(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157258
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】容器詰め炭酸飲料、及び炭酸飲料の起泡方法
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20221006BHJP
A23L 2/54 20060101ALI20221006BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20221006BHJP
C12C 11/00 20060101ALI20221006BHJP
C12G 3/04 20190101ALI20221006BHJP
B65D 25/14 20060101ALN20221006BHJP
【FI】
A23L2/00 T
A23L2/00 U
A23L2/00 W
A23L2/54
A23L2/38 J
C12C11/00 A
C12G3/04
B65D25/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061380
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100193493
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 健史
(72)【発明者】
【氏名】伊東 泰洋
(72)【発明者】
【氏名】金子 莉子
(72)【発明者】
【氏名】岡本 高樹
(72)【発明者】
【氏名】寺野 真維
(72)【発明者】
【氏名】寺戸 菜穂
(72)【発明者】
【氏名】猪本 久美子
(72)【発明者】
【氏名】春名 謙一郎
【テーマコード(参考)】
3E062
4B115
4B117
4B128
【Fターム(参考)】
3E062AA04
3E062AB02
3E062AC03
3E062JA04
3E062JA07
3E062JB22
3E062JB27
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3E062JD00
4B115LG02
4B115LH12
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4B117LG13
4B117LK04
4B117LP18
4B128CP21
4B128CP37
(57)【要約】
【課題】他の容器に注出することなく泡が形成される容器詰め飲料において、発泡性をさらに改善することのできる技術を提供すること。
【解決手段】内面に起泡性凹凸構造が設けられた容器に充填された容器詰め炭酸飲料であって、SASPL値が2.0以上である、容器詰め炭酸飲料。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に起泡性凹凸構造が設けられた容器に充填されており、
SASPL値が2.0以上である、容器詰め炭酸飲料。
【請求項2】
ビールテイスト飲料である、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
大麦が原料の少なくとも一部として使用されている、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項4】
アルコール度数が1~8容量%である、請求項1~3のいずれかに記載の飲料。
【請求項5】
ガス圧が0.21MPa以上である、請求項1~4のいずれかに記載の飲料。
【請求項6】
前記容器が、筒状の胴部、下面、及び上面を有しており、
前記起泡性凹凸構造が、前記胴部に設けられており、
前記起泡性凹凸構造が、
それぞれの直径が5μm以上、20μm以下である、複数の第1の凹部と、
それぞれの直径が0.5μm以上、5μm未満である、複数の第2の凹部と、
を備え、
前記複数の第1の凹部の個数が、1mm2あたり200~2000個であり、
前記複数の第2の凹部の個数が、1mm2あたり5000~20000個である、
請求項1~5のいずれかに記載の飲料。
【請求項7】
起泡性凹凸構造が形成された内面を有する容器に、SASPL値が2.0以上である炭酸飲料を充填し、密封するステップを備える、容器詰め炭酸飲料の製造方法。
