(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157242
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】圧縮機及び圧縮機制御システム
(51)【国際特許分類】
F04B 49/06 20060101AFI20221006BHJP
F04B 49/10 20060101ALI20221006BHJP
F04B 49/22 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
F04B49/06 341G
F04B49/10 331H
F04B49/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061355
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】森田 謙次
(72)【発明者】
【氏名】高野 正彦
(72)【発明者】
【氏名】頼金 茂幸
(72)【発明者】
【氏名】伊与泉 彰
(72)【発明者】
【氏名】長谷 征和
【テーマコード(参考)】
3H145
【Fターム(参考)】
3H145AA05
3H145AA26
3H145AA42
3H145BA32
3H145BA43
3H145CA03
3H145CA19
3H145DA07
3H145DA13
3H145EA13
3H145EA38
3H145EA45
(57)【要約】
【課題】省エネ効果の向上と電動機の温度上昇の抑制を図ることができる圧縮機及び圧縮機制御システムを提供する。
【解決手段】圧縮機1は、電動機2と、電動機2によって駆動されて気体を圧縮する圧縮機本体3と、電動機2の回転数を可変可能なインバータ4と、圧縮機本体3の吸入側に設けられた吸込み絞り弁5と、圧縮機本体3の吐出側に設けられた圧力センサ7と、インバータ4及び吸込み絞り弁5を制御する制御装置8とを備える。制御装置8は、所定期間における圧縮機1の負荷率を演算し、圧縮機1の負荷率が所定値未満である場合に可変速運転制御を実行し、圧縮機1の負荷率が所定値以上である場合に定速運転制御を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機と、前記電動機によって駆動されて気体を圧縮する圧縮機本体と、前記電動機の回転数を可変可能なインバータと、前記圧縮機本体の吸入側に設けられた吸込み絞り弁と、前記圧縮機本体の吐出側に設けられた圧力センサと、前記インバータ及び前記吸込み絞り弁を制御する制御装置とを備えた圧縮機において、
前記制御装置は、
所定期間における前記圧縮機の負荷率を演算し、
前記圧縮機の負荷率が所定値未満である場合に、前記吸込み絞り弁を開状態に固定しつつ、前記圧力センサで検出された圧力が所定の制御値となるように前記インバータを介し前記電動機の回転数を可変する可変速運転制御を実行し、
前記圧縮機の負荷率が前記所定値以上である場合に、前記インバータを介し前記電動機の回転数を所定の回転数に固定しつつ、前記圧力センサで検出された圧力が所定の上限値まで上昇したときに前記吸込み絞り弁を閉状態に切替え、前記圧力センサで検出された圧力が所定の下限値まで下降したときに前記吸込み絞り弁を開状態に切替える定速運転制御を実行することを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
電動機と、前記電動機によって駆動されて気体を圧縮する圧縮機本体と、前記電動機の回転数を可変可能なインバータと、前記圧縮機本体の吸入側に設けられた吸込み絞り弁と、前記圧縮機本体の吐出側に設けられた圧力センサと、前記インバータ及び前記吸込み絞り弁を制御する制御装置と、前記制御装置に接続された入力装置とを備えた圧縮機において、
前記入力装置は、可変速運転モードと定速運転モードを選択的に指示し、
前記制御装置は、
前記入力装置から前記可変速運転モードが指示された場合に、前記吸込み絞り弁を開状態に固定しつつ、前記圧力センサで検出された圧力が所定の制御値となるように前記インバータを介し前記電動機の回転数を可変する可変速運転制御を実行し、
前記入力装置から前記定速運転モードが指示された場合に、前記インバータを介し前記電動機の回転数を所定の回転数に固定しつつ、前記圧力センサで検出された圧力が所定の上限値まで上昇したときに前記吸込み絞り弁を閉状態に切換え、前記圧力センサで検出された圧力が所定の下限値まで下降したときに前記吸込み絞り弁を開状態に切換える定速運転制御を実行することを特徴とする圧縮機。
