2の厚さ方向D1からの平面視で、コントローラ20の外周形状は、四角形状である。
【0070】
(5)通信装置
通信装置9は、
図5に示すように、高周波モジュール1と、アンテナ91と、信号処理回路92と、を備える。
【0071】
(5.1)アンテナ
アンテナ91は、高周波モジュール1のアンテナ端子101に接続されている。アンテナ91は、高周波モジュール1から出力された送信信号を電波にて放射する送信機能と、受信信号を電波として外部から受信して高周波モジュール1へ出力する受信機能と、を有する。
【0072】
(5.2)信号処理回路
信号処理回路92は、RF信号処理回路93と、ベースバンド信号処理回路94と、を含む。信号処理回路92は、高周波モジュール1を通る信号を処理する。より詳細には、信号処理回路92は、送信信号及び受信信号を処理する。
【0073】
RF信号処理回路93は、例えば、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)である。RF信号処理回路93は、高周波信号に対する信号処理を行う。
【0074】
RF信号処理回路93は、ベースバンド信号処理回路94から出力された高周波信号に対してアップコンバート等の信号処理を行い、信号処理が行われた高周波信号を高周波モジュール1に出力する。具体的には、RF信号処理回路93は、ベースバンド信号処理回路94から出力された送信信号に対してアップコンバート等の信号処理を行い、信号処理が行われた送信信号を高周波モジュール1の送信経路T1に出力する。
【0075】
RF信号処理回路93は、高周波モジュール1から出力された高周波信号に対してダウンコンバート等の信号処理を行い、信号処理が行われた高周波信号をベースバンド信号処理回路94に出力する。具体的には、RF信号処理回路93は、高周波モジュール1の受信経路R1から出力された受信信号に対して信号処理を行い、信号処理が行われた受信信号をベースバンド信号処理回路94に出力する。
【0076】
ベースバンド信号処理回路94は、例えば、BBIC(Baseband Integrated Circuit)である。ベースバンド信号処理回路94は、信号処理回路92の外部からの送信信号に対する所定の信号処理を行う。ベースバンド信号処理回路94で処理された受信信号は、例えば、画像信号として画像表示のための画像信号として使用され、又は、通話のための音声信号として使用される。
【0077】
また、RF信号処理回路93は、高周波信号(送信信号、受信信号)の送受に基づいて、高周波モジュール1が有するスイッチ13の接続を制御する制御部としての機能も有する。具体的には、RF信号処理回路93は、制御信号(図示せず)によって、高周波モジュール1のスイッチ13の接続を切り替える。なお、制御部は、RF信号処理回路93の外部に設けられていてもよく、例えば、高周波モジュール1又はベースバンド信号処理回路94に設けられていてもよい。
【0078】
(6)第1電子部品の詳細
以下、第1電子部品3の詳細について、図面を参照して説明する。
【0079】
実施形態1に係る高周波モジュール1は、上述したように、複数(図示例では3つ)の第1電子部品3を備える。上述したように、複数の第1電子部品3は複数の送信フィルタ121~123である。複数の送信フィルタ121~123は、発熱量が大きい素子である。そのため、
図1及び
図2に示すように、複数の第1電子部品3の各々における実装基板2側とは反対側の主面31を金属電極層83に接触させることで、複数の送信フィルタ121~123の放熱性能を向上させている。
【0080】
また、実施形態1に係る高周波モジュール1は、上述したように、複数(図示例では2つ)の第2電子部品4と、第3電子部品5と、を更に備える。上述したように、複数の第2電子部品4は複数の受信フィルタ131,132であり、第3電子部品5はパワーアンプ11である。パワーアンプ11は発熱量が大きい素子であるため、第3電子部品5における実装基板2側とは反対側の主面51を金属電極層83に接触させるのが好ましいが、
図1の例では、第3電子部品5の主面51を金属電極層83に接触させていない。
【0081】
図1~
図3の例では、複数の第1電子部品3のうち送信フィルタ123に対応する第1電子部品3と、複数の第2電子部品4と、第3電子部品5と、が第1方向D1に直交(交差)する第2方向D2に沿って並んでいる。第2方向D2は、例えば、実装基板2の長手方向に沿った方向である。すなわち、複数の第1電子部品3のうち送信フィルタ123に対応する第1電子部品3は、
図3に示すように、実装基板2の厚さ方向D1からの平面視で、第2電子部品4と第3電子部品5との間に位置している。また、複数の第1電子部品3は、
図2及び
図3に示すように、第1方向D1及び第2方向D2の両方に直交する第3方向D3に沿って並んでいる。第3方向D3は、例えば、実装基板2の短手方向(幅方向)に沿った方向である。
【0082】
第1電子部品3は、
図1~
図3に示すように、傾斜面341を有する。傾斜面341は、実装基板2の厚さ方向D1からの平面視における外縁30を含む外周部分34に形成されている。言い換えると、傾斜面341は、第1電子部品3の主面31と外周面33とが接する角部に形成されている。実施形態1に係る高周波モジュール1では、傾斜面341は、実装基板2の厚さ方向D1からの平面視で、全周にわたって形成されている。傾斜面341は、第1電子部品3の外縁30に近づくにつれて金属電極層83から離れる向きに傾斜している。これにより、第1電子部品3の外縁30は、実装基板2の厚さ方向D1からの平面視で、全周にわたって金属電極層83から離れている。つまり、第1電子部品3の外縁30は、実装基板2の厚さ方向D1からの平面視で、全周にわたって金属電極層83に接していない。
【0083】
