(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157218
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】クランプ構造
(51)【国際特許分類】
F16L 3/12 20060101AFI20221006BHJP
F16L 47/03 20060101ALI20221006BHJP
F16B 35/00 20060101ALI20221006BHJP
F16B 35/02 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
F16L3/12 G
F16L47/03
F16B35/00 A
F16B35/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061319
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】竹内 祥人
【テーマコード(参考)】
3H019
3H023
【Fターム(参考)】
3H019GA03
3H019GA12
3H023AD24
3H023AD54
(57)【要約】
【課題】少ない作業時間で、部品を破損することなく、限られた作業スペースでも容易に管を固定できるクランプ構造を提供する。
【解決手段】電気融着継手Fと、電気融着継手Fに挿入された管Pを保持するクランプ100と、を備えるクランプ構造であって、管Pに接して管Pを保持する保持部11と、保持部11に設けられ、保持部11を電気融着継手Fに取り付ける取付部12と、保持部11に係合する締付具20と、を備え、保持部11に締付具20を締め込むことで保持部11を縮径させて保持部11によって管Pを保持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気融着継手と、
前記電気融着継手に挿入された管を保持するクランプと、
を備えるクランプ構造であって、
前記管に接して管を保持する保持部と、
前記保持部に設けられ、前記保持部を前記電気融着継手に取り付ける取付部と、
前記保持部に係合する締付具と、
を備え、
前記保持部に前記締付具を締め込むことで前記保持部を縮径させて前記保持部によって前記管を保持する、
クランプ構造。
【請求項2】
前記保持部の軸方向に設けられた切欠き部を、前記保持部の周方向に少なくとも1箇所備える、
請求項1に記載のクランプ構造。
【請求項3】
前記保持部の外周面または内周面には雄ねじ部が形成され、前記締付具を前記雄ねじ部に締め込むことで前記管を保持する、
請求項1又は2に記載のクランプ構造。
【請求項4】
前記雄ねじ部が多条ねじである、
請求項3に記載のクランプ構造。
【請求項5】
前記保持部と前記締付具とは、バヨネット構造により締め込まれる、
請求項1又は2に記載のクランプ構造。
【請求項6】
前記保持部が、継手連結部によって前記電気融着継手に連結されている、
請求項1から5のいずれか1項に記載のクランプ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
管と管とを接合する際、電気融着継手が好適に用いられる。電気融着継手による管の融着作業時に、管と電気融着継手とがずれることを防ぐために、クランプによって管を仮保持することがある。
例えば、二つの部材からなるクランプ部にタッピングねじを螺入することによって締付け、管を固定する構造が開示されている(特許文献1)。
また、電気融着継手に管が挿入された状態で取付部を電気融着継手に取り付け、取付部と連結された締付帯部によって管を締め付けることで保持するクランプが開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-31840号公報
【特許文献2】特開2019-211063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のタッピングねじによる固定方法については、ねじを適切な量だけ締め込む必要があることから施工に時間がかかる。あるいは、電動ドライバーを使用するとねじを早く締めることができるが、締めすぎると破損させてしまう問題がある。