【請求項3】
請求項2に記載の圧縮機において、
前記入力装置は、ユーザインターフェイスであって、可変速運転モードと定速運転モードを選択的に指示する期間を事前に設定する機能を有することを特徴とする圧縮機。
【請求項4】
請求項2に記載の圧縮機において、
前記入力装置は、前記制御装置に付設されたディップスイッチであることを特徴とする圧縮機。
【請求項5】
電動機と、前記電動機によって駆動されて気体を圧縮する圧縮機本体と、前記電動機の回転数を可変可能なインバータと、前記圧縮機本体の吸入側に設けられた吸込み絞り弁と、前記圧縮機本体の吐出側に設けられた圧力センサと、前記インバータ及び前記吸込み絞り弁を制御する制御装置と、前記制御装置に接続され、キー装置を着脱可能なソケットとを備えた圧縮機において、
前記ソケットは、前記キー装置の着脱によって可変速運転モードと定速運転モードを選択的に指示し、
前記制御装置は、
前記ソケットから前記可変速運転モードが指示された場合に、前記吸込み絞り弁を開状態に固定しつつ、前記圧力センサで検出された圧力が所定の制御値となるように前記インバータを介し前記電動機の回転数を可変する可変速運転制御を実行し、
前記ソケットから前記定速運転モードが指示された場合に、前記インバータを介し前記電動機の回転数を所定の回転数に固定しつつ、前記圧力センサで検出された圧力が所定の上限値まで上昇したときに前記吸込み絞り弁を閉状態に切換え、前記圧力センサで検出された圧力が所定の下限値まで下降したときに前記吸込み絞り弁を開状態に切換える定速運転制御を実行することを特徴とする圧縮機。
【請求項6】
請求項5に記載の圧縮機において、
前記可変速運転制御と前記定速運転制御のうちの一方の制御を実行するための一方のソフトウェアを前記制御装置が記憶し、他方の制御を実行するための他方のソフトウェアを前記キー装置が記憶しており、
前記制御装置は、
前記キー装置が前記ソケットから取外された場合に、前記一方のソフトウェアを用いて前記一方の制御を実行し、
前記キー装置が前記ソケットに取付けられた場合に、前記他方のソフトウェアを用いて前記他方の制御を実行することを特徴とする圧縮機。
【請求項7】
電動機と、前記電動機によって駆動されて気体を圧縮する圧縮機本体と、前記電動機の回転数を可変可能なインバータと、前記圧縮機本体の吸入側に設けられた吸込み絞り弁と、前記圧縮機本体の吐出側に設けられた圧力センサと、前記インバータ及び前記吸込み絞り弁を制御する制御装置とを備えた圧縮機と、
通信回線を介し前記圧縮機の前記制御装置と通信可能な情報処理装置とを備えた圧縮機制御システムにおいて、
前記情報処理装置は、可変速運転モードと定速運転モードを選択的に指示し、
前記圧縮機の前記制御装置は、
前記情報処理装置から前記可変速運転モードが指示された場合に、前記吸込み絞り弁を開状態に固定しつつ、前記圧力センサで検出された圧力が所定の制御値となるように前記インバータを介し前記電動機の回転数を可変する可変速運転制御を実行し、
前記情報処理装置から前記定速運転モードが指示された場合に、前記インバータを介し前記電動機の回転数を所定の回転数に固定しつつ、前記圧力センサで検出された圧力が所定の上限値まで上昇したときに前記吸込み絞り弁を閉状態に切換え、前記圧力センサで検出された圧力が所定の下限値まで下降したときに前記吸込み絞り弁を開状態に切換える定速運転制御を実行することを特徴とする圧縮機制御システム。
【請求項8】
請求項7に記載の圧縮機制御システムにおいて、
前記情報処理装置は、前記制御装置から受信した前記圧縮機の運転履歴に基づき、所定期間における前記圧縮機の負荷率を演算し、前記圧縮機の負荷率が所定値未満である場合に、前記可変速運転モードを指示し、前記圧縮機の負荷率が前記所定値以上である場合に、前記定速運転モードを指示することを特徴とする圧縮機制御システム。
【請求項9】
請求項7に記載の圧縮機制御システムにおいて、
前記情報処理装置は、前記可変速運転モードと前記定速運転モードを選択的に入力する入力部を有し、前記入力部の入力に応じて前記可変速運転モードと前記定速運転モードを選択的に指示することを特徴とする圧縮機制御システム。
【請求項10】
請求項7に記載の圧縮機制御システムにおいて、
前記情報処理装置は、前記可変速運転制御を実行するための第1のソフトウェアと前記定速運転制御を実行するための第2のソフトウェアを選択的に送信し、
前記圧縮機の前記制御装置は、