ここで、第1電子部品3における実装基板2側とは反対側の主面31の全体が金属電極層83に接している場合を想定する。この場合において、例えば、実装基板2の厚さ方向D1に沿った外力が高周波モジュール1に加わることで、第1電子部品3の外周面33と第1樹脂層81との間で剥離が生じる可能性がある。そして、この剥離が実装基板2の厚さ方向D1に沿って大きくなると、金属電極層83に亀裂が生じる可能性がある。その結果、金属電極層83による第1電子部品3の放熱性能が劣化(低下)すると共に、放熱性能の劣化に伴って高周波モジュール1の特性が劣化(低下)する可能性がある。
【0084】
これに対して、実施形態1に係る高周波モジュール1では、上述したように、第1電子部品3の外周部分34に傾斜面341が形成されている。そして、
図1及び
図2に示すように、第1樹脂層81の一部が第1電子部品3の外周部分34に入り込んでいる。そのため、実装基板2の厚さ方向D1に沿った外力が高周波モジュール1に加わった場合でも、この外力を傾斜面341で受けることができる。これにより、上記外力によって第1電子部品3の外周面33と第1樹脂層81との間で剥離が生じた場合でも、金属電極層83に亀裂が生じることを抑制することが可能となる。その結果、金属電極層83による第1電子部品3の放熱性能の劣化を抑制することが可能になると共に、放熱性能の劣化に伴う高周波モジュール1の特性の劣化を抑制することが可能になる。
【0085】
ところで、実施形態1に係る高周波モジュール1では、上述したように、第1電子部品3は、実装基板2の厚さ方向D1からの平面視で、第2電子部品4と第3電子部品5との間に位置している。つまり、実施形態1に係る高周波モジュール1では、複数の第1電子部品3は、
図3に示すように、実装基板2の厚さ方向D1からの平面視で、中央領域A1に位置している。本開示において、「中央領域」とは、上述したように、実装基板2の厚さ方向D1からの平面視で、2つの電子部品(実施形態1では、第2電子部品4と第3電子部品5)の間の領域をいう。
【0086】
ここで、実施形態1に係る高周波モジュール1は、上述したように、外部基板(図示せず)に電気的に接続可能である。例えば、実装基板2の熱膨張係数と外部基板の熱膨張係数とが異なっている場合、実装基板2は、第1電子部品3等からの発熱によって、実装基板2の厚さ方向D1に沿って変形する。この際、実装基板2は、複数の第1電子部品3が配置されている中央領域A1において最も変形量が大きくなる。したがって、実装基板2の中央領域A1に配置されている複数の第1電子部品3の各々の外縁30を、全周にわたって金属電極層83から離すことで、金属電極層83に亀裂が生じることをより効果的に抑制することが可能となる。
【0087】
また、実施形態1に係る高周波モジュール1では、
図1に示すように、第2電子部品4における実装基板2側とは反対側の主面41が金属電極層83から離れている。つまり、第2電子部品4における実装基板2側とは反対側の主面41は金属電極層83に接していない。これにより、第1電子部品3から金属電極層83に伝達される熱が第2電子部品4に伝達されるのを抑制することが可能となる。
【0088】
(7)高周波モジュールの製造方法
次に、実施形態1に係る高周波モジュール1の製造方法について簡単に説明する。
【0089】
高周波モジュール1の製造方法は、例えば、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第4工程と、第5工程と、第6工程と、第7工程と、第8工程と、を備える。
【0090】
第1工程は、複数の電子部品(第1電子部品3、第2電子部品4、第3電子部品5及び第4電子部品6)を実装基板2の第1主面21に配置する工程である。第2工程は、複数の電子部品を覆い第1樹脂層81の元になる樹脂材料層を実装基板2の第1主面21側に形成する工程である。第3工程は、樹脂材料層における実装基板2側とは反対側の主面から樹脂材料層を研削して第1電子部品3の表面(上面)を露出させた後、樹脂材料層と第1電子部品3とを研削することで、第1樹脂層81を形成すると共に第1電子部品3を薄くする工程である。第3工程では、第1電子部品3の傾斜面341が残るように、樹脂材料層と第1電子部品3とを研削する。
【0091】
第4工程は、第5電子部品7及び複数の接続端子8を実装基板2の第2主面22に配置する工程である。第5工程は、第5電子部品7及び複数の接続端子8を覆い第2樹脂層82の元になる樹脂材料層を実装基板2の第2主面22側に形成する工程である。第6工程は、樹脂材料層における実装基板2側とは反対側の主面から樹脂材料層を研削することで、第2樹脂層82を形成すると共に複数の接続端子8の先端面を露出させる工程である。第7工程は、第1樹脂層81における実装基板2側とは反対側の主面と第1電子部品3の主面31とに接する金属電極層83を、例えば、スパッタ法、蒸着法又は印刷法によって形成する工程である。第8工程は、複数の外部接続電極10を複数の接続端子8に接合する工程である。
【0092】
(8)効果
実施形態1に係る高周波モジュール1では、実装基板2の厚さ方向D1からの平面視における第1電子部品(電子部品)3の外縁30の少なくとも一部が金属電極層83から離れている。これにより、第1電子部品3の外周面33と第1樹脂層81との間に剥離が生じた場合でも、金属電極層83に亀裂が生じることを抑制することが可能となる。
【0093】
実施形態1に係る高周波モジュール1では、第1電子部品3の外縁30は、全周にわたって金属電極層83から離れている。これにより、第1電子部品3の全周にわたって、金属電極層83に亀裂が生じることを抑制することが可能となる。
【0094】
実施形態1に係る高周波モジュール1では、第2電子部品4における実装基板2側とは反対側の主面41が金属電極層83から離れている。これにより、第1電子部品3から金属電極層83に伝達された熱が第2電子部品4に伝達されるのを抑制することが可能となる。
【0095】