【請求項8】
起泡性凹凸構造が形成された内面を有する容器に、SASPL値が2.0以上である炭酸飲料を充填し、密封するステップと、
前記密封された容器を開栓するステップと、
を備える、炭酸飲料の起泡方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器詰め炭酸飲料、及び炭酸飲料の起泡方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールのような炭酸飲料は、飲用時に白くクリーミーな泡が形成されることが商品価値の一つとなっている。このような飲料は、通常、容器に充填された飲料をジョッキなどの別の容器に注ぎ入れる際に発泡し、泡の層が形成される。
【0003】
一方、缶ビール等は、別の容器に注ぎ入れるのではなく、直接飲用される場合がある。そのような場合においても、別の容器に飲料を注出したときのような泡が形成できれば、望ましいと考えられる。
【0004】
上記に関連して、容器の内面の構造を工夫することにより、発泡性を高める技術が知られている。
【0005】
例えば、特許文献1(特開2001-180671号公報)には、金属板を成形して缶体とした飲料用缶であって、缶体の内面底部が所定の表面粗さを有することを特徴とする発泡飲料用缶が開示されている。
また、特許文献2(特開2007-8493号公報)には、缶の内面に形成された有機樹脂被覆層に、所定の高融点大径粒子が離脱して生じた凹部および/または残留して生じた凸部と、所定の低融点小径粒子が離脱して生じた凹部とが形成されていることを特徴とする発泡性飲料用缶が開示されている。
特許文献3(特開平05-097149号公報)には、内面に、断面が略V字状をなす凹部が形成されていることを特徴とする発泡性液体用容器が開示されている。
特許文献4(特開2004-123208号公報)には、内部にCO2含有飲料が充填される飲料缶の缶蓋であって、缶蓋本体の平坦面とされた内面に有機樹脂被覆が積層され、該有機樹脂被覆の内面に凹部又は凸部又は凹凸部が形成されていることを特徴とする缶蓋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-180671号公報
【特許文献2】特開2007-8493号公報
【特許文献3】特開平05-097149号公報
【特許文献4】特開2004-123208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の技術を用いた場合であっても、発泡性の向上に関して、さらに改善の余地があった。従って、本発明の目的は、直接飲用される容器詰め飲料において、発泡性を更に改善することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、特定の飲料を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
[1]内面に起泡性凹凸構造が形成された容器に充填された容器詰め炭酸飲料であって、SASPL値が2.0以上である、容器詰め炭酸飲料。
[2]ビールテイスト飲料である、[1]に記載の飲料。
[3]大麦が原料の少なくとも一部として使用されている、[1]又は[2]に記載の飲料。
[4]アルコール度数が1~8容量%である、[1]~[3]のいずれかに記載の飲料。
[5]ガス圧が0.21MPa以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の飲料。
[6]前記容器が、下面、胴部、及び上面を有しており、前記起泡性凹凸構造が、前記胴部に設けられており、前記起泡性凹凸構造が、それぞれの直径が5μm以上、20μm以下である、複数の第1の凹部と、それぞれの直径が0.5μm以上、5μm未満である、複数の第2の凹部と、を備え、前記複数の第1の凹部の個数が、1mm2あたり200~2000個であり、前記複数の第2の凹部の個数が、1mm2あたり5000~20000個である、[1]~[5]のいずれかに記載の飲料。
[7]起泡性凹凸構造が形成された内面を有する容器に、SASPL値が2.0以上である炭酸飲料を充填し、密封するステップと、前記密封された容器を開栓するステップと、を含む、炭酸飲料の起泡方法。