また、締付帯部によって管を締め付ける際は、工具によって係合部を嵌め込む必要がある。このとき、工具によって大きな力を係合部にかける必要がある。また、工具によって締め付ける操作部が管の周方向において一か所しかなく、施工現場のスペースによっては工具を操作部に掛けることが難しく、施工が難しくなるという課題があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、少ない作業時間で、部品を破損することなく、限られた作業スペースでも容易に管を固定できるクランプ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るクランプ構造は、電気融着継手と、前記電気融着継手に挿入された管を保持するクランプと、を備えるクランプ構造であって、前記管に接して管を保持する保持部と、前記保持部に設けられ、前記保持部を前記電気融着継手に取り付ける取付部と、前記保持部に係合する締付具と、を備え、前記保持部に前記締付具を締め込むことで前記保持部を縮径させて前記保持部によって前記管を保持する。
【0007】
この発明によれば、保持部に締付具を締め込むことで保持部を縮径させて保持部によって管を保持する。これにより、別途ボルト等の締結部材を用いずに管を保持することができる。よって、作業時間を少なくすることができる。また、ボルトを用いないことで、ボルトによって部品を破損することを防ぐことができる。また、締付具を締め込む作業は管の周方向のいずれの向きからも行うことができる。よって、限られた作業スペースでも容易に管を固定することができる。更に、保持部に形成されたねじ部に締付具を締め込むことから、クランプと別部材のボルトを締め込む場合と比較して、ねじ部の径を大きくすることができる。よって、比較的少ない力でより大きな締付力を得ることができる。よって、より容易かつ確実に保持部によって管を固定することができる。
【0008】
また、前記保持部の軸方向に設けられた切欠き部を、前記保持部の周方向に少なくとも1箇所備えてもよい。
【0009】
この発明によれば、保持部の軸方向に設けられた切欠きを、保持部の周方向に少なくとも1箇所備える。これにより、より締付具を締め込んだ時の保持部の変形代を大きくすることができる。よって、より容易かつ確実に保持部によって管を保持することができる。
【0010】
また、前記保持部の外周面または内周面には雄ねじ部が形成され、前記締付具を前記雄ねじ部に締め込むことで前記管を保持してもよい。
【0011】
この発明によれば、保持部の外周面または内周面には雄ねじ部が形成され、締付具を雄ねじ部に締め込むことで管を保持する。これにより、いずれの方向からであっても保持部を締め込むことができる。つまり、周方向の一か所に設けられた係合部を工具で締め込む場合と比較して、周囲の作業スペースによって工具を係合部に掛けることができないといった問題が生じることを防ぐことができる。
【0012】
また、前記雄ねじ部が多条ねじであってもよい。
【0013】
この発明によれば、ねじ部が多条ねじである。よって、より少ない回転数で締付具を保持部に締め込むことができる。
【0014】
また、前記保持部と前記締付具とは、バヨネット構造により締め込まれてもよい。
【0015】
この発明によれば、保持部と前記締付具とは、バヨネット構造により締め込まれる。よって、締付具の締め込みに要する回転量を1回転以下にすることができる。
【0016】
また、前記保持部が、継手連結部によって前記電気融着継手に連結されていてもよい。
【0017】
この発明によれば、保持部が、継手連結部によって電気融着継手に連結されている。つまり、電気融着継手と保持部とが、継手連結部によって一体に成形されている。よって、別体のクランプを電気融着継手に取り付ける必要がなくなることから、より作業時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、少ない作業時間で、部品を破損することなく、限られた作業スペースでも容易に管を固定できるクランプ構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係るクランプの電気融着継手への取付け例である。
【
図3】本発明の実施形態に係るクランプの第1例である。
【
図4】
図3に示すクランプの雄ねじ部が多条となった場合を示す変形例である。
【
図5】本発明の実施形態に係るクランプにおいて、保持部の軸方向に設けられた切欠きが間隔をあけて複数備えられた変形例である。
【
図6】
図5に示すクランプの切欠きにおいて、その内の一つが保持部を開口した状態を示す変形例である。
【
図7】本発明に係る、軸方向の両端に保持部が一体に成形された電気融着継手を示す斜視図である。
【
図9】
図7に示す電気融着継手における保持部の拡大図である。
【
図10】保持部に締付具ねじ込むことによって管を固定する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るクランプ構造を説明する。