実施形態1に係る高周波モジュール1では、複数の第1電子部品3は、実装基板2の中央領域A1に配置されている。これにより、実装基板2の熱膨張係数と外部基板(図示せず)の熱膨張係数とが異なっている場合でも、金属電極層83に亀裂が生じることをより効果的に抑制することが可能となる。
【0096】
(9)変形例
以下、実施形態1に係る高周波モジュール1の変形例について、図面を参照して説明する。
【0097】
(9.1)変形例1
実施形態1の変形例1に係る高周波モジュール1aについて、
図6を参照して説明する。変形例1に係る高周波モジュール1aに関し、実施形態1に係る高周波モジュール1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。なお、高周波モジュール1aの回路構成については、
図5を参照して説明した実施形態1に係る高周波モジュール1の回路構成と同様である。
【0098】
変形例1に係る高周波モジュール1aは、複数の外部接続端子10がボールバンプである点で、実施形態1に係る高周波モジュール1と相違する。また、変形例1に係る高周波モジュール1aは、実施形態1に係る高周波モジュール1の第2樹脂層82を備えていない点で、実施形態1に係る高周波モジュール1と相違する。変形例1に係る高周波モジュール1aは、実装基板2の第2主面22に実装されている第5電子部品7と実装基板2の第2主面22との間の隙間に設けられたアンダーフィル部を備えていてもよい。
【0099】
複数の外部接続端子10の各々を構成するボールバンプの材料は、例えば、金、銅、はんだ等である。
【0100】
複数の外部接続端子10は、ボールバンプにより構成された外部接続端子10と、角柱状に形成された外部接続端子10と、が混在してもよい。
【0101】
(9.2)変形例2
実施形態1の変形例2に係る高周波モジュール1bについて、
図7を参照して説明する。変形例2に係る高周波モジュール1bに関し、実施形態1に係る高周波モジュール1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。なお、高周波モジュール1bの回路構成については、
図5を参照して説明した実施形態1に係る高周波モジュール1の回路構成と同様である。
【0102】
変形例2に係る高周波モジュール1bは、第1電子部品3の外縁30のうち第1部分301のみが金属電極層83から離れている点で、実施形態1に係る高周波モジュール1と相違する。
【0103】
変形例2に係る高周波モジュール1bでは、
図7に示すように、第1電子部品3の外縁30のうち第1部分301は、金属電極層83から離れている。つまり、第1電子部品3の外縁30のうち第1部分301は、金属電極層83に接していない。第1部分301は、第1電子部品3の外縁30のうち、第2方向D2における第2電子部品4側の部分であって、第3方向D3に沿った部分である。言い換えると、第1部分301は、第1電子部品3の外縁30のうち第2電子部品4側の部分である。また、変形例2に係る高周波モジュール1bでは、
図7に示すように、第1電子部品3の外縁30のうち第2部分302は、金属電極層83に接している。第2部分302は、第1電子部品3の外縁のうち、第2方向D2における第2電子部品4側とは反対側の部分であって、第3方向D3に沿った部分である。言い換えると、第2部分302は、第1電子部品3の外縁30のうち第2電子部品4側とは反対側の部分である。なお、第1電子部品3の外縁のうち第2方向D2に沿った第3部分については、金属電極層83に接していてもよいし、離れていてもよい。
【0104】
ここで、第1電子部品3を構成する基板は、上述したように、シリコン基板である。したがって、第1電子部品3の熱伝導率は第1樹脂層81の熱伝導率よりも高い。
図7の例では、第1電子部品3の外縁30のうち第1部分301には、第1樹脂層81の一部が入り込んでいるため、第1電子部品3で発生した熱は、第2方向D2において、第2電子部品4側よりも第3電子部品5側により多く伝達される。これにより、第1電子部品3で発生した熱の第2電子部品4への影響を低減することが可能となる。
【0105】
(実施形態2)
(1)高周波モジュール
実施形態2に係る高周波モジュール1cの構成について、図面を参照して説明する。なお、実施形態1に係る高周波モジュール1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0106】
高周波モジュール1cは、
図10に示すように、例えば、通信装置9cに用いられる。通信装置9cは、例えば、スマートフォンのような携帯電話である。なお、通信装置9cは、携帯電話であることに限定されず、例えば、スマートウォッチのようなウェアラブル端末等であってもよい。高周波モジュール1cは、例えば、4G(第4世代移動通信)規格、5G(第5世代移動通信)規格等に対応可能なモジュールである。4G規格は、例えば、3GPP LTE規格である。5G規格は、例えば、5G NRである。高周波モジュール1cは、例えば、キャリアアグリゲーション及びデュアルコネクティビティに対応可能なモジュールである。
【0107】
通信装置9cは、1つの通信バンドの通信を行う。より詳細には、通信装置9cは、1つの通信バンドの送信信号の送信、1つの通信バンドの受信信号の受信を行う。
【0108】
1つの通信バンドの送信信号及び受信信号は、TDDの信号である。なお、1つの通信バンドの送信信号及び受信信号は、TDDの信号に限定されず、FDDの信号であってもよい。
【0109】
(2)高周波モジュールの回路構成
以下、実施形態2に係る高周波モジュール1cの回路構成について、
図10を参照して説明する。なお、実施形態1に係る高周波モジュール1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0110】
実施形態2に係る高周波モジュール1cは、