[8]起泡性凹凸構造が形成された内面を有する容器に、SASPL値が2.0以上である炭酸飲料を充填し、密封するステップと、前記密封された容器を開栓するステップと、を備える、炭酸飲料の起泡方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、他の容器に注出することなく泡が形成される容器詰め飲料において、発泡性をさらに改善することのできる技術が提供される。さらには、容器詰め飲料を冷却し、低温状態にあっても発泡性を有する容器詰め飲料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、SASPL値と泡立ち率の関係を示すグラフである。
【
図2】
図2は、SASPL値とカバー秒数の関係を示すグラフである。
【
図3】
図3は、SASPL値とガス遊離量の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0012】
本実施形態に係る炭酸飲料は、内面に起泡性凹凸構造が形成された容器に充填された飲料であって、2.0以上のSASPL値を有する。このような構成を採用することにより、開缶時に発泡し、泡の層が形成される容器詰めの炭酸飲料が得られる。
【0013】
(SASPL値)
SASPL値とは、飲料の混濁の起こりやすさの指標となるパラメータである。SASPL値は、具体的には、次の方法により、求められる。
【0014】
[SASPL値の測定方法]
ガス抜きした炭酸飲料50mlに、攪拌下で飽和硫安溶液を滴下し、660nmでの濁度を連続的に観察する。そして、濁度が急に増加し始めた時点までの飽和硫安溶液量を、SASPL値として求める。
【0015】
SASPL値は、タンパク質の不溶化による濁度の上昇曲線から求められた値であり、SASPL値が大きいほど、炭酸飲料中の不純物が少なく、混濁が起こりにくいことを意味している。本発明者らの知見によれば、このようにして求めたSASPL値が飲料の発泡性と関連しており、2.0以上のSASPL値を用いると、容器を開缶しただけで発泡する程度の発泡性を得ることができる。
尚、SASPL値は、2.0以上であれば特に限定されないが、好ましくは2.5以上、より好ましくは2.7以上、より好ましくは3.0以上である。SASPL値の上限値は特に限定されないが、例えば5.0以下、好ましくは4.5以下である。
【0016】
SASPL値を2.0以上にするための手法は、特に限定されない。例えば、炭酸飲料がビールである場合、二酸化ケイ素(SiO2)により飲料を処理することにより、SASPL値を増加させることができる。具体的には、SiO2を飲料に添加し、飲料とSiO2を接触させた後、フィルターなどでSiO2を除去する。この際、使用するSiO2の量を調整することにより、所望のSASPL値を得ることができる。
【0017】
(炭酸飲料)
本実施形態に係る炭酸飲料は、SASPL値が2.0以上の炭酸飲料であればよく、特に限定されない。
好ましくは、炭酸飲料は、ビールテイスト飲料である。「ビールテイスト飲料」とは、アルコール度数や麦芽の使用の有無に関わらず、ビールと同等の又はそれと似た風味・味覚及びテクスチャーを有する飲料を意味する。「ビールテイスト飲料」との用語には、ビールそのものも包含される。
好ましくは、飲料は、大麦が原料の少なくとも一部として使用されている飲料である。
飲料のアルコール度数は、特に限定されないが、好ましくは1~8容量%である。
飲料のガス圧は、特に限定されないが、好ましくは0.21MPa以上、より好ましくは0.21~0.30MPaである。
【0018】
ビールテイスト飲料として、好ましくは、発酵麦芽飲料が挙げられる。
好ましい発酵麦芽飲料としては、ビールが挙げられる。
ビールの全窒素濃度は、例えば10~200(mg/100ml)、好ましくは15~100(mg/100ml)、より好ましくは20~80(mg/100ml)、更に好ましくは25~60(mg/100ml)である。全窒素濃度は、「ビール酒造組合分析法8.9」に規定される方法により測定できる。
ビールの総ポリフェノールは、例えば10~300(mg/L)、好ましくは30~250(mg/L)、より好ましくは100~230、更に好ましくは130~200(mg/Lである。総ポリフェノールは、「ビール酒造組合分析法8.19」に規定される方法により測定できる。