図1に示すように、円筒状の電気融着継手Fに挿入された管Pを、本実施形態に係るクランプ100によって保持する。電気融着継手Fは内周面側に電熱線を有する。また、管Pは樹脂製のものが好適に用いられる。以下において、クランプ構造とは、クランプ100、又は特にクランプ100の保持部11(後述する)と、電気融着継手Fと、を備えた構造をいうものとする。
図1に示す状態において、端子Tより通電することで電熱線に電流を負荷する。これにより電熱線の温度が上昇することで、電気融着継手Fの内周面と、電気融着継手Fに挿入された管Pの外周面が溶融する。これにより、電気融着継手Fと管Pとが融着する。
以下において、各構成部品の方向を示すとき、
図2に示す電気融着継手F及び管Pを基準として、軸方向、径方向、周方向と称することがある。
【0021】
本実施形態に係るクランプ100は、上述の融着工程において電気融着継手Fと管Pとの位置がずれることを防ぐために仮保持するために用いられる。
【0022】
クランプ100は、
図2に示す電気融着継手Fによって管Pを接続する時、電気融着継手Fの軸方向における端部に取り付けて使用する。クランプ100は、本体10と、締付具20と、を備える。
本体10は、電気融着継手Fに挿入された管Pに直接把持する部位である。
図3に示すように、本体10は、保持部11と、取付部12と、根元部13と、連結部14と、を備える。
【0023】
保持部11は、管Pに接して管Pを保持する部位である。これにより、電気融着継手Fによって融着工程中の管Pがずれることを防ぐ。保持部11は、電気融着継手Fに挿入された管Pの周囲に位置するように、中心軸が電気融着継手Fの軸方向と平行になる円筒状の部材である。
保持部11における前記筒状の一方の端部には連結部14が設けられ、根元部13と連結する。保持部11は、前記円筒状の外周面に雄ねじ部11bを備える。また、保持部11は、前記円筒状の内周面に突起部11pを備える。
【0024】
雄ねじ部11bは、締付具20と係合するために形成されている。雄ねじ部11bの呼び径及びピッチは、管Pの外径に合わせて決定される保持部11の径を考慮の上、締付具20の雌ねじ部20n(後述する)に対応するように設けられる。なお、雄ねじ部11bの外径は、連結部14(後述する)の外径を超えないように設けられることが好ましい。
【0025】
雄ねじ部11bの端部が保持部11の軸方向の端部まで設けられていると、締付具20が傾いた状態で嵌合し、雄ねじ部11bに対応しない雌ねじ部20nが嵌合してしまう恐れがある(傾いた状態で嵌合した結果、例えば、1条目の雄ねじ部11bと、2条目の雌ねじ部20nが嵌合してしまう)。
そこで、連結部14と反対の側における雄ねじ部11bの端部は、保持部11の軸方向の端部まで至らないように設けられることが好ましく、保持部11の軸方向の端部から2~5mm程度の筒状部分を有することが好ましい。この筒状部分は、締付具20が傾いた状態で雄ねじ部11bと係合しようとした際、締付具20の内面に当接し、締付具20が傾いたまま雄ねじ部11bと嵌合するのを防止する効果がある。
【0026】
雄ねじ部11bの径は、保持部11の円筒状の一方の端から他方の端にかけて縮径する、いわゆるテーパ状であることが好ましい。これにより、保持部11に締付具20を締め込むことで保持部11が縮径して突起部11pが管Pに接することで、管Pを把持できるようにする(詳細は後述する)。
雄ねじ部11bは、一般的な一条ねじが好適に用いられるが、
図4に示すような多条ねじであってもよい。
【0027】
突起部11pは、保持部11の内周面において保持部11の円筒状に沿うように環状に設けられた突起である。つまり、保持部11が管Pに接近したとき、突起部11pのみが管Pに接する。これにより、保持部11の全体が管Pに接する場合と比較して、管Pに対する接触面積を小さくすることができる。よって、保持部11の締付による接触圧力を向上し、管Pの保持力を向上する役割を有する。
【0028】
上述のように、保持部11による管Pの保持は、保持部11が変形して突起部11pが管Pに接することで生じる、管Pと突起部11pの接触圧力によってされる。具体的には、保持部11に備えられたテーパ状の雄ねじ部に締付具20が締め込まれることで、保持部11の周方向における長さ(円筒状の円周の長さ)が収縮する。言い換えれば、保持部11が径方向に縮径する。
【0029】
このことで、突起部11pが管Pに向けて接近し、最終的に接する。つまり、保持部11には変形代を有する。変形代は、例えば、本体10を形成する材質の性質を利用したものが好ましい。このため、本体10には、管P及び電気融着継手Fと同様の樹脂が用いられることが好ましい。
【0030】
また、以下のような形状として、保持部11をより変形しやすくすることで、保持部11による管Pの保持力を向上してもよい。すなわち、例えば、