図10に示すように、パワーアンプ11と、フィルタ12と、スイッチ13と、ローノイズアンプ14と、出力整合回路15と、入力整合回路16と、を備える。また、高周波モジュール1cは、複数(図示例では4つ)の外部接続端子10を更に備える。
【0111】
(2.1)パワーアンプ
図10に示すパワーアンプ11は、送信信号を増幅する増幅器である。パワーアンプ11は、アンテナ端子101と信号入力端子102とを結ぶ送信経路T1のうち信号入力端子102とフィルタ12との間に設けられている。パワーアンプ11は、入力端子(図示せず)及び出力端子(図示せず)を有する。パワーアンプ11の入力端子は、信号入力端子102を介して外部回路(例えば、信号処理回路92)に接続される。パワーアンプ11の出力端子は、フィルタ12に接続されている。パワーアンプ11は、例えば、コントローラ20によって制御される。なお、パワーアンプ11は、直接又は間接的に、フィルタ12に接続されていればよい。
図10の例では、パワーアンプ11は、出力整合回路15を介してフィルタ12に接続されている。
【0112】
(2.2)フィルタ
図10に示すフィルタ12は、1つの通信バンドの送信信号及び1つの通信バンドの受信信号を通過させる送受信フィルタである。フィルタ12は、スイッチ13とアンテナ端子101との間に設けられている。フィルタ12は、パワーアンプ11で増幅された高周波信号のうち、対応する通信バンドの送信帯域の送信信号を通過させる。また、フィルタ12は、アンテナ端子101から入力された高周波信号のうち、対応する通信バンドの受信帯域の受信信号を通過させる。
【0113】
(2.3)ローノイズアンプ
図10に示すローノイズアンプ14は、受信信号を低雑音で増幅する増幅器である。ローノイズアンプ14は、アンテナ端子101と信号出力端子103とを結ぶ受信経路R1のうちフィルタ12と信号出力端子103との間に設けられている。ローノイズアンプ14は、入力端子(図示せず)及び出力端子(図示せず)を有する。ローノイズアンプ14の入力端子は、入力整合回路16に接続されている。ローノイズアンプ14の出力端子は、信号出力端子103を介して外部回路(例えば、信号処理回路92)に接続される。
【0114】
(2.4)出力整合回路
出力整合回路15は、
図10に示すように、送信経路T1のうちパワーアンプ11とフィルタ12との間に設けられている。出力整合回路15は、パワーアンプ11とフィルタ12とのインピーダンス整合をとるための回路である。なお、出力整合回路15の構成については、実施形態1に係る高周波モジュール1の出力整合回路15と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0115】
(2.5)入力整合回路
入力整合回路16は、
図10に示すように、受信経路R1のうちフィルタ12とローノイズアンプ14との間に設けられている。入力整合回路16は、フィルタ12とローノイズアンプ14とのインピーダンス整合をとるための回路である。なお、入力整合回路16の構成については、実施形態1に係る高周波モジュール1の入力整合回路16と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0116】
(2.6)スイッチ
図10に示すスイッチ13は、フィルタ12に接続させる信号経路(送信経路T1、受信経路R1)を切り替えるためのスイッチである。すなわち、スイッチ13は、フィルタ12に接続される信号経路を、送信経路T1又は受信経路R1に切り替える。スイッチ13は、共通端子134と、複数(図示例では2つ)の選択端子135,136と、を有する。共通端子134は、フィルタ12に接続されている。複数の選択端子135,136のうち一方の選択端子135は、出力整合回路15を介してパワーアンプ11の出力端子に接続されている。複数の選択端子135,136のうち他方の選択端子136は、入力整合回路16を介してローノイズアンプ14の入力端子に接続されている。
【0117】
(2.7)外部接続端子
複数の外部接続端子10は、
図10に示すように、外部回路(例えば、信号処理回路92)と電気的に接続させるための端子である。複数の外部接続端子10は、アンテナ端子101と、信号入力端子102と、信号出力端子103と、制御端子104と、グランド端子と、を含む。
【0118】
アンテナ端子101は、アンテナ91に接続される。高周波モジュール1内において、アンテナ端子101は、フィルタ12に接続されている。
【0119】
信号入力端子102は、外部回路(例えば、信号処理回路92)からの送信信号を高周波モジュール1に入力するための端子である。高周波モジュール1内において、信号入力端子102は、パワーアンプ11に接続されている。
【0120】
信号出力端子103は、ローノイズアンプ14からの受信信号を外部回路(例えば、信号処理回路92)へ出力するための端子である。高周波モジュール1内において、信号出力端子103は、ローノイズアンプ14に接続されている。
【0121】
制御端子104は、外部回路(例えば、信号処理回路92)からの制御信号を高周波モジュール1に入力するための端子である。高周波モジュール1内において、制御端子104は、コントローラ20に接続されている。
【0122】
(3)高周波モジュールの構造
以下、実施形態2に係る高周波モジュール1cの構造について、図面を参照して説明する。なお、実施形態1に係る高周波モジュール1と同様の構造については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0123】
高周波モジュール1cは、
図8及び
図9に示すように、実装基板2と、複数(図示例では2つ)の第1電子部品3と、複数(図示例では3つ)の第4電子部品6と、複数の外部接続端子10と、を備える。また、高周波モジュール1cは、第1樹脂層81と、金属電極層83と、を更に備える。実施形態2に係る高周波モジュール1cでは、実装基板2は、第1主面21のみに電子部品が実装された片面実装基板である。