前記第1のソフトウェアを受信した場合に、前記第1のソフトウェアに書換え、前記第1のソフトウェアを用いて前記可変速運転制御を実行し、
前記第2のソフトウェアを受信した場合に、前記第2のソフトウェアに書換え、前記第2のソフトウェアを用いて前記定速運転制御を実行することを特徴とする圧縮機制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機及び圧縮機制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の圧縮機は、可変速機と呼ばれるものである。この圧縮機は、電動機と、電動機によって駆動されて気体を圧縮する圧縮機本体と、電動機の回転数を可変可能なインバータと、圧縮機本体の吐出側に設けられた圧力センサと、インバータを制御する制御装置とを備える。制御装置は、圧力センサで検出された圧力が所定の制御値となるように、インバータを介し電動機の回転数を可変する可変速運転制御を実行する。
【0003】
特許文献2の圧縮機は、定速機と呼ばれるものである。この圧縮機は、電動機と、電動機によって駆動されて気体を圧縮する圧縮機本体と、圧縮機本体の吸入側に設けられた吸込み絞り弁と、圧縮機本体の吐出側に設けられた圧力センサと、吸込み絞り弁を制御する制御装置とを備える。制御装置は、圧力センサで検出された圧力が所定の上限値まで上昇したときに吸込み絞り弁を閉状態に切換え、圧力センサで検出された圧力が所定の下限値まで下降したときに吸込み絞り弁を開状態に切換える定速運転制御を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2016/084207号(
図4等)
【特許文献2】特開2011-099348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
省エネ効果に関し、閑散期(言い換えれば、圧縮機の負荷率が低い場合)は、可変速機が定速機と比べて有利となる。一方、繁忙期(言い換えれば、圧縮機の負荷率が高い場合)は、可変速機と定速機の差が小さくなる。電動機の温度上昇の抑制に関し、定速機が可変速機と比べて有利である。
【0006】
そのため、可変速運転制御と定速運転制御を選択的に実行可能なように圧縮機を構成し、圧縮機の負荷率などに応じて可変速運転制御と定速運転制御を切替えたいというニーズがある。可変速運転制御と定速運転制御を切替えることにより、省エネ効果の向上と電動機の温度上昇の抑制を図ることが可能である。
【0007】
本発明は、上記事柄に鑑みてなされたものであり、省エネ効果の向上と電動機の温度上昇の抑制を図ることを課題の一つとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、特許請求の範囲に記載の構成を適用する。本発明は、上記課題を解決するための手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、電動機と、前記電動機によって駆動されて気体を圧縮する圧縮機本体と、前記電動機の回転数を可変可能なインバータと、前記圧縮機本体の吸入側に設けられた吸込み絞り弁と、前記圧縮機本体の吐出側に設けられた圧力センサと、前記インバータ及び前記吸込み絞り弁を制御する制御装置とを備えた圧縮機において、前記制御装置は、所定期間における前記圧縮機の負荷率を演算し、前記圧縮機の負荷率が所定値未満である場合に、前記吸込み絞り弁を開状態に固定しつつ、前記圧力センサで検出された圧力が所定の制御値となるように前記インバータを介し前記電動機の回転数を可変する可変速運転制御を実行し、前記圧縮機の負荷率が前記所定値以上である場合に、前記インバータを介し前記電動機の回転数を所定の回転数に固定しつつ、前記圧力センサで検出された圧力が所定の上限値まで上昇したときに前記吸込み絞り弁を閉状態に切替え、前記圧力センサで検出された圧力が所定の下限値まで下降したときに前記吸込み絞り弁を開状態に切替える定速運転制御を実行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、省エネ効果の向上と電動機の温度上昇の抑制を図ることができる。
【0010】
なお、上記以外の課題、構成及び効果は、以下の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態における圧縮機の構成を表す概略図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態における制御装置の処理内容を表すフローチャートである。