図5に示すように、保持部11の円筒状において切欠き部11cを設けてもよい。切欠き部11cは、保持部11の円筒状の軸方向を長手方向として設けられ、保持部11の円筒状を内径側から外径側にかけて軸方向の一部を切欠いた形状である。あるいは、
図6に示すように、保持部11の円筒状において開口部11sを有してもよい。開口部11sは、保持部11の円筒状の軸方向を長手方向として設けられ、保持部11の円筒状を内径側から外径側にかけて軸方向の全てを切欠いた形状である。
【0031】
切欠き部11cは、保持部11の周方向において少なくとも1箇所、あるいは間隔をあけて複数設けられる。また、開口部11sは、保持部11の周方向における任意の部位に1箇所設けられる。また、切欠き部11cを保持部11の1箇所に有し、その他の部位に開口部11sが1箇所あるいは複数設けられていてもよい。
【0032】
本体10に開口部11sを備える場合は、電気融着継手Fと管Pとが融着した後であっても、締付具20を取り外した後に開口部11sから保持部11を変形させることで管Pから本体10を取り外すことができる。このため、融着後に本体10を電気融着継手Fから取り外す必要がある場合は開口部11sを備える本体10が好適に用いられる。本体10を電気融着継手Fから取り外す必要がない場合は、切欠き部11cのみを有する、あるいは切欠き部11cと開口部11sのいずれも有さない本体10を用いてもよい。この場合は、本体10が電気融着継手Fから取り外せないことをもって作業完了の確認をしてもよい。
【0033】
取付部12は、クランプ100を電気融着継手Fの端子Tに取り付けるために用いられる。取付部12には、端子Tの直径に合わせた穴12hが形成され、これを端子Tに掛けることで取り付ける。取付部12は、根元部13に一体に成型されている。
根元部13は、本体10における保持部11と取付部12とを連結する部位である。根元部13は平面状の部材であり、軸方向に直交する面に平行に設けられている。保持部11の円筒状の中心軸を基準としたとき、根元部13は、径方向における外側の端部に取付部12が連結される。また径方向の内側の端部に保持部11が連結される、保持部11と根元部13との連結は、間に設けられた連結部14によってなされる。
【0034】
連結部14は、根元部13と保持部11とを連結する。連結部14は、保持部11の円筒状の軸方向の端部の一部分が、軸方向と平行に突出することで形成される。
なお、上述の各部材によって構成される本体10は、例えば、射出成型等によって一体に成形されることが好ましい。
【0035】
上記のクランプ構造は、電気融着継手Fと保持部11とが別体であることを前提としているが、これに限らない。例えば、保持部11が、電気融着継手Fの端部に連結されていてもよい。すなわち、
図7及び
図8に示すように、連結保持部11aが、電気融着継手Fの端部に設けられた継手連結部14aによって連結された形状としてもよい。
連結保持部11aは、
図9に示すように、円筒状の一部の形状を備える連結保持部11aが、間隔をあけて複数設けられていてもよい。この場合は、連結保持部同士の間隔が、切欠き部11cあるいは開口部11sの役割を果たす。
あるいは、円筒状の一部に切欠き部11c又は開口部11sを備えた一つの連結保持部11aが、電気融着継手Fの端部に連結保持部11aによって連結されていてもよい。
【0036】
締付具20は、本体部の保持部11に係合することで、保持部11を縮径させ、保持部11によって管Pを把持させる役割を有する。締付具20は、保持部11の有する雄ねじ部11bに対応した雌ねじ部20nを備える、いわゆるナットの役割を有する。雌ねじ部20nは、上述の雄ねじ部11bに対応したテーパ状となっていることが好ましい。
【0037】
図1に示すように、締付具20の外周面は円筒状である。これにより、締付具20を保持部11にねじ込む際は手によって締付具20を回転させることで行う。あるいは、締付具20をスパナ等の工具によってねじ込めるように、締付具20の外周面が六角柱状であってもよい。
【0038】
また、本体10と締付具20のそれぞれに雄ねじ部11bと雌ねじ部20nが設けられているものとして説明したが、本体10に対して締付具20を締め込むようにして係合する構造であれば、ねじ構造でなくてもよい。例えば、ねじ構造でなくバヨネット構造としてもよい。
【0039】
上述の構成からなるクランプ100による電気融着継手Fに挿入された管Pの把持は、下記のように行う。すなわち、まず、予め電気融着継手Fに挿入する管Pに本体10及び締付具20を挿入しておく。その状態で、管Pを電気融着継手Fに挿入する。その後、本体部の取付部12を電気融着継手Fの端子Tに掛ける。
連結保持部11aを有する電気融着継手Fを用いる場合は、締付具20のみを管Pに挿入してから、管Pを電気融着継手Fに挿入する。