【0124】
(3.1)第1電子部品
複数の第1電子部品3は、
図8に示すように、実装基板2の第1主面21に配置されている。
図8の例では、各第1電子部品3は、実装基板2の第1主面21に実装されている。なお、各第1電子部品3において、第1電子部品3の一部が実装基板2の第1主面21に実装されており、第1電子部品3の残りが実装基板2に内装されていてもよい。要するに、各第1電子部品3は、実装基板2において第2主面22よりも第1主面21側に配置されており、かつ、第1主面21に実装されている部分を少なくとも有する。複数の第1電子部品3の各々は、例えば、パワーアンプ11又はフィルタ12である。
【0125】
(3.2)第4電子部品
複数の第4電子部品6は、
図9に示すように、実装基板2の第1主面21に配置されている。
図9の例では、各第4電子部品6は、例えば、実装基板2の第1主面21に実装されている。なお、各第4電子部品6の一部が実装基板2の第1主面21に配置されており、各第4電子部品6の残りが実装基板2に内装されていてもよい。要するに、第4電子部品6は、実装基板2において第2主面22よりも第1主面21側に位置しており、かつ、第1主面21に実装されている部分を少なくとも有する。複数の第4電子部品6の各々は、例えば、スイッチ13、ローノイズアンプ14又はコントローラ20である。
【0126】
(3.3)第1樹脂層
第1樹脂層81は、
図8に示すように、実装基板2の第1主面21に配置されている。第1樹脂層81は、複数の第1電子部品3及び複数の第4電子部品6を覆っている。ここで、第1樹脂層81は、複数の第1電子部品3の外周面33と、複数の第4電子部品6の外周面と、を覆っている。また、第1樹脂層81は、複数の第4電子部品6の各々における実装基板2側とは反対側の主面を覆っている。第1樹脂層81は、樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を含む。第1樹脂層81は、樹脂の他にフィラーを含んでいてもよい。
【0127】
(3.4)金属電極層
金属電極層83は、
図8に示すように、第1樹脂層81を覆っている。金属電極層83は、導電性を有する。高周波モジュール1cでは、金属電極層83は、高周波モジュール1cの内外の電磁シールドを目的として設けられているシールド層である。金属電極層83は、複数の金属層を積層した多層構造を有しているが、これに限らず、1つの金属層であってもよい。金属層は、1又は複数種の金属を含む。金属電極層83は、複数の金属層を積層した多層構造を有する場合、例えば、第1ステンレス鋼層と、第1ステンレス鋼層上のCu層と、Cu層上の第2ステンレス鋼層と、を含む。第1ステンレス鋼層及び第2ステンレス鋼層の各々の材料は、FeとNiとCrとを含む合金である。また、金属電極層83は、1つの金属層の場合、例えば、Cu層である。金属電極層83は、第1樹脂層81における実装基板2側とは反対側の主面と、第1樹脂層81の外周面と、実装基板2の外周面と、各第1電子部品3における実装基板2側とは反対側の主面31と、を覆っている。金属電極層83は、実装基板2の有するグランド層の外周面の少なくとも一部と接触している。これにより、金属電極層83の電位をグランド層の電位と同じにすることができる。
【0128】
なお、高周波モジュール1cの各構成要素の詳細構造については、実施形態1に係る高周波モジュール1と同様であり、ここでは説明を省略する。また、通信装置9cの構成についても、実施形態1に係る通信装置9と同様であり、ここでは説明を省略する。また、高周波モジュール1cの製造方法についても、実施形態1に係る高周波モジュール1と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0129】
(4)第1電子部品の詳細
以下、第1電子部品3の詳細について、図面を参照して説明する。
【0130】
実施形態1に係る高周波モジュール1は、上述したように、複数(図示例では2つ)の第1電子部品3を備える。上述したように、複数の第1電子部品3の各々は、パワーアンプ11又はフィルタ12である。パワーアンプ11及びフィルタ12は、発熱量が大きい素子である。そのため、
図8に示すように、複数の第1電子部品3の各々における実装基板2側とは反対側の主面31を金属電極層83に接触させることで、パワーアンプ11及びフィルタ12の放熱性能を向上させている。パワーアンプ11とフィルタ12とは、
図8及び
図9に示すように、第1方向D1に直交(交差)する第2方向D2に沿って並んでいる。第2方向D2は、実装基板2の長手方向に沿った方向である。
【0131】
ここで、パワーアンプ11を構成する基板がガリウム砒素基板である場合、第1電子部品3における実装基板2側とは反対側の表面を切削することが困難である。そのため、パワーアンプ11を構成する基板は、シリコン基板、又は、シリコン基板とガリウム砒素基板とを貼り合わせた基板であることが好ましい。
【0132】
第1電子部品3は、
図8及び
図9に示すように、傾斜面341を有する。傾斜面341は、実装基板2の厚さ方向D1からの平面視における外縁30を含む外周部分34に形成されている。実施形態2に係る高周波モジュール1cでは、傾斜面341は、実装基板2の厚さ方向D1からの平面視で、全周にわたって形成されている。これにより、第1電子部品3の外縁30は、実装基板2の厚さ方向D1からの平面視で、全周にわたって金属電極層83から離れている。つまり、第1電子部品3の外縁30は、実装基板2の厚さ方向D1からの平面視で、全周にわたって金属電極層83に接していない。そして、
図8の例では、第1樹脂層81の一部が第1電子部品3の外周部分34に入り込んでいる。
【0133】