【
図3】本発明の第2の実施形態における圧縮機の構成を表す概略図である。
【
図4】本発明の第3の実施形態における圧縮機制御システムの構成を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、本実施形態における圧縮機の構成を表す概略図である。
【0014】
本実施形態の圧縮機1は、電動機2と、電動機2によって駆動されて気体(例えば空気)を圧縮する圧縮機本体3と、電動機2の回転数を可変可能なインバータ4と、圧縮機本体3の吸入側に設けられた吸込み絞り弁5と、吸込み絞り弁5の上流側に設けられたフィルタ6と、圧縮機本体3の吐出側に設けられた圧力センサ7と、インバータ4及び吸込み絞り弁5を制御する制御装置8と、制御装置8に接続されたユーザインターフェイス9とを備える。
【0015】
圧縮機本体3は、例えば、互いに噛み合う雌雄一対のスクリューロータと、スクリューロータを収納するケーシングとを備えており、スクリューロータの歯溝に複数の作動室が形成されている。各作動室は、ロータの回転に伴ってロータの軸方向に移動すると共に、気体を吸入する吸入過程と、気体を圧縮する圧縮過程と、圧縮気体を吐出する吐出過程とを順次行う。
【0016】
ユーザインターフェイス9は、例えば、運転スイッチと、停止スイッチと、各種の設定及び表示が行えるタッチパネルとを有する。制御装置8は、例えば、プログラムやデータを記憶するメモリと、プログラムに基づいて処理を実行するプロセッサとを有する。制御装置8は、運転スイッチの操作に応じて、インバータ4を介し電動機2を駆動させ、停止スイッチの操作に応じて、インバータ4を介し電動機2を停止させる。
【0017】
本実施形態の特徴の一つとして、制御装置8は、可変速運転制御と定速運転制御を選択的に実行可能としている。制御装置8の可変速運転制御では、吸込み絞り弁5を開状態に固定する。また、圧力センサ7で検出された圧力が所定の制御値となるように、インバータ4を介し電動機2の回転数を可変する。
【0018】
制御装置8の定速運転制御では、インバータ4を介し電動機2の回転数を所定の回転数(定格回転数)に固定する。また、圧力センサ7で検出された圧力が所定の上限値まで上昇したときに、吸込み絞り弁5を閉状態に切換えて、アンロード運転に切換える。その後、圧力センサ7で検出された圧力が所定の下限値まで下降したときに、吸込み絞り弁5を開状態に切換えて、ロード運転に切換える。
【0019】
なお、本実施形態の可変速運転制御では、電動機2の回転数が所定の下限値まで低下し、且つ、圧力センサ7で検出された圧力が所定の上限値まで上昇したときに、上述した定速運転制御と同様、吸込み絞り弁5を閉状態に切換えて、アンロード運転に切換える。その後、圧力センサ7で検出された圧力が所定の下限値まで下降したときに、吸込み絞り弁5を開状態に切換えて、ロード運転に切換える。
【0020】
本実施形態の他の特徴として、制御装置8は、所定期間(例えば1日又は1週間)における圧縮機1の負荷率(平均値)を演算し、この負荷率に応じて可変速運転制御と定速運転制御を切替えるようになっている。その詳細を、
図2を用いて説明する。
【0021】
図2は、本実施形態における制御装置の処理内容を表すフローチャートである。
【0022】
ステップS1にて、制御装置8は、圧縮機1の運転履歴を記録すると共に、タイマを用いて所定期間が経過したか否かを判定する。所定期間が経過したときに、ステップS2に移る。なお、初期状態として、可変速運転制御と定速運転制御のうちの一方を実行するように設定されている。
【0023】
ステップS2にて、制御装置8は、圧縮機1の運転履歴に基づき、所定期間における圧縮機1の負荷率を演算する。例えば可変速運転制御を実行している場合は、電動機2の定格回転数に対する実回転数の比率によって圧縮機1の負荷率(瞬時値)を演算し、所定期間における圧縮機1の負荷率(平均値)を演算する。一方、例えば定速運転制御を実行している場合は、所定期間におけるロード運転の時間とアンロード運転の時間との総和に対するロード運転の時間の比率によって、所定期間における圧縮機1の負荷率を演算する。なお、ユーザインターフェイス9は、所定期間における圧縮機1の負荷率を表示してもよい。
【0024】