ビールの色度(EBC)は、例えば3~12、好ましくは4~10、より好ましくは55~9である。ビールの色度は、EBC(European Brewery Convention)のAnalytica-EBC標準法、又はこれに準じた方法により測定できる。
ビールのpHは、例えば3.5~5.0、好ましくは3.7~4.5、より好ましくは3.9~4.3である。
【0019】
(容器)
続いて、本実施形態に係る飲料が充填される容器について説明する。上述の通り、本実施形態において、容器には、その内面に起泡性凹凸構造が形成されている。
【0020】
「起泡性凹凸構造」とは、飲料の発泡性を向上させる機能を有する凹凸構造である。起泡性凹凸構造は、平坦な構造に比べて飲料の発泡性を向上させるような構造であればよく、特に限定されない。
【0021】
好ましい一態様において、容器は、金属製であり、筒状の胴部、下面(底面)、及び上面(缶蓋天面)を有している。胴部には、起泡性凹凸構造が設けられている。
起泡性凹凸構造は、複数の第1の凹部と、複数の第2の凹部とを有する。なお、「凹部」とは、深さが1μm以上の構造を言う。各凹部は、概ね円形である。
複数の第1の凹部は、それぞれ、5μm以上、20μm以下の直径を有する。複数の第1の凹部の個数が、1mm2あたり200~2000個である。
複数の第2の凹部は、それぞれ、0.5μm以上、5μm未満の直径を有する。複数の第2の凹部の個数は、1mm2あたり5000~20000個である。
各凹部の深さ及び直径は、例えば、レーザー顕微鏡を用いて求めることができる。
【0022】
上記のような凹凸構造は、例えば、金属製の容器の内面に、凹凸を有する樹脂層を設けることにより、実現することができる。例えば、容器の製造時に、容器の内面に、ワックス粒子を含む樹脂組成物を塗布し、焼き付ける。ワックス粒子としては、焼き付け時に揮散するような成分を使用する。これにより、焼き付け時にワックス粒子が脱離し、樹脂層に凹凸構造が形成される。
【0023】
好ましい一態様において、容器は、フルオープン缶である。フルオープン缶とは、缶蓋天面の面積において、30%以上の領域が開口されるタイプの金属製容器である。開口される領域は、好ましくは、缶蓋天面の50%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは缶蓋天面全体である。
好ましい一態様では、缶蓋天面が円形であり、その全周にわたってスコア(切欠き)加工が施されている。そのスコア加工により、缶蓋天面全体が缶本体から脱離し、開口される。
一方で、缶蓋天面は、必ずしも全てが脱離する必要はなく、容器として、缶蓋天面の一部が開缶後も缶本体に残っているような構成が用いられてもよい。
フルオープン缶は、通常の容器とは異なり、発泡を視覚的に捉えることができることから、ジョッキに注いだビールをユーザに想起させることができる。加えて、通常の容器よりも、同一角度で口の中に流入する液量が多いことから、ユーザは、泡と液を一度に楽しむことができる。
【0024】
容器の容量(飲料液が充填される量)は、例えば135~1000ml、好ましくは320~500mlである。
また、缶蓋天面が円形である場合、容器の口径は、例えば200~211径、好ましくは202~206径である。
【0025】
(製造方法)
本実施形態に係る飲料の製造方法は、特に限定されない。例えば、既述の手法によりSASPL値が2.0以上である炭酸含有液を調製した後、これを既述の手法で凹凸構造を形成した容器に充填し、密封する。これにより、本実施形態に係る容器詰め炭酸飲料を得ることができる。
【0026】
(温度)
本実施形態に係る飲料は冷却されていてもよく、冷却温度は10℃以下、好ましくは6℃以下である。
【0027】
本実施形態に係る容器詰め炭酸飲料によれば、発泡性が高められていることから、開缶するだけで、飲料を発泡させることができる。これにより、他の容器に注出しなくても、生ビールをジョッキに注いだ時に生じるような泡の層を形成することができる。
【実施例0028】
以下に、本発明についてより詳細に説明するために、実施例について説明する。但し、本発明は実施例に限定されて解釈されるべきものではない。
【0029】
試験例1