実施形態2に係る高周波モジュール1cでは、上述したように、第1電子部品3の外縁30が金属電極層83から離れており、かつ、第1電子部品3の外周部分34に第1樹脂層81の一部が入り込んでいる。これにより、実施形態1に係る高周波モジュール1と同様、第1電子部品3の外周面33と第1樹脂層81との間で剥離が生じた場合でも、金属電極層83に亀裂が生じることを抑制することが可能となる。その結果、金属電極層83による第1電子部品3の放熱性能の劣化を抑制することが可能になると共に、放熱性能の劣化に伴う高周波モジュール1の特性の劣化を抑制することが可能になる。
【0134】
(5)効果
実施形態2に係る高周波モジュール1cにおいても、実施形態1に係る高周波モジュール1と同様、実装基板2の厚さ方向D1からの平面視における第1電子部品(電子部品)3の外縁30の少なくとも一部が金属電極層83から離れている。これにより、第1電子部品3の外周面33と第1樹脂層81との間に剥離が生じた場合でも、金属電極層83に亀裂が生じることを抑制することが可能となる。
【0135】
実施形態2に係る高周波モジュール1cにおいても、実施形態1に係る高周波モジュール1と同様、第1電子部品3の外縁30は、全周にわたって金属電極層83から離れている。これにより、第1電子部品3の全周にわたって、金属電極層83に亀裂が生じることを抑制することが可能となる。
【0136】
(6)変形例
実施形態1の変形例に係る高周波モジュール1dについて、
図11を参照して説明する。変形例に係る高周波モジュール1dに関し、実施形態2に係る高周波モジュール1cと同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0137】
変形例に係る高周波モジュール1dでは、第1電子部品3が、金属部材84を介して金属電極層83に接している点で、実施形態2に係る高周波モジュール1cと相違する。すなわち、変形例に係る高周波モジュール1dでは、第1電子部品3における実装基板2側とは反対側の主面31は、金属部材84を介して、間接的に金属電極層83に接続されている。
【0138】
金属部材84は、導電性を有する。金属部材84は、例えば、第1電子部品3の主面31と金属電極層83とを接着させるための接着層である。実装基板2の厚さ方向D1からの平面視で、金属部材84の外周形状は、四角形状である。また、実装基板2の厚さ方向D1からの平面視で、金属部材84の大きさと第1電子部品3の主面31の大きさとが等しい。
【0139】
変形例に係る高周波モジュール1dでは、金属部材84は、電子部品3における実装基板2側とは反対側の主面31に配置されている。そして、変形例に係る高周波モジュール1dでは、金属部材84における実装基板2側とは反対側の主面841が金属電極層83に接している。ここで、変形例に係る高周波モジュール1dでは、第1樹脂層81は、複数の第1電子部品3の外周面33と、複数の第4電子部品6の外周面と、複数の金属部材84の外周面843と、を覆っている。また、第1樹脂層81は、複数の第4電子部品6の各々における実装基板2側とは反対側の主面を覆っている。
【0140】
変形例に係る高周波モジュール1dでは、
図11に示すように、実施形態2に係る高周波モジュール1cと同様、実装基板2の厚さ方向D1からの平面視における第1電子部品3の外縁30は、全周にわたって金属電極層83から離れている。これにより、変形例に係る高周波モジュール1dにおいても、実施形態2に係る高周波モジュール1cと同様、金属電極層83に亀裂が生じることを抑制することが可能となる。その結果、金属電極層83による第1電子部品3の放熱性能の劣化を抑制することが可能になると共に、放熱性能の劣化に伴う高周波モジュール1dの特性の劣化を抑制することが可能になる。
【0141】
(その他の変形例)
上述の実施形態1,2等は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態1,2等は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能であり、互いに異なる実施形態の互いに異なる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0142】
高周波モジュール1、1a、1b、1c、1dでは、金属電極層83は、第1樹脂層81における実装基板2側とは反対側の主面の全部を覆っている場合だけに限らず、第1樹脂層81における実装基板2側とは反対側の主面の少なくとも一部を覆っていてもよい。
【0143】
また、実施形態1に係る複数の送信フィルタ121~123及び複数の受信フィルタ131~133、並びに、実施形態2に係るフィルタ12の各々は、表面弾性波フィルタに限らず、例えば、BAWフィルタであってもよい。BAWフィルタにおける共振子は、例えば、FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)又はSMR(Solidly Mounted Resonator)である。BAWフィルタは、基板を有している。基板は、例えば、シリコン基板である。
【0144】
また、実施形態1に係る複数の送信フィルタ121~123及び複数の受信フィルタ131~133、並びに、実施形態2に係るフィルタ12の各々は、ラダー型フィルタに限らず、例えば、縦結合共振子型弾性表面波フィルタでもよい。
【0145】
また、上述の弾性波フィルタは、表面弾性波又はバルク弾性波を利用する弾性波フィルタであるが、これに限らず、例えば、弾性境界波、板波等を利用する弾性波フィルタであってもよい。
【0146】
また、実施形態1に係る通信装置9は、高周波モジュール1の代わりに、高周波モジュール1a、1bのいずれかを備えてもよい。また、実施形態2に係る通信装置9cは、高周波モジュール1cの代わりに、高周波モジュール1dを備えてもよい。
【0147】