ステップS3に進み、制御装置8は、ステップS2で演算された圧縮機1の負荷率が所定値(例えば80%)未満であるかどうかを判定する。圧縮機1の負荷率が所定値未満である場合に、ステップS4に進み、制御装置8は、可変速運転制御を実行する。一方、圧縮機1の負荷率が所定値以上である場合に、ステップS5に進み、制御装置8は、定速運転制御を実行する。
【0025】
ステップS6に進み、制御装置8は、タイマをリセットする。その後、上述のステップS1に戻って上述した処理を繰返す。
【0026】
以上のように本実施形態においては、圧縮機1の負荷率に応じて可変速運転制御と定速運転制御を切替えるので、省エネ効果の向上と電動機の温度上昇の抑制を図ることができる。
【0027】
なお、第1の実施形態において、制御装置8は、所定期間における圧縮機1の負荷率を演算し、これに応じて可変速運転制御と定速運転制御を切替える場合を例にとって説明したが、これに限られない。制御装置8は、入力装置からの指示に応じて可変速運転制御と定速運転制御を切替えてもよい。
【0028】
詳しく説明すると、例えば、ユーザインターフェイス9のタッチパネルは、可変速運転モードと定速運転モードを選択的に指示可能としてもよい。また、例えば、ユーザインターフェイス9のタッチパネルは、可変速運転モードと定速運転モードを選択的に指示する期間を事前に設定する機能を有し、この設定に基づいて可変速運転モードと定速運転モードを選択的に指示してもよい。あるいは、例えば、制御装置8に付設されたディップスイッチは、可変速運転制御と定速運転制御を選択的に指示可能としてもよい。
【0029】
制御装置8は、ユーザインターフェイス9又はディップスイッチなどの入力装置から可変速運転モードが指示された場合に、可変速運転制御を実行し、入力装置から定速運転モードが指示された場合に、定速運転制御を実行する。
【0030】
上述した変形例においては、例えばユーザインターフェイス9で表示された所定期間における圧縮機1の負荷率などに基づき、ユーザが判断して入力装置を操作し、可変速運転制御と定速運転制御を切替える。したがって、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0031】
本発明の第2の実施形態を、
図3を用いて説明する。
図3は、本実施形態における圧縮機の構成を表す概略図である。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜、説明を省略する。
【0032】
本実施形態の圧縮機1は、第1の実施形態と同様の構成に加え、制御装置8に接続され、キー装置10を着脱可能なソケット11を備える。ソケット11は、キー装置10の着脱によって可変速運転モードと定速運転モードを選択的に指示する。制御装置8は、ソケット11から可変速運転モードが指示された場合に、可変速運転制御を実行し、ソケット11から定速運転モードが指示された場合に、定速運転制御を実行する。
【0033】
詳しく説明すると、制御装置8は、可変速運転制御と定速運転制御のうちの一方の制御を実行するための一方のソフトウェアを記憶する。キー装置10は、記憶媒体であって、可変速運転制御と定速運転制御のうちの他方の制御を実行するための他方のソフトウェアを記憶する。
【0034】
ソケット11は、キー装置10が取外された場合に、一方の制御を指示する。制御装置8は、この指示に応じて自身に記憶された一方のソフトウェアを用いて、一方の制御を実行する。ソケット11は、キー装置10が取付けられた場合に、他方の制御を指示する。制御装置8は、この指示に応じてキー装置10に記憶された他方のソフトウェアを用いて、他方の制御を実行する。
【0035】
本実施形態においては、例えばユーザインターフェイス9で表示された所定期間における圧縮機1の負荷率などに基づき、ユーザが判断してキー装置10を着脱し、可変速運転制御と定速運転制御を切替える。したがって、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0036】
なお、第2の実施形態において、制御装置8が一方のソフトウェアを記憶し、キー装置10が他方のソフトウェアを記憶する場合を例にとって説明したが、これに限られない。制御装置8が両方のソフトウェアを記憶し、キー装置10がソフトウェアを記憶しなくてもよい。すなわち、キー装置10は、記憶媒体でなくてもよい。
【0037】
本発明の第3の実施形態を、
図4を用いて説明する。
図4は、本実施形態における圧縮機制御システムの構成を表す概略図である。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜、説明を省略する。