200Lスケールの仕込設備を用いて、ビールの製造を行った。まず、仕込槽に、30kgの麦芽の粉砕物、10kgの液糖、及び160Lの仕込水を投入し、常法に従って糖化液を製造した。得られた糖化液を、麦汁ろ過槽を用いて濾過し、麦汁を得た。得られた麦汁にホップを添加した後、煮沸した。次いで、麦汁を沈降槽に移して沈殿物を分離、除去し、その後、約10℃に冷却した。冷麦汁を発酵槽に導入し、ビール酵母を接種し、約10℃で8日間発酵させた。得られた発酵液を2日間かけて-1℃にまで冷却させた後、-1℃で20日間保存し、ビールを得た。得られたビールの特性は、下記の通りであった。
【0030】
【0031】
続いて、得られたビールを、二酸化ケイ素(SiO2)により処理した。具体的には、ビールに二酸化ケイ素を添加した。その後、二酸化ケイ素をフィルター除去した。二酸化ケイ素の添加量を変えることにより、SASPL値が異なるサンプル1~8に係るビールを調製した。得られた各ビールのSASPL値は、以下の方法により測定した。
【0032】
(SASPL値の測定)
移注法によりガス抜きした試料50mlおよび撹拌子を100ml容トールビーカーに入れ、飽和硫安溶液を一定量ずつ添加した際に発生する濁りを660nm透過光((株)ショーエーテクニカ製自動滴定濁度測定装置SET-350)にて測定した。
【0033】
また、得られたビールを、フルオープン缶に充填した。フルオープン缶としては、アルミニウム製の2ピース缶を用いた。具体的には、底面が閉じられた缶胴と、缶胴の上面を塞ぐ缶蓋とを有する容器を用いた。缶蓋の全周には、上面の全体が開口するようにスコア(切欠き)が設けられていた。缶胴としては、胴部の内面に樹脂コーティングが施されているものを使用した。樹脂コーティングには、起泡性凹凸構造が設けられていた。具体的には、起泡性凹凸構造として、第1の凹部(直径が5~20μm)が1mm2あたり200~2000個設けられており、第2の凹部(直径が0.5~5μm)が、1mm2あたり5,000~20,000個設けられていた。
【0034】
準備したサンプル1~8に係るビールを、4℃の冷蔵庫で24時間保管した。冷却後、缶蓋を静かに開け、泡立ち率、カバー秒数及びガス遊離率を測定した。各項目の測定方法は、以下のとおりである。
【0035】
(泡立ち率)
缶蓋を開けてから10秒以内に泡が形成された(液面が白色の泡で全て覆われた状態。液面が見えなくなった状態。)か否かを目視により確認した。各サンプルについて、15本の容器を開缶し、泡が形成された容器の割合を泡立ち率として求めた。
【0036】
(カバー秒数)
缶蓋を開けてからビールの上表面全体が泡で覆われるまでの時間を目視により測定した。各サンプルについて、15本の容器を開缶し、平均値をカバー秒数の結果とした。
【0037】
(ガス遊離率)
4℃の状態で容器を開缶し、2分後までに遊離したガス量を測定した。具体的には、開缶前と開缶後(2分後)の重量を計測し、その差分を求めた。各サンプルについて15本の容器を開缶し、求めた差分の平均値を、ガス遊離量(単位:g)とした。
【0038】
(結果)
SASPL値、泡立ち率、カバー秒数、及びガス遊離量の測定結果を表2に示す。また、
図1に、SASPL値と泡立ち率との関係を表すグラフを示す。
図2に、SASPL値とカバー秒数との関係を表すグラフを示す。
図3に、SASPL値とカバー秒数との関係を表すグラフを示す。
【表2】
【0039】
表2、
図1~
図3に示されるように、SASPL値の違いにより、泡立ち率、カバー秒数及びガス遊離量に違いがみられた。
SASPL値が大きいほど、泡立ち率が大きく、カバー秒数が短く、ガス遊離量が大きくなる傾向にあった。すなわち、SASPL値が大きいほど、発泡性が高くなることが理解できる。特に、SASPL値が2.0以上である場合には、極めて高い発泡性が得られた。
【0040】
試験例2
蒸留水100Lに、麦芽エキス(固形分75%)8kg、ホップエキス(α酸58%)6gを溶解し、60分煮沸した。煮沸後、アルコール4%となるようにエタノールを添加した。更に、SASPL値が3.5以上となるようにSiO2を添加し、フィルター除去した後に、炭酸ガスを封入し、ガス圧が異なるサンプル1~4に係る飲料を得た。
得られたサンプル1~4について、実施例1と同様に、SASPL値、泡立ち率、及びカバー秒数を測定した。
【0041】
【0042】
表3に示されるように、ガス圧が高いと、泡立ち率及びカバー秒数が増加する傾向にあった。具体的には、ガス圧が0.216(サンプル3)を超えると、顕著に泡立ち率が向上した。