また、高周波モジュール1、1a、1bでは、第3電子部品5(パワーアンプ11)における実装基板2側とは反対側の主面51が金属電極層83から離れているが、上述したように、第3電子部品5は発熱量の大きい素子であるため、第3電子部品5における実装基板2側とは反対側の主面51の少なくとも一部が金属電極層83に接していてもよい。この場合においても、実装基板2の厚さ方向D1からの平面視における第3電子部品5の外縁の少なくとも一部が金属電極層83から離れていることが好ましい。
【0148】
また、高周波モジュール1、1a、1bでは、第1電子部品3は送信フィルタ121~123であり、高周波モジュール1c、1dでは、第1電子部品3はパワーアンプ11及びフィルタ12であるが、第1電子部品3は、送信フィルタ121~123、パワーアンプ11、フィルタ12に限らず、例えば、ローノイズアンプ14であってもよい。
【0149】
また、高周波モジュール1、1a、1bでは、第2電子部品4は受信フィルタ131~133であるが、第2電子部品4は、受信フィルタ131~133に限らず、例えば、ローノイズアンプ14であってもよい。
【0150】
また、高周波モジュール1、1a、1b、1c、1dでは、第1電子部品3の傾斜面341が平面であるが、傾斜面341は、平面に限らず、例えば、実装基板2側に凸となる曲面であってもよいし、実装基板2側とは反対側に凸となる曲面であってもよい。さらに、微細な凹凸又は凹部又は凸部が傾斜面341に形成されていてもよい。
【0151】
本明細書において、「要素は、基板の第1主面に配置されている」は、要素が基板の第1主面上に直接実装されている場合だけでなく、基板で隔された第1主面側の空間及び第2主面側の空間のうち、第1主面側の空間に要素が配置されている場合を含む。つまり、「要素は、基板の第1主面に配置されている」は、要素が基板の第1主面上に、他の回路素子又は電極等を介して実装されている場合を含む。要素は、例えば、第1電子部品3、第2電子部品4、第3電子部品5、第4電子部品6であるが、第1電子部品3、第2電子部品4、第3電子部品5、第4電子部品6に限定されない。基板は、実装基板2である。基板が実装基板2である場合、第1主面は第1主面21であり、第2主面は第2主面22である。
【0152】
本明細書において、「要素は、基板の第2主面に配置されている」は、要素が基板の第2主面上に直接実装されている場合だけでなく、基板で隔された第1主面側の空間及び第2主面側の空間のうち、第2主面側の空間に要素が配置されている場合を含む。つまり、「要素は、基板の第2主面に配置されている」は、要素が基板の第2主面上に、他の回路素子又は電極等を介して実装されている場合を含む。要素は、例えば、第5電子部品7、接続端子8であるが、第5電子部品7、接続端子8に限定されない。基板は、実装基板2である。基板が実装基板2である場合、第1主面は第1主面21であり、第2主面は第2主面22である。
【0153】
本明細書において、「基板の厚さ方向からの平面視において、第1要素と第2要素との間に第3要素が配置されている」とは、基板の厚さ方向からの平面視において第1要素内の任意の点と第2要素内の任意の点とを結ぶ複数の線分の少なくとも1つが第3要素の領域を通ることを意味する。また、基板の厚さ方向からの平面視とは、基板及び基板に実装された電子部品を基板の主面に平行な平面に正投影して見ることを意味する。基板は、実装基板2である。
【0154】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0155】
第1の態様に係る高周波モジュール(1;1a;1b;1c;1d)は、実装基板(2)と、電子部品(3)と、樹脂層(81)と、金属電極層(83)と、を備える。実装基板(2)は、互いに対向する第1主面(21)及び第2主面(22)を有する。電子部品(3)は、実装基板(2)の第1主面(21)に配置されている。樹脂層(81)は、実装基板(2)の第1主面(21)に設けられており、電子部品(3)の外周面(33)の少なくとも一部を覆っている。金属電極層(83)は、少なくとも樹脂層(81)を覆っている。電子部品(3)における実装基板(2)側とは反対側の主面(31)の少なくとも一部は、金属電極層(83)に接している。実装基板(2)の厚さ方向(D1)からの平面視における電子部品(3)の外縁(30)の少なくとも一部は、金属電極層(83)から離れている。
【0156】
この態様によれば、金属電極層(83)に亀裂が生じることを抑制することが可能となる。
【0157】
第2の態様に係る高周波モジュール(1d)は、実装基板(2)と、電子部品(3)と、金属部材(84)と、樹脂層(81)と、金属電極層(83)と、を備える。実装基板(2)は、互いに対向する第1主面(21)及び第2主面(22)を有する。電子部品(3)は、実装基板(2)の第1主面(21)に配置されている。金属部材(84)は、電子部品(3)における実装基板(2)側とは反対側の主面(31)に配置されている。樹脂層(81)は、実装基板(2)の第1主面(21)に配置されており、電子部品(3)の外周面(33)の少なくとも一部及び金属部材(84)の外周面(843)の少なくとも一部を覆っている。金属電極層(83)は、少なくとも樹脂層(81)を覆っている。金属部材(84)における実装基板(2)側とは反対側の主面(841)の少なくとも一部は、金属電極層(83)に接している。実装基板(2)の厚さ方向(D1)からの平面視における電子部品(3)の外縁(30)の少なくとも一部は、金属電極層(83)から離れている。
【0158】
この態様によれば、金属電極層(83)に亀裂が生じることを抑制することが可能となる。
【0159】
第3の態様に係る高周波モジュール(1;1a;1b;1c;1d)では、第1又は第2の態様において、電子部品(3)の外縁(30)は、全周にわたって金属電極層(83)から離れている。
【0160】