【0038】
本実施形態の圧縮機制御システムは、圧縮機1と、広域型の通信回線12及び通信機(図示せず)を介し圧縮機1の制御装置8と通信可能な管理者サーバ13(設置型の情報処理装置)と、近距離型の通信回線14及び通信機(図示せず)を介し圧縮機1の制御装置8と通信可能なユーザ端末15(携帯型の情報処理装置)とを備える。なお、管理者サーバ13及びユーザ端末15は、例えば、プログラムやデータを記憶するメモリと、プログラムに基づいて処理を実行するプロセッサとを有する。通信回線12,14は、有線式の通信回線、無線式の通信回線、又はそれらの組合わせである。
【0039】
管理者サーバ13又はユーザ端末15は、圧縮機1の制御装置8から圧縮機1の運転履歴を受信し、これに基づき、所定期間毎に圧縮機1の負荷率を演算する。そして、圧縮機1の負荷率が所定値未満である場合に、圧縮機1の制御装置8へ、可変速運転モードを指示すると共に、可変速運転制御を実行するための第1のソフトウェアを送信する。また、圧縮機1の負荷率が所定値以上である場合に、圧縮機1の制御装置8へ、定速運転モードを指示すると共に、定速運転制御を実行するための第2のソフトウェアを送信する。なお、第1のソフトウェアの送信が可変速運転モードの指示を兼ね、第2のソフトウェアの送信が定速運転モードの指示を兼ねてもよい。また、管理者サーバ13又はユーザ端末15の表示部は、圧縮機1の負荷率を表示してもよい。
【0040】
圧縮機1の制御装置8は、可変速運転モードが指示されると共に、第1のソフトウェアを受信した場合に、第1のソフトウェアに書換え、第1のソフトウェアを用いて可変速運転制御を実行する。また、定速運転モードが指示されると共に、第2のソフトウェアを受信した場合に、第2のソフトウェアに書換え、第2のソフトウェアを用いて定速運転制御を実行する。
【0041】
本実施形態においては、第1の実施形態と同様、圧縮機1の負荷率に応じて可変速運転制御と定速運転制御を切替えるので、省エネ効果の向上と電動機の温度上昇の抑制を図ることができる。
【0042】
なお、第3の実施形態において、管理者サーバ13又はユーザ端末15は、所定期間における圧縮機1の負荷率を演算し、これに応じて可変速運転モードと定速運転モードを選択的に指示する場合を例にとって説明したが、これに限られない。管理者サーバ13又はユーザ端末15は、可変速運転モードと定速運転モードを選択的に入力する入力部を有し、入力部の入力に応じて可変速運転モードと定速運転モードを選択的に指示してもよい。この変形例においては、例えば管理者サーバ13又はユーザ端末15の表示部で表示された所定期間における圧縮機1の負荷率などに基づき、管理者又はユーザが判断して入力部を操作し、可変速運転制御と定速運転制御を切替える。したがって、上記同様の効果を得ることができる。
【0043】
また、第3の実施形態において、管理者サーバ13又はユーザ端末15は、第1のソフトウェアと第2のソフトウェアを選択的に送信し、圧縮機1の制御装置8は、第1のソフトウェア又は第2のソフトウェアに書換える場合を例にとって説明したが、これに限られない。管理者サーバ13又はユーザ端末15は、ソフトウェアを送信しなくもよい。すなわち、圧縮機1の制御装置8は、第1のソフトウェアと第2のソフトウェアの両方を記憶してもよい。
【0044】
また、第1~第3の実施形態において、圧縮機1の制御装置8の定速運転制御では、圧力センサ7で検出された圧力に応じて吸込み絞り弁5のみを切換える場合を例にとって説明したが、これに限れられない。圧縮機1は、圧縮機本体3の吐出側に設けられた放気弁(図示せず)を更に備え、制御装置8は、圧力センサ7で検出された圧力に応じて吸込み絞り弁5及び放気弁を切換えてもよい。詳細には、圧力センサ7で検出された圧力が所定の上限値まで上昇したときに、吸込み絞り弁5を閉状態、放気弁を開状態に切換えて、アンロード運転に切換える。その後、圧力センサ7で検出された圧力が所定の下限値まで下降したときに、吸込み絞り弁5を開状態、放気弁を閉状態に切換えて、ロード運転に切換える。この場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0045】
1…圧縮機、2…電動機、3…圧縮機本体、4…インバータ、5…吸込み絞り弁、6…フィルタ、7…圧力センサ、8…制御装置、9…ユーザインターフェイス、10…キー装置、11…ソケット、12…通信回線、13…管理者サーバ、14…通信回線、15…ユーザ端末