【0040】
すると、
図10に示すように、クランプ100の本体10が電気融着継手Fに取り付けられ、更に本体10及び電気融着継手Fに管Pが挿入された状態となる。次に、締付具20を本体10に締め込む。ここで、上述のように雄ねじ部11b及び雌ねじ部20nはテーパ状となっていることから、雄ねじ部11bと雌ねじ部20nとが係合すると、雄ねじ部11bを備える保持部11が縮径する。よって、保持部11の内周面が管Pに接近し、最終的に保持部11の突起部11pと管Pとが接する。そこから更に締付具20を締め込むことで、突起部11pと管Pとが強く接触、あるいは管Pの表面に突起部11pが食い込むことで、管Pを保持する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係るクランプ構造によれば、保持部11に締付具20を締め込むことで保持部11を縮径させて保持部11によって管Pを保持する。これにより、別途ボルト等の締結部材を用いずに管Pを保持することができる。よって、作業時間を少なくすることができる。また、ボルトを用いないことで、ボルトによって部品を破損することを防ぐことができる。また、締付具20を締め込む作業は管Pの周方向のいずれの向きからも行うことができる。よって、限られた作業スペースでも容易に管Pを固定することができる。更に、保持部11に形成されたねじ部に締付具20を締め込むことから、クランプ100と別部材のボルトを締め込む場合と比較して、ねじ部の径を大きくすることができる。よって、比較的少ない力でより大きな締付力を得ることができる。よって、より容易かつ確実に保持部11によって管Pを固定することができる。
【0042】
また、保持部11の軸方向に設けられた切欠きを、保持部11の周方向に少なくとも1箇所備える。これにより、より締付具20を締め込んだ時の保持部11の変形代を大きくすることができる。よって、より容易かつ確実に保持部11によって管Pを保持することができる。
【0043】
また、保持部11の外周面または内周面には雄ねじ部11bが形成され、締付具20を雄ねじ部11bに締め込むことで管Pを保持する。これにより、いずれの方向からであっても保持部11を締め込むことができる。つまり、周方向の一か所に設けられた係合部を工具で締め込む場合と比較して、周囲の作業スペースによって工具を係合部に掛けることができないといった問題が生じることを防ぐことができる。
【0044】
また、ねじ部が多条ねじである。よって、より少ない回転数で締付具20を保持部11に締め込むことができる。
【0045】
また、保持部11と前記締付具20とは、バヨネット構造により締め込まれる。よって、締付具20の締め込みに要する回転量を1回転以下にすることができる。
【0046】
また、保持部11(連結保持部11a)が、継手連結部14aによって電気融着継手Fに連結されている。つまり、電気融着継手Fと連結保持部11aとが、継手連結部14aによって一体に成形されている。よって、別体のクランプ100を電気融着継手Fに取り付ける必要がなくなることから、より作業時間を短縮することができる。
【0047】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、保持部11の内周面において、突起部11pは複数設けられていてもよいし、あるいは設けられていなくてもよい。若しくは、保持部11は、内周面において間隔をあけて複数設けられていてもよい。
【0048】
また、本実施形態において、本体10の雄ねじ部11b及び締付具20の雌ねじ部20nがテーパ状である旨説明したが、これに限らない。例えば、雄ねじ部11bと雌ねじ部20nのいずれかがテーパ状でなくてもよい。あるいは、切欠き部11cあるいは開口部11sによって保持部11の変形代が確保できれば、雄ねじ部11bと雌ねじ部20nの両方がテーパ状でなくてもよい。
また、クランプ100を出荷する際は、本体10と締付具20とを保持部11が縮径しない程度に係合させた状態として、一体で出荷してもよい。
また、保持部11の外周面に雄ねじ部11bが備えられているとして説明したが、これに限らない。例えば、締付具20が、断面U字状の形状が環状に形成され、前記断面U字状における前記環状の内径側の内側面に雄ねじを備える構成であれば、保持部11の内周面に雌ねじが形成されていてもよい。
【0049】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 本体
11 保持部
11a 連結保持部
11b 雄ねじ部
11c 切欠き部
12 取付部
14 連結部
14a 継手連結部
20 締付具
20n 雌ねじ部
100 クランプ
F 電気融着継手
P 管