この態様によれば、電子部品(3)の全周にわたって、金属電極層(83)に亀裂が生じることを抑制することが可能となる。
【0161】
第4の態様に係る高周波モジュール(1;1a;1b)は、第1又は第2の態様において、第2電子部品(4)を更に備える。第2電子部品(4)は、実装基板(2)の第1主面(21)に配置されており、電子部品(3)としての第1電子部品(3)とは異なる。第1電子部品(3)の熱伝導率は、樹脂層(81)の熱伝導率よりも高い。第2方向(D2)において、外縁(30)のうち第2電子部品(4)側の第1部分(301)は、金属電極層(83)から離れており、外縁(30)のうち第2電子部品(4)側とは反対側の第2部分(302)は、金属電極層(83)に接している。第2方向(D2)は、実装基板(2)の厚さ方向(D1)である第1方向(D1)に交差し、かつ、第1電子部品(3)と第2電子部品(4)とが並ぶ方向である。
【0162】
この態様によれば、第1電子部品(3)で発生する熱の第2電子部品(4)への影響を低減することが可能となる。
【0163】
第5の態様に係る高周波モジュール(1;1a;1b)では、第4の態様において、第2電子部品(4)における実装基板(2)側とは反対側の主面(41)は、金属電極層(83)から離れている。
【0164】
この態様によれば、第1電子部品(3)から金属電極層(83)に伝達された熱が第2電子部品(4)に伝わるのを抑制することが可能となる。
【0165】
第6の態様に係る高周波モジュール(1;1a;1b)では、第4又は第5の態様において、第2電子部品(4)は、受信信号が通る信号経路(R1)に設けられている受信フィルタ(131~132)又はローノイズアンプ(14)である。
【0166】
この態様によれば、第1電子部品(3)と第2電子部品(4)との間のアイソレーションを向上させることが可能となる。
【0167】
第7の態様に係る高周波モジュール(1;1a;1b)は、第4~第6の態様のいずれか1つにおいて、第1電子部品(3)を複数備える。複数の第1電子部品(3)は、第1方向(D1)及び第2方向(D2)の両方に直交する第3方向(D3)に沿って並んでいる。
【0168】
第8の態様に係る高周波モジュール(1;1a;1b)は、第4~第7の態様のいずれか1つにおいて、第3電子部品(5)を更に備える。第3電子部品(5)は、実装基板(2)の第1主面(21)に配置されており、第1電子部品(3)及び第2電子部品(4)とは異なる。実装基板(2)の厚さ方向(D1)からの平面視で、第2電子部品(4)と第3電子部品(5)との間に第1電子部品(3)が位置している。
【0169】
この態様によれば、実装基板(2)の熱膨張係数と外部基板の熱膨張係数とが異なっている場合には、金属電極層(83)に亀裂が生じることをより効果的に抑制することが可能となる。
【0170】
第9の態様に係る高周波モジュール(1;1a;1b;1c;1d)では、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、電子部品(3)は、送信信号が通る信号経路(T1)に設けられている送信フィルタ(121~123)、送受信フィルタ(12)又はパワーアンプ(11)のいずれかである。
【0171】
この態様によれば、電子部品(3)の放熱性能を維持しつつ、金属電極層(83)に亀裂が生じることを抑制することが可能となる。
【0172】
第10の態様に係る高周波モジュール(1;1a;1b;1c;1d)では、第1~第9の態様のいずれか1つにおいて、電子部品(3)は、実装基板(2)の厚さ方向(D1)からの平面視における外縁(30)を含む外周部分(34)の少なくとも一部に、外縁(30)に近づくにつれて金属電極層(83)から離れる向きに傾斜する傾斜面(341)を有する。
【0173】
この態様によれば、電子部品(3)の外周部分(34)において電子部品(3)と金属電極層(83)とを接触させないようにすることが可能となる。
【0174】
第11の態様に係る通信装置(9;9c)は、第1~第10の態様のいずれか1つに係る高周波モジュール(1;1a;1b;1c;1d)と、信号処理回路(92)と、を備える。信号処理回路(92)は、高周波モジュール(1;1a;1b;1c;1d)に接続されている。
【0175】
この態様によれば、金属電極層(83)に亀裂が生じることを抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0176】
1,1a,1b,1c,1d 高周波モジュール
2 実装基板
3 第1電子部品
4 第2電子部品
5 第3電子部品
6 第4電子部品
7 第5電子部品
8 接続端子
9,9c 通信装置
10 外部接続端子
11 パワーアンプ
12 フィルタ(送受信フィルタ)
13 スイッチ
14 ローノイズアンプ
15 出力整合回路
16 入力整合回路
17 第1スイッチ
18 第2スイッチ
19 第3スイッチ
20 コントローラ
21 第1主面
22 第2主面
30 外縁
31,32 主面
33 外周面
34 外周部分
41,42 主面
43 外周面
50 ICチップ
51,52 主面
53 外周面
81 第1樹脂層
82 第2樹脂層
83 金属電極層
84 金属部材
91 アンテナ
92 信号処理回路
93 RF信号処理回路
94 ベースバンド信号処理回路
101 アンテナ端子
102 信号入力端子
103 信号出力端子
104 制御端子
121~123 送信フィルタ
131~133 受信フィルタ
134 共通端子
135,136 選択端子
171 共通端子
172~174 選択端子
181 共通端子
182~184 選択端子
191 共通端子
192~194 選択端子
301 第1部分
302 第2部分
341 傾斜面
841 主面
843 外周面
A1 中央領域
D1 厚さ方向(第1方向)
D2 第2方向
D3 第3方向
T1 送信経路
R1 受信経路